JP2017078959A - 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法 - Google Patents

有限要素法を用いた構造体の数値解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017078959A
JP2017078959A JP2015206565A JP2015206565A JP2017078959A JP 2017078959 A JP2017078959 A JP 2017078959A JP 2015206565 A JP2015206565 A JP 2015206565A JP 2015206565 A JP2015206565 A JP 2015206565A JP 2017078959 A JP2017078959 A JP 2017078959A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
setting
coordinate system
elements
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015206565A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6447454B2 (ja
Inventor
幸弘 安達
Yukihiro Adachi
幸弘 安達
稔 土山
Minoru Tsuchiyama
稔 土山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2015206565A priority Critical patent/JP6447454B2/ja
Publication of JP2017078959A publication Critical patent/JP2017078959A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6447454B2 publication Critical patent/JP6447454B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 コンピュータを用いた有限要素法による構造体の数値解析に於いて、異方性材料から成り曲面形状を含む構造体が解析対象である場合に、各要素の座標系を少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、又は、構造体の略全体の要素の群に対して、一括して設定可能とすること。
【解決手段】 本発明による方法に於いては、要素座標系を設定する過程に於いて、使用者により指定された向きに構造体に対してZ軸を設定し、各要素に於いて、Z軸に直交し且つ該要素の中心に向かうR軸と、Z軸とR軸とに直交するθ軸とを設定し、該要素の底面に対してZ軸とR軸とθ軸とのうちの使用者により指定された一つを投影して得られるP軸を、要素の底面の法線であるH軸周りに使用者により指定された角度にて回転して得られるQ軸を設定し、H軸とQ軸とこれらに直交するS軸とを各々の要素の座標系として設定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、コンピュータを用いて構造体の力学的又は機械的特性の数値解析技術に係り、より詳細には、有限要素法による構造体の数値解析技術に係る。
コンピュータによる数値計算技術の発展により、車両のボディーを初め、種々の機械器具、建築物などの構造体の力学的又は機械的特性が、コンピュータを用いた有限要素法などによって数値的に解析され、そこで得られた情報が構造体の設計のために利用されるようになっている。かかるコンピュータによる数値解析による構造体の力学的又は機械的特性の解析手法によれば、実際の構造体を製作する前の設計段階に於いて、構造体が、要求される特性を備えているか否かの把握が可能となる点で有利である。また、等方性材料だけでなく、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの異方性材料を用いた構造体も、有限要素法による数値解析の対象となっている。例えば、特許文献1では、エポキシ樹脂内にカーボン繊維が配向して埋め込まれた複合材料の板材に於ける減衰振動解析に有限要素法を用いた例が開示されている。この場合、粘弾性特性について異方性のある板材に於いて異方性の向きが直交方向となったミクロ構造を節点して板材のモデル、即ち、マクロ構造を構成して、有限要素法により、振動の減衰特性のシミュレーションが行われている。
特開2015−32295
ところで、CFRPなどの力学的又は機械的特性に異方性の有る材料(ヤング率等の力学特性値が方向によって異なる材料、以下「異方性材料」と称する。)を用いた構造体を有限要素法によって数値解析を実行する際、解析対象となる構造体に曲面形状が含まれており、特に、力学的又は機械的特性の異方性の向きが湾曲している場合には、構造体に対する座標系を如何に設定するかが問題となる。
有限要素法による構造体の力学特性の数値解析に於いては、端的に述べれば、解析対象の構造体の形状を決定した後、構造体の要素分割と座標系の設定を行い、更に、構造体の材料のヤング率、ポアソン比等の力学的な特性値の設定及び/又は外力の設定が為され、有限要素法に従って構造体の変形量、応力分布、ひずみ分布等を算出する数値演算が実行される。かかる一連の処理に於いて、典型的には、構造体の座標系として構造体全体に一つの直交座標系が適用されるところ、構造体に於いて想定される材料が異方性材料であり、材料の力学的又は機械的特性の異方性の方向(他の方向に比して力学的特性値が大きい又は小さい方向。以下、「異方性方向」と称する。)が構造体の曲面形状に沿って延在している場合には、構造体内の部位の位置毎に、即ち、要素毎に、材料の異方性方向が異なることとなるので、座標系の軸方向と異方性方向とが整合せず、要素毎に力学的特性値の設定(力学的特性値を成分とする特性値マトリックスの構成)を行うことが必要となる。しかしながら、その場合、工数が膨大であるとともに、特性値マトリックスの構成が非常に複雑となるので、精度よく、力学的特性値を設定することも困難となり得る。そこで、従前では、典型的には、少なくとも、特性値マトリックスの構成が簡単化され、力学的特性値の設定がより高精度にて達成されるように、構造体全体に一つの直交座標系を設定するのではなく、要素毎に一つずつに、即ち、個別に、座標系を設定する処理が行われている。また、構造体全体に対して一つの直交座標系を用いる場合、要素を構成する底面に座標系の軸の一つ(例えば、X軸)を投影することとなるが、曲面形状又は湾曲形状の有る構造体の場合、底面の向きが要素毎に変化することとなるので、要素によっては、底面が座標系の軸と直交し、投影できないことがあり、その場合には、やはり、座標系を要素毎に一つずつ設定する必要がある。
上記の如く、有限要素法による構造体の数値解析に於いて、構造体の材料が、等方性材料ではなく、異方性材料であるときには、構造体の形状によって、材料の異方性方向に応じて要素毎に異なる座標系が設定されることとなるところ、構造体の要素数が数千個に及ぶ場合に、使用者が、要素毎に、個別に、材料の異方性方向を考慮して、座標系を一つずつ設定する処理は、工数が膨大であり、多大な手間と労力を要することとなっている。従って、もし材料の異方性方向に応じて要素毎に異なる座標系を、少なくとも或る程度の数の要素の群毎に、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括的に、コンピュータを少なくとも部分的に利用して設定できるアルゴリズムがあれば、使用者の手間と労力とを大幅に省けることとなり、有利であろう。
かくして、本発明の一つの課題は、コンピュータを用いた有限要素法による構造体の力学特性の数値解析の実行に際して、解析対象となる構造体が異方性材料から成り、曲面形状が含まれている場合であっても、使用者が要素の一つずつに個別に座標系の軸を設定するといった処理を実行せずに、構造体の異方性方向及び/又は曲面の向きを考慮して、特性値マトリックスの構成が複雑とならないように、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括して各要素の座標系を設定可能とするアルゴリズムを提供することである。
本発明によれば、上記の課題は、コンピュータを用いた有限要素法による構造体の力学的特性の数値解析方法であって、構造体の形状を決定し該構造体の要素分割を実行する過程と、構造体に於ける要素の各々の座標系を設定する過程と、座標系の設定された各要素に力学的特性値を設定する過程と、力学的特性値が設定された構造体に対して有限要素法による演算を実行する過程とを含み、構造体に於ける要素の各々に座標系を設定する過程に於いて、構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて使用者により指定された向きに構造体に対してZ軸を設定する過程と、要素の各々に於いてZ軸に直交し且つ該要素の中心に向かうR軸を設定する過程と、要素の各々に於いてZ軸とR軸とに直交するθ軸を設定する過程と、要素の各々に於いて該要素の底面に対してZ軸とR軸とθ軸とのうちの、構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて使用者により指定された一つを投影して得られるP軸を、要素の底面の法線であるH軸周りに、構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて使用者により指定された角度にて回転して得られるQ軸を設定する過程と、要素の各々に於いてH軸とQ軸とに直交するS軸を設定する過程と、要素の各々に於いて設定されたH軸とQ軸とS軸とを各々の要素の座標系として設定する過程とが実行される方法によって達成される。
上記の構成に於いて、「構造体」とは、車両のボディーを初め、種々の機械器具、建築物又はそれらを構成する任意の部材などの構造体であってよい。「有限要素法」は、この分野で知られている任意の演算アルゴリズムに従って実行されるものであってよい。なお、この分野の当業者に於いて知られている如く、通常、解析対象として決定された構造体の形状に於ける要素分割を実行する過程と力学的特性値が設定された構造体に対して有限要素法による演算を実行する過程とは、コンピュータの演算処理によって自動的に実行される(ただし、要素分割の過程に於いて、分割された要素の状態に応じて、或いは、特に精密に解析したい部分がある場合には、部分的に、使用者が節点の配置の変更、追加又は削除の処理を手動で行う場合もある。)。かかる有限要素法による数値解析に於いては、外力に対する構造体の変形、応力分布、ひずみ分布等が算出されることとなる。
上記の本発明の方法に於いては、端的に述べれば、通常の態様にてコンピュータを用いて実行されてよい有限要素法を用いた構造体の種々の力学的又は機械的な数値解析に於いて、構造体が異方性材料から成り、曲面形状が含まれているために、構造体の要素毎に異なる座標系が設定される必要がある場合に、要素の群に対して一括して上記に規定された過程に従って各要素の座標系が設定される。かかる座標系の設定の過程に於いては、上記の記載から理解される如く、使用者は、構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて、構造体に対するZ軸を設定することと、各要素の底面に対して投影されるZ軸とR軸とθ軸とのうちの一つを選択することと、Z軸とR軸とθ軸とのうちの選択された軸を要素の底に投影したP軸を要素の底面の法線であるH軸周りに回転して得られるQ軸の回転角を指定することとなるが、その他の処理操作は、コンピュータの演算処理によって自動的に実行されることとなる。そして、上記の過程に従って設定された座標系に於いては、使用者の座標系の設定に於ける選択処理と指定処理が適切である場合には、特性値マトリックスの構成が複雑とならずに、各要素に力学的特性値の設定が少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括して設定することが可能となる。かくして、使用者が構造体の要素の一つ一つに対してそれぞれの要素内の力学的特性と要素の面の向きを考慮して座標系を設定する場合に比して、使用者の実行する工数が大幅に低減されることとなる。なお、上記の本発明の方法は、構造体が異方性材料から成り、曲面形状が含まれている場合に、その有意な作用効果が発揮されるが、そうではない構造体(等方性材料から成る構造体、異方性材料から成る曲面形状を有していない構造体など)に適用されてもよい。
かくして、上記の本発明によれば、既に述べた如く、異方性材料から成り曲面形状を含む構造体の力学特性を有限要素法により数値的に解析する場合に、構造体に於ける要素に対して座標系を設定する際の、使用者の手間と労力とが、使用者が構造体の要素の一つ一つに対してそれぞれの要素内の力学的特性と要素の面の向きを考慮して座標系を設定する場合に比して、大幅に低減されることとなる。また、要素内の力学特性は、構造体の全体に対して一つの直交座標系ではなく、要素毎に、材料の異方性を有する特性があまり複雑とならないように選択された座標系で表現できることとなるので、演算精度も担保されることが期待される。更に、構造体に曲面形状がある場合(異方性材料から成っているかどうかによらず)、上記の本発明の方法に於ける座標系の設定過程によれば、一つの直交座標系の場合のように、要素によっては、底面が座標系の軸と直交して投影できない状態も回避できることとなる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本発明による有限要素法に従った構造体の力学的特性の数値解析が実行されるコンピュータを模式的に表した図である。図1(B)は、本発明による数値解析の処理過程をフローチャートの形式で表した図である。 図2は、解析対象となる構造体の形状の例をコンピュータ装置のモニター上に表示した図である。同図の構造体に於いて、要素分割が実行されている。 図3(A)〜(E)は、解析対象となる構造体の形状に於ける要素座標系を設定する過程を模式的に表した図である。 図4(A)は、図2に表示された構造体の形状の一部を拡大した図であり、要素毎に設定された要素座標系(Q軸)を矢印にて表示した図である。図4(B)は、図2に表示された構造体に於いて、要素座標系を矢印にて表示した図である。
1…コンピュータ本体
2…コンピュータ端末
3…モニター
4…キーボード、マウス(入力装置)
コンピュータ装置の構成と数値解析処理過程の概要
本発明による有限要素法に従った構造体の力学的特性の数値解析は、この分野で通常使われている形式の、図1(A)に例示されている如き、コンピュータ装置1に於けるコンピュータ・プログラムの作動により実現されてよい。コンピュータ装置1には、通常の態様にて、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、記憶装置、入出力装置(I/O)が装備され、記憶装置は、本発明の演算で使用する演算処理を実行する各プログラムを記憶したメモリと、演算中に使用されるワークメモリ及びデータメモリを含んでいる。また、実施者によるコンピュータ装置1への指示及び計算結果その他の情報の表示及び出力は、コンピュータ装置1に接続されたコンピュータ端末装置2を通じて為される。コンピュータ端末装置2には、通常の態様にて、モニター3とキーボード並びにマウスといった入力装置4が設けられ、プログラムが起動されると、実施者は、プログラムの手順に従ってモニター3上の表示に従って、入力装置4を用いてコンピュータ装置1に各種の指示及び入力を行うとともに、モニター3上にてコンピュータ装置1からの演算状態及び演算結果等を視覚的に確認することが可能となる。なお、図示していないその他の周辺機器(結果を出力するプリンタ、計算条件及び演算結果情報等を入出力するための記憶装置など)がコンピュータ装置1及びコンピュータ端末装置2に装備されていてよいことは理解されるべきである。コンピュータ装置1を用いて、以下に述べる各種の処理又は演算を実行する際には、通常の態様にて、各種の処理又は演算に必要なプログラムが起動され、実施者は、コンピュータ端末装置2に於いて、プログラムに於いて準備された入力手順に従って、演算に必要なデータ、演算時の計算条件その他の各種設定を入力し、演算が開始される。そして、演算の実行中又は終了後に、演算結果が、適宜、コンピュータ端末装置2を通じて出力可能となる。
上記のコンピュータ装置1に於いて、有限要素法に従った構造体の力学的特性の数値解析は、概して述べれば、図1(B)に示されている如き、処理過程にて実行される。同図を参照して、まず、解析対象となる構造体の形状の形成が実行される(ステップ1)。かかる構造体の形状の形成に於いては、典型的には、任意のCADシステム又はソフトウェアを用いて、使用者の所望の形状が形成されてよい。ここに於いて、構造体の形状は、xyz直交座標系により座標が規定された仮想空間にて構成されてよい。そして、構造体の形状が形成されると、構造体の形状の要素(メッシュ)の分割が、図2に例示されている如く、実行される(ステップ2)。かかる要素分割処理は、任意の要素分割用のコンピュータ・プログラムを用いて自動的に実行されてよい。なお、自動的に得られた要素の分割状態に応じて、或いは、特に精密に解析したい部位がある場合には、節点の配置の変更、追加、削除が使用者によって手動的に為されてよい。そして、要素分割処理が為されると、各要素の座標系(要素座標系)の設定が、後に詳細に説明される本発明による教示に従って実行され(ステップ3)、次いで、各要素に於ける力学特性値、典型的には、質量、剛性、粘性を表す特性値の設定(ステップ4)と構造体に与える外力等の条件の設定(ステップ5)の入力が使用者によって為され、しかる後に、有限要素法に従った演算、例えば、変形量、応力分布、ひずみ分布の算出が、コンピュータ・プログラムを用いて実行される(ステップ6)。なお、演算結果は、上記の如く、モニター3上にグラフィック表示又は数値表示されてよい。
要素座標系の設定
「発明の概要」の欄に於いて述べた如く、上記の如き有限要素法による構造体の力学的特性の数値解析に於いて、解析対象の構造体がCFRPなどの異方性(特定の方向の弾性、剛性等の力学的特性値が他の方向に比して大きい又は小さい状態)を有する材料から形成されることを想定し、また、かかる構造体が曲面形状又は湾曲形状を有し、材料の異方性方向が前記の曲面形状又は湾曲形状に沿っている場合などには、要素毎に異方性方向が異なることとなる。その場合には、構造体全体で一つの直交座標系を用いると、各要素に於ける力学特性値を表すマトリックスの構成が複雑となり、必ずしも精度よく数値演算を実行できるとは限らず、また、曲面形状又は湾曲形状の面の向きによっては、適切に座標を与えることが困難となる場合がある。そこで、異方性材料から形成され、曲面形状又は湾曲形状を有する構造体が解析対象であるときには、好適には、要素毎に、異方性材料に於ける有限要素法の演算が、比較的簡単な構成の特性値マトリックスにて、より精度良く実行できるように、例えば、座標系の軸が材料の異方性方向に沿うように、要素座標系が設定されることが好ましい。
しかしながら、個々の要素に於ける要素座標系を、使用者が材料の異方性方向と要素の形状及び向きとを考慮して、一つずつ設定する場合、要素数が数千個にも及ぶ場合には、工数が膨大となり、使用者に多大な手間と労力が必要となる。そこで、本発明に於いては、上記の如く、個々の要素に於ける要素座標系の設定に於ける使用者に多大な手間と労力を大幅に軽減することが可能となる方法が提案される。かかる方法によれば、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括して各要素の座標系の設定が可能となる。
具体的には、本発明に於ける要素座標系の設定の処理過程(図1(B)のステップ3)に於いては、まず、図3(A)に模式的に描かれている如く、使用者により、構造体の置かれているxyz座標系の仮想空間に於いて、N1、N2を指定して、N1−N2の方向をZ軸として設定する。Z軸方向は、構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向を参照して、例えば、構造体の形状及び/又は異方性の延在方向がZ軸に対して略軸対称となるように決定されてよい。
しかる後、図3(B)に模式的に描かれている如く、Z軸方向に直交し且つ該要素の中心Cに向かう方向にR軸が設定され、Z軸とR軸とに直交する方向にθ軸が設定される。なお、R軸とθ軸との設定は、コンピュータ・プログラムにより、要素毎にZ軸方向と各要素の中心とを参照して自動的に設定される。
次いで、使用者により、Z軸とR軸とθ軸のそれぞれの向きと、構造体に於いて想定している材料の異方性方向とを考慮して、Z軸とR軸とθ軸のうちの一つが選択され、そして、コンピュータ・プログラムにより、図3(C)に模式的に描かれている如く、選択された軸を各要素の底面B(N1’−N2’ −N3’面)に対して投影して、P軸が設定される。ここに於いて、底面Bは、任意に選択されてよいが、例えば、Z軸に最も距離が近い面又は平行に近い面が選択されてよい。また、各要素の底面Bに投影されるZ軸とR軸とθ軸のうちの一つの選択に於いて、使用者が、構造体の形状と材料の異方性方向と参照して、例えば、材料の異方性方向に最も近い方向の軸を、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して一つ選択する。その際、R軸とθ軸とは、要素毎に設定されているので、Z軸方向と、対象となっている要素の群に於ける各要素のR軸とθ軸とのそれぞれの方向とを概観して、例えば、材料の異方性方向に最も近い方向の軸が、底面Bに投影されるべき軸として選択されることとなる。(図3(C)では、例として、R軸が選択されているが、構造体の形状と材料の異方性方向によっては、θ軸又はZ軸が選択され得る。)
かくして、P軸が設定されると、図3(D)に模式的に描かれている如く、底面B内にて、即ち、底面Bの法線H軸方向周りにP軸を指定された角度δだけ回転し、Q軸が設定され、Q軸とH軸とに直交する底面B内の方向にS軸が設定され、H軸、Q軸及びS軸が各要素の要素座標系として設定される。ここに於いて、P軸を回転してQ軸を得る際の角度δは、使用者が構造体の形状と材料の異方性方向と参照することにより、任意に設定される。例えば、指定される角度δは、例えば、Q軸が材料の異方性方向と略一致するように、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括して設定される。なお、H軸は、要素の底面の位置と向きが決定された時点で自動的に決定され、S軸は、Q軸が設定されると、自動的に決定される。各要素のH−Q−S軸座標系に於ける原点は、任意の位置であってよく、例えば、図3(E)の如く、要素の一つの節点であってもよく、或いは、要素の底面の中心若しくは要素の中心(C)であってもよい。そして、各要素のH−Q−S軸座標系が設定されると、かかるH−Q−S軸座標系に於いて、力学特性値の設定(図1(B)ステップ4)の入力が実行され、かくして、各要素に設定された力学特性値を用いて変形量、応力分布、ひずみ分布等の有限要素法に従った算出が実行されることとなる。なお、構造体に与える外力等の条件の設定(図1(B)ステップ5)の入力は、典型的には、xyz座標系にて為されるが、これに限定されない。
上記に説明されたH−Q−S軸要素座標系を設定する方法によれば、既に述べた如く、解析対象の構造体が異方性材料から形成され、かかる構造体が曲面形状又は湾曲形状を有することにより、要素毎に異方性方向が異なる場合にも、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、一括的に、H−Q−S軸要素座標系を設定することが可能となる。図4(A)は、図2の構造体(円環)に於いて、力学的特性値の異方性方向(白抜き矢印の方向)が円環の周囲方向に対して、やや軸方向に傾いている構成の一部を拡大した図であり(図面では二次元であるが、実際には、紙面に対して湾曲した構造である。)、図4(B)は、図2の構造体の全体であり、各要素(格子)内の小さい矢印は、それぞれの要素に於けるQ軸を示している。また、図4(A)に於いて、図3にて説明された処理過程に於いて設定される各軸が模式的に描かれている。この場合、異方性方向は、最初に構造体の形状を配置したxyz座標系に於いては、その軸方向に対して、異方性方向が要素毎に異なることとなり、従って、xyz座標系のままの場合には、力学特性値を表すマトリックスの構成が非常に複雑となり、数値計算が煩雑となり、或いは、精度が低下するおそれがある。これに対して、図4(A)に模式的に描かれている如く、図3にて説明された処理過程によって、H−Q−S軸要素座標系を設定する方法に於いて、多くの場合に、少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、より好適には、構造体の略全体の要素の群に対して、各要素の異方性方向にQ軸又はS軸を略一致させることが可能となる(図4の場合は、Q軸が異方性方向に略一致する。)。
また、図3にて説明されたH−Q−S軸要素座標系の設定の処理過程に於いて、使用者が行う操作は、Z軸の設定、各要素の底面に対して投影される軸の選択、P軸からQ軸を得る際の指定角度δの設定だけとなり、その他の処理は、コンピュータ・プログラムにより自動的に実行されるので、使用者が構造体の要素の一つ一つに対して要素座標系を設定する場合に比して、大幅に、使用者の手間と労力が低減されることとなる。そして、力学特性値の設定に於いては、少なくとも或る程度の数の要素の群、より好適には、構造体の略全体の要素の群に於いて、異方性方向とH−Q−S軸要素座標系の軸方向とが同様となっていることが期待され、その場合には、力学特性値の設定を一括的に実行可能となり、使用者の手間と労力が低減されることとなる。
本発明の教示に従って一括的な要素座標系の設定が可能な解析対象の範囲は、比較的広範囲であると期待される。比較的複雑な形状の構造体の場合には、構造体全体ではなく、部分的な(複数の要素を含む)領域毎に、本発明の方法による一括的な要素座標系の設定が適用されてよい(少なくとも或る程度の数の要素の群に対して、本発明による要素座標系の設定が適用される場合)。例えば、(複数の要素を含む)領域毎に、異方性方向によって、要素の底面に投影する軸の選択、P軸からQ軸の指定角度δを変更するといった処理が行われても良い。なお、本発明は、異方性材料から形成され、曲面形状又は湾曲形状を有する構造体が解析対象であるときに有利に用いられるが、その他の構造体の有限要素法による数値解析に於いても利用されてよく、その場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. コンピュータを用いた有限要素法による構造体の力学的特性の数値解析方法であって、
    前記構造体の形状を決定し該構造体の要素分割を実行する過程と、
    前記構造体に於ける要素の各々の座標系を設定する過程と、
    前記座標系の設定された前記各要素に力学的特性値を設定する過程と、
    前記力学的特性値が設定された前記構造体に対して有限要素法による演算を実行する過程とを含み、
    前記構造体に於ける要素の各々に座標系を設定する過程に於いて、
    前記構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて使用者により指定された向きに前記構造体に対してZ軸を設定する過程と、
    前記要素の各々に於いて前記Z軸に直交し且つ該要素の中心に向かうR軸を設定する過程と、
    前記要素の各々に於いて前記Z軸と前記R軸とに直交するθ軸を設定する過程と、
    前記要素の各々に於いて該要素の底面に対して前記Z軸と前記R軸と前記θ軸とのうちの、前記構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて使用者により指定された一つを投影して得られるP軸を、前記要素の底面の法線であるH軸周りに、前記構造体の形状及び又はその力学的特性の異方性方向に基づいて前記使用者により指定された角度にて回転して得られるQ軸を設定する過程と、
    前記要素の各々に於いて前記H軸と前記Q軸とに直交するS軸を設定する過程と、
    前記要素の各々に於いて前記H軸と前記Q軸と前記S軸とを該要素の座標系として設定する過程と
    が実行される方法。
JP2015206565A 2015-10-20 2015-10-20 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法 Expired - Fee Related JP6447454B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015206565A JP6447454B2 (ja) 2015-10-20 2015-10-20 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015206565A JP6447454B2 (ja) 2015-10-20 2015-10-20 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017078959A true JP2017078959A (ja) 2017-04-27
JP6447454B2 JP6447454B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=58667066

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015206565A Expired - Fee Related JP6447454B2 (ja) 2015-10-20 2015-10-20 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6447454B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006209656A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Fujitsu Ltd 局所座標系決定プログラム
JP2007080095A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Tohoku Univ 異方性を有する球状表面波素子の解析方法
JP2007076319A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Canon Inc 射出成形品の変形量算出方法、プログラム、記憶媒体、情報処理装置
JP2012045975A (ja) * 2010-08-24 2012-03-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤモデル作成方法、及び、それを用いたタイヤ設計方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006209656A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Fujitsu Ltd 局所座標系決定プログラム
JP2007080095A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Tohoku Univ 異方性を有する球状表面波素子の解析方法
JP2007076319A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Canon Inc 射出成形品の変形量算出方法、プログラム、記憶媒体、情報処理装置
JP2012045975A (ja) * 2010-08-24 2012-03-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤモデル作成方法、及び、それを用いたタイヤ設計方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6447454B2 (ja) 2019-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20160147914A1 (en) Technique for generating approximate design solutions
US8401827B2 (en) Processing device and method for structure data representing a physical structure
JP5003303B2 (ja) 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法およびシミュレーション方法
US10318675B2 (en) Post-processing system for finite element analysis
CN109583057B (zh) 一种基于刚度分析的运载火箭有限元建模方法及装置
JPWO2007086193A1 (ja) 有限要素法による構造解析方法及びプログラム
JP5009222B2 (ja) 多結晶材料の変形特性予測方法及び装置、並びにプログラム及び記録媒体
US8244507B2 (en) Method and apparatus for deriving associations between parts and fasteners
KR102543354B1 (ko) 금속 넥킹 파손을 겪을 것으로 예상되는 구조의 시간-전진 수치적 시뮬레이션을 행하기 위한 방법 및 시스템
US20190146457A1 (en) System and method for finite element analysis of parts having variable spatial density graded regions produced via 3d printers
JP6447454B2 (ja) 有限要素法を用いた構造体の数値解析方法
JP2023107210A (ja) 試験データの前処理を行う際の臨界点
US11960868B2 (en) Branch objects for dependent optimization problems
JP2009259043A (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JPWO2008149623A1 (ja) 有限要素法の解析モデル簡略化方法
US10042962B2 (en) Mid-surface extraction for finite element analysis
JP2014203242A (ja) シミュレーションモデルの作成方法およびシミュレーション方法
US11468204B2 (en) Method for measuring wrinkles with reference to target surface
JP5180735B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JPH10269265A (ja) 有限要素法による構造解析方法とその装置
JP6813826B2 (ja) 三次元物体の形状特定システム、方法及びプログラム
JP4441397B2 (ja) 地震応答解析装置、地震応答解析方法及び地震応答解析プログラム
CN112307589A (zh) 单位工况创建方法、装置、电子设备及存储介质
KR102209839B1 (ko) 구조물 시뮬레이션 장치
JP7322355B2 (ja) 曲線生成方法、装置、及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6447454

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees