JP2017071251A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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祐司 三角
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Abstract

【課題】(a)モータを動力源とする電動ブレーキ装置と(b)その電動ブレーキ装置が有する摩擦部材の摩耗を検知する摩耗検知器とを備えた車両用ブレーキシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】摩耗検知器による摩耗度合いの検出を、その検出が行われる電動ブレーキ装置が設けられた車輪以外の車輪に対応するブレーキ装置が発生させるブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる状況下において、実行させる。摩耗度合いの検出を行う際、その検出を行うブレーキ装置のブレーキ力を0としても車両が動き出すようなことがなく、摩耗度合いの検出を安全に行うことができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータを動力源とする電動ブレーキ装置を備えた車両用ブレーキシステムに関し、特に、その電動ブレーキ装置が有する摩擦部材の摩耗検知手段に関する。
下記特許文献には、(a)摩擦部材と、(b)車輪とともに回転する回転体と、(c)動力源としてのモータと、(d)そのモータによって前進・後退させられる駆動部材とを有し、モータが駆動部材を前進させることによって摩擦部材を回転体に押圧することで、ブレーキ力を発生させる電動ブレーキ装置が記載されている。そして、それら下記特許文献には、摩擦部材の摩耗度合いを検出して、その摩擦部材の摩耗を検知する摩耗検知器が記載されている。
特開2000−234641号公報 特開2015−21508号公報 特開平11−208799号公報
上記特許文献1に記載のシステムでは、モータによって、一旦、駆動部材を後退端まで後退させた後、その駆動部材を摩擦部材が回転体に当接して停止するまで前進させ、その際の駆動部材の後退端から停止するまでに前進した距離に基づいて、摩擦部材の摩耗量を検出するように構成されている。つまり、そのシステムでは、一旦、駆動部材を後退端まで後退させるため、摩耗検知を行う電動ブレーキ装置が発生させるブレーキ力が、一旦、0となることが問題となる。したがって、その問題に対処することで、電動ブレーキ装置と摩耗検知器とを備えた車両用ブレーキシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的な車両用ブレーキシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用ブレーキシステムは、摩耗検知器による摩耗度合いの検出を、その検出が行われる電動ブレーキ装置が設けられた車輪以外の車輪に対応するブレーキ装置が発生させるブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる状況下において行うことを特徴とする。
本発明の車両用ブレーキシステムは、摩耗検知器による摩耗度合いの検出が、その検出が行われる電動ブレーキ装置が設けられた車輪以外の車輪のうちの少なくとも1つのものに対応するブレーキ装置が発生させるブレーキ力によって、車両の停止状態を維持できる状況下においてのみ行われるため、摩耗度合いの検出のために摩耗検知を行う電動ブレーキ装置が発生させるブレーキ力が0となっても、車両が動き出してしまうような事態を回避することができる。したがって、本発明の車両用ブレーキシステムによれば、摩耗検知処理を行う際の安全性を確保することが可能である。
なお、摩耗度合いの検出が行われる電動ブレーキ装置が設けられた車輪以外の車輪に設けられたブレーキ装置は、電動ブレーキ装置に限らず、液圧式のブレーキ装置であってもよい。また、車両の停止状態を維持するために、他の車輪に設けられたブレーキ装置が発生させるブレーキ力は、サービスブレーキのブレーキ力や、パーキングブレーキのブレーキ力のいずれかであってもよく、それらの両者であってもよい。
本発明の実施例である車両用ブレーキシステムを表す図(一部断面図)である。 図1に示すディスクブレーキ装置の作動状態を示す図であり、(a)がディスクブレーキ装置が作動していない状態、(b)がサービスブレーキとして作動している状態、(c)がパーキングブレーキとして作動している状態を示す図である。 図1の車両用ブレーキシステムの制御を司るブレーキ電子制御ユニットにおいて実行される摩耗検知処理プログラムのフローチャートを示す図である。 図3に示す摩耗検知処理プログラムにおいて実行される摩耗検知許容判定サブルーチンを表すフローチャートである。 図3に示す摩耗検知処理プログラムにおいて実行される摩耗量検出処理サブルーチンを表すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<ブレーキシステムの構成>
本発明の実施例である車両用ブレーキシステムは、4つの車輪うち2つの後輪の各々に対応して、図1に示すディスクブレーキ装置10を含んで構成される。各後輪に設けられたディスクブレーキ装置10は、パーキングブレーキおよびサービスブレーキの両者として作動させられるものである。また、2つの前輪に対応するディスクブレーキ装置は、図示は省略するが、液圧式のディスクブレーキ装置であって、サービスブレーキとしてのみ作動させられるものである。各後輪に設けられたディスクブレーキ装置10は、車輪とともに回転する回転体としてのディスクロータ12と、車体に固定的に設けられたステアリングナックル(図示省略)にディスクロータ12に対して接近・離間可能に保持された摩擦部材としての1対のブレーキパッド14,16と、それらディスクロータ12および1対のブレーキパッド14,16に跨がる状態でステアリングナックル(図示省略)に固定されたキャリパ18とを含んで構成される。ディスクブレーキ装置10は、キャリパ18が、1対のブレーキパッド16,18によってディスクロータ12を挟み込むようにして、制動力を発生させる。
キャリパ18は、キャリパ本体20と、ピストン22とを備えている。キャリパ本体20は、シリンダボアを形成するシリンダ部24と、1対のブレーキパッドの一方16に当接するリアクション部26と、それらシリンダ部24とリアクション部26とを連結する連結部28とから構成される。そのキャリパ本体20のシリンダ部24に、ピストン22が液密かつ軸線方向に摺動可能に嵌合される。キャリパ本体20のシリンダ部24、ピストン22等によってブレーキシリンダ30が構成されており、それらシリンダ部24とピストン22との間に液圧室32が形成されている。
液圧室32には、液圧源40が液圧制御ユニット42を介して接続される。液圧源40は、運転者のブレーキ操作によって液圧を発生させるマスタシリンダと、ポンプ装置等の動力の供給により液圧を発生させる動力式液圧源との少なくとも一方を含むものとすることができる。液圧制御ユニット42は、複数の電磁弁を含むものとすることができ、液圧制御ユニット42の制御により、液圧室32の液圧が制御される。
ピストン22は、有底円筒状を成したものであり、軸方向に延び、かつ、底部がブレーキパッド側に位置する姿勢で配設される。ピストン22の内周側には、駆動部材としてのナット部材50が、ピストン22に対して相対移動可能かつ相対回転不能な状態で保持される。ナット部材50は、運動変換機構52,回転伝達機構54を介して電動モータ56(以下、単に「モータ56」と呼ぶ場合ある。)に連結され、モータ56により前進・後退させられてピストン22に対して相対移動させられる。
運動変換機構52は、ナット部材50の内周面に形成された雄ねじ60と回転軸(スピンドル)62の外周面に形成された雌ねじ64とを含んで構成されるねじ機構を主体とするものであり、回転軸62の回転によってナット部材50を軸線方向に移動させるものである。なお、回転軸62は、キャリパ本体20に相対回転可能に保持されている。回転伝達機構54は、一対のギヤ66,68を有するものであり、モータ56の回転を、回転軸62伝達するものである。モータ56は、キャリパ本体20のシリンダ部24の下側に、それの出力軸70が回転軸62と平行な姿勢で配設される。そして、出力軸70の一端にギヤ66が固定されるとともに、回転軸62の一端にギヤ68が固定され、それらが螺合させられており、モータ56の回転が、回転軸62に伝達されるのである。ちなみに、運動変換機構52は、モータ56に電流が供給されない状態で、ピストン22を介してナット部材50に軸方向の力が加えられても、回転軸62は回転させられない、つまり、モータ56が回転させられないようになっている。
本車両用ブレーキシステムは、制御装置としてのブレーキ電子制御ユニット100(以下、「ブレーキECU100」という場合がある。)によって、ディスクブレーキ装置10の制御が行われる。ブレーキECU100は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものであり、液圧制御ユニット42、および、駆動回路102を介してモータ56等が接続される。また、ブレーキECU100には、液圧室36の液圧を検出する液圧センサ110,パーキングブレーキスイッチ112,サービスブレーキスイッチ114,ブレーキ操作量センサ116,モータ56に流れる電流を検出する電流センサ118,モータ56の電圧を検出する電圧センサ120,車両の加速度を検出するための加速度センサ122等が接続される。なお、パーキングブレーキスイッチ112は、運転者によって操作可能なものであり、パーキングブレーキのロック(ブレーキ作用)を指示する場合、リリース(ブレーキ解除)を指示する場合に操作される。サービスブレーキスイッチ114は、運転者によって操作可能なサービスブレーキの操作部材124が操作状態にあるか非操作状態にあるかを検出するものである。ブレーキ操作量センサ116は、サービスブレーキの操作部材124の操作ストロークを検出するものである。
<ディスクブレーク装置の作動>
以上のように構成されたディスクブレーキ装置10の作動について簡単に説明する。ディスクブレーキ装置10は、ピストン22がブレーキシリンダ30の液圧によって作動させられることにより、サービスブレーキとして作動し、ピストン22がナット部材50からの駆動力(モータ56の駆動力)によって作動させられることにより、パーキングブレーキとして作動する。
まず、ディスクブレーク装置10が作動していない状態においては、ナット部材50およびピストン22が、図2(a)示す0点位置にある。具体的に言えば、ナット部材50およびピストン22は、可動範囲における後退端位置(図2における右側の位置)に位置している。
サービスブレーキの操作部材124に作用操作(ブレーキを作用させるための操作)がなされた場合には、ブレーキシリンダ30の液圧室32に液圧が供給され、図2(b)に示すように、ピストン22が前進(図2における左側への移動)させられる。なお、モータ56は停止状態にあるため、ナット部材50は0点位置に保持される。ピストン22の前進により、パッド14がディスクロータ12に押し付けられる。キャリパ18が後退方向へ相対移動させられ、リアクション部26によりパッド16がディスクロータ12に押し付けられ、ディスクロータ12の摩擦面に1対のパッド14,16が押し付けられる。そして、車輪には、1対のパッド14,16のディスクロータ12に対する押付力に応じたブレーキ力が加えられ、車輪の回転が抑制される。なお、そのブレーキ力の制御は、ブレーキ操作量センサ116によって検出されたサービスブレーキ操作部材124の操作ストローク等に基づいて目標液圧が決定され、液圧センサ110による検出値が目標液圧に近づくように、液圧制御ユニット42が制御されることで行われる。
ちなみに、サービスブレーキの操作部材124の解除操作(ブレーキを解除するための操作)がされると、液圧氏32の液圧が小さくなり、液圧室32液圧が大気圧になると、ピストン22は0点位置まで後退させられることになる。
一方、パーキングブレーキスイッチ112のロック操作が行われた場合等のパーキングブレーキの作用要求がある場合には、図2(c)に示すように、モータ56が回転させられて、ナット部材50が前進させられる。詳しく言えば、前進させられたナット部材50は、前端面13がピストン22の内底面132に当接させられる。その後、ピストン22およびナット部材50は、モータ56の作動により一体的に前進させられる。モータ56は、電流センサ118による検出値が目標電流に達すると、停止させられる。
なお、パーキングブレーキをロックさせる場合、サービスブレーキが作用していない状態と、サービスブレーキが作用している状態とがある。サービスブレーキが作用している状態にある場合には、車輪には、サービスブレーキ力とパーキングブレーキ力との両方が加えられる。ピストン22にはブレーキシリンダ30の液圧と、ナット部材50を介して加えられるモータ56の駆動力との両方が加えられるのであり、1対のパッド14,16は、ピストン22を介して加えられた、液圧に応じた押付力とモータ56の駆動力に応じた押付力との和によってディスクロータ12に押し付けられる。また、ブレーキシリンダ30の液圧が大気圧に戻され、モータ56に電流が供給されなくなっても、先に説明した運動変換機構52によってモータ56は回転させられないため、車輪に加えられていたサービスブレーキ力とパーキングブレーキ力との両者が保持される。そして、パーキングブレーキスイッチ112のリリース操作が行われた場合には、モータ56がロック時とは逆方向に回転させられ、ナット部材50が後退させられる、ナット部材50およびピストン22が0点位置まで戻される。
<ブレーキパッドの摩耗検知>
本ブレーキシステムでは、各ブレーキ装置10の点検処理、詳しく言えば、ブレーキパッド14,16の摩耗検知処理が行われるようになっている。本ブレーキシステムは、1対のブレーキパッド14,16の摩耗度合いを検出して、摩耗度合いが定められた状態より大きい場合に、警告を出すようになっている。以下に、そのブレーキパッド14,16の摩耗検知処理について、詳しく説明する。
ブレーキパッド14,16の摩耗検知処理は、パーキングブレーキを用いて、つまり、モータ56を用いて行われる。例えば、モータ56によってナット部材50を後退端位置から前進させた場合、1対のブレーキパッド14,16が摩耗していない状態では、ナット部材50が所定の距離Sだけ前進して、ブレーキパッド14,16がディスクロータ12に押し付けられ、ナット部材50が停止することになる。そして、ブレーキパッド14,16が摩耗すると、ブレーキパッド14,16の厚みが減るため、ナット部材50が、後退端位置からブレーキパッド14,16がディスクロータ12に押し付けられて停止するまでに前進する距離Sは、初期値Sより長くなる。つまり、ナット部材50の現時点におけるストロークSと初期値Sとの差から、ブレーキパッド14,16の摩耗量を検出することができるのである。本システムでは、ナット部材50のストロークSに対して、閾値Sthを定め、ストロークSが閾値Sthを超えた場合に、警告が出されるようになっている。
なお、ナット部材50のストロークSは、詳しい説明は省略するが、電流センサ118によって検出されたモータ56に流れる電流Iと電圧センサ120によって検出されたモータ56の電圧Vとに基づいて、モータ56の回転速度が推定され、そのモータ56の回転速度の積算値に基づいて、ナット部材50のストロークSが推定されるようになっている。
具体的には、ブレーキパッド14,16の摩耗検知処理は、まず、モータ56によってナット部材50を、一旦、後退端位置まで移動させる。その後、モータ56によって、ナット部材50を前進させる。そして、モータ56の回転速度に基づいてモータ56が回転しないこと、つまり、ナット部材50が停止したことが確認された場合に、その時点でのストロークSが、閾値Sthと比較されるようになっている。
ちなみに、閾値Sthは、基本的には、ブレーキパッド14,16の諸元に基づいて、そのブレーキパッド1枚当たりの摩耗量の限界値Lに対し、次式で設定されている。
閾値Sth=S+2L
ただし、本システムでは、ブレーキパッドの交換等の際に、閾値Sthをユーザーによっても設定可能とされている。そして、ユーザーによって設定された閾値である入力閾値Sが、上記の初期閾値(S+2L)より小さい場合に、閾値Sthとして用いられるようになっている。
ブレーキパッド14,16の摩耗検知処理は、上述のように、その点検処理が行われるブレーキ装置10に対して、一旦、ナット部材50を後退端位置まで移動させるため、そのブレーキ装置10に対応する車輪のパーキングブレーキのブレーキ力が0となる。つまり、検知処理を行なうタイミングが重要となる。本ブレーキシステムでは、4つの車輪のうちの点検処理が行われる車輪以外のものに対応する制動装置のブレーキ力によって車両を停止させた状態を維持できる状況下において、ブレーキパッドの摩耗検知処理が行われるようになっている。
詳しく言えば、まず、本ブレーキシステムでは、ブレーキパッドの摩耗検知処理は、(i)イグニッションスイッチがON状態にない場合、もしくは、(ii)イグニッションスイッチがON状態で、かつ、シフトレンジがパーキングあるいはニュートラルにある場合にのみしか、行われないようになっている。そして、ブレーキパッドの摩耗検知処理は、2つの後輪のうちの一方に対応するブレーキ装置10の点検処理を行う際には、点検処理が行われない他方の後輪に対応するブレーキ装置10のパーキングブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる場合、あるいは、点検処理を行う車輪以外のものに対応するブレーキ装置のサービスブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる場合に、行われる。また、2つの後輪の両者に対応するブレーキ装置10の点検処理を同時に行う際には、2つの前輪に対応するブレーキ装置のサービスブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる場合に、行われる。
また、4つの車輪のうちの点検処理が行われる車輪以外のものに対応するブレーキ力によって車両を停止させた状態を維持できるか否かは、以下のように判断される。まず、車両に設けられた加速度センサ122の検出結果に基づいて、車両の傾斜角が推定され、車両を停止させた状態を維持するために必要なブレーキ力である停車維持ブレーキ力Fが算出される。そして、上述した点検処理が行われない車輪が発生可能なブレーキ力Fと比較され、その発生可能ブレーキ力Fが停車維持ブレーキ力Fより大きい場合に、摩耗検知処理が行われるようになっているのである。
<制御プログラム>
上述したブレーキパッドの摩耗検知処理は、図3にフローチャートを示す摩耗検知処理プログラムが実行されることによって行われる。このプログラムでは、まず、ステップ1および2(以下、「ステップ」を「S」と省略する。)において、摩耗検知処理を行う必要があるか否かが判断される。S1においては、ナット部材50のストロークの初期値Sが設定されているか否かが判定され、初期値Sが設定されていない場合には、その初期値S0を設定するために、S3以下の処理が実行される。また、S2においては、例えば、前回の摩耗検知処理から設定された期間が過ぎているか否か等により、摩耗検知処理を行う必要があるか否かの判定が行われる。そして、閾値Sthを更新する必要がある場合に、S3以下の処理が実行される。なお、S2の判定は、前回からの走行距離や車両の始動回数に基づくものであってもよく、ブレーキ装置10に掛かった負荷の大きさ等に基づくものであってもよい。
摩耗検知処理は、まず、S3において、摩耗検知処理を実行可能な状況下にあるか否かの判定が行われる。その判定は、図4にフローチャートを示す摩耗検知許容判定サブルーチンが実行されることによって行われる。そのサブルーチンでは、まず、S11において、イグニッションスイッチがON状態か否かが判定されるとともに、S12において、シフトレンジがパーキングまたはニュートラルにあるか否かが判定される。イグニッションスイッチがON状態でない、あるいは、イグニッションスイッチがON状態であっても、シフトレンジがパーキングまたはニュートラルにある場合にのみ、S13以下の処理が行われる。S13においては、加速度センサ122の検出結果に基づいて車両の傾斜角が推定され、その車両の傾斜角に基づいて停止維持ブレーキ力Fが算出される。
次いで、S14において、2つの後輪の各々に対応するブレーキ装置10の点検を同時に行っているか否かの判定が行われる。同時に点検する場合には、S15において、2つの前輪に対応する2つのブレーキ装置のサービスブレーキによる発生可能ブレーキ力Fが取得され、S16において、その発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上か否かの判定が行われる。そして、発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上である場合には、S17において、2つの前輪に対応する2つのブレーキ装置の各々に、それらのサービスブレーキ力が停止維持ブレーキ力Fとなるように、制御指令が出される。
一方、S14において同時に点検していないと判定された場合には、S18において、点検していない後輪に対応するブレーキ装置10のパーキングブレーキによる発生可能ブレーキ力Fが取得され、S19において、その発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上か否かの判定が行われる。そして、発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上である場合には、S20において、点検していない後輪に対応するブレーキ装置10に、パーキングブレーキをロックさせる制御指令が出される。また、S19において、点検していない後輪に対応するブレーキ装置10のパーキングブレーキによる発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力Fより小さいと判定された場合には、まず、S21において、点検していない3つの車輪に対応するブレーキ装置のサービスブレーキによる生可能ブレーキ力Fが取得される。次いで、S22において、その発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上か否かの判定が行われ、発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力F以上である場合には、S22において、3つの車輪に対応するブレーキ装置の各々に、それらのサービスブレーキ力が停止維持ブレーキ力Fとなるように、制御指令が出される。
なお、S16およびS22において、発生可能ブレーキ力Fが停止維持ブレーキ力Fより小さいと判定された場合には、摩耗検知処理を実行可能な状況下となるまで、本サブルーチンが最初から繰り返し実行されるようになっている。
摩耗検知許容判定サブルーチンにおいて、摩耗検知処理を実行可能な状況下にあると判定された場合には、摩耗検知処理プログラムのS4において、摩耗量検出処理が行われる。その摩耗量検出処理は、図5にフローチャートを示す摩耗量検出処理サブルーチンが実行されることによって行われる。そのサブルーチンでは、まず、S31において、モータ56に、ブレーキをリリースする向きに回転させるための電流供給が行われ、続く、S32において、モータ56が回転を停止したか否かの判定が行われる。そして、モータ56の回転が停止するまで電流供給が継続され、モータ56の回転が停止したと判定された場合、つまり、ナット部材56が後退端位置まで移動が完了すると、S3」3において、ストロークSがリセットされる。
次いで、S34において、モータ56に、ブレーキを作動させる方向に回転させるための電流供給が行われるとともに、モータ56の電流および電圧から推定された回転速度が積算され、その積算値に基づいて、ストロークSが演算される。続く、S35において、モータ56が回転を停止したか否かの判定が行われる。そして、モータ56の回転が停止するまで電流供給が継続され、モータ56の回転が停止したと判定された場合、つまり、ナット部材56が限界位置まで前進した場合には、S36において、その時点でのストロークSが、現在のナット部材50の現ストローク量Sとされる。
ナット部材50の現ストローク量Sが取得されると、摩耗検知処理プログラムのS5において、初期ストロークSが設定されているか否かを表す初期設定フラグFLのフラグ値が確認される。この初期設定フラグFLのフラグ値が0である場合には、初期ストロークSが設定されていないため、S6において、現ストローク量Sが初期ストロークSに設定され、S7において、初期設定フラグFLのフラグ値が1に変更される。一方、S5において、初期設定フラグFLのフラグ値が1である場合には、S8において、現ストローク量Sが閾値Sthより大きいか否かが判定される。現ストローク量Sが閾値Sthより大きい場合には、ブレーキパッド14,16の摩耗が進行しているため、S9において、ウォーニングが行われる。以上で、摩耗検知処理プログラムの1回の実行が終了する。
以上のように構成された本実施例のブレーキシステムによれば、摩耗検知処理を実行しても車両の停止状態を維持できる状況下にあるか否かの判定が行われることによって、摩耗検知処理を行う際に、パーキングブレーキをリリースした場合に車両が動き出すような事態を回避することができ、摩耗検知処理を行う際の安全性が確保されているのである。
10:ディスクブレーキ装置〔電動ブレーキ装置〕 12:ディスクロータ〔回転体〕 14,16:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 22:ピストン 30:ブレーキシリンダ 32:液圧室 40:液圧源 42:液圧制御ユニット 50:ナット部材〔駆動部材〕 56:電動モータ 100:ブレーキ電子制御ユニット[ブレーキECU] 112:パーキングブレーキスイッチ 114:サービスブレーキスイッチ 116:ブレーキ操作量センサ 118:電流センサ 120:電圧センサ 122:加速度センサ 124:ブレーキ操作部材

Claims (1)

  1. 摩擦部材と、車輪とともに回転する回転体と、動力源としてのモータと、そのモータによって前進・後退させられる駆動部材とを有し、前記モータが前記駆動部材を前進させることによって前記摩擦部材を前記回転体に押圧する電動ブレーキ装置と、
    前記モータによって、前記駆動部材を後退端まで後退させた後、その駆動部材を前記摩擦部材が前記回転体に当接して停止するまで前進させ、その際の前記駆動部材の後退端から停止するまでに前進した距離に基づいて、前記摩擦部材の摩耗度合いを検出する摩耗検知器と
    を備え、
    前記摩耗検知器による摩耗度合いの検出を、その検出が行われる前記電動ブレーキ装置が設けられた車輪以外の車輪に対応するブレーキ装置が発生させるブレーキ力によって、車両を停止させた状態を維持できる状況下において行うことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
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