(第一実施形態)
第一実施形態における音叉型水晶素子120は、図1及び図2に示すように、水晶基部121、水晶保持部122、水晶振動部123及び水晶支持部124からなる。音叉型水晶素子120の表面には、励振電極125a、125b、126a及び126bと、引き出し電極127a及び127bと、周波数調整用金属膜128a及び128b、水晶延出部129とにより構成されている。
水晶基部121は、後述する水晶振動部123及び水晶保持部を支持するために用いられる。水晶基部121は、結晶の軸方向として電気軸がX軸、機械軸がY軸、及び光軸がZ軸となる直交座標系としたとき、X軸回りに−5°〜+5°の範囲内で回転させたZ′軸の方向が厚み方向となる平面視略四角形の平板である。
水晶保持部122は、後述する水晶支持部124と共に音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶保持部122は、水晶基部121の水晶振動部123が形成されている側面と対向する面に設けられている。水晶保持部122は、平面視した際に、水晶基部121よりもX軸方向に幅が広くなるようにして設けられている。
水晶振動部123は、例えば、その表面に所望のパターンの励振電極125、126を形成し、その励振電極125、126に電位を印加することにより、所望の周波数の振動を励起するためのものある。水晶振動部123は、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bとからなる。第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bは、水晶基部121の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。
水晶支持部124は、前述した水晶保持部122と共に音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶支持部124は、水晶保持部122の水晶振動部123が形成されている面と同一方向の面より、水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられている。つまり、水晶支持部124は、水晶保持部122の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。また、水晶支持部124は、水晶振動部123よりも外側に位置するように設けられている。
水晶延出部129は、水晶保持部122及び水晶振動部123と共に音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶延出部129は、水晶支持部124は、水晶保持部122の水晶振動部123が形成されている方向と対向する方向に平行に延出するように設けられている。つまり、水晶延出部129は、水晶保持部122の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。このような音叉型水晶素子120は、水晶基部121、水晶保持部122、各水晶振動部123、水晶支持部124及び水晶延出部129と一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により製造される。
また、水晶延出部129は、水晶保持部122の両端からY′軸の方向に平行になるように延出されている。このようにすることにより、水晶保持部122、水晶支持部124及び水晶延出部129により音叉型水晶素子120を保持又は支持することができるため、バランス良く基板110a上に固定することが可能となる。従って、音叉型水晶素子120の振動漏れを有効に低減して、より一層振動の安定性を図ることができる。また、この水晶支持部124を設けることにより、音叉型水晶素子120を実装した後述するパッケージ110に外部より落下などにより衝撃が加わった場合でも、水晶保持部122、水晶支持部124及び水晶延出部129において、その衝撃を吸収することができ、音叉型水晶素子120としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。また、水晶延出部129は、水晶保持部122に設けられているため、水晶保持部122と水晶延出部129との境界に残渣が設けられ、外部からの衝撃に対して強度を向上させることが可能となる。
励振電極125aは、図1及び図2に示すように、第一水晶振動部123aの表裏主面に設けられている。また、励振電極126bは、第一水晶振動部123aの対向する両側面に設けられている。周波数調整用金属膜128aは、第一水晶振動部123aの表主面及び側面の先端部に設けられている。また、一方の引き出し電極127aは、平面視して、水晶支持部124の中心付近、水晶保持部122及びに設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125a、126aと電気的に接続されており、水晶支持部124と水晶保持部122の境界付近の表裏主面に設けられている。
また、励振電極125bは、図1及び図2に示すように、第二水晶振動部123bの表裏主面に設けられている。また、励振電極126aは、第二水晶振動部123bの対向する両側面に設けられている。周波数調整用金属膜128bは、第二水晶振動部123bの表主面及び両側面の先端部に設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125b、125bと電気的に接続されており、水晶保持部122及び水晶支持部124の表裏主面に設けられている。また、他方の引き出し電極127bは、水晶基部121及び水晶保持部122から水晶支持部124に跨るようにして設けられている。
なお、音叉型水晶素子120は、周波数調整用金属膜128a及び128bを構成する金属の量を増減させることにより、その周波数値を所望する値に調整することができる。励振電極125b及び126bと、周波数調整用金属膜128aとは、図2に示すように、水晶片表面に設けられた引き出し電極127bにより電気的に接続している。また、励振電極125a及び126aと、周波数調整用金属膜128bとは、水晶保持部122及び水晶支持部125表面に設けられた引き出し電極127aにより電気的に接続している。
この音叉型水晶素子120を振動させる場合、引き出し電極127a及び127bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第二水晶振動部123bの励振電極126bは+(プラス)電位となり、励振電極126aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第一水晶振動部123aの励振電極126は、第二水晶振動部123bの励振電極126に生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bに伸縮現象が生じ、各水晶振動部123に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。
水晶片を平面視したときの長辺寸法が0.8〜1.2mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.2〜0.7mmである場合を例にして、水晶基部121、水晶保持部122、水晶振動部123及び水晶支持部124を説明する。水晶基部121を平面視したときの長辺寸法が0.2〜0.4mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.1〜0.3mmである。水晶保持部122を平面視したときの長辺寸法が0.2〜0.7mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.03〜0.12mmである。水晶振動部123を平面視したときの長辺寸法が0.6〜0.9mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.05〜0.2mmである。水晶支持部124を平面視したときの長辺寸法が0.6〜0.9mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.05〜0.2mmである。また、水晶保持部129を平面視したときの長辺寸法が0.1〜0.3であり、短辺寸法が、0.05〜0.15mmである。
ここで、音叉型水晶素子120の動作について説明する。音叉型水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極127から励振電極125、126を介して水晶振動部123に印加されると、水晶振動部123が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、音叉型水晶素子120の作製方法について説明する。まず、音叉型水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶片の両主面にフォトリソグラフィー技術によって、水晶基部121、水晶保持部122、水晶振動部123及び水晶支持部124を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振電極125、126及び引き出し電極127を形成することにより作製される。
第一実施形態に係る音叉型水晶素子120は、略矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出するように設けられた水晶振動部123と、水晶基部121の側面と対向する位置にある側面より延出するようにして設けられた略矩形形状の水晶保持部122と、水晶保持部122の側面より水晶振動部123と同一方向に延出するように設けられた一つの水晶支持部124と、水晶保持部122の水晶基部121が設けられた側面と対向する位置にある側面から延出するように設けられた水晶延出部129と、水晶振動部123の上面、下面及び側面に設けられた励振電極125、126と、水晶振動部123から水晶基部121、水晶支持部124にかけて設けられ、励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極127と、を備えている。
このような音叉型水晶素子120は、水晶保持部、水晶支持部及び水晶延出部により保持又は支持することができるため、バランス良く基板上に固定することが可能となる。従って、音叉型水晶素子の振動漏れを有効に低減して、より一層振動の安定性を図ることができ、電気的特性を改善することができる。また、この水晶支持部124を設けることにより、音叉型水晶素子120を実装した後述するパッケージ110に外部より落下などにより衝撃が加わった場合でも、水晶保持部122、水晶支持部124及び水晶延出部129において、その衝撃を吸収することができ、音叉型水晶素子120としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。
(第一変形例)
以下、第一実施形態の第一変形例における音叉型水晶素子120について説明する。なお、第一実施形態の第一変形例における音叉型水晶素子のうち、上述した音叉型水晶素子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第一実施形態の第一変形に係る音叉型水晶素子120は、図3に示すように、水晶振動部123に設けられた溝部Dを備え、溝部D内に励振電極125が設けられており、溝部D内に設けられた突起部Pと、を備えている点で異なっている。
溝部Dは、例えば、その溝部D内の表面に所望のパターンの励振電極125を形成し、その電極に電位を印加することにより、溝部Dを設けていない場合に比べてより大きな電界強度を得るために用いるものである。溝部Dは、第一溝部D1及び第二溝部D2により構成されている。第一溝部D1は、第一水晶振動部123aの表裏主面に各一本ずつ、第一水晶振動部123aの長さ方向に平行して、第一水晶振動部123aの表裏両主面で対向するように設けられている。第一溝部D1の一方の端部は、第一水晶振動部123aと基部121との境界部分に設けられており、第一溝部D1の他方の端部は、第一水晶振動部123aの先端側に位置するように設けられている。また、第二溝部D2は、第二水晶振動部123bの表裏主面に各一本ずつ、第二水晶振動部123bの長さ方向に平行して、第二水晶振動部123bの表裏両主面で対向するように設けられている。第二溝部D2の一方の端部は、第二水晶振動部123bと基部121との境界部分に設けられており、第二溝部D2の他方の端部は、第二水晶振動部123bの先端側に位置するように設けられている。第一溝部D1及び第二溝部D2の長さは、例えば、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bの長さの50〜80%となっている。
突起部Pは、溝部Dをエッチングにより形成する際に、水晶結晶のエッチング異方性よる結晶方位によるエッチングレートの違いによって、音叉型水晶素子120の外形と溝部Dとを同時に形成するためのものである。突起部Pは、第一溝部D1内に設けられている複数の第一突起部P1と、第二溝部D2内に設けられている複数の第二突起部P2とで構成されている。突起部Pは、溝部D内の+X軸側の長さ方向側面から−X軸側の長さ方向側面に向かって、X′軸方向に延びるように、等間隔で複数個設けられている。突起部Pの突出寸法は、溝部Dの幅寸法により変わるものであり、−X´方向の長さで見ると0.005〜0.015mm程度となっている。
また、上記した各実施形態において、突起部Pは各溝部D内に等間隔で設けられているが、音叉型水晶素子120の大きさによっては、それぞれの突起部P同士の間隔を異なるようにしている。このように突起部P同士の間隔を異ならせることで、水晶振動部123の表裏に形成された溝部D内に設けられた突起部Pが、平面透視した際に、突起部Pが重ならない位置に配置することができる。よって、エッチングにより溝部Dを形成する際に、溝部Dが貫通してしまうことを低減することができる。
また、突起部Pを設けることによって、第一溝部D1及び第二溝部D2をエッチングにより形成する際に、水晶結晶のエッチング異方性よる結晶方位によるエッチングレートの違いによって、音叉型水晶素子120の外形と、溝部Dとを同時にエッチングにより形成することができる。よって、音叉型水晶素子120の生産性を向上させることができる。
(第二変形例)
以下、第一実施形態の第二変形例における音叉型水晶素子120について説明する。なお、第一実施形態の第二変形例における音叉型水晶素子のうち、上述した音叉型水晶素子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第一実施形態の第二変形例に係る音叉型水晶素子120は、図4に示すように、一つの水晶振動部123に対して、溝部Dの本数が二本になっている点で異なっている。
また、溝部Dは、第一溝部D1、第二溝部D2、第三溝部D3及び第四溝部D4により構成されている。第一溝部D1及び第二溝部D2は、第一水晶振動部123aの表裏主面に各一本ずつ、第一水晶振動部123aの長さ方向に平行して、第一水晶振動部123aの表裏両主面で対向するように設けられている。第一溝部D1及び第二溝部D2の一方の端部は、第一水晶振動部123aと基部121との境界部分に設けられており、第一溝部D1及び第二溝部D2の他方の端部は、第一水晶振動部123aの先端側に位置するように設けられている。また、第三溝部D3及び第四溝部D4は、第二水晶振動部123bの表裏主面に各一本ずつ、第二水晶振動部123bの長さ方向に平行して、第二水晶振動部123bの表裏両主面で対向するように設けられている。第三溝部D3及び第四溝部D4の一方の端部は、第二水晶振動部123bと基部121との境界部分に設けられており、第三溝部D3及び第四溝部D4の他方の端部は、第二水晶振動部123bの先端側に位置するように設けられている。また、溝部Dが複数設けられていることにより、溝部D内に設けられた励振電極125、126に電位を印加することで、溝部Dが一つの場合に比べてより水晶振動部123の上面、下面及び側面に設けられた励振電極125、126の距離を短くすることができ、クリスタルインピーダンスを小さくすることができる。また、その際に、水晶振動部123を大きくエッチングすることで水晶振動部123の強度が小さくなり耐衝撃性が小さくなってしまうが、水晶保持部122、水晶支持部124及び水晶延出部129により保持する構成と相まって、その衝撃を吸収することができ、音叉型水晶素子120としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。
(第二実施形態)
第二実施形態の水晶デバイスは、図5〜図8に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に実装された第一実施形態の音叉型水晶素子120とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と枠体110bの内側面によって囲まれた凹部Kが形成されている。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面に音叉型水晶素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板110aは、上面に、音叉型水晶素子120を実装するための電極パッド111が設けられている。また、基板110aの長辺側の一辺に沿って、音叉型水晶素子120を接合するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン113及びビア導体114が設けられている。
枠体110bは、基板110aの上面の外周縁に沿って配置され、基板110aの上面に凹部Kを形成するためのものである。枠体110bは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。凹部Kの開口部は、平面視した際に、矩形状となっている。
基板110aの下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つが、音叉型水晶素子120と電気的に接続されている。また、音叉型水晶素子120と電気的に接続されている第一外部端子112a及び第二外部端子112bは、基板110aの下面の対角に位置するように設けられている。
電極パッド111は、音叉型水晶素子120を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対で設けられており、基板110aの一辺に沿うように隣接して設けられている。電極パッド111は、図7及び図8に示されているように基板110aの上面に設けられた配線パターン113とビア導体114を介して、基板110aの下面に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。
電極パッド111は、図7に示すように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。また、外部端子112は、図8に示すように第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。ビア導体114は、図7及び図8に示すように、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b及び第三ビア導体114cによって構成されている。また、配線パターン113は、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成されている。第一電極パッド111aは、基板110aに設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。また、第一配線パターン113aの他端は、第一ビア導体114aを介して、第一外部端子112aと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一外部端子112aと電気的に接続されることになる。第二電極パッド111bは、基板110aに設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。また、第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、第二外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二外部端子112bと電気的に接続されることになる。
また、電極パッド111の算術平均表面粗さは、0.02〜0.10μmであり、基板110a表面の算術平均表面粗さは、0.5〜1.5μmである。よって、導電性接着剤140は、電極パッド111から基板110a上に向かって広がりにくくなる。
外部端子112は、電子機器等の実装基板(図示せず)と電気的に接合するために用いられる。外部端子112は、基板110aの下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110aの上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、第三外部端子112cは、第三ビア導体114cを介して、封止用導体パターン117と電気的に接続されている。
また、第一配線パターン113aは、第一電極パッド111a及び第一ビア導体114aと電気的に接続されている。第一配線パターン113aは、第一電極パッド111aから引き出されており、基板110aの上面に第一配線パターン113aの一部が露出されている。第二配線パターン113bは、第二電極パッド111b及び第二ビア導体114bと電気的に接続されている。第二配線パターン113bは、第二電極パッド111bから近接された枠体110bの短辺方向に向かって延出されており、第二配線パターン113bの一部が露出されている。
ビア導体114は、基板110aの内部に設けられ、その両端は、配線パターン113又は封止用導体パターン117と電気的に接続されている。ビア導体114は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。また、ビア導体114は、図8及び図9に示すように、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b及び第三ビア導体114cによって構成されている。
ここでパッケージ110を平面視したときの一辺の寸法が、1.0〜3.0mmであり、パッケージ110の上下方向の寸法が、0.2〜1.5mmである場合を例にして、凹部K、電極パッド111及び凸部115の大きさを説明する。凹部Kの長辺の長さは、0.7〜2.0.mmであり、短辺の長さは、0.5〜1.5mmとなっている。また、凹部Kの上下方向の長さは、0.1〜0.5mmとなっている。基板110aの一辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。電極パッド111の上下方向の厚みの長さは、10〜50μmとなる。
封止用導体パターン117は、蓋体130と接合部材131を介して接合する際に、接合部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン117は、枠体110bの上面を囲むようにして設けられている。封止用導体パターン117は、図2及び図4に示すように、第三ビア導体114cを介して、第三外部端子112cと電気的に接続されている。封止用導体パターン117は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、凸部115及び封止用導体パターン117となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
音叉型水晶素子120の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって、一対の電極パッド111の上面に塗布される。音叉型水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして音叉型水晶素子120は、導電性接着剤140を加熱硬化させることによって一対の電極パッド111に接合される。
導電性接着剤140は、引き出し電極127a、127bと対向する電極パッド111上に設けられ、音叉型水晶素子120の一端を基板110aの上面と固定するようにして設けられている。導電性接着剤140は、水晶延出部129の表面にも設けられているので、音叉型水晶素子120と電極パッド111との接合強度を向上させることができる。また、導電性接着剤140は、水晶デバイスに熱が印加された場合に膨張し、冷却された場合に収縮することになる。この導電性接着剤140が熱膨張及び収縮することによって、音叉型水晶素子120に応力がかかることになる。導電性接着剤140に起因する応力は、等方性に同心円になるように分布する。このように導電性接着剤140の熱膨張により発生した応力が、同心円状に広がることなく、水晶支持部124と水晶振動部123との間に空間によって遮られることになる。また、仮に、導電性接着剤140に起因する応力が伝播したとしても、水晶支持部124から水晶基部121の縁に沿って伝播することになる。このようにすることで、導電性接着剤140の応力が励振電極125、126に伝播するまでの距離を長くすることができるので、導電性接着剤140の応力が励振電極125、126に伝播する前に十分に緩和することができる。よって、励振電極125、126への導電性接着剤140の応力の影響を低減することができる。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されている。導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
導電性接着剤140の粘度が、35〜45Pa・sのものを使用することによって、塗布した際に、導電性接着剤140は、電極パッド111から基板110a上面に流れ出にくくなることで、電極パッド111上に留まり、上下方向の厚みが維持される。導電性接着剤140の上下方向の厚みの長さは、10〜25μmである。このように導電性接着剤140の厚みを確保できることによって、落下等の試験により加わった衝撃が音叉型水晶素子120に対して導電性接着剤140を中心にして上下方向へ加わったとしても、その衝撃を導電性接着剤140で十分に吸収緩和することができる。
蓋体130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体130は、真空状態にある凹部K、あるいは窒素ガスなどが充填された凹部Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、パッケージ110の枠体110b上に載置される。そして、枠体110bの封止用導体パターン117と蓋体130の接合部材131とが溶接されるように、蓋体130に所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、蓋体130を枠体110bに接合する。
接合部材131は、パッケージ110の枠体110b上面に設けられた封止用導体パターン117に相対する蓋体130の箇所に設けられている。接合部材131は、例えば、金錫又は銀ロウによって設けられている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。
接合部材131は、例えば、ガラスの場合には、350℃〜400℃で溶融する鉛フリーガラスである例えばバナジウムを含有した低融点ガラスから構成されている。鉛フリーガラスは、バインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。接合部材131は、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で塗布され乾燥することで設けられる。
また、第二実施形態の水晶デバイスでは、このような音叉型水晶素子120を用いることによって、導電性接着剤140で固定する箇所である引き出し電極127a、127bが形成されている水晶保持部122と励振電極125、126が形成されている水晶振動部123との間に設けられた空間及び水晶基部121に設けられた水晶延出部129によって、導電性接着剤140により発生した励振電極125、126への応力の伝播が遮られることになる。また、仮に、導電性接着剤140により発生した応力が伝播したとしても、水晶支持部124及び水晶基部121沿って伝播することになる。このようにすることで、応力が励振電極125、126に伝播するまでの距離を長くすることができるので、応力が励振電極125、126に伝播する前に十分に緩和することができる。よって、音叉型水晶素子120の屈曲振動が阻害されることを抑制しつつ、音叉型水晶素子120のクリスタルインピーダンス値を低減することができる。
また、第二実施形態の水晶デバイスでは、配線パターン113が、電極パッド111と電気的に接続されており、平面視した際に、枠体110bと重なる位置に設けられている。このようにすることによって、水晶デバイスは、配線パターン113と音叉型水晶素子120との間で浮遊容量が発生することを抑えるので、音叉型水晶素子120にこの浮遊容量が付与されることがないため、発振周波数が変動してしまうことを抑えることができる。また、水晶デバイスに外力が加わり、枠体110bの長辺方向に曲げモーメントが発生しても、基板110aに加えて枠体110bが設けられていることにより、枠体110bが設けられている箇所は、変形しにくくなる。よって、枠体110bと平面視して重なる位置に設けられた配線パターン113は、断線しにくくなり、発振周波数が出力されなくなることを抑制することができる。
(第一変形例)
以下、第二実施形態の第一変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、第二実施形態の第一変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第二実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスは、図9に示すように、基板110aの上面に凸部115が設けられている点で異なっている。
凸部115は、音叉型水晶素子120の短辺の上下方向の傾きが抑制され、音叉型水晶素子120の長辺側端部が基板110aや蓋体130に接触することを抑制するためのものである。凸部115は、図9に示すように、第二電極パッド111bが近接する位置にある基板110aの一辺と対向する位置にある基板110aの一辺に沿って、基板110aの上面に設けられている。また、凸部115は、電極パッド111と同様に、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等上面に金メッキ、ニッケルメッキを施すことにより設けられている。凸部115は、平面視して、後述する音叉型水晶素子120の水晶保持部122と重なる位置に設けられている。このようにすることで、音叉型水晶素子120を実装する際に、水晶基部121が基板110aに接触することを抑えることができる。基板110aの一辺と平行となる凸部115の辺の長さは、0.05〜0.15mmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる凸部115の辺の長さは、0.20〜0.35mmとなる。凸部115の上下方向の厚みの長さは、17〜65μmとなる。
また、第二実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスは、水晶基部121が凸部115と接触されていることにより、音叉型水晶素子120の水晶振動部123が基板110aに接触することを抑えることができる。よって、音叉型水晶素子120の水晶振動部123が基板110aに接触することを抑えることができるので、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
また、第二実施形態の第一変形例に係る水晶デバイスでは、凸部115の上下方向の厚みが、電極パッド111の上下方向の厚みよりも大きくなるように設けられている。このようにすることで、音叉型水晶素子120の水晶基部122が基板110aに接触することをさらに抑えることができる。よって、音叉型水晶素子120の水晶振動部123が基板110aに接触することをさらに抑えることができるので、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動してしまうことをさらに低減することができる。
(第二変形例)
以下、第二実施形態の第二変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、第二実施形態の第二変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第二実施形態の第二変形例に係る水晶デバイスは、図10に示すように、基板110aの一辺に沿って第二電極パッド111bと隣接するように設けられた第一電極パッド111aの代わりに枕部116が設けられている点で異なっている。
枕部116は、音叉型水晶素子120の短辺の上下方向の傾きが抑制され、音叉型水晶素子120の長辺側端部が基板110aや蓋体130に接触することを抑制するためのものである。枕部
116は、第二電極パッド111bと隣接する位置にある基板110aの一辺と対向する位置にある基板110aの一辺に沿って、基板110aの上面に設けられている。また、枕部116は、電極パッド111と同様に、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等上面に金メッキ、ニッケルメッキを施すことにより設けられている。枕部116は、平面視して、後述する音叉型水晶素子120の水晶基部121又は水晶保持部122と重なる位置に設けられている。このようにすることで、音叉型水晶素子120を実装する際に、水晶基部121又は水晶保持部122が基板110aに接触することを抑えることができる。
第二実施形態の第二変形例に係る水晶デバイスは、第二実施形態の水晶デバイスと同様の効果を有する。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記実施形態では、枠体110bが基板110aと同様にセラミック材で一体的に形成した場合を説明したが、枠体110bが金属製であっても構わない。この場合、枠体は、銀−銅等のロウ材を介して基板の導体膜に接合されている。
第二実施形態では、基板110aの下面に四つの外部端子112が設けられている場合を説明したが、基板の下面に二つの外部端子を設けるようにしても構わない。この場合には、封止用導体パターンは、外部端子とは、電気的に接続されていない。