JP2017069546A - 発光素子用基板及びモジュール - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の発光素子用基板について説明する。本発明に係る発光素子用基板1は、図1に示す通り、可撓性を有する樹脂基板11の表面に、反射層18が配置されている。そして、反射層18の表面には、接着層12を介して、金属層等からなる導電性の金属配線部13が形成されている。又、発光素子用基板1は、発光素子2が実装される領域を除く部分を覆う態様で、その最表面に更に、表面反射材16を備えるものであってもよい。
反射層18は、熱硬化性樹脂と、光反射性充填材と、を含有してなり光反射性を有する樹脂層である。反射層18の光反射性は、具体的には、波長450nmにおける反射率が80%以上であればよく、好ましくは85%以上である。波長450nmにおける反射率が80%以上、好ましくは85%以上であることによって、発光素子2からの光のうち、少なくともエネルギーが高くて樹脂基板損傷のリスクが高い波長450nm程度の青色の光が、樹脂基板11に到達することを抑制することができるため、これにより、発光素子2からの光による樹脂基板11の穴あき等の損傷のリスクを十分に低減することができる。尚、波長450nmにおける反射率は、例えば、JIS K7375−2008(プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率)に準じる測定方法により、紫外可視分光光度計(島津製作所製紫外可視分光光度計UV−2550)を用いて、光を入射したときの光の反射率(%)により求めることができる。
樹脂基板11は、可撓性を有するフィルム状又はシート状のものである限り特に限定されないが、熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。本明細書において「可撓性を有する」とは、「曲率半径を通常1m、好ましくは50cm、より好ましくは30cm、更に好ましくは10cm、特に好ましくは5cmに曲げることが可能であることをいう。
反射層18の表面への金属配線部13の形成は、接着層12を介したドライラミネート法によって行われることが好ましい。接着層12には、光反射性充填材が含有されていないか、又は、光反射性充填材が含有される場合、その含有量が40質量%以下であることが好ましい。又、接着層12は、全可視光線の85%以上を透過する光透過性の薄膜層であることが好ましい。このような接着層12を形成する接着剤として、公知の樹脂系接着剤を適宜用いることができる。それらの樹脂系接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、又はエポキシ系の接着剤等を特に好ましく用いることができる。
金属配線部13は、金属層等の導電性基材によって形成される配線パターンである。金属配線部13は、図1に示す通り、その一の部分と、当該一の部分と離間して形成される他の部分との間に、発光素子2が実装可能となるような形状で形成される。尚、このような発光素子用基板1においては、樹脂基板11の表面における発光素子2が実装されることが想定される領域内に、金属配線部13が形成されていない部分が存在する。この発光素子2の実装が想定される領域内であって、金属配線部13が存在しない水平領域のことを発光素子用基板1における金属配線部非存在領域17というものとする。反射層18は、少なくとも、この金属配線部非存在領域17において形成されていることが発光素子用基板1において必須である。
発光素子用基板においては、金属配線部13と発光素子2との接合については、ハンダ層14を介した接合を行うことが好ましい。このハンダによる接合は、例えば、リフロー方式、或いは、レーザー方式によって行うことができる。
絶縁性保護膜15は、本発明においては必須の構成要件ではないが、絶縁性保護膜を設ける場合には、上述の通り、熱硬化型インキ、UV硬化性インキ又はカバーレイフィルムによって、金属配線部13と発光素子用基板の表面上の電気的接合が必要となる一部分を除いた他の部分に、主として発光素子用基板の耐マイグレーション特性を向上させるために形成される。
図1に示すように、発光素子用基板1は、更に、表面反射材16を備えるものであってもよい。表面反射材16は、必要に応じて、以下に詳細を説明するモジュール10において、発光能力を向上させることを目的として、発光素子用基板1の発光面側の最表面に、発光素子2の実装部分を除いて積層される。発光素子の発光を反射し、所定の方向へ導くための反射面を持つ部材であれば特に限定されないが、白色ポリエステル発泡タイプの白色ポリエステル、白色ポリエチレン樹脂、銀蒸着ポリエステル等を、最終製品の用途とその要求スペック等に応じて適宜用いることができる。
発光素子2は、発光素子用基板1上に配置される。発光素子2は、一方の面に一対の電極を有し、一対の電極を介して金属配線部13と電気的に接続している。ここで用いられる発光素子2は形状や大きさ等が特に限定されない。発光素子2の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができるが、青色に発光する発光素子を用いることができる。青色発光素子とは波長430nm以上500nm以下の光を放出可能な発光素子を意味するが、例えば、430nm以上470nm以下に発光波長のピークを持つ青色発光の発光素子を用いることが好ましい。発光素子2としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。InGaN系としては、InXAlYGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等を用いることができる。
図4は、本発明の他の実施形態のモジュールの部分断面図である。図4の実施形態のモジュールのように接着層12と発光素子2との間にアンダーフィル21を配置することもできる。アンダーフィル21は、発光素子2と接着層12との接合強度を高めることができる。アンダーフィル21はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。又、アンダーフィル21は接着層12との接合強度を高める材質が好ましく、アンダーフィル21と接着層12とは同一種類の材料を用いることが好ましいが、異なる材料であってもよい。
樹脂基板11の上には、発光素子2を封止する封止部材19が配置されていることが好ましい。発光素子2を埃や水分から保護することができるからである。封止部材19は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又は変成シリコーン樹脂であることが好ましい。
封止部材19中には、蛍光体20を含有させてもよい。蛍光体20は発光素子2からの光を吸収し、異なる波長の光を放出するものであり、緑色、黄色、赤色等の光を放出する。蛍光体20は、YAG、シリケート等の酸化物蛍光体、CASN、SCASN等の窒化物蛍光体、KSF等のフッ化物蛍光体等を用いることができる。
発光素子用基板1の製造方法は特に限定されない。適宜、従来公知の電子基板の製造方法によって製造することができる。発光素子用基板1は、例えば、以下に記載したエッチング工程を経ることによって製造することができる。又、選択する材料樹脂に応じて、予め当該樹脂にアニール処理による耐熱性向上処理を施すことが好ましい。
本発明において必須ではないが、アニール処理を行う場合には、従来公知の熱処理手段を用いることができる。アニール処理温度の一例としては、樹脂基板がPENである場合には、ガラス転移温度から融点の範囲、更に具体的には160℃から260℃、より好ましくは180℃から230℃の範囲である。アニール処理時間としては、10秒から5分程度が例示できる。このような熱処理条件によれば、一般的に80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、100℃程度に向上させることができる。
アニール処理を経た樹脂基板の表面に、金属配線部の材料とする金属層の金属配線部13を積層して発光素子用基板の材料とする積層体を得ることができる。積層方法としては、金属層を接着剤によって樹脂基板の表面に接着する方法を挙げることができる。コストや生産性の面からは、金属層をウレタン系の接着剤によって樹脂基板の表面に接着する方法が有利である。
金属配線部形成後、必要に応じて絶縁性保護膜15及び表面反射材16を更に積層する。これらの積層は公知の方法によって行うことができる。採用する材料によりスクリーン印刷等の印刷法或いは、ドライラミネーション、熱ラミネーション法等、各種のラミネート処理方法によることができる。
モジュール10は、上述の発光素子用基板1に、発光素子2を実装することにより、得ることができる。
図2は、モジュール10を用いた表示装置100の層構成の概略を模式的に示す斜視図である。表示装置100は、所定の間隔でマトリクス状に配列された複数のLED素子等の発光素子2を駆動(発光)することによって、文字や映像等の情報(画像)をモニター3に表示する。発光素子2は、発光素子用基板1の金属配線部13に実装されている。又、モジュール10から放熱される熱を更に効率よく外部に放射するための放熱構造4が樹脂基材の裏面側に設置されていることが更に好ましい。本発明のモジュール10を用いることにより画面サイズ(対角線の長さ)が65インチ以上の大型の表示装置を従来よりも低コストで且つ品質の安定性を向上させて製造することができる。
樹脂基材からなる樹脂基板は、発光素子からの光、なかでも、短波長で高エネルギーの青色の光によって劣化が促進し易い。これに対し、発光素子用基板1は、樹脂基板11、波長450nmにおける反射率が80%以上という高い反射率を有する反射層18、及び接着層12とを、この順で積層する構成としたことにより、接着層12の接着強度を保持したまま、発光素子2からの青色の光を有効に遮蔽できるという優れた効果を有するものである。又、更に加えて、以下の効果も奏するものである。
下記の各材料を用いて、本発明の発光素子用基板の効果を確認するための試験用の試料を作成した。
実施例及び比較例の試料を作成するための樹脂基板として以下の2種類の樹脂フィルムを用意し、それぞれ下記表1に記載の通りに各試料毎に使い分けた。
樹脂フィルムA:ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(帝人社製「QFグレード」)50μm。この樹脂フィルムAは、特に難燃性を向上させる処理が行われた特殊グレードのPENフィルムである。
樹脂フィルムB:ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(帝人社製「テオネックス」)50μm。この樹脂フィルムBは、汎用的に用いられる透明性の高い一般グレードのPENフィルムである。
反射層を形成するためのコーティング液として以下の3種類のコーティング液を調合して、それぞれ下記表1に記載の通りに各試料毎に使い分けた。
コーティング液A:複数の架橋性置換基を有するフッ素樹脂(ゼッフル:ダイキン社製、製品名:GK−570)と、複数の架橋性置換基を有するアクリル樹脂(質量平均分子量50,000、Tg40℃、水酸基価8.9mg/g)との混合樹脂に対して、光反射性充填材として酸化チタン(堺化学工業株式会社製、製品名R−5N:平均粒径0.25μm、アルミナ処理)を、樹脂100質量部に対して30質量部、則ち、硬化後の反射層中における光反射性充填材の含有量が23.1質量%となるように添加した。又、溶剤として酢酸エチル:酢酸ブチル=1:1の混合液を使用した。フッ素樹脂:アクリル樹脂=1:3の割合で樹脂主剤を調整した。主剤の固形分濃度は、43質量%以上45質量%以下とした。この混合物に対して、ペイントシェーカーを使用して60分間の撹拌を行った。又、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)をNCO/OH比1.0に調整し、これを各コーティング液における硬化剤とした。これら主剤及び硬化剤は、使用(塗布)の直前に混合し、コーティング液Aとした。これを、上記各樹脂フィルムに塗布し硬化膜を作製することによって各試料の反射層を形成した。各試料毎の反射層の膜厚については表1に記載の通りの膜厚となるように塗布量を調整した。
コーティング液B:ポリフェニルシロキサン樹脂(商品名XE14−C2508:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)とポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を用いて、これに対して、アナターゼ型酸化チタン(商品名A−950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR−100;堺化学工業株式会社製)と酸化アルミニウム(商品名AES12:住友化学株式会社製)を、樹脂100質量部に対して各々200質量部、則ち、硬化後の反射層中における光反射性充填材の含有量が80.0質量%となるように添加し、コーティング液Bとした。これを、上記各樹脂フィルムに塗布し硬化膜を作製することにより、反射層を形成した。各例毎の反射層の膜厚については表1に記載の通りの膜厚となるように塗布量を調整した。
コーティング液C:上記コーティング液Aと同材料を用いてコーティング液Cを調合した。コーティング液Cは、白色顔料として添加する上記の酸化チタンの添加量を樹脂100質量部に対して7質量部、則ち、硬化後の反射層中における光反射性充填材の含有量が6.5質量%となるように添加し、その他の調合はコーティング液1と同様の調合とした。
実施例4の試料については、反射層上に更に接着層を形成した。接着剤としては、ウレタン系接着剤を用いて、同層の厚さが10μmとなるようにこれを塗布した。
各実施例及び比較例について、各波長域における反射層の反射率を測定した。但し、実施例4の反射率については、接着層の上から光を照射して、接着層も含む積層体の表面の反射率を測定した。又、比較例1については、参考値として、樹脂フィルム自体の表面の反射率を測定した。測定には、紫外可視分光光度計(島津製作所製紫外可視分光光度計UV−2550)を用いた。各実施例及び比較例の波長450nmにおける反射率の測定結果を表1に、実施例1、2及び比較例1についての波長375nm〜500nmの範囲における上記測定結果を図3に示す。
青色発光素子に対する耐光性試験として、実施例1〜3及び比較例2については反射層上から、実施例4については接着剤層上から、比較例1については樹脂フィルム上から、青色レーザー(日亜化学製レーザーダイオード、波長450nm、出力0.5W)を照射し、フィルムに穴が開いた時間を測定した。試験結果を下記表1に示す。
2 発光素子
3 モニター
4 放熱構造
11 樹脂基板
12 接着層
13 金属配線部
14 ハンダ層
15 絶縁性保護膜
16 表面反射材
17 金属配線部非存在領域
18 反射層
19 封止部材
20 蛍光体
21 アンダーフィル
10 モジュール
100 表示装置
Claims (8)
- 可撓性を有する樹脂基板と、該樹脂基板の少なくとも一方の面側に接着層を介して形成されている金属配線部と、を有し、
前記樹脂基板と前記接着層との間に、反射層が配置されていて、
該反射層は、熱硬化性樹脂と、光反射性充填材と、を含有してなり、該光反射性充填材の含有量が、10質量%以上85質量%以下であって、波長450nmにおける反射率が80%以上である、発光素子用基板。 - 前記反射層の厚さが5μm以上250μm以下である、請求項1に記載の発光素子用基板。
- 前記接着層は、光反射性充填材が含有されていないか、又は、光反射性充填材の含有量が40質量%以下である請求項1又は2に記載の発光素子用基板。
- 請求項1から3のいずれかに記載の発光素子用基板に発光素子が実装されている、モジュール。
- 前記発光素子が青色発光素子である、請求項4に記載のモジュール。
- 前記発光素子の発光波長のピークが、430nm以上470nm以下である、請求項4又は5に記載のモジュール。
- 前記接着層と前記発光素子との間に、アンダーフィルが配置されている、請求項4から6のいずれかに記載のモジュール。
- 前記樹脂基板上に前記発光素子を封止する封止部材が配置され、
前記封止部材は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及び変成シリコーンより選択される一つ以上の材料を含んでなる、請求項4から7のいずれかに記載のモジュール。
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