JP2017082379A - 自動糸掛け装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の糸を自動的に複数の糸ガイドに糸掛けする。【解決手段】自動糸掛け装置の糸掛けユニット33は、サクション42と、押当ローラ46と、糸分けガイド47とを有する。サクション42は、紡出された複数の糸を吸引して保持する。押当ローラ46は、サクション42に保持された複数の糸に押し当てられることによって、複数の糸の間隔を広げる。糸分けガイド47は、一方向に配列された複数の溝47aを有している。糸分けガイド47を複数の溝47aが、押当ローラ46によって間隔が広げられた複数の糸と対向する位置に位置させたうえで、押当ローラ46を複数の糸と接触しない位置に退避させることにより、複数の糸を複数の溝47aにそれぞれ挿入させる。その後、糸分けガイド47を、第1方向の基端側に移動させることによって、複数の糸を複数の支点ガイドに糸掛けする。【選択図】図4

Description

本発明は、複数の糸を複数の糸ガイドにそれぞれ糸掛けする自動糸掛け装置に関する。
特許文献1に記載の紡糸引取機では、紡糸機から紡出された複数の糸が、第1、第2ゴデットローラに巻き掛けられる。さらに、これら複数の糸は、複数の振支点ガイドにそれぞれ掛けられる。そして、各糸は、振支点ガイドを支点として、トラバースガイドに綾振りされつつ、ボビンホルダに装着されたボビンに巻き取られる。また、特許文献1では、紡糸機から紡出されてくる複数の糸を紡糸引取機に糸掛けするために、まず、第2ゴデットローラを糸掛け位置に移動させることによって、第1ゴデットローラと第2ゴデットローラとを近接させ、複数の振支点ガイドを糸掛け位置に移動させることによって、複数の振支点ガイドを互いに近接させる。そして、紡糸機から紡出される複数の糸をサクションで保持しつつ、第1ゴデットローラ、第2ゴデットローラの順に巻き掛ける。さらに、複数の糸を、複数の振支点ガイドにそれぞれ糸掛けする。
特開2015-78455号公報
ここで、特許文献1では、上述したようにして複数の糸を複数の振支点ガイドにそれぞれ糸掛けするためには、オペレータは、各振支点ガイドについて、それぞれ、サクションで保持された複数の糸から1本の糸を引き出して振支点ガイドに糸掛けを行う必要がある。このとき、サクションで保持された複数の糸は、サクション近傍の部分における間隔が短くなっていたり、ねじれて一体となっていたりすることがある。そのため、サクションで保持された複数の糸から1本の糸を引き出して、振支点ガイドに糸掛けを行う作業は煩雑なものとなる。
本発明の目的は、複数の糸を複数の糸ガイドに糸掛けすることが可能な自動糸掛け装置を提供することである。
第1の発明に係る自動糸掛け装置は、複複数の糸を複数の糸ガイドにそれぞれ糸掛けするための自動糸掛け装置であって、紡出された前記複数の糸を吸引するサクションと、前記サクションに吸引された前記複数の糸に押し当てられることによって、前記複数の糸の間隔を広げる押当ローラと、一方向に並んだ複数の溝を有し、前記押当ローラによって間隔が広げられた前記複数の糸が、前記複数の溝にそれぞれ挿入される糸分けガイドと、を備えている。
サクションに吸引された複数の糸は、サクションの近傍において、間隔が小さくなったり、ねじれたりしている。本発明によると、押当ローラを複数の糸に押し当てると、押当ローラが回転し、押当ローラ上の複数の糸の間隔が広げられる。これにより、複数の糸を、簡単に、糸分けガイドの複数の溝にそれぞれ挿入させることができる。そして、糸分けガイドの複数の溝に複数の糸を挿入することができれば、これら複数の糸を複数の糸ガイドにそれぞれ糸掛けすることができる。
第2の発明に係る自動糸掛け装置は、第1の発明に係る自動糸掛け装置において、前記複数の糸に押し当てられた前記押当ローラを、前記押当ローラの軸方向と直交する方向にスライドさせることによって前記サクションから離れさせるローラスライド装置をさらに備えている。
複数の糸に押し当てられた押当ローラがサクションと近接して配置されていると、押当ローラからサクションに向かう糸の、押当ローラの軸方向への傾斜角度が大きくなる。この傾斜角度が大きくなると、糸がサクションに向けて押当ローラから離れる位置にばらつきが生じ、糸揺れの原因となる。そこで、本発明では、複数の糸に押し当てられた押当ローラをスライドさせてサクションから離れさせている。これにより、糸の上記傾斜角度が小さくなり、糸揺れを抑制することができる。
第3の発明に係る自動糸掛け装置は、第1又は第2の発明に係る自動糸掛け装置において、前記押当ローラによって間隔が広げられた前記複数の糸を、前記糸分けガイドの前記複数の溝にそれぞれ挿入させるように、前記押当ローラと前記糸分けガイドとを相対移動させる相対移動装置をさらに備えている。
本発明によると、押当ローラと糸分けガイドとを相対移動させることによって、押当ローラで複数の糸の間隔を広げた複数の糸を、糸分けガイドの複数の溝にそれぞれ挿入させることができる。
第4の発明に係る自動糸掛け装置は、第3の発明に係る自動糸掛け装置において、前記サクションが所定の第1方向に延び、前記相対移動装置は、前記押当ローラを、前記第1方向と直交する第2方向に延び、且つ、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記サクションとずれて配置された揺動軸を中心に揺動させるローラ揺動装置と、前記糸分けガイドを、前記揺動軸を中心に揺動させるガイド揺動装置と、を備えている。
本発明によると、押当ローラによって複数の糸の間隔が広げられた状態で、糸分けガイドを押当ローラと重なる位置まで揺動させ、その後、押当ローラを複数の糸に押し当てられない位置まで揺動させれば、押当ローラで間隔が広げられた複数の糸を、糸分けガイドの複数の溝に挿入させることができる。
第5の発明に係る自動糸掛け装置は、第1〜4のいずれかの発明に係る自動糸掛け装置において、前記押当ローラ及び前記糸分けガイドを、前記複数の糸と干渉しない位置に退避させる退避装置をさらに備えている。
本発明によると、押当ローラ及び糸分けガイドを、複数の糸と干渉しないように退避させることによって、サクションで複数の糸を吸引する際等に、押当ローラや糸分けガイドが邪魔になってしまうのを防止することができる。
第6の発明に係る自動糸掛け装置は、第5の発明に係る自動糸掛け装置において、前記サクションが所定の第1方向に延び、前記退避装置は、前記押当ローラを、前記第1方向と直交する第2方向に延び、且つ、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記サクションとずれて配置された揺動軸を中心に揺動させるローラ揺動装置と、前記糸分けガイドを、前記揺動軸を中心に揺動させるガイド揺動装置と、を備えている。
本発明によると、押当ローラ及び糸分けガイドを、第3方向においてサクションからずれた位置まで揺動させることができ、これにより、押当ローラ及び糸分けガイドを糸と干渉しないように退避させることができる。
第7の発明に係る自動糸掛け装置は、第1〜第5のいずれかの発明に係る自動糸掛け装置において、前記複数の糸ガイドは、所定の配列方向に配列され、前記配列方向の片側から糸を挿入可能に構成されたものであり、前記複数の糸を保持した前記糸分けガイドを、前記配列方向に対して傾斜した方向にスライドさせるガイドスライド装置をさらに備えている。
本発明によると、複数の糸が複数の溝にそれぞれ掛けられた糸分けガイドを複数の糸ガイドの配列方向に対して傾斜した方向にスライドさせることにより、各糸を、対応する糸ガイドの配列方向における片側から挿入して糸掛けすることができる。
第8の発明に係る自動糸掛け装置は、第1〜第7のいずれかの発明に係る自動糸掛け装置において、前記複数の糸を切断するカッターをさらに備えている。
本発明によると、複数の糸を予め保持しておき、保持された複数の糸をサクションで吸引した後に、カッターでこれら複数の糸を切断することにより、予め保持された複数の糸をサクションに受け渡しすることができる。
第9の発明に係る自動糸掛け装置は、第1〜第8のいずれかの発明に係る自動糸掛け装置において、前記複数の糸が収束された状態で掛けられる糸収束ガイドをさらに備えている。
本発明によると、複数の糸を予め糸収束ガイドに掛けて収束させておくことにより、サクションと対向する位置における複数の糸の間隔を小さくすることができ、複数の糸を確実にサクションで吸引することができる。
第10の発明に係る自動糸掛け装置は、第1〜第9のいずれかの発明に係る自動糸掛け装置において、前記押当ローラを回転駆動させるモータをさらに備えている。
本発明によると、複数の糸に押し当てられた押当ローラを回転駆動させる場合には、複数の糸に押し当てられた押当ローラが、糸との摩擦力によってのみ回転する場合と比較して、押当ローラを安定して回転させることができる。これにより、複数の糸の間隔を安定して広げることができる。
本発明によれば、押当ローラを複数の糸に押し当てることによって複数の糸の間隔を広げることができるため、簡単に、複数の糸を糸分けガイドの複数の溝にそれぞれ挿入させることができる。そして、糸分けガイドの複数の溝に複数の糸を挿入することができれば、これら複数の糸を複数の糸ガイドにそれぞれ糸掛けすることができる。
本発明の実施の形態に係る紡糸引取機の概略構成図である。 図1を矢印IIの方向から見た図である。 上方から見た支点ガイド周辺の図であり、(a)は支点ガイドが巻取位置に位置している状態、(b)は支点ガイドが糸掛け位置に位置している状態を示している。 (a)が糸掛けユニットの斜視図であり、(b)が(a)とは別の方向から見た糸掛けユニットの斜視図である。 (a)が第2方向における糸分けガイド側から見た糸掛けユニットの図であり、(b)が第3方向におけるサクション側から見た糸掛けユニットの図であり、(c)が(a)の一部分についてのC−C線断面図である。 紡糸引取機の電気的構成を示すブロック図である。 (a)が糸保持部に保持された複数の糸を糸収束ガイドに掛けたうえでサクションにより吸引した状態を示す図であり、(b)がカッターで複数の糸を切断した後の状態を示す図である。 (a)が第1ゴデットローラに糸を巻き掛けているときの状態を示す図であり、(b)が第2ゴデットローラに糸を巻き掛けているときの状態を示す図である。 押当ローラを押当姿勢にした状態を示す図であり、(a)が図5(a)相当の図、(b)が図5(b)相当の図である。 図9(a)、(b)の後、スライド部材を移動させて押当ローラをサクションから離した状態を示す図であり、(a)が図5(a)相当の図、(b)が図5(b)相当の図である。 図10(a)、(b)の後、糸分けガイドを糸掛け姿勢にした状態を示す図であり、(a)が図5(a)相当の図、(b)が図5(b)相当の図である。 図11(a)、(b)の後、押出ローラを退避姿勢に戻して糸分けガイドの溝に糸を挿入させた状態を示す図であり、(a)が図5(a)相当の図、(b)が図5(b)相当の図である。 図12(a)、(b)の後、スライド部材を戻した状態を示す図であり、(a)が図5(a)相当の図、(b)が図5(b)相当の図である。 糸分けガイドから各支点ガイドに糸が掛けられる動作を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(紡糸引取機の全体構成)
本実施の形態に係る紡糸引取機1は、図示しない紡糸装置から紡出される複数の糸Yを引き取り、複数のボビンBにそれぞれ巻き取って複数のパッケージPを形成するためのものである。紡糸引取機1は、図1、図2に示すように、複数の引取ユニット3と、これら複数の引取ユニット3に対して共通に設けられた1つの自動糸掛け装置4とを備えている。
複数の引取ユニット3は、水平な一方向に並べて配置されている。なお、以下では、複数の引取ユニット3が並ぶ方向を左右方向、水平で且つ左右方向と直交する方向を前後方向、重力が作用する方向を鉛直方向とする。
(引取ユニット)
各引取ユニット3は、糸保持部11と、第1ゴデットローラ12と、第2ゴデットローラ13と、巻取部14とを備えている。糸保持部11は、左右方向に沿って延び、ゴデットローラ12、13及び巻取部14への糸掛けを行う前に、紡糸装置から紡出されてきた複数の糸Yを予め吸引して保持するためのものである。
第1ゴデットローラ12は、軸方向が左右方向とほぼ平行なローラであり、糸保持部11の鉛直方向における下側に配置されている。第1ゴデットローラ12は、第1ゴデットモータ111(図6参照)によって回転駆動される。第2ゴデットローラ13は、軸方向が左右方向とほぼ平行なローラであり、第1ゴデットローラ12よりも後側に配置されている。第2ゴデットローラ13は、第2ゴデットモータ112(図6参照)によって回転駆動される。また、第2ゴデットローラ13は、ガイドレール15に移動可能に支持されている。ガイドレール15は、前後方向における後側にいくほど、鉛直方向における上側に位置するように延びている。第2ゴデットローラ13は、シリンダ113(図6参照)に接続されている。シリンダ113を駆動させると、第2ゴデットローラ13は、ガイドレール15に沿って移動する。そして、これにより、第2ゴデットローラ13は、図2に実線で示す、糸Yの巻取を行うときの巻取位置と、図2に一点鎖線で示す、巻取位置よりも第1ゴデットローラ12に近接して配置される、糸掛けを行うときの糸掛け位置との間で移動可能となっている。紡糸装置から紡出された複数の糸Yは、ゴデットローラ12、13の順に巻き掛けられる。
巻取部14は、複数の支点ガイド21(本発明の「糸ガイド」)と、複数のトラバースガイド22と、ターレット23と、2本のボビンホルダ24と、コンタクトローラ25とを備えている。複数の支点ガイド21は、図2、図3に示すように、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に配列されている。また、各支点ガイド21は、後側に開口した溝21aを有し、後側から溝21aに糸Yを挿入することによって糸掛けを行うことができるようになっている。
また、複数の支点ガイド21は、複数のスライダ26に取り付けられている。複数のスライダ26は、ガイドレール27に沿って前後方向に移動可能に支持されている。また、複数のスライダ26は、シリンダ114(図6参照)に接続されている。シリンダ114を駆動させると、複数のスライダ26は、ガイドレール27に沿って前後方向に移動する。これにより、複数の支点ガイド21は、図2、図3(a)に示す、前後方向に互いに離れて配置される、糸Yを巻き取るときの巻取位置と、図3(b)に示す、ガイドレール27の前側において互いに近接して配置される、糸掛けを行うときの糸掛け位置との間で移動可能となっている。
複数のトラバースガイド22は、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に並んで配置されている。各トラバースガイド22は、トラバースモータ115(図6参照)によって駆動されて、前後方向に往復移動する。これにより、トラバースガイド22に掛けられた糸Yが、支点ガイド21を中心にトラバースされる。
ターレット23は、軸方向が前後方向と平行な円板状の部材である。ターレット23は、ターレットモータ116(図6参照)によって回転駆動される。2本のボビンホルダ24は、それぞれ、軸方向が前後方向と平行であり、ターレット23の上端部及び下端部に回転自在に支持されている。各ボビンホルダ24には、複数の糸Yに対して個別に設けられた複数のボビンBが前後方向に並べて装着されている。また、2つのボビンホルダ24は、それぞれ、個別の巻取モータ117(図6参照)によって回転駆動される。
そして、上側のボビンホルダ24を回転駆動させると、トラバースガイド22によってトラバースされた糸YがボビンBに巻き取られてパッケージPが形成される。また、パッケージPの形成が完了した後には、ターレット23を回転させることにより、2本のボビンホルダ24の上下の位置を入れ換える。これにより、それまで下側に位置していたボビンホルダ24が上側に移動し、このボビンホルダ24に装着されたボビンBに糸Yを巻き取ってパッケージPを形成することができる。また、それまで上側に位置していたボビンホルダ24が下側に移動し、このボビンホルダ24から完成したパッケージPを回収することができる。
コンタクトローラ25は、軸方向が前後方向と平行なローラであり、上側のボビンホルダ24のすぐ上方に配置されている。コンタクトローラ25は、上側のボビンホルダ24に装着されたボビンBに糸Yが巻き取られたパッケージPの表面に接触することで、糸Yの巻取中のパッケージPの表面に接圧を付与する。
(自動糸掛け装置)
次に、自動糸掛け装置4について説明する。自動糸掛け装置4は、本体部31と、ロボットアーム32と、糸掛けユニット33とを備えている。本体部31は、略直方体形状に構成され、内部に、ロボットアーム32や糸掛けユニット33の動作を制御するための糸掛け制御装置102(図6参照)などを搭載している。また、複数の引取ユニット3の前側には、複数の引取ユニット3にわたって左右方向に延びたガイドレール35が配置され、本体部31は、ガイドレール35に吊り下げられている。本体部31は、本体移動装置121(図6参照)によって、ガイドレール35に沿って左右方向に移動される。
ロボットアーム32は、本体部31の下面に取り付けられている。ロボットアーム32は、複数のアーム32aとアーム32a同士を連結する複数の関節部32bとを有する。各関節部32bにはアームモータ122(図6参照)が内蔵されており、アームモータ122(図6参照)が駆動されると、アーム32aが関節部32bを中心に揺動する。
糸掛けユニット33は、ロボットアーム32の先端部に取り付けられている。糸掛けユニット33は、図4、図5に示すように、一方向(以下、この方向を第1方向とする)に長尺に構成され、第1方向における片側(以下、第1方向の基端側とする)の端部において、アーム32aと接続されている。糸掛けユニット33は、フレーム41と、サクション42と、糸収束ガイド43と、カッター44と、スライド部材45と、押当ローラ46と、糸分けガイド47とを備えている。なお、以下では、第1方向における基端側と反対側を先端側とする。
ここで、本実施の形態では、ロボットアーム32を駆動させると、ロボットアーム32の先端部に取り付けられた糸掛けユニット33が移動する。このとき、糸掛けユニット33の向きを変えることもできる。ただし、糸掛けユニット33は、後述するように、糸掛け時には、主に、図5(b)の上下方向が、鉛直方向と平行で、且つ、図5(b)の上側が鉛直方向の上側、図5(b)の下側が鉛直方向の下側となるような向きで使用される。そこで、以下では、糸掛けユニット33の、図5(b)における上下方向を第2方向とするとともに、図5(b)の上側を第2方向の上側とし、図5(b)の下側を第2方向の下側とする。また、以下では、第1方向及び第2方向のいずれとも直交する方向を第3方向とする。また、以下では、図4、図5に示すように、第3方向の一方側及び他方側を定義して説明を行う。
フレーム41は、第1方向における基端部において、アーム32aと接続されている。サクション42は、フレーム41の第3方向における一方側の部分に取り付けられている。サクション42は、第1方向に延び、その先端部において糸Yを吸引可能となっている。糸収束ガイド43は、フレーム41に取り付けられ、サクション42の先端部の第2方向における下側に位置している。糸収束ガイド43には、後述するように、糸掛け時に複数の糸Yが収束した状態で掛けられる。カッター44は、フレーム41に取り付けられ、糸収束ガイド43の第2方向における下側に位置している。カッター44は、後述するように、糸保持部11からサクション42への糸Yの受け渡しを行う際に糸Yを切断するためのものである。
スライド部材45は、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44から、第3方向の他方側にずれて配置されている。スライド部材45は、シリンダ51を介してフレーム41に取り付けられており、シリンダ51を駆動させると、スライド部材45がフレーム41に対して第1方向に移動する。
押当ローラ46は、第2方向と直交するシャフト46aに回転自在に支持されたフリーローラであり、スライド部材45の第2方向における上側に配置されている。また、シャフト46aの片側の端部は、円筒状のシャフト52に取り付けられている。シャフト52は、第2方向に延びてスライド部材45を貫通している。シャフト52の第2方向における下側の端部には、ローラ揺動装置53が接続されている。
ローラ揺動装置53は、スライド部材45の第2方向における下側に配置され、2つのプーリ61、62と、ベルト63と、シリンダ64とを備えている。プーリ61は、軸方向が第2方向と平行であり、シャフト52の第2方向における下側の端部に取り付けられている。プーリ62は、プーリ61よりも第1方向の基端側に配置されている。プーリ62は、軸方向が第2方向と平行であり、スライド部材45に回転自在に支持されている。ベルト63は、ゴム材料等からなり、プーリ61、62に巻き掛けられている。また、ベルト63には、プーリ61と62との間に位置する部分に、シリンダ取付部63aが設けられている。シリンダ64は、スライド部材45に固定されているとともに、シリンダ取付部63aに取り付けられている。シリンダ64を駆動すると、シリンダ取付部63aが第1方向に移動することでベルト63が走行し、これにより、プーリ61、62が回転する。プーリ61が回転すると、シャフト52が回転し、押当ローラ46がシャフト52の軸(本発明の「揺動軸」)を中心に揺動する。そして、押当ローラ46は、シャフト52の軸を中心に揺動することで、図4(a)、図5(a)、(b)に示すように、シャフト46aが第1方向とほぼ平行となって、押当ローラ46全体が、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44が配置される領域よりも、第3方向における他方側に位置する退避姿勢と、シャフト46aが第3方向とほぼ平行となって、押当ローラ46が、第3方向における、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44が配置される領域に位置する押当姿勢(図10参照)のいずれかの姿勢を選択的に取ることができる。
糸分けガイド47は、押当ローラ46の第2方向における上側に配置されている。糸分けガイド47には、その長手方向に沿って並んだ複数の溝47aが形成されている。複数の溝47aは片側の端が開口しており、開口部分から離れるほど、溝47a同士の間隔が広くなっている。また、糸分けガイド47は、その長手方向における片側の端部が、第2方向と平行に延びたシャフト71に取り付けられている。シャフト71は、図5(c)に示すように、円筒状のシャフト52に挿通され、プーリ61よりも第2方向における下側まで延びている。シャフト71の第2方向における下側の端部には、ガイド揺動装置72が接続されている。
ガイド揺動装置72は、ローラ揺動装置53の第2方向における下側に配置され、2つのプーリ81、82と、ベルト83と、シリンダ84とを備えている。プーリ81は、軸方向が第2方向と平行であり、プーリ61の第2方向における下側に配置されている。プーリ81は、シャフト71の第2方向における下側の端部に取り付けられている。プーリ82は、軸方向が第2方向と平行であり、プーリ62の第2方向における下側に配置されている。プーリ82は、スライド部材45に回転自在に支持されている。ベルト83は、ゴム材料等からなり、プーリ81、82に巻き掛けられている。また、ベルト83には、プーリ81と82との間に位置する部分に、シリンダ取付部83aが設けられている。シリンダ84は、スライド部材45に固定されているとともに、シリンダ取付部83aに取り付けられている。シリンダ84を駆動すると、シリンダ取付部83aが第1方向に移動することでベルト83が走行し、これにより、プーリ81、82が回転する。プーリ81が回転すると、シャフト71が回転し、糸分けガイド47が、シャフト71の軸(本発明の「揺動軸」)を中心に揺動する。そして、糸分けガイド47は、シャフト71の軸を中心に揺動することによって、図4(a)、図5(a)、(b)に示すように、糸分けガイド47の長手方向が第1方向とほぼ平行となり、糸分けガイド47全体が、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44が配置されている領域よりも、第3方向における他方側に位置する退避姿勢と、糸分けガイド47の長手方向が第3方向とほぼ平行となって、糸分けガイド47が、第3方向において、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44が配置された領域に位置する糸掛け姿勢(図11参照)のいずれかの姿勢を選択的に取ることができる。
(紡糸引取機の電気的構成)
次に、紡糸引取機1の電気的構成について説明する。紡糸引取機1では、図6に示すように、各引取ユニット3に引取ユニット制御装置101が設けられ、引取ユニット制御装置101が、第1ゴデットモータ111、第2ゴデットモータ112、シリンダ113、114、トラバースモータ115、ターレットモータ116、巻取モータ117等の動作を制御する。なお、各引取ユニット3は、トラバースモータ115を複数備え、巻取モータ117を2つ備えているが、図6では、これらのモータをそれぞれ1つだけ図示している。また、図6では、1つの引取ユニット制御装置101についてのみ、その制御対象である第1ゴデットモータ111、第2ゴデットモータ112、シリンダ113、114、トラバースモータ115、ターレットモータ116及び巻取モータ117を図示している。
また、紡糸引取機1では、自動糸掛け装置4に糸掛け制御装置102が設けられ、糸掛け制御装置102が、本体移動装置121、アームモータ122、サクション42、カッター44、シリンダ51、64、84等の動作を制御する。なお、ロボットアーム32は、複数の関節部32bを有し、複数の関節部32bに対応する複数のアームモータ122を有しているが、図6では、アームモータ122を1つだけ図示している。
さらに、紡糸引取機1は、装置全体の制御を行うための制御装置100を備えている。制御装置100は、複数の引取ユニット3に設けられた複数の引取ユニット制御装置101、及び、糸掛け制御装置102と接続されており、複数の引取ユニット制御装置101及び糸掛け制御装置102の動作を制御することによって、紡糸引取機1全体の動作を制御する。
(糸掛けの方法)
次に、自動糸掛け装置4に、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21への糸掛けを行わせる方法について説明する。ここで、自動糸掛け装置4に糸掛けを行わせる前には、予め、紡糸装置から紡出された複数の糸Yを、予め糸保持部11に吸引保持させておく。また、糸掛けを行う引取ユニット3の、第2ゴデットローラ13を上述の糸掛け位置に位置させることで、第1ゴデットローラ12に近接させておく。また、複数の支点ガイド21を上述の糸掛け位置に位置させることで互いに近接させておく。また、糸掛けユニット33において、押当ローラ46及び糸分けガイド47を、それぞれ退避姿勢にさせておく。
そして、自動糸掛け装置4に糸掛けを行わせるときには、まず、自動糸掛け装置4を、糸掛けを行う引取ユニット3と前後方向に重なる位置まで移動させる。続いて、ロボットアーム32を駆動させて、糸掛けユニット33を、第1方向が前後方向と平行で、第2方向が鉛直方向と平行で、第3方向が左右方向と平行となるような姿勢で、糸保持部11よりも鉛直方向の上側に位置させる。このとき、サクション42の第1方向における先端部が複数の糸Yと対向するようにする。続いて、ロボットアーム32を駆動させて、糸掛けユニット33を第1方向の先端側に移動させる。すると、図7(a)に示すように、複数の糸Yが糸収束ガイド43に掛けられる。また、この状態では、複数の糸Yの、糸収束ガイド43と糸保持部11との間の部分は、カッター44によって切断可能な位置を通過する。
続いて、サクション42を駆動させて、複数の糸Yをサクション42に吸引保持させる。このとき、複数の糸Yは、糸収束ガイド43によって収束されていることにより、サクション42の先端部と対向する部分において互いに近接して配置されている。そのため、サクション42を駆動させたときに、複数の糸Yが確実に吸引される。
次に、カッター44により複数の糸Yを切断する。これにより、切断された複数の糸Yのうち、糸保持部11側の糸部分は、糸保持部11によって吸引される。一方、複数の糸Yの糸収束ガイド43側の糸部分は、図7(b)に示すように、サクション42によって吸引保持される。これにより、糸保持部11からサクション42への複数の糸Yの受け渡しを行うことができる。
ここで、本実施の形態では、上述したように糸保持部11からサクション42への複数の糸Yの受け渡しを行う間、押当ローラ46及び糸分けガイド47を、その全体が、サクション42、糸収束ガイド43及びカッター44よりも第3方向における他方側に位置する退避姿勢としている。したがって、糸保持部11からサクション42への糸Yの受け渡しを行うときに、押当ローラ46や糸分けガイド47が、糸Yに干渉して糸Yの受け渡しの邪魔になることがない。
次に、ロボットアーム32を駆動させて、糸掛けユニット33を移動させることにより、図8(a)に示すように、サクション42に保持された複数の糸Yを、鉛直方向の下側から第1ゴデットローラ12に巻き掛ける。続いて、図8(b)に示すように、複数の糸Yを、鉛直方向の上側から第2ゴデットローラ13に巻き掛ける。
次に、ロボットアーム32を駆動させて、糸掛けユニット33を、第2方向が鉛直方向と平行で、且つ、第1方向が前後方向に対して傾いた姿勢で、複数の支点ガイド21の下側に位置させる。続いて、図9(a)、(b)に示すように、押当ローラ46を、シャフト52を中心に揺動させることによって、退避姿勢から押当姿勢に切り換える。すると、押当ローラ46が、複数の糸Yに押し当てられ、複数の糸Yとの間の摩擦力によって回転する。これにより、複数の糸Yの、押当ローラ46が押し当てられた部分の間隔が広げられる。そして、複数の糸Yの間隔が、糸分けガイド47の複数の溝47aの開口部における間隔とほぼ同じとなる。
次に、図10(a)、(b)に示すように、スライド部材45を第1方向の先端側にスライドさせる。すると、複数の糸Yに押し当てられた押当ローラ46が、スライド部材45とともに第1方向の先端側にスライドしてサクション42から離れる。これにより、図9(a)、(b)の状態と比較して、第2方向から見たときの、押当ローラ46からサクション42に向かう糸Yの第3方向への傾斜角度が小さくなる。ここで、糸Yの上記傾斜角度が大きいと、糸Yがサクション42に向けて押当ローラ46から離れる位置にばらつきが生じやすく、糸揺れの原因となる。特に、押当ローラ46の軸方向における外側に位置するほど、上記傾斜角度が大きく問題が発生しやすい。そこで、本実施の形態では、上述したように、押当ローラ46をサクションから離すことにより、糸Yの上記傾斜角度を小さくして糸揺れを抑制している。
次に、図11(a)、(b)に示すように、糸分けガイド47を、シャフト71を中心に揺動させることによって、退避姿勢から糸掛け姿勢に切り換える。これにより、糸分けガイド47の複数の溝47aが、押当ローラ46が押し当てられた複数の糸Yとそれぞれ対向する。続いて、図12(a)、(b)に示すように、押当ローラ46を、シャフト52を中心に揺動させることによって、押当姿勢から退避姿勢に戻す。すると、押当ローラ46が複数の糸Yから離れ、複数の糸Yは、複数の溝47aにそれぞれ挿入される。このとき、複数の溝47aの開口から離れるほど、溝47a同士の間隔が大きくなっているため、複数の溝47aに挿入された複数の糸Yの間隔がさらに広がる。
ここで、図7(b)に示すように、複数の糸Yがサクション42に吸引保持された状態では、複数の糸Yは、サクション42近傍の部分において間隔が小さくなっていたり、ねじれて一体となっていたりする。そのため、この状態のままでは、複数の糸Yから各糸Yを引き出して、糸分けガイド47の対応する溝47aに挿入させるのが困難である。
そこで、本実施の形態では、サクション42に吸引保持された複数の糸Yに押当ローラ46を押し当てる。これにより、複数の糸Yの押当ローラ46が押し当てられた部分の間隔が広げられて、複数の溝47aの間隔とほぼ同じとなる。そして、この後、糸分けガイド47を糸掛け姿勢にしたうえで、押当ローラ46を退避姿勢に戻すことにより、複数の糸Yを糸分けガイド47の複数の溝47aに挿入させることができる。
次に、図13(a)、(b)に示すように、スライド部材45を第1方向の基端側にスライドさせる。すると、図14に示すように、糸分けガイド47がスライド部材45とともに第1方向の基端側にスライドし、複数の溝47aに挿入された複数の糸Yが、それぞれ対応する支点ガイド21に糸掛けされる。ここで、上述したように、図9〜図13の状態では、第1方向が前後方向に対して傾いているが、より詳細には、第1方向は、図14に示すように、糸分けガイド47の各溝47aと、これに対応する支点ガイド21の溝21aの先端の開口部とを結んだ直線と平行となっている。そして、複数の支点ガイド21への糸掛けが完了した後、第2ゴデットローラ13及び複数の支点ガイド21を巻取位置に移動させる。また、糸掛けユニット33において、糸分けガイド47を、シャフト71を中心に揺動させることにより、退避姿勢に戻す。
ここで、本実施の形態では、スライド部材45を第1方向の先端側にスライドさせることによって、押当ローラ46を第1方向の先端側にスライドさせてサクション42から離れさせている。一方で、スライド部材45を第1方向の基端側にスライドさせることによって、複数の溝47aに複数の糸Yがそれぞれ挿入された糸分けガイド47の第1方向の基端側にスライドさせて、複数の支点ガイド21にそれぞれ糸掛けを行っている。すなわち、本実施の形態では、スライド部材45と、スライド部材45を第1方向にスライドさせるためのシリンダ51とを合わせたものが、本発明のローラスライド装置とガイドスライド装置とを兼ねたものとなっている。
また、本実施の形態では、糸保持部11からサクション42への複数の糸Yの受け渡しの際に、押当ローラ46及び糸分けガイド47を、それぞれ退避姿勢とすることによって糸Yと干渉しないようにしている。一方で、押当ローラ46によって複数の糸Yの間隔を広げた後、糸分けガイド47を退避姿勢から糸掛け姿勢に切り換えた上で、押当ローラ46を退避姿勢に戻すことによって、複数の糸Yを、糸分けガイド47の複数の溝47aにそれぞれ挿入させている。すなわち、本実施の形態では、押当ローラ46を揺動させるローラ揺動装置53と、糸分けガイド47を揺動させるガイド揺動装置72とを合わせたものが、本発明の相対移動装置と、退避装置とを兼ねたものとなっている。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
上述の実施の形態では、押当ローラ46を退避姿勢から押当姿勢に切り換えた段階で、押当ローラ46が複数の糸Yに押し当てられるようになっていたが、これには限られない。例えば、押当ローラ46を退避姿勢から押当姿勢に切り換えた段階では、押当ローラ46が複数の糸Yから離れており、この後、押当ローラ46をスライドさせたときに、その途中で押当ローラ46が複数の糸Yに押し当てられるようになっていてもよい。この場合には、押当ローラ46がスライドする間に、複数の糸に押当ローラ46が押し当てられて複数の糸Yの間隔が広げられるとともに、押当ローラ46がサクション42から離れる。
また、上述の実施の形態では、スライド部材45と、スライド部材45を駆動するシリンダ51とを合わせたものが、本発明のローラスライド装置とガイドスライド装置とを兼ねたものとなっており、押当ローラ46を揺動させるローラ揺動装置53と、糸分けガイド47を揺動させるガイド揺動装置72とを合わせたものが、本発明の相対移動装置と退避装置とを兼ねたものとなっていたが、ローラスライド装置、ガイドスライド装置、相対移動装置及び退避装置の構成はこれには限られない。
例えば、押当ローラ46と糸分けガイド47とに対して別々にスライド部材を設け、これら2つのスライド部材を別々のシリンダによって駆動してもよい。この場合には、押当ローラ46が取り付けられたスライド部材と、このスライド部材を駆動するシリンダとを合わせたものが、本発明のローラスライド装置に相当する。また、糸分けガイド47が取り付けられたスライド部材と、このスライド部材を駆動するシリンダとを合わせたものが、本発明のガイドスライド装置に相当する。
さらに、この場合には、図11(a)、(b)と同様の状態から、押当ローラ46が取り付けられたスライド部材を第1方向の基端側に移動させることによって、押当ローラ46を複数の糸Yから離れさせて、複数の糸Yを糸分けガイド47の複数の溝47aに挿入させるようにしてもよい。なお、この場合には、押当ローラ46が取り付けられたスライド部材と、このスライド部材を移動させるためのシリンダとを合わせたものが、本発明の相対移動装置としても機能する。
さらに、この場合に、押当ローラ46が取り付けられたスライド部材、及び、糸分けガイド47が取り付けられたスライド部材の移動可能範囲を、上述の実施の形態のスライド部材45よりも第1方向の基端側に長くして、押当姿勢の押当ローラ46及び糸掛け姿勢の糸分けガイド47を、サクション42の先端部よりも第1方向の基端側まで移動可能としてもよい。この場合には、押当姿勢の押当ローラ46及び糸掛け姿勢の糸分けガイド47をサクション42の先端部よりも第1方向の基端側まで移動させることにより、押当ローラ46及び糸分けガイド47を、糸Yと干渉しないように退避させることができる。なお、この場合には、押当ローラ46及び糸分けガイドがそれぞれ取り付けられた2つのスライド部材と、これら2つのスライド部材を移動させるためのシリンダとを合わせたものが、本発明の退避装置としても機能する。
また、この場合には、押当ローラ46は常に第3方向と平行であってもよいため、ローラ揺動装置53がなく、押当ローラ46のシャフト46aが第3方向と平行な姿勢でスライド部材45に固定されていてもよい。同様に、この場合には、糸分けガイド47が常に第3方向に延びていてもよいため、ガイド揺動装置72がなく、糸分けガイド47が、第3方向に延びた姿勢でスライド部材45に固定されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、押当ローラ46を複数の糸Yに押し当てた後、押当ローラ46を第1方向の先端側に移動させることによって、押当ローラ46をサクション42から離したが、これには限られない。押当ローラ46を退避姿勢から押当姿勢に切り換えて複数の糸Yの間隔を広げた後に、押当ローラ46をスライドさせることなく、複数の溝47aへの糸Yの挿入や支点ガイド21への糸掛けを行ってもよい。
また、上述の実施の形態では、複数の溝47aに挿入された複数の糸Yを、複数の支点ガイド21に糸掛けするときに、スライド部材45を第1方向の基端側に移動させることによって、糸分けガイド47を第1方向の基端側に移動させたが、これには限られない。例えば、ロボットアーム32を駆動して糸掛けユニット33全体を第1方向の基端側に移動させることによって、糸分けガイド47を第1方向の基端側に移動させてもよい。なお、この場合には、ロボットアーム32が、本発明のガイドスライド装置に相当する。
また、ローラスライド装置、ガイドスライド装置、相対移動装置及び退避装置は、以上に説明したのとは異なる構成によって実現されていてもよい。また、この場合、ローラスライド装置、ガイドスライド装置、相対移動装置及び退避装置として、別個の4つの装置が設けられていてもよいし、1つの装置がこれら4つの装置のうち2以上の装置を兼ねるものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、サクション42の第2方向における下側に糸収束ガイド43が配置され、糸収束ガイド43の第2方向における下側にカッター44が配置されていたが、糸収束ガイド43とカッター44とが、これとは逆の位置関係で配置されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、糸掛けユニット33にカッター44が設けられていたが、糸掛けユニット33にカッター44が設けられていなくてもよい。例えば、糸保持部11にカッターが設けられていてもよい。この場合でも、糸保持部11が保持している複数の糸Yを、サクション42で吸引してから、カッターで複数の糸Yを切断すると、糸保持部11側の糸部分が糸保持部11に吸引され、サクション42側の糸Y部分がサクションに吸引保持される。
また、上述の実施の形態では、糸掛けユニット33に糸収束ガイド43が設けられていたが、糸収束ガイド43は設けられていなくてもよい。糸保持部11からサクション42に複数の糸Yを受け渡しする際のサクション42の位置(図7(a)の状態でのサクション42の位置)が、糸保持部11からそれほど離れていなければ、糸収束ガイド43がなくても、サクション42と対向する部分における複数の糸Yの間隔はそれほど大きくならない。そのため、糸収束ガイド43がなくても、サクション42を駆動して複数の糸Yをサクションで吸引保持することができる。
また、上述の実施の形態では、押当ローラ46が、シャフト46aに回転自在に支持されたフリーローラであったが、押当ローラ46は、モータによって回転駆動される駆動ローラであってもよい。この場合には、図9(a)、(b)に示すように、押当ローラ46が複数の糸Yに押し当てられたときに押当ローラ46を回転駆動させることにより、押当ローラ46が糸Yと間の摩擦力によってのみ回転する場合よりも、安定して押当ローラ46を回転させることができる。これにより、複数の糸Yの押当ローラ46が押し当てられた部分の間隔を安定して広げることができる。
また、上述の実施の形態では、自動糸掛け装置4に、ゴデットローラ12、13への複数の糸Yの巻き掛け、及び、複数の支点ガイド21への複数の糸Yの糸掛けを全て行わせたが、これには限られない。例えば、オペレータが、ゴデットローラ12、13に複数の糸Yを巻き掛け、その後に、自動糸掛け装置4に、複数の支点ガイド21への糸掛けを行わせてもよい。
また、上述の実施の形態では、引取ユニット3が、2つのゴデットローラ12、13を有するものであったが、これには限られない。引取ユニットは、例えば、特開2014−5555号公報に記載されているような、内部にヒータを備えた複数のゴデットローラ(加熱ローラ)を有するものであってもよい。この場合でも、糸掛けロボットにより、これら複数のゴデットローラに糸掛けを行うことができる。
また、以上では、糸Yがトラバースガイド22によってトラバースされるときの糸Yの支点となる支点ガイド21に糸掛けを行う例について説明したが、これには限られない。支点ガイド以外の糸ガイドへの糸掛けに、本発明を適用することも可能である。
4 自動糸掛け装置
21 支点ガイド
42 サクション
43 糸収束ガイド
44 カッター
45 スライド部材
46 押当ローラ
47 糸分けガイド
47a 溝
51 シリンダ
53 ローラ揺動装置
71 ガイド揺動装置

Claims (10)

  1. 複数の糸を複数の糸ガイドにそれぞれ糸掛けするための自動糸掛け装置であって、
    紡出された前記複数の糸を吸引するサクションと、
    前記サクションに吸引された前記複数の糸に押し当てられることによって、前記複数の糸の間隔を広げる押当ローラと、
    一方向に並んだ複数の溝を有し、前記押当ローラによって間隔が広げられた前記複数の糸が、前記複数の溝にそれぞれ挿入される糸分けガイドと、を備えていることを特徴とする自動糸掛け装置。
  2. 前記複数の糸に押し当てられた前記押当ローラを、前記押当ローラの軸方向と直交する方向にスライドさせることによって前記サクションから離れさせるローラスライド装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動糸掛け装置。
  3. 前記押当ローラによって間隔が広げられた前記複数の糸を、前記糸分けガイドの前記複数の溝にそれぞれ挿入させるように、前記押当ローラと前記糸分けガイドとを相対移動させる相対移動装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動糸掛け装置。
  4. 前記サクションが所定の第1方向に延び、
    前記相対移動装置は、
    前記押当ローラを、前記第1方向と直交する第2方向に延び、且つ、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記サクションとずれて配置された揺動軸を中心に揺動させるローラ揺動装置と、
    前記糸分けガイドを、前記揺動軸を中心に揺動させるガイド揺動装置と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の自動糸掛け装置。
  5. 前記押当ローラ及び前記糸分けガイドを、前記複数の糸と干渉しない位置に退避させる退避装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動糸掛け装置。
  6. 前記サクションが所定の第1方向に延び、
    前記退避装置は、
    前記押当ローラを、前記第1方向と直交する第2方向に延び、且つ、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に前記サクションとずれて配置された揺動軸を中心に揺動させるローラ揺動装置と、
    前記糸分けガイドを、前記揺動軸を中心に揺動させるガイド揺動装置と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の自動糸掛け装置。
  7. 前記複数の糸ガイドは、所定の配列方向に配列され、前記配列方向の片側から糸を挿入可能に構成されたものであり、
    前記複数の糸を保持した前記糸分けガイドを、前記配列方向に対して傾斜した方向にスライドさせるガイドスライド装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動糸掛け装置。
  8. 前記複数の糸を切断するカッターをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動糸掛け装置。
  9. 前記複数の糸が収束された状態で掛けられる糸収束ガイドをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動糸掛け装置。
  10. 前記押当ローラを回転駆動させるモータをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の自動糸掛け装置。
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