JP2017088443A - 多孔質炭素材料、その製造方法、それを用いた電極及びキャパシタ - Google Patents

多孔質炭素材料、その製造方法、それを用いた電極及びキャパシタ Download PDF

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崇広 斎藤
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一也 桑原
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Abstract

【課題】キャパシタの電極材料に用いた場合に、そのキャパシタの長期の充放電特性の安定性及び高電圧下での充放電特性を優れたものに維持しながらも、初期容量の低下を抑制できる、多孔質炭素材料、その製造方法、それを用いた電極及びキャパシタを提供する。
【解決手段】BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、比表面積が1000〜2500m/g、金属不純物が40ppm以下、酸性官能基量が0.2mmol/g以下、塩素濃度が50〜1000ppmであり、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である、多孔質炭素材料であり、金属等を含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより製造される。該多孔質炭素材料はキャパシタの電極に使用し得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質炭素材料、その製造方法、それを用いた電極及びキャパシタに関する。
特許文献1には、不活性ガス雰囲気下に800〜2000℃以上で熱処理した多孔質炭素材料を、キャパシタの電極材料に用いると、そのキャパシタの長期信頼性が向上することが記載されている。
また、非特許文献1には、不活性ガス雰囲気下に1500℃で熱処理した多孔質炭素材料を、キャパシタの電極材料に用いると、そのキャパシタの高電圧下での充放電特性が向上することが記載されている。
特許第5676074号公報
白石壮志、他2名,「電気二重層キャパシタ用活性炭電極における熱処理時間の高電圧充電耐久性に及ぼす影響」,炭素,2009年,第240巻,p.226−226
しかしながら、上記特許文献1及び非特許文献1に記載の熱処理を行った多孔質炭素材料を用いたキャパシタは、初期容量が大きく低下するという問題があった。
そこで、本発明は、キャパシタの電極材料に用いた場合に、そのキャパシタの長期の充放電特性の安定性及び高電圧下での充放電特性を優れたものに維持しながらも、初期容量の低下を抑制できる、多孔質炭素材料、その製造方法、それを用いた電極及びキャパシタを提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる多孔質炭素材料は、
BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、
BET比表面積が1000〜2500m/g、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の総和が40ppm以下、酸性官能基量が0.2mmol/g以下、塩素濃度が50〜1000ppmであり、
メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である。
また、本発明の一態様にかかる多孔質炭素材料の製造方法は、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理する。
また、本発明の一態様にかかる電極は、前記の本発明の一態様にかかる多孔質炭素材料を用いた電極であって、
前記電極を有するキャパシタを、60℃で4.1V(vs Li/Li)の電圧を100時間印加する間に前記電極から発生するガス量が、前記多孔質炭素材料1gあたり8×10−6以下である。
また、本発明の一態様にかかるキャパシタは、前記の本発明の一態様にかかる多孔質炭素材料を用いた電極を有する。
上記発明の多孔質炭素材料によれば、キャパシタの電極材料に用いた場合に、そのキャパシタの長期の充放電特性の安定性及び高電圧下での充放電特性を優れたものに維持しながらも、初期容量の低下を抑制可能とする。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの構成を概念的に示す断面図である。 実施例における、各サンプルの熱処理による比表面積の変化を示すグラフである。 実施例における、キャパシタの容量維持率を示すグラフである。 実施例における、キャパシタの抵抗変化を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る多孔質炭素材料は、(1)BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、BET比表面積が1000〜2500m/g、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の総和が40ppm以下、酸性官能基量が0.2mmol/g以下、塩素濃度が50〜1000ppmであり、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である。
BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であることにより、キャパシタの電極に用いた場合、高い初期容量特性を実現することができる。また、BET比表面積が1000〜2500m/gであることにより、キャパシタの電極に用いた場合に、高い容量特性を実現できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属(以下、総括して「金属不純物」とも称する)の総和が40ppm以下であることにより、キャパシタの電極に用いた場合、キャパシタの容量・出力の長期安定性(長期信頼性とも称する)を向上させることができる。また、酸性官能基量が0.2mmol/g以下であることにより、キャパシタの高電圧下での容量・出力特性(以下、「高電圧特性、耐電圧特性」とも称する)を向上させることができる。また、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上であることにより、キャパシタの電極に用いた場合、容量と出力のバランスに優れるキャパシタを実現できる。
(2)前記多孔質炭素材料は、1000℃で3時間熱処理する前と後とでの比表面積の変化率が8%以下であることが好ましい。これにより高熱で加熱処理を行っても細孔が収縮して潰れることがなく、キャパシタの電極に用いた場合、キャパシタの初期容量を高く維持することができる。
本発明の他の一態様に係る多孔質炭素材料の製造方法は、(3)金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理するものである。この方法により、不活性ガス雰囲気下で熱処理した後の多孔質炭素材料の細孔収縮を抑制することが可能であり、キャパシタの電極材として用いた場合に、高い初期容量で、かつ長期信頼性、高電圧特性に優れる多孔質炭素材料を製造することができる。
(4)前記製造方法においては、前記炭化物が炭化ケイ素であることが好ましい。これにより、得られる多孔質炭素材料の細孔収縮の抑制をより確実なものとすることができる。
(5)前記製造方法においては、前記炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理することが好ましい。これにより、得られる多孔質炭素材料の細孔収縮の抑制をより確実なものとすることができる。
(6)前記製造方法においては、前記塩素含有雰囲気での熱処理を1000℃以上で行うことが好ましい。これにより、得られる多孔質炭素材料の細孔収縮の抑制をより確実なものとすることができるからである。
(7)前記製造方法においては、前記熱処理の後に、賦活処理を行うことが好ましい。これにより、容量・出力特性を高いバランスで両立した多孔質炭素材料を得ることができる。
(8)前記製造方法においては、前記不活性ガス雰囲気下での熱処理温度と前記熱処理時間の積分値が100℃・min.以上であることが好ましい。これにより、多孔質炭素材料の表面官能基が十分に除去され、該多孔質炭素材料をキャパシタに使用した場合に、該キャパシタにおける高電圧化での容量、抵抗劣化が抑制可能となる。
(9)前記製造方法においては、〔前記熱処理温度(℃)−800℃〕と前記熱処理時間の積分値が50℃・min.以上であることが好ましい。これにより、多孔質炭素材料の表面官能基の除去を確実なものとし、該多孔質炭素材料をキャパシタに使用した場合に、該キャパシタにおける高電圧化での容量、抵抗劣化がより高度に抑制可能となる。
本発明の他の別の一態様に係る電極は、(10)上述の(1)又は(2)に記載の多孔質炭素材料を用いた電極であって、前記電極を有するキャパシタを、60℃で4.1V(vs Li/Li)の電圧を100時間印加する間に前記電極から発生するガス量が、前記多孔質炭素材料1gあたり8×10−6(8ml)以下である。この電極をキャパシタに用いることにより、長期信頼性に優れるキャパシタを実現することができる。
本発明の他のさらに別の一態様に係るキャパシタは、(11)上述の(1)又は(2)に記載の多孔質炭素材料を用いた電極を有する。これにより、容量・出力・長期信頼性に優れる、良好なキャパシタを実現することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔多孔質炭素材料の概要〕
本発明の一態様に係る多孔質炭素材料(実施形態1)は、BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、BET比表面積が1000〜2500m/g、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属(金属不純物)の総和が40ppm以下、酸性官能基量が0.2mmol/g以下、塩素濃度が50〜1000ppmであり、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である。
この多孔質炭素材料は、BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であるが、このような、細孔構造を有する多孔質炭素材料は、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製されたものである。
従来、キャパシタの電極に用いる活性炭等の多孔質炭素材料は、樹脂や椰子殻等の原材料を600℃程度で蒸し焼きした後に約800℃で賦活処理を行うことにより製造される。このような製造方法で得られた多孔質炭素材料を「従来の多孔質炭素材料」と称する。
本発明の実施形態1の多孔質炭素材料の細孔構造と、従来の多孔質炭素材料の細孔構造を比較すると、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は、BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下であり、従来の多孔質炭素材料はBJH法によるメソ孔の総容積が0.15×10−6/g以上である。
本実施形態1の多孔質炭素材料は、BET比表面積が1000〜2500m/gで、金属不純物の総和が40ppm以下で、酸性官能基量が0.2mmol/g以下であり、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である。
なお、酸性官能基としては、カルボキシル基、ラクトン、フェノール性水酸基等が挙げられる。
また、メソ孔とは直径が2〜50nmの細孔であり、ミクロ孔とは直径が2nm以下の細孔である。
これらの特性は、キャパシタの電極に用いる従来の多孔質炭素材料と同等のものである。
しかしながら、従来は、前述の通り「BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、」かつ「BET比表面積が1000〜2500m/g、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属(金属不純物)の総和が40ppm以下、酸性官能基量が0.3mmol/g以下、メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上」の双方の特性を有するものは存在しなかった。むろん上記の双方の特性を備えるものは、当然優れたものであることは、当業者に予想はできるものであるが、そのようなものを得る手法も確立されていなかった。
そして、本発明者により、上記の双方の特性を備える多孔質炭素材料の製造手法が初めて確立され、その多孔質炭素材料が初めて実在し得るものとなった。
本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を製造するための手法については、後に詳述するが、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物(以下、「原料炭化物」とも称する)を塩素含有雰囲気で1000℃以上で熱処理する工程等を含むものである。
本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は、それを製造するための手法に、原料炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理する工程を含む故、塩素濃度が50〜1000ppmとなり得る。
一方、従来の多孔質炭素材料は、その製造手法に、原料炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理する工程を含まないので、塩素濃度が、本発明に規定の数値範囲に達することはない。
本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は、1000℃で3時間熱処理する前と後とでの比表面積の変化率が8%以下である。これは、高熱処理によっても細孔が収縮して潰れることがないことを意味する。
その理由としては、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は、後で詳述するように、その製造工程が、原料炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理する工程を含むことにより、結晶由来構造であり、高熱に対して安定性を有するからである。
一方、従来の多孔質炭素材料は、その製造工程にて処理される温度は最高でも約900℃であるため、骨格構造が弱く、1000℃以上の熱処理を相当時間行うと、細孔が収縮して潰れることにより、比表面積が大きく低下し、キャパシタに用いた場合には、キャパシタの初期容量も低下してしまう。
本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は、キャパシタの電極材料、より具体的には、負極活物質や正極活物質に使用され得る。
〔製造方法の概要〕
本発明の他の一態様に係る製造方法(実施形態2)は、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料の製造方法であって、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物(以下、単に「炭化物」とも称する)を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理するものである。
なお、従来の多孔質炭素材料を賦活処理した後に、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行った場合、細孔が収縮して潰れることにより、比表面積が低下し、キャパシタに用いた場合には、キャパシタの初期容量が低下した。これに対して、本発明の実施形態2の多孔質炭素材料の製造方法で得られた多孔質炭素材料は、細孔の収縮、比表面積の低下、キャパシタの初期容量の低下を抑制することができた。
従来の技術の知見から、多孔質炭素材料の賦活処理後に、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行った場合には、当然、細孔の収縮、比表面積の低下、キャパシタの初期容量の低下が観られるものと予想された。しかし、驚くべきことに、本発明の実施形態2の通り、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、用いることにより、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行った際に、細孔の収縮、比表面積の低下、キャパシタの初期容量の低下を抑制できるという知見を得ることができた。
本発明の実施形態2の多孔質炭素材料の製造方法で使用される、多孔質炭素材料は、前記炭化物を原料として作製されるものであるが、具体的には、前記炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理(第一工程)することにより得られるものである。
具体的には、炭化物としてSiC粉末を用いた場合には、以下の反応を起こす。
SiC + 2Cl → SiCl + C
これにより、SiCの結晶構造中からSi層のみが除去され、主としてC層のみからなる中間生成物を得ることができる。
また、前記熱処理の際の温度としては1000℃以上であることが好ましい。
前記多孔質炭素材料の作製のために用いられる炭化物としては、金属及び半金属の少なくともいずれかを含むものであれば、特に限定されず、その金属及び半金属としては、短周期型の周期律表の4A、5A、6A、7A、8および/または3B族に属するものが挙げられる。これらの炭化物は所望の細孔構造を有する単相多孔質炭素材料を高収率で生成し得る。1種の金属または半金属を含む炭化物を単独で用いてもよく、複数種の金属または半金属を含む複合炭化物を用いてもよく、複数種の炭化物を混合して用いてもよい。
前記炭化物の具体例としては、炭化ケイ素(SiC)、炭化チタン(TiC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化タングステン(WC)、二炭化トリウム(ThC)、二炭化三クロム(Cr)、炭化鉄(FeC)、二炭化ウラン(UC)、炭化モリブデン(MoC)等が挙げられ、その中でも、SiCが、塩素含有雰囲気で熱処理した後の炭素材料の熱的な安定性が高い、細孔構造がキャパシタ電極材として適している、等の点でも好ましい。
また、前記多孔質炭素材料の作製のために用いられる炭化物の形態は、粉末であり、例えば平均粒子径が0.1〜30μmであるものが好ましく、1μm〜20μmであるものがより好ましい。この際、粒度分布(ふるい上粒度分布)に関しては、ふるい上積算分布の値が50%となる粒子径である50%粒子径(50%D)に対する、ふるい上積算分布の値が3%となる粒子径である3%粒子径(3%D)の値(3%D/50%D)が1以上3未満であるものが好ましく、1.1以上2未満であるものがより好ましい。
なお、平均粒子径や粒度分布は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
前記炭化物を熱処理する際の塩素含有雰囲気とは、ガス総流量に対する塩素ガスの濃度が少なくとも0.1%以上ある雰囲気をいい、好ましくは塩素ガス雰囲気(塩素ガス濃度:100%)である。この際、塩素ガスと混合されていてもよいガスとしてはF、Br、I、He、N、Ne、Ar、Kr、Xe等が挙げられる。
また、前記熱処理時間は、十分な反応時間を得るという観点から、0.001時間以上であることが好ましく、一方低コストで製造するという観点から、24時間以下であることが好ましい。同様の観点から、当該熱処理時間は0.05〜10時間であることがより好ましい。
前記炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理することにより得られた多孔質炭素材料には、活性炭として機能させるための細孔を形成するために、賦活処理(第二工程)がなされる。賦活処理としては、通常の活性炭の製造方法で採用されている、公周知の手法を採ればよく、高温下での水蒸気処理や二酸化炭素処理等が挙げられ、またこれらを併用して行っても良い。
例えば、水蒸気処理の場合は、0 .6g/m以上の水蒸気を含有する(100℃(373.3K)における飽和水蒸気量に対する水蒸気量を水蒸気濃度とした場合、0.1%に相当する) 雰囲気で行うことが好ましく、100 ℃(373.3K)における飽和水蒸気量分の水蒸気を含む雰囲気で行うことがより好ましい。
この際、水蒸気と混合されていてもよいガスとしては、He、N、Ne、Ar、Kr、Xe、CO、O、H等が挙げられる。
賦活処理温度としては、700〜1000℃であることが好ましく、800〜900℃であることがより好ましい。また、賦活処理時間は、十分な反応時間を得るという観点から、0.01時間以上が好ましく、一方低コストで製造するという観点から、24時間以下であることが好ましい。同様の観点から、当該処理時間は0.05〜10時間であることがより好ましい。
前記賦活処理によって活性炭として機能させるための細孔を形成した後の多孔質炭素材料に、不活性ガス雰囲気下で熱処理(第三工程)を行う。
この処理により、表面の酸性官能基(以下、表面官能基とも称する)が除去され、さらに、ミクログラファイト構造が形成される。
表面官能基が残存すると、多孔質炭素材料をキャパシタの電極材として使用した場合に、表面官能基が触媒となって、周囲の電解液が分解反応を起こしガスを発生させる。そして、このガスが多孔質炭素材料の細孔内部でイオンの移動を妨げることにより、キャパシタの抵抗増加を生じさせると推測される。
不活性ガス雰囲気下での熱処理としては、1000℃以上で行うことが好ましく、1000〜2000℃で行うことがさらに好ましい。
1000℃以上であれば表面官能基の除去、ミクログラファイト構造の形成がより確実なものとなる。また2000℃以下であれば、細孔のコントロールがより確実に成される。
熱処理時間は充分な反応時間を得るという観点から0.001時間以上が好ましい。 また、低コストで多孔質炭素材料を製造するという観点から24時間以下であることが好ましい。
詳細には、特許文献1及び非特許文献1に記載の、不活性ガス雰囲気下での熱処理に準じて行えばよいが、さらに、前記不活性ガス雰囲気下での熱処理温度と前記熱処理時間の積分値を100℃・min.以上とすることや、またさらに、〔前記熱処理温度(℃)−800℃〕と前記熱処理時間の積分値を50℃・min.以上とすることが好ましい。
前記不活性ガス雰囲気下での熱処理温度と前記熱処理時間の積分値を100℃・min.以上とすることにより、多孔質炭素材料の表面官能基が十分に除去され、該多孔質炭素材料をキャパシタに使用した場合に、該キャパシタにおける高電圧下での容量、抵抗の劣化を抑制することが可能となる。また、〔前記熱処理温度(℃)−800℃〕と前記熱処理時間の積分値を50℃・min.以上とすることにより、多孔質炭素材料の表面官能基の除去を確実なものとし、該多孔質炭素材料をキャパシタに使用した場合に、該キャパシタにおける高電圧下での容量、抵抗の劣化がより高度に抑制可能となる。
前記の塩素含有雰囲気での熱処理、賦活処理、不活性ガス雰囲気下での熱処理は、いずれも高温での処理であり、ロータリキルン、流動層炉、固定層炉、移動層炉、移動床炉等各種形式の炉等の一般的な炉を使用して行うことができる。炉としては、処理物の投入、取り出しを連続的に行う連続炉、あるいは間欠的に行うバッチ炉の双方とも適用することができる。加熱手段としては所定の温度まで加熱可能な手段であれば問題なく、電気加熱、ガス燃焼型加熱、高周波誘導加熱、通電加熱等を使用することができる。これら加熱手段は単独で使用してもよいし、併用しても構わない。
〔電極の概要〕
本発明の他の別の一態様に係る電極(実施形態3)は、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を用いたものであって、前記電極を有するキャパシタを、60℃で4.1V(vs Li/Li+)の電圧を100時間印加する間に前記電極から発生するガス量(体積)が、前記多孔質炭素材料1gあたり8×10−6(8ml)以下のものである。
なお前記電極から発生するガス量(体積)は、60℃、大気圧(1気圧)下での状態を示すものである。
この電極をキャパシタに用いることにより、長期信頼性に優れるキャパシタを実現することができる。
本発明の実施形態3の電極の詳細な構成についてはキャパシタの態様によっても異なる。そのため、本発明の実施形態3の電極の詳細な構成については、後述するキャパシタの項目中で説明する。
〔キャパシタの概要〕
本発明の他のさらに別の一態様に係るキャパシタ(実施形態4)は、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を用いた電極(実施形態3)を有する。
本発明の実施形態4のキャパシタとしては、多様な形態を採り得るが、その中でも電気二重層キャパシタとリチウムイオンキャパシタについて説明する。
〔電気二重層キャパシタ〕
電気二重層キャパシタ用電極は、例えば、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料、導電性付与剤、バインダー等を混練し、さらに溶媒を添加してペーストを調製し、このペーストをアルミ箔等の集電板に塗布した後、溶媒を乾燥除去することで得ることができる。
この場合、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料は粒状であることが好ましい。特に、電極形成の際の混練作業性という観点から、多孔質炭素材料の平均粒子径は0.1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。なお、本発明の実施形態2の製造方法にて得られる多孔質炭素材料を粉砕することで、このような所望の粒子径を有する多孔質炭素材料を得てもよい。粉砕は、コーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ディスククラッシャー、ロータリークラッシャー、ボールミル、遠心ロールミル、リングロールミル、遠心ボールミル等の公知の粉砕機で行うことができる。また、さらに分級機を併用して粒度分布をコントロールしてもよい。粉砕中に多孔質炭素材料表面が酸化されるのを防ぐため、粉砕は不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
導電性付与剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどを使用することができる。また、バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系高分子化合物や、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴム、石油ピッチ、フェノール樹脂等を使用することができる。
電気二重層キャパシタは、一般的には、電極、電解液、セパレータ等を主要構成とし、一対の電極間にセパレータを配置した構造となっている。電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート等の有機溶剤にアミジン塩を溶解した電解液;過塩素酸の4級アンモニウム塩を溶解した電解液;4級アンモニウム、リチウム等のアルカリ金属の四フッ化ホウ素塩や六フッ化リン塩を溶解した電解液;4級ホスホニウム塩を溶解した電解液などが挙げられる。また、セパレータとしては、例えば、セルロース、ガラス繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムなどが挙げられる。
〔リチウムイオンキャパシタ〕
リチウムイオンキャパシタは、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、アニオンとリチウムイオンとの塩を含む非水電解質とを具備し、正極活物質が、非水電解質中のアニオンを吸着および脱着可能な材料(例えば活性炭などの多孔質炭素材料)を含む。
(負極)
負極は、負極活物質を含む負極合剤と、負極合剤を保持する負極集電体を含むことができる。ここでは、負極活物質が、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を含んでいても良く、また、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料以外の、リチウムイオンキャパシタの負極活物質構成成分として、公周知のものを含んでいても良い。なお、後述の正極において本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を使用しない場合には、負極活物質に本発明の実施形態1の多孔質炭素材料が含まれる。負極集電体としては、例えば、銅箔、銅合金箔などが好ましい。負極は、負極集電体に、負極合剤と液状分散媒とを混合して得られるスラリーを塗布し、その後、スラリーに含まれる分散媒を除去し、必要に応じて、負極合剤を保持した負極集電体を圧延することにより得られる。負極合剤は、負極活物質の他に、バインダー、導電助剤などを含んでもよい。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒の他、水などが用いられる。
バインダーの種類は特に制限されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂;スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体;カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などを用いることができる。バインダーの量は、特に限定されず、負極活物質100質量部あたり、例えば、0.5〜10質量部である。
導電助剤の種類は、特に制限されず、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。導電助剤の量は、特に限定されず、負極活物質100質量部あたり、例えば0.1〜10質量部である。
(正極)
正極は、正極活物質を含む正極合剤と、正極合剤を保持する正極集電体を含むことができる。正極活物質としては、例えば、比表面積の大きい活性炭が用いられ、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を用いても良く、また、本発明の実施形態1の多孔質炭素材料以外の、リチウムイオンキャパシタの正極活物質として、公周知のものを用いても良い。なお、前述の負極において本発明の実施形態1の多孔質炭素材料を使用しない場合には、正極活物質に本発明の実施形態1の多孔質炭素材料が使用される。正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などが好ましい。正極は、正極集電体に、正極合剤と液状分散媒とを混合して得られるスラリーを塗布し、その後、負極と同様の工程を経ることにより得られる。正極合剤は、バインダー、導電助剤などを含んでもよい。バインダー、導電助剤、分散媒などには、上記材料を用いることができる。
リチウムイオンキャパシタにおいては、負極電位を低下させるために、負極活物質に予めリチウムをドープしておくことが好ましい。例えば、リチウム金属を、正極、負極および非水電解質とともにキャパシタ容器内に収容し、組み立て後のキャパシタを60℃前後の恒温室中で保温することにより、リチウム金属からリチウムイオンが溶出し、負極活物質に吸蔵される。負極活物質にドープするリチウム量は、負極容量(負極の可逆容量):Cnの10〜75%がリチウムで満たされる量であることが好ましい。
(セパレータ)
正極と負極との間にセパレータを介在させることにより、正極と負極との短絡が抑制される。セパレータには、微多孔膜、不織布などが用いられる。セパレータの材質には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン; ポリエチレンレテフタレートなどのポリエステル;ポリアミド;ポリイミド;セルロース; ガラス繊維などを用いることができる。セパレータの厚さは10〜100μm程度である。
(非水電解質)
非水電解質は、リチウムイオン伝導性を有する限り特に制限されない。一般的な非水電解質は、アニオンとリチウムイオンとの塩(リチウム塩)と、リチウム塩を溶解させる非水溶媒とを含む。非水電解質におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.3〜3mol/Lであればよい。
リチウム塩を構成するアニオンとしては、フッ素含有酸のアニオン[ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)などのフッ素含有リン酸のアニオン;テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)などのフッ素含有ホウ酸のアニオンなど]、塩素含有酸のアニオン[過塩素酸イオン(ClO4 -)など]、ビススルホニルイミドアニオン(フッ素原子を含むビススルホニルイミドアニオンなど)などが例示できる。非水電解質は、これらのアニオンのうち一種を含んでもよく、二種以上を含んでもよい。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類などを用いることができる。非水溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
図1に、リチウムイオンキャパシタの一例の構成を概略的に示す。セルケース15内には、キャパシタ10の主構成要素である極板群と非水電解質が収容されている。極板群は、複数の正極11と負極12とをセパレータ13を介して積層することにより構成されている。ここでは、正極11は、金属多孔体である正極集電体11aと、正極集電体11aに充填された粒子状の正極活物質11bとで構成されている。また、負極12は、金属多孔体である負極集電体12aと、負極集電体12aに充填された粒子状の負極活物質12bとで構成されている。
以下、本発明に係る実施例及び比較例を用いた評価試験の結果を示し、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.多孔質炭素材料
下記表1に示すサンプルA〜Dを下記表2に示す条件で、下記表3に示す組合せ通りに熱処理し、多孔質炭素材料を作製した。得られた多孔質炭素材料の特性を下記表3に示す。
Figure 2017088443
Figure 2017088443
Figure 2017088443
なお、表1中のサンプルA〜Dの詳細は以下の通りである。
サンプルA
炭化物として平均粒子径が7.3μmであるSiC粉末(南興セラミックス社製、製品名GC# 2500) を準備した。なお、この粉末は、ふるい上積算分布の50%粒子径に対する3%粒子径の値が1.7であった。SiC粉末の平均粒子径及び粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD 2200( 島津製作所製、製品名) を用いて測定した。このSiC粉末50gを1100 ℃で4時間、塩素ガス雰囲気中にて熱処理をして多孔質炭素材料の中間生成物を得た(第一工程)。次に、この中間生成物を900℃で2時間、水蒸気濃度5%の水蒸気/窒素混合雰囲気中にて熱処理し、賦活処理をしたサンプルAを得た(第二工程)。
サンプルB
製造ロットが異なる以外は、上記のサンプルAの作製と同様の操作を行い、サンプルBを得た。
サンプルC
樹脂由来の活性炭,パワーカーボンテクノロジー社製,CEP21K
サンプルD
椰子殻由来の活性炭,クラレケミカル社製,YP50F
表2に記載の各熱処理条件a〜eについて、全て窒素ガス雰囲気下で行われ、a〜cはゾーン炉で、d〜eは均熱炉で行われた。
比表面積はBET法により算出した。
メソ孔の容積はBJH法により算出し、ミクロ孔の容積はt法により算出した。
全細孔容積はNガス吸着量より解析モデルを用いて算出した(装置:BELSORP-mini, 日本ベル製)。
酸性官能基量は、カルボキシル基(R-COOH)、ラクトン基(R-OCO)、フェノール性水酸基(R-OH)を測定対象とし、滴定法(Boehm法)により算出した。
金属不純物濃度は、ICP−MS、イオンクロマトグラフィーにより測定・算出した。
なお、上記表3中、No.1〜4が実施例で、No.11〜22が比較例である。
〔比表面積変化〕
サンプルB〜Dについて、各熱処理条件a〜eを行った場合の比表面積変化を観たところ、図2に示す結果が得られた。サンプルC〜Dは、サンプルBに比較して、熱処理に対する比表面積変化(低下)が大きいことが分かった。
〔細孔構造〕
表3のサンプルA〜Bは、熱処理の有無に依らずBJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であるのに対し、サンプルC〜Dは、熱処理の有無に依らずBJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以上であった。
〔初期特性評価〕
上記表3のNo.4、12、13及び20の各多孔質炭素材料を正極に用いたリチウムイオンキャパシタを作製し、初期容量(多孔質炭素材料1gあたりの初期容量を指す。なお、実施例では単位重量あたりの初期容量で記載するが、本発明は電極の単位体積あたりの容量など他の定義でも同様の効果が得られる) の変化を測定した。その結果、サンプルBを用いたNo.12とNo.4では、条件eでの熱処理により初期の重量比容量が13%減少した。一方でサンプルCを用いたNo.13とNo.20では、条件eの熱処理により初期容量が23%減少した。このことから、金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理したサンプルでは、従来の活性炭と比べてキャパシタの初期容量の低下を抑制可能であることが判明した。
〔電極評価〕
上記表3のNo.4、12及び13の各多孔質炭素材料を使用した電極のガス発生量について評価した。
各多孔質炭素材料を使用した電極を用いて単層ラミネートセルを作製して評価した。
以下の条件で単層ラミネートセルを作製した。電極はシート法で作製した。
電極サイズ:30×50 mm
正極:活物質、導電助剤、バインダーを86:7:7で混合し、シート電極を作製した。
活物質は表3のNo.4、12及び13の各多孔質炭素材料を使用した。
導電助剤はケッチェンブラックを、バインダーはPTFEを使用した。
負極:シート状の金属リチウムを使用した。
セパレータ:セルロース系セパレータを使用した。
電解液:エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7で混合した溶液に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を使用した。
評価条件
正極電圧4.1V(vs Li/Li)で60℃×48hr.のフロート試験を2回実施し、フロート前後のセルの体積を測定し正極からのガス発生量を類推した。
評価結果
結果を表4に示す。表4からわかるように、No.4の多孔質炭素材料を使用した電極ではセルの体積変化が小さく、これに対して、No.12及び13の各多孔質炭素材料を使用した電極では、セルの体積変化が大きかった。No.4の多孔質炭素材料を使用した電極ではセルの体積変化が小さいことから、ガスの発生量が抑制できたものと推定される。これは、No.4の多孔質炭素材料は、不活性ガス雰囲気下で熱処理により表面官能基が除去されたことから、ガスの発生量が抑制できたものと推定される。
Figure 2017088443
〔Liイオンキャパシタ評価〕
上記表3のNo.4、12及び13の各多孔質炭素材料を使用した電極を正極に用いたLiイオンキャパシタを作製してその特性について評価した。
各多孔質炭素材料を使用した電極を用いて単層ラミネートセルを作製して評価した。
以下の条件で単層ラミネートセルを作製した。
電極サイズ:30×50 mm
正極:活性炭、導電助剤、バインダーを86:7:7で混合し、シート電極を作製した。
活性炭は表3のNo.4、12及び13の各多孔質炭素材料を使用した。
導電助剤はケッチェンブラックを、バインダーはPTFEを使用した。
負極:ハードカーボン、導電助剤、バインダーを93:2:5で混合し、シート電極を作製した。
導電助剤はケッチェンブラックを、バインダーはPTFEを使用した。
対極をLi金属としてLiをプリドープしてからキャパシタ電極として使用した。
セパレータ:セルロース系セパレータを使用した。
電解液:エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7で混合した溶液に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を使用した。
評価条件
セル電圧4Vで、60℃×1000hr.のフロート試験を実施し、各段階(初期、270時間後、448時間後、731時間後、991時間後)での容量および交流抵抗を測定した。
・容量測定条件
電圧:2〜4V,電流密度:1C相当
・交流抵抗測定条件
電圧:4.0V,電流密度:1C相当,測定状態:充電末,振幅:10mV
評価結果
容量測定の結果を、図3及び表5に示す。また、交流抵抗測定の結果を図4に示す。
図3及び表5に示すように、No.4及び12のSiC由来の多孔質炭素材料を電極に使用したキャパシタは、No.13の多孔質炭素材料を使用したものに比べて容量変化が小さいことが分かる。
また、図4に示すように、No.4のSiC由来で熱処理を行った多孔質炭素材料を電極に使用したキャパシタは、フロート試験後の交流抵抗の増加が抑制されていることがわかった。
Figure 2017088443
10 キャパシタ
11 正極
11a 正極集電体
11b 正極活物質
12 負極
12a 負極集電体
12b 負極活物質
13 セパレータ
15 セルケース

Claims (11)

  1. BJH法によるメソ孔容積が0.15×10−6/g以下、t法によるミクロ孔の総容積と全細孔容積の比が0.9以上であり、
    BET比表面積が1000〜2500m/g、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の総和が40ppm以下、酸性官能基量が0.2mmol/g以下、塩素濃度が50〜1000ppmであり、
    メソ孔の総容積に対するミクロ孔の総容積比が4以上である、多孔質炭素材料。
  2. 1000℃で3時間熱処理する前と後とでの比表面積の変化率が8%以下である請求項1に記載の多孔質炭素材料。
  3. 金属及び半金属の少なくともいずれかを含む炭化物を原料として作製された多孔質炭素材料を、不活性ガス雰囲気下で熱処理する多孔質炭素材料の製造方法。
  4. 前記炭化物が炭化ケイ素である請求項3に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  5. 前記炭化物を塩素含有雰囲気で熱処理する請求項3又は請求項4に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  6. 前記塩素含有雰囲気で熱処理を1000℃以上で行う請求項5に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  7. 前記熱処理の後に、賦活処理を行う請求項5又は請求項6に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  8. 前記不活性ガス雰囲気下での熱処理温度と前記熱処理時間の積分値が100℃・min.以上である請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  9. 〔前記熱処理温度(℃)−800℃〕と前記熱処理時間の積分値が50℃・min.以上である請求項8に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  10. 請求項1又は請求項2に記載の多孔質炭素材料を用いた電極であって、
    前記電極を有するキャパシタを、60℃で4.1V(vs Li/Li)の電圧を100時間印加する間に前記電極から発生するガス量が、前記多孔質炭素材料1gあたり8×10−6以下である電極。
  11. 請求項1又は請求項2に記載の多孔質炭素材料を用いた電極を有するキャパシタ。
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