JP2016118325A - 有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、バイオマスや石炭などをガス化するための流動層ガス化炉において生成した未燃チャーと流動媒体とを循環流動層燃焼炉に導き、この循環流動層燃焼炉でチャーを空気燃焼させて流動媒体を加熱し、加熱された流動媒体を流動層ガス化炉に戻す循環ガス化システムが開示されている。
また、特許文献3には、有機物質を低分子化して気体生成物や液体生成物などに転換する際に、安定的に供給可能なガスを用いて有機物質を効率的に改質して低分子化し、重質分や炭素質が少なく、軽質分を多量に含有する改質物を得るとともに、低分子化反応で発生した固体状残渣を有効利用する方法が開示されている。
まず、特許文献1に関しては、ガス化炉で副生するチャーを熱源とし、かつ、チャーの燃焼で加熱された流動媒体をガス化炉の熱源とするものであるため、熱的に自立したガス化システムである点が優れているが、チャーを循環流動層で燃焼させるため燃焼条件が限定的となること、さらに、燃焼炉が大型となりコスト高となることが問題である。
また、特許文献3の方法は、触媒に転炉ダストを用いることを特徴としているが、転炉ダストは既に焼結原料としてのリサイクル方法が確立されているため、新たな廃棄物処理方法の提案にはあたらない。
また、特許文献4には、含油ダストスラッジが得られる含油廃水(懸濁物質と水と油分を含む含油廃水)に、油分と懸濁物質の吸着を抑制する油分吸着阻害剤を添加し、高油分スラッジが生じないようにする技術が開示されているが、この技術も油分吸着阻害剤を使用するため処理コストが高いことが問題となる。
また、本発明の他の目的は、有機物質と金属含有ダストスラッジを原料として、気体燃料となる有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体を1つの製造プロセスで安定的に製造することができる製造方法を提供することにある。
[1]流動層反応炉において有機物質を原料ガスと接触させることにより改質して低分子化する方法であって、
金属含有ダストスラッジに、少なくとも含有水分を低減させる処理を行う事前処理を施すことにより、流動層において流動化可能な粉粒体とし、この粉粒体を流動媒体として流動層反応炉に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を金属源として回収することを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
[3]上記[1]又は[2]の処理方法において、金属含有ダストスラッジは、乾燥質量で同一金属を50質量%以上含有することを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの処理方法において、金属含有ダストスラッジが、含油ダストスラッジであることを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの処理方法において、粉粒体を流動層反応炉に連続的又は間欠的に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を連続的又は間欠的に炉外に取り出して回収することを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの処理方法において、改質される有機物質が、プラスチック、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
金属含有ダストスラッジに、少なくとも含有水分を低減させる処理を行う事前処理を施すことにより、流動層において流動化可能な粉粒体とし、この粉粒体を流動媒体として流動層反応炉に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を回収し、金属源となる粉粒体を得ることを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
また、本発明の製造方法によれば、有機物質と金属含有ダストスラッジを原料として、気体燃料となる有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体を1つの製造プロセスで安定的に製造することができる。
本発明において、熱分解の対象となる有機物質に特別な制限はないが、高分子量の有機物質が好適であり、例えば、樹脂類(通常、廃プラスチック)、廃油、バイオマスなどが挙げられ、これらの1種以上を対象とすることができる。
また、廃油としては、例えば、使用済みの各種鉱物油、天然及び/又は合成油脂類、各種脂肪酸エステル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら2種以上の廃油の混合物であってもよい。
また、バイオマスとしては、例えば、下水汚泥、紙、木材(例えば、建設廃木材、梱包・運送廃木材、間伐材など)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
金属含有ダストスラッジに含まれる粉粒分は微細粒子であるため流動媒体として好適である。図3に示すGeldart,D.の流動化ダイアグラムは、粉粒体の流動特性を示しているが、一般的にA,B区分に属するものは流動性を損なわないものとされている。金属含有ダストスラッジに含まれる粉粒分は、流動化ダイアグラム上でA,B区分に属する。
含油ダストスラッジのなかで、特に製鉄所内で発生する含油ダストスラッジは、鉄分を多く含むためリサイクルに適している。したがって、本発明では、流動媒体として使用する金属含有ダストスラッジの少なくとも一部が含油ダストスラッジ(特に製鉄所内で発生する含油ダストスラッジ)であることが好ましい。
また、解砕処理とは、凝集して固まった金属含有ダストスラッジを粉粒状に解す処理であり、例えば、粉砕機や撹拌機などを用いて行うことができる。
また、金属含有ダストスラッジが含油ダストスラッジの場合、炉内での処理温度を400℃以上とすることにより、油分が焙焼され、油分濃度を焼結原料としてそのままリサイクルできる程度まで低減させることができるので、炉内での処理温度を400℃以上とすることが好ましい。
この流動層反応炉では、ガス供給管4を通じて分散板5の下側の風箱部6に原料ガス(ガス化剤)が導入され、この原料ガスが分散板5から吹き出すことにより、分散板5の上方に流動媒体による流動層3が形成される。流動層反応炉(流動層)内には、ホッパー7と供給管8を通じて有機物質aが、ホッパー9と供給管10を通じて流動媒体である粉粒体b(事前処理した金属含有ダストスラッジからなる粉粒体)が、それぞれ供給される。この実施形態では、有機物質aと粉粒体bは、それぞれ自由落下で供給されているが、気送で供給してもよい。操業中、有機物質aと粉粒体bは連続的又は間欠的に炉内に供給される。
(1)金属含有ダストスラッジの事前処理が、少なくとも、金属含有ダストスラッジの乾燥処理と、該乾燥処理後の金属含有ダストスラッジを解砕する処理を含むことを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
(2)金属含有ダストスラッジは、乾燥質量で同一金属を50質量%以上含有することを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
(3)金属含有ダストスラッジが、含油ダストスラッジであることを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
(5)粉粒体を流動層反応炉に連続的又は間欠的に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を連続的又は間欠的に炉外に取り出して回収することを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
(6)改質される有機物質が、プラスチック、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
製鉄所の異なる場所で発生した含油ダストスラッジ3サンプルを準備した。これらの含油ダストスラッジは、粉粒分が鉄を主成分とするものであり、試験前に予め油分濃度を測定した(n−ヘキサン抽出法,JIS K0101及びJIS K0102に準拠して測定)。各々のサンプルを4つに分け、発熱試験を実施した。150gのサンプルを1000℃までの耐熱性を有する耐熱容器に入れ、管状電気炉にセットした。サンプル内には、高さ方向3箇所に熱電対をセットした。耐熱容器内に空気を100ml/minで供給し、10℃/minで所定の処理温度まで昇温させた。処理温度を350℃、400℃、450℃、500℃と変えることで計4水準の試験を行った。所定の処理温度まで昇温させた後、その温度に2.5hr保持した。保持後に加熱を止め、冷却した後、再びスラッジ中の油分濃度を測定した。その測定結果を図2に示す。
流動層反応器(内径66mm)において、粉粒分が鉄を主成分とする含油ダストスラッジを流動媒体として用い、廃プラスチックの低分子化反応試験を行った。流動層反応器内に含油ダストスラッジ(T−Fe:50質量%、平均粒径:300μm、真密度:4g/cm3、嵩密度3g/cm3)を反応器内高さ200mmの所まで装入した。含油ダストスラッジは、流動層内で流動化するように、風乾及び風乾後に適度に解砕(粉砕)する事前処理を施した。流動層は外熱式であり、ヒーターで600℃まで加熱した。流動層下部より混合ガス4NL/min(H2:26vol%、CO2:30vol%、H2O:35vol%、N2:9vol%)を供給することで含油ダストスラッジを流動化させた。混合ガスのガス組成は、シフト反応後のガスを想定したものである。流動層反応器上部から反応器内に振動フィーダを用いて廃プラスチックを300g/hで落下させた。この際、廃プラスチックの供給のためにN2を2NL/min供給した。
ガス化ガス(気体燃料)の組成は、CO:5vol%、CO2:20vol%、H2:20vol%、H2O:0vol%、N2:40vol%、C1〜C2:10vol%、C3〜C4:5vol%、LHVは4000Mcal/Nm3、液体燃料生成率は40%であった。また、反応継続中、流動層反応器内などでのプラスチックの融着や閉塞などのトラブルは皆無で、安定して低分子化反応を行うことができた。
2 加熱手段
3 流動層
4 ガス供給管
5 分散板
6 風箱部
7 ホッパー
8 供給管
9 ホッパー
10 供給管
11 排出管
12 排出口
a 有機物質
b 粉粒体
Claims (8)
- 流動層反応炉において有機物質を原料ガスと接触させることにより改質して低分子化する方法であって、
金属含有ダストスラッジに、少なくとも含有水分を低減させる処理を行う事前処理を施すことにより、流動層において流動化可能な粉粒体とし、この粉粒体を流動媒体として流動層反応炉に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を金属源として回収することを特徴とする有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。 - 金属含有ダストスラッジの事前処理が、少なくとも、金属含有ダストスラッジの乾燥処理と、該乾燥処理後の金属含有ダストスラッジを解砕する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 金属含有ダストスラッジは、乾燥質量で同一金属を50質量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 金属含有ダストスラッジが、含油ダストスラッジであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 流動層反応炉内での処理温度が400℃以上であることを特徴とする請求項4に記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 粉粒体を流動層反応炉に連続的又は間欠的に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を連続的又は間欠的に炉外に取り出して回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 改質される有機物質が、プラスチック、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機物質の低分子化処理及び廃棄物の処理方法。
- 流動層反応炉において有機物質を原料ガスと接触させることにより改質して低分子化し、有機物質ガス化ガスを得る方法であって、
金属含有ダストスラッジに、少なくとも含有水分を低減させる処理を行う事前処理を施すことにより、流動層において流動化可能な粉粒体とし、この粉粒体を流動媒体として流動層反応炉に供給するとともに、流動層反応炉で流動媒体として使用した粉粒体を回収し、金属源となる粉粒体を得ることを特徴とする有機物質ガス化ガスと金属源となる粉粒体の製造方法。
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