JP7127001B2 - タレット型巻糸装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タレット型巻糸装置に関するものである。
従来より、タレット盤を回転させることにより一対のスピンドルを巻取側と待機側に互いに転換させることによって、スピンドルに装着されたボビンに糸条部材を自動的に順次巻き取る、いわゆるタレット型巻糸装置が知られている。
具体的には、タレット型巻糸装置は、機枠に回転可能に設けられたタレット盤と、タレット盤に軸線方向を平行にして配設され、装着されたボビンに対して軸回転により糸条部材を巻き取る複数のスピンドルと、スピンドルの軸線方向に沿ってスピンドルの先端部側の第1の折り返し位置とスピンドルの基端部側の第2の折り返し位置との間を往復移動しながら、巻取側のスピンドルに装着されたボビンに対して糸条部材を綾振りするトラバースガイドと、スピンドルに設けられ、トラバースガイドの糸条部材を所定の把持位置で把持する把持機構とを備える。そして、巻取側のスピンドルに装着されたボビンに糸条部材を巻き取っていき、該ボビンが所定の巻糸量に達して満管状態となったとき、タレット盤が回転することにより巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルとを互いに転換して、新たな巻取側のスピンドルの把持機構によりトラバースガイドの糸条部材を把持したあと、新たな巻取側のスピンドルの空状態のボビンに糸条部材を巻き取る。これにより、複数のボビンに糸条部材を自動的に順次巻き取ることができる。
特開2002-137869号公報
しかしながら、ボビンが所定の巻糸量に達して満管状態となって、タレット盤が回転することにより巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルとが互いに転換する際、トラバースガイドの位置がその時々によってランダムであるため、トラバースガイドが把持位置に到達する時間が異なっていた。このため、ボビンに糸条部材が巻き取られた巻糸体の巻糸量や巻糸形などの品質にばらつきが生じるという問題があった。
また、特に巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換が完了したあとにトラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達する場合にあっては、新たな巻取側のスピンドルにおける空状態のボビンに糸条部材の巻き取りを開始する時間が遅れるため、巻糸体の生産効率が低下するという問題もあった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、安定した品質の巻糸体を効率的に生産することができる巻糸装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、機枠に回転可能に設けられたタレット盤と、前記タレット盤に軸線方向を平行にして配設され、装着されたボビンに対して軸回転により糸条部材を巻き取る複数のスピンドルと、前記スピンドルの軸線方向に沿って前記スピンドルの先端部側の第1の折り返し位置と前記スピンドルの基端部側の第2の折り返し位置との間を往復移動しながら、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンに対して糸条部材を綾振りするトラバースガイドと、前記スピンドルに設けられ、前記トラバースガイドから繰り出される糸条部材を所定の把持位置で把持する把持機構と、前記タレット盤の回転、前記スピンドルの軸回転、前記トラバースガイドの往復運動、前記把持機構による糸条部材の把持を制御する制御部とを備え、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンに糸条部材を巻き取っていき、該ボビンが所定の巻糸量に達して満管状態となったとき、前記タレット盤が回転することにより巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルとを互いに転換して、新たな巻取側の前記スピンドルの前記把持機構により糸条部材を把持したあと、新たな巻取側の前記スピンドルの空状態のボビンに糸条部材を巻き取るタレット型巻糸装置であって、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換が完了したときに前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達するように、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換時間に基づいて、前記トラバースガイドの移動速度および/または移動経路を算出して、前記トラバースガイドを該移動速度および/または該移動経路で移動させることを特徴とする。
これによれば、巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換が完了したときにトラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達するため、トラバースガイドが把持位置に到達する時間を統一することができ、ボビンに糸条部材が巻き取られた巻糸体の巻糸量や巻糸形などの品質のばらつきを軽減または防止することが可能となる。また、巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換が完了したあとにトラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達することがなくなり、糸条部材の巻き取りを速やかに開始することができ、巻糸体の生産効率を向上させることが可能となる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、巻取完了時の巻取側の前記スピンドルの巻取位置と、巻取開始時の待機側の前記スピンドルの待機位置と、前記タレット盤の回転速度とに基づいて、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換時間を算出してもよい。これによれば、糸条部材を巻き取るにつれて巻糸体の径が増大して、巻取側のスピンドルの巻取位置が進相した場合などでも、巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換時間を確実に算出することができる。
また、前記制御部は、前記トラバースガイドの糸条部材が前記把持機構により把持される直前の所定距離の間、前記トラバースガイドを一定速度で移動させてもよい。これによれば、トラバースガイドの移動速度が遅いことにより糸条部材が集積したり、あるいは移動速度が速いことにより糸条部材がボビンを外側に越えたりすることを防止し、糸条部材をボビンに最後まで安定して巻き取ることができる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の近接方向に移動している場合、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動する移動経路を算出してもよい。これによれば、トラバースガイドが糸条部材の把持位置にそのまま移動することができる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の離間方向に移動している場合、前記トラバースガイドが第1の折り返し位置まで所定の移動速度で移動して第1の折り返し位置で折り返したあと、糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動してもよい。これによれば、トラバースガイドが通常のトラバースと同様に第1の折り返し位置で折り返したあと、糸条部材の把持位置に移動することができる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の離間方向に移動している場合、前記トラバースガイドが前記タレット盤の回転と同時に糸条部材の把持位置の近接方向に折り返して、糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動する移動経路を算出してもよい。これによれば、トラバースガイドがタレット盤の回転と同時に把持位置の近接方向に折り返すため、トラバースガイドが糸条部材の把持位置に速やかに移動することができる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが所定のシフト位置と第2の折り返し位置の間において糸条部材の把持位置の近接方向に移動している場合、前記トラバースガイドが第2の折り返し位置まで所定の移動速度で移動して、第2の折り返し位置で折り返す移動経路を算出してもよい。これによれば、トラバースガイドが移動速度を変化させるためのシフト位置を越えて糸条部材の把持位置の近接方向に移動していたとしても、そのまま第2の折り返し位置で折り返すため、その後、シフト位置に到達したあとに移動速度を変化させることができる。
また、前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが第1の折り返し位置と第2の折り返し位置の間に設定された第3の折り返し位置で折り返して糸条部材の把持位置の近接方向に移動する移動経路を算出してもよい。これによれば、トラバースガイドが移動中に第3の折り返し位置で折り返して糸条部材の把持位置の近接方向に移動するため、トラバースガイドが糸条部材の把持位置に速やかに移動することができる。
本発明によれば、巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換が完了したときにトラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達するため、トラバースガイドが把持位置に到達する時間を統一することができ、ボビンに糸条部材が巻き取られた巻糸体の巻糸量や巻糸形などの品質のばらつきを軽減または防止することが可能となる。また、巻取側のスピンドルと待機側のスピンドルの転換が完了したあとにトラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達することがなくなり、糸条部材の巻き取りを速やかに開始することができ、巻糸体の生産効率を向上させることが可能となる。
本発明の実施形態に係るタレット型巻糸装置の正面図である。 図1の装置のスピンドルの側面図である。 図1の装置のトラバースガイドの側面図である。 図1の装置の電気的構成を示す図である。 タレット盤の回転によるスピンドルの転換の過程を示す図である。 トラバースガイドの移動経路(算出例1~算出例4)を示す模式図である。 トラバースガイドの移動経路(算出例5~算出例7)を示す模式図である。
次に、本発明に係るタレット型巻糸装置(以下、本装置という)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本装置は、図1に示すように、機枠10と、機枠10に設けられたタレット盤1と、該タレット盤1に設けられた一対のスピンドル2と、機枠10に設けられたトラバース機構3とを備える。
なお、図1において、(12)は、糸条部材をトラバース機構3に案内する案内ローラであって、案内ローラ12からトラバース機構3にかけて別の複数の案内ローラが設けられてもよい。また、(35)はスピンドル2のボビン21における糸条部材Lの巻糸体Mを接圧する接圧ローラである。
前記タレット盤1は、機枠10の正面側に回転可能に設けられた円盤であって、周囲に設けられた4個のローラ11に支持されるとともに、背面の中心部が機枠10に軸支され、背面側の機枠10内部に設けられた図示略の駆動モータにより平面方向に回転するものとなされている。
前記スピンドル2は、前記タレット盤1の正面側に垂直に突出する態様で設けられており、タレット盤1の背面側に設けられた図示略の駆動モータにより軸回転する。
また、前記スピンドル2は、円管状のボビン21が軸線方向に沿って脱着可能に装着され、軸回転に伴ってボビン21に糸条部材Lを巻き取るものとなされている。
また、前記スピンドル2は、基端部に糸条部材Lを把持する把持機構22が設けられており、所定の巻取側において糸条部材Lをボビン21に巻き取ることを開始する際、後述のトラバースガイド32から繰り出される糸条部材Lを把持するものとなされている。本実施形態では、把持機構22は、図2に示すように、スピンドル2の基端部に開閉可能に設けられており、後述の制御部4の指令によりスピンドル2の軸線方向に開いて糸条部材Lを誘導したあと、スピンドル2の軸線方向に閉じて糸条部材Lを把持する。
また、前記スピンドル2は、互いにタレット盤1に180度の位相差でタレット盤1に配設されており、タレット盤1の回転によって、糸条部材Lの巻き取りを行う巻取側のスピンドル2と、ボビン21の脱着および待機を行う待機側のスピンドル2とが互いに転換するものとなされている。
前記トラバース機構3は、巻取側のスピンドル2の近傍位置に設けられており、図3に示すように、トラバース本体31と、該トラバース本体31に設けられたトラバースガイド32とを備える。
このトラバースガイド32は、機枠10内に設けられた図示略の駆動モータにより、巻取側のスピンドル2と所定距離を隔てながら、スピンドル2の先端部側の第1の折り返し位置Aとスピンドル2の基端部側の第2の折り返し位置Bとの間をスピンドル2の軸線方向に沿って往復移動するものとなされている。
本実施形態では、第2の折り返し位置Bは、糸条部材Lの巻き取りを開始する際の糸部材の把持位置Hとして設定されている。また、トラバースガイド32の位置については、トラバースガイド32の駆動モータの回転度合い等から測定される。
なお、図3において、(33)は、糸条部材Lの切り替えの基準(原点)を検知するセンサであり、(34)は、糸条部材Lの把持する際に糸条部材Lを検知するセンサである。
而して、本装置において、図5(a)に示すように、巻取側(左側)のスピンドル2に装着されたボビン21に糸条部材Lを巻き取っていき、図5(b)に示すように、該ボビン21が所定の巻糸量に達して満管状態になったとき、タレット盤1が回転することにより巻取側(左側)のスピンドル2と待機側(右側)のスピンドル2とを互いに転換する。そして、図5(c)に示すように、転換後の巻取側(左側)のスピンドル2の把持機構22によりトラバースガイド32の糸条部材Lを把持したあと、巻取側(左側)のスピンドル2と待機側(右側)のスピンドルの間の糸条部材Lを切断して、転換後の巻取側(左側)のスピンドル2の空状態のボビン21に糸条部材Lを巻き取っていく。また、待機側(右側)のスピンドル2は、満管状態のボビン21が取り外されたあと、空状態のボビン21が装着される。これら一連の動作を繰り返すことによってスピンドルのボビン21に糸条部材を順次巻き取ることができる。
これらタレット盤1の回転、スピンドル2の軸回転、トラバースガイド32の往復運動、並びに把持機構22による糸条部材Lの把持は、図4に示すように、制御部4によって制御される。
前記制御部4は、巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換を完了したとき、トラバースガイド32が糸条部材Lの把持位置Hに到達するように制御する。具体的には、制御部4は、図5(b)(c)に示すように、巻取開始時の巻取位置θ0のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になったあと、該満管状態のスピンドル2が巻取完了時の巻取位置θ1から巻取開始時の待機位置θ2に転換するとともに、空状態のスピンドル2が巻取完了時の待機位置(θ1+180°)から巻取開始時の巻取位置θ0に転換することを完了したときに、トラバース機構3上でランダムに位置するトラバースガイド32が糸条部材Lの把持位置Hに到達するようにトラバースガイド32を所定の移動速度および/または移動経路で移動させる。このトラバースガイド32の移動速度および/または移動経路の算出については、制御部4は、巻取完了時の巻取位置θ1のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態となった際(制御部4が満管信号を受け取ってからタレット盤1が開始するまでの間)、タレット盤1の回転による巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換時間に基づいて、トラバースガイド32の移動速度および/または移動経路を算出する。
本実施形態では、前記制御部4は、タレット盤1の回転による巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換時間tを下式により算出する。
t=(θ2-θ1)/ω…[1]
θ1:巻取完了時におけるスピンドル2の巻取位置(角度)
θ2:巻取開始時におけるスピンドル2の待機位置(角度)
ω:回転盤の角速度
なお、糸条部材Lの巻き取りにより巻糸体Mの径が大きくなるため、巻取完了時のスピンドル2の巻取位置θ1は巻取開始時の所定の巻取位置θ0よりも右回りに(θ1-θ0)だけ進相する。このため、制御部4は、タレット盤1(駆動モータ)の回転度合いに基づいて巻取完了時のスピンドル2の巻取位置θ1を測定する。また、巻取開始時におけるスピンドル2の巻取位置θ0および待機位置θ2は、あらかじめ定められている。また、回転盤の角速度ωも、あらかじめ定められている。
以下、トラバースガイド32の移動速度および/または移動経路の算出例について説明する。なお、以下の各算出例において、トラバースガイド32の移動速度V1、V2並びに位置L0~L4、Ltrの定義は以下のとおりである。
V1:トラバースガイド32の第1の移動速度
V2:トラバースガイド32の第2の移動速度(一定)
L0:トラバースガイド32のスピンドル2の先端部側の第1の折り返し位置A(原点)
L1:巻取側のスピンドル2の満管時におけるのトラバースガイド32の位置
L2:トラバースガイド32の移動速度の切替位置
L3:移動速度が変化可能なシフト位置(L2と同じ位置か、LO側の位置)
L4:あらかじめ設定された第3の折り返し位置C
Ltr:トラバースガイド32のスピンドル2の基端部側の第2の折り返し位置B(本実施形態では糸条部材Lの把持位置Hも同じ位置とする)
<算出例1>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図6(a)に示すように、トラバースガイド32が位置L0と位置Ltrの間において位置Ltrの近接方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第1の移動速度V1で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[2]により算出する。
V1=(Ltr-L1)/t…[2]
<算出例2>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図6(b)に示すように、トラバースガイド32が位置L0と位置Ltrの間において位置Ltrの離間方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置L0まで第1の移動速度V1で移動して位置LO(第1の折り返し位置A)で折り返したあと、位置L0からLtr(糸条部材Lの把持位置H)まで第1の移動速度V1で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[3]により算出する。
(L1-L0)/V1+(Ltr-L0)/V1=t…[3]
<算出例3>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図6(c)に示すように、トラバースガイド32が位置L0と位置L2の間において位置Ltrの近接方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置L2まで第1の移動速度V1で移動したあと、位置L2から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第2の移動速度V2(一定)で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[4]により算出する。
(L2-L1)/V1+(Ltr-L2)/V2=t…[4]
<算出例4>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図6(d)に示すように、トラバースガイド32が位置L0と位置L2の間において位置Ltrの離間方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置L0まで第1の移動速度V1で移動して位置L0(第1の折り返し位置A)で折り返したあと、位置L0から位置L2まで第1の移動速度V1で移動し、位置L2から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第2の移動速度V2(一定)で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[5]により算出する。
(L1-L0)/V1+(L2-L0)/V1+(Ltr-L2)/V2=t…[5]
<算出例5>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図7(a)に示すように、トラバースガイド32が位置L0と位置L2の間において位置Ltrの離間方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32がタレット盤1の回転と同時に位置L1で位置Ltrの近接方向に折り返して、位置L1から位置L2まで第1の移動速度V1で移動し、位置L2から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第2の移動速度V2(一定)で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[6]により算出する。
(L2-L1)/V1+(Ltr-L2)/V2=t…[6]
<算出例6>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図7(b)に示すように、トラバースガイド32が位置L3(シフト位置)と位置L2の間において位置Ltrの近接方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置Ltrまで第1の移動速度V1で移動して位置Ltr(第2の折り返し位置B)で折り返したあと、位置Ltrから位置L0まで第1の移動速度V1で移動し、位置L0(第1の折り返し位置A)で折り返したあと、位置L0から位置L2まで第2の移動速度V1で移動し、位置L2から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第2の移動速度V2(一定)で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[7]により算出する。
(Ltr-L1)/V1+(Ltr-L0)/V1+(L2-L0)/V1+(Ltr-L2)/V2=t…[7]
<算出例7>
巻取側のスピンドル2に装着されたボビン21の糸条部材Lが所定の巻糸量に達して満管状態になった際、図7(c)に示すように、トラバースガイド32が位置L3と位置L2の間において位置Ltrの近接方向に移動している場合、制御部4は、トラバースガイド32が位置L1から位置Ltrまで第1の移動速度V1で移動して位置Ltr(第2の折り返し位置B)で折り返したあと、位置L1から位置L4まで第1の移動速度V1で移動して位置L4(第3の折り返し位置C)で折り返して、位置L4から位置L2まで第1の移動速度V1で移動し、位置L2から位置Ltr(糸条部材Lの把持位置H)まで第2の移動速度V2で移動する移動経路を算出する。このとき、制御部4は、第1の移動速度V1を下式[8]により算出する。
(Ltr-L1)/V1+(Ltr-L4)/V1+(L2-L4)/V1+(Ltr-L2)/V2=t…[8]
このように巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換が完了したときにトラバースガイド32が糸条部材Lの把持位置Hに到達するため、トラバースガイド32が把持位置Hに到達する時間を統一することができ、ボビン21に糸条部材Lが巻き取られた巻糸体Mの巻糸量や巻糸形などの品質のばらつきを軽減または防止することが可能となる。また、巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換が完了したあとにトラバースガイド32が糸条部材Lの把持位置Hに到達することがなくなり、糸条部材Lの巻き取りを速やかに開始することができ、巻糸体Mの生産効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態では、上述の算出例1~7を例示したが、これらの移動経路および移動速度に限定されるものではない。要は、巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換を完了したときにトラバースガイド32が糸条部材Lの把持位置Hに到達するものであれば、どのような移動経路および移動速度であってもよい。
また、糸条部材Lの把持位置Hとして第2の折り返し位置Bを設定したが、第2の折り返し位置Bと異なる位置、例えば、第2の折り返し位置Bと機枠10の間の位置に設定してもよい。
また、制御部4は、上式[1]に基づいて、巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換時間を算出するものとしたが、その他の計算式により算出してもよいし、あるいはあらかじめ算出された転換時間を用いてもよい。
また、巻取側のスピンドル2は糸条部材Lの巻き取りの度合いに応じて右側に進相するものとしたが、巻取開始から巻取完了時に至るまで巻取開始時の巻取位置θ0を維持するものとしてもよい。
また、上式[2]~[8]については、上式の形式に限定されるものではなく、V1を直接算出する形式など、その他の形式であってもよい。
また、トラバース機構3のトラバースガイド32のトラバースについて、折り返し位置を固定して糸条部材Lをボビン21に巻き取るものについて説明したが、巻糸体の巻径によって折り返し位置を変化させながら糸条部材Lをボビン21に巻き取るものであってもよい。
また、制御部3は、巻取側のスピンドル2と待機側のスピンドル2の転換時間に基づいて、トラバースガイド32の移動速度および移動経路を算出するものとしたが、トラバースガイド32の移動速度のみ、あるいはトラバースガイド32の移動経路のみを算出するものであってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1…タレット盤
11…ローラ
2…スピンドル
21…ボビン
22…把持機構
3…トラバース機構
31…トラバース本体
32…トラバースガイド
4…制御部
10…機枠

Claims (8)

  1. 機枠に回転可能に設けられたタレット盤と、
    前記タレット盤に軸線方向を平行にして配設され、装着されたボビンに対して軸回転により糸条部材を巻き取る複数のスピンドルと、
    前記スピンドルの軸線方向に沿って前記スピンドルの先端部側の第1の折り返し位置と前記スピンドルの基端部側の第2の折り返し位置との間を往復移動しながら、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンに対して糸条部材を綾振りするトラバースガイドと、
    前記スピンドルに設けられ、前記トラバースガイドから繰り出される糸条部材を所定の把持位置で把持する把持機構と、
    前記タレット盤の回転、前記スピンドルの軸回転、前記トラバースガイドの往復運動、前記把持機構による糸条部材の把持を制御する制御部とを備え、
    巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンに糸条部材を巻き取っていき、該ボビンが所定の巻糸量に達して満管状態となったとき、前記タレット盤が回転することにより巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルとを互いに転換して、新たな巻取側の前記スピンドルの前記把持機構により糸条部材を把持したあと、新たな巻取側の前記スピンドルの空状態のボビンに糸条部材を巻き取るタレット型巻糸装置であって、
    前記制御部は、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換が完了したときに前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置に到達するように、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換時間に基づいて、前記トラバースガイドの移動速度および/または移動経路を算出して、前記トラバースガイドを該移動速度および/または該移動経路で移動させることを特徴とするタレット型巻糸装置。
  2. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、巻取完了時の巻取側の前記スピンドルの巻取位置と、巻取開始時の待機側の前記スピンドルの待機位置と、前記タレット盤の回転速度とに基づいて、巻取側の前記スピンドルと待機側の前記スピンドルの転換時間を算出する請求項1に記載のタレット型巻糸装置。
  3. 前記制御部は、前記トラバースガイドの糸条部材が前記把持機構により把持される直前の所定距離の間、前記トラバースガイドを一定速度で移動させる請求項1または請求項2に記載のタレット型巻糸装置。
  4. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の近接方向に移動している場合、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動する移動経路を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載のタレット型巻糸装置。
  5. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の離間方向に移動している場合、前記トラバースガイドが第1の折り返し位置まで所定の移動速度で移動して第1の折り返し位置で折り返したあと、糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動する移動経路を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載のタレット型巻糸装置。
  6. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが糸条部材の把持位置の離間方向に移動している場合、前記トラバースガイドが前記タレット盤の回転と同時に糸条部材の把持位置の近接方向に折り返して、糸条部材の把持位置まで所定の移動速度で移動する移動経路を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載のタレット型巻糸装置。
  7. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが所定のシフト位置と第2の折り返し位置の間において糸条部材の把持位置の近接方向に移動している場合、前記トラバースガイドが第2の折り返し位置まで所定の移動速度で移動して、第2の折り返し位置で折り返す移動経路を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載のタレット型巻糸装置。
  8. 前記制御部は、巻取側の前記スピンドルに装着されたボビンの糸条部材が所定の巻糸量に達して満管状態になった際、前記トラバースガイドが第1の折り返し位置と第2の折り返し位置の間に設定された第3の折り返し位置で折り返して糸条部材の把持位置の近接方向に移動する移動経路を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載のタレット型巻糸装置。
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