JP2017071692A - 炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法およびガス化ガスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素質燃料を高い収率でガス化できる炭素質燃料のガス化方法、炭素質燃料を高い収率でガス化して用いる製鉄所の操業方法、および、炭素質燃料から高い収率でガス化ガスを製造できるガス化ガスの製造方法を提供する。
【解決手段】流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、この課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、この課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、流動層ガス化炉を用いる、炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法、および、ガス化ガスの製造方法に関する。
石炭などの炭素質燃料をガス化して比較的発熱量の高い生成ガスに変換する方法は、過去、多くの技術が開示されてきた。
例えば、特許文献1には、石炭ガス化炉で生成した生成ガスの一部を抜出して、抜き出した生成ガスを酸素で燃焼させてCO2とH2Oに変換し、このCO2とH2Oとの混合ガスを石炭ガス化炉に石炭を供給する搬送ガスとする石炭ガス化設備が開示されている。
特許文献1の石炭ガス化設備では、このような構成を有することにより、N2で石炭を搬送する場合と比較して、生成ガスの燃焼熱を高めている。
特許文献1の石炭ガス化設備では、このような構成を有することにより、N2で石炭を搬送する場合と比較して、生成ガスの燃焼熱を高めている。
また、特許文献2には、純酸素を供給するガス化炉であって、ガス化炉に製鋼炉から発生するCO2を含む製鉄副生ガスを供給して、石炭ガス化で生成するチャーと製鉄副生ガス中のCO2との反応により生成するCOによって、生成ガスを改質して発熱量を増加させる方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、石炭コークスのガス化装置として、石炭コークス粒子および流動媒体の混合物からなる流動層を収容した流動層ガス化炉(反応器)と、流動層の上面に太陽光を集光する手段とを備え、かつ、ガス化炉が、流動層に埋没して設けられるドラフト管と、下方からガス化炉に水蒸気を導入する手段と有し、導入する水蒸気によって流動層がドラフト管の内外で循環流動する構成を有するガス化装置が開示されている。また、特許文献3においては、流動媒体として、主に石英砂(SiO2)を用いている。
特許文献3に記載される装置は、石炭コークス粒子と流動媒体との混合物からなる流動層を用いることにより、流動層粒子の反応速度の低下を防止して、ガス化反応を円滑に進行させている。
特許文献3に記載される装置は、石炭コークス粒子と流動媒体との混合物からなる流動層を用いることにより、流動層粒子の反応速度の低下を防止して、ガス化反応を円滑に進行させている。
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に記載の設備は、ガス化炉で生成した生成ガスの一部を抜出して酸素で燃焼させてCO2とH2Oに変換し、このCO2とH2O混合ガスを石炭の搬送ガスとする。
そのため、搬送ガスとしてガス化炉内に供給されるCO2とH2Oの比率を任意に制御することができない。その結果、下記の式(1)および式(2)の各反応量を制御して、生成ガスを高い収率で製造することができない。
C+CO2 → 2CO ・・・ 式(1)
C+H2O → CO+H2 ・・・式(2)
特許文献1に記載の設備は、ガス化炉で生成した生成ガスの一部を抜出して酸素で燃焼させてCO2とH2Oに変換し、このCO2とH2O混合ガスを石炭の搬送ガスとする。
そのため、搬送ガスとしてガス化炉内に供給されるCO2とH2Oの比率を任意に制御することができない。その結果、下記の式(1)および式(2)の各反応量を制御して、生成ガスを高い収率で製造することができない。
C+CO2 → 2CO ・・・ 式(1)
C+H2O → CO+H2 ・・・式(2)
また、特許文献2に記載の方法は、製鉄副生ガス中のCO2およびガス化炉で得られるチャーによって、上記式(1)によって生成ガスを改質する方法であり、製鉄副生ガス中のCO2濃度に依存して改質効率が決まる方法である。
そのため、生成ガスを高い収率で製造することができない問題点を有することは、特許文献1に記載の設備と同じである。
そのため、生成ガスを高い収率で製造することができない問題点を有することは、特許文献1に記載の設備と同じである。
さらに、特許文献3に記載の装置では、太陽エネルギーを用いてガス化反応を行うことができ、かつ、ガス化反応を円滑に進行させることができるものの、生成ガスの収率という点では、充分とは言えない。
また、流動媒体として二酸化硅素を用いた場合には、ガス化原料として亜瀝青炭のようにナトリウム分が多い炭素質燃料を用いると、ナトリウムと二酸化硅素とが反応してソーダガラスになって、ソーダガラスがガス化炉で溶融してしまい、円滑にガス化を行うことができないという問題も有る。
また、流動媒体として二酸化硅素を用いた場合には、ガス化原料として亜瀝青炭のようにナトリウム分が多い炭素質燃料を用いると、ナトリウムと二酸化硅素とが反応してソーダガラスになって、ソーダガラスがガス化炉で溶融してしまい、円滑にガス化を行うことができないという問題も有る。
したがって本発明の目的は、炭素質燃料を高い収率でガス化できる炭素質燃料のガス化方法、炭素質燃料を高い収率でガス化して利用する製鉄所の操業方法、および、炭素質燃料から高い収率でガス化ガスを製造できるガス化ガスの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、炭素質燃料を流動層ガス化炉でガス化するにあたり、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤を流動層ガス化炉に供給すると共に、流動媒体として酸化アルミニウムを用いることが有効であることを見出した。さらに、酸化アルミニウムの結晶系や製鉄副生ガスの好ましい組成範囲についても知見を得、本発明を完成した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
すなわち、本発明の炭素質燃料のガス化方法は、炭素質燃料を流動層ガス化炉でガス化するにあたり、流動媒体として酸化アルミニウムを用い、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤を前記流動層ガス化炉に供給することを特徴とする炭素質燃料のガス化方法を提供する。
このような本発明の炭素質燃料のガス化方法において、前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものであるのが好ましい。
また、前記製鉄副生ガスは、CO濃度が5vol%以上で、N2濃度が60vol%以下であるのが好ましい。
また、前記酸化アルミニウムが、γ−Al2O3、δ−Al2O3、θ−Al2O3およびα−Al2O3から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
また、前記酸化アルミニウムがα−Al2O3であるのが好ましい。
また、前記炭素質燃料が、泥炭、褐炭および亜瀝青炭から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
また、前記製鉄副生ガスは、CO濃度が5vol%以上で、N2濃度が60vol%以下であるのが好ましい。
また、前記酸化アルミニウムが、γ−Al2O3、δ−Al2O3、θ−Al2O3およびα−Al2O3から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
また、前記酸化アルミニウムがα−Al2O3であるのが好ましい。
また、前記炭素質燃料が、泥炭、褐炭および亜瀝青炭から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
本発明の製鉄所の操業方法の第1の態様は、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化して、生成したガスを製鉄所のエネルギー源の少なくとも一部として用いる製鉄所の操業方法を提供する。
また、本発明の製鉄所の操業方法の第2の態様は、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化して、生成したガスを酸化鉄の還元材の少なくとも一部として用いる製鉄所の操業方法を提供する。
このような本発明の製鉄所の操業方法において、前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものであるのが好ましい。
また、前記生成したガスが、CO、H2および炭素数1〜4の炭化水素を含む混合ガスであるのが好ましい。
また、前記生成したガスが、CO、H2および炭素数1〜4の炭化水素を含む混合ガスであるのが好ましい。
さらに、本発明のガス化ガスの製造方法は、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化することを特徴とするガス化ガスの製造方法を提供する。
このような本発明のガス化ガスの製造方法において、前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものであるのが好ましい。
本発明の炭素質燃料のガス化方法によれば、炭素質燃料を高い収率でガス化することができ、炭素質燃料のガス化を低コストで行うことができる。また、本発明の製鉄所の操業方法によれば、炭素質燃料を高い収率でガス化して、生成したガスを製鉄所のエネルギー源や酸化鉄の還元に用いることにより、製鉄所における操業コストを低減できる。さらに、本発明のガス化ガスの製造方法によれば、炭素質燃料のガス化によって高い収率でガス化ガスを製造できる。
以下、本発明の炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法およびガス化ガスの製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に詳細に説明する。
図1に、本発明の炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法およびガス化ガスの製造方法の一例を説明するための概念図を示す。なお、本発明の製鉄所の操業方法は、図1に示す方法で生成した生成ガスを、製鉄所におけるエネルギーの少なくとも一部、あるいは、製鉄所での酸化鉄の還元における還元材の少なくとも一部として用いるものである。
本発明は、石炭などの炭素質燃料をガス化するものである。
図1に示す例において、流動層ガス化炉10内にはガス分散板12が設けられ、流動層ガス化炉10内のガス分散板12の上には、流動媒体として酸化アルミニウム(粉状)が充填され、流動層16を形成する。なお、以下の説明では、『流動層ガス化炉10』を『ガス化炉10』とも言う。
また、ガス化炉10の下方には、シフト変性器14が設けられる。図1においては、製鉄副生ガスおよび水蒸気をシフト変性器14に供給して、シフト変性器14で変性した製鉄副生ガス(シフト変性製鉄副生ガス)をガス化剤とする。このガス化剤をガス分散板12を介して流動層16に吹き込むことで、ガス化剤をガス化炉10に供給し、かつ、流動層16すなわち流動媒体である酸化アルミニウムを流動化させる。
図1に示す例において、流動層ガス化炉10内にはガス分散板12が設けられ、流動層ガス化炉10内のガス分散板12の上には、流動媒体として酸化アルミニウム(粉状)が充填され、流動層16を形成する。なお、以下の説明では、『流動層ガス化炉10』を『ガス化炉10』とも言う。
また、ガス化炉10の下方には、シフト変性器14が設けられる。図1においては、製鉄副生ガスおよび水蒸気をシフト変性器14に供給して、シフト変性器14で変性した製鉄副生ガス(シフト変性製鉄副生ガス)をガス化剤とする。このガス化剤をガス分散板12を介して流動層16に吹き込むことで、ガス化剤をガス化炉10に供給し、かつ、流動層16すなわち流動媒体である酸化アルミニウムを流動化させる。
ガス化原料となる褐炭などの炭素質燃料は、図示しない供給器によって所定量が切り出されて、上部からガス化炉10内に、連続的あるいは断続的に定量供給される。ガス化炉10に供給された炭素質燃料は、ガス化剤と流動媒体である酸化アルミニウムとの作用によってガス化される。炭素質燃料のガス化によって生成した生成ガスは、ガス化炉10の上部から排出(回収)される。
本発明において、ガス化炉10には制約はない。従って、一般的な気泡流動層の他に、高速流動層、外部循環流動層、あるいは、内部循環流動層など、公知の各種形式の流動層ガス化炉を用いることができる。
本発明は、熱の移動が早い流動層ガス化炉を用い、かつ、流動媒体として酸化アルミニウムを使用することにより、温度分布を無くしてガス化炉内における反応の進行および生成ガスの均一化を図り、さらに、後述する酸化アルミニウムの触媒としての作用を充分に発現させることにより、高収率で炭素質燃料をガス化することを可能にしている。
本発明は、熱の移動が早い流動層ガス化炉を用い、かつ、流動媒体として酸化アルミニウムを使用することにより、温度分布を無くしてガス化炉内における反応の進行および生成ガスの均一化を図り、さらに、後述する酸化アルミニウムの触媒としての作用を充分に発現させることにより、高収率で炭素質燃料をガス化することを可能にしている。
シフト変性器14にも制約はなく、固定床反応器、流動床反応器など、シフト変性反応を行うことができる公知の反応器を用いることができる。
シフト変性器14には、通常、市販のシフト触媒が充填される。なお、シフト触媒としては低温シフト触媒と高温シフト触媒とが有るが、本発明では、そのどちらも用いることができる。
図示例において、シフト変性器14には、製鉄副生ガスおよび水蒸気が、共に公知の方法で流量を調節されて供給される。また、必要に応じて、製鉄副生ガス、もしくは、水蒸気、もしくは、製鉄副生ガスと水蒸気との混合ガスを予熱してもよい。
シフト変性器14には、通常、市販のシフト触媒が充填される。なお、シフト触媒としては低温シフト触媒と高温シフト触媒とが有るが、本発明では、そのどちらも用いることができる。
図示例において、シフト変性器14には、製鉄副生ガスおよび水蒸気が、共に公知の方法で流量を調節されて供給される。また、必要に応じて、製鉄副生ガス、もしくは、水蒸気、もしくは、製鉄副生ガスと水蒸気との混合ガスを予熱してもよい。
シフト変性器14には、製鉄副生ガスと、過剰な水蒸気との混合ガスが供給される。なお、過剰な水蒸気とは、後述する式(1)において、製鉄副生ガスに含まれるCOに対して過剰の量という意味である。
製鉄副生ガスには、COおよびH2Oが含まれる。シフト変性器14に製鉄副生ガスと過剰の水蒸気とを供給すると、下記式(1)のように製鉄副生ガスがシフト変性して、CO2、H2およびH2Oを含むガス化剤(シフト変性製鉄副生ガス)となる。
CO+H2O → CO2+H2 (1)
すなわち、製鉄副生ガスに過剰な水蒸気を添加してシフト変性したガス化剤には、シフト変性によるCO2およびH2と、過剰に添加した水蒸気の余剰分のH2Oとが含まれる。
製鉄副生ガスには、COおよびH2Oが含まれる。シフト変性器14に製鉄副生ガスと過剰の水蒸気とを供給すると、下記式(1)のように製鉄副生ガスがシフト変性して、CO2、H2およびH2Oを含むガス化剤(シフト変性製鉄副生ガス)となる。
CO+H2O → CO2+H2 (1)
すなわち、製鉄副生ガスに過剰な水蒸気を添加してシフト変性したガス化剤には、シフト変性によるCO2およびH2と、過剰に添加した水蒸気の余剰分のH2Oとが含まれる。
前述のように、ガス化原料である炭素質燃料は、ガス化炉10の上部から、連続的あるいは断続的に、定量供給される。
ガス化炉10の内部に供給された炭素質燃料は、ガス化剤と流動媒体との作用によってガス化される。後に実施例でも示すが、本発明は、流動層ガス化炉を用いる炭素質燃料のガス化において、流動媒体(流動層16)として酸化アルミニウムを用いることにより、高い収率で炭素質燃料をガス化して生成ガス(ガス化ガス)を製造できる。そのため、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応に対する触媒機能を有していると推察されるが、詳細は不明である。
ガス化炉10の内部に供給された炭素質燃料は、ガス化剤と流動媒体との作用によってガス化される。後に実施例でも示すが、本発明は、流動層ガス化炉を用いる炭素質燃料のガス化において、流動媒体(流動層16)として酸化アルミニウムを用いることにより、高い収率で炭素質燃料をガス化して生成ガス(ガス化ガス)を製造できる。そのため、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応に対する触媒機能を有していると推察されるが、詳細は不明である。
なお、酸化アルミニウムによる触媒機能の例としては、式(2)〜(5)のような各種の改質反応や、式(6)のような水素化分解反応が挙げられる。
C+CO2 → 2CO (2)
C+H2O → CO+H2 (3)
CH4+CO2 → 2CO+2H2 (4)
CH4+H2O → CO+3H2 (5)
C2H6+H2 → 2CH4 (6)
C+CO2 → 2CO (2)
C+H2O → CO+H2 (3)
CH4+CO2 → 2CO+2H2 (4)
CH4+H2O → CO+3H2 (5)
C2H6+H2 → 2CH4 (6)
なお、図1に示す例では、炭素質燃料はガス化炉10の上部から供給するように示しているが、ガス化炉10の中段に供給してもよく、あるいは、下段の流動層16の領域に直接供給するようにしても良い。
また、ガス化炉10に炭素質燃料を供給する配管に、N2などの搬送ガスを供給し、搬送ガスと共に、炭素質燃料をガス化炉10に供給するようにしても良い。
また、ガス化炉10に炭素質燃料を供給する配管に、N2などの搬送ガスを供給し、搬送ガスと共に、炭素質燃料をガス化炉10に供給するようにしても良い。
炭素質燃料のガス化によって生成された生成ガスは、ガス化炉10の上部から抜き出され、図示しないサイクロン、ガス洗浄器、油水分離機などを経由して精製された後、生成ガスとして系外に取り出される。
取り出された生成ガスは、燃料として広く利用可能である。本発明の製鉄所の操業方法では、このようにして生成した生成ガスを、製鉄所のエネルギー源や製鉄所における酸化鉄の還元材として使用する。
取り出された生成ガスは、燃料として広く利用可能である。本発明の製鉄所の操業方法では、このようにして生成した生成ガスを、製鉄所のエネルギー源や製鉄所における酸化鉄の還元材として使用する。
以下、本発明の炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法、および、ガス化ガスの製造方法の詳細と好ましい条件について説明する。
本発明では流動層ガス化炉を用いて炭素質燃料をガス化する。また、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる。
酸化アルミニウムは、公知の各種の物が利用可能であるが、γ−Al2O3、δ−Al2O3、θ−Al2O3、α−Al2O3から選ばれる1種以上であることが好ましい。中でも、安定性や取り扱い性、後述するガス化温度ではγ−Al2O3等は全てα−Al2O3に変化する点などを考慮すると、α−Al2O3が特に好ましい。
酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化に対応する充分な耐熱性を有するのみならず、前述のように炭素質燃料のガス化反応の触媒としても作用する。そのため、本発明によれば、高い収率で炭素質燃料をガス化して生成ガス(ガス化ガス)を製造することができ、また、高い収率で製造した生成ガスを製鉄所のエネルギーや酸化鉄の還元材として用いることができる。
酸化アルミニウムは、公知の各種の物が利用可能であるが、γ−Al2O3、δ−Al2O3、θ−Al2O3、α−Al2O3から選ばれる1種以上であることが好ましい。中でも、安定性や取り扱い性、後述するガス化温度ではγ−Al2O3等は全てα−Al2O3に変化する点などを考慮すると、α−Al2O3が特に好ましい。
酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化に対応する充分な耐熱性を有するのみならず、前述のように炭素質燃料のガス化反応の触媒としても作用する。そのため、本発明によれば、高い収率で炭素質燃料をガス化して生成ガス(ガス化ガス)を製造することができ、また、高い収率で製造した生成ガスを製鉄所のエネルギーや酸化鉄の還元材として用いることができる。
酸化アルミニウムの平均粒径には制限はなく、ガス化炉10の大きさや想定される充填量、ガス化剤の供給量等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明では、酸化アルミニウムを(流動層)ガス化炉10の流動媒体として用いる。この点を考慮すると、酸化アルミニウムの平均粒径は30〜300μm程度が好ましく、50〜200μm程度がより好ましい。酸化アルミニウムの平均粒径を30〜300μmとすることにより、良好な流動性を確保することができ、ガス化炉10の操業を安定して行うことが可能になる。
ここで、本発明では、酸化アルミニウムを(流動層)ガス化炉10の流動媒体として用いる。この点を考慮すると、酸化アルミニウムの平均粒径は30〜300μm程度が好ましく、50〜200μm程度がより好ましい。酸化アルミニウムの平均粒径を30〜300μmとすることにより、良好な流動性を確保することができ、ガス化炉10の操業を安定して行うことが可能になる。
酸化アルミニウムの充填量には制限はなく、ガス化炉10の大きさ、ガス化炉10に供給する炭素質燃料の量、ガス化炉10に供給するガス化剤の量等に応じて、炭素質燃料のガス化を適性に行える供給量を、適宜、設定すればよい。
炭素質燃料のガス化に用いるガス化剤は、H2、CO2およびH2Oを含むものである。
図示例においては、好ましい態様として、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性して得られたシフト変性製鉄副生ガスを、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤として用いている。
ガス化剤として、製鉄副生ガスをシフト変性して得られたガス化剤を用いることにより、H2およびCO2の純ガスを水蒸気に混合したガス化剤よりも、ガス化剤が安価となり好ましい。
図示例においては、好ましい態様として、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性して得られたシフト変性製鉄副生ガスを、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤として用いている。
ガス化剤として、製鉄副生ガスをシフト変性して得られたガス化剤を用いることにより、H2およびCO2の純ガスを水蒸気に混合したガス化剤よりも、ガス化剤が安価となり好ましい。
シフト変性してガス化剤とする製鉄副生ガスは、CO濃度が5vol%以上で、N2濃度が60vol%以下であるのが好ましい。
製鉄副生ガスのCO濃度を5vol%以上とすることにより、シフト変性によって得られるガス化剤中のH2およびCO2の濃度を充分に高くして、生成ガス収率を向上できる。また、製鉄副生ガスのN2濃度を60vol%以下とすることにより、充分な気体燃料の燃焼熱を得られると共に、シフト反応速度も向上できる。
製鉄副生ガスのCO濃度を5vol%以上とすることにより、シフト変性によって得られるガス化剤中のH2およびCO2の濃度を充分に高くして、生成ガス収率を向上できる。また、製鉄副生ガスのN2濃度を60vol%以下とすることにより、充分な気体燃料の燃焼熱を得られると共に、シフト反応速度も向上できる。
製鉄副生ガスの具体例としては、上述した好ましいガス組成の観点から、特に高炉ガスやシャフト炉ガス(一般的なガス組成は、CO:10〜30vol%、CO2:10〜30vol%、N2:55〜30vol%、H2:0〜10vol%)が好ましい。
また、その他のCOを含有する製鉄副生ガスを用いてもよいが、上述した好適範囲のガス組成を有するものが好ましい。例えば、製鉄所内の燃焼炉から排出される排ガスや転炉ガスなどの冶金炉発生排ガスなどが挙げられる。以上のような製鉄副生ガスは、1種を単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
また、その他のCOを含有する製鉄副生ガスを用いてもよいが、上述した好適範囲のガス組成を有するものが好ましい。例えば、製鉄所内の燃焼炉から排出される排ガスや転炉ガスなどの冶金炉発生排ガスなどが挙げられる。以上のような製鉄副生ガスは、1種を単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、ガス化剤におけるH2、CO2およびH2Oの濃度に制限はない。
ここで、生成ガスの収率を確保する一方で、生成ガス中のCO2の残留を抑えるなどの観点から、H2O濃度は5〜70vol%程度であるのが好ましい。また、生成ガスの収率を確保する観点から、ガス化剤中のH2濃度およびCO2濃度は、共に、3vol%以上が好ましい。また、同様の観点から、ガス化剤の好ましい組成は、H2O濃度:20〜70vol%、H2濃度:5〜40vol%、CO2濃度:5〜40vol%である。なお、これらの成分の他に、他の成分(例えば、N2など)が含まれることは妨げない。
ここで、生成ガスの収率を確保する一方で、生成ガス中のCO2の残留を抑えるなどの観点から、H2O濃度は5〜70vol%程度であるのが好ましい。また、生成ガスの収率を確保する観点から、ガス化剤中のH2濃度およびCO2濃度は、共に、3vol%以上が好ましい。また、同様の観点から、ガス化剤の好ましい組成は、H2O濃度:20〜70vol%、H2濃度:5〜40vol%、CO2濃度:5〜40vol%である。なお、これらの成分の他に、他の成分(例えば、N2など)が含まれることは妨げない。
なお、本発明に用いるガス化剤は、前述のような、製鉄副生ガスに過剰な水蒸気を添加してシフト変性して得られるシフト変性製鉄副生ガスに限定はされない。
すなわち、本発明においては、例えば、H2ガスおよび液化ガスを気化したCO2に、ボイラ等で生成した水蒸気を混合して調製したガス化剤を用いてもよい。あるいは、製鉄工程等において副生されるガスを精製、混合して調製した、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤を用いても良い。
すなわち、本発明においては、例えば、H2ガスおよび液化ガスを気化したCO2に、ボイラ等で生成した水蒸気を混合して調製したガス化剤を用いてもよい。あるいは、製鉄工程等において副生されるガスを精製、混合して調製した、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤を用いても良い。
ガス化剤の供給量には制限はなく、ガス化炉10の大きさ、ガス化炉10に充填する酸化アルミニウムの量、炭素質燃料の供給量等に応じて、炭素質燃料のガス化を適性に行える供給量を、適宜、設定すればよい。
ガス化原料となる炭素質燃料としては、石炭、バイオマス、廃タイヤや廃プラスチック等の廃棄物類等、公知の各種の炭素質燃料を用いることができる。
中でも、泥炭、褐炭、亜瀝青炭から選ばれる1種以上であるのが好ましい。泥炭や褐炭や亜瀝青炭は、比較的ガス化し易い炭素質燃料であると共に、比較的安価で、かつ、大量に存在する資源であるため、好ましく用いられる。
中でも、泥炭、褐炭、亜瀝青炭から選ばれる1種以上であるのが好ましい。泥炭や褐炭や亜瀝青炭は、比較的ガス化し易い炭素質燃料であると共に、比較的安価で、かつ、大量に存在する資源であるため、好ましく用いられる。
本発明において、炭素質燃料の供給方式には制限はなく、乾式供給でもよく、水スラリー等を用いる湿式供給でもよい。
また、炭素質燃料の大きさは特に制約はないが、流動層に供給する固体原料として標準的なサイズとすれば良い。具体的には、1〜50mmが好ましく、3〜30mmがより好ましい。炭素質燃料の造粒も公知の方法で行えばよい。
また、炭素質燃料の大きさは特に制約はないが、流動層に供給する固体原料として標準的なサイズとすれば良い。具体的には、1〜50mmが好ましく、3〜30mmがより好ましい。炭素質燃料の造粒も公知の方法で行えばよい。
炭素質燃料の供給量にも制限はなく、ガス化炉10の大きさ、ガス化炉10に充填する酸化アルミニウムの量、供給できるガス化剤の量等に応じて、炭素質燃料のガス化を適性に行える供給量を、適宜、設定すればよい。
炭素質燃料のガス化反応温度にも制限は無いが、ガス化反応温度は600〜1500℃が好ましく、800〜1200℃がより好ましい。
反応温度を600℃以上とすることにより、生成ガスの収率を向上できると共に、高粘性のタール状物質の副生も防止して、配管の閉塞などのトラブルの発生を防止できる。また、反応温度を1500℃以下とすることにより、燃焼熱の高い生成ガスを得ることができる。さらに、反応温度を1500℃以下とすることにより、ガス化炉10に投入する熱源の量を抑制して、コストを低減できる点でも好ましい。
反応温度を600℃以上とすることにより、生成ガスの収率を向上できると共に、高粘性のタール状物質の副生も防止して、配管の閉塞などのトラブルの発生を防止できる。また、反応温度を1500℃以下とすることにより、燃焼熱の高い生成ガスを得ることができる。さらに、反応温度を1500℃以下とすることにより、ガス化炉10に投入する熱源の量を抑制して、コストを低減できる点でも好ましい。
ガス化炉10の加熱方法にも制限はなく、外熱式ヒーターを用いる方法、ガス化炉を被覆するジャケットに加熱媒体を供給して加熱する方法等、炭素質燃料のガス化におけるガス化炉の加熱に利用されている公知の方法で行えばよい。
本発明の製鉄所の操業方法は、本発明の炭素質燃料のガス化方法と同様の処理を行って生成したガスを、製鉄所の操業に利用するもので、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、炭素質燃料をガス化して、第1の態様では、生成したガスを製鉄所のエネルギー源の少なくとも一部として用い、第2の態様では、生成したガスを製鉄における酸化鉄の還元における還元材の少なくとも一部として用いるものである。
本発明による生成ガスは、燃料ガスとして広範囲の用途を持っているが、前述のようにガス化剤としてシフト変性した製鉄副生ガスを用いるのが好ましいことから、製鉄所内のエネルギー源として利用することが合理的である。具体的には、自家発電設備用燃料、鉄鉱石焼結用燃料ガス、高炉熱風炉用燃料ガス、あるいは、種々の副生ガスを混合して製造するミックスガスの原料ガス等を挙げることができる。
また、本発明による生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4までの炭化水素を含むガスである。そのため、この生成ガスは、高炉やシャフト炉等に投入する酸化鉄の還元材として利用することもできる。ここで、酸化鉄とは鉄鉱石の他に、高炉や転炉等で発生する酸化鉄を含有するダストやスラッジ類も含まれる。
後に実施例でも示すが、本発明によれば、炭素質燃料から、高い収率で生成ガスを得ることができる。そのため、本発明の製鉄所の操業方法によれば、製鉄所で使用するエネルギーのコストや、酸化ガスの還元コストを低減できる。
本発明による生成ガスは、燃料ガスとして広範囲の用途を持っているが、前述のようにガス化剤としてシフト変性した製鉄副生ガスを用いるのが好ましいことから、製鉄所内のエネルギー源として利用することが合理的である。具体的には、自家発電設備用燃料、鉄鉱石焼結用燃料ガス、高炉熱風炉用燃料ガス、あるいは、種々の副生ガスを混合して製造するミックスガスの原料ガス等を挙げることができる。
また、本発明による生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4までの炭化水素を含むガスである。そのため、この生成ガスは、高炉やシャフト炉等に投入する酸化鉄の還元材として利用することもできる。ここで、酸化鉄とは鉄鉱石の他に、高炉や転炉等で発生する酸化鉄を含有するダストやスラッジ類も含まれる。
後に実施例でも示すが、本発明によれば、炭素質燃料から、高い収率で生成ガスを得ることができる。そのため、本発明の製鉄所の操業方法によれば、製鉄所で使用するエネルギーのコストや、酸化ガスの還元コストを低減できる。
また、本発明のガス化ガスの製造方法は、本発明の炭素質燃料のガス化方法と同様の処理を行ってガス化ガスを製造するもので、流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、炭素質燃料をガス化する、ガス化ガスの製造方法である。
前述のように、本発明によれば、炭素質燃料から、高い収率で生成ガスを得ることができる。そのため、本発明のガス化ガスの製造方法によれば、高い収率でガス化ガスを製造して、ガス化ガスの製造コストを低減できる。
前述のように、本発明によれば、炭素質燃料から、高い収率で生成ガスを得ることができる。そのため、本発明のガス化ガスの製造方法によれば、高い収率でガス化ガスを製造して、ガス化ガスの製造コストを低減できる。
以上、本発明の炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法およびガス化ガスの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明の炭素質燃料のガス化方法、製鉄所の操業方法およびガス化ガスの製造方法について、より詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは、もちろんである。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは、もちろんである。
[実施例1]
乾式供給によって石炭を10〜30g/h(時間)供給できる、マイクロ流動層ガス化試験装置(内径22mm)を準備した。
ガス化試験装置内部に、流動媒体として、高純度化学研究所製の試薬α−Al2O3を、静止時層高として75mm充填した。また、H2:16vol%、H2O:58vol%、CO2:20vol%、N2:6vol%を含む混合ガスを模擬シフト変性製鉄副生ガスとして調製して、ガス化剤とした。
このガス化剤400mL(リットル)/minを流動層の下部から供給し、α−Al2O3を流動化させた。
炭素質燃料は、水をバインダーとして褐炭(揮発分55wt%、固定炭素36wt%、灰分8wt%)をφ1〜3mmに造粒したものを用いた(造粒後の含水率:14wt%)。
乾式供給によって石炭を10〜30g/h(時間)供給できる、マイクロ流動層ガス化試験装置(内径22mm)を準備した。
ガス化試験装置内部に、流動媒体として、高純度化学研究所製の試薬α−Al2O3を、静止時層高として75mm充填した。また、H2:16vol%、H2O:58vol%、CO2:20vol%、N2:6vol%を含む混合ガスを模擬シフト変性製鉄副生ガスとして調製して、ガス化剤とした。
このガス化剤400mL(リットル)/minを流動層の下部から供給し、α−Al2O3を流動化させた。
炭素質燃料は、水をバインダーとして褐炭(揮発分55wt%、固定炭素36wt%、灰分8wt%)をφ1〜3mmに造粒したものを用いた(造粒後の含水率:14wt%)。
外熱式ヒーターによって流動層内部の温度を1000℃に昇温した後、供給量20g/hで造粒褐炭を供給し、ガス化反応を開始した。反応時間は1時間とし、20分毎に3回のガスサンプリングを行い、生成ガスの分析を行った。
3回のガス分析結果を平均した結果として、炭素基準の生成ガス収率は52%、生成ガスの燃焼熱は2.7Mcal/Nm3と、比較的高燃焼熱のガスが高い収率で得られた。この結果および後述する比較例1の結果を考慮すると、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応における良好な触媒として作用していると考えられる。
生成ガス中のガス成分としては、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素(パラフィンおよびオレフィンの混合物)が合計で83vol%含まれていた。この他、不燃成分としてN2およびCO2を含んでいた。この生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素濃度の合計が83%であるので、製鉄所のエネルギー源としても、酸化鉄の還元材としても問題ないことが明らかである。
3回のガス分析結果を平均した結果として、炭素基準の生成ガス収率は52%、生成ガスの燃焼熱は2.7Mcal/Nm3と、比較的高燃焼熱のガスが高い収率で得られた。この結果および後述する比較例1の結果を考慮すると、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応における良好な触媒として作用していると考えられる。
生成ガス中のガス成分としては、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素(パラフィンおよびオレフィンの混合物)が合計で83vol%含まれていた。この他、不燃成分としてN2およびCO2を含んでいた。この生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素濃度の合計が83%であるので、製鉄所のエネルギー源としても、酸化鉄の還元材としても問題ないことが明らかである。
なお、炭素基準の生成ガス収率は、以下のようにして求めた。
本発明において、ガス化炉(ガス化試験装置)に供給する炭素源は、炭素質燃料(褐炭)およびガス化剤(模擬シフト変性製鉄副生ガス)である。
ガス化炉に供給する炭素質燃料の供給量をAkg/h、炭素質燃料の炭素濃度をxwt%とすると、炭素質燃料による炭素のガス化炉への供給量β[kmol/h]は、下記式で算出できる。なお、下記式において、『12』は炭素の原子量である。
β[kmol/h]=(A/12)×(x/100)
また、ガス化炉に供給するガス化剤の供給量をBNm3/h、ガス化剤のCO2濃度をyvol%とすると、ガス化剤による炭素のガス化炉への供給量γ[kmol/h]は、下記式で算出できる。なお、下記式において、『22.4』は1molの気体の体積(L)である。
γ[kmol/h]=(B/22.4)×(y/100)
すなわち、β+γ[kmol/h]が、ガス化炉に供給する炭素の量となる。
本発明において、ガス化炉(ガス化試験装置)に供給する炭素源は、炭素質燃料(褐炭)およびガス化剤(模擬シフト変性製鉄副生ガス)である。
ガス化炉に供給する炭素質燃料の供給量をAkg/h、炭素質燃料の炭素濃度をxwt%とすると、炭素質燃料による炭素のガス化炉への供給量β[kmol/h]は、下記式で算出できる。なお、下記式において、『12』は炭素の原子量である。
β[kmol/h]=(A/12)×(x/100)
また、ガス化炉に供給するガス化剤の供給量をBNm3/h、ガス化剤のCO2濃度をyvol%とすると、ガス化剤による炭素のガス化炉への供給量γ[kmol/h]は、下記式で算出できる。なお、下記式において、『22.4』は1molの気体の体積(L)である。
γ[kmol/h]=(B/22.4)×(y/100)
すなわち、β+γ[kmol/h]が、ガス化炉に供給する炭素の量となる。
一方、ガス化炉で生成される生成ガスの量をCNm3/hとする。
前述のように、生成ガスには、炭素化合物として、CO、CO2、炭素数1の炭化水素(C1)、炭素数2の炭化水素(C2)、炭素数3の炭化水素(C3)および炭素数4の炭化水素(C4)が含まれる。ここで、生成ガス中におけるCOの含有量をZ1vol%、同CO2の含有量をZ2vol%、同C1の含有量をZ3vol%、同C2の含有量をZ4vol%、同C3の含有量をZ5vol%、同C4の含有量をZ6vol%とすると、生成ガス中の炭素の量α[kmol/h]は、下記式となる。なお、下記式において、『22.4』は1molの気体の体積(L)である。
α[kmol/h]=
{C×[(Z1+Z2+Z3+2Z4+3Z5+4Z6)/100]}/22.4
前述のように、生成ガスには、炭素化合物として、CO、CO2、炭素数1の炭化水素(C1)、炭素数2の炭化水素(C2)、炭素数3の炭化水素(C3)および炭素数4の炭化水素(C4)が含まれる。ここで、生成ガス中におけるCOの含有量をZ1vol%、同CO2の含有量をZ2vol%、同C1の含有量をZ3vol%、同C2の含有量をZ4vol%、同C3の含有量をZ5vol%、同C4の含有量をZ6vol%とすると、生成ガス中の炭素の量α[kmol/h]は、下記式となる。なお、下記式において、『22.4』は1molの気体の体積(L)である。
α[kmol/h]=
{C×[(Z1+Z2+Z3+2Z4+3Z5+4Z6)/100]}/22.4
ここで、本発明においては、ガス化炉で生成される生成ガスの中には、ガス化剤に起因する炭素も含まれる。これに応じて、生成ガス中の炭素の量αから、ガス化剤分の炭素の量βを減算して、下記式によって炭素基準の生成ガス収率[%]を算出する。
生成ガス収率[%]=[(α−γ)/(β+γ)]/100
生成ガス収率[%]=[(α−γ)/(β+γ)]/100
[実施例2]
炭素質燃料を揮発分40wt%、固定炭素52wt%、灰分9wt%、造粒後の含水率3wt%である亜瀝青炭とした以外は、実施例1と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は16%、生成ガスの燃焼熱は2.4Mcal/Nm3であった。褐炭に比べてガス収率は低くなったものの、固定炭素が52wt%含有されていることを考慮すれば、比較的高い収率で高燃焼熱のガスが得られた。この結果および後述する比較例2の結果を考慮すると、実施例1と同様、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応における良好な触媒として作用していると考えられる。
生成ガス中のガス成分としては、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素(パラフィンおよびオレフィンの混合物)が合計で71vol%含まれていた。この他、不燃成分としてN2およびCO2を含んでいた。この生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素濃度の合計が71vol%であったので、製鉄所のエネルギー源としても、酸化鉄の還元材としても問題ないことが明らかである。
炭素質燃料を揮発分40wt%、固定炭素52wt%、灰分9wt%、造粒後の含水率3wt%である亜瀝青炭とした以外は、実施例1と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は16%、生成ガスの燃焼熱は2.4Mcal/Nm3であった。褐炭に比べてガス収率は低くなったものの、固定炭素が52wt%含有されていることを考慮すれば、比較的高い収率で高燃焼熱のガスが得られた。この結果および後述する比較例2の結果を考慮すると、実施例1と同様、酸化アルミニウムは、炭素質燃料のガス化反応における良好な触媒として作用していると考えられる。
生成ガス中のガス成分としては、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素(パラフィンおよびオレフィンの混合物)が合計で71vol%含まれていた。この他、不燃成分としてN2およびCO2を含んでいた。この生成ガスは、CO、H2、炭素数1〜4の炭化水素濃度の合計が71vol%であったので、製鉄所のエネルギー源としても、酸化鉄の還元材としても問題ないことが明らかである。
[比較例1]
流動媒体を工業珪砂(SiO2)とした以外は、実施例1と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は37%、生成ガスの燃焼熱は2.9Mcal/Nm3であった。SiO2は、ガス化反応の触媒としてはまったく不活性であると考えられるので、α−Al2O3を流動媒体とした実施例1に比べて、ガス収率が非常に低くなった。なお、生成ガスの燃焼熱は実施例1と同程度であった。
流動媒体を工業珪砂(SiO2)とした以外は、実施例1と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は37%、生成ガスの燃焼熱は2.9Mcal/Nm3であった。SiO2は、ガス化反応の触媒としてはまったく不活性であると考えられるので、α−Al2O3を流動媒体とした実施例1に比べて、ガス収率が非常に低くなった。なお、生成ガスの燃焼熱は実施例1と同程度であった。
[比較例2]
流動媒体を工業珪砂(SiO2)とした以外は、実施例2と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は9%、生成ガスの燃焼熱は2.3Mcal/Nm3であった。比較例1と同様、触媒活性のないSiO2を流動媒体とした本例では、実施例2に比べてガス収率が非常に低くなった。なお、生成ガスの燃焼熱は実施例2と同程度であった。
流動媒体を工業珪砂(SiO2)とした以外は、実施例2と同様にしてガス化試験を行った。
その結果、炭素基準の生成ガス収率は9%、生成ガスの燃焼熱は2.3Mcal/Nm3であった。比較例1と同様、触媒活性のないSiO2を流動媒体とした本例では、実施例2に比べてガス収率が非常に低くなった。なお、生成ガスの燃焼熱は実施例2と同程度であった。
鉄鋼業や発電業などで使用する燃料ガスの生成や製鉄所における酸化鉄の還元に好適に利用可能である。
10 ガス化炉
12 ガス分散板
14 シフト変性器
16 流動層
12 ガス分散板
14 シフト変性器
16 流動層
Claims (12)
- 炭素質燃料を流動層ガス化炉でガス化するにあたり、流動媒体として酸化アルミニウムを用い、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤を前記流動層ガス化炉に供給することを特徴とする炭素質燃料のガス化方法。
- 前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものである請求項1に記載の炭素質燃料のガス化方法。
- 前記製鉄副生ガスは、CO濃度が5vol%以上で、N2濃度が60vol%以下である請求項2に記載の炭素質燃料のガス化方法。
- 前記酸化アルミニウムが、γ−Al2O3、δ−Al2O3、θ−Al2O3およびα−Al2O3から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素質燃料のガス化方法。
- 前記酸化アルミニウムがα−Al2O3である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素質燃料のガス化方法。
- 前記炭素質燃料が、泥炭、褐炭および亜瀝青炭から選ばれる1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の炭素質燃料のガス化方法。
- 流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化して、生成したガスを製鉄所のエネルギー源の少なくとも一部として用いる製鉄所の操業方法。
- 流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化して、生成したガスを酸化鉄の還元材の少なくとも一部として用いる製鉄所の操業方法。
- 前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものである請求項7または8に記載の製鉄所の操業方法。
- 前記生成したガスが、CO、H2および炭素数1〜4の炭化水素を含む混合ガスである請求項7〜9のいずれかに記載の製鉄所の操業方法。
- 流動媒体として酸化アルミニウムを用いる流動層ガス化炉に、炭素質燃料と、H2、CO2およびH2Oを含むガス化剤とを供給することにより、前記炭素質燃料をガス化することを特徴とするガス化ガスの製造方法。
- 前記ガス化剤が、製鉄副生ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト変性することで得たものである請求項11に記載のガス化ガスの製造方法。
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