JP2017074555A - 砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法 - Google Patents

砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度の砒素を含有する汚泥を直接処理し、環境庁告示13号に定める埋立て基準に適合した砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材を得ることを可能とする製造方法を提供する。
【解決手段】高濃度の砒素を含有する汚泥をセメント系固形化剤と混合・造粒して得られた一次造粒物に、二次造粒によりセメント系固化剤またはアルギン酸塩を含むセメント系固化剤により被覆を施すことにより、もしくは、セメント系被覆を施した二次造粒物の表面をアルギン酸塩により改質することにより、環境庁告示13号に定める埋立て基準に適合した砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材を得ることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、砒素化合物により汚染された汚泥を産業廃棄物として埋め立て可能にする、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法に関する。
近年、汚泥、土壌、低質土や瓦礫等の砒素による汚染が問題となることがある。例えば、産業廃棄物の投棄等により、当該廃棄物に含まれる砒素等の重金属により土壌が汚染される問題や、工場跡地における土壌の重金属汚染の問題等が発生することがある。また、ゴミの焼却炉や、化学プラントにおける焼却設備等から発生する煤塵や焼却灰には、砒素以外にも6価クロム、カドミウム、鉛、水銀等の重金属が含まれている場合があるが、これらの固形状の重金属汚染物を最終処分するためには、ヒトへの健康被害の影響の大きな砒素を始め、重金属の溶出を防止する必要がある。
砒素を始めとする重金属成分を含む固形状の汚染物の処理方法としては、従来、汚染物をセメントと混合して固化する方法があるが、水溶性の重金属は、セメントで固化しても溶出する危険性がある。重金属の溶出防止対策を施していない産業廃棄物の埋立ては法的に規制されており、効率的な重金属溶出防止法の開発が強く望まれている。
重金属汚染土壌を不溶化するシステムとしては、例えば特開2005−305297号公報(特許文献1)には、重金属を含んだ洗浄分級処理後の粒径0.5mm未満のスラッジと固形化材とを混合・造粒した後、造粒物表面を不溶化材でコーティングする連続システムが開示され、実施例として亜砒酸塩イオンを含む模擬スラッジを不溶化する例が示されている。しかしこのシステムは、処理対象である汚染物を処理前に洗浄分級するため、洗浄水に重金属等が溶出するという問題があった。また、このシステムが目的とする不溶化は、土壌環境基準(環境庁告示第46号)に定められた環境基準をクリアすることであり、産業廃棄物の埋め立てを目的としたものではない。
特開2005−305297号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、砒素含有汚泥を直接処理し、環境庁告示13号に定める埋立て基準に適合した砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法を提供することを目的とする。なお、ここで汚泥とは、単に汚泥だけではなく、土壌、低質土や瓦礫等を含む広い概念であり、砒素含有とは、砒素以外に6価クロム、カドミウム、鉛、水銀等の重金属が含まれていても構わない。
上記の目的は、第一の実施形態として、砒素を含有する汚泥に対して固形化剤/汚泥の質量比で1.0以上2.5以下のセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級して回収した粒径が3.0mm以下の一次造粒物の表面に、造粒機内に固形化剤/汚泥の質量比で3.0以上8.0以下のセメント系固形化剤と水を供給してセメント系被覆層を形成する二次造粒工程を施し、得られた二次造粒物を養生した後、二次造粒物を分級して粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法によって達成される。なお、ここで汚泥の質量とは、水分を含んだ質量である(以下同じ)。
また、本発明の目的は、第二の実施形態として、砒素を含有する汚泥に対して好ましくは固形化剤/汚泥の質量比で1.0以上2.0以下のセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級して回収した粒径が3.0mm以下の一次造粒物の表面に、造粒機内に固形化剤/汚泥の質量比で好ましくは1.0以上2.0以下、かつ全固形化剤/汚泥の質量比が2.0以上3.0以下のセメント系固形化剤とアルギン酸塩の水溶液を供給してセメント系被覆層を形成する二次造粒工程を施し、得られた二次造粒物を養生した後、二次造粒物を分級して粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法によって達成される。
また、本発明の目的は、第三の実施形態として、砒素を含有する汚泥に対して好ましくは固形化剤/汚泥の質量比で1.0以上2.0以下のセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級して回収した粒径が3.0mm以下の一次造粒物の表面に、造粒機内に固形化剤/汚泥の質量比で好ましくは1.0以上2.0以下、かつ全固形化剤/汚泥の質量比が2.0以上3.0以下のセメント系固形化剤と水を供給してセメント系被覆層を形成する二次造粒工程を施した後、得られた二次造粒物をアルギン酸塩の水溶液中に浸漬し、前記のセメント系被覆層の表面をアルギン酸塩被覆層に改質し、引き続いて改質した二次造粒物を養生した後、分級して粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法によっても達成される。
本発明によれば、砒素含有汚泥を前処理することなく直接処理し、環境庁告示13号に定める埋立て基準に適合した砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材を得ることが可能になった。
本発明の第一および第二の実施形態の製造方法のフローチャートである。 本発明の第三の実施形態の製造方法のフローチャートである。 本発明の第一の実施形態の製造方法により得られるカルシウム系化合物被覆不溶化材の構造を示す模式図である。 本発明の第二の実施形態の製造方法により得られるカルシウム系化合物被覆不溶化材の構造を示す模式図である。 本発明の第三の実施形態の製造方法により得られるカルシウム系化合物被覆不溶化材の構造を示す模式図である。
以下、特許請求の範囲、図1および図2のフローチャートと図3〜図5の模式図に基づき、本発明の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法の詳細について説明する。
[被処理物]
本発明の対象となるのは、高濃度の砒素、具体的には30mass%程度まで、を含有する汚泥である。従来の固形化剤を用いて砒素含有汚泥を不溶化する処理方法では、砒素含有濃度が高くなる程多量の固形化剤を必要としていたが、本発明の場合には、セメント系の固形化剤を用いて砒素含有汚泥を固形化した後にその表面をセメント系被覆層で被覆するため、砒素の溶出を抑制することが可能になるため、高濃度の砒素を含有する汚泥を処理する場合でも、固形化剤の量が従来法よりも少なくて済む。
本発明の製造方法では、汚泥は水の含有量が35mass%以上45mass%以下のものを用いるのが好ましい。水の含有量が35%mass未満であると、汚泥を固形化剤で覆う構造になり難い。また、水の含有量が45mass%を超えると、固形化剤がペースト状になり、二次造粒が困難になる。汚泥に含まれる水の含有量がこの範囲から外れる場合には、低い場合には水または後述するコーティング処理の残液を添加し、高い場合には空気に触れないように乾燥するか、一次造粒の固形化剤を多くすることにより含水量を適宜調整する。
[固形化剤]
汚泥中に含まれる砒素を不溶化する物質としては、硫酸第二鉄や塩化第二鉄等の第二鉄塩、焼成ドロマイト、カルシウム塩、マグネシウム塩等があるが、本発明においては固形化剤として、砒素の不溶化と汚泥の固形化を同時に行うことのできるセメント系固形化剤を用いる。
セメント系固形化剤には、ポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等)、混合セメント(高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント)、アルミナセメント、セメント系固化材(一般軟弱土用、高有機質土用、六価クロム対策固化材、発塵抑制固化材など)等があるが、pH12以上の強アルカリ性であれば、いずれを用いても構わない。
[一次造粒工程]
被処理材である水の含有量を調整した砒素含有汚泥とセメント系固形化剤とを造粒機に投入し、一次造粒を行う。造粒機には流動層、押出し造粒機、パン型造粒機等があるが、本発明の製造方法の場合には、汚泥と固形化剤の混錬と造粒を連続して行うことの出来る混錬式造粒機等を使用することが好ましい。なお、汚泥と固形化剤を均一に混ぜるよりも汚泥を固形化剤で包んだ構造の粒になることが好ましい。
二次造粒以降において後述するアルギン酸塩を使用しない本発明の製造方法の第一の実施形態の場合には、一次造粒の際に、固形化剤/汚泥の質量比で1.0以上2.0以下のセメント系固形化剤を砒素含有汚泥に混合する。固形化剤/汚泥の質量比が1.0未満の場合には、汚泥の固形化が不十分になり易い。固形化剤/汚泥の質量比が2.0を超えると、不溶化物の量が必要以上に多くなるため、いずれも好ましくない。本発明の製造方法においては、環境庁告示の埋立て基準に基づき、二次造粒により一次造粒物の表面にカルシウム系化合物を被覆した二次造粒物の粒径が5.0mmを超えないことが望ましいので、一次造粒物の粒径は3.0mmを超えないこととする。
二次造粒工程以降においてアルギン酸塩を使用する本発明の製造方法の第二および第三の実施形態の場合には、アルギン酸塩による砒素の溶出抑制効果があるので、固形化剤/汚泥の質量比の上限を3.0以下とすることが出来る。
一次造粒により得られる造粒物は微細粒子化した汚泥がセメントにより固形化したものであり、汚泥の微細粒子とセメントの混合物である。混合の形態としては、上述の様に、汚泥の微粒子とセメントの微粒子が単に混合したものであっても、汚泥の微粒子の表面にセメントの微粒子が付着し、包み込む形で混合したもののいずれでも構わない。
一次造粒の後、JIS Z8801−1(2006)に定める金属製網ふるい(目開き2.8mmのもの)を用いて粒径が2.8mm以下の一次造粒物を回収し、以下の工程に供するのがよい。
[二次造粒工程]
前記の工程により得られた粒径が3.0mm以下の一次造粒物を造粒機に投入した後、セメント系固形化剤と水若しくはセメント系固形化剤と可溶性アルギン酸塩の水溶液を造粒機に供給し、二次造粒を行う。二次造粒の際に、一次造粒物の表面に砒素溶出抑制効果を有するセメント系被覆層もしくはアルギン酸カルシウムを含むセメント系被覆層が形成される。本発明の製造方法の場合には、二次造粒には、パン型造粒機等、一次造粒物の表面に固形化剤をコーティングできる造粒機を用いる。
造粒機内に供給するセメント系固形化剤の量は、後述するアルギン酸塩を使用しない第一の実施形態の場合には、固形化剤/汚泥の質量比で3.0以上8.0以下とする。固形化剤/汚泥の質量比が3.0未満では、形成されるセメント系被覆層の砒素溶出抑制効果が不十分な場合があり、8.0を超えると不溶化物の量が必要以上に多くなる。その場合、一次造粒工程および二次造粒工程で使用されるセメント系固形化剤の全量は、全固形化剤/汚泥の質量比で4.0以上10.0以下とすることが好ましい。なお、二次造粒工程におけるセメント系固形化剤の供給量が増加すると、二次造粒物の粒径が増大するので、固形化剤/汚泥の質量比が3.0以上6.0以下、全固形化剤/汚泥の質量比が4.0以上8.0以下とすることが好ましく、固形化剤/汚泥の質量比が3.0以上4.5以下、全固形化剤/汚泥の質量比が4.0以上5.0以下とすることがさらに好ましい。
二次造粒工程においてアルギン酸塩水溶液を使用する本発明の製造方法の第二の実施形態、および、二次造粒工程後にアルギン酸塩水溶液による表面改質を行う本発明の製造方法の第三の実施形態の場合には、アルギン酸塩による砒素の溶出抑制効果があるので、二次造粒工程において供給する固形化剤/汚泥の質量比を1.0以上2.0以下、かつ全固形化剤/汚泥の質量比を2.0以上3.0以下とすることが出来る。その場合、全固形化剤/汚泥の質量比を2.5以上3.0以下とすることが好ましい。
[アルギン酸塩]
アルギン酸は天然高分子の一種で、褐藻などに含まれる多糖類である。純粋なアルギン酸は水に不溶であり、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩は水に可溶性であるが、アルギン酸のカルシウム塩は水に難溶性である。アルギン酸塩の用途としては、鉄鋼業において被覆溶接棒の加工の際のフラックスのバインダーとして使用される例、農業において栽培用培土の固化、機械耐性を付与するバインダーとして使用される例等がある。
本発明者等は、砒素含有汚泥の固形化材の耐砒素溶出性を向上させる手段を種々検討した結果、アルギン酸カルシウムの水に対する難溶性の性質を利用することが効果的であることを見出して本発明の製造方法の第二および第三の実施形態を完成させた。本発明の製造方法におけるアルギン酸塩の使用の態様は、以下の通りである。
本発明の製造方法の第二の実施形態においては、二次造粒において一次造粒物にセメント系被覆層を形成する際に、造粒機内にセメント系固形化剤とアルギン酸塩の水溶液を同時に供給することにより、セメント系被覆層の一部または全てを難溶性のアルギン酸カルシウムとする。
アルギン酸塩の水溶液は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の水可溶性塩を用いて調製する。本発明の製造方法においては、アルギン酸塩の濃度は特に規定するものではないが、300〜400mPa・s(10g/L、20℃)のアルギン酸ナトリウムで0.5mass%以上1.0mass%以下が好ましい。また、この実施形態においては、二次造粒に投入する固形化剤1kgに対して2.5g以上4.0g以下の300〜400mPa・s(10g/L、20℃)アルギン酸ナトリウムを、0.5mass%以上1.0mass%以下になるように水に溶かして供給することが望ましい。アルギン酸塩の供給量が2.5g未満では、砒素溶出抑制の効果が不十分になり易く、4.0gを超えると、アルギン酸塩添加の効果が飽和するので不経済となる。
本発明の製造方法の第三の実施形態においては、二次造粒において一次造粒物にセメント系被覆層を形成した後、二次造粒物をアルギン酸塩の水溶液に浸漬し、セメント系被覆層の表面を難溶性のアルギン酸カルシウム層に改質する。この場合、二次造粒工程で形成されたセメント系被覆層が多孔質であっても、その内部までアルギン酸カルシウム層が形成される。
アルギン酸塩の水溶液は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の水可溶性塩を用いて調製する。本発明の製造方法においては、アルギン酸塩の濃度は特に規定するものではないが、300〜400mPa・s(10g/L、20℃)のアルギン酸ナトリウムで0.5mass%以上1.0mass%以下が好ましい。アルギン酸ナトリウムの濃度が0.5mass%では改質に必要な時間が長くなり、1.0mass%を超えると、粘性が高すぎて取り扱いが困難になる。本実施形態において生成するアルギン酸カルシウム層の厚さとしては10μm以上が好ましく、100μm以上がさらに好ましい。アルギン酸カルシウム層の厚さが10μm未満では、砒素の溶出防止の効果が不十分になり易い。アルギン酸カルシウム層の厚さの上限は特に規定するものではないが、1mm未満が好ましい。アルギン酸カルシウム層の厚さが、1mm以上になると、砒素の溶出防止の効果が飽和する。なお、アルギン酸カルシウム層の厚さは、不溶化材を樹脂に埋め込み、断面を研磨して顕微鏡観察することにより測定することが可能である。改質の際の反応温度は10〜30℃、反応時間は3〜15分程度で、供試砒素含有汚泥の砒素濃度、水分の含有量等を勘案して適宜調節すれば良い。アルギン酸カルシウムの層が表面にできることで、耐摩耗性等の向上が期待できる。
[養生工程]
本発明の製造方法の第一および第二の実施形態においては、二次造粒工程によりセメント系被覆層を形成した二次造粒物を、第三の実施形態の場合には二次造粒物の表面をアルギン酸カルシウム層に改質した二次造粒物を、引き続き養生する。養生の目的は、一次造粒工程および二次造粒工程で硬化したセメントの強度向上で、セメント系の材料で通常に行われるプロセスである。養生は室温で、2日間〜7日間行うことが好ましい。また、中性化を防ぐため空気に触れずに行うとさらに好ましい。
養生後の造粒物は、JISZ8801−1(2006)に定める金属製網ふるい(目開き0.5mmのものおよび4.75mmのもの)を用いて粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収し、最終的な砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材とする。0.5mm未満の粒は汚泥のみ又は固形化剤のみの粒である可能性が高いため、除外する。5.0mmを超える粒は環境庁告示13号の規定により、分析前に粉砕しなければならないため、除外する。
[供試試料]
水分を40%含み、乾燥時の組成がCa:45mass%、As:30mass%(亜砒酸塩、mass%はAsとしての値)を含む汚泥。
[汚泥中の砒素含有量の測定方法]
汚泥を乾燥後、粉砕してプレス成形し、XRF(蛍光X線分析装置、リガク社製ZSX PrimusII)を用いて、20kV−2mAで全スキャンし、FP(ファンダメンタル・パラメーター)法で半定量化して測定した。
[汚泥中の水分含有量の測定方法]
汚泥を105℃で24時間乾燥し、乾燥前後の重量の差から水分を計算した。
[砒素溶出試験]
本発明の製造方法により得られた砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の耐砒素溶出性は、環境庁告示13号に規定する「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」に準拠して行った。
[実施例1]
前記の供試試料の汚泥30gと高炉セメントB種30gとをビーカーに入れて匙で混錬した。この場合、汚泥の水分と高炉セメントB種の比が0.35以上0.45以下であれば、造粒機を使用せず、匙で撹拌するだけでも造粒でき、粒径が2.8mm以下の汚泥とセメントの混合物である一次造粒物を得た。前記の一次造粒物を全量パン型造粒機に投入し、パンの傾斜45°、パンの直径24cm、回転数30rpmで回転させながら、高炉セメントB種90gと水18.6gを少量ずつ添加して二次造粒を行った。得られた二次造粒物を(株)生産日本社製チャック付ポリエチレン袋「ユニパック(登録商標)」にいれて密封し、室温で7日間養生した。その後、ふるい掛けにより回収した0.5mm以上5.0mm以下の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材について、環境庁告示13号に規定する溶出試験を行ったところ、砒素の溶出値は0.065mg/Lとなり、排水基準(0.1mg/L)以下となった。表1に本実施例の固形化剤/汚泥の質量比と、得られた砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の砒素溶出値を示す。
[実施例2]
前記の供試試料の汚泥30gと高炉セメントB種30gとを混錬した。汚泥の水分と高炉セメントB種の比が0.35以上0.45以下であれば、匙で撹拌するだけでも造粒できる。粒径が2.8mm以下の汚泥とセメントの混合物である一次造粒物を得た。前記の一次造粒物を全量パン型造粒機に投入し、パンの傾斜45°、パンの直径24cm、回転数30rpmで回転させながら、高炉セメントB種30gと1mass%のアルギン酸ナトリウム水溶液9.3gを少量ずつ添加して二次造粒を行った。得られた二次造粒物を(株)生産日本社製チャック付ポリエチレン袋「ユニパック(登録商標)」にいれて密封し、室温で7日間養生した。その後、ふるい掛けにより回収した0.5mm以上5.0mm以下の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材について、環境庁告示13号に規定する溶出試験を行ったところ、砒素の溶出値は0.098mg/Lとなり、排水基準以下となった。本実施例の固形化剤/汚泥の質量比とアルギン酸ナトリウム/汚泥比、および、得られた砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の砒素溶出値を表1に併せて示す。なお、表1には実施例3および比較例1〜5に関する結果も併せて示してある。
[実施例3]
前記の供試試料の汚泥30gと高炉セメントB種30gとを混錬した。汚泥の水分と高炉セメントB種の比が0.35以上0.45以下であれば、匙で撹拌するだけでも造粒できる。粒径が2.8mm以下の汚泥とセメントの混合物である一次造粒物を得た。前記の一次造粒物を全量パン型造粒機に投入し、パンの傾斜45°、パンの直径24cm、回転数30rpmで回転させながら、高炉セメントB種30gと水9.3gを少量ずつ添加して二次造粒を行った。得られた二次造粒物を室温で1日間養生した。養生した二次造粒物を1mass%のアルギン酸ナトリウム水溶液に室温で15分間浸漬し表面改質を行い、網などでアルギン酸ナトリウム水溶液を分離した後、(株)生産日本社製チャック付ポリエチレン袋「ユニパック(登録商標)」にいれて密封し、室温で7日間養生した。その後、ふるい掛けにより回収した0.5mm以上5.0mm以下の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材について、環境庁告示13号に規定する溶出試験を行ったところ、砒素の溶出値は0.096mg/Lとなり、排水基準以下となった。この場合、断面の顕微鏡観察で求めたアルギン酸カルシウム層の厚さは、最小値が10μm、最大値が140μmであった。なお、表1のアルギン酸ナトリウム/汚泥比は、改質に用いたアルギン酸ナトリウム水溶液の残液の濃度から算出した値である。
[比較例1〜5]
比較例1として、一次造粒の際に添加する高炉セメントB種の量を30gとし、二次造粒の際に高炉セメントB種の量を30gとした以外は実施例1と同じ工程を繰り返した。
比較例2として、汚泥30gと高炉セメントB種60gとを水を添加しながら混錬し、造粒して得られた一次造粒物について環境庁告示13号に規定する溶出試験を行った。
比較例3として、高炉セメントB種の量を120gとした以外は比較例2と同じ工程を繰り返した。
比較例4として、二次造粒時に添加する水を1mass%のアルギン酸ナトリウム水溶液に変更した以外は比較例2と同じ工程を繰り返した。
比較例5として、比較例2で得られた一次造粒物を1mass%のアルギン酸ナトリウム水溶液に室温で15分間浸漬し表面改質を行った。
比較例1〜5の製造方法で得られた造粒物の砒素の溶出値はいずれも排水基準を超えるものであった。
以上の結果から明らかな様に、本発明の製造法を用いると、砒素含有汚泥を直接処理し、環境庁告示13号に定める埋立て基準に適合した砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材を得ることが可能になる。

Claims (5)

  1. 砒素を含有する汚泥に対して固形化剤/汚泥の質量比で1.0以上2.5以下のセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程、
    前記の一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級することにより粒径が3.0mm以下の一次造粒物を回収する工程、
    造粒機内に固形化剤/汚泥の質量比で3.0以上8.0以下のセメント系固形化剤と水を供給することにより、前記の回収された一次造粒物の表面にセメント系被覆層を形成する二次造粒工程、
    前記の二次造粒工程で得られた二次造粒物を養生する工程、
    前記の養生工程後の二次造粒物を分級することにより粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程、
    を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法。
  2. 砒素を含有する汚泥に対してセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程、
    前記の一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級することにより粒径が3.0mm以下の一次造粒物を回収する工程、
    造粒機内にセメント系固形化剤とアルギン酸塩の水溶液を供給することにより、前記の回収された一次造粒物の表面にアルギン酸塩を含むセメント系被覆層を形成する二次造粒工程、
    前記の二次造粒工程で得られた二次造粒物を養生する工程、
    前記の養生工程後の二次造粒物を分級することにより粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程、
    を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法。
  3. 一次造粒工程において混合する固形化剤/汚泥の質量比を1.0以上2.0以下、二次造粒工程で供給する固形化剤/汚泥の質量比を1.0以上2.0以下、かつ全固形化剤/汚泥の質量比を2.0以上3.0以下とする、請求項2に記載の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法。
  4. 砒素を含有する汚泥に対してセメント系固形化剤を混合した後造粒する一次造粒工程、
    前記の一次造粒工程で得られた一次造粒物を分級することにより粒径が3.0mm以下の一次造粒物を回収する工程、
    造粒機内にセメント系固形化剤と水を供給することにより、前記の回収された一次造粒物の表面にセメント系被覆層を形成する二次造粒工程、
    前記の表面にセメント系被覆層を形成した二次造粒物をアルギン酸塩の水溶液中に浸漬し、前記のセメント系被覆層の表面をアルギン酸塩被覆層に改質する工程、
    前記の改質工程で得られた二次造粒物を養生する工程、
    前記の養生工程後の二次造粒物を分級することにより粒径が0.5mm以上5.0mm以下の二次造粒物を回収する工程、
    を含む、砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法。
  5. 一次造粒工程において混合する固形化剤/汚泥の質量比を1.0以上2.0以下、二次造粒工程で供給する固形化剤/汚泥の質量比を1.0以上2.0以下、かつ全固形化剤/汚泥の質量比を2.0以上3.0以下とする、請求項4に記載の砒素含有汚泥のカルシウム系化合物被覆不溶化材の製造方法。
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