JP6964548B2 - モルタル組成物及びその製造方法、並びに、コンクリート構造物の補修・補強方法 - Google Patents

モルタル組成物及びその製造方法、並びに、コンクリート構造物の補修・補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、モルタル組成物及びその製造方法、並びに、コンクリート構造物の補修・補強方法に関する。
超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)は、モルタル又はセメントペーストに繊維を混入した形態をとっている。超高強度繊維補強コンクリートは、硬化体としての優れた性能(靱性)を有していると同時に、高い流動性(自己充填性、セルフレベリング性)によって薄肉で複雑な形状の型枠にも流し込むことができる特徴を有している。このような超高強度繊維補強コンクリートは、通常、セメント、骨材、水等を予め練り混ぜた後に繊維を添加し、更に練り混ぜることで製造されている(例えば、特許文献1参照)。
超高強度繊維補強コンクリートは、上記特徴を有することから、主にプレキャスト製品の製造に使用されている。また、近年では超高強度繊維補強コンクリートの場所打ちも可能となってきている。
特開2011−32129号公報
近年、コンクリート構造物の補修・補強工事が増えている中で、超高強度繊維補強コンクリートの適用が求められている。しかし、プレキャスト製品は、新設構造物には使用できるが、既設構造物の補修又は補強には使用できない。高い流動性を有する超高強度繊維補強コンクリートを用いてコンクリート構造物を補修又は補強するには、型枠を設置してコンクリートを流し込む工法が主流となる。この場合、型枠設置に費用と時間が掛かると共に、型枠が設置できない場所では使用できないという問題がある。
また、近年、既設橋脚の耐震補強が求められているが、河川内に設置されている等の制約から、RC巻立てや鋼板巻立て等、橋脚を太くする補強手法が適用できない橋脚が数多く存在する。そのため、橋脚の太さを変更せず、最小限の施工で効率よく耐震性を高められる方法が求められている。このような方法として、補強箇所のかぶり部を削り取り、そこに超高強度繊維補強コンクリートを打ち込む方法が考えられる。打ち込む方法としては、例えば左官工法が挙げられる。しかしながら、超高強度繊維補強コンクリートは流動性が高いことから、一般的には左官工法に適用することは困難である。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、左官工法によりコンクリート構造物を補修又は補強するために用いられ、塗布後のダレの発生を抑制することができると共に、十分な強度を有する硬化物を形成可能なモルタル組成物及びその製造方法、並びに、コンクリート構造物の補修・補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、流動調整材料とを含有する、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いられるモルタル組成物であって、上記流動調整材料が粘土鉱物を含み、上記粘土鉱物の含有量が、上記モルタル組成物から上記補強用繊維及び上記流動調整材料を除いた組成物1mに対して7〜21kgであり、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が110〜140mmである、モルタル組成物を提供する。
上記モルタル組成物によれば、補強用繊維を含むと共に粘土鉱物を所定量含み、且つ、モルタルフロー値が上記範囲内であることにより、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いた場合に、塗布後のダレの発生を抑制することができると共に、十分な強度を有する硬化物を形成することができる。特に、粘土鉱物を、モルタル組成物から上記補強用繊維及び上記流動調整材料を除いた組成物1mに対して7〜21kg用いることにより、モルタル組成物に適度な粘性を付与することができ、左官工法による塗布が容易でありながら塗布後のダレの発生を抑制することが可能となる。粘土鉱物は保水機能を有しているため、これをモルタル組成物に配合することで水を一時的に保水し、流動性を低減させてダレの発生を防止することができるものと考えられる。更に、粘土鉱物はモルタル組成物の硬化を阻害する材料ではないため、硬化物の強度に悪影響を与えることがない。そのため、本発明のモルタル組成物によれば、コンクリート構造物の側面等を補修又は補強する場合であっても、型枠を設置する必要が無く、ダレを抑制しながら簡易に施工することができ、コンクリート構造物の耐久性や構造性能を格段に向上させることが可能となる。
上記補強用繊維は、直径0.1〜0.25mm、長さ10〜24mm及び引張強度2×10N/mm以上の繊維であってもよい。これらの条件を満たす補強用繊維を用いることにより、モルタル組成物はより優れた強度を有する硬化物を形成可能となり、コンクリート構造物の耐久性や構造性能をより一層向上させることが可能となる。
上記補強用繊維は、無機系繊維又は有機系繊維を含んでいてもよい。補強用繊維が無機系繊維又は有機系繊維を含むことで、モルタル組成物はより優れた強度を有する硬化物を形成可能となり、コンクリート構造物の耐久性や構造性能をより一層向上させることが可能となる。また、無機系繊維又は有機系繊維と粘土鉱物とを組み合わせて用いた場合、無機系繊維又は有機系繊維の混入量を高めることでモルタル組成物にある程度の粘性を付与することができ、さらに粘土鉱物によるモルタル組成物の流動性低減効果により、モルタル組成物を左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いた場合に、塗布後のダレの発生をより一層抑制することができる。
本発明はまた、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、上記繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、を有し、上記添加工程において、上記粘土鉱物の添加量が、上記繊維含有組成物から上記補強用繊維を除いた組成物1mに対して7〜21kgとなり、且つ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による上記モルタル組成物のモルタルフロー値が110〜140mmとなるように、上記粘土鉱物を添加する、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いられるモルタル組成物の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、上述した本発明のモルタル組成物を効率的に製造することができる。上記製造方法においては、粘土鉱物を、それ以外の材料を予め混練した後に添加することで、粘土鉱物以外の材料、特に補強用繊維を十分に分散させることができる。そのため、得られるモルタル組成物は、十分な強度を有する硬化物を形成可能となる。また、十分に分散された繊維含有組成物に粘土鉱物を添加することで、モルタル組成物の粘性を均一に高めることができ、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強用途に適した、ダレの発生を抑制できるモルタル組成物を得ることができる。
本発明は更に、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、上記繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、上記モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に、上記モルタル組成物を左官工法によりコンクリート構造物の補修又は補強したい部位に塗布する左官工程と、を有し、上記添加工程において、上記粘土鉱物の添加量が、上記繊維含有組成物から上記補強用繊維を除いた組成物1mに対して7〜21kgとなり、且つ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による上記モルタル組成物のモルタルフロー値が110〜140mmとなるように、上記粘土鉱物を添加する、コンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
上記補修・補強方法によれば、コンクリート構造物の側面等を補修又は補強する場合であっても、型枠を設置する必要が無く、ダレを抑制しながら簡易に施工することができ、コンクリート構造物の耐久性や構造性能を格段に向上させることが可能となる。上記補修・補強方法において、モルタル組成物の塗布は、モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に行う。粘土鉱物を添加するとモルタル組成物の粘性が高くなるため、練り上がり後2時間超経過すると粘性が高くなり過ぎ、左官工法による均一な塗布が困難となる場合がある。練り上がり後2時間以内に塗布することで、左官工法によりダレを抑制しながら容易に塗布することができる。
上記補強用繊維は、直径0.1〜0.25mm、長さ10〜24mm及び引張強度2×10N/mm以上の繊維であってもよい。また、上記補強用繊維は、無機系繊維であってもよい。
本発明によれば、左官工法によりコンクリート構造物を補修又は補強するために用いられ、塗布後のダレの発生を抑制することができると共に、十分な強度を有する硬化物を形成可能なモルタル組成物及びその製造方法、並びに、コンクリート構造物の補修・補強方法を提供することができる。
実施例及び比較例で得られたモルタル組成物を左官工法により塗布した状態を示す写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<モルタル組成物>
本実施形態に係るモルタル組成物は、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、流動調整材料とを含有する。上記流動調整材料は、粘土鉱物を含む。本実施形態に係るモルタル組成物における上記粘土鉱物の含有量は、上記モルタル組成物から上記補強用繊維及び上記流動調整材料を除いた組成物1mに対して7〜21kgである。また、本実施形態に係るモルタル組成物のJIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値は、110〜140mmである。本実施形態に係るモルタル組成物は、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いられる。以下、モルタル組成物に使用される各成分について説明する。
結合材としては、例えば、セメントと、シリカフューム等の混和材とを少なくとも含む混合物が用いられる。
セメントとしては、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩性、及び白色などの各種ポルトランドセメント、高炉スラグや通常のフライアッシュをポルトランドセメントに混合した混合セメント、エコセメント、超早強セメントや急硬セメントなどが挙げられる。また、これらのセメントの複数を任意量混合したセメントも使用できる。なお、エトリンガイトを生成させるのに適した普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉スラグセメントなどがより好ましい。
混和材としては、シリカフューム、膨張材、石灰石微粉末、高炉スラグ、フライアッシュ等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカフュームとは、金属シリコンやフェロシリコンなどのシリコンアロイを電気炉等で製造する際に副生する球形の超微粒子であり、主成分は非晶質SiOである。シリカフュームの添加量が多いほど、モルタル組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」ともいう)の圧縮強度は高くなる傾向にあるが、圧縮強度に対する曲げ強度の比率は無混和の場合よりも低下する場合もある。さらに、シリカフュームは球形の超微粒子であるので、高性能減水剤などと併用すると、モルタル組成物は適度な流動性が得られる傾向がある。
フライアッシュとしては、石炭ガス化フライアッシュ(Coal Gasification Fly Ash、以下「CGFA」と略す場合もある)や分級フライアッシュ(Classified Fly Ash)等が挙げられ、中でもCGFAが好ましい。ここで、CGFAは、ガス化石炭を用いて発電する際の副産物として排出されるものであり、燃焼ガスと一緒にボイラーの煙道から廃棄され、集塵機で回収される最大粒子が5〜10μmの球形の微粒子である。CGFAは、通常の石炭焚きフライアッシュとは粒子径や粒子表面性状が異なると共にSiO含有量も高いという特徴がある。CGFAはシリカフュームと同様に粒径が球状であるので、高性能減水剤と併用すると流動性を高める効果を有するが、ポゾラン活性はシリカフュームより低いので強度増進効果は小さい。
シリカフューム及び/又はフライアッシュを配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して、シリカフューム及びフライアッシュの合計で5〜40質量部であることが好ましく、7〜30質量部であることがより好ましい。この配合量が5質量部以上であると、硬化物の圧縮強度及び曲げ強度に対する強度増進効果が十分に得られる傾向がある。一方、40質量部を超えて添加しても、添加率に応じた強度増進効果が期待できない傾向があるため、性能的及び経済的観点から、40質量部以下であることが好ましい。
また、シリカフューム及びフライアッシュの両方を配合する場合、それらの配合割合(シリカフューム:フライアッシュ)は、質量比で95〜50質量部:5〜50質量部であることが好ましい。上記特定割合で両者を配合することにより、硬化物の曲げ強度を向上させることが可能となる。ここで、フライアッシュの配合割合が5質量部以上であると硬化物の曲げ強度の向上効果が大きく、50質量部以下であると硬化物の圧縮強度を高めることができる。シリカフュームに対するフライアッシュの配合割合は、フライアッシュ量が増えるにつれてモルタル組成物の流動性が高くなり、その硬化物の曲げ強度も高くなる傾向がある。しかし、ピークの値を超えると、フライアッシュ量が増えるにつれて、流動性及び曲げ強度の向上効果が低下する。したがって、シリカフュームとフライアッシュの配合割合には好ましい範囲があり、より好ましい範囲はシリカフューム90〜60質量部、フライアッシュ10〜40質量部である。
膨張材は、モルタル組成物の硬化過程で生じる体積変化を緩和するものである。モルタル組成物に適する膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、及び、生石灰系膨張材などが挙げられる。
膨張材を配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましい。この配合量が10質量部以上であると、過膨張による強度低下やポップアウト、未反応の膨張材の再反応による遅れ膨張による欠陥が生じる恐れがあり、1質量部以下であると、所定の膨張効果又は収縮量補償効果が得られにくい傾向がある。
石灰石微粉末及び高炉スラグとしては、それぞれ公知の材料を特に制限なく使用することができる。石灰石微粉末及び/又は高炉スラグを配合する場合、配合量はそれぞれ、セメント100質量部に対して5〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。この配合量が30質量部以上であると、セメント量が減ることによる強度低下が生じたり、粘性や降伏値が大きくなり所定の施工性(先流れ抑制効果)が得られにくい傾向があり、5質量部以下であると、粘性や降伏値の増進効果が得られにくい傾向がある。
また、結合材には、セメントとは別に石膏を配合してもよい。石膏としては、二水石膏、半水石膏、可溶性無水石膏(III型)、及び不溶性無水石膏(II型)などの各種形態の石膏が使用されるが、より好ましくは無水石膏、半水石膏、及び二水石膏である。石膏は、水和初期には一旦セメント中のカルシウムアルミネートの水和を抑えて流動性を高め、その後、水和反応によって針状結晶のエトリンガイトを生成する。このエトリンガイトは、硬化物中の空隙を充填して密実化を促し、高強度化を可能とする。
石膏を配合する場合、その配合量は、セメント100質量部に対して無水物換算で0.5〜8質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。この配合量が0.5質量部以上であると、流動性や強度を高める作用が大きい。一方、8質量部を超えて配合してもそれ以上強度の増進効果が期待できない傾向があるため、性能的及び経済的観点から、8質量部以下であることが好ましい。
結合材の配合量は、モルタル組成物の単位水量を基準とした水結合材比で10〜25質量%であることが好ましく、13〜18質量%であることがより好ましい。結合材の配合量(水結合材比)が上記範囲内であるモルタル組成物は、優れた圧縮強度及び優れた曲げ強度を有する硬化物を形成することができる傾向がある。
細骨材は、10mmふるいをすべて通過し、5mmふるいを85質量%以上が通過する骨材である。細骨材は、生コン工場で用いられている川砂や砕砂が最も入手し易いので好ましいが、特に限定はされない。より高い強度を得るために高硬度の焼成ボーキサイトや鉄鉱石、石英へん岩、その他の細骨材を使用することには制限は受けないものである。また、より良い繊維分散効果や流動性を得るためには、細骨材としては、例えば5〜6号珪砂を用いたり、2.5mmふるいを85質量%以上通過するように最大骨材寸法を小さくしたりするなどの粒度構成をしたものを用いることが好ましい。
細骨材の配合量は、ベース組成物の全体積(100体積%)を基準として5〜45体積%であることが好ましく、15〜35体積%であることがより好ましい。この配合量が35体積%以下であると、補強用繊維の分散性が良好で硬化物の靱性が向上し、曲げ強度が大きくなる傾向がある。また、15体積%以上であると、硬化物の圧縮強度や弾性係数が向上する傾向がある。本明細書において、ベース組成物は、モルタル組成物から補強用繊維及び流動調整材料を除いた組成物であり、結合材、水、細骨材及び混和剤を含む組成物を意味する。
また、骨材としては、任意量の粗骨材を併用することも可能である。粗骨材は、5mmふるいに85質量%以上とどまる骨材である。粗骨材の品質も細骨材と同様に特に限定されるものではなく、生コン工場で用いられているものを使用することが可能である。
混和剤としては、減水剤、高性能減水剤、消泡剤、流動化剤、収縮低減剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、モルタル組成物は水結合材比が一般的なコンクリートよりも低いことから、練混ぜ性能や流動性確保の観点から、高性能減水剤が好ましい。なお、モルタル組成物は、前述のとおり水結合材が低く、優れた凍結融解抵抗性を有することから、強度特性に影響を与える空気量はできるだけ少なくした方が好ましい。そのため、混和剤としては、空気連行成分(AE剤)を含んでいない高性能減水剤を用いたり、さらに消泡剤を併用したりすることが望ましい。
高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、および、ポリカルボン酸塩系減水剤などのいずれかを主成分とするものであり、これらの一種又は二種以上が使用されるものである。ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物などがあり、減水率が大きくて空気連行性がなく、凝結遅延性も小さい特徴を有する反面、フローやスランプ保持性が小さいという課題を有する。高性能減水剤の市販品としては、電気化学工業(株)製の商品名「FT−500」とそのシリーズ、花王(株)製の商品名「マイティ3000TH」、「マイティ100(粉末)」や「マイティ150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)製の商品名「セルフロー155」、竹本油脂(株)製の商品名「ポールファインMF」等、(株)フローリック製の商品名「フローリックSF500U」や「フローリック500R」とそのシリーズ、竹本油脂(株)製の商品名「チューポールSSP−104」とそのシリーズ、グレースケミカルズ(株)製の商品名「スーパー1000N」とそのシリーズ、日本シーカ社製の商品名「シーカメント1200N」とそのシリーズ、及びBASFジャパン社製の商品名「マスターグレニウムSP8HU」とそのシリーズなどが代表的である。芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、(株)フローリック製の商品名「フローリックVP200」とそのシリーズがあり、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤には、グレースケミカルズ社製の商品名「ダーレックスFT−3S」、昭和電工建材(株)製の商品名「モルマスターF−10(粉末)」や「モルマスターF−20(粉末)」が挙げられる。
高性能減水剤を用いる場合、それらの種類に関わらず、結合材100質量部に対する配合量は4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。4質量部を超える量を配合しても減水率を更に高めることができない場合が多い。
本実施形態のモルタル組成物を製造する際に、高性能減水剤の配合量は、結合材100質量部に対して、高性能減水剤の合計量で1〜4質量部とすることが好ましく、1〜3質量部とすることがより好ましい。但し、この場合の高性能減水剤は、固形分濃度に関係なく液体状態で市販されている減水剤を示す。粉末の状態で市販されている高性能減水剤を使用する場合は1〜4質量部(又は1〜3質量部)の中には含めない。この配合量が4質量部以上であると、ベース組成物が材料分離をしてしまい、所定の流動性や強度発現性に悪影響を与える恐れがあり、1質量部未満であると、目的とする練混ぜ性能、流動性および高い強度を有する硬化物が得られない恐れがある。
また、ベース組成物には、更に消泡剤を配合してもよい。消泡剤としては、ポリアルキレングリコール誘導体やノニオン系界面活性剤等が挙げられる。消泡剤の市販品としては、BASFジャパン社製の商品名「マスターエア404」とそのシリーズ、フローリック社製の商品名「フローリックDF325」とそのシリーズ等が挙げられる。
消泡剤を用いる場合、その配合量は、結合材100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。配合量が上記範囲内であると、良好な気泡抑制効果が得られる。
ベース組成物には、更に収縮低減剤を配合してもよい。収縮低減剤(液体)としては、例えば、炭化水素系化合物とグリコールエーテル系誘導体とを含む組成物、及び、低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド共重合体等とを含む組成物が挙げられる。上述した収縮低減剤の市販品としては、それぞれフローリック社製の商品名「シュリンクガード」、及び、電気化学工業(株)製の商品名「デンカエスケーガード」が挙げられる。
収縮低減剤を用いる場合、その配合量は、結合材100質量部に対して0.5〜4質量部であることが好ましく、1〜2質量部であることがより好ましい。配合量が上記範囲内であると、強度不足等の不具合もなく、良好な収縮抑制効果が得られる。
補強用繊維としては、有機系繊維又は無機系繊維を用いることができる。補強用繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機系繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリスチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ビニロン繊維等のポリビニルアルコール繊維等が挙げられる。ポリアミド繊維としては、脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維が挙げられる。
無機系繊維としては、金属繊維、炭素繊維、バサルト繊維(玄武岩繊維)等が挙げられる。これらの中でも、引張強度や強度安定性、コストの観点から、金属繊維が好ましい。金属繊維の材質は特に限定されないが、鋼製、ステンレス製が入手し易いので好ましい。
本実施形態のモルタル組成物に使用される補強用繊維は、長さが5〜30mmで、直径が0.1〜1mmの繊維であることが好ましい。長さが30mm以下であると、モルタル組成物の施工性が良好になるとともに、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。一方、長さが5mm以上であると、硬化物に対する曲げ応力作用時の繊維補強効果が十分に得られ、良好な曲げ強度を得ることができる傾向があると共に、引張強度も向上させることができる傾向がある。補強用繊維の長さは、硬化物の曲げ強度をより高める観点から、より好ましくは10〜30mmであり、更に好ましくは10〜24mmであり、特に好ましくは10〜15mmである。また、補強用繊維の直径が0.1mm以上であると、繊維そのものの強度が高くなり、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。一方、直径が1mm以下であると、補強用繊維のモルタル組成物中の単位体積あたりの本数を十分に多くすることができ、硬化物の曲げ強度を高めることができる傾向がある。補強用繊維の直径は、硬化物の曲げ強度をより高める観点から、より好ましくは0.1〜0.5mmであり、更に好ましくは0.1〜0.25mmであり、特に好ましくは0.1〜0.2mmである。
補強用繊維は、硬化物の曲げ強度をより高める観点から、長さの異なる2種類以上の繊維を混合して用いることも可能であり、例えば、長さ10〜18mmの繊維と、長さ18mm超30μm以下の繊維とを混合して用いてもよい。2種類以上の繊維を混合した補強用繊維の具体例としては、直径0.2mm、長さ15mm(製造誤差±2mm未満)及び引張強度2×10N/mm以上の鋼繊維と、直径0.2mm、長さ22mm(製造誤差±2mm未満)及び引張強度2×10N/mm以上の鋼繊維とを混合した補強用繊維が挙げられる。
補強用繊維の引張強度は、硬化物の曲げ強度をより高める観点から、2×10N/mm以上であることが好ましい。
補強用繊維の配合量は、ベース組成物の全体積(100体積%)に対して外割で0.5〜3体積%であることが好ましい。この配合量が0.5体積%以上であると、硬化物の曲げ強度を向上させる効果が大きくなる傾向がある。一方、3体積%を超えて補強用繊維を配合しても、硬化物の曲げ強度の配合率に応じた増加は期待できない傾向がある。補強用繊維の配合量は、より好ましくは0.7〜2.5体積%である。
流動調整材料は、上述したベース組成物の材料及び補強用繊維とは別に添加される材料であって、モルタル組成物の流動性を低下させる材料である。流動調整材料を添加することにより、左官工法によりモルタル組成物を塗布した際のダレ(流れ)の発生を抑制することができる。流動調整材料は、モルタル組成物の粘性を高くすることだけでなく、モルタル組成物の降伏値を大きくする、又は、モルタル組成物にチクソトロピー性をもたせることによって、モルタル組成物に優れた施工性を付与するものであってもよい。
流動調整材料は、少なくとも粘土鉱物を含む。粘土鉱物としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、セピオライト、パリゴルスカイト(アタパルジャイト)等が挙げられる。これらの中でも、ダレの発生をより十分に抑制する観点から、繊維状のホルマイト系鉱物であるセピオライト、パリゴルスカイトが好ましく、セピオライトがより好ましい。
モルタル組成物における粘土鉱物の含有量は、モルタル組成物から補強用繊維及び流動調整材料を除いた組成物(ベース組成物)1mに対して7〜21kgであり、10〜21kgであることが好ましく、15〜21kgであることがより好ましい。粘土鉱物の含有量が7kg以上であることで、左官工法によりモルタル組成物を塗布した際のダレ(流れ)の発生を十分に抑制することができる。一方、粘土鉱物の含有量が21kg以下であることで、モルタル組成物の粘性が高くなり過ぎて混練できなくなったり、左官工法により塗布できなくなることを防ぐことができる。
本実施形態のモルタル組成物は、モルタル組成物のモルタルフロー値を調整する観点、及び、ダレの発生をより抑制する観点から、粘土鉱物以外の流動調整材料を含有していてもよい。粘土鉱物以外の流動調整材料としては、急結剤、硬化促進剤、バイオポリマー系増粘剤、ポリアクリルアミド系増粘剤等が挙げられる。急結剤としては、カルシウムアルミネート系、カルシウムサルフォアルミネート系、水溶性アルミニウム塩系、アルミン酸塩系、無機塩系、アルカリ金属炭酸塩系などの急結剤が挙げられる。硬化促進剤としては、炭酸カリウム含有系、硫酸アルミニウム含有系等が挙げられる。バイオポリマー系増粘剤としては、デュータンガム、ウェランガム、キサンタンガム等が挙げられる。ポリアクリルアミド系増粘剤としては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モルタル組成物が粘土鉱物以外の流動調整材料を含有する場合、その含有量は、モルタル組成物から補強用繊維及び流動調整材料を除いた組成物(ベース組成物)1mに対して100kg以下であることが好ましい。本実施形態のモルタル組成物に添加される流動調整材料は、粘土鉱物のみであってもよい。
本実施形態に係るモルタル組成物の、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値は、110〜140mmである。このモルタルフロー値が上記範囲内であることで、左官工法により容易に塗布することが可能となる。また、モルタルフロー値が140mm以下であることで、左官工法によりモルタル組成物を塗布した際のダレ(流れ)の発生を十分に抑制することができる。上記モルタルフロー値は、上記効果をより十分に得る観点から、110〜130mmであることが好ましく、110〜120mmであることがより好ましい。モルタル組成物のモルタルフロー値は、JIS R5201の規定通り、15回の落下運動を行った15打モルタルフロー値であり、練り上がり直後のモルタル組成物を用いて測定される。
<モルタル組成物の製造方法>
本実施形態に係るモルタル組成物の製造方法は、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、を有する。上記添加工程においては、粘土鉱物の添加量が、繊維含有組成物から補強用繊維を除いた組成物1mに対して7〜21kgとなり、且つ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタル組成物のモルタルフロー値が110〜140mmとなるように、粘土鉱物を添加する。以下、各工程について説明する。なお、各工程で用いる材料としては、上述のモルタル組成物の材料として説明したものを用いることができる。
混練工程では、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る。混練工程では、上記材料以外の材料を添加してもよい。混練工程は、補強用繊維以外の材料、すなわち結合材と水と細骨材と混和剤とを混練してベース組成物を得る第1の混練工程と、ベース組成物に補強用繊維を加えて混練する第2の混練工程と、を有していることが、各材料の分散性を高める観点から好ましい。
第1の混練工程では、少なくとも結合材と水と細骨材と混和剤とを練り混ぜ、ベース組成物を得る。ここで、練り混ぜ方法としては、特別な方法を用いる必要はなく、通常行われている練り混ぜ方法を用いることができる。これは、第2の混練工程や添加工程においても同様である。練り混ぜ装置としては、試験ミキサ(材料手投入)、バッチ式プラントミキサ(自動投入)、バッチ式モービルミキサ(自動投入)等を用いることができる。
第1の混練工程において、結合材と水と細骨材と混和剤とは一度に練り混ぜてもよいが、複数回に分けて練り混ぜてもよい。例えば、はじめに結合材及び細骨材等の粉体を空練りした後、水及び混和剤等を加えて本練りすることで、ベース組成物を調製してもよい。このとき、水及び混和剤等の添加を複数回に分けて行うことで、本練りを複数回に分けて行ってもよい。また、混和剤の一部又は全部は、空練り時に加えてもよい。空練りは、例えば、約30秒間以上行えばよい。本練りは、約5〜10分間(複数回に分けた場合も含む)行うことができる。練り混ぜを複数回に分けて行うことにより、各材料をより均一に分散させることができ、高い強度を有する硬化物を安定して得ることが可能となる。
第2の混練工程では、ベース組成物に補強用繊維を加えて練り混ぜ、繊維含有組成物を得る。練り混ぜは、約2〜5分間行うことができる。
第2の混練工程で得られる繊維含有組成物は、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験における0打モルタルフロー値が230〜300mmであることが好ましく、230〜270mmであることがより好ましい。モルタルフロー値を上記範囲内とすることで、ミキサへの負荷をより低減しつつ、補強用繊維を均一に分散させることができる。ここで、0打モルタルフロー値とは、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験と同様の手順において、15回の落下運動を行わず、フローコーンを引き上げた際に自重で崩れた試料の拡がり直径を測定した値である。
添加工程では、繊維含有組成物に粘土鉱物を含む流動調整材料を加えて練り混ぜ、モルタル組成物を得る。練り混ぜは、約2〜5分間行うことができる。粘土鉱物は、粉体状のものをそのまま添加してもよく、水を加えてスラリー状にしたものを添加してもよいが、モルタル組成物の塗布後のダレの発生をより十分に抑制する観点から、粉体状のものを添加することが好ましい。ここで、水を加えてスラリー状にしたものを添加する場合、後述する粘土鉱物の添加量は、スラリー化に用いる水の量も含めたベース組成物1mに対する量である。
添加工程で添加する粘土鉱物の量、及び、得られるモルタル組成物のモルタルフロー値は、モルタル組成物の説明の中で述べた通りである。
第1の混練工程、第2の混練工程、及び添加工程は、連続的に行ってもよく、不連続的に行ってもよい。不連続的に行う場合、例えば、第1の混練工程及び第2の混練工程を工場で行い、添加工程を現場等の別の場所で行ってもよく、第1の混練工程を工場で行い、第2の混練工程及び添加工程を現場等の別の場所で行ってもよい。
<コンクリート構造物の補修・補強方法>
本実施形態に係るコンクリート構造物の補修・補強方法は、結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、上記繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、上記モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に、上記モルタル組成物を左官工法によりコンクリート構造物の補修又は補強したい部位に塗布する左官工程と、を有する。ここで、混練工程及び添加工程は、上述のモルタル組成物の製造方法において説明したものと同じ工程である。
左官工程では、モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に、モルタル組成物を左官工法によりコンクリート構造物の補修又は補強したい部位に塗布する。モルタル組成物の練り上がりから2時間超経過すると、粘性が高くなり過ぎ、左官工法による均一な塗布が困難となる場合があるため、練り上がり後2時間以内に塗布が行われる。モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に左官工程を行うことで、左官工法によりダレを抑制しながら容易に塗布することができる。上記の観点から、モルタル組成物の練り上がりから塗布するまでの経過時間は短いほど好ましく、90分以内であることが好ましく、60分以内であることがより好ましい。
モルタル組成物は、左官工程によりコンクリート構造物の補修又は補強したい部位に塗布した後、養生することができる。養生方法は限定されるものではなく、温風養生、電熱マット養生、封緘養生などの場所で実施可能な養生方法を採用することができる。塗布したモルタル組成物は、必要に応じて上記養生を経て、硬化物とすることができる。
本実施形態の補修・補強方法では、例えば現場にて、モルタル組成物の練り上がり直後にモルタルフロー値を測定し、その値が上述した所定の範囲内であることを確認した上で左官工程を行ってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施することができる。
上述した本実施形態のモルタル組成物及び補修・補強方法は、亀裂やひび割れ等の破損箇所の補修、又は、予防保全(予め補強しておくこと)、耐震補強等の目的で、橋脚等の既設のコンクリート構造物の補修又は補強に好適に用いることができる。本実施形態のモルタル組成物及び補修・補強方法は、コンクリート構造物の側面等の鉛直面に限らず、鉛直方向から傾いた傾斜面、及び、橋脚等の床版下面や桁下面などの補修又は補強にも好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜2)
下記表1に示す各成分を同表に示す配合量で下記手順により混合し、モルタル組成物を作製した。また、練り混ぜには強制二軸ミキサ((株)北川鉄工所製、商品名:WHQ−120)を用いた。まず、結合材、細骨材、高性能減水剤及び消泡剤を30秒間練り混ぜた後、水を加えて8分間練り混ぜ、ベース組成物を得た。次いで、ベース組成物に鋼繊維(住友電工スチールワイヤー(株)製、長さ:10mm、直径:0.2mm)を加えて2分間練り混ぜ、繊維含有組成物を得た。練り上がった繊維含有組成物に粘土鉱物を加え、2分間練り混ぜた後、ミキサから排出し、モルタル組成物を得た。なお、表1に示した鋼繊維及び粘土鉱物の配合量は、ベース組成物1mに対する外割の配合量(kg)である。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
結合材:普通ポルトランドセメント(電気化学工業(株)製、密度3.16g/cm)、シリカフューム(エルケム社製、密度2.44g/cm)、CGFA(オランダ産、密度2.44g/cc)、及び、石膏(不溶性無水石膏、天然産、密度2.82g/cm)の混合物(電気化学工業(株)製、商品名:サクセム用プレミックス結合材)
細骨材:千葉県君津産山砂、5mm以下、密度2.62g/cm
高性能減水剤(混和剤):ポリカルボン酸系高性能減水剤(BASFジャパン社製、商品名「マスターグレニウムSP8HU」)
消泡剤:ポリアルキレングリコール誘導体(BASFジャパン社製、商品名:マスターエア404)
鋼繊維:高強度鋼繊維(住友電工スチールワイヤー社製、商品名:サクセム用鋼繊維、直径0.2mm、長さ15mmと22mmのブレンド品、密度7.85g/cm、引張強度2×10N/mm
粘土鉱物(流動調整材料):セピオライト(IMV社製、商品名:Thermogel、セピオライト含有量:95質量%超)
なお、表1には、セメント組成物中の結合材に対する水の割合を示す、水結合材比の値(単位:質量%)を示した。また、表1において、水の量は高性能減水剤及び消泡剤に含まれる水の量を含めた量である。また、表1において、鋼繊維及び粘土鉱物を除いた各成分(ベース組成物)の合計の体積は1mであった。また、各実施例及び比較例において、鋼繊維の配合量はベース組成物の全体積(100体積%)に対して外割で2.5体積%であった。
(比較例3)
市販の高強度ポリマーセメントモルタル(プレミックス材、BASFジャパン社製、商品名:マスターエマコS990)1750kgに水301kgを加え、強制二軸ミキサ((株)北川鉄工所製、商品名:WHQ−120)を用いて3分間練り混ぜ、モルタル組成物を得た。上記高強度ポリマーセメントモルタルは、鋼繊維を含まないものである。
<モルタルフロー値の測定>
実施例及び比較例で作製したモルタル組成物のモルタルフロー値を、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験により測定した。ここで、モルタルフロー値は、JIS R5201の規定通り15回の落下運動を行った15打モルタルフロー値である。結果を表1に示す。モルタルフロー値の測定は、モルタル組成物の練り上がり後、直ちに行った。
<ダレの評価>
木製の角型容器(縦50cm×横50cm×深さ100mm)を、その底面が鉛直方向に平行となるように立て、実施例及び比較例で作製したモルタル組成物をコテを用いた左官工法により所定の厚さ(20mm、35mm、50mm、及び、100mm)で容器の底面に均一に塗布した。モルタル組成物は、粘土鉱物を混合してから60分以内のものを用いた。塗布してから30分後の塗布面について、ダレが発生することなく鉛直面を維持できているかを目視にて観察し、以下の基準に基づいてダレの評価を行った。但し、比較例2のモルタル組成物は、粘性が高すぎて練り混ぜできなかったため、評価不能であった。結果を表1に示す。また、実施例4のモルタル組成物を100mmの厚さで塗布した状態、及び、比較例1のモルタル組成物を20mmの厚さで塗布した状態の写真を図1に示す。
A:20〜100mmの厚さでダレが発生しなかった。
B:20〜50mmの厚さでダレが発生しなかった。
C:20〜35mmの厚さでダレが発生しなかった。
D:20mmの厚さでダレが発生しなかった。
E:20mmの厚さでダレが発生した。
<圧縮強度の測定>
JIS A1108に準拠して、実施例及び比較例で得られたモルタル組成物を用いて作製したφ50mm×100mmの円柱供試体(20℃封緘養生、材齢28日)の圧縮強度を測定した。但し、比較例2のモルタル組成物は、粘性が高すぎて練り混ぜできなかったため、評価不能であった。結果を表1に示す。円柱供試体の作製は、モルタル組成物の練り上がり後、直ちに行った。
Figure 0006964548
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4で得られたモルタル組成物は、左官工法により塗布した場合にダレの発生を抑制することができると共に、十分な強度を有する硬化物を形成できることが確認された。

Claims (7)

  1. 結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、流動調整材料とを含有する、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いられるモルタル組成物であって、
    前記流動調整材料が粘土鉱物を含み、
    前記粘土鉱物の含有量が、前記モルタル組成物から前記補強用繊維及び前記流動調整材料を除いた組成物1mに対して7〜21kgであり、
    前記補強用繊維の含有量が、前記モルタル組成物から前記補強用繊維及び前記流動調整材料を除いた組成物の全体積(100体積%)に対して外割で0.5〜3体積%であり、
    JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験によるモルタルフロー値が110〜140mmである、モルタル組成物。
  2. 前記補強用繊維が、直径0.1〜0.25mm、長さ10〜24mm及び引張強度2×10N/mm以上の繊維である、請求項1に記載のモルタル組成物。
  3. 前記補強用繊維が無機系繊維又は有機系繊維を含む、請求項1又は2に記載のモルタル組成物。
  4. 結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、
    前記繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、
    を有し、
    前記添加工程において、前記粘土鉱物の添加量が、前記繊維含有組成物から前記補強用繊維を除いた組成物1mに対して7〜21kgとなり、且つ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による前記モルタル組成物のモルタルフロー値が110〜140mmとなるように、前記粘土鉱物を添加する、左官工法によるコンクリート構造物の補修又は補強に用いられるモルタル組成物の製造方法。
  5. 結合材と、水と、細骨材と、混和剤と、補強用繊維と、を混練して繊維含有組成物を得る混練工程と、
    前記繊維含有組成物に、粘土鉱物を含む流動調整材料を添加してモルタル組成物を得る添加工程と、
    前記モルタル組成物の練り上がりから2時間以内に、前記モルタル組成物を左官工法によりコンクリート構造物の補修又は補強したい部位に塗布する左官工程と、
    を有し、
    前記添加工程において、前記粘土鉱物の添加量が、前記繊維含有組成物から前記補強用繊維を除いた組成物1mに対して7〜21kgとなり、且つ、JIS R5201に規定されたモルタルフロー試験による前記モルタル組成物のモルタルフロー値が110〜140mmとなるように、前記粘土鉱物を添加する、コンクリート構造物の補修・補強方法。
  6. 前記補強用繊維が、直径0.1〜0.25mm、長さ10〜24mm及び引張強度2×10N/mm以上の繊維である、請求項5に記載の補修・補強方法。
  7. 前記補強用繊維が無機系繊維である、請求項5又は6に記載の補修・補強方法。
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