JP2017087485A - 繊維補強セメント材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を有するとともに、十分な強度を有する硬化物を形成可能な繊維補強セメント材料を容易に製造できる繊維補強セメント材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも結合材と骨材と水と混和剤とを練り混ぜ、セメントマトリクスを得る第1工程と、上記セメントマトリクスに繊維を加えて練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得る第2工程と、上記ベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料を外割で加えて練り混ぜ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が130〜230mmである繊維補強セメント材料を得る第3工程と、を有する繊維補強セメント材料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維補強セメント材料の製造方法に関し、特に、勾配のある部位への打ち込みに適した繊維補強セメント材料の製造方法に関する。
超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)を代表とした繊維補強セメント材料(高靱性セメント系複合材料)は、モルタル又はセメントペーストに繊維を混入した形態をとっている。これらの繊維補強セメント材料は、硬化体としての優れた性能(靱性)を有していると同時に、高い流動性(自己充填性、セルフレベリング性)によって薄肉で複雑な形状の型枠にも流し込むことができる特長を有している。
このような繊維補強セメント材料は、通常、セメント、骨材、水等を予め練り混ぜた後に繊維を添加し、更に練り混ぜることで製造されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−32129号公報
流動性の高い繊維補強セメント材料を型枠に流し込む場合、勾配を有する部位では、先流れによって勾配に沿った出来形を確保することが困難である。その場合、勾配のある部位を打込み天端に設けないように型枠を反転させたり、蓋枠を設けたり、櫛枠などによって打込み範囲を細かく区切ったり、あるいはセルフレベリング性が無くなるまで(流動性が低下するまで)待つといった方法が用いられている。これらの手法は、主にプレキャストコンクリート工場での製造時に取り入れられている。
しかし、例えば、現場などにおいて勾配を有する広範囲な面積に繊維補強セメント材料を打ち込む場合では、上述した手法を採用することは容易でない。勾配のある部位に打ち込む際の先流れを抑制するためには、繊維補強セメント材料の流動性を低下させることが考えられる。ここで、繊維補強セメント材料の製造手順は、高い性能を発揮させるために、上述したように、セメント、骨材、水等を含むセメントマトリクスを先行して製造(練り切り)してから、繊維を混入することが一般的である。このとき、得られる繊維補強セメント材料の流動性を低下させるために、セメントマトリクスの流動性を抑えることが考えられるが、その場合、セメントマトリクスが十分に練り切れておらず(セメントが分散しきれず)、強度発現が不十分となったり、繊維投入時にミキサに過大な負荷が生じたり、繊維が均一に分散せず、強度発現が不十分となったり、といった性能上及び製造上の問題が生じることとなる。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を有するとともに、十分な強度を有する硬化物を形成可能な繊維補強セメント材料を容易に製造できる繊維補強セメント材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも結合材と骨材と水と混和剤とを練り混ぜ、セメントマトリクスを得る第1工程と、上記セメントマトリクスに繊維を加えて練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得る第2工程と、上記ベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料を外割で加えて練り混ぜ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が130〜230mmである繊維補強セメント材料を得る第3工程と、を有する繊維補強セメント材料の製造方法を提供する。
上記製造方法は、繊維を混入したベースとなる繊維補強セメント材料を練り上げてから流動調整材料を混入することで繊維補強セメント材料の流動性を調整する方法である。この方法によれば、繊維投入時にミキサに過大な負荷を生じることなく、繊維及びセメントマトリクス中の成分を十分に分散させることができるため、十分な強度を有する硬化物を形成可能な繊維補強セメント材料を容易に製造することができる。また、繊維の分散後に流動調整材料を混入して繊維補強セメント材料のモルタルフロー値を130〜230mmに調整することで、流動調整材料投入時のミキサへの負荷を最小限に抑えつつ、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を有する繊維補強セメント材料を得ることができる。なお、繊維の混入と同時に又はそれよりも前に、繊維補強セメント材料のモルタルフロー値が130〜230mmとなるように流動調整材料を混入させた場合、練り混ぜ時、特にミキサの負荷がピークとなる結合材の分散時や繊維投入時にミキサに過大な負荷を生じるとともに、セメントマトリクスの混練不足が生じたり繊維補強セメント材料中の繊維の分散が不十分となり、形成される硬化物の強度低下を招くこととなる。
本発明の製造方法において、上記流動調整材料がバイオポリマー系増粘剤を含み、上記第3工程における上記バイオポリマー系増粘剤の配合量が、繊維補強セメント材料中の水100質量部に対して外割で0.02〜0.2質量部であってもよい。ベースとなる繊維補強セメント材料を得る第2工程にて強度発現に足る混練をしたのち、流動調整材料としてバイオポリマー系増粘剤を上記範囲内の量で配合することにより、流動調整材料投入時のミキサへの負荷を抑えつつ、より優れた施工性を有する繊維補強セメント材を得ることができる。ここで、上記バイオポリマー系増粘剤は、上記効果がより十分に得られることから、デュータンガム及び/又はウェランガムであることが好ましい。例えば、セルロース系増粘剤を流動調整材料に使用した場合、粘性は高くなるものの降伏値が大きくならないために、流動時間が長くなっても、流動性やセルフレベリング性による「先流れ」(指標はモルタルフロー値)の抑制効果は、上述したバイオポリマー系増粘剤と比較すると必ずしも十分に得られない。
本発明の製造方法において、上記流動調整材料が石灰石微粉末を含み、上記第3工程における上記石灰石微粉末の配合量が、上記セメントマトリクス1mあたり外割で150〜220kgであってもよい。流動調整材料として石灰石微粉末を上記範囲内の量で配合することにより、流動調整材料投入時のミキサへの負荷を抑えつつ、より優れた施工性(先流れ抑制効果)を有する繊維補強セメント材を得ることができる。
本発明の製造方法において、上記流動調整材料がポルトランドセメントを含み、上記第3工程における上記ポルトランドセメントの配合量が、上記セメントマトリクス1mあたり外割で100〜250kgであってもよい。流動調整材料としてポルトランドセメントを上記範囲内の量で配合することにより、流動調整材料投入時のミキサへの負荷を抑えつつ、より優れた施工性(先流れ抑制効果)を有する繊維補強セメント材を得ることができる。
本発明の製造方法において、上記第2工程で製造するベースとなる繊維補強セメント材料の、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による0打モルタルフロー値が230〜300mmであることが好ましい。ベースとなる繊維補強セメント材料の0打モルタルフロー値を上記範囲内とすることで、繊維投入時のミキサへの負荷をより低減しつつ、繊維及びセメントマトリクス中の成分を十分に分散させることができ、良好な施工性(先流れ抑制効果)を有しながら、十分な強度を有する硬化物を形成可能な繊維補強セメント材料をより容易に製造することができる。
本発明によれば、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を有するとともに、十分な強度を有する硬化物を形成可能な繊維補強セメント材料を容易に製造できる繊維補強セメント材料の製造方法を提供することができる。
勾配を有する部位に繊維補強セメント材料を打ち込んだ際の先流れの有無を評価する方法を示す模式断面図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本実施形態の繊維補強セメント材料の製造方法は、少なくとも結合材と骨材と水と混和剤とを練り混ぜ、セメントマトリクスを得る第1工程と、上記セメントマトリクスに繊維をセメントマトリクスの体積に対して外割で加えて練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得る第2工程と、上記ベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料をセメントマトリクスの体積に対して外割で加えて練り混ぜ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が130〜230mmである繊維補強セメント材料を得る第3工程と、を有する方法である。まず、繊維補強セメント材料に使用される各成分について説明する。
結合材としては、例えば、セメントと、シリカフューム等の混和材とを少なくとも含む混合物が用いられる。
セメントとしては、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩性、及び白色などの各種ポルトランドセメント、高炉スラグや通常のフライアッシュをポルトランドセメントに混合した混合セメント、エコセメント、超早強セメントや急硬セメントなどが挙げられる。また、これらのセメントの複数を任意量混合したセメントも使用できる。なお、エトリンガイトを生成させるのに適した普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉スラグセメントなどがより好ましい。
混和材としては、シリカフューム、膨張材、石灰石微粉末、高炉スラグ、フライアッシュ等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカフュームとは、金属シリコンやフェロシリコンなどのシリコンアロイを電気炉等で製造する際に副生する球形の超微粒子であり、主成分は非晶質SiOである。シリカフュームの添加量が多いほど、繊維補強セメント材料の硬化物(以下、単に「硬化物」ともいう)の圧縮強度は高くなる傾向にあるが、圧縮強度に対する曲げ強度の比率は無混和の場合よりも低下する場合もある。さらに、シリカフュームは球形の超微粒子であるので、高性能減水剤などと併用すると、繊維補強セメント材料は適度な流動性が得られる傾向がある。
フライアッシュとしては、石炭ガス化フライアッシュ(Coal Gasification Fly Ash、以下「CGFA」と略す場合もある)や分級フライアッシュ(Classified Fly Ash)等が挙げられ、中でもCGFAが好ましい。ここで、CGFAは、ガス化石炭を用いて発電する際の副産物として排出されるものであり、燃焼ガスと一緒にボイラーの煙道から廃棄され、集塵機で回収される最大粒子が5〜10μmの球形の微粒子である。CGFAは、通常の石炭焚きフライアッシュとは粒子径や粒子表面性状が異なると共にSiO含有量も高いという特徴がある。CGFAはシリカフュームと同様に粒径が球状であるので、高性能減水剤と併用すると流動性を高める効果を有するが、ポゾラン活性はシリカフュームより低いので強度増進効果は小さい。
シリカフューム及び/又はフライアッシュを配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して、シリカフューム及びフライアッシュの合計で5〜40質量部であることが好ましく、7〜30質量部であることがより好ましい。この配合量が5質量部以上であると、硬化物の圧縮強度及び曲げ強度に対する強度増進効果が十分に得られる傾向がある。一方、40質量部を超えて添加しても、添加率に応じた強度増進効果が期待できない傾向があるため、性能的及び経済的観点から、40質量部以下であることが好ましい。
また、シリカフューム及びフライアッシュの両方を配合する場合、それらの配合割合(シリカフューム:フライアッシュ)は、質量比で95〜50質量部:5〜50質量部であることが好ましい。上記特定割合で両者を配合することにより、硬化物の曲げ強度を向上させることが可能となる。ここで、フライアッシュの配合割合が5質量部以上であると硬化物の曲げ強度の向上効果が大きく、50質量部以下であると硬化物の圧縮強度を高めることができる。シリカフュームに対するフライアッシュの配合割合は、フライアッシュ量が増えるにつれて繊維補強セメント材料の流動性が高くなり、その硬化物の曲げ強度も高くなる傾向がある。しかし、ピークの値を超えると、フライアッシュ量が増えるにつれて、流動性及び曲げ強度の向上効果が低下する。したがって、シリカフュームとフライアッシュの配合割合には好ましい範囲があり、より好ましい範囲はシリカフューム90〜60質量部、フライアッシュ10〜40質量部である。
膨張材は、繊維補強セメント材料の硬化過程で生じる体積変化を緩和するものである。繊維補強セメント材料に適する膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、及び、生石灰系膨張材などが挙げられる。
膨張材を配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましい。この配合量が10質量部以上であると、過膨張による強度低下やポップアウト、未反応の膨張材の再反応による遅れ膨張による欠陥が生じる恐れがあり、1質量部以下であると、所定の膨張効果又は収縮量補償効果が得られにくい傾向がある。
石灰石微粉末及び高炉スラグとしては、それぞれ公知の材料を特に制限なく使用することができる。石灰石微粉末及び/又は高炉スラグを配合する場合、配合量はそれぞれ、セメント100質量部に対して5〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。この配合量が30質量部以上であると、セメント量が減ることによる強度低下が生じたり、粘性や降伏値が大きくなり所定の施工性(先流れ抑制効果)が得られにくい傾向があり、5質量部以下であると、粘性や降伏値の増進効果が得られにくい傾向がある。
また、結合材には、セメントとは別に石膏を配合してもよい。石膏としては、二水石膏、半水石膏、可溶性無水石膏(III型)、及び不溶性無水石膏(II型)などの各種形態の石膏が使用されるが、より好ましくは無水石膏、半水石膏、及び二水石膏である。石膏は、水和初期には一旦セメント中のカルシウムアルミネートの水和を抑えて流動性を高め、その後、水和反応によって針状結晶のエトリンガイトを生成する。このエトリンガイトは、硬化物中の空隙を充填して密実化を促し、高強度化を可能とする。
石膏を配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して無水物換算で0.5〜8質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。この配合量が0.5質量部以上であると、流動性や強度を高める作用が大きい。一方、8質量部を超えて配合してもそれ以上強度の増進効果が期待できない傾向があるため、性能的及び経済的観点から、8質量部以下であることが好ましい。
結合材の配合量は、繊維補強セメント材料の単位水量を基準とした水結合材比で10〜25質量%であることが好ましく、13〜18質量%であることがより好ましい。結合材の配合量(水結合材比)が上記範囲内である繊維補強セメント材料は、優れた圧縮強度及び優れた曲げ強度を有する硬化物を形成することができる傾向がある。
骨材としては、細骨材を用いることができる。細骨材は、10mmふるいをすべて通過し、5mmふるいを85質量%以上が通過する骨材である。細骨材は、生コン工場で用いられている川砂や砕砂が最も入手し易いので好ましいが、特に限定はされない。より高い強度を得るために高硬度の焼成ボーキサイトや鉄鉱石、石英へん岩、その他の細骨材を使用することには制限は受けないものである。また、より良い繊維分散効果や流動性を得るためには、細骨材としては、例えば5〜6号珪砂を用いたり、2.5mmふるいを85質量%以上通過するように最大骨材寸法を小さくしたりするなどの粒度構成をしたものを用いることが好ましい。
細骨材の配合量は、セメントマトリクスの全体積(100体積%)を基準として5〜45体積%であることが好ましく、15〜35体積%であることがより好ましい。この配合量が35体積%以下であると、繊維の分散性が良好で硬化物の靱性が向上し、曲げ強度が大きくなる傾向がある。また、15体積%以上であると、硬化物の圧縮強度や弾性係数が向上する傾向がある。
また、骨材としては、任意量の粗骨材を併用することも可能である。粗骨材は、5mmふるいに85質量%以上とどまる骨材である。粗骨材の品質も細骨材と同様に特に限定されるものではなく、生コン工場で用いられているものを使用することが可能である。
混和剤としては、減水剤、高性能減水剤、消泡剤、流動化剤、収縮低減剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、繊維補強セメント材料は水結合材比が一般的なコンクリートよりも低いことから、練混ぜ性能や流動性確保の観点から、高性能減水剤が好ましい。なお、繊維補強セメント材料は、前述のとおり水結合材が低く、優れた凍結融解抵抗性を有することから、強度特性に影響を与える空気量はできるだけ少なくした方が好ましい。そのため、混和剤としては、空気連行成分(AE剤)を含んでいない高性能減水剤を用いたり、さらに消泡剤を併用したりすることが望ましい。
高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、および、ポリカルボン酸塩系減水剤などのいずれかを主成分とするものであり、これらの一種又は二種以上が使用されるものである。ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物などがあり、減水率が大きくて空気連行性がなく、凝結遅延性も小さい特徴を有する反面、フローやスランプ保持性が小さいという課題を有する。高性能減水剤の市販品としては、電気化学工業(株)製の商品名「FT−500」とそのシリーズ、花王(株)製の商品名「マイティ3000TH」、「マイティ100(粉末)」や「マイティ150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)製の商品名「セルフロー155」、竹本油脂(株)製の商品名「ポールファインMF」等、(株)フローリック製の商品名「フローリックSF500U」や「フローリック500R」とそのシリーズ、竹本油脂(株)製の商品名「チューポールSSP−104」とそのシリーズ、グレースケミカルズ(株)製の商品名「スーパー1000N」とそのシリーズ、日本シーカ社製の商品名「シーカメント1200N」とそのシリーズ、及びBASFジャパン社製の商品名「マスターグレニウムSP8HU」とそのシリーズなどが代表的である。芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、(株)フローリック製の商品名「フローリックVP200」とそのシリーズがあり、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤には、グレースケミカルズ社製の商品名「ダーレックスFT−3S」、昭和電工建材(株)製の商品名「モルマスターF−10(粉末)」や「モルマスターF−20(粉末)」が挙げられる。
高性能減水剤を用いる場合、それらの種類に関わらず、結合材100質量部に対する配合量は4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。4質量部を超える量を配合しても減水率を更に高めることができない場合が多い。
本実施形態の繊維補強セメント材料を製造する際に、高性能減水剤の配合量は、結合材100質量部に対して、高性能減水剤の合計量で1〜4質量部とすることが好ましく、1〜3質量部とすることがより好ましい。但し、この場合の高性能減水剤は、固形分濃度に関係なく液体状態で市販されている減水剤を示す。粉末の状態で市販されている高性能減水剤を使用する場合は1〜4質量部(又は1〜3質量部)の中には含めない。この配合量が4質量部以上であると、セメントマトリクスが材料分離をしてしまい、所定の流動性や強度発現性に悪影響を与える恐れがあり、1質量部未満であると、目的とする練混ぜ性能、流動性および高い強度を有する硬化物が得られない恐れがある。
また、セメントマトリクスには、更に消泡剤を配合してもよい。消泡剤としては、ポリアルキレングリコール誘導体やノニオン系界面活性剤等が挙げられる。消泡剤の市販品としては、BASFジャパン社製の商品名「マスターエア404」とそのシリーズ、フローリック社製の商品名「フローリックDF325」とそのシリーズ等が挙げられる。
消泡剤を用いる場合、その配合量は、結合材100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。配合量が上記範囲内であると、良好な気泡抑制効果が得られる。
セメントマトリクスには、更に収縮低減剤を配合してもよい。収縮低減剤(液体)としては、例えば、炭化水素系化合物とグリコールエーテル系誘導体とを含む組成物、及び、低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド共重合体等とを含む組成物が挙げられる。上述した収縮低減剤の市販品としては、それぞれフローリック社製の商品名「シュリンクガード」、及び、電気化学工業製の商品名「デンカエスケーガード」が挙げられる。
収縮低減剤を用いる場合、その配合量は、結合材100質量部に対して0.5〜4質量部であることが好ましく、1〜2質量部であることがより好ましい。配合量が上記範囲内であると、強度不足等の不具合もなく、良好な収縮抑制効果が得られる。
繊維としては、有機系繊維又は無機系繊維を用いることができる。繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機系繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリスチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ビニロン繊維等のポリビニルアルコール繊維等が挙げられる。ポリアミド繊維としては、脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維が挙げられる。
無機系繊維としては、金属繊維、炭素繊維、バサルト繊維(玄武岩繊維)等が挙げられる。これらの中でも、引張強度や強度安定性、コストの観点から、金属繊維が好ましい。金属繊維の材質は特に限定されないが、鋼製、ステンレス製が入手し易いので好ましい。
本実施形態の繊維補強セメント材料に使用される繊維は、長さが5〜30mmで、直径が0.1〜1mmの繊維であることが好ましい。長さが30mm以下であると、繊維補強セメント材料の施工性が良好になるとともに、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。一方、長さが5mm以上であると、硬化物に対する曲げ応力作用時の繊維補強効果が十分に得られ、良好な曲げ強度を得ることができる傾向がある。繊維の長さは、より好ましくは10〜30mmである。また、繊維の直径が0.1mm以上であると、繊維そのものの強度が高くなり、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。一方、直径が1mm以下であると、繊維の繊維補強セメント材料中の単位体積あたりの本数を十分に多くすることができ、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。
繊維の配合量は、セメントマトリクスの全体積(100体積%)に対して外割で0.5〜3体積%であることが好ましい。この配合量が0.5体積%以上であると、硬化物の曲げ強度を向上させる効果が大きくなる傾向がある。一方、3体積%を超えて繊維を配合しても、硬化物の曲げ強度の配合率に応じた増加は期待できない傾向がある。繊維の配合量は、より好ましくは0.7〜2.5体積%である。
流動調整材料は、繊維補強セメント材料の流動性を適度に低下させ、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を繊維補強セメント材料に付与するための材料である。流動調整材料は、繊維補強セメント材料の粘性を高くすることだけでなく、繊維補強セメント材料の降伏値を大きくする、又は、繊維補強セメント材料にチクソトロピー性をもたせることによって、繊維補強セメント材料に優れた施工性を付与するものであってもよい。
流動調整材料として具体的には、バイオポリマー系増粘剤、石灰石微粉末、ポルトランドセメント等が挙げられる。バイオポリマー系増粘剤としては、デュータンガム、ウェランガム、キサンタンガム等が挙げられる。ポルトランドセメントとしては、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩性、及び白色などの各種ポルトランドセメントが挙げられる。流動調整材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
流動調整材料としてバイオポリマー系増粘剤を用いる場合、その配合量は、セメントマトリクス中の水100質量部に対して外割で0.02〜0.2質量部であることが好ましく、0.03〜0.15質量部であることがより好ましく、0.05〜0.1質量部であることが更に好ましい。この配合量が0.02質量部以上であると、繊維補強セメント材料の流動性に十分な降伏値を与えることができ、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を繊維補強セメント材料に付与することができる傾向がある。一方、0.2質量部以下であると、繊維補強セメント材料の流動性が低下し過ぎることを抑制でき、バイブレータなどによる振動締固めにて良好な施工性を確保することができる傾向がある。
流動調整材料として石灰石微粉末を用いる場合、その配合量は、上記セメントマトリクス1mあたり外割で150〜220kgであることが好ましく、150〜210kgであることがより好ましく、175〜200kgであることが更に好ましい。この配合量が150kg以上であると、繊維補強セメント材料の流動性に十分な降伏値を与えることができ、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を繊維補強セメント材料に付与することができる傾向がある。一方、220kg以下であると、繊維補強セメント材料の流動性が低下し過ぎることを抑制でき、バイブレータなどによる振動締固めにて良好な施工性を確保することができる傾向がある。
流動調整材料としてポルトランドセメントを用いる場合、その配合量は、上記セメントマトリクス1mあたり外割で100〜250kgであることが好ましく、100〜200kgであることがより好ましく、150〜200kgであることが更に好ましい。この配合量が100kg以上であると、繊維補強セメント材料の流動性に十分な降伏値を与えることができ、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を繊維補強セメント材料に付与することができる傾向がある。一方、250kg以下であると、繊維補強セメント材料の流動性が低下し過ぎることを抑制でき、バイブレータなどによる振動締固めにて良好な施工性を確保することができる傾向がある。なお、流動調整材料にポルトランドセメントをセメントマトリクスの外割で使用する場合、強度発現への寄与も無視できなくなるため、第3工程で製造された繊維補強セメント材料の結合材の一部とみなし、水結合材比も変わることとなる(表1参照)。
なお、上述した流動調整材料の配合量は、第3工程における配合量であり、第1工程でのセメントマトリクス又は第2工程でのベースとなる繊維補強セメント材料において流動調整材料と同種の材料を配合した場合、それらの配合量は含まない。
次に、本実施形態の繊維補強セメント材料の製造方法の各工程について説明する。
第1工程では、少なくとも結合材と骨材と水と混和剤とを練り混ぜ、セメントマトリクスを得る。ここで、練り混ぜ方法としては、特別な方法を用いる必要はなく、通常行われている練り混ぜ方法を用いることができる。これは、第2工程及び第3工程においても同様である。練り混ぜ装置としては、試験ミキサ(材料手投入)、バッチ式プラントミキサ(自動投入)、バッチ式モービルミキサ(自動投入)等を用いることができる。
第1工程において、結合材と骨材と水と混和剤とは一度に練り混ぜてもよいが、複数回に分けて練り混ぜてもよい。例えば、はじめに結合材及び骨材等の粉体を空練りした後、水及び混和剤等を加えて本練りすることで、セメントマトリクスを調製してもよい。このとき、水及び混和剤等の添加を複数回に分けて行うことで、本練りを複数回に分けて行ってもよい。また、混和剤の一部又は全部は、空練り時に加えてもよい。空練りは、例えば、約30秒間以上行えばよい。本練りは、約5〜10分間(複数回に分けた場合も含む)行うことができる。練り混ぜを複数回に分けて行うことにより、各材料をより均一に分散させることができ、高い強度を有する硬化物を安定して得ることが可能となる。
第2工程では、セメントマトリクスに繊維を加えて練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得る。練り混ぜは、約2〜5分間行うことができる。
第2工程で得られるベースとなる繊維補強セメント材料は、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験における0打モルタルフロー値が230〜300mmであることが好ましく、230〜270mmであることがより好ましい。モルタルフロー値を上記範囲内とすることで、ミキサへの負荷をより低減しつつ、繊維を均一に分散させることができる。ここで、0打モルタルフロー値とは、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験と同様の手順において、15回の落下運動を行わず、フローコーンを引き上げた際に自重で崩れた試料の拡がり直径を測定した値である。なお、後述の第3工程で得られる繊維補強セメント材料のモルタルフロー値は、JIS R5201の規定通り15回の落下運動を行った15打モルタルフロー値である。
第3工程では、ベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料を外割で加えて練り混ぜ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が130〜230mmである繊維補強セメント材料を得る。練り混ぜは、約2〜5分間行うことができる。
繊維補強セメント材料のモルタルフロー値は130〜230mmであるが、130〜200mmであることが好ましく、160〜200mmであることがより好ましい。モルタルフロー値が130mm未満であると、第3工程での練り混ぜ時のミキサへの負荷が過大となるとともに、繊維補強セメント材料の流動性が低くなり過ぎてセルフレベリング性が損なわれ、打ち込み部位への材料の流し込みが困難となる。一方、230mmを超えると、勾配を有する部位に打ち込む際の繊維補強セメント材料の先流れを抑制することが困難となる。
得られた繊維補強セメント材料は、養生することができる。養生方法は限定されるものではなく、場所打ちコンクリートでは通常の養生方法(温風養生、電熱マット養生など)、製品工場のコンクリートでは蒸気養生、オートクレーブ養生、及び温水養生などが可能である。
第1工程、第2工程、及び第3工程は、連続的に行ってもよく、不連続的に行ってもよい。不連続的に行う場合、例えば、第1工程及び第2工程を工場で行い、第3工程を現場等の別の場所で行ってもよく、第1工程を工場で行い、第2工程及び第3工程を現場等の別の場所で行ってもよい。
本実施形態の製造方法により得られた繊維補強セメント材料は、補修や予防保全(予め補強しておくこと)等の目的で、勾配のある橋梁や道路等の床版や部材への打ち込みに好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8及び比較例1〜5)
下記表1に示す各成分を同表に示す配合量で下記手順により混合し、繊維補強セメント材料を製造した。また、練り混ぜには強制二軸ミキサ(北川鉄工社製、商品名:WHQ−120)を用いた。まず、結合材、細骨材、高性能減水剤及び消泡剤を30秒間練り混ぜた後、水を加えて8分間練り混ぜ、セメントマトリクスを得た(第1工程)。次いで、セメントマトリクスに繊維を加えて2分間練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得た(第2工程)。練り上がったベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料を加え、2分間練り混ぜた後、ミキサから排出し、繊維補強セメント材料を得た(第3工程)。なお、比較例1では第3工程は行わず、第2工程後のベースとなる繊維補強セメント材料を繊維補強セメント材料とした。
実施例及び比較例で作製した繊維補強セメント材料のモルタルフロー値を、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験により測定した。ここで、比較例1の繊維補強セメント材料については、0打モルタルフロー値を測定した。比較例1以外のモルタルフロー値は、JIS R5201の規定通り15回の落下運動を行った15打モルタルフロー値である。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
結合材:普通ポルトランドセメント(電気化学工業(株)製、密度3.16g/cm)、シリカフューム(エルケム社製、密度2.44g/cm)、CGFA(オランダ産、密度2.44g/cc)、及び、石膏(不溶性無水石膏、天然産、密度2.82g/cm)の混合物(電気化学工業社製、商品名:サクセム用プレミックス結合材)
細骨材:千葉県君津産山砂、5mm以下、密度2.62g/cm
高性能減水剤(混和剤):ポリカルボン酸系高性能減水剤(BASFジャパン社製、商品名「マスターグレニウムSP8HU」)
消泡剤:ポリアルキレングリコール誘導体(BASFジャパン社製、商品名:マスターエア404)
繊維:高強度鋼繊維(住友電工スチールワイヤー社製、商品名:サクセム用鋼繊維、直径0.2mm、長さ15mmと22mmのブレンド品、密度7.85g/cm
デュータンガム(流動調整材料):デュータンガム(米国CP Kelco社製、商品名:KELCO−CRETE DG)
ウェランガム(流動調整材料):ウェランガム(米国CP Kelco社製、商品名:K1A96)
石灰石微粉末(流動調整材料):石灰石微粉末(清水商会社製、商品名:ネオフロー80、比表面積:3060cm/g)
ポルトランドセメント(流動調整材料):普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm、電気化学工業社製)
なお、表1には、繊維補強セメント材料中の結合材に対する水の割合を示す、水結合材比の値(単位:質量%)を示した。ここで、流動調整材料としてポルトランドセメントを用いた場合は、その量も水結合材比の値を計算する際の結合材の量に含めた。また、表1において、水の量は高性能減水剤及び消泡剤に含まれる水の量を含めた量である。また、表1において、繊維及び流動調整材料を除いた各成分(基本配合)の合計の体積は1mであった。また、各実施例及び比較例において、細骨材の配合量は基本配合(セメントマトリクス)の全体積(100体積%)を基準として34.5体積%であり、繊維(鋼繊維)の配合量は基本配合(セメントマトリクス)の全体積(100体積%)に対して外割で1.75体積%であった。
Figure 2017087485
(施工性の評価)
実施例及び比較例で得られた繊維補強セメント材料を、勾配を有する部位に打ち込んだ際の先流れの有無により、施工性を評価した。具体的には、図1(a)〜(c)に示すように、道路構造令(国土交通省)における最大の縦断勾配である12%を模擬した平板型枠1(1000mm×1000mm×50mm)において、繊維補強セメント材料2を充填してすり切りで天端仕上げをしてから、勾配の山側の型枠天端からコンクリート天端までの差「Δh」にて評価、判定を行った。先流れが生じなかった場合(Δh:0mm以上10mm以下、図1(a)又は図1(b)に示す状態)を「A」、先流れが生じた場合(Δh:10mm超50mm以下、図1(c)に示すように先流れ3が生じた状態)を「B」として施工性を評価した。但し、バイブレータによる振動締固めやタンピングにおいて容易に型枠に充填することができなかったものは「C」とした。結果を表2に示す。なお、比較例5の繊維補強セメント材料は、施工性に劣ることに加え、粘性が強く、水和熱が大きいという問題もあった。
(圧縮強度の測定)
JIS A1108に準拠して、実施例及び比較例で得られた繊維補強セメント材料を用いて作製したφ100mm×200mmの円柱供試体の圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。
(曲げ強度の測定)
JSCE−G552に規定された曲げ強度試験方法に準拠して、実施例及び比較例で得られた繊維補強セメント材料を用いて作製した100mm×100mm×400mmの角柱供試体の曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2017087485
表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜8で得られた繊維補強セメント材料は、十分な強度を有する硬化物を形成可能であるとともに、勾配を有する部位に打ち込む際に先流れを生じることなく施工可能な優れた施工性を有することが確認された。
1…平板型枠、2…繊維補強セメント材料、3…先流れ。

Claims (6)

  1. 少なくとも結合材と骨材と水と混和剤とを練り混ぜ、セメントマトリクスを得る第1工程と、
    前記セメントマトリクスに繊維を加えて練り混ぜ、ベースとなる繊維補強セメント材料を得る第2工程と、
    前記ベースとなる繊維補強セメント材料に流動調整材料を外割で加えて練り混ぜ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が130〜230mmである繊維補強セメント材料を得る第3工程と、
    を有する繊維補強セメント材料の製造方法。
  2. 前記流動調整材料がバイオポリマー系増粘剤を含み、
    前記第3工程における前記バイオポリマー系増粘剤の配合量が、セメントマトリクス中の水100質量部に対して外割で0.02〜0.2質量部である、請求項1に記載の繊維補強セメント材料の製造方法。
  3. 前記バイオポリマー系増粘剤が、デュータンガム及び/又はウェランガムである、請求項2に記載の繊維補強セメント材料の製造方法。
  4. 前記流動調整材料が石灰石微粉末を含み、
    前記第3工程における前記石灰石微粉末の配合量が、前記セメントマトリクス1mあたり外割で150〜220kgである、請求項1に記載の繊維補強セメント材料の製造方法。
  5. 前記流動調整材料がポルトランドセメントを含み、
    前記第3工程における前記ポルトランドセメントの配合量が、前記セメントマトリクス1mあたり外割で100〜250kgである、請求項1に記載の繊維補強セメント材料の製造方法。
  6. 前記ベースとなる繊維補強セメント材料の、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による0打モルタルフロー値が230〜300mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維補強セメント材料の製造方法。
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