JP2017071646A - 硬化性シリコーン樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均単位式:
(PhSiO3/2)b1(MeSiO3/2)b2(Me3SiO1/2)b3(01/2Me)b4(O1/2H)b5
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基であり、b1は正数、b2は正数、b3は0または正数、b4は正数、b5は0または正数であり、b1/(b1+b2)は0.2〜0.8の数であり、b3/(b1+b2)は0〜0.3の数であり、(b4+b5)/(b1+b2)は0.1〜0.99の数であり、b4/(b4+b5)は0.25〜1の数である}で表され、分子量1000以下の成分を含む、T単位リッチシリコーン。
【選択図】なし
Description
LED素子を搭載するパッケージには銀メッキされたリフレクタが使用されるので、LED素子封止用のシリコーン樹脂に対しては、銀を変色させる物質である硫黄の透過性が低いことが求められている(特許文献2)。
〔1〕(A)水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を含有し、シロキシ単位の90%以上がD単位であり、かつ、アリール基およびアルキル基を有する、直鎖リッチシリコーンと、(B)T単位のみまたはT単位とM単位のみで構成され、水酸基またはメトキシ基が結合したケイ素原子を含有し、環構造を備える、分子量1000以下の反応性シリコーン化合物と、(C)縮合触媒と、を含有する硬化性シリコーン樹脂。
〔2〕上記直鎖リッチシリコーンは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が4000〜20000である、上記〔1〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔3〕上記(B)反応性シリコーン化合物として、T単位のみからなるシリコーン化合物と、T単位およびM単位のみからなるシリコーン化合物と、を含有する、上記〔1〕または〔2〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔4〕上記(B)反応性シリコーン化合物として、水酸基が結合したケイ素原子を有するシリコーン化合物と、メトキシ基が結合したケイ素原子を有するシリコーン化合物と、を含有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔5〕上記(B)反応性シリコーン化合物として、ケイ素原子に結合したアルキル基と、ケイ素原子に結合したアリール基と、を有するシリコーン化合物を含有する、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔6〕上記直鎖リッチシリコーンがD単位のみを含有する、上記〔1〕〜〔5〕のいずれ
かに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔7〕含有するアリール基の99%以上がフェニル基であり、含有するアルキル基の99%以上がメチル基である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔8〕フェニル基含有量が30〜50重量%であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、上記〔7〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。ここで、3官能ケイ素の有効含有量とは、1官能ケイ素の含有量をCM、3官能ケイ素の含有量をCT、4官能ケイ素の含有量をCQとしたとき、CT−CM+2CQを意味するものとし、以下においても同様とする。
〔9〕当該硬化性シリコーン樹脂が含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、上記〔7〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔10〕上記直鎖リッチシリコーンが含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4である、上記〔7〕〜〔9〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔11〕上記(A)直鎖リッチシリコーンおよび上記(B)反応性シリコーン化合物を含有し上記(C)縮合触媒を含有しない第1液と、上記(A)直鎖リッチシリコーンおよび上記(C)縮合触媒を含有し上記(B)反応性シリコーン化合物を含有しない第2液と、から構成される2液型の硬化性シリコーン樹脂である、上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔12〕上記縮合触媒が有機金属錯体、金属アルコキシドまたは金属有機酸塩を含む、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔13〕上記縮合触媒がGaを含む有機−金属化合物、および、Znを含む有機−金属化合物から選ばれる少なくとも一種の有機−金属化合物を含む、上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔14〕上記縮合触媒が更にZrを含む有機−金属化合物を含む、上記〔13〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔15〕平均単位式:
(PhSiO3/2)b1(MeSiO3/2)b2(Me3SiO1/2)b3(01/2Me)b4(O1/2H)b5
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基であり、b1は正数、b2は正数、b3は0または正数、b4は正数、b5は0または正数であり、b1/(b1+b2)は0.2〜0.8の数であり、b3/(b1+b2)は0〜0.3の数であり、(b4+b5)/(b1+b2)は0.1〜0.99の数であり、b4/(b4+b5)は0.25〜1の数である}
で表され、分子量1000以下の成分を含む、T単位リッチシリコーン。
〔16〕ポリスチレン換算の重量平均分子量が700〜1200である、上記〔15〕に記載のT単位リッチシリコーン。
〔17〕b3/(b1+b2)が0.05以上である、上記〔15〕または〔16〕に記載のT単位リッチシリコーン。
〔18〕(Me3SiO1/2)単位を有するシリコーン化合物と(Me3SiO1/2)単位を有さないシリコーン化合物とを含有する、上記〔17〕に記載のT単位リッチシリコーン。
〔19〕b4/(b4+b5)が0.75以下である、上記〔15〕〜〔18〕のいずれかに記載のT単位リッチシリコーン。
〔20〕上記T単位リッチシリコーンに含まれるシリコーン分子のそれぞれが有するメトキシ基の数をNm、水酸基の数をNhとしたとき、Nm/(Nm+Nh)の分布が単一のピークを有する、上記〔19〕に記載のT単位リッチシリコーン。
〔21〕上記〔15〕〜〔20〕のいずれかに記載のT単位リッチシリコーンと、下記の平均単位式で表されるD単位リッチシリコーンと、縮合触媒とを混合して得られる硬化性シリコーン樹脂:
(Phx1Me3−x1SiO1/2)a1(Phx2Me2−x2SiO2/2)a2(Phx3Me1−x3SiO3/2)a3(SiO4/2)a4(01/2Me)a5(01/2H)a6
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基、x1は0〜3の数、x2は0〜2の数、x3は0〜1の数、a1は0または正数、a2は正数、a3は0または正数、a4は0または正数、a5は0または正数、a6は正数、a2/(a1+a2+a3+a4)は0.9〜1の数、(a5+a6)/(a1+a2+a3+a4)は0.002〜0.2の数である}。
〔22〕上記D単位リッチシリコーンは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が4000〜20000である、上記〔21〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔23〕フェニル基含有量が30〜50重量%であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、上記〔21〕または〔22〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔24〕当該硬化性シリコーン樹脂が含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、上記〔21〕または〔22〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔25〕上記D単位リッチシリコーンが含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4である、上記〔21〕〜〔24〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔26〕上記D単位リッチシリコーンおよび上記T単位リッチシリコーンを含有し上記縮合触媒を含有しない第1液と、上記D単位リッチシリコーンおよび上記縮合触媒を含有し上記T単位リッチシリコーンを含有しない第2液と、から構成される2液型の硬化性シリコーン樹脂である、上記〔21〕〜〔25〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。〔27〕上記縮合触媒が有機金属錯体、金属アルコキシドまたは金属有機酸塩を含む、上記〔21〕〜〔26〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔28〕上記縮合触媒がGaを含む有機−金属化合物、および、Znを含む有機−金属化合物から選ばれる少なくとも一種の有機−金属化合物を含む、上記〔20〕〜〔27〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂。
〔29〕上記縮合触媒が更にZrを含む有機−金属化合物を含む、上記〔28〕に記載の硬化性シリコーン樹脂。
本発明の硬化性シリコーン樹脂は、下記成分(A)〜(C)を含有する組成物である:(A)水酸基が結合したケイ素原子を含有し、シロキシ単位の95%以上がD単位であり
、かつ、アリール基およびアルキル基を有する、直鎖リッチシリコーン;
(B)T単位のみまたはT単位とM単位のみで構成され、水酸基またはメトキシ基が結合したケイ素原子を含有し、かつ、T単位のみで構成された環構造を備える、分子量1000以下の反応性シリコーン化合物;
(C)縮合触媒。
本発明の実施形態には、また、上記成分(A)および(B)を含有する混合物である第1液と、上記成分(A)および(C)を含有する混合物である第2液と、から構成される2液型硬化性シリコーン樹脂が含まれる。この2液型硬化性シリコーン樹脂を使用する際は、第1液と第2液を混合して、成分(A)〜(C)の全てを含有する混合物としたうえで硬化させる。
更に、本発明の硬化性シリコーン樹脂は、必要に応じて3液型、4液型などで有り得る。
実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂における(A)直鎖リッチシリコーンの主たる役割は、光学素子の封止材に必要な柔軟性と靱性を硬化後のシリコーン樹脂に付与することである。
直鎖リッチシリコーンはD単位を主成分とするD単位リッチシリコーンであるが、D単位のみから構成されるものに限定されず、当該シリコーンを構成するシロキシ単位のうちモル比で90%以上、好ましくは95%以上がD単位であればよい。
直鎖リッチシリコーンは、水酸基または加水分解性基(アルコキシ基等)が結合したケイ素原子を平均して1分子中に2個以上有する反応性シリコーンである。
(Phx1Me3−x1SiO1/2)a1(Phx2Me2−x2SiO2/2)a2(Phx3Me1−x3SiO3/2)a3(SiO4/2)a4(01/2Me)a5(01/2H)a6
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基、x1は0〜3の数、x2は0〜2の数、x3は0〜1の数、a1は0または正数、a2は正数、a3は0または正数、a4は0または正数、a5は0または正数、a6は正数、a2/(a1+a2+a3+a4)は0.9〜1の数、(a5+a6)/(a1+a2+a3+a4)は0.002〜0.2の数である}。
これらの直鎖リッチシリコーンは、シリルクロリド法、アルコキシシラン法、開環重合法等の公知の方法を適宜用いることにより製造することが可能である。
直鎖リッチシリコーンとして、ケイ素原子に結合したアリール基のモル数で99%以上がフェニル基、かつ、ケイ素原子に結合したアルキル基のモル数で99%以上がメチル基であるフェニルメチルシリコーンを使用することができるが、その場合、該フェニル基とメチル基のモル比(フェニル基モル数:メチル基モル数)は2:8〜6:4とすることができる。
(B)反応性シリコーン化合物は、T単位のみまたはT単位とM単位のみで構成され、水酸基またはメトキシ基が結合したケイ素原子を含有し、環構造を備える、分子量1000以下のシリコーン化合物である。
この反応性シリコーン化合物は、(A)直鎖リッチシリコーンに混合されその粘性を緩和する、反応性溶剤としての側面を有している。また、この反応性シリコーン化合物が供給する豊富なT単位によって、実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂の硬化物には、ガスバリア性向上に寄与する架橋密度の高い強直なシリコーン骨格が部分的に導入される。
(B)反応性シリコーン化合物の構造例を下記式(6)〜(11)に示す。
(B)反応性シリコーン化合物は主としてT単位で構成されているので、水酸基やアルコキシ基のような反応性基を高密度に含有できると同時に、環構造を備えることができる。
環構造は(B)反応性シリコーン化合物の粘度低減に役立っていると考えられる。なぜなら、シリコーン骨格を環状として分子運動を束縛することにより、極性の強いシラノール水酸基同士の間の自由な相互作用が阻害されるからである。
3官能ケイ素に結合した反応性基はメトキシ基と水酸基のいずれかであればよいが、メトキシ基と水酸基を併存させることが、(B)反応性シリコーン化合物の反応活性と低粘度を両立させるうえでは好ましい。反応性基の全てをメトキシ基とすると、粘度は低下するが反応活性も低下し、また、反応性基の全てを水酸基とすると高粘度化するとともに、反応活性が高くなり過ぎて保存安定性が低下する。
実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂は、(B)反応性シリコーン化合物として1種類のシリコーン化合物のみを含有するものであり得るが、通常は、(B)反応性シリコーン化合物に該当する複数種のシリコーン化合物を含有する。
更に、実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂は、(B)反応性シリコーン化合物として、3官能ケイ素に結合した炭化水素基が様々に異なる複数種のシリコーン化合物を含有し得る。
更に、実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂は、(B)反応性シリコーン化合物として、3官能ケイ素に結合したメトキシ基と水酸基のいずれか一方を有する化合物と、その両方を有する化合物とを含有し得る。また、後者として、メトキシ基と水酸基の数の比率が様々に異なるシリコーン化合物を含有し得る。
、3官能ケイ素に結合したトリメチルシロキシ基を有する化合物と有さない化合物のいずれか一方または両方を含有し得る。
実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂は、(B)反応性シリコーン化合物として、3官能ケイ素原子に結合した有機基がメチルまたはフェニル基のいずれかであるシリコーン化合物のみを含む場合がある。かかる場合においては、(B)反応性シリコーン化合物に該当するシリコーン化合物を全部合わせたときに、その3官能ケイ素原子に結合したメチル基とフェニル基のモル比(メチル基モル数:フェニル基モル数)が1:4〜4:1、特に2:3〜3:2であることが好ましい。
更に、実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂においては、(B)反応性シリコーン化合物に該当するシリコーン化合物を全部合わせたときに、そのトリメチルシロキシ基の含有量が、3官能ケイ素の含有量に対してモル比で5〜30%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。
縮合触媒には各種の有機酸、無機酸を使用することができる他、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Bi(ビスマス)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)などの金属と有機成分を含む、有機金属錯体、金属アルコキシド、金属有機酸塩などを好ましく用いることができる。
チタンを含有する縮合触媒としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
スズを含有する縮合触媒としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルヘキシルマレート)スズ、ジ−ノルマルブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−ノルマルブチルブトキシクロロスズ、ジ−ノルマルブチルジアセトキシスズ、ジ−ノルマルブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズなどが挙げられる。
アルミニウムを含有する縮合触媒としては、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウムなどが挙げられる。
実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂は、加熱すると、主として(A)直鎖リッチシリコーンと(B)反応性シリコーン化合物との間、および、(B)反応性シリコーン化合物同士の間に結合が形成されることによって、3次元架橋構造を備えた硬化物となる。
硬化性シリコーン樹脂が含有する(A)直鎖リッチシリコーンと(B)反応性シリコーン化合物の重量比は、例えば、8:2〜2:8とすることができ、好ましくは3:7〜4:6である。 硬化性シリコーン樹脂が含有する(C)縮合触媒の量は、例えば、成分(A)および(B)の合計重量100重量部に対して0.03重量部〜1.0重量部とすることができる。(C)縮合触媒の種類は1種類に限られるものではなく、2種以上の縮合触媒を様々な比率で組み合わせて用いることができる。
(PhSiO3/2)b1(MeSiO3/2)b2(Me3SiO1/2)b3(01/2Me)b4(O1/2H)b5
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基であり、b1は正数、b2は正数、b3は0または正数、b4は正数、b5は0または正数であり、b1/(b1+b2)は0.2〜0.8の数であり、b3/(b1+b2)は0〜0.3の数であり、(b4+b5)/(b1+b2)は0.1〜0.99の数であり、b4/(b4+b5)は0.25〜1の数である}で表され、分子量1000以下の成分を含む、T単位リッチシリコーンと、
平均単位式:
(Phx1Me3−x1SiO1/2)a1(Phx2Me2−x2SiO2/2)a2(Phx3Me1−x3SiO3/2)a3(SiO4/2)a4(01/2Me)a5(01/2H)a6
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基、x1は0〜3の数、x2は0〜2の数、x
3は0〜1の数、a1は0または正数、a2は正数、a3は0または正数、a4は0または正数、a5は0または正数、a6は正数、a2/(a1+a2+a3+a4)は0.9〜1の数、(a5+a6)/(a1+a2+a3+a4)は0.002〜0.2の数である}で表されるD単位リッチシリコーンと、縮合触媒と、を混合することにより得られる硬化性シリコーン樹脂である。
T単位リッチシリコーンは、(Me3SiO1/2)単位を有するシリコーン化合物(トリメチルシロキシ基を有するシリコーン化合物)を含むとき低粘度となるので、b3/(b1+b2)は好ましくは0.05以上である。(Me3SiO1/2)単位の含有量が多過ぎるとT単位リッチシリコーンの反応性が低下するので、b3/(b1+b2)は0.3以下であることが好ましく、また、T単位リッチシリコーンが(Me3SiO1/2)単位を有するシリコーン化合物と有さないシリコーン化合物とを含有することが好ましい。
上記T単位リッチシリコーン、D単位リッチシリコーンおよび触媒を混合して得られる硬化性シリコーン樹脂は、フェニル基含有量が30〜50重量%であることが好ましい。あるいは、含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4であることが好ましい。
フェニル基含有量あるいはフェニル基とメチル基のモル比と、3官能ケイ素の有効含有量を上記好ましい範囲内とした硬化性シリコーン樹脂は、その硬化物が特に優れたガスバリア性を示すものとなる。
、D単位リッチシリコーンに縮合触媒を溶解させたものを第2液としたものである。
縮合触媒には、有機金属錯体、金属アルコキシド、金属有機酸塩のような有機−金属化合物を好ましく用いることができる。特に、GaまたはZnを含む有機−金属化合物は、3官能ケイ素を豊富に含むシリコーン樹脂や、フェニル基を豊富に含むシリコーン樹脂の硬化触媒として好適である。一方、Zrを含む有機−金属化合物は末端シラノールを有する直鎖シリコーンを豊富に含むシリコーン樹脂の硬化触媒として好適である。
実施形態に係る硬化性シリコーン樹脂を硬化させる場合、縮合反応に伴い生成する水、メタノール等の脱離物質が気泡となって硬化物中に残らないように、温度を徐々に上げながら硬化させることが望ましい。例えば、80〜90℃で1〜2時間、110〜130℃で1〜2時間、160〜180℃で2時間、という具合に、段階的に温度を上げていく。
本発明の硬化性シリコーン樹脂は、無機または有機の発光素子を初めとする様々な光学素子の封止や、表面保護コーティングに用いることができる。
更に、本発明の硬化性シリコーン樹脂を素材に用いて、レンズ、導光板、光拡散板のような光学デバイスを作製することも可能である。
その他、本発明の硬化性シリコーン組成物は、光学素子用の接着剤に用いることもできる。
緑色蛍光体の好適例にはY3(Al,Ga)5O12:Ce、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、β型サイアロン:Eu、Sr3Si13
Al3O2N21:Eu、Sr5Al5Si21O2N35:Eu、(Ba,Ca,Sr)3Si6O12N2:Eu、(Ba,Ca,Sr)3Si6O9N4:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Eu等がある。
体」等がある。
3.実験結果(I)
3.1 T単位リッチシリコーンの合成例
T単位リッチシリコーンを下記手順で合成した。
(1)反応容器中でトルエン:89.4g、メタノール:89.4g、フェニルトリメトキシシラン(PTMS):198g(1.00mol)、トリメチルエトキシシラン(TMES):23.6g(0.200mol)を混合後、氷浴を用いて混合物の温度を5℃以下とした。
(3)反応容器内にメチルトリメトキシシラン(MTMS):136g(1.00mol)を滴下し、その後10分間撹拌した。
(4)反応容器内に1NHClaq:18.7gとメタノール:22.4gの混合溶液を滴下し、その後10分間撹拌した。
(6)反応混合物をトルエンおよび酢酸エチルで希釈のうえ、洗浄液の導電率が10μS未満かつpHが7となるまで脱イオン水による洗浄を行った。洗浄後、反応混合物を減圧下で60℃に加熱して溶媒を留去した。
(1)反応容器中で脱イオン水:165g、酢酸:1.65g(0.0275mol)およびメタノール:165gを混合した後、該混合物に対して、上記3.1.1で得たシリコーンの半分(110g)をTHF:300gに溶解させた溶液を投入し、均一化するまで撹拌した。
*サンプリングした反応混合物を酢酸エチルで希釈のうえ、脱イオン水で洗浄した。洗浄後、反応混合物を50℃に加熱し、エバポレータを用いた溶媒留去、真空ポンプを用い
た乾燥を順次行った。こうして反応混合物から取り出したシリコーンを重アセトンに溶解して1H‐NMR分析を行い、メトキシ基のシグナル(3.5ppm付近)とフェニル基のシグナル(7〜8ppm)の強度比に基づいて残存メトキシ基量を算出した。
(4)反応混合物を酢酸エチルで希釈し、洗浄液の導電率が10μS未満かつpHが7となるまで脱イオン水による洗浄を行った。洗浄後、No.5C濾紙を用いて濾過した。
(5)反応混合物の温度が50℃を超えないように加熱しながらロータリーエバポレータを用いて溶媒留去した後、真空ポンプを用いて減圧しつつ、流量200mL/minで窒素バブリングをしながら75℃に加熱することにより、シリコーン中に残留した溶媒を完全に除去した。操作終了後、シリコーンから酢酸エチルが検出されないことを1H−NMRにより確認した。
(1)GPC
上記手順にて得たT単位リッチシリコーンのポリスチレン換算の重量平均分子量をGPCにより測定した。その結果、試作ロットによる変動が見られたが、720〜1150の範囲内であった。
上記手順にて得たT単位リッチシリコーンのNMR分析を、500MHz−NMR(Varian Inova 500)を用いて行った。29Si−NMR測定は、溶媒に重クロロホルム、緩和試薬にCr(acac)3を用い、ヘキサメチルジシロキサン(7.22ppm)を化学シフト基準として、温度25℃にて行った。1H−NMR測定は、溶媒に重DMSOを用い、DMSO(2.50ppm)を化学シフト基準として、温度25℃にて行った。
上記手順にて得たT単位リッチシリコーンの粘度を東京計器(株)製E型粘度計EHDを用いて測定した。その結果、25℃における粘度は1400mPa・sであった。
(4)MALDI−TOF質量分析
上記手順にて得たT単位リッチシリコーンの質量分析をMALDI−TOF型質量分析器(Applied Biosystems Voyager−DE STR)を用いて行った。条件は、イオン化法:MALDI(正イオンモード)、加速電圧:20kV、イオン化収束モード:リフレクターモード、マトリックス:DHB(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)とした。
測定の結果得られたシリコーン化合物の推定構造の一部を図2〜図5に示す。
D単位リッチシリコーンを下記手順で合成した。
3.2.1 シリコーン形成
(1)反応容器中でIPA(イソプロピルアルコール):31.8g、ジフェニルジメトキシシラン:146g(0.601mol)、ジメチルジメトキシシラン:140g(1.17mol)、脱イオン水:636g(35.3mol)を混合した。
(3)温度を80℃に保持したまま、反応混合物にIPA:1.18gおよびジメチルジメトキシシラン:10.6g(0.0883mol)の混合溶液を加え、更に3時間撹拌した。
(5)加熱を停止し、反応混合物の温度が50℃未満となったところで、10%NaH2PO4aqを反応容器内に投入し中和した。
(6)トルエン:200mLを反応容器内に投入し撹拌した後、反応容器の内容物を分液ロートに移し、水相を除去した。次いで、有機相(反応混合物)を10%NaH2PO4aqでもう一度洗浄し、更に、洗浄液の導電率が10μS未満となるまで脱イオン水で洗浄した。
(7)減圧下で加熱することにより反応混合物から溶媒を留去した。
(1)上記3.2.1で得たシリコーン96.9gと、THF(テトラヒドロフラン):129gおよびIPA:129gを反応容器中で均一となるまで撹拌した。
(2)反応容器内に更に1NHClaq(1規定塩酸水溶液)64.6gを投入した後、反応混合物を75℃に加熱して撹拌した。サンプリング測定により、反応混合物中のシリコーンからメトキシ基の消失が確認されるまで加熱および撹拌を続けた。
(3)加熱を停止後、反応混合物の温度が40℃以下となったところで、10%NaHCO3aq:59.7gを反応容器内に滴下した。次いで、10%NaH2PO4aq:31.0gを反応容器内に滴下し、pHが5〜7となったことを確認後、減圧下で加熱して溶媒を留去した。
(5)減圧下で加熱することにより反応混合物から溶媒を留去した。
3.2.3 環状体の除去
(1)3.2.2でメトキシ基を除去したシリコーン50〜70gに対し、メタノール675g/脱イオン水75gの混合溶液を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した。次いで室温で静置し、上澄みを除去した。
(3)環状体の含有量が5重量%以下となったシリコーンをトルエンに溶解し、No.5C濾紙を用いて濾過した。
(4)ロータリーエバポレータを用いて溶媒留去した後、真空ポンプを用いて減圧しつつ、流量200mL/minで窒素バブリングをしながら加熱することにより、シリコーン中に残留した溶媒を完全に除去した。溶媒留去の際の加熱温度は操作終了後、シリコーンからトルエンが検出されないことを1H−NMRにより確認した。
上記手順にて得たD単位リッチシリコーンの粘度を、東京計器(株)製E型粘度計EHDを用いて測定した。その結果、25℃における粘度は10000mPa・sであった。
上記3.1で合成したT単位リッチシリコーン:2.2g、上記3.2で合成したD単位リッチシリコーン:1.8g、ガリウムトリアセチルアセトネート:0.006g、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート:0.004gを混合した。混合直後の混合物2.0gを直径5cmのPFA製シャーレに注ぎ入れ、50℃で2時間、次いで70℃で1時間、次いで120℃で1時間、次いで170℃で2時間保持して硬化させたところ、厚さ約0.7mmの円板状の硬化物が得られた。JIS K6253に準拠してこの硬化物のデュロメータ硬さを測定したところA58であった。
下記表1に記す4種類の硬化性シリコーン樹脂組成物(組成物1〜4)を作製した。これらの組成物に用いたT単位リッチシリコーンおよびD単位リッチシリコーンの合成は、それぞれ上記3.1および3.2で説明した合成例に準じて行った。
おもて側にLEDチップを収納するための窪みを有し、銀メッキされたリードフレームが該窪みの底面部に露出しているSMD型LEDパッケージを用いた。このLEDパッケージの窪みに硬化性シリコーン樹脂組成物(組成物1〜3)を滴下し、加熱して硬化させることにより、該リードフレームの表面を厚さ約1mmの硬化物で被覆したものをサンプルとした。
このシャーレをスライドガラスごと蓋付きの大型シャーレ(直径15cm、深さ4.5cm)中に入れ、フッ素樹脂製のシールテープを用いて密封した。この大型シャーレを90℃の恒温槽中で2.5時間保持した後、パッケージサンプルを取り出して、リードフレームの変色状態を目視で観察した。
本発明は、本明細書に明示的または黙示的に記載された実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更して実施することができる。
11 リードフレーム
12 リフレクタ
20 LEDチップ
30 ボンディングワイヤ
40 封止材
100 発光デバイス
Claims (15)
- 平均単位式:
(PhSiO3/2)b1(MeSiO3/2)b2(Me3SiO1/2)b3(01/2Me)b4(O1/2H)b5
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基であり、b1は正数、b2は正数、b3は0または正数、b4は正数、b5は0または正数であり、b1/(b1+b2)は0.2〜0.8の数であり、b3/(b1+b2)は0〜0.3の数であり、(b4+b5)/(b1+b2)は0.1〜0.99の数であり、b4/(b4+b5)は0.25〜1の数である}で表され、分子量1000以下の成分を含む、T単位リッチシリコーン。 - ポリスチレン換算の重量平均分子量が700〜1200である、請求項1に記載のT単位リッチシリコーン。
- b3/(b1+b2)が0.05以上である、請求項1または2に記載のT単位リッチシリコーン。
- (Me3SiO1/2)単位を有するシリコーン化合物と(Me3SiO1/2)単位を有さないシリコーン化合物とを含有する、請求項3に記載のT単位リッチシリコーン。
- b4/(b4+b5)が0.75以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のT単位リッチシリコーン。
- 上記T単位リッチシリコーンに含まれるシリコーン分子のそれぞれが有するメトキシ基の数をNm、水酸基の数をNhとしたとき、Nm/(Nm+Nh)の分布が単一のピークを有する、請求項5に記載のT単位リッチシリコーン。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のT単位リッチシリコーンと、下記の平均単位式で表されるD単位リッチシリコーンと、縮合触媒とを混合して得られる硬化性シリコーン樹脂:
(Phx1Me3−x1SiO1/2)a1(Phx2Me2−x2SiO2/2)a2(Phx3Me1−x3SiO3/2)a3(SiO4/2)a4(01/2Me)a5(01/2H)a6
{式中、Phはフェニル基、Meはメチル基、x1は0〜3の数、x2は0〜2の数、x3は0〜1の数、a1は0または正数、a2は正数、a3は0または正数、a4は0または正数、a5は0または正数、a6は正数、a2/(a1+a2+a3+a4)は0.9〜1の数、(a5+a6)/(a1+a2+a3+a4)は0.002〜0.2の数である}。 - 上記D単位リッチシリコーンは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が4000〜20000である、請求項7に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- フェニル基含有量が30〜50重量%であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、請求項7または8に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- 当該硬化性シリコーン樹脂が含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:4であり、かつ、3官能ケイ素の有効含有量が4.0〜8.0mmol/gである、請求項7または8に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- 上記D単位リッチシリコーンが含有するフェニル基とメチル基のモル比が2:8〜6:
4である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン樹脂。 - 上記D単位リッチシリコーンおよび上記T単位リッチシリコーンを含有し上記縮合触媒を含有しない第1液と、上記D単位リッチシリコーンおよび上記縮合触媒を含有し上記T単位リッチシリコーンを含有しない第2液と、から構成される2液型の硬化性シリコーン樹脂である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- 上記縮合触媒が有機金属錯体、金属アルコキシドまたは金属有機酸塩を含む、請求項7〜12のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- 上記縮合触媒がGaを含む有機−金属化合物、および、Znを含む有機−金属化合物から選ばれる少なくとも一種の有機−金属化合物を含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン樹脂。
- 上記縮合触媒が更にZrを含む有機−金属化合物を含む、請求項14に記載の硬化性シリコーン樹脂。
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