JP2017081884A - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】油溶性カミツレ抽出物とカルニチン類とを併用し、肌の柔らかさ、こく感に優れ、べたつきのなさ、ツヤ感、保湿感も良好な皮膚外用剤の提供。【解決手段】下記成分(A)〜(E)を含有し、成分(D)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(D)]が2.3以上7.8以下であり、成分(E)の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下である皮膚外用剤。(A) 油溶性カミツレ抽出物(B) カルニチン、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる化合物(C) 25℃でペースト状又は固形状の油剤(D) 数平均分子量が600以上200,000以下であるポリアルキレングリコール(E) 液状油【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚外用剤に関する。
油溶性カミツレ抽出物は、光老化抑制作用、コラーゲン産生促進作用、養毛作用、ATP産生促進作用、皮膚バリア機能改善作用、細胞分化促進作用、コラーゲンゲル収縮促進作用、毛穴収縮作用等の多くの生理作用を有することから、数多くの化粧品に配合されている(例えば、特許文献1〜4)。
また、カルニチン類もバリア機能促進作用、抗老化改善作用等の生理作用を有することから、数多くの化粧品に配合されている(例えば、特許文献5、6)。
特開平8-73324号公報 特開平8-92056号公報 特開平10-72336号公報 特開2007-161666号公報 特開2012-206976号公報 特開2013-139407号公報
しかしながら、油溶性カミツレ抽出物とカルニチン類を併用した場合、つや感を抑えるペースト状油又は固形油を高配合すると、経時安定が低下する傾向にあり、マットな仕上がりを有し、経時安定性に優れたものが得られにくいという問題があることが分かった。そのため、それらを改善する必要が生じていた。
したがって本発明は、油溶性カミツレ抽出物とカルニチン類とを併用し、経時安定性に優れ、マットな仕上がり感に優れ、べたつきが低減され、保湿感の持続性が良好な皮膚外用剤に関する。
本発明者らは、油溶性カミツレ抽出物とカルニチン類と共に、液状油の含有量を低減させ、ペースト状油又は固形状油と高重合ポリアルキレングリコールとを特定比で含有させることによって、前記要求を満たす皮膚外用剤が得られることを見出した。
本発明は、下記成分(A)〜(E)を含有し、成分(D)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(D)]が2.3以上7.8以下であり、成分(E)の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下である皮膚外用剤を提供するものである。
(A) 油溶性カミツレ抽出物
(B) カルニチン、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる化合物
(C) 25℃でペースト状又は固形状の油剤
(D) 数平均分子量が600以上200,000以下であるポリアルキレングリコール
(E) 液状油
本発明の皮膚外用剤は、油溶性カミツレ抽出物とカルニチン類とを併用し、経時安定性に優れ、マットな仕上がり感に優れ、べたつきが低減され、保湿感の持続性が良好である。
〔成分(A):油溶性カミツレ抽出物〕
成分(A)の油溶性カミツレ抽出物は、キク科植物であるカミツレ〔Matricaria chamomilla L. (Compositae)〕の花を、親油性有機溶剤で抽出することにより得られる。用いられる溶剤としては、溶解度パラメータ(SP値)が15〜21の範囲にある油剤が好ましく、例えばミリスチン酸イソプロピル(SP値17.0)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値17.7)、流動パラフィン(SP値16.4)、スクワラン(SP値16.2)及びこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。また、これらはヒマシ油、パーシック油、大豆油、ヒマワリ油等の植物由来の油等であっても良い。一般に、抽出に用いる油剤によって、抽出物に含まれる成分の種類と量が異なる。本発明においては、スクワランを用いた抽出物が、より優れた光老化抑制作用等の生理作用効果を発現させる観点から好ましい。ここで、SP値とは物質間の相溶性の尺度をいい、特開平10-194920号公報に記載の方法に従って、Hansenの3次元溶解度パラメーターを計算することにより求めることができる。
油溶性カミツレ抽出物は、例えば、特開平10-194920号公報記載の方法により、カミツレから親油性有機溶剤を用いて抽出することにより製造できる。具体的には、抽出は、粉砕した乾燥カミツレ花に、カミツレ花に対して1〜100質量倍の親油性有機溶剤を加え、10〜90℃で1〜96時間攪拌することにより行われる。温度は、油剤の種類により適宜設定することができる。
本発明において成分(A)の油溶性カミツレ抽出物は、製造時に他の油性成分との混和性を向上させるため、前記抽出溶媒中に乾燥固形分が溶解した溶液の形態であってもよい。この場合、油溶性カミツレ抽出物中の乾燥固形分は、製造時に他の油性成分との混和性を向上させ、経時安定性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下である。
ここで乾燥固形分量とは、抽出物を乾燥して溶媒を除去した固形分量であり、親油性有機溶剤量が判明している場合は親油性有機溶剤量を除いた残量である。
かかる油溶性カミツレ抽出物には、カマズレン、ウンベリフェロン、7-メトキシクマリン、マトリシン、マトリカリン、タラキサステロール、ウペオール、アピイン、下記式で表されるスピロエーテル化合物等が含まれている。
Figure 2017081884
これら含有成分の中でも、スピロエーテル化合物の含有量が、光老化抑制作用等の生理作用効果を発現させると考えられる。本発明において、油溶性カミツレ抽出物中のスピロエーテル化合物量は、光老化抑制作用等の生理作用効果を発現させ、経時安定性を向上させる観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは100ppm以上、更に好ましくは200ppm以上、更に好ましくは300ppm以上、更に好ましくは360ppm以上であり、また、好ましくは500ppm以下、より好ましくは480ppm以下、更に好ましくは450ppm以下、更に好ましくは440ppm以下、更に好ましくは420ppm以下である。また、油溶性カミツレ抽出物は、1種以上を用いることができるが、2種以上を用いる場合には、全抽出物中のスピロエーテル化合物の総量が上記範囲内となることが好ましい。
皮膚外用剤中における成分(A)の乾燥固形分としての含有量は、光老化抑制作用等の生理作用効果を発現させ、経時安定性を向上させる観点から、好ましくは0.00004質量%以上、より好ましくは0.0002質量%以上、更に好ましくは0.00032質量%以上、更に好ましくは0.0004質量%以上、更に好ましくは0.0008質量%以上であり、また、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.008質量%以下、更に好ましくは0.004質量%以下、更に好ましくは0.0032質量%以下、更に好ましくは0.0028質量%以下である。
更に、前記の観点より、皮膚外用剤中における前記スピロエーテル化合物としての含有量は、好ましくは0.0375ppm以上、より好ましくは0.1875ppm以上、更に好ましくは0.3ppm以上、更に好ましくは0.375ppm以上、更に好ましくは0.75ppm以上であり、また、好ましくは18.75ppm以下、より好ましくは7.5ppm以下、更に好ましくは3.75ppm以下、更に好ましくは3ppm以下、更に好ましくは2.625ppm以下である。
〔成分(B):カルニチン、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる化合物〕
成分(B)は、カルニチン、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる化合物である(カルニチン類と記載する場合もある)。これらのカルニチン、その誘導体又はそれらの塩としては、生理活性機能の強さ、製剤中での経時安定性が良好な観点から、下記一般式(1)又は(2)で表されるカルニチン、アシルカルニチン又はそれらの塩が好ましい。
Figure 2017081884
〔式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアシル基を示し、X-はアニオンを示す。〕
1のうち、アシル基の炭素数としては、生理活性機能を発現し、製剤中での安定性を向上させる観点から、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、2のアセチル基が更に好ましい。
一般式(2)中のX-としては、クロリド、スルフォネート、ニトレート、アセテート、シトレート、ニコチネート、サリチレート等が挙げられ、皮膚刺激性を低減させる観点から、クロリド、スルフォネート及びニトレートから選択される1種又は2種以上が好ましく、クロリド及びスルフォネートから選択される1種又は2種がより好ましい。また、X-としてクロリドを含むことが好ましい。
成分(B)の具体例としては、一般式(1)において、R1が水素原子であるカルニチン(化学名:4-トリメチルアンモニオ-3-ヒドロキシ酪酸);一般式(2)においてR1が水素原子であるカルニチン塩;一般式(1)において、R1がアシル基であるオクタノイルカルニチン、ヘキサノイルカルニチン、バレリルカルニチン、ブチリルカルニチン、プロピオニルカルニチン、アセチルカルニチン等;一般式(2)において、R1がアシル基であるオクタノイルカルニチン塩、ヘキサノイルカルニチン塩、バレリルカルニチン塩、ブチリルカルニチン塩、プロピオニルカルニチン塩、アセチルカルニチン塩等が挙げられる。
成分(B)には、立体異性体としてD体とL体が存在し、混合物としてDL体が知られているが、生理活性機能の強さの観点から、L体及びDL体が好ましく、L体がより好ましい。
これらのうち、生理活性機能を発現し、経時安定性が良好で、べたつきが少なく、良好な保湿効果の持続性が得られる観点から、L-カルニチン、L-カルニチン塩酸塩、L-カルニチン硫酸塩、L-カルニチン硝酸塩、アセチル-L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン塩酸塩、アセチル-L-カルニチン硫酸塩、アセチル-L-カルニチン硝酸塩、アセチル-L-カルニチンアセテート、アセチル-L-カルニチンシトレート、アセチル-L-カルニチンニコチネート及びアセチル-L-カルニチンサリチレートから選択される1種又は2種以上が好ましく、L-カルニチン、L-カルニチン塩酸塩、L-カルニチン硫酸塩、L-カルニチン硝酸塩、アセチル-L-カルニチン、アセチル-L-カルニチン塩酸塩、アセチル-L-カルニチン硫酸塩及びアセチル-L-カルニチン硝酸塩から選択される1種又は2種以上がより好ましく、L-カルニチン、L-カルニチン塩酸塩及びL-カルニチン硫酸塩から選択される1種又は2種以上が更に好ましく、L-カルニチン及びL-カルニチン塩酸塩から選択される1種又は2種が更に好ましい。また、成分(B)としてL-カルニチン塩酸塩を含むことが更に好ましい。
成分(B)は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。皮膚外用剤中における成分(B)の含有量は、皮膚に対する保湿効果の持続性を向上させ、べたつきを抑制させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.3質量%以下である。
〔成分(C):25℃でペースト状又は固形状の油剤〕
本発明で用いる(C)25℃でペースト状又は固体状の油剤としては、25℃を超える温度域に融点を持ち、25℃で液状とはならないものであるが、特にペースト状のものは25℃で完全に液状とならず半固体状である点で、液状のものと区別することができるものである。なお、融点の測定法は、化粧品原料基準記載の第3法によるものである。
これらのうち、経時安定性を向上させ、保湿感の持続性、マットな仕上がりを向上させる観点から、(C1)炭化水素、ロウ、エステル油及びエーテル油から選択される1種又は2種以上と、(C2)高級アルコール及び高級脂肪酸から選択される1種又は2種以上とを組み合わせて含有することが好ましい。
成分(C1)の炭化水素、ロウ、エステル油、エーテル油として具体的には、固形パラフィン(融点:59〜91℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点:80℃)、セレシン(融点:68〜75℃)、ワセリン(融点60℃)等の炭化水素;カルナウバロウ(融点:80〜86℃)、ミツロウ(融点:64℃)、キャンデリラロウ(融点:68〜72℃)、コメヌカロウ(融点70〜83℃)、ジョジョバロウ(融点:55℃)、モクロウ(融点:55℃)、ホホバ脂(融点46〜54℃)、ラノリン(融点37〜43℃)等のロウ;水添ホホバ油(融点:68℃)、硬化ヒマシ油(融点:84℃)、水添パーム油(融点:65℃)、硬化ヤシ油(融点:70℃)、シア脂(融点36〜45℃)、パルミチン酸セチル(融点50℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(融点38℃)、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル(融点40℃)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(融点:66℃)等のエステル油;バチルアルコール(融点:60〜70℃)、キミルアルコール(融点60.5〜61.5℃)等のエーテル油などが挙げられる。
成分(C2)の高級アルコール、高級脂肪酸としては、式ROH(Rは炭素数14以上24以下の直鎖のアルキル基)で表される飽和の直鎖のアルコール、式R'COOH(R'は炭素数11以上23以下の直鎖のアルキル基)で表される飽和の直鎖の脂肪酸が挙げられ、べたつきを抑制し、塗布する際の延展性を向上させる観点から、前記の高級アルコールが好ましい。
成分(C2)の高級アルコールの炭素数は、経時安定性を向上させ、マットな仕上がり感、塗布する際の延展性、保湿感の持続性を向上させる観点から、好ましくは16以上、より好ましくは18以上、更に好ましくは20以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは23以下である。
また、成分(C2)の高級脂肪酸の炭素数は、経時安定性を向上させ、マットな仕上がり感、塗布する際の延展性、保湿感の持続性を向上させる観点から、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは20以下である。
具体的には、高級アルコールとして、ミリスチルアルコール(融点37.6℃)、セチルアルコール(融点49.3℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)、アラキルアルコール(融点65.5℃)、ベヘニルアルコール(融点70.5℃)、カルナービルアルコール(融点75.5℃)等が挙げられ、高級脂肪酸として、ラウリン酸(融点44.2℃)、ミリスチン酸(融点53.9℃)、パルミチン酸(融点63.1℃)、ステアリン酸(融点69.6℃)、ベヘン酸(融点81.5℃)、12-ヒドロキシステアリン酸(融点:76〜77℃)等が挙げられる。
成分(C)の融点は、マットな仕上がり感、塗布する際の延展性、保湿感の持続性を向上させる観点から、25℃以上を超え、好ましくは28℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
皮膚外用剤中における成分(C1)の含有量は、マットな仕上がり感を向上させ、保湿感の持続性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは11質量%以下、より好ましくは10.5質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9.5質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
皮膚外用剤中における成分(C2)の含有量は、経時安定性を向上させ、マットな仕上がり感を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
皮膚外用剤中における成分(C1)及び成分(C2)を含む成分(C)の合計含有量は、べたつきを抑制し、保湿感の持続性、マットな仕上がり感を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは21質量%以下り、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは14質量%以下である。
成分(C2)に対する成分(C1)の含有質量比[(C1)/(C2)]は、経時安定性を向上させ、べたつきを抑制し、保湿感の持続性、マットな仕上がり感を向上させる観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。
〔成分(D):数平均分子量が600以上200,000以下のポリアルキレングリコール〕
本発明で用いる成分(D)は、数平均分子量が600以上200,000以下のポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、数平均分子量が600以上200,000以下であって、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。経時安定性を向上させ、マットな仕上がり感を向上させ、べたつきを低減させる観点から、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上であり、また、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、更に好ましくは10,000以下である。
成分(D)のポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基の炭素数としては、同様の観点から、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、具体的なアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
(ポリアルキレングリコールの数平均分子量)
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、以下に示すように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、算出することができる。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、ポリアルキレングリコールをテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をメッシュ0.45μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(アドバンテック社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、テトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:HLC-8220 GPC(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
これらは、市販品を使用することができ、例えばPEG#2000、PEG#4000、PEG#6000、PEG#10000(全て日油社製)を使用することができる。これら成分(D)は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
皮膚外用剤中における成分(D)の含有量は、経時安定性を向上させ、マットな仕上がり感を向上させ、べたつきを低減させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
また、成分(D)に対する成分(C)の質量比[(C)/(D)]は、経時安定性に優れ、マットな仕上がり感を向上させ、べたつきを抑制し、保湿感の持続性を向上させる観点より、2.3以上であって、好ましくは2.7以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは3.5以上であり、また、7.8以下であって、好ましくは7.5以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6.8以下である。
〔成分(E):液状の油剤〕
本発明で用いる成分(E)の液状の油剤とは、25℃で流動性を有する油剤であり、具体的には、成分(A)との混和性を向上させ、経時安定性を向上させる観点から、25℃の動粘度が、1000mm2/s以下の油剤が好ましく、500mm2/s以下の油剤がより好ましく、100mm2/s以下の油剤が更に好ましい。
25℃での動粘度は、毛細管式粘度計を使って、一定容量の液体が25℃、一気圧下で粘度計の毛細管を流れる時間を測定し、この流出時間と粘度計定数から次式を用いて算出される。毛細管式粘度計は、ウベローデ又はキャノン−フェンスケ型式が用いられる。
<動粘度の算出方法>
動粘度(mm2/s)=流出時間(秒)×粘度計定数
成分(E)としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン(流動ポリイソブチレン)、重質流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐鎖の炭化水素油;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸アルキル等の脂肪酸エステルや、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール等の多価アルコール脂肪酸エステルなどのエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性シリコーン油等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。これらは、ホホバ油、オリーブ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油等の天然油であってもよい。
これらのうち、保湿感を向上させ、べたつきを低減させる観点から、直鎖又は分岐鎖の炭化水素油、エステル油及びシリコーン油から選択される1種又は2種以上が好ましく、直鎖又は分岐鎖の炭化水素油及びエステル油から選択される1種又は2種以上がより好ましい。また、液状油として直鎖又は分岐鎖の炭化水素油を含むことが好ましい。
皮膚外用剤中における成分(E)の含有量は、経時安定性を向上させ、べたつきを低減させ、保湿感の持続性を向上させる観点から、3.5質量%以下であって、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。また、成分(A)との混和性を向上させ、保湿感を向上させる観点から、0.1質量%以上であって、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。
また、成分(C)に対する成分(E)の含有質量比[(E)/(C)]は、経時安定性に優れ、マットな仕上がり感を向上させ、べたつきを抑制し、保湿感の持続性を向上させる観点より、好ましくは0.01以上であって、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.035以上であり、また、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.1以下である。
〔成分(F):エタノール〕
本発明の皮膚外用剤には、更に成分(F)として、エタノールを含有させることができる。皮膚外用剤中におけるエタノールの含有量は、べたつきを抑え、経時安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
〔成分(G):リン脂質〕
本発明の皮膚外用剤には、更に成分(G)として、リン脂質を含有させることができる。リン脂質としては、製剤の安定性を向上させ、べたつきを抑制するか観点から、ホスファチジルコリン含量が60質量%以上が好ましく、65質量%以上であるものがより好ましく、また、ホスファチジルコリン含量が95質量%以下が好ましく、92質量%以下がより好ましい。ホスファチジルコリン以外のリン脂質成分としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールなどが挙げられる。
本発明に用いられるリン脂質は、動植物から抽出、精製した天然物であっても、化学合成したものであっても良く、水素添加、水酸化処理などの加工を施したものであっても良い。天然物としては、経時安定性を向上させ、皮膚刺激を低減させる観点から、大豆又は卵黄等からの抽出・精製物であるレシチンが好ましく、より好ましいリン脂質としては水素添加又は水酸化処理されたリン脂質である。具体的には、大豆レシチン水素添加物、卵黄レシチン水素添加物が好適に挙げられる。
リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率は、薄層クロマトグラフィー(TLC)や高速液体クロマトフラフィー(HPLC)、イアトロスキャン(ヤトロン社製)等を用いた方法で分析することができる。例えば、特開2001-186898号公報に記載されるリン脂質が含まれる有機溶媒をTLCにスポットしてクロロホルム:メタノール:酢酸=65:25:10で展開し、50質量%硫酸エタノールを噴霧、加熱後デンシトメーターでリン脂質を分析する方法が挙げられる。前記方法以外でも、リン脂質中に含まれるホフファチジルコリンの含有量、含有率を測定、算出できる方法であれば、いずれの方法でも良い。
ホスファチジルコリンを60質量%以上含有しているリン脂質としては、コートソームNC-21(水素添加大豆レシチン;日油社製)、レシノールS-10E、レシノールS-10EX(水素添加大豆レシチン;日光ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
皮膚外用剤中における成分(G)の含有量は、製剤の安定性を向上させ、べたつきを抑え、マットな仕上がりを向上させ、皮膚刺激を低減させる観点より、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。
〔成分(H):水〕
本発明の皮膚外用剤は、成分(H)として水を含有することが好ましい。皮膚外用剤中における成分(H)の含有量は、べたつきを低減し、保湿感、肌のやわらかさを向上させる観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、また92質量%以下が好ましく、88質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。具体的には、好ましくは50〜92質量%であり、より好ましくは60〜88質量%であり、更に好ましくは70〜85質量%である。
〔他の任意成分ほか〕
本発明の皮膚外用剤には、成分(G)以外の界面活性剤、水溶性高分子、成分(D)以外の多価アルコール、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、金属イオン封鎖剤、中和剤、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、制汗剤、薬剤、各種の抽出液、香料等の通常化粧料に用いられる各種の原料を含有することができる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、たとえば、制汗剤を香料として使用したり、他の用途との併用として、たとえば、制汗剤と香料としての効果を奏するものとして使用することができる。
成分(G)以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び成分(G)以外の両性界面活性剤等、公知のものが使用できるが、皮膚刺激が生じる、べたつきが強く感じられる場合があるため、成分(G)以外の界面活性剤の皮膚外用剤の含有量は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%がより好ましく、0.1質量%が更に好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
水溶性高分子としては、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子又は双極性高分子等が挙げられる。
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)、(ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、同じくアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。
非イオン性高分子としては、具体的には、セルロースエーテル(ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、プロピレングリコールアルギネート、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アミロース、ヒドロキシエチルアミロース及びこれらの混合物等が挙げられる。
両性高分子又は双極性高分子として、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-43等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。べたつきを抑え、経時安定性を向上させる観点から、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及びヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩から選択される1種又は2種以上が好ましく、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及びキサンタンガムから選択される1種又は2種以上がより好ましく、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体から選択される1種又は2種以上が更に好ましい。
皮膚外用剤中における水溶性高分子の含有量は、前記の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、また、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
成分(D)以外の多価アルコールとしては、2〜4価の多価アルコールが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(数平均分子量600未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(数平均分子量600未満)、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン;ソルビトール、マルチトール等の糖類が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
これらのうち、きしみ、べたつきを抑え、肌馴染みが良好で、経時安定性を向上させる観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種又は2種以上が好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種又は2種以上がより好ましく、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種又は2種以上が更に好ましい。
皮膚外用剤中の多価アルコールの含有量は、前記の観点から、1質量%以上が好ましく、1.5質量%がより好ましく、また、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;アルギニン、アスパラギン酸、トラネキサム酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ等が挙げられる。
また、上記薬剤は、遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸又は塩基の塩の型で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
各種の抽出液としては、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、カロットエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリス抽出液、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液等が挙げられる。
更に、本発明の皮膚外用剤には、必要に応じて適当な香料、色素等を乳化安定性の損なわない範囲で添加できる。
本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬品、医薬部外品等に好適に用いることができる。具体的には、洗顔料、クレンジング化粧料、ローション、乳液、美容クリーム、下地化粧料、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料などの皮膚化粧料;各種薬剤を含有する軟膏、クリーム等の外用医薬品として好適に利用できる。特に、本発明の皮膚外用剤は、べたつき感やぬるつき感がないため、皮膚化粧料として好適に利用でき、好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。
本発明の皮膚外用剤の剤形は任意であり、液状、エマルション、ジェル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製されるが、みずみずしい感触を与え、塗布時の伸びが良好な点から、乳化皮膚用外用剤とするのが好ましく、水中油型乳化皮膚外用剤とすることがより好ましい。
〔製造方法〕
本発明の皮膚外用剤は、形態に応じて所定の手順により製造することができる。例えば、本発明の皮膚外用剤の製造方法は、成分(A)〜(H)を含むものを共に混合する工程を含んでもよい。
また、本発明の皮膚外用剤の製造方法は、成分(B)、(D)、成分(F)及び成分(H)を含む水相を加熱し、撹拌する工程1と、
成分(A)、成分(C)、成分(E)及び成分(G)を含む油相を、加熱し、撹拌する工程2と、
工程1の調製物と、工程2の調製物とを、混合させる工程3を含んでいても良い。
工程1における加熱温度は、水を沸騰させないで、水相成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
工程2における加熱温度は、油相成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である
また、揮発しやすい成分である成分(F)や熱の影響を受けやすい成分(B)は、予め乳化物を形成させた後に、添加し、混合させることが好ましい。
具体的には、本発明の皮膚外用剤の製造方法は、成分(D)及び(H)を含む水相を加熱し、撹拌する工程1と、
成分(A)、成分(C)、成分(E)及び成分(G)を含む油相を加熱し、撹拌する工程2と、
工程1の調製物と、工程2の調製物とを混合させる工程3と、
工程3の調製物を冷却する工程4と、
工程4の調製物の温度が50℃未満に下がった後、成分(B)及び成分(F)を添加し、混合する工程5を含んでも良い。
工程1における加熱温度は、水を沸騰させないで、水相成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
工程2における加熱温度は、油相成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である
工程5において、中和されていない成分(B)を用いる場合、混合状態を均一な状態に維持する観点から、予め成分(B)を中和した後、工程4の調製物に添加し、混合させることが好ましい。
実施例1〜12及び比較例1〜6
表1に示す処方に従い、皮膚外用剤(水中油型乳化物)を調製した。
(製造方法)
A:成分2を成分18の一部(成分2の10質量倍量)に溶解させ、そこに成分17の一部(成分2の0.5質量倍量)を添加し、中和させる
B:成分1、3〜9、14を80℃の加熱下で、攪拌混合する。
C:成分10〜12、成分15、予め精製水にて膨潤させた成分16、残りの成分18を80℃の加熱下で、攪拌混合する。
D:工程Cの調製物に工程Bの調製物を添加し、80℃の加熱下でホモミキサー(7000rpm、10分)を用いて均一に攪拌混合する。
E:冷却を開始する
F:工程Dの調製物の温度が50℃に下がった時に、残りの成分17を添加し、ホモミキサー(2000rpm、2分)で均一に攪拌混合する。
G:工程Fの調製物の温度が40℃に下がった時に、成分13、工程Aの調製物を添加し、ホモミキサー(3500rpm、10分)で更に均一に攪拌混合する。
H:工程Gの調製物の温度が35℃まで下がったら、冷却を終了し、自然冷却させる。
これらの試料を用いて、以下の評価項目について、以下の判定基準に従って官能評価及び安定性評価を行い、結果を表1に併せて示した。
(官能評価)
専門評価パネラー10名により、試料を使用してもらい使用直後に「マットな仕上がり感」、「べたつきのなさ」についてアンケート評価を行い、試料の使用後1時間後に「保湿感の持続性」についてアンケート評価を行った。下記判定基準により官能評価を実施した。評価は、その平均点(小数点以下第1位を四捨五入)で示した
(判定基準)
5点:非常に良い。
4点:良い。
3点:やや良い。
2点:悪い。
1点:非常に悪い。
(安定性試験)
表1〜3に記載の皮膚外用剤を100mLガラス瓶に80mL入れて密封し、それぞれの試料を50℃の恒温槽に1ヶ月間保管した。調製直後の状態を基準として、1ヶ月後の外観の変化について、目視により下記基準に基づいて判定した。
○ :問題なし
△ :極めて軽微な分離(離油、離水等)が見られる
× :明確な分離(離油、離水等)が見られる
Figure 2017081884
Figure 2017081884
*1:スクワラン抽出物、乾燥固形分0.4質量%、スピロエーテル化合物370ppm含有
*2:サラコス334、日清オイリオグループ社製
*3:PLANDOOL-H、日本精化社製
*4:COATSOME NC-21、日油社製
*5:シンタレンL、和光純薬社製
以下、本発明の処方例を示す。いずれも実施例と同等の効果を奏するものである。
処方例1(乳液)
(成分) 含有量(質量%)
油溶性カミツレ抽出液(*1) 0.5
L-塩化カルニチン 0.5
トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル(*2) 7
ステアリン酸 4
ポリエチレングリコール(数平均分子量11000) 2
エタノール 5
水添レシチン(*4) 0.5
ジプロピレングリコール 5
ソルビトール70質量%水溶液 1
カルボキシビニルポリマー(*5) 0.14
キサンタンガム 0.1
水酸化カリウム 適量
豆乳発酵液(*6) 0.1
チョウジ抽出液(*7) 0.1
ヒメフウロエキス(*8) 0.1
サンゴ草抽出液(*9) 0.1
ヒメノボタンエキス(*10) 0.1
エデト酸塩 0.02
フェノキシエタノール 0.5
水 残量
*6:豆乳発酵液、三省製薬社製
*7:ファルコレックス チョウジ、一丸ファルコス社製
*8:プリンセスケア、一丸ファルコス社製
*9:コーラル グラス、テクノーブル社製
*10:キンキンコウ抽出液BG70、丸善製薬社製
処方例2(ジェルクリーム)
(成分) 含有量(質量%)
油溶性カミツレ抽出液(*1) 0.5
L-塩化カルニチン 0.5
トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル(*2) 4
シア脂 3
ステアリルコール 4
ポリエチレングリコール(数平均分子量6000) 2
エタノール 5
水添レシチン(*4) 0.5
ジプロピレングリコール 5
グリセリン 3
カルボキシビニルポリマー(*5) 0.14
キサンタンガム 0.1
水酸化カリウム 適量
ヒアルロン酸ナトリウム(*11) 0.01
ユズエキス(*12) 0.1
ローズマリーエキス(*13) 0.1
甜茶エキス(*14) 0.1
エデト酸塩 0.02
フェノキシエタノール 0.5
水 残量
*11:ヒアルロン酸 FCH-120、キッコーマンバイオケミファ社製
*12:ユズ抽出液、丸善製薬社製
*13:まんねんろう抽出液、香栄興業社製
*14:甜茶抽出液BGW、丸善製薬社製

Claims (5)

  1. 下記成分(A)〜(E)を含有し、成分(D)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(D)]が2.3以上7.8以下であり、成分(E)の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下である皮膚外用剤を提供するものである。
    (A) 油溶性カミツレ抽出物
    (B) カルニチン、その誘導体及びそれらの塩から選ばれる化合物
    (C) 25℃でペースト状又は固形状の油剤
    (D) 数平均分子量が600以上200,000以下であるポリアルキレングリコール
    (E) 液状油
  2. 成分(C)が、(C1)炭化水素、ロウ、エステル油及びエーテル油から選択される1種又は2種以上、並びに(C2)高級アルコール及び高級脂肪酸から選択される1種又は2種以上を含有するものである請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 成分(D)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(D)]が、3以上7以下である請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
  4. 成分(D)が、数平均分子量1,000以上100,000以下のポリアルキレングリコールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  5. 水中油型乳化型皮膚外用剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
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