JP2017079126A - 全固体リチウム電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSO2ガスを除去できる全固体リチウム電池を提供することを課題とする。【解決手段】本発明においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に設けられた固体電解質層とを有する全固体リチウム電池であって、上記正極活物質が、酸化物活物質であり、上記正極層および上記固体電解質層の少なくとも一方が、硫化物固体電解質を含有し、上記全固体リチウム電池の内部にハロゲン化リチウムが配置され、上記ハロゲン化リチウムの含有量が、上記正極活物質の総酸素量と、上記全固体リチウム電池に含まれる上記硫化物固体電解質の総硫黄量とに基づく想定SO2量(mol)に対して、4倍以上であることを特徴とする全固体リチウム電池を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図4

Description

本発明は、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSOガスを除去できる全固体リチウム電池に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
特許文献1には、電池中に塩基性材料を含む硫化物系固体電解質電池が開示されている。この技術は、硫化物系固体電解質の潮解時において派生する硫化水素を、塩基性材料によりHSにアニオン化することで、硫化水素ガスの発生を抑制する技術である。また、特許文献2には、PSユニットを含有するイオン伝導体と、鉄硫化物とを含有する硫化物固体電解質材料が開示されている。この技術は、PSユニットを含有するイオン伝導体と鉄硫化物とを共存させることにより、硫化水素発生量の低下を図る技術である。また、特許文献3には、特定の硫化物固体電解質材料と、水素よりもイオン化傾向の小さい金属元素を含有する抑制材とを有するLiイオン伝導性材料が開示されている。この技術は、抑制材を用いることにより、硫化水素が生成する前に硫黄成分を安定化する技術である。
特開2011−165650号公報 特開2011−044249号公報 特開2011−113720号公報
例えば、全固体リチウム電池が充電状態で高温に曝されると、正極活物質に含まれる酸素(O)元素と、硫化物固体電解質に含まれる硫黄(S)元素とが反応し、SOガスが生じる場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSOガスを除去できる全固体リチウム電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に設けられた固体電解質層とを有する全固体リチウム電池であって、上記正極活物質が、酸化物活物質であり、上記正極層および上記固体電解質層の少なくとも一方が、硫化物固体電解質を含有し、上記全固体リチウム電池の内部にハロゲン化リチウムが配置され、上記ハロゲン化リチウムの含有量が、上記正極活物質の総酸素量と、上記全固体リチウム電池に含まれる上記硫化物固体電解質の総硫黄量とに基づく想定SO量(mol)に対して、4倍以上であることを特徴とする全固体リチウム電池を提供する。
本発明によれば、ハロゲン化リチウムをSOガス吸着材として用いることで、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSOガスを除去可能な全固体リチウム電池とすることができる。
本発明の全固体リチウム電池は、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSOガスを除去できるという効果を奏する。
本発明の全固体リチウム電池の一例を示す概略断面図である。 本発明の全固体リチウム電池の他の例を示す概略断面図である。 実施例1で得られた充電後の正極層に対するTPD−MS測定の結果である。 比較例1で得られた充電後の正極層に対するTPD−MS測定の結果である。
以下、本発明の全固体リチウム電池について、詳細に説明する。
図1は、本発明の全固体リチウム電池の一例を示す概略断面図である。図1に示される全固体リチウム電池10は、正極活物質を含有する正極層1と、負極活物質を含有する負極層2と、正極層1および負極層2の間に設けられた固体電解質層3と、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。また、正極層1に含まれる正極活物質は、酸化物活物質であり、正極層1および固体電解質層3の少なくとも一方は、硫化物固体電解質を含有する。さらに、全固体リチウム電池10の内部にはハロゲン化リチウム(図示せず)が配置され、そのハロゲン化リチウムの含有量は、想定されるSO量(mol)に基づいて決定される。
本発明によれば、ハロゲン化リチウムをSOガス吸着材として用いることで、正極活物質および硫化物固体電解質の反応により生じるSOガスを除去可能な全固体リチウム電池とすることができる。さらに、ハロゲン化リチウムの含有量は、想定されるSO量(mol)に基づいて決定されるため、SOガスを十分にトラップすることができる。
例えば、全固体リチウム電池が充電状態で高温に曝されると、正極活物質および硫化物固体電解質が反応し、SOガスが発生する場合がある。充電状態とは、例えば、SOC(State of charge)が、10%以上の状態をいい、30%以上の状態であっても良く、50%以上の状態であっても良く、70%以上の状態であっても良い。高温状態とは、例えば、200℃以上の状態をいい、400℃以上であっても良く、500℃以上であっても良い。本発明においては、正極活物質および硫化物固体電解質が反応してSOガスが発生した場合であっても、ハロゲン化リチウム(SOガス吸着材)を十分に含有するため、より安全性の高い全固体リチウム電池とすることができる。
また、ハロゲン化リチウムは、硫化物固体電解質の材料として使用可能な材料であるため、一般的な吸着材(例えば、塩基性酸化物、ゼオライト、活性炭等の物理的吸着材、SOを溶解させる水等の化学的吸着材等)に比べて、硫化物固体電解質の変質が生じ難いという利点がある。また、特にハロゲン化リチウムがLiIである場合、LiIおよびSOの反応によりIが生じる。Iの昇華反応は吸熱反応であるため、正極層で生じる発熱反応を冷却する冷却効果が得られると考えられる。
また、上述したように、ハロゲン化リチウムは、硫化物固体電解質の材料として使用可能な材料であり、ハロゲン化リチウムを含有する硫化物固体電解質が知られている。ハロゲン化リチウムの添加により、Liイオン伝導性の向上等が期待できるが、ハロゲン化リチウムの添加量は多くない(ハロゲン化リチウムの添加量が多すぎると、逆にLiイオン伝導性が低下する場合もある)。そのため、硫化物固体電解質に含まれるハロゲン化リチウムだけでは、通常、SOガスを十分にトラップすることは難しい。これに対して、本発明においては、ハロゲン化リチウムの含有量を、想定されるSO量(mol)に基づいて決定するため、SOガスを十分にトラップすることができる。
なお、特許文献1〜3には、硫化水素ガス(HSガス)の発生を抑制する技術が開示されているが、SOガスの発生については、記載も示唆もされていない。また、SOガスを除去するための手段として、脱硫触媒を用いる可能性も想定できるが、その場合、高温処理および還元ガスが必要となるため、電池内で発生するSOガスを除去する技術としての適用は難しい。
以下、本発明の全固体リチウム電池について、さらに詳細に説明する。
1.ハロゲン化リチウムの含有量
本発明においては、全固体リチウム電池の内部にハロゲン化リチウムが配置される。ハロゲン化リチウムとしては、例えば、LiF、LiCl、LiBrおよびLiIを挙げることができ、中でも、LiCl、LiBrおよびLiIが好ましい。また、ハロゲン化リチウムの含有量は、正極活物質の総酸素量と、全固体リチウム電池に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量とに基づく想定SO量(mol)に基づいて決定される。具体的には、以下の(1)〜(4)の手順に沿って決定される。
(1)正極層に含まれる正極活物質の総酸素量の算出
正極層に関する各種パラメータを次のように定義する。
密度:ρ(g/cm
活物質比率:r(体積%)
充填率:f(%)
膜厚:t(cm)
投影面積:A(cm
なお、下付きのCは、正極(Cathode)を示す。
ここで、正極層に含まれる正極活物質の総質量をmC−act(g)とした場合、mC−actは以下の式で示される。
C−act=ρ×r×f×t×A
また、正極活物質のモル質量をMC−act(g/mol)、正極活物質1mol当たりの酸素量をαmolとし、正極層に含まれる正極活物質の総酸素量(mol)をMOLとした場合、MOLは以下の式(1)で示される。
MOL=α×mC−act/MC−act
=α×ρ×r×f×t×A/MC−act …式(1)
なお、例えば正極活物質がLiCoOの場合、正極活物質1mol当たりの酸素量αは2molとなる。
(2)電池に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量の算出
正極層、負極層および固体電解質層(セパレータ層)に関する各種パラメータを次のように定義する。
密度:ρ(g/cm
硫化物固体電解質比率:r´(体積%)
充填率:f(%)
膜厚:t(cm)
投影面積:A(cm
なお、下付きのiは、C、AまたはSPを示し、Cは正極(Cathode)を示し、Aは負極(Anode)を示し、SPはセパレータ(Separator)を示す。
ここで、正極層に含まれる硫化物固体電解質の総質量をmC−SE(g)とした場合、mC−SEは以下の式で示される。
C−SE=ρ×r´×f×t×A
なお、正極層が、正極活物質および硫化物固体電解質から実質的に構成され、他の成分(例えば、導電化材および結着材)の割合が無視できる程度に小さい場合には、r´=1−rで近似することもできる。
同様に、負極層に含まれる硫化物固体電解質の総質量をmA−SE(g)とした場合、mA−SEは以下の式で示される。
A−SE=ρ×r´×f×t×A
同様に、固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質の総質量をmSP−SE(g)とした場合、mSP−SEは以下の式で示される。
SP−SE=ρSP×r´SP×fSP×tSP×A
また、正極層に含まれる硫化物固体電解質のモル質量をMC−SE(g/mol)、硫化物固体電解質1mol当たりの硫黄量をβmolとし、正極層に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量(mol)をMOLS−Cとした場合、MOLS−Cは以下の式(2a)で示される。
MOLS−C=β×mC−SE/MC−SE
=β×ρ×r´×f×t×A/MC−SE …式(2a)
なお、例えば硫化物固体電解質がLiPSの場合、硫化物固体電解質1mol当たりの硫黄量βは4molとなる。
同様に、負極層に含まれる硫化物固体電解質のモル質量をMA−SEとし、負極層に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量(mol)をMOLS−Aとした場合、MOLS−Aは以下の式(2b)で示される。
MOLS−A=β×mA−SE/MA−SE
=β×ρ×r´×f×t×A/MA−SE …式(2b)
同様に、固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質のモル質量をMSP−SEとし、固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量(mol)をMOLS−SPとした場合、MOLS−SPは以下の式(2c)で示される。
MOLS−SP=β×mSP−SE/MSP−SE
=β×ρSP×r´SP×fSP×tSP×A/MSP−SE …式(2c)
以上より、電池に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量MOLは、式(2)で示される。
MOL=MOLS−C+MOLS−A+MOLS−SP …式(2)
(3)想定SO量の算出
式(1)で求めたMOLと、式(2)で求めたMOLとから、想定SO量(mol)を算出する。具体的には、S+2O→SOの反応に基づいて、0.5×MOLと、MOLとの大小関係を比較する。0.5×MOL>MOLである場合、酸素が硫黄に比べて過剰であり、相対的に少ない硫黄の量がSO発生量を決定する主要因となる。想定SO量をMOLSO2とした場合、MOLSO2は、S+2O→SOの反応に基づいて、式(3)で示される。
MOLSO2=MOL …式(3)
一方、0.5×MOL<MOLである場合、硫黄が酸素に比べて過剰であり、相対的に少ない酸素の量がSO発生量を決定する主要因となる。MOLSO2は、S+2O→SOの反応に基づいて、式(4)で示される。
MOLSO2=0.5×MOL …式(4)
なお、0.5×MOL=MOLの場合、MOLSO2=MOL=0.5×MOLとなる。
(4)ハロゲン化リチウムの含有量
本発明におけるハロゲン化リチウムの含有量(mol)は、想定SO量に対して、通常、4倍以上である。下記反応式(1)が生じていると推測されるためである。なお、Xはハロゲンを表す。
4LiX+SO → 2X+S+2LiO 反応式(1)
なお、下記反応式(2)が生じている可能性もある。その場合、リチウムの含有量(mol)は、想定SO量に対して、6倍以上であることが好ましい。
6LiX+SO → 3X+LiS+2LiO 反応式(2)
ハロゲン化リチウムの含有量(mol)をMOLLiIとする。MOLLiIは、通常、MOLSO2の4倍以上である。上記式(3)の場合、通常、MOLLiI≧4MOLを満たす。一方、上記式(4)の場合、通常、MOLLiI≧2MOLを満たす。MOLLiIは、MOLSO2に対して、通常、4倍以上であり、6倍以上であって良い。一方、MOLLiIは、MOLSO2に対して、例えば、30倍以下であり、10倍以下であっても良い。
また、例えば、硫化物固体電解質がハロゲン化リチウムを含有する場合、そのハロゲン化リチウムの量も、上述したハロゲン化リチウムの含有量に含まれる。硫化物固体電解質に含まれるハロゲン化リチウムも、SOガスをトラップする吸着材として機能すると考えられるからである。なお、硫化物固体電解質がハロゲン化リチウムを含有する場合であっても、そのハロゲン化リチウムの量では、通常、想定SO量のSOガスを処理することは難しい。そのため、通常は、硫化物固体電解質とは別にハロゲン化リチウムを用いる必要がある。このハロゲン化リチウムを、添加ハロゲン化リチウムとし、硫化物固体電解質に含まれるハロゲン化リチウムを、含有ハロゲン化リチウムとする。含有ハロゲン化リチウムの量(MOL)に対する添加ハロゲン化リチウム(MOL)の割合(MOL/MOL)は、例えば、50倍以上であり、60倍以上であっても良い。一方、MOL/MOLは、例えば、2000倍以下であり、1000倍以下であっても良く、100倍以下であっても良い。
ハロゲン化リチウムが配置される位置は、全固体リチウム電池の内部であれば特に限定されない。中でも、正極層の内部、正極層の近傍(例えば正極層と接触する位置)、固体電解質層の内部、および、固体電解質層の近傍(例えば固体電解質層と接触する位置)の少なくとも一箇所にハロゲン化リチウムが配置されることが好ましい。正極層または固体電解質層の内部にハロゲン化リチウムが配置される場合としては、例えば、正極層または固体電解質層にハロゲン化リチウムが分散している場合を挙げることができる。一方、正極層または固体電解質層の近傍にハロゲン化リチウムが配置される場合としては、例えば、正極層および正極集電体の間、正極層および固体電解質層の間、正極層および固体電解質層の少なくとも一方の側面にハロゲン化リチウムが配置されている場合を挙げることができる。なお、添加ハロゲン化リチウムは、濃縮層のみに含有されていても良い。
特に、本発明においては、図2に示すように、正極層および正極集電体の間に、ハロゲン化リチウムの濃縮層が配置されていることが好ましい。このような濃縮層を設けることで、Liイオン伝導パスを妨げずに、正極から発生するSOガスを効率良くトラップすることができるからである。
また、濃縮層は、ハロゲン化リチウムに加えて、導電化材を含有することが好ましい。ハロゲン化リチウムに導電化材を混合することで、良好な電子伝導パスを形成することができるからである。導電化材としては、例えば、アルミニウム粉末等の金属材料、および、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、VGCF等の炭素材料を挙げることができる。濃縮層におけるハロゲン化リチウムの割合は、例えば、50質量%以上であり、60質量%以上であっても良く、70質量%以上であっても良い。また、濃縮層の厚さは、例えば1μm〜10μmの範囲内である。
2.全固体リチウム電池の構成
本発明の全固体リチウム電池は、正極層、固体電解質層および負極層を少なくとも有する。全固体リチウム電池について、構成ごとに説明する。
(1)正極層
本発明における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。正極層は、正極活物質の他に、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。
本発明における正極活物質は、通常、酸化物活物質である。酸化物活物質としては、具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。また、PO 3−、SiO 4−、BO 3−等のポリアニオンを含む任意のポリアニオン系活物質を正極活物質として用いても良い。正極活物質は、作動電位が3.0V(Li/Li)以上であることが好ましい。
正極活物質の表面は、コート層で被覆されていても良い。正極活物質と固体電解質との反応を抑制できるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物を挙げることができる。コート層の平均厚さは、例えば1nm〜20nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜10nmの範囲内であることがより好ましい。
正極層における正極活物質の割合は、例えば、40体積%以上であり、50体積%以上であることが好ましい。一方、正極層における正極活物質の割合は、例えば、99体積%以下である。
固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質を挙げることができる。硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiCl、LiS−P−LiBr、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)、Li10GeP12等を挙げることができる。
特に、硫化物固体電解質は、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、およびSを含有するイオン伝導体を備えることが好ましい。さらに、上記イオン伝導体は、オルト組成のアニオン構造(PS 3−構造、SiS 4−構造、GeS 4−構造、AlS 3−構造、BS 3−構造)をアニオンの主成分として有することが好ましい。化学安定性の高い硫化物固体電解質とすることができるからである。オルト組成のアニオン構造の割合は、イオン伝導体における全アニオン構造に対して、70mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。オルト組成のアニオン構造の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定することができる。
硫化物固体電解質は、上記イオン伝導体に加えて、ハロゲン化リチウムを含有していても良く、含有していなくても良い。ハロゲン化リチウムとしては、例えば、LiF、LiCl、LiBrおよびLiIを挙げることができ、中でも、LiCl、LiBrおよびLiIが好ましい。LiF、LiCl、LiBrおよびLiIは、それぞれ、LiF成分、LiI成分、LiBr成分およびLiCl成分としてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在することが好ましい。言い換えると、硫化物固体電解質は、単純な混合ではなく、物理的に分離不可能な状態でハロゲン化リチウムを含有することが好ましい。硫化物固体電解質におけるLiX(X=I、Cl、Br)の割合は、例えば5mol%〜30mol%の範囲内であり、15mol%〜25mol%の範囲内であることが好ましい。LiXの割合とは、硫化物固体電解質に含まれるLiXの合計の割合をいう。
硫化物固体電解質は、結晶性材料であっても良く、非晶質材料であっても良い。また、硫化物固体電解質は、ガラスであっても良く、結晶化ガラス(ガラスセラミックス)であっても良い。硫化物固体電解質の形状としては、例えば球形状を挙げることができる。
正極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば、1体積%以上であり、10体積%以上であることが好ましい。一方、正極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば、60体積%以下であり、50体積%以下であることが好ましい。
また、導電化材については、上述した内容と同様である。結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有結着材等を挙げることができる。また、正極層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
(2)固体電解質層
本発明における固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有する層である。また、固体電解質層は、固体電解質の他に、結着材を含有していても良い。固体電解質および結着材については、上述した内容と同様である。中でも、本発明における固体電解質層は、硫化物固体電解質を含有することが好ましい。固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
(3)負極層
本発明における負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。また、負極層は、負極活物質の他に、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。
負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
導電化材、結着材および固体電解質については、上述した内容と同様である。中でも、本発明における負極層は、硫化物固体電解質を含有していることが好ましい。負極層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
(4)その他の構成
本発明の全固体リチウム電池は、通常、正極層の集電を行う正極集電体、および、負極層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができる。また、電池ケースには、一般的な電池の電池ケースを用いることができ、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。
(5)全固体リチウム電池
本発明の全固体リチウム電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、一次電池には、一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。また、全固体リチウム電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(硫化物固体電解質の作製)
LiS、PおよびLiIを、20LiI・80(0.75LiS・0.25P)の組成を満たすように秤量し、メノウ乳鉢で5分混合した。その混合物を遊星型ボールミルの容器に投入し、脱水ヘプタンを投入し、さらにZrOボールを投入し、容器を完全に密閉した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、40時間メカニカルミリングを行った。ヘプタンを乾燥除去した後、焼成を行うことで、ガラスセラミックスである硫化物固体電解質を得た。
(正極層の作製)
得られた硫化物固体電解質と、ニオブ酸リチウムのコート層を表面に有するLiCo1/3Ni1/3Mn1/3(正極活物質)と、気相成長炭素繊維(導電化材)と、LiI(SO吸着材)を、分散媒である酪酸ブチルに分散させた。さらに、結着材としてPVDF溶液を添加した。得られた混合物を容器に入れ、超音波分散装置で30秒間分散させ、続いて、振とう器で5分間振とうし、正極スラリーを得た。
得られた正極スラリーを、ドクターブレード法により正極集電体(カーボン塗工アルミニウム箔)に塗布し、100℃で30分間乾燥した。その後、面積1cmの円形に裁断することで、正極層を得た。
なお、LiIがSOガスをトラップする効果を正確に確認するため、後述するように、セル全体ではなく、充電後の正極層に対してTPD−MS測定を行った。正極層に含まれる正極活物質の総酸素量は2.22×10−4molであり、正極層に含まれる硫化物固体電解質の総硫黄量は1.55×10−4molであった。S+2O→SOの反応に基づくと、硫黄(1.55×10−4mol)が酸素(1.11×10−4mol)に比べて過剰であり、相対的に少ない酸素の量がSO発生量を決定する主要因となる。想定SO量は、1.11×10−4molであり、SOをトラップするために必要なLiIの量は、4.44×10−4molであった。正極スラリーは、SO吸着材(LiI)を1×10-3mol含有している。
(負極層の作製)
得られた硫化物固体電解質と、グラファイト(負極活物質)とを、分散媒である酪酸ブチルに分散させた。さらに、結着材としてPVDF溶液を添加した。得られた混合物を容器に入れ、超音波分散装置で30秒間分散させ、続いて、振とう器で5分間振とうし、負極スラリーを得た。
得られた負極スラリーを、ドクターブレード法により負極集電体(銅箔)に塗布し、100℃で30分間乾燥した。その後、面積1cmの円形に裁断することで、負極層を得た。
(固体電解質層の作製)
得られた硫化物固体電解質を、分散媒であるヘプタンに分散させた。さらに、結着材としてBR溶液(ブチレンゴム溶液)を添加した。得られた混合物を容器に入れ、超音波分散装置で30秒間分散させ、続いて、振とう器で5分間振とうし、固体電解質層を形成するためのスラリーを得た。
得られたスラリーを、基板(アルミニウム箔)に塗布し、100℃で30分間乾燥した。その後、面積1cmの円形に裁断し、基板を剥離し、固体電解質層を得た。
(セルの作製)
得られた正極層、固体電解質層および負極層をこの順に積層し、積層体を形成した。この積層体を室温(25℃)、600MPaの圧力にてプレスした。プレスした積層体をケース内に収納し、1.5MPaの拘束圧力を付与した。これにより、セルを得た。得られたセルに対して充電処理を行った。具体的には、1/4Cレート、カットオフ電圧4.35Vの条件で、CCCV充電を行った。その後、セルから充電後の正極層(SOC100%の正極層)を回収した。
[比較例1]
SO吸着材(LiI、添加ハロゲン化リチウム)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして、充電後の正極層(SOC100%の正極層)を回収した。
[評価]
実施例1および比較例1で得られた充電後の正極層に対して、加熱発生ガス質量分析(TPD−MS)を行った。具体的には、回収したサンプルを、温度コントローラー付加熱装置(東レリサーチセンター社製特殊加熱装置Small-2)に設置し、Heキャリアガスを50ml/minで流通させた状態で、昇温速度10℃/minで600℃まで昇温し、発生したガスをMS分析装置(島津製作所製GC/MS QP5050A)により分析した。その結果を、図3および図4に示す。
図3に示すように、比較例1では、SOガスの発生が確認された。なお、SOガスの発生挙動は、正極合材の発熱挙動と一致していた。これに対して、図4に示すように、実施例1では、SOガスの発生は全く認められず、代わりにI(SOに比べて無害)の発生が確認された。このように、LiIを添加することで、正極活物質の構成元素である酸素元素と、硫化物固体電解質の構成元素である硫黄元素とが反応して生じるSOガスをトラップできることが確認された。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … 全固体リチウム電池

Claims (1)

  1. 正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、前記正極層および前記負極層の間に設けられた固体電解質層とを有する全固体リチウム電池であって、
    前記正極活物質が、酸化物活物質であり、
    前記正極層および前記固体電解質層の少なくとも一方が、硫化物固体電解質を含有し、
    前記全固体リチウム電池の内部にハロゲン化リチウムが配置され、
    前記ハロゲン化リチウムの含有量が、前記正極活物質の総酸素量と、前記全固体リチウム電池に含まれる前記硫化物固体電解質の総硫黄量とに基づく想定SO量(mol)に対して、4倍以上であることを特徴とする全固体リチウム電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115579454A (zh) * 2022-11-07 2023-01-06 哈尔滨工业大学 一种硫化物固态电解质复合固态正极及固态电池
DE112022006254T5 (de) 2021-12-27 2024-10-10 TDK Corporation Negative elektrode für festelektrolytbatterie und festelektrolytbatterie

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