JP2017087502A - 耐候性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性フィルムにおいて、基板フィルムに含まれるオリゴマーや添加物は、焼成時や耐候試験時に基板フィルムと基板フィルムに接する層との界面にブリードアウトし、密着力の低下を引き起こす課題に対し、密着性が良く、高品質な再生ポリエステルフィルムを用いた耐候性フィルムを提供する。
【解決手段】ウェブ状の基板フィルム10の少なくとも一方の面に表面樹脂層4、4a、4bを備える耐候性フィルム20、30であって、基板フィルム10は再生ポリエステルフィルム1を中央の層とし、再生ポリエステルフィルム1の両側の面に非再生ポリエステルフィルム2、3を備える3層構成からなり、基板フィルム10に含まれるオリゴマー及び添加物5が基板フィルム10と表面樹脂層4、4a、4bとの界面にブリードアウトしている量が、PCT(プレッシャクッカ試験)前後において所定の関係にある耐候性フィルム20、30。
【選択図】図1
【解決手段】ウェブ状の基板フィルム10の少なくとも一方の面に表面樹脂層4、4a、4bを備える耐候性フィルム20、30であって、基板フィルム10は再生ポリエステルフィルム1を中央の層とし、再生ポリエステルフィルム1の両側の面に非再生ポリエステルフィルム2、3を備える3層構成からなり、基板フィルム10に含まれるオリゴマー及び添加物5が基板フィルム10と表面樹脂層4、4a、4bとの界面にブリードアウトしている量が、PCT(プレッシャクッカ試験)前後において所定の関係にある耐候性フィルム20、30。
【選択図】図1
Description
本発明は、建装材用フィルム、太陽電池用バックシート等として、主として変退色防止の目的で用いられる耐候性フィルムに関するものである。
耐候性フィルムの基板フィルムとしては、一般にポリエステルフィルムが使われ、具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルムなどが挙げられる。
耐候性向上対策として、例えばアクリル樹脂、フッ素樹脂等の高耐候性樹脂からなる表面樹脂層をポリエステルフィルムの表面に形成した耐候性フィルムが知られている(特許文献1、2)。
近年環境を考慮し、加工済みのポリエステル製品を破断して再生ペレットを作製し、これを用いたリサイクルのポリエステルフィルムや成型品が一般的に使用されるようになってきた。しかしながら、このようなリサイクルのポリエステル材料(以下、再生ポリエステルと記載)は、オリゴマーや紫外線吸収剤、光安定剤等の添加物が増えてしまうことになる(特許文献3)。
オリゴマーや添加物は、ポリエステルフィルム上に表面樹脂層の積層を行う際に、密着性の低下を起こす原因となる。特に、フッ素樹脂のように、塗布後に高温での熱処理(焼成)が必要となる場合、オリゴマーや添加物がフィルムと表面樹脂層との界面にブリードアウト(析出)し、層間に介在することにより密着力の低下を生じることが分かった。
本発明は、密着性が良く、高品質な再生ポリエステルフィルムを用いた耐候性フィルムを提供することを課題とする。
本発明は、密着性が良く、高品質な再生ポリエステルフィルムを用いた耐候性フィルムを提供することを課題とする。
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、ウェブ状の基板フィルムの少なくとも一方の面に表面樹脂層を備える耐候性フィルムであって、前記基板フィルムは、再生ポリエステルフィルムを中央層とし、前記再生ポリエステルフィルムの両側の面に非再生ポリエステルフィルムを備える3層構成からなることを特徴とする耐候性フィルムとしたものである。
請求項2に記載の本発明は、前記3層構成からなる基板フィルムに含まれるオリゴマー及び添加物が、前記基板フィルムと前記表面樹脂層との界面にPCT(プレッシャクッカ試験)前にブリードアウトしている量をA、PCT後にリードアウトしている量をBとするとき、下記(数式1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の耐候性フィルムとしたものである。
(B−A)/A≦29 ・・・(数式1)
ここで、A、Bは単位面積当たりの重量とする。
(B−A)/A≦29 ・・・(数式1)
ここで、A、Bは単位面積当たりの重量とする。
請求項3に記載の本発明は、前記3層構成からなる基板フィルムの酸価は、3層合わせた測定で35以下であることを特徴とする請求項1、または2に記載の耐候性フィルムとしたものである。
請求項4に記載の本発明は、前記3層構成からなる基板フィルムを200℃で1分加熱した際の幅方向の熱収縮率が3.4%未満であるか、もしくは幅方向の熱収縮率よりも長手方向の熱収縮率が大きいこと、の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性フィルムとしたものである。
請求項5に記載の本発明は、前記3層構成からなる基板フィルムを構成するポリエステルが、いずれもポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性フィルムとしたものである。
本発明の耐候性フィルムは、以下のような優れた効果を備えたものである。
1)基板フィルムとして、再生ポリエステルフィルムを使用した再生基板フィルムを用いつつも、焼成時や耐候試験時にブリードアウトするオリゴマーや添加物の量が少ないため、良好な密着性と耐候性を保つとともに環境、コスト的に有利となる。
2)3層構成からなる再生基板フィルムの酸価を、3層合わせた測定で35以下とすることにより、耐加水分解性が良く、クラックなどの脆化現象を抑えることができる。
3)3層構成からなる再生基板フィルムの幅方向(TD)熱収縮率を3.4%未満とし、かつ幅方向(TD)熱収縮率よりも長手方向(MD)熱収縮率を大きくすることにより、表面樹脂層を焼成する際、MD方向シワが発生する現象や、塗工抜けが発生する現象を抑えることができる。
1)基板フィルムとして、再生ポリエステルフィルムを使用した再生基板フィルムを用いつつも、焼成時や耐候試験時にブリードアウトするオリゴマーや添加物の量が少ないため、良好な密着性と耐候性を保つとともに環境、コスト的に有利となる。
2)3層構成からなる再生基板フィルムの酸価を、3層合わせた測定で35以下とすることにより、耐加水分解性が良く、クラックなどの脆化現象を抑えることができる。
3)3層構成からなる再生基板フィルムの幅方向(TD)熱収縮率を3.4%未満とし、かつ幅方向(TD)熱収縮率よりも長手方向(MD)熱収縮率を大きくすることにより、表面樹脂層を焼成する際、MD方向シワが発生する現象や、塗工抜けが発生する現象を抑えることができる。
図1(a)、(b)は、本発明の耐候性フィルムの実施形態例を示す断面模式図である。図1(a)、(b)いずれも、基板フィルムは、再生ポリエステルフィルム1と、その両側の面に積層された新規(非再生)ポリエステルフィルム2、3からなる3層構成となっている(以後、1、2、3を併せて再生基板フィルム10と記載する)。前記再生基板フィルム10は、例えば再生チップを使った中央の再生層と、(オリゴマーや添加物が少ない)両側の面の新規層を共押出しした後に二軸延伸して作製される。
図1(a)は、再生基板フィルム10の片面に、耐候性処方が施された表面樹脂層4からなる塗膜が形成されている。図1(b)は、再生基板フィルム10の両側の面に、耐候性処方が施された表面樹脂層4a、4bからなる塗膜が形成されている。
上記のように、耐候性処方が施された表面樹脂層は、再生基板フィルム10の片面のみ
に設けても良いし、両側の面に設けても良い。フィルムの劣化の原因となる光・熱・水などの作用を片面のみから受ける用途であれば、一般的には、当該面のみに設ければ十分な効果がある。しかし、光、熱又は水の作用を両側の面から受ける可能性がある場合には、両側の面に設けることが望ましい。表面樹脂層としては、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCDF(ポリフッ化ビリニデン)等のフッ素樹脂が耐候性に優れるため、好適に用いることができる。
に設けても良いし、両側の面に設けても良い。フィルムの劣化の原因となる光・熱・水などの作用を片面のみから受ける用途であれば、一般的には、当該面のみに設ければ十分な効果がある。しかし、光、熱又は水の作用を両側の面から受ける可能性がある場合には、両側の面に設けることが望ましい。表面樹脂層としては、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCDF(ポリフッ化ビリニデン)等のフッ素樹脂が耐候性に優れるため、好適に用いることができる。
尚、図1(a)、(b)における表面樹脂層層はいずれも単層膜の場合を図示しているが、それぞれが複数の層からなる積層膜となっている場合もある。
図1(a)、(b)における符号5は、再生基板フィルム10と表面樹脂層4、4a、4bとの界面にブリードアウトしたオリゴマー及び添加物を表現している。図2は、表面樹脂層の焼成時や耐候性フィルムの試験時にオリゴマーや添加物がブリードアウトする様子を表す模式図である。
本発明の耐候性フィルム20、30では、3層構成からなる基板フィルムに含まれるオリゴマー及び添加物が、3層構成からなる基板フィルムと表面樹脂層との界面にPCT(プレッシャクッカ試験)前にブリードアウトしている量をA、PCT試験後にリードアウトしている量をBとするとき、下記(数式1)を満たすことが望ましい。
(B−A)/A≦29 ・・・(数式1)
ここで、A、Bは単位面積当たりの重量とする。
上記(数式1)を満たすとき、実用上密着力が低下し問題となることがなくなる。
(B−A)/A≦29 ・・・(数式1)
ここで、A、Bは単位面積当たりの重量とする。
上記(数式1)を満たすとき、実用上密着力が低下し問題となることがなくなる。
PCT(プレッシャクッカ試験)は、100℃以上の温湿度環境で行う耐湿性試験であり、IEC(International Electrotechnical Commission)−68−2−66で規格化されており、電気・電子機器、部品などの環境試験方法の一つとして実施されている。IEC−68−2−66による試験条件は数種あるが、本発明において適用する試験条件は、
温度:105℃、相対湿度:100%rh、さらし時間:96時間
とする。
温度:105℃、相対湿度:100%rh、さらし時間:96時間
とする。
本発明の耐候性フィルムでは、再生ポリエステルフィルムと、その両側の面に積層された新規ポリエステルフィルムの3層構成からなる再生基板フィルムの酸価は、3層合わせた測定で35以下であることが好ましい。これにより、耐加水分解性が低すぎてクラックが出る、などの脆化現象を抑えることができる。前記のように酸価を低く抑えた再生基板フィルムは、ペレット樹脂の分子量を大きくしたり、熱固定(ヒートセット)温度を低くして作製したポリエステルフィルムを使用することによって得ることができる。
本発明の耐候性フィルムで使用する再生ポリエステルフィルム、及び新規ポリエステルフィルムの材料にはとくに規定はない。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが最も一般的であるが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)や、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート(PET−G)等の共重合ポリエステルのフィルムなどでもよい。
中でも、PETフィルムを用いることが好ましい。PETシートはその供給上の観点から低コストであり、かつ加工時の熱、溶剤、折り曲げ等の負荷に対する耐性が高く、透明性が高い。また、バリア性や電気絶縁性が優れているため、屋外用途で使用する上で好ましい。なおバリア性や電気絶縁性を保つ為には、PETシートの厚みは3層全体で100μm以上であることが好ましい。また、操作性やコストの面からは3層全体で1000μm以下であることが好ましい。透明性を必要とする熱線遮蔽シートやディスプレイの前面保護シートなどの用途では3層全体で300μm以下であることが望ましい。
図3に本発明の一実施形態である図1(a)の耐候性フィルム20において、再生基板フィルム10の表面に表面樹脂層4を形成する製造装置の一例を示す。図3の製造装置にあっては、ロール・ツー・ロール方式により製造される。再生基板フィルムを巻出し部21から巻取り部25まで複数のガイドロール22を介して長手方向(走行方向)MDに従って連続走行させ、走行する再生基板フィルムを塗布ユニット23及び加熱乾燥ユニット24を通過させることにより、再生基板フィルム上に表面樹脂層となる塗液を塗布し塗膜を形成し、該塗膜を加熱乾燥させ、必要に応じて表面処理ユニット27にて表面処理し、表面樹脂層が形成される。また必要に応じて、塗布ユニット前23前には表面処理ユニット26が設けられ、再生基板フィルムに表面処理がなされる。
図3のような製造装置で製造する耐候性フィルムにあっては、塗液の塗布方法としては公知の方法を用いることができる。図3で示した塗布ユニット23は、グラビアコーターであり、インキパン234中に塗液233が充填され、グラビアロール231、バッキングロール232の間を再生基板フィルムが通過する。
塗布ユニットを通過することにより再生基板フィルム上に表面樹脂層を含む塗膜が形成された後、加熱乾燥ユニットであるオーブン24を通過することにより加熱乾燥され、表面樹脂層が形成される。塗膜を加熱乾燥することにより、塗膜中の溶媒が除去され、表面樹脂層を面内に均一に成膜することができる。オーブンとしては、公知のものを用いればよい。
図4に本発明の耐候性フィルムで使用する再生基板フィルムの長手方向及び幅方向を説明するための説明図を示す。本発明にあっては、ウェブ状の再生基板フィルムが巻き取りロールになっているものを想定しており、再生基板フィルムの走行方向(MD)を長手方向としている。一方、長手方向MDに対し垂直方向(TD)を幅方向としている。尚、MDとはMachine Directionの略語であり、TDはTransverse
Directionの略語である。
Directionの略語である。
本発明の耐候性フィルムでは、再生基板フィルムを200℃で1分加熱した際の幅方向(TD)の熱収縮率が3.4%未満であるか、もしくは幅方向の熱収縮率よりも長手方向(MD)の熱収縮率が大きいこと、の少なくともいずれかであることが好ましい。これにより、再生基板フィルムの片面(第1面)に表面樹脂層を焼成する際、オーブン内で乾燥中に熱収縮によりMD方向シワが発生する現象や、もう一方の第2面に表面樹脂層を形成する際に前記MD方向シワが原因となり塗工抜けが発生する現象を抑えることができる。さらに、前記加熱条件で幅方向熱収縮率が3.4%未満であることと、幅方向熱収縮率よりも長手方向熱収縮率が大きいことを同時に満たせば、塗工抜けが発生する現象をより確実に抑えることができ、好ましい。
<実施例1>
再生ペレットを使った再生PETフィルムの層と、その両側の面の新規(非再生)PETフィルムの層を共押出した後に二軸延伸して、3層構成の再生基板フィルムを4種作製した。4種の再生基板フィルムは、再生PETフィルムの比率と3層全体の膜厚がそれぞれ2種類ずつ異なるものとした。4種の再生基板フィルムの片面に、図3に示す製造装置によって、同じ条件でPVFからなる表面樹脂層を塗布、焼成して形成し、4種の耐候性フィルムを作製した。
再生ペレットを使った再生PETフィルムの層と、その両側の面の新規(非再生)PETフィルムの層を共押出した後に二軸延伸して、3層構成の再生基板フィルムを4種作製した。4種の再生基板フィルムは、再生PETフィルムの比率と3層全体の膜厚がそれぞれ2種類ずつ異なるものとした。4種の再生基板フィルムの片面に、図3に示す製造装置によって、同じ条件でPVFからなる表面樹脂層を塗布、焼成して形成し、4種の耐候性フィルムを作製した。
前記4種の耐候性フィルムについてPCT(105℃、相対湿度:100%rh、96
時間)を実施した後、密着力評価のために剥離試験を行った。試験方法は、粘着テープ(ニチバン製、セロテープ(登録商標)No.405)を表面樹脂層形成面に粘着させ、剥離速度50mm/minの180度剥離試験とした。剥離強度を25m幅に換算し、3層全体の膜厚が厚いフィルム1、フィルム2については5N/25mm以上で剥離したものを○、5N/25mm未満で剥離したものを×、3層全体の膜厚が薄いフィルム3、フィルム4については11N/25mm以上で剥離したものを○、11N/25mm未満で剥離したものを×と判定した。
時間)を実施した後、密着力評価のために剥離試験を行った。試験方法は、粘着テープ(ニチバン製、セロテープ(登録商標)No.405)を表面樹脂層形成面に粘着させ、剥離速度50mm/minの180度剥離試験とした。剥離強度を25m幅に換算し、3層全体の膜厚が厚いフィルム1、フィルム2については5N/25mm以上で剥離したものを○、5N/25mm未満で剥離したものを×、3層全体の膜厚が薄いフィルム3、フィルム4については11N/25mm以上で剥離したものを○、11N/25mm未満で剥離したものを×と判定した。
次に4種のフィルムから試料を切り出し、PCT前後について、再生基板フィルムと表面樹脂層の界面にブリードアウトしているオリゴマー及び添加物の量を測定した。測定方法としては、各試料を所定の溶剤で溶出、乾燥した後、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)により定量化した。さらに、PCTによって増加したブリードアウトの割合を計算した。
以上の密着力とブリードアウト量の結果を表1に示す。
以上の密着力とブリードアウト量の結果を表1に示す。
表1より、表面樹脂層の剥離の有無とPCTによって増加したブリードアウトの割合は相関があり、PCTによって増加するブリードアウト量が、初期のブリードアウト量の29倍以下であれば密着性がよく、表面樹脂層が剥離しないことが分った。
<実施例2>
ポリエステルフィルムの酸価と膜特性の関係を調べるため、3層平均した分子量(平均分子量)の異なる再生基板フィルムを2種用意し、それぞれの3層合わせた酸価を測定した。装置としてはブロックヒーターと自動滴定装置を用い、測定方法は以下のとおりである。カットしたポリエチレンテレフタレートフィルムを5.0g秤量し、クレゾール100mL中に加えて十分に加熱し、遊離成分を溶解させた。冷却後の溶液を、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、中和に要した水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を定量し、酸価を算出した(JIS K 0070参照)。指示薬として、フェノールフタレイン溶液を用いた。
ポリエステルフィルムの酸価と膜特性の関係を調べるため、3層平均した分子量(平均分子量)の異なる再生基板フィルムを2種用意し、それぞれの3層合わせた酸価を測定した。装置としてはブロックヒーターと自動滴定装置を用い、測定方法は以下のとおりである。カットしたポリエチレンテレフタレートフィルムを5.0g秤量し、クレゾール100mL中に加えて十分に加熱し、遊離成分を溶解させた。冷却後の溶液を、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、中和に要した水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を定量し、酸価を算出した(JIS K 0070参照)。指示薬として、フェノールフタレイン溶液を用いた。
表2に酸価測定の結果を示す。測定は2フィルムについて2回ずつ行い、平均値を求めた。表2中の平均分子量の大小は、2フィルムの相対的な比較である。表2に示すように、2フィルムの酸価には大きな差があるが、酸価の大きいフィルムBは、結露凍結試験後のメカニカルロード(機械荷重)試験においてクラックが発生した。これはフィルムBが加水分解により脆化したためと考えられる。これに対し、酸価の小さいフィルムAは、同じ試験においてクラックの発生は見られなかった。
<実施例3>
既述のように、基板フィルムによっては、基板フィルムの片面(第1面)に表面樹脂層を焼成する際にオーブン内で乾燥中にMD方向シワが発生し、もう一方の第2面に表面樹脂層を形成する際に、前記MD方向シワが原因となり、塗工抜けが発生する。そこで、熱収縮率と塗工抜け発生数との関係を調べた。尚、長手方向MD、及び幅方向TDの熱収縮率は、JIS K7133(1999)に準ずる方法で求めることができる。
既述のように、基板フィルムによっては、基板フィルムの片面(第1面)に表面樹脂層を焼成する際にオーブン内で乾燥中にMD方向シワが発生し、もう一方の第2面に表面樹脂層を形成する際に、前記MD方向シワが原因となり、塗工抜けが発生する。そこで、熱収縮率と塗工抜け発生数との関係を調べた。尚、長手方向MD、及び幅方向TDの熱収縮率は、JIS K7133(1999)に準ずる方法で求めることができる。
本例では、図5に示すように、MD方向に平行に3層構成からなる再生基板フィルムを4分割して1行目〜4行目の領域とし、各々の領域から切片を切り出し、張力のかからない状態で200℃、1分加熱した際の長手方向MD、及び幅方向TDの熱収縮率を測定した。
前記熱収縮率の測定を行ったフィルムと同じ条件で作製した再生基板フィルムを用い、実施例1と同じ製造装置(図3)によって、片面(第1面)にPVFからなる表面樹脂層を塗布、焼成して形成し、さらにもう一方の第2面に同様に表面樹脂層を形成して塗工抜けの発生数を調べた。
図6〜図8に熱収縮率と塗工抜け発生数との相関関係を示す。図6、図7の散布図を見ると、端行である1行目及び4行目においてMD方向とTD方向の収縮率がともに高い傾向が見られた。1行目についてはTD収縮率が3.4%以上で塗工抜けが発生し始め、TD収縮率と塗工抜け発生数とが相関することが確認できた。しかし、4行目についてはTD収縮率が3.4%以上であっても、塗工抜けはほとんど発生しなかった。
次にTD収縮率/MD収縮率の値と塗工抜けとの関係を示した図8を見ると、塗工抜け発生数が多い1行目はTD収縮率がMD収縮率よりも高い傾向が見られた。一方で、2〜4行目はTD収縮率がMD収縮率よりも低い傾向が見られた。
以上より塗工抜けの現象は、TD収縮率が3.4%以上である場合と、TD収縮率がMD収縮率よりも高い場合に発生しやすいことが分った。これらの条件のときに、TD方向への大きな縮みに伴いMDシワが発生し、これが第2面の塗工時に塗工抜けを発生させた原因と考えられる。
従って、塗工抜けを発生させないためには、200℃で1分加熱した際のTD収縮率を3.4%未満とするか、もしくはTD収縮率よりもMD収縮率が大きいようにすればよく、これらの条件を同時に満たせばより好ましいことが分った。
本発明は、建装材用フィルム、外装看板の表面保護用フィルム、鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色、劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、液晶ディスプレイ反射用シート、太陽電池用バックシート等として利用することができる。
1・・・・・再生ポリエステルフィルム
2、3・・・ポリエステルフィルム
4、4a、4b・・・表面樹脂層
5・・・・・ブリードアウトしたオリゴマーや添加物
5a、5b・・・・・オリゴマーや添加物
10・・・・再生基板フィルム
20、30・・・耐候性フィルム
21・・・巻出し部
22・・・ガイドロール
23・・・塗布ユニット
231・・・グラビアロール
232・・・バッキングロール
233・・・塗液
234・・・インキパン
24・・・加熱乾燥ユニット(オーブン)
25・・・巻取り部
26・・・表面処理ユニット
27・・・表面処理ユニット
2、3・・・ポリエステルフィルム
4、4a、4b・・・表面樹脂層
5・・・・・ブリードアウトしたオリゴマーや添加物
5a、5b・・・・・オリゴマーや添加物
10・・・・再生基板フィルム
20、30・・・耐候性フィルム
21・・・巻出し部
22・・・ガイドロール
23・・・塗布ユニット
231・・・グラビアロール
232・・・バッキングロール
233・・・塗液
234・・・インキパン
24・・・加熱乾燥ユニット(オーブン)
25・・・巻取り部
26・・・表面処理ユニット
27・・・表面処理ユニット
Claims (5)
- ウェブ状の基板フィルムの少なくとも一方の面に表面樹脂層を備える耐候性フィルムであって、
前記基板フィルムは、再生ポリエステルフィルムを中央の層とし、前記再生ポリエステルフィルムの両側の面に非再生ポリエステルフィルムを備える3層構成からなることを特徴とする耐候性フィルム。 - 前記3層構成からなる基板フィルムに含まれるオリゴマー及び添加物が、前記基板フィルムと前記表面樹脂層との界面にPCT(プレッシャクッカ試験)前にブリードアウトしている量をA、PCT後にリードアウトしている量をBとするとき、下記(数式1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の耐候性フィルム。
(B−A)/A≦29 ・・・(数式1)
ここで、A、Bは単位面積当たりの重量とする。 - 前記3層構成からなる基板フィルムの酸価は、3層合わせた測定で35以下であることを特徴とする請求項1、または2に記載の耐候性フィルム。
- 前記3層構成からなる基板フィルムを200℃で1分加熱した際の幅方向の熱収縮率が3.4%未満であるか、もしくは幅方向の熱収縮率よりも長手方向の熱収縮率が大きいこと、の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性フィルム。
- 前記3層構成からなる基板フィルムを構成するポリエステルが、いずれもポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性フィルム。
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---|---|---|---|---|
CN109181243A (zh) * | 2018-08-24 | 2019-01-11 | 杭州福禧新材料有限公司 | 一种太阳能电池背板废膜及其边角料再利用的方法 |
KR101991223B1 (ko) * | 2019-02-25 | 2019-06-20 | 주식회사 실론 | 재생 폴리에스테르 필름을 이용한 심실링 테이프 및 이를 이용한 아웃도어용 의류 |
CN110466228A (zh) * | 2019-08-20 | 2019-11-19 | 浙江和顺新材料有限公司 | 一种轻质抗收缩双向拉伸聚酯薄膜 |
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