JP2017084592A - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】SOFCの温度が比較的低温側の温度域に低下しても取出しうる電流量を可能な限り確保できる固体酸化物形燃料電池システムを得る。【解決手段】 アンモニア含有ガスと酸素含有ガスとが供給されて発電する固体酸化物形燃料電池システムを構成するに、燃料ガス供給系統にアンモニアを分解するアンモニア分解部1を発電モジュールM1と熱的に接続して備え、燃料極52にアンモニア分解部1において分解されたガスが供給されるとともに、空気極53に酸化性ガス供給系統を介して前記酸素含有ガスが供給され、アンモニア分解部1の温度をアンモニアが分解する温度であるアンモニア分解温度以上に加熱する第一加熱手段2を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、固体酸化物形電解質の一方の側に燃料極を、他方の側に空気極を有して成る固体酸化物形燃料電池セルを備えた発電モジュールに、燃料ガスを供給する燃料ガス供給系統と酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給系統とを備え、
アンモニアを含有するアンモニア含有ガスと、酸素を含有する酸素含有ガスとが供給されて発電する固体酸化物形燃料電池システムに関する。
以下の説明において、固体酸化物形燃料電池をSOFCと略記することがあるものとする。従って、例えば本願に係る「固体酸化物形燃料電池システム」はSOFCシステムと記載することがあり、その固体酸化物形燃料電池を構成するセルをSOFCセルと記載することがあり、当該SOFCセルを多数積層したスタック構造体をSOFCスタックと記載することがあるものとする。
燃料電池の燃料は基本的には水素であり、この水素源として炭化水素、アンモニア等が使用される。炭化水素、アンモニア等は水素エネルギーキャリヤーと呼ばれ、キャリヤーを改質することで電池燃料となる水素を得てきた。
しかしながら、前者の水素エネルギーキャリアー(炭化水素)は、温暖化の原因となる炭酸ガスを発生する、電極に炭素デポジットが生成されやすい等の問題あった。後者の水素エネルギーキャリヤー(アンモニア)は、炭酸ガスの発生がなく、エネルギー密度が高いことから、今日、鋭意、研究の対象となっている。
ただし、その開発の方向は、燃料であるアンモニアを直接燃料極まで到達させて、燃料電池の運転開始から発電を行い、さらに停止させようとするものである。
このような技術として、以下に示す特許文献1、2、3に記載の技術を挙げることができる。
特許文献1に開示の技術は、アンモニアを含むガスを燃料とするSOFCにおいて、アンモニア分解反応器を必要とせず、燃料を直接燃料極に供給し、SOFC定常運転時のアンモニアのSOFC系外への排出量を5ppm以下に制御しようとする技術である。この目的を達成するために、固体酸化物形燃料電池用燃料極材料、当該燃料極材料により形成された燃料極、さらには、当該燃料極を有する固体酸化物形燃料電池用セルが独特の構成とされる。
即ち、特許文献1に開示の技術では、燃料極材料に、周期律表第6族〜10族の元素の金属からなる群より選択される少なくとも1種であるアンモニア分解触媒、電極触媒、および固体電解質粒子を含ませ、この燃料極材料で形成された燃料極を採用する固体酸化物形燃料電池用セルを提案している。
特許文献2に開示の技術は、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池システムの起動方法に関する。
この技術では、燃料電池の発電起動前に水素リッチガス9を燃料極に供給して燃料極触媒成分を還元して電極触媒活性とアンモニア分解活性を付与し、次いで発電起動時に水素リッチガスを停止しアンモニアを燃料ガスとして燃料極に供給して発電を行う。
この発電起動前は燃料極からの排ガス5aを排ガス燃焼器11に通して生成した燃焼排ガス5cを空気極に供給、また発電起動時は燃料極からの排ガス5aの一部を循環して再度燃料極に供給し、他の一部を排ガス燃焼器に通して生成した燃焼排ガスを空気極に供給してもよいとされている。
特許文献3に開示の技術の目的の一つは、固体酸化物形燃料電池を発電するに際して、燃料の改質反応に由来する電池の部分的な温度低下による電極触媒活性の低下を防止することおよび温度の変化による電極のサーマルクラックの発生を抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するために、この文献に開示の技術では、固体酸化物形燃料電池の燃料極よりも上流側に当該燃料を酸化する能力を有する酸化触媒を設置することが提案されている。酸化触媒が設置される箇所は、燃料極表面(図1、図3)、燃料極への燃料(アンモニアを含むガス)の供給部位(図2、図4)とされている。
特開2011−204416号公報 特開2011−204418号公報 特開2013−211117号公報
しかしながら、SOFCの動作温度は環境条件等の要因により変動することがある。
発明者らの検討によれば、SOFCの燃料極に、燃料としてアンモニアを直接供給した場合と、アンモニアを分解した状態で得られる水素と窒素の混合物とを供給した場合とで、SOFCの温度に依存して、取出し可能な電流量が大きく変わることが判明した。この原因を、発明者らは、動作温度に依存して不可避的な分極が発生するためではないかと推察している。
この状況を、以下、詳細に図9に基づいて説明する。
図9は、横軸に電流密度〔A/cm〕を、縦軸に平均セル電圧〔V〕を採ったものであり、電流密度の増加に伴って平均セル電圧がどのように変化するかを試験した結果である。
試験においては、SOFCセルとして、以下の構成の一般的なSOFCセルを使用した。
図1にSOFCセル50を模式的に示しているが、固体酸化物形電解質51の一方の側に燃料極52を、他方の側に空気極53を有してSOFCセル50を構成し、燃料極52の固体酸化物形電解質51とは反対側となる面に燃料ガスを供給し、空気極53の固体酸化物形電解質51とは反対側となる面に酸化性ガスを供給して、発電反応を起こさせた。SOFCセル50の形状は平板型とした。従って、固体酸化物形電解質51、燃料極52、空気極53も基本的には平板状であり、セルの支持型は燃料極支持型とした。
固体酸化物形電解質51の材料は、所謂、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を基本とする酸素イオン伝導性セラミックス材料とし、その厚さは5〜100μmの範囲とした。
燃料極52は、良く知られているように、燃料(本願の場合はアンモニア)に依存して決定されるSOFCで一般に使用される燃料極材料を選択しており、燃料極電極触媒と固体酸化物形電解質粒子により形成される。
燃料極電極触媒の材料としてはニッケルを基本とする材料とし、燃料極52中に含まれる固体電解質粒子は、先に説明した固体酸化物形電解質51を構成する材料とした。また、燃料極52の厚さは200〜2000μm程度とした。
空気極53の材料としては、通常のSOFCに用いられる空気極材料を用いた。良くしられているように、空気極は空気極電極触媒と固体酸化物形電解質粒子により形成される。
空気極電極触媒としては、マンガン系、フェライト系、コバルト系やニッケル系ペロブスカイト型構造の酸化物を使用し、空気極53中に含有される固体酸化物形電解質粒子は、燃料極で用いることのできる固体酸化物形電解質粒子と同様の材料を使用した。また、空気極53の厚さは20〜200μm程度とした。
図9に、電池温度が異なる場合の平均セル電圧〔V〕が示されており、各線が燃料極に水素及び窒素を供給した場合の各電池温度での結果であり、各線に対して分散した記号で示される各記号位置が、アンモニアを直接燃料極に供給した場合の結果である。記号と温度の関係を同図右上に示している。
この結果からも判明するように、一般的なSOFCの作動温度域である600℃〜800℃の温度域において、比較的高温側の温度域(例えば750℃、800℃)では、燃料の種類による電圧の低下はそれほど認められない。対して、比較的低温側の温度域(例えば、600℃、650℃)では、燃料を水素+窒素とする場合とアンモニアとする場合とで、大きな差があることが判る。さらに、600℃においては取出し可能な電流量にかなりの差が現れることが判る。
従って、本発明の目的はSOFCの温度が比較的低温側の温度域にまで低下しても取出しうる電流を当該SOFCが出力し得る可能な限り高く保つことができる固体酸化物形燃料電池システムを得ることにある。
上記の目的を達成するための本願に係るSOFCシステムは以下の構成とする。
固体酸化物形電解質の一方の側に燃料極を、他方の側に空気極を有して成る固体酸化物形燃料電池セル(SOFCセル)を備えた発電モジュールに、燃料ガスを供給する燃料ガス供給系統と酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給系統とを備え、
アンモニアを含有するアンモニア含有ガスと、酸素を含有する酸素含有ガスとが供給されて発電する固体酸化物形燃料電池システム(SOFCシステム)の特徴構成は、
前記燃料ガス供給系統に、前記アンモニア含有ガスに含有されるアンモニアを分解するアンモニア分解部を前記発電モジュールと熱的に接続して備え、前記燃料極に前記アンモニア分解部において分解されたガスが供給されるとともに、前記空気極に前記酸化性ガス供給系統を介して前記酸素含有ガスが供給され、
前記アンモニア分解部の温度をアンモニアが分解する温度であるアンモニア分解温度以上に加熱する第一加熱手段を備えたことにある。
このSOFCシステムは、SOFCセルを備えた発電モジュールを備え、燃料ガス供給系統から燃料ガスを、酸化性ガス供給系統から酸化性ガスを供給されて発電作動する。ここで、燃料ガスの供給先はSOFCセルに備えられる燃料極であり、酸化性ガスの供給先は空気極である。
さて、本願に係るSOFCシステムでも、アンモニア含有ガス及び酸素含有ガスが基本的には燃料ガス、酸化性ガスとして供給されるのであるが、アンモニア含有ガスを燃料電池に供給する燃料ガス供給系統にアンモニア分解部が備えられる。このアンモニア分解部は発電モジュールと熱的に接続されるとともに、第一加熱手段も備える。
従って、アンモニア分解部は発電モジュールと熱的に接続されるため、通常のSOFC発電状態では、この発電モジュールが比較的高温に維持されるため、アンモニア分解部も比較的高温に保たれる。SOFCの作動温度は先にも説明したように低くとも600℃以上であり、アンモニアの分解温度は、後に図10に基づいて説明するように200℃程度以上、さらに好ましくは400℃以上となる。従って、発電状態にあるSOFC側から熱をアンモニア分解部に伝熱することで、アンモニアの分解が促進でき、アンモニアを直接SOFCセルに供給する場合の先に説明した問題点を解消できる。
一方、SOFCが充分に昇温していない場合は、アンモニア分解部を第一加熱手段により加熱することが可能となる。よって、燃料電池の始動時、停止時等の昇温,降温が必要となる期間に関しても、アンモニア分解を良好に起こさせることができる。
結果、先に本願の課題の項で説明した問題を解消でき、SOFCの温度が、その動作温度範囲内(600℃〜800℃)で能動的に変わった場合、不測に変わった場合にも、本来、SOFCが出力し得る上限側の適正出力を引き出すことができる。
このようにして発電モジュールに熱的に接続されたアンモニア分解部を備え、この分解部を加熱可能が第一加熱手段を備える構成において、前記第一加熱手段が前記発電モジュールから排出される可燃成分を燃焼して加熱する燃焼加熱部であることが好ましい。
第一加熱手段を発電モジュールから排出する可燃成分を燃焼する燃焼加熱部とする場合、
本願のようにアンモニアを燃料とするSOFCでは、発電モジュールをスルーしてくる可燃成分を燃焼加熱部で燃焼させアンモニア分解部の加熱を行うことができ、複雑な配管供給系を設けることなく、本来、SOFCに備えられる燃料ガス供給系統、酸化性ガス供給系統、さらには、燃料電池オフガス排出系統を使用して、本願の目的を達成できるシステムを簡便に構築できる。
さらに、この固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
前記発電モジュールから、燃料排ガスを排出する燃料排ガス排出系統と、酸化性排ガスを排出する酸化性排ガス排出系統とを備え、
前記燃焼加熱部に、前記燃料排ガス排出系統を介して前記燃料排ガスが、前記酸化性排ガス排出系統を介して酸化性排ガスが供給され、
当該燃焼加熱部において、前記燃料排ガスに含有される可燃成分が燃焼することが好ましい。
この構成の固体酸化物形燃料電池システムでは、燃焼加熱部を構成するに、この部位に燃料排ガス及び酸化性排ガスを流入される。この構成では、燃料電池が発電を行うことなく、発電に伴って燃料ガス及び酸化性ガスが消費されないとき(システム運転開始段階)では、燃焼加熱部にアンモニア含有ガスが燃料排ガスとして、酸素含有ガスが酸化性排ガスとして流入する。そして、前者ガスにはアンモニアが燃焼成分として、後者ガスには酸素が含まれているため、燃焼加熱部における燃焼を良好に起こさせることができる。
一方、発電をおこなっている場合は、発電に消費される分だけ燃焼加熱部に流入する燃焼成分及び酸素量は減少するが、この減少分を見越して燃料ガス流量及び酸化性ガス量を設定しておくことで、アンモニア分解部の加熱に必要な燃焼熱を確保することができる。
さて、少なくともアンモニアを燃焼する燃焼触媒を前記燃焼加熱部に備え、
当該燃焼加熱部を、前記燃焼触媒がアンモニアを燃焼させる温度であるアンモニア燃料温度以上に加熱する第二加熱手段を備えておくことが好ましい。
この構成では、燃焼加熱部で起こすべき燃焼を触媒燃焼とすることが可能となる。
さらに、第二加熱手段を備え、燃焼加熱部を所定の温度域に昇温できるようにしておくことで、アンモニア分解部でのアンモニア分解を良好に進めるための加熱を、アンモニアの触媒燃焼で容易に実現できる。
このような第二加熱手段としては通用の加熱手段、電気ヒータ、燃料バーナ等を採用できる。
また、前記酸化性ガス供給系統に、当該系統を流れる前記酸化性ガスを前記燃焼加熱部から排出するガスで加熱する第三加熱手段を備えておくことが好ましい。
この構成を採用することで、空気極に送られる酸化性ガスの予熱を、燃焼加熱部から排出するガスで行うことができ、エネルギーの有効利用を図ることができる。
さて、これまでの説明では、SOFCに備えられる発電モジュール、アンモニア分解部、燃焼加熱部、第二加熱手段の接続関係に関しては、発電モジュールとアンモニア分解部との熱的接続関係、アンモニア分解部と燃焼加熱部との熱的接続関係、燃焼加熱部と第二加熱手段との熱的接続関係については説明したが、発電モジュール、アンモニア分解部、燃焼加熱部及び第二加熱手段全体の熱的接続関係に関しては述べていない。
この点に関して、本願に係る固体酸化物形燃料電池システムでは、以下の独特の構成を採用する。
即ち、前記第一加熱手段が前記発電モジュールから排出されるガスを燃焼して加熱する燃焼加熱部であるとともに、
前記発電モジュールから、前記燃料排ガスを排出する燃料排ガス排出系統と、前記酸化性排ガスを排出する酸化性排ガス排出系統とを備え、前記燃料排ガス排出系統を介して前記燃料排ガスが、前記酸化性排ガス排出系統を介して酸化性排ガスが前記燃焼加熱部に供給され、当該燃焼加熱部において前記燃料排ガスに含有される可燃成分が燃焼する構成で、
前記燃焼加熱部に、アンモニアを燃焼する燃焼触媒を備え、
当該燃焼加熱部を前記燃焼触媒がアンモニアを燃焼させる温度であるアンモニア燃焼温度以上に加熱する第二加熱手段を備える構成において、
前記発電モジュールに熱的に接続して、前記アンモニア分解部、前記燃焼加熱部、前記第二加熱手段を前記発電モジュールから離間する方向に記載順に設けるのである。
このように構成することで、アンモニア分解部が発熱部と言える発電モジュールと燃焼加熱部とに挟まれ、さらに、燃焼加熱部の加熱を第二加熱手段で良好に行うことができる。また、これらの部位(アンモニア分解部、前記燃焼加熱部、前記第二加熱手段)は、後に実施の形態でも示すように、発電モジュールの形状に合わせた状態で、順次一体化容易な構造体とできる。
さらに、前記の構造体において、前記酸化性ガス供給系統を流れる前記酸化性ガスを前記燃焼加熱部から排出するガスで加熱する第三加熱手段を、前記第二加熱手段の発電モジュールから離間する方向に当該第二加熱手段と熱的に接続して備えることが好ましい。
この構成を採用することで、酸化性ガスの予熱も一体化された構造体で実現できる。
さて、以上説明してきた固体酸化物形燃料電池システムに、アンモニアの供給を受けて、前記燃焼加熱部から排出される排ガスから窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去手段を備えることが好ましい。
アンモニアを燃料とし、さらに、燃焼加熱部を備えた本願に係るSOFCシステムでは、SOFC自体が高温状態で発電を行い、さらに燃焼加熱部で、燃料排ガス及び酸化性排ガスの燃焼を起こさせるため、排出される排ガスに窒素酸化物が含まれる場合がある。
そこで、燃焼加熱部からの排ガスに含まれることがある窒素酸化物を除去する手段を、燃料であるアンモニアを使用する構成で設けることで、排気の清浄化を良好に実現できる。
また、これまで説明してきた固体酸化物形燃料電池システムに、
アンモニアを吸脱着する錯体が貯蔵された貯蔵手段を備えるとともに、
前記発電モジュールからの排熱により前記貯蔵手段を前記錯体がアンモニアを分離する温度以上に加熱する第四加熱手段を備えることがこのましい。
アンモニアを錯体に吸着させた状態で貯蔵し、第四加熱手段の働きにより燃料としてのアンモニアが必要となる時点で、アンモニアを脱着させることで、安定的且つ小容積でアンモニアを燃料として利用できる。
前記アンモニア分解部には、アンモニア分解触媒としてのルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄の何れか一種以上を備えることで、先に説明した200℃以上、さらに好ましくは400℃以上でアンモニアの分解を良好に行える。発電モジュールと同じ温度となっていてもよい。
図10は、アンモニアの熱分解温度特性を示したものであり、横軸に温度〔℃〕を縦軸に濃度〔mol%〕を示している。上述の200℃程度でアンモニアガスNH(g)の80%程度が、水素ガスH(g)と窒素ガスN(g)に分解され、400℃以上ではほぼ100%分解されることが判る。
前記燃焼加熱部に、燃焼触媒としての白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウムの何れか一種以上を備えることで、燃焼成分であるアンモニア、水素の燃焼を実現できる。
この燃焼加熱部の温度も、前記アンモニア分解部の温度に対応した温度となる。
前記窒素酸化物除去手段が、バナジウム、モリブデン、タングステン、ゼオライト、基金属の何れか一種以上を窒素酸化物除去触媒として備えることが好ましい。
この構成を採用することで、例えば、アンモニアを還元剤として供給することで、窒素酸化物の除去を図ることができる。
さらに、前記錯体が金属塩化物アンミン錯体、金属臭化物アンミン錯体、金属ヨウ化物アンミン錯体の何れか一種以上であることが好ましい。
これらの錯体は、常温でアンモニアを吸着し、例えば100〜200℃程度でアンモニアを所定の圧力状態で放出するため、安定且つ小容積で本願システムにおいて燃料となるアンモニアを保持・利用することができる。
本願に係る固体酸化物形燃料電池システムの概略構成を示す図 本願に係る固体酸化物形燃料電池システムの全体を示す外観図 本願に係る固体酸化物形燃料電池システムに採用する固体酸化物形燃料電池本体の分解斜視図 図3に示す固体酸化物形燃料電池本体を異なった方向から見た分解斜視図 図3に示す燃焼器の詳細を示す図 固体酸化物形燃料電池システムの運転開始段階のタイムチャート 固体酸化物形燃料電池システムの発電動作段階のタイムチャート 固体酸化物形燃料電池システムの運転停止段階のタイムチャート 固体酸化物形燃料電池セルの燃料極に、燃料としてアンモニアが直接或は水素及び窒素が供給される場合の発電性能の動作温度による変化を示す図 アンモニアの熱分解特性を示す図 別構成の脱硝塔を備えた固体酸化物形燃料電池システムの概略構成を示す図
以下、本願に係るSOFCシステムを図面に基づいて説明する。
本願に係るSOFCシステム100は、アンモニアを燃料として発電動作するシステムであり、図1に示すように、発電モジュールM1の上流側に燃料ガス供給系統102aと酸化性ガス供給系統102bを、下流側に燃料電池オフガスを処理・排出する燃料電池オフガス処理系統103を備えて構成されている。
発電モジュールM1内にはSOFCスタックM1aが備えられ、燃料ガスとしてのアンモニア含有ガスが前記燃料ガス供給系統102aを介して、酸化性ガスとしての酸素含有ガス(具体的には空気)が前記酸化性ガス供給系統102bを介して供給され、発電動作する。
燃料となるアンモニアのSOFCセル50(具体的には燃料極52)への供給状態であるが、本願に係るシステム100では、燃料ガス供給系統102aの発電モジュール入口部位に予備分解器1を備えるため、この予備分解器1の状態(特に温度)に従って、燃料極52には、アンモニアがそのまま供給されたり、アンモニアが水素と窒素とに分解された状態で供給されたりする。一方、空気極53には、空気予熱器4で予熱された空気が供給される。
燃料電池オフガスの処理に関しては、燃料電池オフガスに含まれる諸成分を排気・排出に好ましい性状とするガス処理と、燃料電池オフガスが保有する熱を放熱する放熱処理との二つの処理が含まれる。この目的から燃料電池オフガス処理系統103には、アンモニア脱硝塔103a及びラジエータ103bが備えられている。
さらに当然ではあるが、固体酸化物形燃料電池システム100は燃料電池により発電される直流電力を交流に変換する電力変換器(DC/ACコンバータ)104を備え、交流電力として電力を取り出すことができる。
以下、本願に係るSOFCシステム100では、先に説明した発電モジュールM1、予備分解器1、燃焼器2、ヒータ3及び空気予熱器4が一体化されている。そこで、この一体構造物をSOFC本体101と呼ぶ。図1、図11に破線で囲った機能部位がSOFC本体101に対応する部位であり、具体的な外観構成を図3、図4に示した。
以上が、本願に係るSOFCシステム100の概略の説明である。
以下、システムの構造に関してさらに詳細に説明し、その後にシステム100の動作に関して説明する。
〔SOFCシステム100〕
図2に、本願に係るSOFCシステム100全体の一構成例を示した。
この構成例では、システム100は概略直方体形状のフレームF内に収納される。同図からも判明するように、フレームFは二段構造とされ、上段側にSOFC本体101及び電力変換器104が配置され、下段側に、燃料を貯留するための燃料タンクTが備えられるとともに、燃料ガス供給系統102a、酸化性ガス供給系統102b、燃料電池オフガスのガス処理のためのアンモニア脱硝塔103a、ラジエータ103b,さらには、これらの系統を形成し、系統内を流れるガスを制御する機械・電気制御系の機器5が備えられている。
以下、順に説明する。
〔燃料ガス供給系統102a〕
本願に係るSOFCシステム100はアンモニアを燃料として使用するが、図示する例にあっては、燃料タンクT内に、アンモニアを常温で吸着し、所定の昇温操作により吸着状態にあるアンモニアを放出するアンモニア錯体tを収納して構成している。このアンモニア錯体tは、具体的に,塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル等の金属塩化物アンミン錯体であり、常温から100〜200℃程度まで昇温されると吸着しているアンモニアを放出する。このようなアンモニア錯体tとしては、金属塩化物アンミン錯体の他、金属臭化物アンミン錯体、金属ヨウ化物アンミン錯体も採用可能である。
そこで、燃料タンクTには、システム100の運転開始段階に所定の温度(例えば100℃)まで燃料タンクを昇温するヒータ(図示省略)が備えられている。さらに、電池が定常的に発電する通常発電状態にあっては、SOFC本体101自体がかなりの高温(700℃前後)となるため、閉状態にあるフレームFの構成に起因して、燃料タンクTは錯体tがアンモニアを放出する所定の温度近傍に保たれこととなる。このような加熱手段を第四加熱手段と呼ぶ。後者は、フレームFの上部側にSOFC本体101を配置し、フレームFの下部に燃料タンクTを設け、SOFCの運転状態で、燃料タンクTを加熱可能な構造を意味する。
以上説明した構造に基づいて、燃料ガス供給系統102aを通して、SOFCに燃料としてのアンモニアを供給することができる。
燃料タンクTから排出供給されるアンモニア含有ガスは、フィルターfにより雑物を除去された後、流量制御器MFC、予熱分解器1を経て発電モジュールM1に供給される。
以上が、SOFCセル50の燃料極52側に燃料ガスを供給する燃料ガス供給系統102aの構成である。この燃料ガス供給系統102aの発電モジュールM1入口部位には、本願独特の予備分解器1が位置されるが、この予備分解器1は、本例では、SOFC本体101を構成する一構成部位となるため、SOFC本体101の説明箇所で詳細に述べる。
〔酸化性ガス供給系統〕
先にも示したように、電池セル50の空気極53側には酸化性ガスとしての酸素含有ガス(具体的には空気)が供給される。図示する例では、酸化性ガス供給系統102bが、空気ブロアbの働きによりフィルターfを介して外部から清浄な空気を吸引する状態で、空気極53側に供給する構成とされている。空気の吸引量は、基本的には、所要の発電量、この発電量に見合う燃料ガス流量との関係から決まる空気流量に、流量計測器MFM、この流量計測器MFMの計測結果に基づいて空気ブロアbを能動的に制御することにより行う。ただし後にも説明するように、本願に係るSOFCシステム100は、発電モジュールM1の下流側に燃焼器2を備え、この燃焼器2にまで所望量の燃焼成分(アンモニア或は水素)を到達させて当該燃焼器2で燃焼成分の燃焼を行い、燃焼により発生する熱で予備分解器1の加熱を行うため、この燃焼器2における燃焼に必要な空気流量が加算された量の流量制御を行うように制御系が構成されている。
吸引された空気は、SOFC本体101内に備えられる空気予熱器4で予熱され、発電モジュールM1に送られる。以上が、酸化性ガス供給系統102bの構成である。この空気予熱器4に関しても、以下のSOFC本体101での説明で、その構造等の説明を追加する。
SOFCシステム100は、独特のSOFC本体101を備えて構成されている。
〔SOFC本体101〕
SOFC本体101は発電モジュールM1を基本として関連機器を熱的に接続一体化したものである。具体的には、図3、図4に示すように、SOFC本体101は、発電モジュールM1の下側に、予備分解器1、燃焼器2、ヒータ3、空気予熱器4を、記載順に熱的に接続して(相互に伝熱する接続状態)で一体化している。
発電モジュールM1はこの例では箱型とされ、下側に順に接続される機器(予備分解器1、燃焼器2、ヒータ3、空気予熱器4)が、概略、それらの縦横幅が発電モジュールM1の縦横幅に合致され、厚みの薄い平板状に形成されている。結果、発電モジュールM1の底面に記載順に機械的に連接一体化することで熱移動(伝達)が良好に起こる。
図3、図4において、実太線(発電モジュールM1、燃焼器2側部及び予備分解器1の間)及び実短破線(予備分解器1内)で示すのが燃料ガス供給系統102aであり、一点鎖線太線で示すのが燃料排ガス排出系統103cである。一方、二点鎖線太線で示すのが酸化性ガス供給系統102bであり、実長破線で示すのが酸化性排ガス排出系統103dである。さらに、燃焼器2からの排気を細実線で示した。
従って、この構成のSOFC本体101では、燃焼器2の側部から燃料ガスが導入され、予備分解器1内を流れ発電モジュールM1に流入する。そして定常発電状態では、予備分解器1内で燃料ガスに含まれるアンモニアが水素と窒素とに分解され、発電モジュールM1内に備えられるSOFCセル50を構成する燃料極52に供給される(図1参照)。燃料極52にあっては、分解済みの水素は直接燃料極52での反応に寄与し、アンモニアにあっては分解されて、同じく発電に寄与する。
ここでの発電反応は、燃料として水素が供給された場合は以下の通りである。
燃料極:H+O2−→HO+2e
空気極:O+4e→2O2−
一方、燃料としてアンモニアが供給された場合は以下の通りである。
燃料極:2NH+3O2−→N+3HO+6e
空気極:3/2O+6e→3O2−
燃料極52において反応を終えたガス及び反応することなくスルーしたガスが、燃料排ガスとして、発電モジュールM1から排出される。燃料排ガスには、一般に、アンモニア、水素、窒素、水、NOx等が含まれる。この排ガスは、一点鎖線太線(103c)で示すように、予備分解器1をスルーして燃焼器2に導入される。後述するように、この燃焼器2において燃焼成分の燃焼を完了し、排気として細実線で示すように、空気予熱器4に送られて、空気予熱の用を果たした後、SOFC本体101から排出される。
次に酸化性ガス側に関して説明すると、空気が空気予熱器4に取り込まれ燃焼器3から排出される排気との熱交換により予熱される。その後、二点鎖線太線で示すように、燃焼器2及び予備分解器1をスルーして発電モジュールM1に導かれ空気極53側に導かれる。空気に含有される酸素が空気極53において発電の用に供される。一部は、反応することなくスルーし、燃焼器2での燃焼の用に供される。
空気極53から排出される酸化性排ガスは、太長破線で示す様に燃焼器2に送られ、燃料極52側から排出されてくる燃料排ガスと合流されて、残余の燃焼成分を燃焼させた後、空気予熱器4に送られ、空気予熱の用に供される。
以上がSOFC本体101におけるガスの主な流れである。
以下、各機器M1,1、2、3、4に関して説明する。
1 発電モジュールM1
図3に示すように発電モジュールM1は、底板10に、図1に模式的に示したSOFCセル50を多数積層して構成されるSOFCスタックM1aを収納する筐体11を乗せた構成とされている。
図1に模式的に示すように、燃料電池セル50は固体酸化物形電解質51の一方の側に燃料極52を、他方の側に空気極53を有して成り、その燃料極側(具体的には固体酸化物形電解質51とは反対側となる面)に燃料ガス供給系統102aから燃料ガスの供給を受け、空気極側(具体的には固体酸化物形電解質51とは反対側となる面)に酸化性ガス供給系統102bから酸化性ガスの供給を受ける。そして、供給される燃料ガス及び酸化性ガスが発電の用を果たす。各極52、53の側部を流れたガスは、燃料排ガス、酸化性排ガスとして発電モジュールM1から予備分解器1に設けられたバイパス部1bを通過して燃焼器2に送られる。
本願に係るSOFCシステムでは、燃料ガス及び酸化性ガスの供給量と、発電に使用される各ガス量との関係から、燃料排ガスには燃焼成分であるアンモニア、水素が含まれ、酸化性排ガスには酸素が含まれる。
本願のSOFCシステム100にあっても、燃料電池セル50の構成は基本的にアンモニアを直接燃料極52に供給する場合にも、支障なく発電が可能なSOFCである。
具体的な構成は、概略、以下に示す構成である。
(固体酸化物形電解質)
固体酸化物形電解質51の材料としては、SOFCの固体酸化物形電解質として公知のものを使用することができ、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、これらのジルコニアにさらにCe、Al等をドープしたジルコニア系粉末、SDC(サマリアドープドセリア)、GDC(ガドリアドープドセリア)等のドープセリア系粉末、LSGM(ランタンガレート)系粉末、酸化ビスマス系粉末などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。これらの固体酸化物形電解質51は、必要ならば、2種類以上を混合して使用してもよい。
固体酸化物形電解質51の形状はセルの形状に依存するが、特に規定されない。セルの形状は任意であり、本例に示す平板型セルの他、円筒型セル、セグメント型セルとすることもできる。
固体酸化物形電解質51の厚さは一般的に5〜500μmの範囲であり、燃料極支持型セル(ASC)とする場合や空気極支持型セル(CSC)の場合は5〜100μmである。電解質支持型セル(ESC)の場合は50〜500μmである。
(燃料極)
燃料極52は、燃料ガスに用いる固体酸化物形燃料電池で通常使用される燃料極材料を用いることができ、一般的には燃料極電極触媒と固体酸化物形電解質粒子により形成される。
燃料極電極触媒は、燃料極52中において前記燃料極電極反応を進行させる機能を有する触媒である。
燃料極電極触媒の材料は、燃料ガスに用いる固体酸化物形燃料電池に一般的に使用されている電極触媒を使用できる。具体的には、Ni、Coといった金属、あるいはそれらの合金が選択される。
燃料極52中に含まれる固体酸化物形電解質粒子は、固体酸化物形電解質中を移動してきた酸素イオンを燃料極中に拡散させるものである。その材質は、特に限定されるものではなく、例えば、固体酸化物形電解質51で用いることができる材料が使用される。
前記燃料極電極触媒と前記固体酸化物形電解質粒子の燃料極52中における形態は特に問わないが、導電性確保の観点からサーメット状となっていることが一般的である。
燃料極52の厚さは、いろいろに変更することができるけれども、通常、ASCの場合のように燃料極支持基板と燃料極活性層とを1つの燃料極と見なす場合は、通常その厚さは200〜2000μmであり、ESCやCSCおよび単室型の場合は約20〜200μmである。燃料極52が薄すぎると、燃料極本来の機能を得ることができなくなる。一方、燃料極52が厚すぎると、ガスの拡散が不十分となりセルの性能が低下する。
(空気極)
空気極53は、空気極53における前記電極反応を進行させるための電極である。その材料としては、通常固体酸化物形燃料電池に用いられる空気極材料を用いることができ、一般的には空気極電極触媒と固体酸化物形電解質粒子により形成される。
空気極電極触媒としては公知のものを用いることができ、例えばマンガン系、フェライト系、コバルト系やニッケル系ペロブスカイト型構造の酸化物が好ましく、例えば、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第2族元素が添加されたランタンストロンチウムマンガナイト(LaXSr−XMnO)、ランストロンチウムコバルタイト(LaXSr−XCoO)、ランストロンチウムコバルトフェライト(LaXSr−XCoYFe−YO)、ランタンニッケルフェライト(LaNiYFe−YO)などが挙げられる。
空気極53中に含有される固体酸化物形電解質粒子は、燃料極52で用いることのできる固体酸化物形電解質粒子と同様の材料を使用できる。
空気極53の厚さは、いろいろに変更することができるけれども、通常、約20〜200μmである。空気極が薄すぎると、空気極本来の機能を得ることができなくなり、空気極反応が不十分となり出力が低下する。
2 予備分解器1
この予備分解器1は、図3等に示すように、上側で発電モジュールM1と熱的に接続され、下側で燃焼器2と熱的に接続された構成を有する。
従って、この予備分解器1は、発電モジュールM1及び燃焼器2側から熱の供給を受け、
200以上、好ましくは400℃以上の温度域で働く。
予備分解器1には、アンモニアを含むガスである燃料ガスが導入されるとともに、昇温状態に維持されるため、この昇温状態でアンモニアは水素と窒素とに分解される。
先にも示した図10からも明らかなように、200℃が有効にアンモニアが分解(80%以上分解)される温度域であり、400℃以上であれば、ほぼ100%、アンモニアが分解されることを示している。
アンモニア分解の目的から、予備分解器1は、内部に、アンモニア分解反応を充分発生できるだけの経路長を有するジグザグの流れ路1a(図3、図4の太短破線で示される流れ路)が形成されており、この流れ路1aに沿って、アンモニアを分解するアンモニア分解触媒が備えられている。具体的には、ルテニウムが配置されアンモニアを水素と窒素とに分解する。この種の触媒としては、ニッケル、コバルト、鉄も採用できる。
3 燃焼器2
燃焼器2は、上側で予備分解器1と熱的に接続され、下側でヒータ3を収容するカードリッジと熱的に接続された構成を有する。
また、図5に、この燃焼器2に設けられるガス流路の詳細を示した。
この燃焼器2は、常温からアンモニアが燃焼を開始する温度まで昇温され、さらにアンモニアが自燃する温度(以降、アンモニア自燃温度Tsbと称する。この温度域は300℃程度である)までの低温状態において、ヒータ3から熱の供給を受ける(加熱される)。そして、アンモニア自燃温度Tsbに達すると、発電モジュールM1側から排出されてくる燃料排ガスに燃焼成分としてのアンモニアが含まれているため、この燃焼成分が自燃することとなる。この自燃状態にあっては、燃焼器2で発生する熱により、予備分解器1の温度を急速に上昇させることができる。
更なる、昇温状態である400℃以上の状態では、アンモニアはほぼ全量分解されて発電モジュールM1に供給され、このガスが発電モジュールM1をスルーして燃焼器2に流入するため水素が燃焼することとなる。
燃焼器2には、先にも示したように、燃料排ガス及び酸化性排ガスが別々に供給されてくる。そこで、図5にも示すように各排ガスを所定数(図示すのは2)の流路に分散させるガス分散部2aが格別に設けられているとともに、分散状態にある各ガスを燃焼器中央側部位で対向合流させて、ガス混合を充分行わせ、燃焼触媒側導く合流路2bが設けられている。この合流路2bには着火器2eが設けられている。
このようにして合流路2bで合流した燃焼成分及び酸化性成分は、合流路2bの両側に設けられ、酸化反応を充分発生できるだけの経路長を有する拡散並行路2cを流れ、この拡散並行路2c部位に配置された燃焼触媒により酸化される(燃焼する)。具体的には、白金が配置され、200〜300℃以上の温度域で、アンモニアが触媒燃焼する。
燃焼触媒としては、白金の他、パラジウム、ルテニウム、ロジウムも採用できる。
拡散並行路2cの燃焼で発生する排気は排気路2dから空気予熱器4に排出される。
詳細な構造は図示省略しているが、この排気が燃料ガス供給系統102aを介して発電モジュールM1に供給される燃料ガスに混ざることはない。
4 ヒータ3
このヒータ3は、基本的に、(1)燃焼器2においてアンモニアが分解する温度を越え、自燃する温度Tsbまで昇温する、或は、(2)燃焼成分としてのアンモニアの供給量が低下して温度が低下する可能性が発生しても、アンモニアの分解処理状態を確保できる温度に、予備分解器1引いては燃焼器2を維持するための加熱機構である。従って、予備分解器1の温度を検出する検出機構(図示省略)を備え、この検出機構により検出される温度が所定の温度に到達していない場合に働いて加熱する電熱ヒータ(カートリッジ型の電熱ヒータ)とされている。
このヒータ3の動作に関しては、後に、図6、7,8に示すタイムチャートを使用して説明する。また、その形状を問わない場合は、所謂、電熱ヒータの代わりに、燃焼燃料の供給を受けて燃焼作動する燃焼バーナとすることも可能である。
5 空気予熱器4
空気予熱器4は通常の熱交換器として構成され、図示する例の場合は、ヒータ3側に予熱対象の空気が分散して流れる空気側分散流路4aを、その反対側である予熱器下側に、熱回収対象である燃焼器排気が分散して流れる排気側分散流路4bを備え、両者を対向形態で流すことで、熱回収が良好に起こる構成とされている。
以上説明したように、SOFC本体101は、上部側から発電モジュールM1、予備分解器1、燃焼器2、ヒータ3及び空気予熱器4を記載順に一体に備えることにより、燃料ガスに含まれるアンモニアを分解して燃料電池セル50の燃料極52に供給して発電を行わせるため、電池温度の変化に対して発電量の低下を起こし難いロバスト性の高いSOFCシステム100となっている。
以上が、本願に係るSOFCシステム100の発電に係る機能部位であるが、このシステム100では、排気の処理に関しても、高温発電状態のSOFCおいて発生することがある窒素酸化物の処理も充分、行える構成が採用されている。
即ち、図1に示すように、SOFC本体101から排出される窒素酸化物を処理するための処理系統が設けられている。
〔ガス処理系統〕
先に説明した図1に示されるように、本願係るSOFCシステム101は、その排気系に窒素酸化物を処理するためのアンモニア脱硝塔103aが設けられている。
即ち、空気予熱器4の下流側の下流側で繋がる燃料電池オフガス処理系統103に、バナジウム、モリブデン、タングステン、ゼオライト、貴金属の一種以上の脱硝触媒を収納した窒素酸化物除去塔103aを備えている。この窒素酸化物除去塔103aには、本願において燃料となるアンモニアが別途脱硝における還元剤として供給され、脱硝触媒が有効に働く温度域に脱硝部が温度維持されることにより、SOFCから排出されるオフガスを良好に環境に優しい状態とすることができる。
さらに、ラジエータ103bを備え、高温のオフガスが排出されるのを防止している。
以上が、本願に係るSOFCシステム100の構成である。
〔システムの運転動作〕
以下、このシステム100の運転動作に関して図6、7、8に示すタイムチャートを使用して説明する。
説明は、1 システム運転開始段階、2 発電動作段階、3 システム運転停止段階の順に説明するものとし、図6に、システム運転開始段階のタイムチャートを、図7に発電動作段階のタイムチャートを、図8にシステム運転停止段階のタイムチャートをそれぞれ示した。
これらのタイムチャートにおいて、横軸は時間であり、縦軸に上から「イベント」、「空気ブロアbの運転状態(図上単に「空気ブロア」と記載)」、「燃料ガスの供給状態(図上単に「燃料供給/NH」と記載)」、「第二加熱手段(ヒータ3)の動作状態(図上単に「第二加熱手段/着火ヒータ」と記載)」、「燃焼器2の温度(図上単に「燃焼器温度」と記載)」「予備分解器1の温度(図上単に「予備分解器温度」と記載)」、「発電モジュールM1の温度(図上単に「発電モジュール」と記載)」、及び「SOFCセル50の電圧(図上単に「セル電圧」と記載」をそれぞれ示した。
縦軸項目「空気ブロアbの運転状態」、「燃料ガスの供給状態」、「第二加熱手段(ヒータ3)の動作状態」の記載については、最も下の線が各機器の停止状態を示し、この線より上側に位置する線が所定の運転量で機器が運転されていることを示す。
縦軸項目「燃焼器2の温度」「予備分解器1の温度」、「発電モジュールM1の温度」の記載については、最も下の線が常温状態を示し、この線より上側に位置する線が昇温された状態を示す。
縦軸項目「SOFCセル50の電圧」は、最も下の線が無電圧状態を示し、この線より上側に位置する線が所定の電圧を発生している状態に対応する。
1 システムの運転開始
イベントは「運転準備」「起動パージ」「ヒータ予熱」「温度確認」「着火パージ」「着火動作」「着火確認」「移行確認」の順に進む。
「運転準備」は、SOFCシステム100が停止している状態から、運転開始指令を受けた状態での準備動作を示している。
この運転準備に伴って、酸化性ガス供給系統102bに備えられる空気ブロアbが始動される。ここでの空気流量は予め設定されている起動パージ流量とされ、この状態の「起動パージ」で、SOFCのパージが進む。
「起動パージ」操作に伴って、予め設定された時間の経過後「ヒータ予熱」で第二加熱手段であるヒータ3による燃焼器2の予熱(加熱)が開始され、燃焼器2の昇温が始まる。
「温度確認」は、ヒータ3による燃焼器2の加熱により、燃焼器2が、予め設定された所定の温度に到達しているかどうかの確認である。このシステム100では、「着火動作」で示すように、燃焼器温度が所定の燃料ガス供給開始温度Tst(具体的には、200℃程度であり、この温度はアンモニアが燃焼器2に備えられる燃焼触媒により燃焼する温度「アンモニア燃焼温度」とも呼ぶ)に達した状態で燃料供給を開始するが、「温度確認」は、燃焼器2における燃料の燃焼に必要な温度に燃焼器2が「温度確認」「着火パージ」時間をおいてヒータ3の加熱により到達する程度の温度に達しているかどうかの確認としている。
本願のSOFCシステム100では、運転開始段階では予備分解器1も発電モジュールM1も実質的に温度上昇していないため燃料ガスであるアンモニア含有ガスに含まれるアンモニアがそのまま、燃焼器2に流入する。従って、この段階ではSOFCへの燃料供給に関して、ヒータ3による加熱を加味した燃焼器2の温度状態の確認を行うのである。
この段階で、所定の時間を置くことで、実質的に「着火パージ」が進む。
燃料ガス供給開始温度(アンモニア燃焼温度)Tstに燃焼器2が到達したことを確認すると、燃料供給を開始し、燃料供給に伴って第一加熱手段である燃焼器2への燃料供給を行い、燃焼器2に備えられる着火器2eにより「着火動作」が実行される。従って、この時点で、燃焼器2でのアンモニアの燃焼が進行する。
着火が確認された段階で、「移行確認」で燃料ガスの供給量は一段下げる。
この「着火確認」「移行確認」においては、最初、ほぼ最大流量(初期供給量)で燃料ガスを供給しておき、ヒータ3による加熱を伴う状態で燃料ガス供給量を初期供給量から順次段階的に低下させ、予備加熱部2、燃焼器2の温度が急激に温度上昇するのを待つ。
図6、図7に示すタイムチャートには、図6の最終イベント、図7の初期イベントとして「移行確認」を重複して記載した。このような重複記載をした理由は、発電モジュールM1を介してアンモニア含有ガスの供給を継続し、同時にヒータ3による加熱を継続すると、燃焼器2に於ける燃焼状態がアンモニアが自燃する状態に達し、燃焼器2、予備分解器1、引いては発電モジュールM1の温度が急速に上昇することを確認したためである。
この状態の燃焼器温度をTsbとして示した。発明者らの確認によれば、この温度は200〜300℃の範囲内の温度となる。
燃料であるアンモニアが自燃する状態となると、燃焼器2の温度が図7に示すように、急激に上昇する。従って、この急激な温度上昇により、燃焼器2に発電モジュールM1から燃料ガスが供給されるだけで、燃焼器2におけるアンモニアの燃焼が継続する。さらに、この状態では、予備分解器1の温度、発電モジュールM1の温度も上昇する。
そこで、「移行確認」後では、この自燃確認に伴って、第二加熱手段であるヒータ3の加熱を停止する。
このSOFCシステム100では、そのシステム運転開始段階において、第二加熱手段(ヒータ3)により、燃焼加熱部(燃焼器2)をアンモニア燃焼温度Tst以上に加熱したアンモニア燃焼可能状態で、当該燃焼加熱部(燃焼器2)に可燃成分としてのアンモニアを供給し、燃焼加熱部(燃焼器2)においてアンモニアを燃焼して、前記アンモニア分解部(予備分解器1)を加熱することとなる。
ここで、このアンモニア燃焼温度Tstは先にも説明したように200℃程度であり、アンモニアの分解がある程度進む温度である。
また、この例では、システム運転開始段階において、燃焼加熱部(燃焼器2)で燃焼されるアンモニアは、発電モジュールM1から燃料排ガス排出系統103cを経て燃焼加熱部(燃焼器2)に供給されるアンモニアであり、SOFCシステム100の運転開始に際して、発電モジュールM1に発電用の燃料を供給するために設けられている燃料ガス供給系統102を利用してアンモニア含有ガスである燃料を供給するだけの操作で、運転開始を行うこととなる。
さらに、燃焼加熱部(燃焼器2)の第二加熱手段(ヒータ3)による加熱は、燃焼加熱部(燃焼器2)においてアンモニアが自燃する状態となった段階で停止する。
この状態では、アンモニア分解部(予備分解器1)の温度は充分アンモニアを分解できる温度となっている。
2 発電運転
前記「着火確認」「移行確認」を経て、燃焼器2におけるアンモニアの自燃が進み、燃焼器2の温度上昇が継続するとともに、予備分解器1の温度も、ほぼ100%アンモニアを分解する温度T1(300〜400℃程度)まで上昇する。従って、SOFCセル50に備えられる燃料極52にアンモニアが供給される状態から水素が供給される状態となる。また本願に係るSOFCシステム100では、燃料としてのアンモニアを発電用及び加熱用の両方に使用するため、その量に見合う量の燃料を供給する。
この状態で、発電運転に関連するイベントとしては「発電ボタンON許可」「発電判定」「インバータON」「出力制御」「流量設定」を行う。
「発電ボタンON許可」は、発電モジュールM1(引いては、予備分解器1、燃焼器2)が所定の温度Tg以上(この温度を発電許可温度Tgと呼ぶ)に達した状態でシステム側での発電ボタンON指令待の状態である。この温度域は600℃以上となる。
発電ボタンONに従って、「発電判定」において、SOFCから電力の取出しが可能となっているかどうかの判定を行う。この状態で、燃料ガス流量、酸化性ガス量は発電運転に必要な一定とされ、セル電圧が基準値に達し、安定していること等により判定を行う。電力の取出しが可能となっていると判定した状態で「インバータON」によりインバータを動作させる。この「発電判定」を完了した状態で、発電モジュールM1の温度は通常の発電温度700℃に達している。
電力の取出しが行われるとセル電圧の低下が発生するため、空気流量及び燃料量の供給量制御を伴い「出力制御」を実行する。
この状態で燃料が発電に使用されるため、燃焼器2に到達する可燃成分の量が変化するため、対応した「流量制御」を行う必要がある。即ち、取出し電力が増加(セル電圧が低下)した場合に、燃料ガス流量及び空気流量を増加させる。
電力の取出しが継続される「流量設定」において、空気流量を最大とし、燃料ガス流量を停止待機に対応した量として、「出力OFF」を待つ。実質的な運転停止待機である。この状態では、空気流量を最大とし、燃料量を低下させるため発電モジュールM1、予備分解器1及び燃焼器2の温度低下が起こる。
3 システム運転停止
システム運転停止は「出力OFF」「燃料ガス流量変更」「空気流量変更」「燃料ガス停止」「空気停止」「停止完了」の順に進む。
「出力OFF」は、出力OFF指令の入力を意味しており、この待機状態におい「流量設定」で燃料ガス流量及び空気流量が所定量とされていることから、SOFCではパージが進む。
即ち、「流量設定」「出力OFF」・・・・・「空気停止」までの間では、空気ブロアbの運転が継続されるため、発電モジュールM1(具体的にはSOFCセル50)、燃焼器2、予備分解器2の温度低下が継続的に起こる。
「出力OFF」を受け付けると、発電に奪われていた燃料ガスが燃焼器2に流入するため一時的に温度上昇が発生する。ただし、空気供給は続いているため「燃料ガス流量変更」で示されるように、燃料ガスの量を低減するため下降に転じる。そして、システムの運転停止に向けて、「空気流量変更」で空気量を一段増加させる。即ち、発電モジュールM1に供給する空気量が増加するため、この増加に伴って燃焼器2の温度低下傾向は変化する。
この状態で発電モジュールM1への燃料ガス及び空気の供給を継続し、発電モジュールM1の温度を順次低下する。そして、発電モジュールM1の温度が所定の設定温度(例えば200℃)まで低下した段階で、「燃料ガス停止」として燃料ガスの供給を停止し、さらに低下した状態(例えば50℃)で「空気停止」として空気の供給を停止し、SOFCシステムの状態が「停止完了」となる。本願では、この「空気停止(酸化性ガスの停止)」を行う温度を「降温停止温度Te」と称する。
以上が本願に係るSOFCシステム100の基本となる運転停止動作であるが、このシステムの燃料はアンモニアであるため、当該アンモニアがそのままシステム外に排出されるのを回避する必要が生じる。
そこで、図8に示す「空気流量変更」「燃料ガス停止」「空気停止」の段階において、必要に応じてヒータ3が作動するように構成されている。
この状態を、図8の第二加熱手段の項に示すON,OFF状態(実線及び破線)で示した。同図において、破線で示す線は、「燃料ガス流量変更」「燃料ガス停止」においても以下に説明する所定の条件を満たす場合には、第二加熱手段(ヒータ3)を作動させることを示している。
さらに詳細に以下に説明する。
上記したように、システム運転停止動作において、
前記酸化性ガス供給系統102bを介して前記空気極53に前記酸素含有ガスを、前記燃料ガス供給系統102aを介して前記燃料極52に前記アンモニア含有ガスを供給して、固体酸化物形燃料電池セル50を降温する、又は前記アンモニア含有ガスの供給を停止し前記酸化性ガスのみを供給して前記固体酸化物形燃料電池セル50をさらに降温する降温操作時であって、
前記発電モジュールM1が発電許可温度Tg未満、予め設定される降温停止温度Te以上の温度範囲にある状態で、第二加熱手段の運転を制御する運転制御温度として、前記アンモニア分解部で、アンモニアを完全に分解できる温度T1以下で所定割合以上分解できる下限温度T2が設定され、
前記アンモニア分解部の温度が前記下限温度T2より高い場合に、前記第二加熱手段による加熱を停止し、当該アンモニア分解部の温度が前記下限温度T2より低い場合に、前記第二加熱手段による加熱を実行するのである。
システム運転停止段階においては、
酸化性ガス供給系統102bを介して空気極53に前記酸素含有ガス(空気)を、燃料ガス供給系統102aを介して燃料極52に前記アンモニア含有ガス(燃料ガス)を供給して、固体酸化物形燃料電池セル50を降温し、又は引き続いて、この状態でアンモニア含有ガス(燃料ガス)の供給を停止してSOFCセル50をさらに降温する。この降温操作時に関して、発電モジュールM1が発電許可温度Tg未満、降温停止温度Te以上の所定温度範囲にある状況について、第二加熱手段(ヒータ3)の運転を制御する運転制御温度として、前記アンモニア分解部(予備分解器1)でアンモニアを完全に分解できる温度T1(例えば400℃)以下のアンモニアを所定割合以上分解できる下限温度T2を設定している。図7のT2で示す温度がこの下限温度(例えば250〜300℃)である。
そして、アンモニア分解部(予備分解器1)の温度が前記下限温度T2より高い場合には、発電モジュールM1としては所定の降温が起こる状態で、そのまま第二加熱手段(ヒータ3)による加熱を停止し、当該アンモニア分解部(予備分解器1)の温度が前記下限温度T2より低い場合には、発電モジュールM1としては所定の降温が起こる状態であるにも係らず、前記第二加熱手段(ヒータ3)による加熱を実行する。
このように制御することで、システム100の運転停止段階において、燃料ガスに含まれるアンモニアの過半がそのまま分解されることなく、発電モジュールM1をすり抜け、さらに燃焼加熱部(加熱器2)をスルーして、SOFCシステム100外に排出されるのを防止することができる。
〔別実施形態〕
A 上記の実施の形態では、具体的に図3等に示すように、発電モジュールM1に対するアンモニア分解部(予備分解器1)の熱的接続状態として、発電モジュールM1の下側に第一加熱手段(燃焼加熱部、加熱器1)との間に挟んで配置する例を示したが、図1に模式的に示したように、アンモニア分解部と第一加熱手段及び第二加熱手段(ヒータ3)を一体として、それぞれの機器が発電モジュールに熱的に接続されるように構成してもよい。
B 前記第一加熱手段(燃焼加熱部、加熱器1)へは、発電モジュールM1から燃料であるアンモニア含有ガスが供給される例を示したが、発電モジュールM1からの経路とは別に第一加熱手段専用の燃料供給路を設けてもよい。
C 上記の実施形態においては、窒素酸化物除去に還元剤としてのアンモニアを無害化する窒素酸化物除去手段を設けたが、窒素酸化物の除去をその吸着により行うものとすることも可能である。吸着材を備えた吸着塔103aを備えるシステム構成例を図11に示した。
D 燃料としてのアンモニアの供給をアンモニアを吸脱着する錯体の脱着によるものとしたが、尿素水からの加水分解としてもよい。
E 上記の実施の形態では、運転開始段階で、燃焼器2に供給するアンモニア含有ガス(具体的には可燃成分としてのアンモニア)は発電モジュールM1を経るものとしたが、この運転開始段階において、直接燃焼器1の燃焼用のアンモニアを供給する構成としてもよい。
SOFCの温度が比較的低温側の温度域にまで低下しても取出しうる電流を当該SOFCが出力し得る可能な限り高く保つことができる固体酸化物形燃料電池システムを得ることができた。
1 予備分解器(アンモニア分解部)
2 燃焼器(第一加熱手段、燃焼加熱部)
3 ヒータ(第二加熱手段)
4 空気予熱器(第三加熱手段)
50 燃料電池セル
51 固体酸化物形電解質
52 燃料極
53 空気極
100 SOFCシステム
101 SOFC本体
102a 燃料ガス供給系統
102b 酸化性ガス供給系統
103 燃料電池オフガス処理系統
103a 燃料排ガス排出系統
103b 酸化性排ガス排出系統
F フレーム(第四加熱手段)
M1 発電モジュール
M1a SOFCスタック
T 燃料タンク(貯蔵手段)
t 錯体

Claims (14)

  1. 固体酸化物形電解質の一方の側に燃料極を、他方の側に空気極を有して成る固体酸化物形燃料電池セルを備えた発電モジュールに、燃料ガスを供給する燃料ガス供給系統と酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給系統とを備え、
    アンモニアを含有するアンモニア含有ガスと、酸素を含有する酸素含有ガスとが供給されて発電する固体酸化物形燃料電池システムであって、
    前記燃料ガス供給系統に、前記アンモニア含有ガスに含有されるアンモニアを分解するアンモニア分解部を前記発電モジュールと熱的に接続して備え、前記燃料極に前記アンモニア分解部において分解されたガスが供給されるとともに、前記空気極に前記酸化性ガス供給系統を介して前記酸素含有ガスが供給され、
    前記アンモニア分解部の温度をアンモニアが分解する温度であるアンモニア分解温度以上に加熱する第一加熱手段を備えた固体酸化物形燃料電池システム。
  2. 前記第一加熱手段が前記発電モジュールから排出される可燃成分を燃焼して加熱する燃焼加熱部である請求項1記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  3. 前記発電モジュールから、燃料排ガスを排出する燃料排ガス排出系統と、酸化性排ガスを排出する酸化性排ガス排出系統とを備え、
    前記燃焼加熱部に、前記燃料排ガス排出系統を介して前記燃料排ガスが、前記酸化性排ガス排出系統を介して酸化性排ガスが供給され、
    当該燃焼加熱部において、前記燃料排ガスに含有される可燃成分が燃焼する請求項2記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  4. 少なくともアンモニアを燃焼する燃焼触媒を前記燃焼加熱部に備え、
    当該燃焼加熱部を、前記燃焼触媒がアンモニアを燃焼させる温度であるアンモニア燃焼温度以上に加熱する第二加熱手段を備えた請求項2又は3記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  5. 前記第二加熱手段が、電気ヒータ、燃料バーナの何れか一つ以上である請求項4記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  6. 前記酸化性ガス供給系統に、当該系統を流れる前記酸化性ガスを前記燃焼加熱部から排出するガスで加熱する第三加熱手段を備えた請求項2又は3記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  7. 前記第一加熱手段が前記発電モジュールから排出されるガスを燃焼して加熱する燃焼加熱部であるとともに、
    前記発電モジュールから、燃料排ガスを排出する燃料排ガス排出系統と、酸化性排ガスを排出する酸化性排ガス排出系統とを備え、前記燃料排ガス排出系統を介して前記燃料排ガスが、前記酸化性排ガス排出系統を介して酸化性排ガスが前記燃焼加熱部に供給され、当該燃焼加熱部において前記燃料排ガスに含有される可燃成分が燃焼する構成で、
    前記燃焼加熱部に、少なくともアンモニアを燃焼する燃焼触媒を備え、
    当該燃焼加熱部を前記燃焼触媒がアンモニアを燃焼させる温度であるアンモニア燃焼温度以上に加熱する第二加熱手段を備え、
    前記発電モジュールに熱的に接続して、前記アンモニア分解部、前記燃焼加熱部、前記第二加熱手段を前記発電モジュールから離間する方向に記載順に設けた請求項1記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  8. 前記酸化性ガス供給系統を流れる前記酸化性ガスを前記燃焼加熱部から排出するガスで加熱する第三加熱手段を、前記第二加熱手段の発電モジュールから離間する方向に当該第二加熱手段と熱的に接続して備えた請求項7記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  9. アンモニアの供給を受けて、前記燃焼加熱部から排出される排ガスから窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去手段を備えた請求項2又は3記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  10. アンモニアを吸脱着する錯体が貯蔵された貯蔵手段を備えるとともに、
    前記発電モジュールからの排熱により前記貯蔵手段を前記錯体がアンモニアを分離する温度以上に加熱する第四加熱手段を備えた請求項1〜9の何れか一項記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  11. 前記アンモニア分解部に、アンモニア分解触媒としてのルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄の何れか一種以上を備えた請求項1〜10の何れか一項記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  12. 前記燃焼加熱部に、燃焼触媒としての白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウムの何れか一種以上を備えた請求項2又は3記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  13. 前記窒素酸化物除去手段がバナジウム、モリブデン、タングステン、ゼオライト、貴金属の何れか一種以上を窒素酸化物除去触媒として備える請求項9記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  14. 前記錯体が金属塩化物アンミン錯体、金属臭化物アンミン錯体、金属ヨウ化物アンミン錯体の何れか一種以上である請求項10記載の固体酸化物形燃料電池システム。

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