JP2017087977A - スペアタイヤ支持構造 - Google Patents

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卓也 山村
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直人 小倉
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Yuki Kojo
裕紀 古城
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Takeshi Okamoto
孟 岡本
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Abstract

【課題】車両フロアの形状に対する制約を小さくするとともに、作業工数の増大を抑制することができるスペアタイヤの支持構造を提供する。【解決手段】スペアタイヤ支持構造1は、凹部12に配置されるスペアタイヤTを支持するブラケット30が凹部12に設けられ、ブラケット30と平坦部11によってスペアタイヤTのタイヤ部が支持されている。ブラケット30は、凹部12に嵌合するスペーサ20に取り付けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、スペアタイヤ支持構造に関する。
従来、車両の後方スペースにスペアタイヤを収納する収納部が形成された車両がある(例えば特許文献1参照)。この車両では、スペアタイヤの収納部分に支柱を設け、支柱の頂部にブラケットを取り付けるとともに、このブラケットを介して、スペアタイヤのホイールを支柱に締結固定している。また、フロアパネルにブラケットを立設する車両がある(例えば、特許文献2参照)。この車両では、ブラケットの頂部にスペアタイヤのホイールを締結固定する。
特表2005−511378号公報 特開2011−84124号公報
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、支柱をまたいでスペアタイヤが収納されることから、タイヤを収納するスペースを確保する必要がある。このため、タイヤの収納部の形状が制約を受けるという問題がある。また、上記特許文献2に開示された技術では、フロアパネルにブラケットを立設する必要がある。ブラケットの立設を例えば工場における車体の製造時に行う場合には、工場の設備等の関係でブラケットの立設位置が限られてしまい、高い強度性能を確保できる位置にブラケットを立設することが難しくなる場合がある。また、車体の製造が進んだ時点で、ブラケットをフロアパネルに取り付けることもある。ところが、この場合、ブラケットの立設を溶接やボルト締結のいずれで行うとしても、作業工数の増大につながるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、車両フロアの形状に対する制約を小さくするとともに、作業工数の増大を抑制することができるスペアタイヤの支持構造を提供することである。
(1)上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造は、車両の後部に設けられた平坦部(例えば、実施形態の平坦部11)および凹部(例えば、実施形態の凹部12)を備え、タイヤ部(例えば、実施形態のタイヤ部TG)およびホイール部(例えば、実施形態のホイール部TH)を備えるスペアタイヤ(例えば、実施形態のスペアタイヤT)を支持するスペアタイヤ支持構造(例えば、実施形態のスペアタイヤ支持構造1)であって、前記凹部に配置される前記スペアタイヤを支持するブラケット(例えば、実施形態のブラケット30)が前記凹部に設けられ、前記ブラケットと前記平坦部によって前記スペアタイヤのタイヤ部が支持されており、前記ブラケットは、前記凹部に嵌合するスペーサ(例えば、実施形態のスペーサ20)に取り付けられていることを特徴とする。
(2)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記凹部および前記スペーサは、前記凹部に対して前記スペーサを位置決めするための位置決め構造(例えば、実施形態の位置決め突起26A1,26A2,・・・と車両側位置決め凹部)を備えるようにしてもよい。
(3)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記凹部は、前位置決め面(例えば、実施形態の前方凹部12F)、後位置決め面(例えば、実施形態のリヤシェルフ3)、左右位置決め面(例えば、実施形態の左側壁部14および右側壁部15)、および下位置決め面(例えば、実施形態の後方凹部12R)を備え、前位置決め面、後位置決め面、左右位置決め面、および下位置決め面の少なくとも1つの面に、複数の車両側位置決め凹部または車両側位置決め凸部(例えば、実施形態の位置決め突起26A1,26A2,・・・)が形成されており、前記スペーサには、前記車両側位置決め凹部または車両側位置決め凸部に対応するスペーサ側位置決め凸部またはスペーサ側位置決め凹部(例えば、実施形態の車両側位置決め凹部)が形成されているようにしてもよい。
(4)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記ブラケットは、前記スペアタイヤに対するタイヤ受面(例えば、実施形態の天板31)と、前記タイヤ受面を支持する立ち上がり部(例えば、実施形態の立ち上がり部32R,32L)と、前記立ち上がり部の下端部から外側方向に広がる鍔部(例えば、実施形態の鍔部33R,33L)と、を備えており、前記スペーサにおける前記スペアタイヤに当接する面に開口部(例えば、実施形態の開口部25)が形成され、前記ブラケットは前記開口部から露出して前記スペアタイヤを支持しており、前記ブラケットにおける前記鍔部と前記凹部との間に雑音防止材(例えば、実施形態の雑音防止材60)が介在されているようにしてもよい。
(5)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記ブラケットは、前記スペアタイヤに対するタイヤ受面と、前記タイヤ受面を支持する立ち上がり部と、前記立ち上がり部の下端部から外側方向に広がる鍔部と、前記鍔部の外側方向に設けられ、前記凹部から離間して張り出す段差部(例えば、実施形態の段差部34L,34R)と、を備えており、前記段差部に、前記ブラケットを前記スペーサに固定する固定部材(例えば、実施形態のスタッドボルト35L,35R)が設けられているようにしてもよい。
(6)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記凹部の裏側面にけん引フック(例えば、実施形態のけん引フック7)が取り付けられているようにしてもよい。
(7)また、本発明の一態様に係るスペアタイヤの支持構造において、前記凹部の左右側壁に沿って、かつ前記車両の前後方向に延びるように設けられる左右一対のサイドフレームの間にクロスメンバ(例えば、実施形態のクロスメンバ4)が架け渡され、前記クロスメンバの所定位置から後方に延びる後面衝突対応フレーム(例えば、実施形態の後面衝突対応フレーム6)が設けられており、前記けん引フックは、前記後面衝突対応フレームの後端部に固定されているようにしてもよい。
上述した(1)の構成によれば、ブラケットと前記平坦部によって前記スペアタイヤのタイヤ部が支持されている。このため、平坦部および凹部で形成されるフロアパネルの設計の自由度に対する制約を小さくすることができる。また、前記ブラケットは、前記凹部に嵌合するスペーサに取り付けられている。スペーサは凹部に嵌合することから、フロアパネルに対するブラケットの溶接やボルト締結作業を行うことなく凹部にブラケットを取り付けることができる。したがって、フロアパネルの形状に対する制約を小さくするとともに、作業工数の増大を抑制することができる。
上述した(2)の構成によれば、車両の後部に設けられた凹部に対してスペーサを位置決めするための位置決め構造が設けられているので、凹部に対してスペーサを容易に位置決めすることができる。
上述した(3)の構成によれば、凹部の前位置決め面、後位置決め面、左右位置決め面、および下位置決め面の少なくとも1つの面に形成された複数の車両側位置決め凹凸部と、スペーサに形成された複数のスペーサ側位置決め部とで凹部に対するスペーサの位置決めが行われる。このため、凹部に対するスペーサの位置決めの精度を高くすることができる。
上述した(4)の構成によれば、前記ブラケットは、立ち上がり部の下端部から外側方向に広がる鍔部を備えている。このため、凹部に対して立設した状態を確実に維持することができる。また、鍔部と凹部との間に雑音防止材が介在されている。このため、鍔部と凹部との接触による摺れ音などの発生を抑制することができる。
上述した(5)の構成によれば、ブラケットは、鍔部の外側方向に、凹部から離間して張り出す段差部と、を備えており、ブラケットをスペーサに固定する固定部材が段差部に設けられている。このため、ブラケットのスペーサに対する固定部が凹部と接触することによる騒音などの発生を抑制することができる。
上述した(6)の構成によれば、けん引フックを適切な高さ位置に取り付けることができる。
上述した(7)の構成によれば後突時に後面衝突対応フレームが折れ点で折れ曲がって後突時における衝撃吸収を行うことができる。また、スペーサは凹み部に嵌合されているので、スペーサが後面衝突対応フレームの衝撃吸収を阻害しないようにすることができる。
スペアタイヤの支持構造を備える車両後部の斜視図である。 スペアタイヤの支持構造を備える車両後部を裏面側から見た斜視図である。 スペアタイヤの支持構造を備える車両後部の側断面図である。 スペアタイヤの支持構造を備える車両後部の正断面図である。 スペーサの斜視図である。 スペーサの裏面図である。 凹部支持構造の正断面図である。 スペーサを裏面から見た凹部支持構造の分解斜視図である。 スペアタイヤの支持構造におけるブラケット付近の拡大側断面図である。 スペアタイヤを支持するスペアタイヤの支持構造の側断面図である。 (A)は、スペアタイヤを支持するスペアタイヤの支持構造の正断面図、(B)は、その後部拡大側断面図である。 スペアタイヤの支持構造におけるブラケット付近の他の例の拡大側断面図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
図1に示すように、スペアタイヤ支持構造1は、車両後部に設けられたスペアタイヤ収納部10に形成されている。スペアタイヤ収納部10は、平坦部11を備えており、平坦部11の後部に凹部12が形成されている。これらの平坦部11および凹部12は、車両のフロアパネル上に構成されている。
平坦部11の前方には前側壁部13が設けられ、平坦部11および凹部12の左方には左側壁部14が設けられ、平坦部11および凹部12の右方には右側壁部15が設けられている。また、スペアタイヤ収納部10の後方には、リヤシェルフ3が設けられている。これらのスペアタイヤ収納部10およびリヤシェルフ3は、いずれも金属製、例えば鋼製である。スペアタイヤ収納部10には、スペアタイヤTが収納されている。
スペアタイヤ収納部10における平坦部11は、全体的に平坦とされているとともに、図示しないリブやボルト孔などが形成されている。また、凹部12は、図2に示すように、前方凹部12Fおよび後方凹部12Rによって形成されている。前方凹部12Fは、後方に行くにしたがって下方に下がる傾斜を有して形成されており、後方凹部12Rは略平坦とされている。凹部12は、前方凹部12Fの前端位置では平坦部11と略同じ高さとされているが、後方にいくにつれて平坦部11よりも低くなる構成とされている。図1に示すように、凹部12にはスペーサ20が嵌合されている。凹部12には、嵌合されるスペーサ20の位置決めをする位置決め構造が形成されている。この位置決め構造については、後に説明する。また、スペーサ20は、例えば樹脂製であり、スペーサ20には、例えば金属製のブラケット30が一体的に取り付けられている。
また、スペアタイヤ収納部10の裏面側には、図2および図3に示すように、クロスメンバ4が設けられている。クロスメンバ4は、凹部12の左右側壁に沿って、かつ車両の前後方向に延びるように設けられる図示しない左右一対のサイドフレームの間に架け渡されている。クロスメンバ4における所定位置、本実施形態では幅方向中央位置には、後方に延びる補助フレーム5が取り付けられ、補助フレーム5の後部に、後方に延びる後面衝突対応フレーム6が取り付けられている。こうして、後面衝突対応フレーム6は、補助フレーム5を介してクロスメンバ4に取り付けられている。
また、図4にも示すように、後面衝突対応フレーム6の裏面側には、けん引フック7が取り付けられている。後面衝突対応フレーム6は、スペアタイヤ収納部10における凹部12の下方位置に配置されており、けん引フック7も、凹部12の下方位置に配置される。このため、けん引フック7は、スペアタイヤ収納部10における平坦部11に取り付けられるよりも下方位置に取り付けられた状態となっている。
スペーサ20は、図5に示すように、スペーサ本体部21を備えている。スペーサ本体部21の左端部および右端部には、それぞれ上方に立ち上がるスペーサ左壁部22およびスペーサ右壁部23が設けられている。さらに、スペーサ本体部21の後端には、上方に立ち上がるスペーサ後壁部24が設けられている。
また、図6に示すように、スペーサ本体部21は、凹部12における前方凹部12Fおよび後方凹部12Rに対応して、前方スペーサ本体部21Fおよび後方スペーサ本体部21Rを備えている。前方スペーサ本体部21Fは、前方が薄肉とされ、後方に行くにしたがって肉厚が厚くなる。また、後方スペーサ本体部21Rは、略均一の厚さとされている。このため、傾斜を有して形成されている凹部12の前方凹部12Fにスペーサ20が嵌合したときに、スペーサ本体部21の表面は、略均一の高さが維持される。
スペーサ本体部21における略中央位置には、上下に貫通する開口部25が形成されている。開口部25の開口形状は、図1および図3に示すように、ブラケット30における天板31の上面の形状と略同一とされている。ブラケット30における天板31は、スペーサ本体部21の表面と略面一となる高さに配置されるように、ブラケット30は開口部25から露出している。
スペーサ本体部21における裏面側には、図5および図6に示すように、複数の位置決め凸部、即ち、位置決め突起が設けられている。具体的に、図6に示すように、前方スペーサ本体部21Fの前端位置における幅方向中央よりもやや左側の位置に、スペーサ側位置決め凸部である前方左位置決め突起26A1が設けられ、前方スペーサ本体部21Fの前端位置における幅方向中央よりもやや右側の位置に、前方右位置決め突起26A2が設けられている。
後方スペーサ本体部21Rの後部位置における幅方向中央よりも左側の位置に後方左第1位置決め突起26B1が設けられ、後方スペーサ本体部21Rの後部位置における幅方向中央よりもやや左側の位置に後方左第2位置決め突起26B2が設けられている。また、後方スペーサ本体部21Rの後部位置における幅方向中央よりも右側の位置に後方右第1位置決め突起26B3が設けられ、後方スペーサ本体部21Rの後部位置における幅方向中央よりもやや右側の位置に後方右第2位置決め突起26B4が設けられている。
図5に示すように、スペーサ後壁部24の後方上端の左端位置には、後方左第1位置決め突起26C1が設けられ、スペーサ後壁部24の後方上端の中央左寄位置には、後方左第2位置決め突起26C2が設けられている。また、スペーサ後壁部24の後方上端の右端位置には、後方右第1位置決め突起26C3が設けられ、スペーサ後壁部24の後方上端の中央右寄位置には、後方右第2位置決め突起26C4が設けられている。
図5および図6に示すように、スペーサ左壁部22の前端位置に左前方位置決め突起26D1が設けられ、スペーサ左壁部22の後端位置に左後方位置決め突起26D2が設けられている。また、スペーサ右壁部23の前端位置に右前方位置決め突起26E1が設けられ、スペーサ右壁部23の後端位置に右後方位置決め突起26E2が設けられている。
スペーサ20は、スペアタイヤ収納部10の凹部12に嵌合する際、上記の位置決め部がスペアタイヤ収納部10の凹部12における所定の位置に当接して位置決めが行われる。例えば図7に示すように、左前方位置決め突起26D1および左後方位置決め突起26D2が凹部12の左側方における左側壁部14に当接し、右前方位置決め突起26E1および右後方位置決め突起26E2が凹部12の右側方における右側壁部15に当接する。また、後方左第1位置決め突起26B1および後方右第2位置決め突起26B4が、凹部12に形成された車両側位置決め凹部12B1,12B4にそれぞれ当接する。
また、図3に示すように、スペーサ本体部21における前方スペーサ本体部21Fには、後方に行くにしたがって下降する傾斜が付されている。このため、スペーサ本体部21に形成された前方左位置決め突起26A1および前方右位置決め突起26A2と、これに対応して前方凹部12Fに形成された車両側位置決め凹部が当接することにより、スペーサ20は、後方への反力を凹部12から受ける。また、後方左第1位置決め突起26C1、後方左第2位置決め突起26C2、後方右第1位置決め突起26C3、および後方右第2位置決め突起26C4は、凹部12の後方におけるリヤシェルフ3に当接して前方に向けた反力をリヤシェルフ3から受ける。このため、スペーサ20は、凹部12から受ける後方への反力とリヤシェルフ3から受ける前方への反力によって、凹部12に確実に嵌合される。
さらに、図3に示すように、スペーサ本体部21には、裏面側からブラケット30が挿入され、ブラケット30の挿入に関係して、図6に示すように、左段差収容凹部27L、右段差収容凹部27R、左ボルト孔28L、右ボルト孔28Rが形成されている。これらの説明の前に、ブラケット30について説明し、ブラケット30の説明とともに、左段差収容凹部27L、右段差収容凹部27R、左ボルト孔28L、右ボルト孔28Rについて説明する。
図8は、スペーサを裏面から見た凹部支持構造の分解斜視図である。図8に示すように、ブラケット30は、表面がスペアタイヤT(図1)のタイヤ受面となる天板31を備えている。天板31は、天板31を支持する立ち上がり部として、左立ち上がり部32Lおよび右立ち上がり部32Rが接続されている。左立ち上がり部32Lおよび右立ち上がり部32Rは、いずれも板状を成しており、高さ方向に沿って配置されている。立ち上がり部32L,32Rは、天板31を支持している。
左立ち上がり部32Lおよび右立ち上がり部32Rの下端辺には、それぞれ左鍔部33Lおよび右鍔部33Rが接続されている。左鍔部33Lおよび右鍔部33Rは、いずれも板状をなしており、左立ち上がり部32Lおよび右立ち上がり部32Rの下端部から外側方向に広がるように、幅方向に沿って配置されている。左鍔部33Lの左端辺および右鍔部33Rの右端辺には、それぞれ左段差部34Lおよび右段差部34Rが接続されている。左段差部34Lおよび右段差部34Rは、いずれも板状をなしており、幅方向に沿って配置されている。左段差部34Lおよび右段差部34Rは、左鍔部33Lおよび右鍔部33Rよりも高い位置に配置されており、左鍔部33Lおよび右鍔部33Rとは段差をもって形成されている。このため、左段差部34Lおよび右段差部34Rは、図9に示すように、いずれもスペアタイヤ収納部10の凹部12から離間して張り出している。
ブラケット30は金属製であり、天板31、立ち上がり部32L,32R、鍔部33L,33R、および段差部34L,34Rは、一体的に形成されている。また、左段差部34Lおよび右段差部34Rには、固定部材である左スタッドボルト35Lおよび右スタッドボルト35Rがそれぞれ取り付けられている。
スペーサ本体部21に形成された左段差収容凹部27Lは、ブラケット30における左段差部34Lを収容可能とした凹部であり、その凹み部分の形状は、左段差部34Lの突出形状と近似した形状である。同様に、右段差収容凹部27Rは、ブラケット30における右段差部34Rを収容可能とした凹部であり、その凹み部分の形状は、右段差部34Rの突出形状と近似した形状である。
左ボルト孔28Lは、左スタッドボルト35Lをねじ込み可能とされたボルト孔である。このため、左ボルト孔28Lは、下方が開口し上方までは貫通していないボルト孔であり、左スタッドボルト35Lの径に相当する直径を備えている。同様に、右ボルト孔28Rは、右スタッドボルト35Rをねじ込み可能とされており、下方が開口し上方までは貫通していないボルト孔である。また、右ボルト孔28Rは、右スタッドボルト35Rの径に相当する直径を備えている。
さらに、図9に示すように、ブラケット30における左鍔部33Lとスペアタイヤ収納部10における凹部12との間には、雑音防止材60が介在されている。雑音防止材60は、例えば不織布によって形成されている。同様に、ブラケット30における右鍔部33Rとスペアタイヤ収納部10における凹部12との間にも雑音防止材60が介在されている。
また、スペアタイヤ収納部10における平坦部11には、図1に示すように、ホイール取付ブラケット50が設けられている。ホイール取付ブラケット50には、上下方向に沿った雌ねじ部が形成されている。スペアタイヤTがスペアタイヤ収納部10に収納される際には、図10に示すように、締付治具51が用いられる。締付治具51は、ねじ溝が切られた雄ねじ部51Aと板状の締付部51Bとを備えており、雄ねじ部51Aのねじ溝が切られた側の反対側に締付部51Bが固定されている。そして、平坦部11と締付部51Bとでスペアタイヤのホイール部THを挟み込んで雄ねじ部51Aをホイール取付ブラケット50の雌ねじ部にねじ込むことにより、平坦部11と締付部51Bとでスペアタイヤのホイール部THが挟み込まれてスペアタイヤTが固定される。
以上の構成を有する本実施形態に係るスペアタイヤ支持構造1においては、図10に示すように、スペアタイヤ収納部10の凹部12にスペーサ20が嵌合されており、スペーサ20には、ブラケット30が取り付けられている。ここで、ブラケット30の天板31とスペアタイヤ収納部10の平坦部11とが略面一となってスペアタイヤTのタイヤ部TGの受面となっている。このため、ブラケット30によってスペアタイヤTの荷重を受けることができる。さらには、スペアタイヤ収納部10に凹部12などを形成したとしても、凹部が形成されていることによるスペアタイヤTのばたつきを抑制することができる。したがって、スペアタイヤ収納部10を形成することによるフロアパネルの設計の自由度に対する制約を小さくすることができる。
また、図11(A)に示すように、ブラケット30の立ち上がり部32L,32Rの下端部には、外側方向に広がる鍔部33L,33Rが設けられている。鍔部33L,33Rが設けられていることにより、ブラケット30を凹部12に対して立設した状態を確実に維持することができる。ここで、ブラケット30は金属製であることから、スペアタイヤTの荷重を強固に受けることができる。また、ブラケット30およびスペアタイヤ収納部10の凹部12は、ともに金属製であるが、ブラケット30における鍔部33L,33Rとスペアタイヤ収納部10の凹部12との間には雑音防止材60が介在されている。このため、ブラケット30における鍔部33L,33Rとスペアタイヤ収納部10の凹部12とが接触することによる摺れ音の発生を抑制することができる。
また、ブラケット30は、スペーサ20に一体的に取り付けられていることから、ブラケット30をスペアタイヤ収納部10の凹部12に立設する必要はない。このため、ブラケット30の溶接やボルト締結作業を行うことなくスペアタイヤ収納部10の凹部12にブラケット30を取り付けることができる。したがって、スペアタイヤ収納部10を構成するフロアパネルの形状に対する制約を小さくするとともに、作業工程の増大を抑制することができる。
また、ブラケット30における鍔部33L,33Rの外側に形成された段差部34L,34Rには、スタッドボルト35L,35Rが取り付けられており、段差部34L,34Rは、スペアタイヤ収納部10の凹部12から離間して張り出している。このため、ブラケット30におけるタイヤの受面となる天板31の高さを容易に調整することができる。また、スタッドボルト35L,35Rを取り付けるための段差部34L,34Rと凹部12との接触を抑制することができる。したがって、例えば車両の走行中に振動が生じた場合でも、段差部34L,34Rと凹部12との接触による騒音の発生などを抑制することができる。
さらに、スタッドボルト35L,35Rは、スペーサ20に形成されたボルト孔28L,28Rに挿入可能とされている。このため、スペーサ20に対してブラケット30を容易に取り付けることができる。また、スペーサ20には、左段差収容凹部27L、右段差収容凹部27Rが形成され、それぞれ左段差部34L,右段差部34Rを収容している。このため、段差部34L,34Rを有するブラケット30をスペーサ20に確実に取り付けることができる。
また、スペーサ20は、スペアタイヤ収納部10に配置される際に、スペアタイヤ収納部10に嵌合されている。このため、スペーサ20の取付を容易に行うことができるとともに、スペアタイヤ収納部10に取り付けたスペーサ20のがたつきなどを抑制することができる。ここで、スペーサ20には、複数の位置決め突起26A1,26A2・・・が設けられ、スペアタイヤ収納部10には、位置決め突起26A1,26A2・・・に対応する複数の車両側位置決め凹部が形成された位置決め構造が形成されている。このため、スペアタイヤ収納部10に対してスペーサ20を容易かつ確実に嵌合させることができる。さらには、スペーサ20とスペアタイヤ収納部10の凹部12と接触面積を小さくできるので、スペーサ20とスペアタイヤ収納部10の凹部12との間の摩擦を少なくすることができるとともに、摺れ音を低減することができる。なお、スペーサ20とスペアタイヤ収納部10の凹部12との間に雑音防止材としての不織布などを介在させてもよい。スペーサ20とスペアタイヤ収納部10の凹部12との間に雑音防止材を介在させることで、摺れ音を減少させることができる。
また、図11(B)に示すように、凹部12の裏側面には、けん引フック7が取り付けられている。けん引フック7が凹部12の下方に取り付けられることにより、スペアタイヤ収納部10の平坦部11が地上から高い位置に配置されるとしても、けん引フック7を低い位置に配置することができる。このため、スペアタイヤ収納部10の設置高さによらず、けん引フック7を地上から適切な高さ位置に設けることができる。
また、けん引フック7は、クロスメンバ4の中央から後方に延びる後面衝突対応フレーム6の端部に固定されている。ここで、スペーサ20は、凹部12に嵌合しており、後面衝突対応フレーム6には関与していない。このため、後突時に後面衝突対応フレーム6の折れ点Xで折れ曲がって衝撃吸収できるとともに、スペーサ20による後面衝突対応フレーム6の折れ曲がりの阻害を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、スペーサ20における位置決め用突起は、スペーサ20の前後左右の全面に設けられているが、その一部の面に設けられるようにしてもよい。また、スペアタイヤ収納部10における凹部12は、スペアタイヤ収納部10の後部に形成されているが、その他の位置、例えばスペアタイヤ収納部10の前部や前後方向中央部に形成されていてもよい。さらに、上記実施形態では、スペーサ20にスペーサ側位置決め凸部として位置決め用突起を設け、凹部12に車両側位置決め凹部を形成しているが、スペーサ20にスペーサ側位置決め凹部を形成し、凹部に車両側位置決め凸部を形成してもよい。また、ブラケット30は金属製であるが、樹脂製などとしてもよく、スペーサ20は樹脂製であるが、金属製であってもよい。また、タイヤ当て面の剛性を向上させる場合には、立ち上がり部32L,32Rの間に、図12に仮想線で示すように、補強板(バルクヘッド)32Cを架設してもよい。
1…スペアタイヤ支持構造
3…リヤシェルフ
4…クロスメンバ
6…後面衝突対応フレーム
7…けん引フック
10…スペアタイヤ収納部
11…平坦部
12…凹部
13…前側壁部
14…左側壁部
15…右側壁部
20…スペーサ
21…スペーサ本体部
22…スペーサ左壁部
23…スペーサ右壁部
24…スペーサ後壁部
25…開口部
30…ブラケット
31…天板
26A1…前方左位置決め突起
26A2…前方右位置決め突起
27L,R…段差収容凹部
28L,R…ボルト孔
31…天板
32L,R…立ち上がり部
33L,R…鍔部
34L,R…段差部
35L,R…スタッドボルト
60…雑音防止材
50…ホイール取付ブラケット
T…スペアタイヤ
TH…ホイール部
TG…タイヤ部

Claims (7)

  1. 車両の後部に設けられた平坦部および凹部を備え、タイヤ部およびホイール部を備えるスペアタイヤを支持するスペアタイヤ支持構造であって、
    前記凹部に配置される前記スペアタイヤを支持するブラケットが前記凹部に設けられ、前記ブラケットと前記平坦部によって前記スペアタイヤのタイヤ部が支持されており、
    前記ブラケットは、前記凹部に嵌合するスペーサに取り付けられていることを特徴とするスペアタイヤ支持構造。
  2. 前記凹部および前記スペーサは、前記凹部に対して前記スペーサを位置決めするための位置決め構造を備える請求項1に記載のスペアタイヤ支持構造。
  3. 前記凹部は、前位置決め面、後位置決め面、左右位置決め面、および下位置決め面を備え、前位置決め面、後位置決め面、左右位置決め面、および下位置決め面の少なくとも1つの面に、複数の車両側位置決め凹部または車両側位置決め凸部が形成されており、
    前記スペーサには、前記車両側位置決め凹部または車両側位置決め凸部に対応するスペーサ側位置決め凸部またはスペーサ側位置決め凹部が形成されている請求項2に記載のスペアタイヤ支持構造。
  4. 前記ブラケットは、前記スペアタイヤに対するタイヤ受面と、前記タイヤ受面を支持する立ち上がり部と、
    前記立ち上がり部の下端部から外側方向に広がる鍔部と、を備えており、
    前記スペーサにおける前記スペアタイヤに当接する面に開口部が形成され、
    前記ブラケットは前記開口部から露出して前記スペアタイヤを支持しており、
    前記ブラケットにおける前記鍔部と前記凹部との間に雑音防止材が介在されている請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のスペアタイヤ支持構造。
  5. 前記ブラケットは、前記スペアタイヤに対するタイヤ受面と、前記タイヤ受面を支持する立ち上がり部と、
    前記立ち上がり部の下端部から外側方向に広がる鍔部と、前記鍔部の外側方向に設けられ、前記凹部から離間して張り出す段差部と、を備えており、
    前記段差部に、前記ブラケットを前記スペーサに固定する固定部材が設けられている請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のスペアタイヤ支持構造。
  6. 前記凹部の裏側面にけん引フックが取り付けられている請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のスペアタイヤ支持構造。
  7. 前記凹部の左右側壁に沿って、かつ前記車両の前後方向に延びるように設けられる左右一対のサイドフレームの間にクロスメンバが架け渡され、
    前記クロスメンバの所定位置から後方に延びる後面衝突対応フレームが設けられており、
    前記けん引フックは、前記後面衝突対応フレームの後端部に固定されている請求項6に記載のスペアタイヤ支持構造。
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