JP2017077187A - 発酵豆乳食品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湯葉を引き上げた後に残った豆乳を使って、高い粘度のクリーム状の食感の発酵豆乳食品および製造方法を提供する。【解決手段】湯葉を引き上げた後に残った豆乳を回収し、この回収された豆乳を含んだ豆乳に乳酸菌を接種して発酵させて発酵豆乳を生成し、この発酵豆乳から重量比50%以上の水分(ホエー)を除去して得られる発酵豆乳食品およびこの製造方法を提供する。本発明によれば、コレステロールを含まず、大豆イソフラボン等の機能性成分を多く含み、さらに腸内環境を整えて健康維持に欠かせない乳酸菌を含む今までにない滑らかで高い粘度を有するクリーム状の食感で高付加価値の発酵豆乳食品を提供することができる。さらに、この発酵豆乳食品を湯葉引き上げ後に残った廃豆乳から製造することで、湯葉および上記発酵豆乳食品の製造コストを低減すると共に、廃棄物の量を低減することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、湯葉を引き上げた後に残った豆乳を利用した高粘度でクリーム状の食感を有する発酵豆乳食品およびその製造方法に関する。
一般的に湯葉製造業者は、豆乳を温めて表面にできた湯葉を7,8枚程度引き上げ後に、残った豆乳を廃棄物として処理している。このいわゆる廃豆乳を処理するために、湯葉製造業者は、専用処理設備を導入すると共に、その処理設備を稼働維持するためにコストを掛けざるを得ず、おからの処理にかかるコストと合わせてこの廃豆乳の処理に掛かるコストが、湯葉の製造コストを下げられない要因となっている。
このような湯葉製造業者では、この廃豆乳を有効活用して湯葉の製造コストを下げようと、例えば、湯葉とともにパッケージに封入したり、豆腐製造の原料豆乳に利用したり、さまざまな再利用方法が提案され実施されているが、いずれの方法も抜本的なコスト環境の改善には至っていない。
また、コスト的な問題の他に、上記専用処理設備により有機物が除去されて、水分は下水や河川に排出され、固形物は産業廃棄物として処理されるため、環境への負荷が懸念される。
豆乳は良質な植物性タンパク質を含むと共にコレステロールを含まず、大豆サポニンや大豆イソフラボンなど多くの機能性成分を含むため、近年幅広い年齢層の消費者、特に健康志向の強い女性に好まれて食べられるようになっている。しかし、豆乳には大豆特有の青臭さやいわゆるえぐみと言われる渋味、苦味があり、敬遠する人も多い。そこで、より美味しくするための施策として、豆乳生成時に90℃程度あるいはそれ以上の高温に数秒間以上加熱して、大豆中に含まれる酵素を失活させる方法が取られている。これにより青臭さのほとんど感じられない豆乳が作られるようになった。
さらに食感や風味を良くするために、例えば、細胞外多糖を生成する植物性乳酸菌を豆乳に接種して、乳酸菌発酵させたヨーグルト様の発酵豆乳食品も市場では人気を博している。この細胞外多糖(EPS:extracellular polysaccharide)により増粘剤を使わずに粘度が高く、クリーム状の食感が得られることが知られている。また、このような発酵豆乳食品を製造する際には、キサンタンガム等の増粘剤を添加せずに糖を添加してから乳酸菌発酵させることにより、ホエーの分離がなく、かつ高い粘度を有するクリーム状の発酵豆乳食品を製造する方法も提案されている。
しかし、これらの製造方法においては、湯葉を引き上げた後に残った豆乳を使って高粘度で、クリーム状の食感を得るための発酵豆乳食品の開発はされていなかった。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、湯葉を引き上げた後に残ったいわゆる廃豆乳を使って、高粘度でクリーム状の食感の発酵豆乳食品およびその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明に係る発酵豆乳食品の製造方法は、湯葉を引き上げた後に残った豆乳を回収する豆乳回収工程と、この回収された豆乳を含んだ豆乳に乳酸菌を接種して発酵させて発酵豆乳を生成する発酵工程と、この発酵豆乳から重量比50%以上の水分(ホエー)を除去する水分除去工程と、を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る発酵豆乳食品の製造方法は、前記水分除去工程において、遠心分離器を使用することを特徴とする。
さらに、本発明に係る発酵豆乳食品の製造方法は、前記水分除去工程の後に、裏漉しする裏漉し工程を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る発酵豆乳食品の製造方法は、前記水分除去工程の後に、発酵豆乳を撹拌する撹拌工程を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る発酵豆乳食品の製造方法は、前記発酵工程において、糖を添加することを特徴とする。
また、本発明に係る発酵豆乳食品は、湯葉を引き上げた後に残った豆乳を回収する豆乳回収工程と、この回収された豆乳を含んだ豆乳に乳酸菌を接種して発酵させて発酵豆乳を生成する発酵工程と、この発酵豆乳から重量比50%以上の水分(ホエー)を除去する水分除去工程と、により製造されることを特徴とする。
さらに、本発明に係る発酵豆乳食品は、前記水分除去工程において、遠心分離器を使用して製造されることを特徴とする。
また、本発明に係る発酵豆乳食品は、前記水分除去工程の後に、裏漉しする裏漉し工程を経て製造されることを特徴とする。
また、本発明に係る発酵豆乳食品は、前記水分除去工程の後に、発酵豆乳を撹拌する撹拌工程を経て製造されることを特徴とする。
また、本発明に係る発酵豆乳食品は、前記発酵工程において、糖を添加して製造されることを特徴とする。
本発明によれば、湯葉を引き上げた後に残った豆乳、いわゆる廃豆乳を原料として使って、高い粘度でクリーム状の今までにない食感を有する高付加価値の発酵豆乳食品を低コストで製造することができる。また、この廃豆乳にかかっていた処理コストを低減することができるので、湯葉の製造コストを低減すると共に廃棄物の量を低減して環境負荷を低減することができる。
湯葉は、豆乳を広めの容器に入れて下から温めることで、豆乳上面に生成される大豆タンパク質からなる膜である。この膜を豆乳から引き上げたものが湯葉である。通常、湯葉の製造業者においては、加熱し始めてから40分間程度、連続して湯葉を引き上げる。採取される湯葉の枚数、硬さ、明度などは、大豆の産地や大豆の種類、また、その日の湿度温度などの天候によっても左右される。一般的には、7〜10枚程度の湯葉が採取されている。
以下、製造工程毎に説明する。
(豆乳回収工程)
上記のように湯葉を引き上げた後に残る豆乳を回収する。回収直後はまだ温度が高く表面に膜(湯葉)が生成されてしまうので、回収後しばらく温度が下がるまで撹拌を続けると良い。なお、湯葉の成分はほとんどタンパク質であり、従って、残る廃豆乳に含まれる糖分の比率は元の豆乳よりも高くなっている。そのため乳酸菌の生育には元の豆乳よりも適している。
(豆乳回収工程)
上記のように湯葉を引き上げた後に残る豆乳を回収する。回収直後はまだ温度が高く表面に膜(湯葉)が生成されてしまうので、回収後しばらく温度が下がるまで撹拌を続けると良い。なお、湯葉の成分はほとんどタンパク質であり、従って、残る廃豆乳に含まれる糖分の比率は元の豆乳よりも高くなっている。そのため乳酸菌の生育には元の豆乳よりも適している。
(発酵工程)
温度が50℃程度以下になったら、乳酸菌発酵するための容器に入れ、乳酸菌を接種して撹拌する。乳酸菌は、例えば、有胞子性乳酸菌であるラクリス−S(三菱化学フーズ株式会社の登録商標)は、酸や熱に強く、生きて腸まで届くと言われており、高温殺菌(HTST法)の75℃で15秒でも耐えられ、85℃でもほとんど菌数は変化しないことが報告されている。乳酸菌は有用微生物であり、腸内環境を整えて人々の健康維持に寄与すると共に、さらに食品の風味を良くし、生成する酸により食品の保存性を高めることができる。
温度が50℃程度以下になったら、乳酸菌発酵するための容器に入れ、乳酸菌を接種して撹拌する。乳酸菌は、例えば、有胞子性乳酸菌であるラクリス−S(三菱化学フーズ株式会社の登録商標)は、酸や熱に強く、生きて腸まで届くと言われており、高温殺菌(HTST法)の75℃で15秒でも耐えられ、85℃でもほとんど菌数は変化しないことが報告されている。乳酸菌は有用微生物であり、腸内環境を整えて人々の健康維持に寄与すると共に、さらに食品の風味を良くし、生成する酸により食品の保存性を高めることができる。
乳酸菌を接種した豆乳を、30℃〜40℃程度の範囲に温度を維持して16時間程度放置することで、ヨーグルト様の発酵豆乳が得られる。製品としては、このままでも十分成立するが、さらに以下の工程により、高い粘度でクリーム状の高付加価値製品にすることができる。
(水分除去工程)
発酵豆乳の重量を計測してから、底面が100メッシュの網を備える容器に移し、自然落下で水切り、つまり水分(ホエー)除去を行う。底面の網の面積と量にもよるが、およそ1〜2時間で重量比40%程度の水分は除去できる。この段階ではまだクリーム状の食感ではないが、さらに3〜5時間程度放置すると重量比50%程度の水分を除去できる。この段階であれば、高い粘度のクリーム状の食感となる。乳酸菌が例えば、細胞外多糖の生産能を有する乳酸菌であれば、この時点でかなりねっとりした強い粘り気となる。
発酵豆乳の重量を計測してから、底面が100メッシュの網を備える容器に移し、自然落下で水切り、つまり水分(ホエー)除去を行う。底面の網の面積と量にもよるが、およそ1〜2時間で重量比40%程度の水分は除去できる。この段階ではまだクリーム状の食感ではないが、さらに3〜5時間程度放置すると重量比50%程度の水分を除去できる。この段階であれば、高い粘度のクリーム状の食感となる。乳酸菌が例えば、細胞外多糖の生産能を有する乳酸菌であれば、この時点でかなりねっとりした強い粘り気となる。
乳酸菌が例えば、ラクリス−Sであれば除去した水分が重量比50%では若干、柔らかなクリーム状である。さらに水切りを進め重量比60%程度になると濃厚な高い粘度の食感のクリーム状となる。ただし、自然落下で40%以上の水切りをするためには2時間以上かかるため、短時間で水分除去をするために遠心分離装器を使うことが効率的である。例えば、最初の1〜2時間は自然落下で水切りを行い、その後、遠心分離器に掛けて短時間に重量比60%まで水分除去することができる。また、従来からよく行われているガーゼ等の布で発酵豆乳を包んで、上に錘を載せる等、圧力を加えて水分を絞っても効率的に水分除去が可能である。
この水分(ホエー)除去を進めると、徐々に酸味が低減するので、酸味を調整するためにこの水分(ホエー)をどの程度除去するか(残すか)を調整すればよい。つまり酸味をほとんどなくしたいときは、重量比60%以上水分除去するのがよい。ただし、粘度が高くなり過ぎて滑らかな食感が失われてしまうので、このような場合は、逆に撹拌しながら蒸留水を加えて粘度を調整することができる。
(裏漉し工程)
水分除去工程後に発酵豆乳を60メッシュ以上、好ましくは80メッシュで裏漉しをする。水分除去工程後の発酵豆乳は、ところどころ粒状の塊ができたり、水分が多い部分と少ない部分ができて不均一になったりすることがある。そこで、この裏漉しをして、粒状の塊を解消すると共に、全体を均一に混ぜることができる。
水分除去工程後に発酵豆乳を60メッシュ以上、好ましくは80メッシュで裏漉しをする。水分除去工程後の発酵豆乳は、ところどころ粒状の塊ができたり、水分が多い部分と少ない部分ができて不均一になったりすることがある。そこで、この裏漉しをして、粒状の塊を解消すると共に、全体を均一に混ぜることができる。
(撹拌工程)
上記の裏漉し工程に代えて、高速回転する刃またはビート板を備えたミキサーで撹拌をすることで、裏漉ししたのと同様の効果が得られる。すなわち、この撹拌工程によっても、発酵豆乳のところどころにできる粒状の塊を解消すると共に、全体を均一にすることができる。
上記の裏漉し工程に代えて、高速回転する刃またはビート板を備えたミキサーで撹拌をすることで、裏漉ししたのと同様の効果が得られる。すなわち、この撹拌工程によっても、発酵豆乳のところどころにできる粒状の塊を解消すると共に、全体を均一にすることができる。
上記の水分除去工程の調整により酸味を調整できるが、他に、前記発酵工程において、糖を添加することにより酸味を若干調整することが可能である。例えば、糖としてスクロースを少量添加することで酸味を調整することができる。例えば、スクロースを多く含むさとうきびを重量比1%程度、豆乳に添加すると、発酵工程後の酸味が和らぐと共に、使用する乳酸菌の種類(EPS生成能を有する乳酸菌)によっては食感が滑らかになり、水分(ホエー)の分離が低減されるという効果が期待される。尚且つ、あまり強い甘味はなく自然な食感を得られる。また、糖によってこの効果は変化するので、必要に応じて糖を変更するのがよい。糖としては、上記スクロースに限定されず、マルトース、ラクトース、オリゴ糖などでもよい。また、多糖類のでんぷんでもよい。また、多糖類として呉汁を絞って残るおからを少量添加してもよい。この場合、おからはグラインダーで微粉末にしてから添加するのが好ましい。これらのいずれの糖であっても乳酸菌の生育に有効である。
上記の工程を経て得られる発酵豆乳食品にさらに塩分などの味や、または香りを添加すれば、野菜に付けるディップソースやクラッカーに載せるクリームチーズの代用にもなる、クリーム状の食感の発酵豆乳食品を製造することができる。例えば、上記発酵豆乳に、重量比1%程度の食塩、乾燥したバジルの葉の粉末、乾燥したオレガノの葉の粉末を添加して、ハーブ風味の野菜に付けるディップソースを作ることができる。また、油脂、例えばサラダ油等を添加して、ヘルシー感のあるドレッシングやマヨネーズ様の食品にすることもできる。
また、この発酵豆乳食品は、ディップソース以外にも幅広い用途への適用が可能である。例えば、甘味をつけて菓子やデザートにすることができる他、バターの代わりにパンに塗るスプレッド、オードブル系にもすることができる。水分除去工程で重量比60%以上の水分(ホエー)を除去して、代わりに植物性の油脂を添加することで、ヘルシーさらに濃厚な味わいのスプレッドにすることもできる。
上記のとおり、本発明によれば、コレステロールを含まず、大豆イソフラボン等の機能性成分を多く含み、さらに腸内環境を整えて健康維持に欠かせない乳酸菌を含む今までにない滑らかで高い粘度を有するクリーム状の食感で高付加価値の発酵豆乳食品を提供することができる。さらに、この発酵豆乳食品を湯葉引き上げ後に残った廃豆乳から製造することで、湯葉および上記発酵豆乳食品の製造コストを低減すると共に、廃棄物の量を低減することができる。
上記発酵豆乳食品の原料は、湯葉を引き上げた後に残った廃豆乳のみに限らず、この廃豆乳に通常の豆乳を混ぜてもよい。例えば、廃豆乳50%、通常の豆乳を50%として原料にしてから、上記発酵工程以降の工程を実施しても全く同様の発酵豆乳食品が製造可能である。
Claims (10)
- 湯葉を引き上げた後に残った豆乳を回収する豆乳回収工程と、
この回収された豆乳を含んだ豆乳に乳酸菌を接種して発酵させて発酵豆乳を生成する発酵工程と、
この発酵豆乳から重量比50%以上の水分(ホエー)を除去する水分除去工程と、
を有することを特徴とする発酵豆乳食品の製造方法。 - 請求項1記載の水分除去工程において、遠心分離器を使用することを特徴とする発酵豆乳食品の製造方法。
- 請求項1記載の水分除去工程の後に、裏漉しする裏漉し工程を有することを特徴とする発酵豆乳食品の製造方法。
- 請求項1記載の水分除去工程の後に、発酵豆乳を撹拌する撹拌工程を有することを特徴とする発酵豆乳食品の製造方法。
- 請求項1記載の発酵工程において、糖を添加することを特徴とする発酵豆乳食品の製造方法。
- 湯葉を引き上げた後に残った豆乳を回収する豆乳回収工程と、
この回収された豆乳を含んだ豆乳に乳酸菌を接種して乳酸発酵させて発酵豆乳を生成する発酵工程と、
この発酵豆乳から重量比50%以上の水分(ホエー)を除去する水分除去工程と、
により製造されることを特徴とする発酵豆乳食品。 - 請求項6記載の水分除去工程において、遠心分離器を使用して製造されることを特徴とする発酵豆乳食品。
- 請求項6記載の水分除去工程の後に、裏漉しする裏漉し工程を経て製造されることを特徴とする発酵豆乳食品。
- 請求項6記載の水分除去工程の後に、発酵豆乳を撹拌する撹拌工程を経て製造されることを特徴とする発酵豆乳食品。
- 請求項6記載の発酵工程において、糖を添加して製造されることを特徴とする発酵豆乳食品。
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CN107854008A (zh) * | 2017-12-15 | 2018-03-30 | 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 | 一种用于安装在豆浆机杯体上的机头组件 |
JPWO2021193891A1 (ja) * | 2020-03-26 | 2021-09-30 |
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