JP2014037524A - 有機物質の低分子化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガスとし、この混合ガスを有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、反応器内でプラスチックが融着するなどのトラブルを生じることなく、有機物質を効率的に低分子化する。
【解決手段】真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を少なくとも流動媒体の一部とする流動層において、混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラスチックなどの有機物質を気体燃料などに転換するために、有機物質を改質して低分子化する方法、並びにその方法で得られた気体生成物を利用する高炉の操業方法に関する。
廃プラスチック、含油スラッジ、廃油などの多くは焼却処理されているのが現状である。しかし、焼却処理ではCO発生などの環境負荷が高く、また、焼却炉の熱的損傷の問題もあり、ケミカルリサイクル技術の確立が求められている。
ケミカルリサイクル技術のなかでも、有機物質を気体燃料や液体燃料に転換するための技術は、廃プラスチックを中心に従来から種々検討がなされ、例えば、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、水素濃度60vol%以上、好ましくは80vol%以上、温度600℃以上のコークス炉ガス(COG)を廃プラスチックなどの有機物質と反応させることにより、有機物質を高効率で水素化分解・ガス化し、COGを増熱化する方法が開示されている。
また、特許文献2には、石油の流動接触触媒(FCC)を熱媒体兼触媒として用い、温度350〜500℃で廃プラスチックを分解して液体燃料に変換する方法が開示されている。
また、特許文献3には、RDFや木材などを熱分解するにあたり、熱分解で生成したガスを水蒸気改質し、この水蒸気改質により水素濃度を高くしたガスを熱分解部に循環し、水素濃度を高くしたガス雰囲気で熱分解を行う方法が開示されている。
特開2007−224206号公報 特開2010−013657号公報 特開2001−131560号公報 国際公開第2012/029283号
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題がある。
まず、特許文献1に関しては、COG中の水素濃度が60vol%以上となるのは石炭乾留工程のうちでも乾留末期に限られるので、特許文献1の方法では、乾留末期のタイミングでガス流路を切替え、多量のダストを含む600℃以上のCOGを廃プラスッチク水素化分解反応器に供給する必要がある。しかし、このような過酷な条件で、流路切替弁を長期間安定して作動させ続けることは困難であり、この意味で実現性に乏しい技術であると言える。さらに、廃プラスチックの効率的なガス化のためには、60vol%以上の水素を含有するCOGを連続的に水素化分解反応器に供給することが必要であるが、このためには炭化室毎に水素濃度計と流路切替弁を設置する必要があり、設備コストが増大する。
また、特許文献2の方法は、FCC触媒添加によって接触分解と芳香族化が進むものの、不活性ガスフローで反応を行っているため、重油分とコークが合計で13質量%生成しており(実施例1)、軽質燃料の製造技術として満足できる水準とは言えない。
また、特許文献3の方法で生成するガスは、H、CO、COが主体で、燃焼熱が冶金炉発生排ガスのそれよりやや低い1800kcal/Nm程度のものであり、気体燃料としての価値は限定的なものとなる。
このような問題に対して、特許文献4には、安定的に供給可能なガスを用いて有機物質を効率的に改質して低分子化し、重質分や炭素質が少なく、軽質分を多量に含有する高カロリーの改質物を得ることができる方法として、冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガスとし、この混合ガスを有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法が示されている。
しかし、特許文献4の方法では、ロータリーキルンなどのような改質反応器や固定層改質反応器内で混合ガスを有機物質に接触させるため、プラスチックなどのような固体有機物質が反応器内で融着するなどのトラブルを生じやすい問題がある。
したがって本発明の目的は、冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガスとし、この混合ガスを有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、反応器内で有機物質が融着するなどのトラブルを生じることなく、有機物質を効率的に低分子化することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガスとし、この混合ガスを有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、特定の金属を含有する粉粒体を流動媒体とする流動層において有機物質の低分子化反応を行うことにより、有機物質の融着などのトラブルを生じることなく、有機物質を効率的に低分子化できること、また、流動層で使用する粉粒体には特に好適な条件があることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、この混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を少なくとも流動媒体の一部とする流動層において、混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[2]上記[1]の方法において、粉粒体(f)の少なくとも一部が、製鋼工程で発生する鉄含有ダストであることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[3]上記[2]の方法において、粉粒体(f)が製鋼工程で発生する鉄含有ダストであることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの方法において、改質される有機物質が、プラスチック、含油スラッジ、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[5]上記[4]の方法において、改質される有機物質の少なくとも一部が、プラスチックと木材との混合成形物であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[6]上記[5]の方法において、木材が、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの方法において、流動層から排出されるガス(g)を集塵機に通して、ガス(g)に含まれる流動媒体を捕集し、この捕集された流動媒体を流動層に循環させることを特徴とする有機物質の低分子化方法。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの方法により有機物質を低分子化することで生成した気体生成物を、高炉内に吹き込むことを特徴とする高炉の操業方法。
本発明に係る有機物質の低分子化方法によれば、プラスチックなどの高分子量の有機物質を低分子化する際に、安定的に供給可能なガスを用いて、反応器内で有機物質が融着するなどのトラブルを生じることなく、有機物質を効率的に改質して低分子化し、重質分や炭素質が少なく、軽質分を多量に含有する気体改質物を得ることができるとともに、比較的簡易な設備で実施することができる。また、シフト反応によって生成するCOは、有機物質の改質中に炭酸ガス改質反応でCOに変化するため、有機物質のケミカルリサイクルをCO発生量を増加させることなく実施することが可能となる。
また、本発明に係る高炉の操業方法によれば、還元材であるコークス使用量が削減でき、炭酸ガス排出削減と製鉄コストの削減を図ることができる。
転炉ガスに水蒸気を添加して行うシフト反応において、水蒸気の添加量とシフト反応後のガスの組成(温度430℃における平衡組成計算値)との関係を示すグラフ 本発明において有機物質を低分子化するための改質装置の一実施形態を示す説明図 プラスチックと木材との混合成形物を得るためのリングダイ式の圧縮成形造粒機と、これを用いた圧縮成形造粒の実施状況を模式的に示す説明図
本発明法では、冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガス(g)(以下、「冶金炉発生排ガス」という場合がある)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、この混合ガス(g)(以下「シフト反応生成ガス」という場合がある。)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を少なくとも流動媒体の一部とする流動層(流動層反応器)において、混合ガス(g)を有機物質に接触させ、この有機物質を改質して低分子化する。なお、排ガス(g)に過剰の水蒸気を添加するとは、シフト反応で消費されない余剰の水蒸気が混合ガス(g)中に残存するように水蒸気を添加するという意味である。
このような本発明法では、比較的低い反応温度でも効率的に有機物質の低分子化が促進され、水素消費量も少なく、且つ重質分や炭素質の生成もほとんど認められない。
一般にプラスチックなどの高分子量有機物質は、300〜400℃以上で加熱すると熱分解が始まることが知られているが、この時、軽質化とともに重質化も進行してしまう。熱分解時に水素を共存させると、炭化水素種への水素付加反応と水素化分解反応が進行するため、重質化抑制と低分子化に有効である。しかしながら、水素化分解に高温が必要であり、且つ水素消費量が多くなることが問題である。
一方、水蒸気改質や炭酸ガス改質は、HOやCO分子中の酸素による炭化水素の酸化と看做すことができ、少ない水素添加量で低分子化と炭素質生成抑制が達成できる。さらに、水蒸気改質や炭酸ガス改質は、改質される有機分子の炭素鎖が長くなるにつれて反応温度が低下するという特徴を有する。本発明法において、比較的低い反応温度でも効率的に有機物質の低分子化が促進され、水素消費量も少なく、且つ重質分や炭素質の生成もほとんど認められないのは、上記混合ガス(g)を用いて有機物質の改質(低分子化)を行うことにより、水素化、水素化分解、水蒸気改質、炭酸ガス改質の4反応が同時に進行するためであると考えられる。
例えば、転炉などの冶金炉から発生する排ガスには、通常、COが25〜80vol%程度含有されている。したがって、これに水蒸気を添加すると、下記のシフト反応(1)によってHとCOが生成する。
CO+HO→H+CO …(1)
本発明法では、排ガス(g)に過剰の水蒸気が添加されるので、シフト反応後の混合ガス(g)には、シフト反応により生成したH、COと過剰添加分のHOが含まれることになる。そして、このシフト反応生成ガス(g)による有機物質の改質(低分子化)では、各ガス成分による水素化、水素化分解、水蒸気改質、炭酸ガス改質の4反応が同時進行するものと考えられる。
本発明では、排ガス(g)に対して過剰に添加する水蒸気の過剰割合やシフト反応の反応率を適宜制御することによって、ガス中の水蒸気、水素、炭酸ガスの各濃度を制御し、有機物質改質用の混合ガス(g)とすることができる。ただし、ガスホルダー(例えば、製鉄所内で使用されている一般的なガスホルダー)に貯蔵される冶金炉発生排ガスの一般的組成は、CO:50〜70vol%、CO:10〜20vol%、N:10〜20vol%、H:0〜5vol%(他に飽和水蒸気を含む)程度であるため、一般には、シフト反応の反応率制御まで行う必要はなく、水蒸気の過剰割合を調整するだけで、混合ガス(g)の水蒸気、水素、炭酸ガスの各濃度を所望のレベルに制御することができる。
なお、シフト反応の反応率は、シフト反応器内での滞留時間を調整することで制御することができる。例えば、滞留時間を短くするには、シフト反応器長さを小さくしたり、或いは触媒充填量を少なくする方法が一般的であり、その場合、シフト反応器長さや触媒充填量は、ほぼ平衡まで反応を進行させる場合の1/2〜1/4程度とすればよい。
一例として、CO:65vol%、CO:15vol%、N:18vol%、H:1vol%、HO:1vol%からなる組成の転炉ガス100kmol/h(=2240Nm/h)に、水蒸気の添加量を60kmol/h(=1340Nm/h)から540kmol/h(=12100Nm/h)まで変化させてシフト反応を行う場合について、水蒸気添加量とシフト反応後のガスの組成(温度430℃における平衡組成計算値)を図1に示す。これによれば、水蒸気添加量を調整するだけで、混合ガス(g)の水蒸気、水素、炭酸ガスの各濃度を制御でき、後述するような好ましいガス組成にできることが判る。なお、シフト反応は、通常、ほぼ平衡まで反応が進行することはよく知られている。
さらに、本発明では、伝熱速度の大きい流動層を利用して有機物質を低分子化することによって、低分子化に必要な反応熱の供給律速となることを防ぎ、反応器内でプラスチックなどの高分子量有機物質が融着して閉塞するなどのトラブルを防止することができる。しかも、流動層の流動媒体として、真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を用いることで、この粉粒体(f)が流動触媒としても機能することにより、有機物質を効率的に改質して低分子化生成物を得ることができる。
また、流動層反応器から排出されるガス中には流動媒体である粉粒体(f)の一部やプラスチックなどの有機物質の灰分が飛散するので、これらは流動層反応器の下流側に設置される集塵装置により捕集され、このうち粉粒体(f)は、通常、流動層反応器に循環(返送)される。流動層の流動媒体であり且つ触媒として機能する粉粒体(f)として、一般的な流動層の流動媒体よりも真密度が大きい、真密度4g/cm以上の粉粒体を用いることにより、上記集塵装置において粉粒体(f)を、有機物質の灰分と分別捕集(すなわち、粉粒体(f)と有機物質の灰分を分離された状態で捕集)し、粉粒体(f)を選択的に循環(返送)することが容易となり、低分子化反応に不活性な灰分で粉粒体(f)が希釈されることを防ぐことができる。但し、真密度が8g/cmを超える粉粒体(f)は流動性が低下する。
以下、本発明法の詳細と好ましい条件について説明する。
本発明において、シフト反応させる排ガス(g)として冶金炉発生排ガスを用いる理由は、冶金炉発生排ガスは比較的高濃度に一酸化炭素を含有し、且つ不要な窒素の濃度が低いためである。一酸化炭素を含有する冶金炉発生排ガス(g)としては、任意のものが使用できる。最も代表的なものは、鉄鋼製造プロセスの脱炭工程が行われる転炉から発生する転炉ガスであるが、それ以外にも、例えば、溶銑予備処理炉、溶融還元炉、シャフト炉などから発生する排ガスを例示することができ、これらの1種または2種以上の混合ガスを用いることができる。
冶金プロセスで生成する一酸化炭素が、さらに酸化されて二酸化炭素が生成する割合である二次燃焼率(CO/(CO+CO)×100)は、一般に10〜50%程度に過ぎない。また、排ガス(g)中には水素と窒素も含まれるが、H濃度は冶金プロセスに応じて変化し、0〜20vol%程度である。窒素は、炉内撹拌や煙道保安などのために供給されており、排ガス(g)中の濃度は10〜30vol%程度である。
以上の点から、一般的な冶金炉発生排ガス(g)の組成は、概ね以下のような範囲となる。
CO:80〜25vol%(二次燃焼率10〜50%に相当)
CO:10〜25vol%(二次燃焼率10〜50%に相当)
:10〜30vol%
:0〜20vol%
シフト反応には一酸化炭素が必要であるが、ガスの組成が上記の範囲であれば、排ガス(g)の組成に特段の問題はない。ここで、窒素は本発明で生じる化学反応(シフト反応、水素化、水素化分解、水蒸気改質、炭酸ガス改質)には何ら寄与せず、一方において、製造される気体燃料を希釈し、低位燃焼熱(以下、「LHV」という)を低下させる。特に、窒素濃度が50vol%を超えると、気体燃料のLHVの低下が顕著になるとともに、シフト反応速度も低下する傾向になる。このため窒素濃度は上記組成範囲内であることが好ましい。
さきに述べたように、ガスホルダー(例えば、製鉄所内で使用されている一般的なガスホルダー)に貯蔵される冶金炉発生排ガスの一般的組成は、CO:50〜70vol%、CO:10〜20vol%、N:10〜20vol%、H:0〜5vol%(他に飽和水蒸気を含む)程度であり、この組成は、上記の一般的な冶金炉発生排ガスの組成の中で高CO濃度組成に相当する。ガスホルダーに貯蔵されたガスは、製鉄所内の各工場で燃料ガスとして利用するため、利用先での燃焼効率の低下を防止する必要がある。そのため、ガス中CO濃度の下限値をガスホルダーへの貯蔵条件として設定しておくことが、高CO濃度組成になっている理由である。
本発明では、製鉄所内で使用されている一般的なガスホルダーに貯蔵されているような比較的CO濃度が高い排ガスであっても、上記のような一般的な冶金炉発生排ガスの組成であっても、排ガス(g)として利用することができる。
ところで、冶金炉発生排ガス(g)のなかには、高炉ガスなどのように一酸化炭素濃度が比較的低く、且つ窒素濃度が高いものがあり、このような冶金炉発生排ガス(g)については、含有する窒素の少なくとも一部を分離(除去)して一酸化炭素濃度を高めた上で、過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせるようにしてもよい。なお、有機物質の低分子化で生成する気体燃料の燃焼熱の要求仕様によるため一律に定めることができないが、排ガス中の窒素濃度が30vol%超であれば、窒素分離工程を設けて排ガス(g)から窒素の少なくとも一部を分離(除去)することが好ましい。
窒素分離をするのが好ましい代表的な排ガスとしては、高炉ガスを挙げることができるが、この他にも電炉や窒素濃度が高くなる条件で操業しているシャフト炉の発生排ガスなどを挙げることができる。なお、転炉ガスなどのように、比較的高濃度の一酸化炭素を含有する排ガスについて窒素の分離を行い、一酸化炭素濃度をさらに高めた上で、シフト反応を行うこともできる。
排ガスから窒素を分離する方法に特別な制限はなく、吸着分離法、蒸留分離法など任意の方法を適用することができるが、窒素と一酸化炭素の沸点差が小さいことから、吸着分離法が特に好ましい。例えば、CO吸着剤として知られているCuを担持した活性炭はCOも吸着するため、Cu担持活性炭を吸着剤とするPSA法によって、高炉ガス(概略組成:N:50vol%、CO:25vol%、CO:25vol%)から脱着ガスとして概略組成がN:15vol%、CO:45vol%、CO:40vol%のガスを得ることができ、これは高炉ガス中の窒素を分離して一酸化炭素を濃縮したことになる。
本発明法でのシフト反応は公知の手法で行えばよく、特別な制限はない。一般的には、冶金炉発生排ガス(g)に事前に水蒸気を添加しておき、これを触媒が充填された固定床反応器に導入してシフト反応を行う。また、事前に添加する水蒸気を一部とし、反応器内に触媒を多段で充填し、触媒層と触媒層との間から残りの水蒸気を添加するようにしてもよい。
なお、本発明のようなシフト反応を行うことなく、冶金炉発生排ガス(g)に水蒸気、水素、炭酸ガスをそれぞれ添加すれば、本発明のシフト反応で得られる有機物質改質用の混合ガス(g)と同等の組成のガスを得ることはできるが、このような方法では、水蒸気に加えて、高価な水素ガスと炭酸ガスを添加しなければならず、コスト高となる。
本発明において、シフト反応で得られる有機物質改質用の混合ガス(g)は、水蒸気、水素および炭酸ガスを含むものであり、それらの濃度に特別な制限はないが、以下のような理由から、水蒸気濃度は5〜70vol%であることが好ましい。すなわち、水蒸気濃度が低いとプラスチックなどの有機物質の分解率が低くなるが、水蒸気濃度を5vol%以上とすることにより、一定水準の有機物質の分解率を確保でき、気体燃料の生成率(ガス化率)を一定の水準にできるとともに、重質分の生成量を少なくできる。一方、水蒸気濃度が高いと有機物質の改質反応生成ガス(有機物資の改質による低分子化で生成したガス。以下同様)中にCOが残留しやすくなるとともに、気体燃料のLHVが低下しやすくなるが、水蒸気濃度が70vol%以下であれば、改質反応生成ガス中でのCOの残留を抑えることができ、また、気体燃料・液体燃料のLHVの低下も抑えることができる。
また、有機物質の分解率を確保する観点から、混合ガス(g)の水素濃度および炭酸ガス濃度はともに5vol%以上が好ましい。
また、以下のような理由から、有機物質改質用の混合ガス(g)のより好ましい組成は、水蒸気濃度:20〜70vol%、水素濃度:10〜40vol%、炭酸ガス濃度:10〜40vol%である。なお、この混合ガス(g)に、他のガス成分(例えば、窒素など)が含まれることは妨げない。水蒸気濃度を20vol%以上とすることにより、有機物質の分解率を十分に高めることができるとともに、気体燃料のLHVを高くすることができる。水蒸気濃度を70vol%以下とする理由は、さきに述べたとおりである。水素濃度を10vol%以上(より好ましくは12vol%以上)とすることにより、特に、比較的低温で有機物質の改質反応を行った場合でも、気体燃料中にCOが残留することを抑えることができる。炭酸ガス濃度を10vol%以上(より好ましくは13vol%以上)とすることにより、気体燃料中に炭化水素やCOに比べて低カロリーのガス成分であるHが残留しにくくなる。また、水素濃度や炭酸ガス濃度を40vol%以下とすることにより、プラスチックなどの有機物質の分解率を好ましいレベルにすることができる。また、以上のような観点から、混合ガス(g)のより好ましいガス組成は、水蒸気濃度:25〜65vol%、水素濃度:15〜35vol%、炭酸ガス濃度:15〜35vol%である。なお、この混合ガス(g)に、他のガス成分(例えば、窒素など)が含まれることは妨げない。
次に、シフト反応で得られた混合ガス(g)による有機物質の改質(低分子化)条件について説明する。
本発明において、改質による低分子化の対象となる有機物質に特別な制限はないが、高分子量の有機物質が好適であり、例えば、プラスチック(通常、廃プラスチック)、含油スラッジ、廃油、バイオマスなどが挙げられ、これらの1種以上を対象とすることができる。
対象とするプラスチックの種類に特別な制限はないが、例えば、産業廃棄物系、容器包装リサイクル法の対象プラスチックなどを挙げることができる。より具体的には、PEやPPなどのポリオレフィン類、PAやPETなどの熱可塑性ポリエステル類、PSなどのエラストマー類、熱硬化性樹脂類、合成ゴム類や発砲スチロールなどを挙げることができる。なお、多くのプラスチック類にはフィラーなどの無機物が添加されているが、本発明では、このような無機物は反応に関与しないので、固体状残渣として改質反応器(有機物質を改質して低分子化するための反応器。以下同様)から排出される。また、プラスチックは、必要に応じて適当なサイズに事前裁断された後、改質反応器に投入される。
また、プラスチックがポリ塩化ビニルなどの塩素含有樹脂を含んでいると、改質反応器内で塩素が発生し、この塩素が生成物中に含有されてしまう恐れがある。したがって、プラスチックが塩素含有樹脂を含む恐れがある場合には、改質反応器内にCaOなどのような塩素吸収剤を投入し、塩素分が気体生成物中に含有されないようにすることが好ましい。
含油スラッジとは、含油廃液処理工程で発生する汚泥状の混合物のことであり、一般に30〜70質量%程度の水分を含んでいる。スラッジ中の油分としては、例えば、各種鉱物油、天然および/または合成油脂類、各種脂肪酸エステル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、改質反応器に含油スラッジを供給する際などのハンドリング性を向上させるために、遠心分離などの手法により、スラッジ中の水分を30〜50質量%程度まで低減させてもよい。
また、廃油としては、例えば、使用済みの各種鉱物油、天然および/または合成油脂類、各種脂肪酸エステル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら2種以上の廃油の混合物であってもよい。また、製鉄所の圧延工程で発生する廃油の場合、一般に多量(通常、80質量%超程度)の水分を含有しているが、この水分についても、比重分離などの手法によって事前に低減させておくことが、ハンドリング性の面で有利である。
有機物質が水を含んでいる場合には、改質反応器内で水蒸気が発生するので、その分を考慮してシフト反応で添加する水蒸気の過剰割合を決定する。
バイオマスとしては、例えば、下水汚泥、紙、木材(例えば、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材など)などの他、ゴミ固形燃料(RDF)などの加工されたバイオマスなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バイオマスには、通常、多量の水分が含有されているので、事前に乾燥させておくことがエネルギー効率の点から好ましい。また、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属を比較的高濃度に含むバイオマスの場合、改質反応器内でアルカリ金属が析出する可能性があるので、水洗などの方法によって事前にアルカリ金属を溶出させておくことが好ましい。なお、建設廃木材や梱包・運送廃木材などの大型のバイオマスは、事前に裁断して改質反応器に投入される。
また、対象となる有機物質としては、プラスチック(通常、廃プラスチック)と木材との混合成形物(プラスチックと木材の混合物の成形物)が好ましい。この混合成形物は、プラスチックと木材(いずれも小塊状、粒状又は小片状などの小径の材料)の混合物を圧縮成形し、この成形過程で生じる摩擦熱または/および成形過程で加えられる外部加熱によりプラスチックを少なくとも部分的に溶融または軟化させ、この溶融または軟化したプラスチックをバインダーとして固化させたものである。この場合、混合成形物表面のプラスチックだけが溶融または軟化し、この溶融または軟化したプラスチックがバインダーとなって固化した外殻が形成されるようにしてもよい。木材としては、資源の有効利用の観点からは建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材のうちの1種以上が好ましいが、これらに限定されるものではない。なお、梱包・運送廃木材とは、廃木箱や廃パレットなどのように、梱包や運送作業に使用された後に不要となった木材を指す。
本発明において対象となる有機物質として、上記の混合成形物が好ましい理由としては、(a)通常、プラスチック中に含有される塩素が、塩素を含まない木材(建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材など)で希釈されること、(b)プラスチック中に含有される灰分が、低灰分である木材で希釈されること、(c)上記のように成形過程の摩擦熱などで少なくとも部分的に溶融または軟化したプラスチックがバインダーとなり、木材の成形性が改善されてハンドリング性が向上すること、(d)通常、木材に比較的高濃度に含有される酸素原子によって、有機物質の低分子化が促進されること、などが挙げられる。
したがって、改質される有機物質の少なくとも一部が、プラスチックと木材(例えば、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材のうちの1種以上)との混合成形物であることが好ましい。
混合成形物中の木材の割合は10〜70質量%程度が好ましく、20〜60質量%程度がより好ましい。木材の割合が10質量%未満では、上記(a)、(b)、(d)の効果が発現しにくくなる。一方、木材の割合が70質量%を超えると、上記(c)の溶融または軟化したプラスチックによるバインダー効果が低減する。また、木材の割合が70質量%を超えると、低分子化反応で生成する気体生成物の燃焼熱が低下する。
プラスチックと木材との混合成形物の製造方法に特に制限はない。通常、プラスチックと木材(例えば、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材のうちの1種以上)は、事前に破砕処理されることで小塊状、粒状又は小片状などの小径の材料となる。破砕処理する場合、プラスチックと木材を別々に破砕処理してもよいし、プラスチックと木材を1つの破砕機に同時に投入して破砕処理を行ってもよい。プラスチックや木材の破砕処理後の大きさ、すなわち破砕機のスクリーンは、目的とする混合成形物の大きさに応じて決められ、例えば、後述するリングダイによる圧縮成形造粒方法を用い、外径が6mm程度の混合成形物を得る場合、破砕機のスクリーン目開きは10〜30mm程度が適当である。なお、破砕機や成形造粒機の保護のために、事前に金属異物などを風選や磁選などによって除去することが一般的である。
プラスチックと木材は事前にまたは成形工程内で混合され、所定のサイズに圧縮成形される。この成形方法に特別な制限はなく、例えば、リングダイによる圧縮成形造粒方法などの公知の方法を適用することができる。プラスチックと木材の混合物の成形過程で生じる摩擦熱又は成形過程で加えられる外部加熱によりプラスチックが少なくとも部分的に溶融または軟化し、この溶融または軟化したプラスチックがバインダーとなって成形物が固化する。
図3は、リングダイ式の圧縮成形造粒機と、これを用いた圧縮成形造粒の実施状況を模式的に示したものである。この圧縮成形造粒機は、全周に多数のダイス孔60(丸孔)が貫設されたダイリング6と、このダイリング6の内側に、ダイリング内周面と接するようにして回転自在に配置された複数(通常、2〜3個)の転動ローラ7と、前記ダイス孔60から押し出された混合成形物を切断し、ダイリング外周面から掻き落すための切断刃8とを備えている。なお、ダイリング6と転動ローラ7は、ともに図示しない装置本体に回転自在に支持されるが、ダイリング6は駆動装置により回転駆動するのに対して、転動ローラ7は無駆動のフリーのローラ体であり、ダイリング内周面との摩擦によりダイリング6の回転に伴って回転する。また、ダイス孔60の孔径は造粒すべき混合物の大きさ(径)に応じて決められるが、通常3〜20mm程度である。
このリングダイ式の圧縮成型造粒機では、ダイリング6が図中矢印方向に回転駆動し、これに伴って転動ローラ7も矢印方向に回転する。この状態で、ダイス孔径の大きさに応じて予め適当な大きさに破砕されたプラスチックと木材が、図示しない投入口からダイリング6の内部に投入され、この投入された材料は、転動ローラ7によってダイリング内周面との間で圧潰・圧縮されつつ(圧潰による破砕作用もある)、ダイリング6のダイス孔60内に押し込まれる。ダイス孔60内に押し込まれた材料(混合物)は、ダイス孔60内を通過する過程で、圧縮されるとともに、ダイス孔内周面との摩擦熱により表面(ダイス孔内周面と接する面)のプラスチックが溶融または軟化した状態となる。そして、ダイス孔60内を通過した材料(混合物)は、ダイリング6の外周面側に円柱状の形で順次押し出されるとともに、この際、溶融または軟化していた表面のプラスチックが固化し、この固化したプラスチックをバインダーとする外殻が形成される。そして、このダイリング外周面に押し出された円柱形状の成形物がダイリング6の回転によって切断刃8の位置まで来た時に、切断刃8でダイリング6の外周面から掻き落され、これにより混合成形物が得られる。
有機物質改質時の反応温度は、有機物質の種類に応じて、以下のようにすることが好ましい。
プラスチックやバイオマスの場合には、反応温度は400〜900℃程度が適当である。反応温度が400℃未満ではプラスチックやバイオマスの分解率が低く、一方、900℃を超えると炭素質の生成が多くなる。
また、プラスチックと木材(例えば、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材のうちの1種以上)との混合成形物を対象とする場合も、上記の理由から反応温度は400〜900℃程度が適当である。
なお、桐のような樹木組織が柔らかい木材は比較的反応性が高いので、そのような木材とプラスチックとの混合成形物を対象とする場合は、プラスチック単独の場合に較べて反応温度を20〜30℃低くすることができる。ただし、木材は樹木の種類や産地ばかりでなく、1本の樹木でも位置によって組織の緻密さや比重が大きく変化する。さらに、廃木材は種々の木材の混合物となるため、一概に反応温度を低くできるとは限らない。このような観点から、プラスチックと木材の混合成形物の反応温度は400〜900℃程度とするのが適当である。
また、含油スラッジや廃油の場合には、反応温度は300〜800℃程度が適当である。反応温度が300℃未満では含油スラッジや廃油の分解率が低くなる。一方、反応温度が800℃を超えても含油スラッジや廃油の改質(低分子化)特性に影響はないが、必要以上の高温であるため、経済的でない。
また、プラスチックおよび/またはバイオマス(ただし「プラスチックと木材との混合成形物」を含む)と含油スラッジおよび/または廃油からなる混合物を対象とする場合には、上述した点から、反応温度は400〜800℃程度が適当である。圧力の影響はほとんど認められないので、常圧または数kg/cm程度の微加圧で改質反応器を運転することが経済的である。
本発明では、改質反応器として流動層反応器を用いる。すなわち、流動層において混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する。既に述べたように、本発明では水素化、水素化分解、水蒸気改質、炭酸ガス改質の4反応が同時に進行するため、高効率にプラスチックなどの有機物質が低分子化される。実際には、これらに加えて熱分解反応も進行することは明らかである。これらのうち、水素化分解、水蒸気改質、炭酸ガス改質、熱分解が吸熱反応であり、発熱反応は水素化だけである。したがって、本反応は総括では吸熱であり、外部から反応熱を供給する必要がある。
プラスチックを回分式で低分子化する場合には大きな問題とならないが、流通式固定層反応器で反応を行う時の問題点として、反応熱の供給が律速となって反応器内でプラスチックなどが融着することや、融着を防止するために必要以上に高温の熱を供給することで熱効率が悪化すること、さらには、高温の供給熱によってプラスチックなどが炭化すること、などの点が挙げられる。
これに対して流動層反応器は、流動層内の温度がほぼ均一で、熱の授受が非常に早いことが特徴であるため、上述した固定層反応器で生じるような問題を回避することができる。また、本発明では、流動層の流動媒体の少なくとも一部(好ましくは流動媒体の主体)として、真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を用いる。Fe、Ni、Crは何れも本反応に活性であり、粉粒体(f)が触媒としても機能することにより高効率に低分子化反応が進行する。一方、従来の流動層による廃プラスチックガス化技術では、流動媒体として砂を用いることが多い。しかし、砂には触媒活性がないばかりでなく、流動媒体としてはやや粒径が大きく、安定した流動層を形成できる条件が限定的であり、多様な原料に対応するのが困難である。なお、粉粒体(f)に含まれるFe、Ni、Crの存在形態はメタル、酸化物等の別を問わない。粉粒体(f)の真密度を4〜8g/cmとする理由については後述する。
粉粒体(f)のFe、Ni、Crの合計の含有率は20〜90質量%程度が好ましく、30〜80質量%程度がより好ましい。含有率が20重量%未満では、粉粒体(f)の真密度が小さくなるため、流動層反応器から排出されるガス中に飛散した粉粒体(f)と有機物質の灰分との分別捕集(両者を分離された状態で捕集)が不十分となりやすい。一方、含有率が90質量%を超えると真密度が過大となり、流動性が低下する。
図2は、本発明において有機物質を低分子化するための改質装置の一実施形態を示しており、1は流動層反応器、2は流動層反応器1からガスを排出する排出管、3aは排出管2に設けられる1次集塵機(上流側の一段目集塵機)、3bは同じく2次集塵機(下流側の二段目集塵機)である。一般に、1次集塵機3aはサイクロンであるが、2次集塵機3bの形式は任意であり、乾式集塵機でも湿式集塵機でもよい。なお、2次集塵機3bが乾式集塵機の場合には、液体生成物の凝縮温度まで排出ガスが冷却されることがないので、2次集塵機3bを通過する生成物は気体状態のままであり、その下流側に冷却器、油水分離装置などを設置して気体生成物、液体生成物、排水に分離される。一方、2次集塵機3bが湿式集塵機の場合には、排出ガスが冷却されて液体生成物が凝縮するので、2次集塵機3bを通過する生成物は気体生成物であり、2次集塵機3bで捕集される物質は灰分、排水、液体生成物の混合物となる。したがって、その混合物排出系に油水分離装置などを設置して、液体生成物を分離する。
なお、図2では、1次集塵機3aは流動層反応器1の外部に設置されているが、流動層反応器1の内部に設置してもよい。
流動層反応器1では、分散板10の下側の風箱部11に混合ガス(g)が導入され、この混合ガス(g)が分散板10から吹き出すことにより、分散板10の上方に流動媒体による流動層4が形成される。プラスチックなどの有機物質は、流動層反応器1の上部から流動層4に供給され、流動層4内で混合ガス(g)と反応することで低分子化され、気体生成物となる。この気体生成物を含むガス(g)は、排出管2を通じて排出された後、1次集塵機3a及び2次集塵機3bでガス(g)中に飛散した流動媒体や有機物質の灰分が捕集されるが、流動媒体と有機物の灰分がなるべく分離された状態で捕集されるようにする。すなわち、1次集塵機3aでは主に流動媒体が捕集され、灰分はなるべく捕集されないようにし、2次集塵機3bにおいて有機物質の灰分が主に捕集されるようにする。このためには、後述するように流動媒体である粉粒体(f)の真密度の最適化が重要である。1次集塵機3aで捕集された流動媒体を主体とする捕集物は、返送管5を通じて流動層反応器1に循環される。なお、一次集塵機3aおよび返送管5を流動層反応器1内上部のフリーボード部に配置してもよい。2次集塵機3bを通過したガス(g)が回収されるが、このガス(g)に含まれる気体生成物は、その一部を気体燃料として、また、他の一部を凝縮させて液体燃料として、それぞれ用いることができる。
以上のように、本発明では、流動層から排出されるガス(g)を集塵機に通して、ガス(g)に含まれる流動媒体を捕集し、この捕集された流動媒体を流動層に循環させることが好ましい。
流動媒体を構成する前記粉粒体(f)は、真密度が4〜8g/cmであり、より好ましくは4〜7.5g/cmである。上述したように流動層反応器1から排出されるガス(g)中には流動媒体である粉粒体(f)や有機物質の灰分が飛散するので、これらは集塵機でガス(g)から分離され、このうち粉粒体(f)については流動層反応器1に循環させる。粉粒体(f)の真密度が4g/cm未満では、有機物質の灰分との密度差が小さいため、有機物の灰分と分別して捕集することが難しくなり、粉粒体(f)と灰分の分離が不十分となりやすい。具体的には、図2において1次集塵機3aにおいて主に粉粒体(f)だけを捕集することが難しくなり、相当量の有機物の灰分も捕集されてしまう。その結果、ガス(g)から分離されて流動層反応器1に循環する粉粒体(f)が、低分子化反応に不活性な灰分によって希釈されることになり、流動層4の触媒活性は連続的に低下することになる。一方、粉粒体(f)の真密度が8g/cmを超えると、流動媒体としての流動性が低下する。ここで、真密度とは、JIS−K−0061に準拠してピクノメーターを用いて測定される密度を意味する。
1次集塵機3aで捕集分離した流動媒体を流動層反応器1に循環させない場合であっても、粉粒体(f)の真密度が4g/cm未満では、粉粒体(f)と灰分を別々に捕集することが難しく、灰分によって粉粒体(f)が希釈されることに変わりはない。粉粒体(f)として後述するような製鋼ダストを用いる場合、この製鋼ダストは非常に安価であるため、集塵機で捕集した製鋼ダストを流動層反応器に循環させて再利用しなくてもよいが、通常、製鋼ダストは製鉄工程に戻して鉄分を回収するため、これに灰分が相当量含まれていると、この灰分によって製鉄工程でのスラグ発生量が増大してしまう。したがって、いずれにしても、ガス(g)から捕集される粉粒体(f)が灰分で希釈されないようにするため、粉粒体(f)の真密度は4g/cm以上でなければならない。
流動媒体であり且つ触媒として機能する粉粒体(f)としては、公知のNi系改質触媒やNi系水素化触媒などを用いることができるが、(i)鉄分を多く含むため触媒活性が高いこと、(ii)真密度が4〜8g/cmの範囲で且つ微細粒子であるため流動媒体として好適であること、(iii)大量入手可能で且つ安価であること、などの理由から製鋼工程で発生する鉄含有ダスト(以下、説明の便宜上「製鋼ダスト」という)を用いることが特に好ましい。製鋼ダストは、一般に鉄を30質量%以上含む。この製鋼ダストは、一般に湿式で捕集されるため、乾燥処理は必要であるが、分級処理などの必要はない。
製鋼ダストは、主に転炉を用いて行われる製鋼工程で発生する鉄含有ダストであり、製鋼工程としては、例えば、脱燐工程、脱炭工程、ステンレス鋼の精錬工程などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これら製鋼ダストの1種以上を用いることができる。
製鋼ダストの発生率は製鉄所毎に異なるものの、発生量は粗鋼生産量に比例するため、多量に入手可能である。また、製鋼ダストの価値は粗鋼相当の価値であるので、トンあたり数万円程度と非常に安価である。一方、市販触媒はトン当たり数百万円程度であり、粉粒体(f)として製鋼ダストを用いることでコスト的に非常に有利となる。
製鋼ダストには、一般に、粒径下限が0.1μm程度、上限が200μm程度であって、メジアン径(d50)が5〜30μm程度の粒度分布を有し、比表面積が10〜20m/g程度である微粒ダストと、粒径下限が1μm程度、上限が2000μm程度であって、メジアン径(d50)が30〜200μm程度の粒度分布を有し、比表面積が1m/g以下である粗粒ダストがある。一般に、製鋼工程において主に転炉から排出される排ガスは湿式で集塵されるが、凝集剤を添加せずに水から分離できる分が粗粒ダストであり、分離に凝集剤添加が必要な分が微粒ダストである。
本発明では、微粒ダスト、粗粒ダストのいずれを用いてもよい。ただし、微粒ダストと粗粒ダストを較べた場合、微粒ダストは粗粒ダストに較べて比表面積が大きいため触媒活性が高く、一方、流動状態での安定性は微粒ダストよりも粗粒ダストの方が優れている。また、製鋼ダストの粒子は表面の鉄分が酸化されているので、比表面積が大きい微粒ダストの方が酸化された鉄分の割合が多くなる。このため真密度は微粒ダストよりも粗粒ダストの方が大きくなるので、流動化ガスである混合ガス(g)の送風動力は粗粒ダストを使用した場合の方が大きくなる。以上の点からして、微粒ダストと粗粒ダストを混合して用いることにより、高い触媒活性、流動状態での安定性、送風動力の抑制がバランス良く確保された流動層を形成することができる。
微粒ダストと粗粒ダストの好適な混合比率は、流動層高Lfと反応器内径Dとの比[Lf/D]に依存するため限定的ではないが、一般に、微粒ダストと粗粒ダストの混合比率[微粒ダスト:粗粒ダスト](質量比)は、Lf/Dが0.1〜0.5程度の場合には1:10〜1:5程度が適当であり、Lf/Dが0.5超〜2程度の場合には1:5〜1:1程度が適当であり、Lf/Dが2超〜10程度の場合には1:1〜5:1程度が適当である。
また、粉粒体(f)としては、上述した製鋼ダスト以外に、ミルスケールなどを乾燥後、数十〜数百μm程度に分級処理したものも使用することができる。このようなミルスケールなどの分級品は、製鋼ダストと同様に鉄分を多く含んでいるので、単独で粉粒体(f)として使用することもできるが、触媒活性、流動特性ともに製鋼ダストよりも低いため、製鋼ダストと混合して使用することが好ましい。
その他、ミルスケールを還元して製造される還元鉄粉や、水アトマイズ法で溶鋼から製造されるアトマイズ鉄粉なども、単独で粉粒体(f)として使用することができるが、真密度が大きいので、製鋼ダストと混合し、流動性を良好にして用いる方がよい。
したがって、粉粒体(f)は、少なくとも一部が製鋼ダストであること、好ましくは製鋼ダストを主体とする(すなわち、製鋼ダストを50質量%以上含む)ものであること、より好ましくは製鋼ダストからなることが望ましい。
また、流動媒体は、粉粒体(f)が主体となる(すなわち、粉粒体(f)を50質量%以上含む)が、その他の粉粒体を加えてもよい。例えば、アルミナ粉、珪砂などの1種以上の無機粉体を混合することで、流動性をさらに良好にするとともに、混合ガス(g)の送風動力の増加を抑制することもできる。無機粉体を混合する場合、その混合割合は、粉粒体(f)の触媒活性の顕著な低下を招かないようにするため50質量%未満とする。
図2に示すように、流動媒体の流動化ガスである混合ガス(g)は流動層反応器下部から供給され、ガス分散板10から上方に吹き出すことで流動層4を形成する。ガス分散板10から吹き出す混合ガス(g)の流速は、良好な分散状態を維持できればよく、通常は0.05〜2m/sec程度が適当である。0.05m/sec未満では流動性が低下する。一方、流速が2m/secを超えると流動性には問題ないものの、流動層反応器1から排出されるガス(g)の流速が大きくなり、流動媒体の飛散量が増加してサイクロン等の集塵機の負荷が過大となるだけでなく、後述するように、固体有機物質を反応器上部から供給する場合の固体有機物質の粒径も大きくする必要があるので、反応効率が低下する。
有機物質の流動層反応器1内への供給方法は、含油スラッジや廃油のような液体の有機物質についてはスプレーノズルなどによって噴霧すればよく、供給位置は流動層反応器1の上部或いはガス分散板10の上部など何れの位置でもよい。一方、プラスチックやバイオマスのような固体有機物質の場合、流動層反応器1の上部から供給することが一般的であるが、混合ガス(g)の一部を分岐して、混合ガス(g)による空気輸送によってガス分散板10の上部に供給することもできる。なお、固体有機物質を流動層反応器1の上部から供給する場合は、空気輸送で供給するよりも、重力で落下させる方が簡便である。ただし、その場合は供給した固体有機物質が飛散しない粒径、密度になるよう成型するととともに、反応効率を低下させない粒径を選択することが好ましい。
なお、本発明ではプラスチックなどの有機物質が低分子化し、分子数が2倍程度に増加するため、反応器内の生成ガスの流速は混合ガス(g)の2倍程度になることに留意することが必要である。例えば、混合ガス(g)の流速が0.05m/secであれば、生成ガスの流速は0.1m/sec程度となるため、固体有機物質の真密度を1g/cmとすると、その好ましい粒径は2〜6mm程度である。また、混合ガス(g)の流速が2m/secであれば、生成ガスの流速は4m/sec程度となるため、有機物質の真密度を1g/cmとすると、その好ましい粒径は15〜20mm程度である。
本発明法で得られる有機物質のガス化物(気体生成物)は、通常、COとC1からC4程度までの軽質炭化水素であり、気体燃料として好適である。また、一部は凝縮させて液体燃料とすることもできる。
気体燃料中のLHVは約6〜10Mcal/Nmであり、天然ガス並みのLHVである。それにも拘わらず、一酸化炭素濃度が高いので、天然ガスよりも燃焼性が高いことが特徴である。一酸化炭素濃度が高く且つ燃焼性が高いことから、家庭用都市ガスとして供給するよりも、製鉄所などのような冶金炉を有する工場の都市ガス代替燃料として利用する方が安全性の点から好ましい。
また、本発明法で得られる気体生成物を、燃料としてではなく、高炉などの還元材として用いることもできる。上述したように、この気体生成物は主に天然ガス成分である軽質炭化水素と一酸化炭素からなるが、天然ガスも一酸化炭素も鉄鉱石の還元材として有効であるので、高炉操業において、本発明法で得られる気体生成物を高炉の羽口などから吹き込むことにより、還元材であるコークス使用量が削減でき、炭酸ガス排出削減と製鉄コストの削減に有効である。
[実施例1]
転炉ガスを一時貯留するガスホルダーのガス払出し配管にラボ試験用の分岐管を設け、この分岐管を通じて小流量の転炉ガスを抜き出すことができるようにした。この分岐管の下流側には流量調節弁、スチーム混合器、予熱器(転炉ガスとスチームの混合ガス用)、固定床シフト反応器(内径30mm)、外熱式流動層反応器(内径44mm)を、この順に配置した。シフト反応生成ガスの全量を前記流動層反応器底部から供給できるように配管を接続し、流動層反応器上部から反応器内に廃プラスチックを落下させることができるようにサークルフィーダー方式の定量投入装置を設置した。流動層反応器の上部から一段目集塵機としてのサイクロン、二段目集塵機としてのガスフィルター、ガス冷却器を経由して、生成物サンプリングポートを接続した。なお、サイクロンのディプレッグは流動層反応器内部に挿入していないので、この実施例では流動媒体(触媒)の循環は行っていない。
ガスホルダー中の転炉ガスの平均組成は、H:12vol%、CO:54vol%、CO:17vol%、HO:1vol%、N:16vol%であった。スチーム混合器に対して転炉ガスを74NL/h、水蒸気として圧力10kg/cmGのスチームを100NL/h供給し、予熱器で320℃まで昇温した後、シフト反応器(Fe−Cr系高温シフト触媒充填)に導入した。シフト反応器でのシフト反応によって、ガス組成がH:26vol%、CO:2vol%、CO:28vol%、HO:37vol%、N:7vol%のガス(シフト反応生成ガス)が得られた。このシフト反応生成ガスは、流量が172NL/h(質量流量では170g/h)、反応器出口ガス温度が430℃であった。
有機物質を低分子する改質反応器である外熱式流動層反応器の下部にはガス分散板が設けられており、ガス分散板の上部に流動媒体(触媒)として、脱炭吹錬で発生した転炉ダスト粗粒(T−Fe:80質量%、平均粒径:80μm、真密度:5.9g/cm、嵩密度2.9g/cm、Al含有率0.38質量%)を1kg装入した後、窒素ガスを50NL/h供給して転炉ダストを流動化させた。流動層高は約280mm(Lf/D=6.4)であった。
次に、流動層反応器を設定温度を800℃として加熱した後、流動化ガスを窒素からシフト反応生成ガスに切替えた(流量:172NL/h、800℃における流速:0.12m/sec)。次いで、ポリエチレンにAl(灰分モデル物質)を3.3質量%混合したモデル廃プラスチックを粒径4mm、嵩密度0.4g/cmに成型したものを910g/h(ポリエチレン分として880g/h、Al分として30g/h)で供給し、1時間、廃プラスチックの低分子化反応を継続した後、気体燃料分はガス冷却器による冷却後のガス分析結果から、液体燃料分はガス冷却器下部に設置されている液体燃料捕集器に捕集された液体生成物の分析結果から、それぞれの生成量、組成、LHV(低位燃焼熱)を求めた。それらの結果を表1に示す。
原料として供給したシフト反応生成ガスとポリエチレンの合計量は1050g/hであるので、供給原料総量に対する生成率は、気体燃料(H2からC4までの生成物と定義)が36%、液体燃料(C5以上の生成物と定義)が62%であった。未反応ポリエチレン量を直接計量することは困難なので、供給したシフト反応生成ガスとポリエチレンの合計量(1050g/h)に対する、気体燃料(380g/h)と液体燃料(650g/h)の合計収率をポリエチレン分解率と定義すると、この発明例では、ポリエチレン分解率が98%と計算された。
反応継続中、流動層部分である反応器内の温度は796℃程度と設定温度よりも約4℃低い温度となったが、ポリエチレンの融着や閉塞などのトラブルは皆無であった。実験終了後、反応器を分解して内部を観察したが、炭化物の生成も認められず、流動層によって安定した低分子化反応が行えることが確認できた。実験終了後にサイクロンのディプレッグから回収された固体は約20gであった。回収された固体を分析したところ、Al含有率は0.42重量%(Al量として0.084g)であった。一方、二段目集塵機であるガスフィルターに捕集された固体は約26gであった。捕集した固体を分析したところ、Al含有率は99.6重量%(Al量として25.9g)でありFe分は検出限界以下であった。実験誤差を考えると、モデル灰分であるAlと流動媒体(粗粒ダスト)はほぼ完全に分離されたと考えられる。
Figure 2014037524
[比較例1]
転炉ダスト粗粒を粒径4mmに成型した触媒を反応器に充填した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレンの低分子化反応試験を行った。この試験では、触媒粒径を4mmとした結果、触媒は流動化することなく、したがって、流通式固定層反応器で反応を行ったことになる。
ポリエチレン供給開始から次第に反応器内の温度が低下し続け、さらに、反応器圧力が上昇し、シフト反応生成ガスの供給が困難となったため、反応を中止した。
反応器を分解して内部を観察したところ、ポリエチレンの融着物と考えられる物質で触媒層が閉塞しており、流動層とは異なり、流通式固定層反応器では安定して低分子化反応を行うことは非常に困難であることが確認できた。
[比較例2]
高炉ダスト(T−Fe:45質量%、Al含有率:2質量%、真密度:3g/cm、平均粒径:400μm)を流動媒体(触媒)とした以外は実施例1と同様にして、Al含有ポリエチレンの低分子化反応試験を行った。
低分子化反応試験の結果、流動状態、ポリエチレンの融着や閉塞などは実施例1と同様、何ら問題なかったが、流動媒体の真密度が低いため、サイクロンから回収された固体は僅かであり、ほとんどの固体(高炉ダストとモデル灰分であるAl)はガスフィルターで捕集されており、モデル灰分と高炉ダストはほとんど分離できなかった。
[実施例2]
金属などの異物を除去した産業廃棄物系の廃プラスチックと建設廃木材を、それぞれ、目開き10mmのスクリーンを設置した破砕機で破砕処理し、この破砕処理後の廃プラスチックと建設廃木材を、廃プラスチック7質量部、建設廃木材3質量部の割合でリングダイ式の圧縮成形造粒機に投入し、混合成形物を得た。圧縮成形造粒機は、全周に複数のダイス孔(φ6mm)が貫設されたダイリングを備え、このダイリングのダイス孔から廃プラスチックと建設廃木材の混合物が圧縮押出しされ、混合成形物が得られるものである。
混合成形物を流動層反応器に供給し、流動層反応器の設定温度を600℃とした以外は実施例1と同様にして、廃プラスチックと廃木材の混合成形物の低分子化反応試験を行った。
低分子化反応生成物を分析した結果、気体燃料生成率は38%、気体燃料の組成は、CO:65vol%、N:5vol%、C1〜C2:9vol%、C3〜C4:21vol%(H2,CO,HOは何れも0vol%)、LHVは8.5Mcal/Nmであり、液体燃料生成率60%であった。また、反応継続中、流動層反応器内などでのプラスチックの融着や閉塞などのトラブルは皆無で、安定して低分子化反応が行えた。さらに、混合成形物中の灰分は二段目集塵機であるガスフィルターにほぼ定量的に捕集され、実灰分と流動媒体(粗粒ダスト)の分離も何ら問題がなかった。
1 流動層反応器
2 排出管
3a 1次集塵機
3b 2次集塵機
4 流動層
5 返送管
6 ダイリング
7 転動ローラ
8 切断刃
10 分散板
11 風箱部
60 ダイス孔

Claims (8)

  1. 冶金炉で発生した一酸化炭素を含有する排ガス(g)に過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせることで、シフト反応で生成した水素および炭酸ガスと、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(g)とし、この混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化する方法において、
    真密度が4〜8g/cmであって、Fe、Ni、Crの中から選ばれる少なくとも1種を含有する粉粒体(f)を少なくとも流動媒体の一部とする流動層において、混合ガス(g)を有機物質に接触させ、有機物質を改質して低分子化することを特徴とする有機物質の低分子化方法。
  2. 粉粒体(f)の少なくとも一部が、製鋼工程で発生する鉄含有ダストであることを特徴とする請求項1に記載の有機物質の低分子化方法。
  3. 粉粒体(f)が製鋼工程で発生する鉄含有ダストであることを特徴とする請求項2に記載の有機物質の低分子化方法。
  4. 改質される有機物質が、プラスチック、含油スラッジ、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機物質の低分子化方法。
  5. 改質される有機物質の少なくとも一部が、プラスチックと木材との混合成形物であることを特徴とする請求項4に記載の有機物質の低分子化方法。
  6. 木材が、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の有機物質の低分子化方法。
  7. 流動層から排出されるガス(g)を集塵機に通して、ガス(g)に含まれる流動媒体を捕集し、この捕集された流動媒体を流動層に循環させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機物質の低分子化方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により有機物質を低分子化することで生成した気体生成物を、高炉内に吹き込むことを特徴とする高炉の操業方法。
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