JP2017071857A - 粉末冶金用混合粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動性が良好であり、かつ、圧粉体にしたときに焼結前の加工性が優れる粉末冶金用混合粉末を提供する。【解決手段】鉄基粉末およびマイクロカプセルを含有し、上記マイクロカプセルが、少なくとも、液状硬化性化合物を内包し、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物の含有量が、上記鉄基粉末100質量部に対して、0.10質量部以下である、粉末冶金用混合粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末冶金用混合粉末に関する。
粉末冶金は、鉄基粉末等を含む混合粉末を加圧成形して圧粉体を得た後、この圧粉体を焼結させて機械部品などの焼結部品を製造する技術である。
近年、粉末冶金技術の進歩によって、高寸法精度で複雑な形状の焼結部品をニアネット形状に製造できるようになり、各種分野の製品で粉末冶金技術が利用されている。
しかし、焼結部品について、極めて厳しい寸法精度が要求される場合、または、横穴形状、アンダーカット形状、もしくは、その他の高度に複雑な形状が要求される場合には、焼結後の後加工(切削加工など)が必要となることがある。
ところが、焼結部品は、後加工するには強度が高く、また、空孔含有比率が高いことから、切削抵抗および摩擦熱が大きくなり、切削工具の表面温度が上がりやすくなる。そのため、切削工具が損耗しやすくなって短寿命となり、その結果、切削加工費が増大して、焼結部品の製造コストの上昇を招くという問題が生じる。
そこで、上記問題の解決策として、焼結前の圧粉体に切削加工を行ってから焼結を行なう、いわゆるグリーン加工が関心を集めている。
しかし、一般的に焼結前の圧粉体は脆く、加工性が不十分である場合が多い。すなわち、焼結前の圧粉体は、グリーン加工する際の治具への装着時または切削加工時にかかる応力に耐えられず、損傷しやすい。このため、グリーン加工に耐え得るよう、圧粉体の高強度化が望まれている。
圧粉体を高強度化する観点から、例えば、特許文献1には、「熱硬化性樹脂粉末」を含有する粉末冶金用混合粉末が開示されており、これを原料として得られる圧粉体については、「焼結前においても適度な密度と強度を有するために切削加工が可能」とされている(特許文献1の段落[0015])。
特開2006−124777号公報
上述したように、グリーン加工の観点から、粉末冶金用混合粉末を加圧成形して得られる圧粉体には、焼結前の加工性が優れる(損傷を抑制しながら切削加工等の加工ができる)ことが要求される。
ところで、粉末冶金用混合粉末において、例えば、貯蔵ホッパーからの排出時や金型への充填時などの移送時における粉末冶金用混合粉末の流動性は、生産スピードや充填性に影響を与える重要な特性の一つである。このため、製品品質の向上や製造コスト低減などを実現するためには、粉末冶金用混合粉末が良好な流動性を有することが要求される。
そこで、本発明者らが、特許文献1に記載の粉末冶金用混合粉末について検討したところ、流動性が不十分な場合があることが分かった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、流動性が良好であり、かつ、圧粉体にしたときに焼結前の加工性が優れる粉末冶金用混合粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成により上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]鉄基粉末およびマイクロカプセルを含有し、上記マイクロカプセルが、少なくとも、液状硬化性化合物を内包し、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物の含有量が、上記鉄基粉末100質量部に対して、0.10質量部以下である、粉末冶金用混合粉末。
[2]マイクロカプセルに内包されていない、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、および、カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有する、上記[1]に記載の粉末冶金用混合粉末。
[3]上記液状硬化性化合物を内包する上記マイクロカプセルの含有量が、上記鉄基粉末100質量部に対して、0.05〜2質量部である、上記[1]または[2]に記載の粉末冶金用混合粉末。
本発明によれば、流動性が良好であり、かつ、圧粉体にしたときに焼結前の加工性が優れる粉末冶金用混合粉末を提供できる。
[粉末冶金用混合粉末]
本発明の粉末冶金用混合粉末(以下、単に「本発明の混合粉末」ともいう)は、鉄基粉末およびマイクロカプセルを含有し、上記マイクロカプセルが、少なくとも、液状硬化性化合物を内包し、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物の含有量が、上記鉄基粉末100質量部に対して、0.10質量部以下である、粉末冶金用混合粉末である。
本発明の混合粉末は、流動性が良好であり、かつ、圧粉体にしたときに焼結前の加工性が優れる。この理由は、以下のように推測される。
まず、本発明の混合粉末を加圧成形して圧粉体を得る際に、マイクロカプセルから液状硬化性化合物が染み出して、鉄基粉末の粒子間に行き渡り、鉄基粉末の粒子どうしが接着される。このため、本発明の混合粉末を加圧成形して得られる圧粉体は、焼結前であっても高強度化され、損傷を抑制しながら切削加工等の加工を行なうことができる(加工性が優れる)と考えられる。
また、本発明の混合粉末は、加圧成形する前の状態では、液状硬化性化合物はマイクロカプセルに内包されており、かつ、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物も実質的に含有していないため、鉄基粉末の粒子どうしが接着されることがなく、流動性に優れると考えられる。
これに対して、硬化性樹脂粉末を含有する粉末冶金用混合粉末(例えば、特許文献1を参照)は、圧粉体にしたときの焼結前の加工性は比較的良好であると考えられるが、加圧成形前においても接着性能が発揮され得るために流動性が劣ると考えられる。
次に、本発明の混合粉末が含有する各成分について説明する。
〔鉄基粉末〕
鉄基粉末としては、例えば、純鉄粉、合金鋼粉などが挙げられる。
純鉄粉の具体例としては、アトマイズ鉄粉(atomized iron powder)、還元鉄粉(reduced iron powder)などが挙げられる。
合金鋼粉の具体例としては、部分拡散合金化鋼粉、完全合金化鋼粉(合金成分が溶製時より含まれているもの)、完全合金化鋼粉に合金成分を部分拡散させたハイブリッド鋼粉などが挙げられる。合金鋼粉における合金成分としては、例えば、Cr、Mn、Ni、Mo、V、Ti、Cu、Nb等が挙げられ、特に、Ti、Ni、Mo、Cu等は拡散接合によっても添加できる。合金成分の含有量は、鉄基粉末である前提(Fe:50質量%以上)を満たせば、特に限定されない。
なお、鉄基粉末中には、例えば合計3質量%程度以下の不純物が含まれていてもよい。代表的な不純物の含有量は、質量%で、C:0.05%以下、Si:0.10%以下、Mn(合金元素として添加しない場合):0.50%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、O:0.30%以下、N:0.1%以下である。
鉄基粉末の平均粒径は、粉末冶金に用いられる通常の範囲として、70〜100μmにすることが好ましい。なお、鉄基粉末の粒径は、特に断りがない限り、JIS Z 2510:2004に準拠した乾式ふるい分けによる測定値とする。
〔マイクロカプセル〕
本発明におけるマイクロカプセルは、膜物質からなるカプセル壁の内部に、内包剤(芯物質)として、少なくとも、液状硬化性化合物を内包する。すなわち、液状硬化性化合物がマイクロカプセル化されている。このため、本発明の混合粉末を加圧成形する前の状態では、鉄基粉末の粒子どうしが接着されることがなく、流動性に優れる。
なお、本明細書において、「液状」とは、常温(25℃)で液体であることを意味する。同様に、「粉末状」とは、常温で固体であることを意味する。
液状硬化性化合物をマイクロカプセル化する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用でき、例えば、S/Oマイクロカプセル法、相分離法、界面重合法、in−situ重合法、スプレードライ法などが挙げられるが、これらの方法に限定されない。
なお、in−situ重合法は、内包剤となる芯物質の分散溶液中に、カプセル壁となる膜物質を溶解し、界面で重合反応を起こすことにより、マイクロカプセルを調製する方法であり、具体的には、例えば、特開2010−128317号公報の段落[0144]に記載された方法が挙げられるが、この方法に限定されない。
また、マイクロカプセルのカプセル壁の材質(カプセル壁材)としては、特に限定されず、従来公知の樹脂が使用でき、例えば、尿素樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂などが挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
マイクロカプセルにおいて、内包剤とカプセル壁との質量比(内包剤/カプセル壁)は、特に限定されないが、例えば、99/1〜50/50であり、95/5〜70/30が好ましい。
なお、粉末冶金用混合粉末は、加圧成形後における抜出し性を良好にするため、通常、潤滑剤(離型剤)が配合されることが多いが、本発明の混合粉末においては、マイクロカプセルを含有することで、抜出し性を良好にできる。もっとも、本発明の混合粉末に潤滑剤を配合することは排除されない。
マイクロカプセルの内包剤である液状硬化性化合物(以下、単に「硬化性化合物」ともいう)は、本発明の混合粉末を加圧成形して圧粉体を得る際に、マイクロカプセルから染み出して、鉄基粉末の粒子どうしを接着する。
液状硬化性化合物としては、接着剤等として従来公知の硬化性化合物を適宜使用でき、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ウレタンプレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、(メタ)アクリレート化合物(嫌気性)、変成シリコーン樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
なお、本発明の混合粉末は、更に、例えば、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、カップリング剤などの添加剤を含有してもよく、なかでも、硬化剤および硬化促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、液状であっても粉末状であってもよく、また、マイクロカプセルに内包されていてもよく、内包されていなくてもよい。
ノボラック型フェノール樹脂をマイクロカプセルに内包させる場合は、本発明の混合粉末には、別途、粉末状の硬化剤として例えばヘキサメチレンテトラミンを添加してもよい。このとき、各成分の質量比(ノボラック型フェノール樹脂/硬化剤)は、50/50〜99.99/0.01が好ましい。
ウレタンプレポリマーをマイクロカプセルに内包させる場合は、更に、このマイクロカプセルに、硬化促進剤(例えば、オクテン酸鉛、フェニル水銀プロピオン酸塩、ジブチルチンジラウレート、ビスマスアセテートなど)を内包させてもよい。各成分の質量比(ウレタンプレポリマー/硬化促進剤)は、50/50〜99.99/0.01が好ましい。
エポキシ樹脂プレポリマーとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとを縮合重合させたエポキシ樹脂プレポリマー(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂プレポリマーをマイクロカプセルに内包させる場合は、本発明の混合粉末に、別途、粉末状の硬化剤(例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物などの酸無水物;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン;等)を添加できる。硬化剤の添加量は、エポキシ当量に基づいた値が最適であり、例えば、芳香族ジアミンを硬化剤として用いる場合には、通常、エポキシ樹脂プレポリマー100質量部に対して、25〜35質量部が好ましい。
また、更に、このマイクロカプセルに、硬化促進剤(例えば、N,N−ジメチルピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン)を、例えば、エポキシ樹脂プレポリマー100質量部に対して0.01〜20質量部内包させてもよい。
(メタ)アクリレート化合物(嫌気性)の場合、マイクロカプセルには、一例として、ジ(メタ)クリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー3〜97質量%と、硬化剤である過酸化物3〜97質量%と、を内包させることができ、更に、硬化促進剤であるアミンを、(メタ)アクリレートモノマーおよび過酸化物の合計100質量部に対して0.1〜30質量部内包させることもできる。
変成シリコーン樹脂(エポキシ・変成シリコーン樹脂、アクリル・変成シリコーン樹脂などを含む)の場合、マイクロカプセルには、一例として、変成シリコーン樹脂100質量部に対し、変成シリコーン樹脂用触媒0.1〜20質量部、発泡体の表面に無機剤が存在する嵩比重が0.5以下の充填剤0.1〜200質量部、エポキシ樹脂0.5〜300質量部、および、エポキシ樹脂硬化剤0.1〜200質量部などを内包させることができる。
なお、本発明の混合粉末は、可塑剤、カップリング剤を含有できる。液状硬化性化合物が変成シリコーン樹脂の場合、含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸アルキルエステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸アルキルエステル類;ペンタエリスリトールエステル;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;塩素化パラフィン;等が挙げられ、例えば、液状硬化性化合物100質量部に対して、10〜300質量部含有できる。
また、カップリング剤としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられ、例えば、液状硬化性化合物100質量部に対して1〜15質量部含有できる。
上述した液状硬化性化合物の分子量(重量平均分子量、数平均分子量を含む)は、硬化性化合物が液状であれば特に限定されず、適宜設定される。
〈マイクロカプセルの平均粒径〉
マイクロカプセルの平均粒径は、大きすぎると本発明の混合粉末の密度が低下して目的の強度が得られにくくなる場合があり、小さすぎると流動性が不十分となる場合があることから、5〜100μmが好ましく、20〜90μmがより好ましく、30〜80μmが更に好ましい。マイクロカプセルの平均粒径がこの範囲であれば、本発明の混合粉末は、流動性がより良好となり、圧粉体にしたときの焼結前の加工性がより優れる。
なお、マイクロカプセルの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定することができ、体積平均粒子径をいう。
〈マイクロカプセルの含有量〉
本発明の混合粉末におけるマイクロカプセルの含有量は、少なすぎると加圧成形時に内包剤が十分に染み出さず、十分な強度が得られにくい場合があり、多すぎると鉄基粉末の粒子どうしのネッキングを阻害して強度が低下する場合があり得ることから、鉄基粉末100質量部に対して、0.05〜2質量部が好ましく、0.08〜1.5質量部がより好ましく、0.10〜1.0質量部が更に好ましい。
〔その他の添加剤〕
本発明の混合粉末は、更に、必要に応じて、その他の添加剤を任意で含有できる。
例えば、本発明の混合粉末は、添加剤として潤滑剤を含有してもよく、その具体例としては、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛など)、アミドワックス、ポリアミド、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等が挙げられる。
〔マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物〕
本発明の混合粉末は、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物の含有量が、鉄基粉末100質量部に対して、0.10質量部以下であり、0.01質量部以下が好ましく、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物を実質的に含有しない態様が更に好ましい。
これにより、本発明の混合粉末を加圧成形する前の状態では、鉄基粉末の粒子どうしが接着されることがなく、流動性に優れる。
なお、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物としては、例えば、マイクロカプセルの内包剤である液状硬化性化合物として説明したものが挙げられる。
本発明においては、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物を粉末冶金用混合粉末に添加しない態様を、「マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物を実質的に含有しない態様」とする。
〔粉末冶金用混合粉末の製造方法および使用方法〕
本発明の混合粉末は、上述した必須成分および任意成分を、例えば従来公知の混合機を用いて、適宜混合することにより得られる。
このようにして得られた本発明の混合粉末は、粉末冶金の原料として使用できる。すなわち、本発明の混合粉末を、一般的な方法によって、加圧成形して圧粉体(圧粉成形体)とし、次いで、この圧粉体を例えば1000〜1300℃で焼結させることで、機械部品などの焼結部品を製造できる。
このとき、本発明の混合粉末は、加圧成形するに際して、貯蔵ホッパーからの排出時や金型への充填時などの移送時における流動性が優れるため、生産スピードや充填性が良好となり、製品品質の向上や製造コスト低減などが期待できる。
また、本発明の混合粉末を加圧成形して得られた圧粉体は、高強度化されており、焼結前であっても、損傷を抑制しつつ切削加工等の加工(グリーン加工)を行なうことができる。
〔加熱硬化処理〕
液状硬化性化合物として、例えば、(メタ)アクリレート化合物、フェノール樹脂、および、エポキシ樹脂プレポリマーなどの熱硬化性化合物を使用した場合には、加圧成形して得られた圧粉体に対して、焼結前に、液状硬化性化合物を硬化させるための加熱硬化処理を行ってもよい。液状硬化性化合物を硬化させることによって、圧粉体の強度を更に向上させることができる。
加熱硬化処理の条件は、使用する液状硬化性化合物(熱硬化性化合物)の種類に応じて決定すればよい。例えば、加熱硬化処理における加熱温度は、一般的には、80〜200℃である。また、加熱硬化処理における加熱時間は、例えば、10分間から1時間であり、15〜30分間が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜3>
純鉄粉(JFEスチール社製 アトマイズ鉄粉301A)に銅粉:2質量%および黒鉛粉:0.8質量%を添加した鉄基粉末を準備し、この鉄基粉末100質量部に対して、液状のエポキシ樹脂プレポリマーを内包するマイクロカプセル(詳細は後述)と、粉末状の硬化剤である芳香族アミン(メタフェニレンジアミン)とを、4:1の割合(質量比)で0.5質量部添加し、V型ブレンダで15分間混合して、粉末冶金用混合粉末を得た。
なお、実施例1〜3の違いは、後述するように、粉末冶金用混合粉末を用いて得られる圧粉体に対する加熱硬化処理の有無の違い、または、加熱硬化処理条件の違いである。
・マイクロカプセル…平均粒径:60μm、カプセル壁:尿素樹脂、液状のエポキシ樹脂プレポリマー:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、質量比(内包剤/カプセル壁):80/20
なお、上記マイクロカプセルは、特開2010−128317号公報の段落[0144]に記載された方法に準拠して作製した。
<実施例4〜6>
鉄基粉末100質量部に対して、マイクロカプセルと硬化剤とを、4:1の割合(質量比)で1質量部添加した以外は、実施例1〜3と同様にして、粉末冶金用混合粉末を得た。実施例4〜6の違いは、後述するように、粉末冶金用混合粉末を用いて得られる圧粉体に対する加熱硬化処理の有無の違い、または、加熱硬化処理条件の違いである。
<標準例1>
実施例1で準備した鉄基粉末(JFEスチール社製 アトマイズ鉄粉301Aに、銅粉:2質量%および黒鉛粉:0.8質量%を添加した鉄基粉末)100質量部に対して、ステアリン酸亜鉛を1質量部添加し、混合して、粉末冶金用混合粉末を得た。
<標準例2>
実施例1で準備した鉄基粉末(JFEスチール社製 アトマイズ鉄粉301Aに、銅粉:2質量%および黒鉛粉:0.8質量%を添加した鉄基粉末)のみを、標準例2の粉末冶金用混合粉末とした。
<比較例1>
マイクロカプセルおよび粉末状の硬化剤に代えて、クリア粉体塗料(商品名:コナックNo.3700、日本油脂BASFコーティング社製、未硬化エポキシ樹脂をアミン系硬化剤で硬化したもの)を、鉄基粉末100質量部に対して0.5質量部添加し、かつ、ステアリン酸亜鉛を鉄基粉末100質量部に対して1質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、粉末冶金用混合粉末を得た。
<比較例2>
実施例1の粉末冶金用混合粉末に、液状エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ社製)を、鉄基粉末100質量部に対して0.20質量部添加し混合したものを、比較例2の粉末冶金用混合粉末とした。
<評価>
得られた粉末冶金用混合粉末を用いて、以下の評価を行なった。結果を下記表1に示す。なお、評価を行なわなかった場合には、下記表1に「−」を記載した。
(流動度)
流動度は、金型充填時の粉末の流動性を示す指標である。
得られた粉末冶金用混合粉末:50gを、オリフィス径:2.5mmの容器に充填し、充填してから排出するまでの時間を測定して、流動度(単位:sec/50g)を求めた。なお、その他の測定条件は、JISZ2502:2012に準拠した。流動度の値が小さいほど流動性に優れるものとして評価できる。
(密度および抜出し力)
得られた粉末冶金用混合粉末を、下記のように成形した際に、その密度(単位:g/cm3)および抜出し力(単位:MPa)を測定した。抜出し力の値が低いほど抜出し性に優れるものとして評価できる。
(抗折強度)
圧粉体の抗折強度は、ドリル加工時に発生する割れに対する数値的指標である。
得られた粉末冶金用混合粉末について、日本粉末冶金工業会規格JPMA P10−1992に準拠して、690MPaの成形圧力で成形した圧粉体の抗折強度(単位:MPa)を求めた。抗折強度の値が大きいほど、圧粉体が高強度化されており、焼結前の圧粉体の加工性に優れるものとして評価できる。
圧粉体の抗折強度を求める前に、圧粉体に対して、実施例2および5においては80℃で30分間の加熱硬化処理を、実施例3および6においては120℃で30分間の加熱硬化処理を、それぞれ行った。
抗折強度を求める前に圧粉体に対して加熱硬化処理を行った場合には、下記表1の加熱硬化処理条件の欄に「−」を記載した。
上記表1に示す結果から明らかなように、まず、実施例1と比較例1とを対比すると、液状硬化性化合物を内包するマイクロカプセルを配合した実施例1の粉末冶金用混合粉末は、硬化性樹脂粉末を配合した比較例1の粉末冶金用混合粉末と比べて、流動度の値が小さく、流動性が良好であった。加えて、実施例1は、比較例1よりも抗折強度の値が大きく、焼結前の圧粉体の加工性は、比較例1と同等以上に良好であることが示された。
また、マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物を配合した比較例2は、上述した条件で流動度を求めようとしても、粉末冶金用混合粉末が流れず(容器から排出されず)、流動性が著しく劣ることが分かった。
また、実施例1は、潤滑剤(ステアリン酸)を配合しなかったにもかかわらず、潤滑剤(ステアリン酸)を配合した標準例1と比べて、抜出し力の値がやや大きい程度であり、抜出し性が良好であった。これは、マイクロカプセルを含有することで、抜出し性が良好になったものと考えられる。
また、実施例1は、鉄基粉末のみである標準例2と比べて、流動度の値が小さく、流動性が良好であった。これは、マイクロカプセルを含有することで、流動性が良化したためと考えられる。
実施例1〜6を見ると、実施例2〜6は、実施例1と同様に、流動度の値が小さく流動性が良好であり、かつ、抗折強度の値が大きく焼結前の圧粉体の加工性が良好であった。
実施例1〜3を対比すると、圧粉体に対して加熱硬化処理を施さなかった実施例1よりも、圧粉体に対して加熱硬化処理を施した実施例2〜3の方が、抗折強度の値がより大きかった。
また、実施例2〜3を対比すると、加熱硬化処理の加熱温度が120℃である実施例3の方が、同温度が80℃である実施例2よりも、抗折強度の値が更に大きかった。
実施例4〜6においても、実施例1〜3と同様の傾向が見られた。
すなわち、加熱硬化処理を行なわなかった実施例4よりも、80℃の加熱硬化処理を行った実施例5の方が、抗折強度の値がより大きく、実施例5よりも、120℃の加熱硬化処理を行った実施例6の方が、抗折強度の値が更に大きかった。

Claims (3)

  1. 鉄基粉末およびマイクロカプセルを含有し、
    前記マイクロカプセルが、少なくとも、液状硬化性化合物を内包し、
    マイクロカプセルに内包されていない液状硬化性化合物の含有量が、前記鉄基粉末100質量部に対して、0.10質量部以下である、粉末冶金用混合粉末。
  2. マイクロカプセルに内包されていない、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、および、カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1に記載の粉末冶金用混合粉末。
  3. 前記液状硬化性化合物を内包する前記マイクロカプセルの含有量が、前記鉄基粉末100質量部に対して、0.05〜2質量部である、請求項1または2に記載の粉末冶金用混合粉末。
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