JP2017068509A - 透明導電性フィルムおよびそのムラ抑制方法 - Google Patents

透明導電性フィルムおよびそのムラ抑制方法 Download PDF

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徹 梅本
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勝則 高田
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尚樹 橋本
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Kazuhiro Igai
和宏 猪飼
寛之 鷹尾
Hiroyuki Takao
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Abstract

【課題】本発明の目的は、反射率を低減しつつ、色ムラの視認を抑制できる透明導電性フィルム、および、色ムラの抑制方法を提供すること。
【解決手段】
透明導電性フィルム1は、透明基材2と、樹脂層3と、光学調整層4と、透明導電層5とを順に備える。光学調整層4の屈折率は、1.60以上1.70以下、光学調整層4の厚みが、120nm以上145nm以下であり、透明導電層5の屈折率は、1.85以上2.00以下、透明導電層5の厚みが、20nm以上35nm以下である。透明導電性フィルム1について、前後方向に5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、左右方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点の反射色相差Δaを測定し、得られた15点の反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する割合が、1.15未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性フィルムおよびそのムラ抑制方法、詳しくは、タッチパネル用フィルムなどに用いられる透明導電性フィルムおよびそのムラを抑制する方法に関する。
従来から、画像表示装置は、インジウムスズ複合酸化物(ITO)などからなる透明配線層が形成されたタッチパネル用フィルムを備えることが知られている。タッチパネル用フィルムは、一般的に、ITO層などを透明基材に積層した透明導電性フィルムにおいて、ITO層を配線パターンにパターニングすることにより製造される。
このような透明導電性フィルムでは、ITO層が透明基材に対して屈折率が大きく異なるため、ITO層の配線パターンが視認される場合がある。この視認を抑制するために、ITO層と透明基材との間に、光学調整層を配置することが知られている(特許文献1参照。)。
特開2013−25737号公報
しかるに、透明導電性フィルムには、視認性の観点から、反射率が低いものが求められている。
しかしながら、透明導電性フィルムの反射率を低くすると、透明導電性フィルムは完全無色透明ではないため、フィルム表面の色の濃淡(色ムラ)が視認され易くなる。特に、光学調整層を配置した透明導電性フィルムでは、光学調整層の厚みのばらつきなどから、色ムラの不具合が発生し易い。
本発明の目的は、反射率を低減しつつ、ムラの視認を抑制できる透明導電性フィルム、および、ムラの抑制方法を提供することにある。
本発明は、
[1]透明基材と、樹脂層と、光学調整層と、透明導電層とを順に備える透明導電性フィルムであって、前記光学調整層の屈折率が、1.60以上1.70以下、前記光学調整層の厚みが、120nm以上145nm以下であり、前記透明導電層の屈折率が、1.85以上2.00以下、前記透明導電層の厚みが、20nm以上35nm以下であり、前記透明導電性フィルムについて、厚み方向に対して直交する第1方向に5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、前記厚み方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点の反射色相差Δaを測定し、得られた15点の前記反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する割合が、1.15未満である、透明導電性フィルム、
[2]反射色相bが、−27.0以上−15.0以下であり、反射率が、1.8%以下である、上記[1]に記載の透明導電性フィルム、
[3]基材と、樹脂層と、光学調整層と、透明導電層とを順に備える透明導電性フィルムのムラを抑制する方法であって、前記光学調整層の屈折率を、1.60以上1.70以下に、前記光学調整層の厚みを、120nm以上145nm以下に設定し、前記透明導電層の屈折率を、1.85以上2.00以下に、前記透明導電層の厚みを、20nm以上35nm以下に設定し、前記透明導電性フィルムについて、厚み方向に対して直交する第1方向に5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、前記厚み方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点の反射色相差Δaを測定し、得られた15点の前記反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する割合を、1.15未満に設定する、透明導電性フィルムのムラ抑制方法
である。
本発明のムラの抑制方法によって設定される透明導電性フィルムは、反射率を低減しつつ、色ムラの視認を抑制することができる。
図1は、本発明の透明導電性フィルムの一実施形態の側断面図を示す。 図2は、本発明の透明導電性フィルムの反射色相差を測定する際の測定サンプルの側断面図を示す。 図3は、図2の測定サンプルの平面図を示す。 図4は、本発明の透明導電性フィルムの他の実施形態(透明基材の下面に透明導電層を備えない実施形態)の側断面図を示す。
図3において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面上側が、前側(第1方向一方側)、紙面下側が、後側(第1方向他方側)である。紙面左右方向は、左右方向(第1方向に直交する第2方向、幅方向)であって、紙面左側が、左側(第2方向一方側)、紙面右側が、右側(第2方向他方側)である。また、紙面紙厚方向は、上下方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向、厚み方向)であって、紙面手前側が上側(第3方向一方側)、紙面奥側が下側(第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
1.透明導電性フィルム
透明導電性フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)を有し、厚み方向と直交する所定方向(面方向)に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材などの一部品であり、つまり、画像表示装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム1は、画像表示装置などを作製するための部品であり、LCDモジュールなどの画像表示素子を含まず、後述する透明基材2と樹脂層3と光学調整層4と透明導電層5とからなり、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
具体的には、図1に示すように、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、その両面に、樹脂層3と、光学調整層4と、透明導電層5とを順に備える。より具体的には、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の上面に配置される第1樹脂層3A、第1樹脂層3Aの上面に配置される第1光学調整層4Aと、第1光学調整層4Aの上面に配置される第1透明導電層5Aと、透明基材2の下面に配置される第2樹脂層3Bと、第2樹脂層3Bの下面に配置される第2光学調整層4Bと、第2光学調整層4Bの下面に配置される第2透明導電層5Bとを備える。すなわち、透明導電性フィルム1は、下から順に、第2透明導電層5B、第2光学調整層4B、第2樹脂層3B、透明基材2、第1樹脂層3A、第1光学調整層4Aおよび第1透明導電層5Aを備える。
透明導電性フィルム1は、好ましくは、透明基材2と、樹脂層3(第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3B)と、光学調整層4(第1光学調整層4Aおよび第2光学調整層4B)と、透明導電層5(第1透明導電層5Aおよび第2透明導電層5B)とからなる。以下、各層について詳述する。
2.透明基材
透明基材2は、透明導電性フィルム1の機械強度を確保する基材である。透明基材2は、透明導電層5を、樹脂層3および光学調整層4とともに、支持している。
透明基材2は、例えば、透明性を有する高分子フィルムである。高分子フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)などのオレフィン樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。高分子フィルムは、単独使用または2種以上併用することができる。透明性、耐熱性、機械的強度などの観点から、好ましくは、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂が挙げられ、より好ましくは、PET、COPが挙げられる。
透明基材2の厚みは、機械的強度、耐擦傷性、透明導電性フィルム1をタッチパネル用フィルムとした際の打点特性などの観点から、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。透明基材2の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計を用いて測定することができる。
なお、透明基材2の上面および/または下面には、必要に応じて、ブロッキング防止層、易接着層、接着剤層などが設けられていてもよい。
3.第1樹脂層
第1樹脂層3Aは、複数の透明導電性フィルム1を積層した場合などに、透明導電層5の表面(すなわち、第1透明導電層5Aの上面、第2透明導電層5Bの下面)に擦り傷を生じにくくするための擦傷保護層(ハードコート層)である。また、第1樹脂層3Aは、第1透明導電層5Aを配線パターンにエッチングした後に、パターン部と、パターン部が形成されていない非パターン部との相違が認識されないように(すなわち、配線パターンの視認を抑制するように)、後述する第1光学調整層4Aとともに、透明導電性フィルム1の屈折率を調整する屈折率調整層となる場合もある。
第1樹脂層3Aは、フィルム形状(シート形状を含む)を有しており、例えば、透明基材2の上面全面に、透明基材2の上面に接触するように、配置されている。より具体的には、第1樹脂層3Aは、透明基材2と第1光学調整層4Aとの間に、透明基材2の上面および第1光学調整層4Aの下面に接触するように、配置されている。
第1樹脂層3Aは、例えば、樹脂組成物から形成される樹脂層である。
樹脂組成物は、例えば、樹脂を含有し、好ましくは、樹脂からなる。
樹脂としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。そのような官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基および/またはアクリロイル基)などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂以外の硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などが挙げられる。
樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、樹脂組成物は、樹脂に加えて、粒子を含有することができる。
粒子としては、第1樹脂層3Aの求める耐擦傷性、屈折率などに応じて好適な材料を選択することができ、例えば、後述する第1光学調整層4Aで例示する粒子を用いることができる。
第1樹脂層3Aの厚みは、耐擦傷性、配線パターンの視認抑制の観点から、例えば、100nm以上、好ましくは、500nm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。
第1樹脂層3Aの厚みは、例えば、フィルムの反射干渉スペクトルの波形を基に算出される。測定には、例えば、瞬間マルチ測光システム(MCPD2000、大塚電子社製)などを用いることができる。
4.第1光学調整層
第1光学調整層4Aは、第1樹脂層3Aとともに、第1透明導電層5Aにおける配線パターンの視認を抑制しつつ、透明導電性フィルム1に優れた透明性を確保するために、透明導電性フィルム1の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。
第1光学調整層4Aは、フィルム形状(シート形状を含む)を有しており、例えば、第1樹脂層3Aの上面全面に、第1樹脂層3Aの上面に接触するように、配置されている。より具体的には、第1光学調整層4Aは、第1樹脂層3Aと第1透明導電層5Aとの間に、第1樹脂層3Aの上面および第1透明導電層5Aの下面に接触するように、配置されている。
第1光学調整層4Aは、光学調整組成物から形成される樹脂層である。
光学調整組成物は、例えば、樹脂を含有する。光学調整組成物は、好ましくは、樹脂と、粒子とを含有し、より好ましくは、樹脂と粒子とからなる。
樹脂としては特に限定されないが、樹脂組成物で用いる樹脂と同一のものが挙げられる。樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、硬化性樹脂、より好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
樹脂の含有割合は、光学調整組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
粒子としては、第1光学調整層4Aの求める屈折率に応じて好適な材料を選択することができ、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫などからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子としては、好ましくは、無機粒子、より好ましくは、金属酸化物粒子、さらに好ましくは、酸化ジルコニウム粒子(ZnO)が挙げられる。
粒子の平均粒子径(メジアン径)は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、200nm以下、好ましくは、100nm以下である。
粒子の含有割合は、光学調整組成物に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、40質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、75質量%以下である。
第1光学調整層4Aの屈折率は、1.60以上1.70以下である。好ましくは、1.60以上1.65以下である。
本明細書において、屈折率は、分光エリプソメーターにより測定される。
第1光学調整層4Aの厚みは、例えば、120nm以上145nm以下である。好ましくは、120nm以上135nm以下である。厚みを上記下限以上とすることにより、それにより薄い場合と比較して、反射色相bを低くすることができ、色ムラの視認を抑制することができる。また、厚みを上記上限以下とすることにより反射率を良好にすることができる。
第1光学調整層4Aの厚みは、例えば、分光エリプソメーターにより測定することができる。
第1光学調整層4Aの屈折率および厚みを上記範囲に設定することにより、透明導電性フィルム1の反射率を低減することができる。また、上記範囲では、後述する反射色相差Δaの変化を抑制することができ、後述する色相割合を1.15未満に好適に設定することができる。
5.第1透明導電層
第1透明導電層5Aは、後工程で配線パターンに形成して、パターン部を形成するための導電層である。
第1透明導電層5Aは、透明導電性フィルム1の最上層であって、フィルム形状(シート形状を含む)を有しており、第1光学調整層4Aの上面全面に、第1光学調整層4Aの上面に接触するように、配置されている。
第1透明導電層5Aの材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープしていてもよい。
第1透明導電層5Aの材料は、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)などのインジウム含有酸化物、例えば、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などのアンチモン含有酸化物などが挙げられ、好ましくは、インジウム含有酸化物、より好ましくは、ITOが挙げられる。
第1透明導電層5Aの材料としてITOを用いる場合、酸化スズ(SnO)含有量は、酸化スズおよび酸化インジウム(In)の合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。酸化スズの含有量を上記下限以上とすることにより、ITO層の耐久性をより一層良好にすることができる。酸化スズの含有量を上記上限以下とすることにより、ITO層の結晶転化を容易にし、透明性や比抵抗の安定性を向上させることができる。
本明細書中における「ITO」とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Gaなどが挙げられる。
第1透明導電層5Aの屈折率は、1.85以上2.00以下である。好ましくは、1.85以上1.95以下である。
第1透明導電層5Aの厚みは、20nm以上35nm以下である。好ましくは、20nm以上30nm以下である。
第1透明導電層5Aの厚みは、例えば、分光エリプソメーターにより測定することができる。
第1透明導電層5Aの屈折率および厚みを上記範囲に設定することにより、透明導電性フィルム1の反射率を低減することができる。また、上記範囲では、後述する反射色相差Δaの変化を抑制することができ、後述する色相割合を1.15未満に好適に設定することができる。
第1透明導電層5Aは、結晶質および非晶質のいずれであってもよく、また、結晶質および非晶質の混合体であってもよい。第1透明導電層5Aは、好ましくは、結晶質からなり、より具体的には、結晶質ITO層である。これにより、第1透明導電層5Aの透明性を向上させ、また、第1透明導電層5Aの比抵抗値をより一層低減させることができる。
透明導電層5(第1透明導電層5Aおよび第2透明導電層5B)が結晶質膜であることは、例えば、透明導電層5がITO層である場合は、20℃の塩酸(濃度5質量%)に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm程度の間の端子間抵抗を測定することで判断できる。本明細書においては、塩酸(20℃、濃度:5質量%)への浸漬・水洗・乾燥後に、15mm間の端子間抵抗が10kΩ以下である場合、ITO層が結晶質であるものとする。
6.第2樹脂層
第2樹脂層3Bは、透明基材2の下面全面に、透明基材2の下面に接触するように、配置されている。より具体的には、第2樹脂層3Bは、透明基材2と第2光学調整層4Bとの間に、透明基材2の下面および第2光学調整層4Bの上面に接触するように、配置されている。
第2樹脂層3Bは、第1樹脂層3Aと同様の層であり、例えば、第1樹脂層3Aで上述したものと同一のものが挙げられる。
7.第2光学調整層
第2光学調整層4Bは、第2樹脂層3Bの下面全面に、第2樹脂層3Bの下面に接触するように、配置されている。より具体的には、第2光学調整層4Bは、第2樹脂層3Bと第2透明導電層5Bとの間に、第2樹脂層3Bの下面および第2透明導電層5Bの上面に接触するように、配置されている。
第2光学調整層4Bは、第1光学調整層4Aと同様の層であり、例えば、第1光学調整層4Aで上述したものと同一のものが挙げられる。
8.第2透明導電層
第2透明導電層5Bは、透明導電性フィルム1の最下層であって、第2光学調整層4Bの下面全面に、第2光学調整層4Bの下面に接触するように、配置されている。
第2透明導電層5Bは、第1透明導電層5Aと同様の層であり、例えば、第1透明導電層5Aで上述したものと同一のものが挙げられる。
9.透明導電性フィルムの製造方法
次いで、透明導電性フィルム1を製造する方法を説明する。
透明導電性フィルム1を製造するには、例えば、透明基材2の両面に、樹脂層3、光学調整層4および透明導電層5を順に設ける。すなわち、透明基材2の上面に第1樹脂層3A、その下面に第2樹脂層3Bを設け、次いで、第1樹脂層3Aの上面に第1光学調整層4A、第2樹脂層3Bの下面に第2光学調整層4Bを設け、次いで、第1光学調整層4Aの上面に第1透明導電層5A、第2光学調整層4Bの下面に第2透明導電層5Bを設ける。以下、詳述する。
まず、公知または市販の透明基材2を用意する。
その後、必要に応じて、透明基材2と樹脂層3との密着性の観点から、透明基材2の表面に、例えば、スパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を実施することができる。また、溶剤洗浄、超音波洗浄などにより透明基材2を除塵、清浄化することができる。
次いで、透明基材2の両面に、樹脂層3を設ける。例えば、透明基材2の両面に樹脂組成物を湿式塗工することにより、透明基材2の上面に第1樹脂層3A、透明基材2の下面に第2樹脂層3Bを形成する。
具体的には、例えば、樹脂組成物を溶媒で希釈した希釈液を調製し、続いて、希釈液を透明基材2の両面に塗布して、希釈液を乾燥する。
溶媒としては、例えば、有機溶媒、水系溶媒(具体的には、水)などが挙げられ、好ましくは、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン化合物、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などのエーテル化合物、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、エステル化合物、エーテル化合物が挙げられる。
希釈液における固形分濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
塗布方法としては希釈液および透明基材に応じて適宜選択することができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
乾燥温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、より好ましくは、70℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下、より好ましくは、100℃以下である。
乾燥時間は、例えば、0.5分以上、好ましくは、1分以上であり、例えば、60分以下、好ましくは、20分以下である。
上記した塗布および乾燥により、透明基材2の上面に、樹脂組成物をフィルム形状に形成する。
その後、樹脂組成物の樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、希釈液の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。
なお、樹脂組成物の樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する場合は、この乾燥工程により、溶媒の乾燥とともに、熱硬化性樹脂を熱硬化することができる。
次いで、樹脂層3が両面に形成された透明基材2の両面に光学調整層4を設ける。例えば、樹脂層3(第1樹脂層3A、第2樹脂層3B)の表面に光学調整組成物を湿式塗工することにより、第1樹脂層3Aの上面に第1光学調整層4A、第2樹脂層3Bの下面に第2光学調整層4Bを形成する。
具体的には、例えば、必要に応じて光学調整組成物を溶媒で希釈した希釈液を調製し、続いて、希釈液を第1樹脂層3Aの上面および第2樹脂層3Bの下面に塗布して、希釈液を乾燥する。
光学調整組成物の調製、塗布、乾燥などの条件は、樹脂組成物で例示した調製、塗布、乾燥などの条件と同一のものが挙げられる。
特に、光学調整組成物の塗布および乾燥において、蒸発する溶媒を効率よく排気するために、塗布から乾燥までの間に、光学調整組成物(塗布膜)に向かって送風を実施してもよいが、本発明では、反射色相差の低減の観点から、好ましくは、塗布から乾燥までの間、無風状態または微風状態とする。具体的には、光学調整組成物に対する風(空気)の速度が、垂直方向において、例えば、1.0m/s未満、好ましくは、0.5m/s未満、より好ましくは、0.1m/s未満である。
また、樹脂組成物の樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、希釈液の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。
次いで、光学調整層4が両面に形成された透明基材2の両面に透明導電層5を設ける。例えば、乾式方法により、第1光学調整層4Aの上面に第1透明導電層5A、第2光学調整層4Bの下面に第2透明導電層5Bを形成する。
乾式方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。この方法によって薄膜の透明導電層5を形成することができる。
スパッタリング法を採用する場合、ターゲット材としては、透明導電層5を構成する上述の無機物が挙げられ、好ましくは、ITOが挙げられる。ITOの酸化スズ濃度は、ITO層の耐久性、結晶化などの観点から、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。
スパッタガスとしては、例えば、Arなどの不活性ガスが挙げられる。また、必要に応じて、酸素ガスなどの反応性ガスを併用することができる。反応性ガスを併用する場合において、反応性ガスの流量比は特に限定しないが、スパッタガスおよび反応性ガスの合計流量比に対して、例えば、0.1流量%以上5流量%以下である。
スパッタリング時の気圧は、スパッタリングレートの低下抑制、放電安定性などの観点から、例えば、1Pa以下であり、好ましくは、0.1Pa以上0.7Pa以下である。
スパッタリング法に用いる電源は、例えば、DC電源、AC電源、MF電源およびRF電源のいずれであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
また、所望厚みの透明導電層5を形成するために、ターゲット材やスパッタリングの条件などを適宜設定して複数回スパッタリングを実施してもよい。
これにより、透明導電性フィルム1が得られる。
次いで、必要に応じて、透明導電性フィルム1の透明導電層5(第1透明導電層5Aおよび第2透明導電層5B)に対して、結晶転化処理を実施する。
具体的には、透明導電性フィルム1に大気下で加熱処理を実施する。
加熱処理は、例えば、赤外線ヒーター、オーブンなどを用いて実施することができる。
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。加熱温度を上記範囲内とすることにより、透明基材2の熱損傷および透明基材2から発生する不純物を抑制しつつ、結晶転化を確実にすることができる。
加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定されるが、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
これにより、結晶化された透明導電層5を備える透明導電性フィルム1が得られる。
なお、必要に応じて、結晶転化処理の前または後に、公知のエッチング手法によって透明導電層5をストライプ状などの配線パターンに形成してもよい。
なお、上記製造方法では、透明基材2の両面に、樹脂層3、光学調整層4および透明導電層5をそれぞれ同時に形成していたが、例えば、透明基材2の上面に第1樹脂層3A、第1光学調整層4Aおよび第1透明導電層5Aを順に設けた後に、続いて、透明基材2の下面に第2樹脂層3B,第2光学調整層4Bおよび第2透明導電層5Bを順に形成してもよい。
また、上記製造方法では、ロールトゥロール方式にて、透明基材2を搬送させながら、その透明基材2の上面に、樹脂層3、光学調整層4および透明導電層5を順に形成してもよく、また、これらの層の一部または全部をバッチ方式(枚葉方式)にて形成してもよい。
ロールトゥロール方式にて透明導電性フィルム1を作製する場合、図1〜図3において、好ましくは、前後方向を搬送方向(塗工方向)に対応させ、左右方向をロールの幅方向に対応させる。
得られる透明導電性フィルム1の総厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。
透明導電性フィルム1では、反射色相差Δaにおける最大値(Δa(max))の、最小値(Δa(mix))に対する割合(色相割合;Δa(max)/(Δa(min))が、1.15未満である。好ましくは、1.10以下、より好ましくは、1.05以下であり、また、例えば、1.00以上である。これにより、透明導電性フィルム1の色ムラの視認を抑制することができる。
反射色相差Δaにおける最大値Δa(max)および最小値Δa(min)は、以下の1〜8の手順に従って求めることができる。
1.まず、図2に示すように、透明導電性フィルム1の上面に粘着剤層6を介して測定用透明基材7を貼付し、透明導電性フィルム1の下面に黒板8を配置して、測定用積層体を得る。続いて、測定用積層体を前後方向15cmおよび左右方向25cmに切断して、測定サンプル10を作製する。
2.次いで、図3に示すように、測定サンプル10において、前後方向5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、左右方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点を測定点11とする。なお、ピッチは、互いに隣り合う測定点11の距離と測定点11の直径との合計である。
3.一方、黒板8の上面に粘着剤層6を介して測定用透明基材7を貼付して、参照用積層体(黒板8/粘着剤層6/透明基材7)を得る。続いて、参照用積層体を前後方向15cmおよび左右方向25cmに切断して、参照サンプルを作製する。
4.次いで、参照サンプルにおいて、測定サンプル10と同様に、前後方向5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、左右方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点を測定点とする。
5.次いで、測定サンプル10において、各測定点11に対し、分光光度計(反射モード)を用いて、380〜780nmの波長範囲で5nm間隔に反射率を測定する(全81点)。同様にして、参照サンプルにおいても、各測定点に対し、380〜780nmの波長範囲で5nm間隔に反射率を測定する(全81点)。
81点の各波長ごとに、測定サンプル10の反射率から参照サンプルの反射率を差し引いて、反射スペクトルを得る。
なお、得られた反射スペクトルが、最上面および最下面における反射を除外した透明導電性フィルム単体の反射スペクトルとなる。
6.次いで、得られた反射スペクトルを用いて、380〜780nm全領域における反射率、および、反射色相(a、b)を求める。
7.反射色相(a、b)から、下記式(1)を用いて、反射色相差Δaを算出する。
Δa={(a+(b1/2 (1)
8.上記手順5〜7に基づいて測定点15点ごとの反射色相差Δaを得、これら15の反射色相差Δaの中で、最大のものを最大値Δa(max)と認定し、最小のものを最小値Δa(min)と認定する。
反射色相bは、例えば、−27.0以上、好ましくは、−25.0以上であり、また、−15.0以下、好ましくは、−20.0以下である。反射色相bを上記範囲とすることにより、透明導電性フィルム1の色味を僅かに全体的に青色にすることにできる。そのため、透明導電性フィルム1の反射色相差Δaの変化が緩やかな構造とすることができる。その結果、色相割合を1.15未満に好適に調整することができる。
反射色相bは、反射光により求めた色相であって、具体的には、上記手順6にて求められる反射色相bの、測定点15点における平均値である。
また、透明導電性フィルム1の反射率は、例えば、1.8%以下、好ましくは、1.5%以下である。
透明導電性フィルム1の反射率は、上記手順6にて測定される380〜780nmの反射率の、測定点15点における平均値である。
そして、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、その両面に樹脂層3(第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3B)と、光学調整層4(第1光学調整層4Aおよび第2光学調整層4B)と、透明導電層5(第1透明導電層5Aおよび第2透明導電層5B)とを順に備えている。また、光学調整層4の屈折率が、1.60以上1.70以下、光学調整層4の厚みが、120nm以上、145nm以下であり、透明導電層5の屈折率が、1.85以上2.00以下、透明導電層5の厚みが、20nm以上35nm以下である。
このため、透明導電性フィルム1の反射率を低減することができる。また、反射色相差Δaの変化を緩やかにすることができる。
また、反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する色相割合(Δa(max)/Δa(min))が、1.15未満である。このため、透明導電性フィルム1の色ムラの視認を抑制することができる。
この透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材に用いられる。タッチパネルの形式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種方式が挙げられ、特に静電容量方式のタッチパネルに好適に用いられる。
また、透明導電性フィルムのムラを抑制する方法は、このような構成となる透明導電性フィルム1となるように透明導電性フィルムを製造することである。すなわち、ムラの抑制方法は、光学調整層4の屈折率を1.60以上1.70以下、その厚みを120nm以上145nm以下に設定し、透明導電層5の屈折率を1.85以上2.00以下、その厚みを20nm以上35nm以下に設定し、かつ、反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する色相割合(Δa(max)/Δa(min))を1.15未満に設定する工程を備える。これにより、得られる透明導電性フィルム1の反射率を低減することができ、かつ、透明導電性フィルム1の色ムラの視認を抑制することができる。
(変形例)
図1の実施形態では、透明導電性フィルム1は、透明基材2の両面に、樹脂層3、光学調整層4および透明導電層5をこの順に備えるが、例えば、透明基材2の上面または下面にのみに、樹脂層3、光学調整層4および透明導電層5を備えていてもよい。
具体的には、例えば、図4に示すように、透明導電性フィルム1は、透明基材2の上面に、第1樹脂層3A、第1光学調整層4Aおよび第1透明導電層5Aを備える一方、透明基材2の下面には、第2樹脂層3B、第2光学調整層4Bおよび第2透明導電層5Bを備えなくてもよい。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
透明基材として、厚み100μmからなる長尺なシクロオレフィンポリマーフィルム(COPフィルム、日本ゼオン社製、「ゼオノアZF16」)を用いた。
紫外線硬化性樹脂(DIC社製、「ユニディックRS29−120」)を酢酸エチルで希釈した樹脂組成物を、COPフィルムの両面にグラビアコーターを用いて塗布し、80℃で1分間加熱乾燥した。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量250mJ/cmの紫外線を照射して硬化処理を実施した。これにより、厚み1000nmの樹脂層(ハードコート層)をCOPフィルムの両面に形成した。
次いで、樹脂層形成COPフィルムの両面に、屈折率調整剤として、紫外線硬化性樹脂47質量部、酸化ジルコニア粒子(メジアン径40nm)57質量部およびPGMEを含有した光学調整組成物(JSR社製、「オプスターZ7412」、固形分12質量%)をグラビアコーターを用いて塗布し、無風状態(0.1m/s未満)で直ちに60℃で1分間加熱乾燥した。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量250mJ/cmの紫外線を照射して硬化処理を実施した。これにより、厚み130nmで屈折率1.62の光学調整層を、樹脂層形成COPフィルムの両面に形成した。
次いで、光学調整層−樹脂層形成COPフィルムを、巻き取り式スパッタ装置に投入し、光学調整層−樹脂層形成COPフィルムの両面に、厚み25nmで屈折率1.90のインジウム・スズ酸化物層を積層した。なお、スパッタリングの条件としては、アルゴンガス98%と酸素2%とからなる0.4Paの雰囲気中で、酸化インジウム97質量%−酸化スズ3質量%からなる焼結体を用いてスパッタリングを実施した。
これにより透明導電性フィルムを製造した(図1参照)。
実施例2
光学調整層の厚みを120nmに変更した以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを製造した。
実施例3
光学調整層の厚みを140nmに変更した以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを製造した。
比較例1
光学調整層の厚みを110nmに変更した以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを製造した。
比較例2
光学調整層の厚みを150nmに変更した以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを製造した。
比較例3
光学調整組成物をフィルムに塗布した後に室温雰囲気(25℃)の風を1.4m/sの速度で光学調整組成物の塗布膜に対して垂直方向に10秒間当て、その後60℃で1分間加熱乾燥した以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを製造した。
(評価)
各実施例および各比較例で得られた透明導電性フィルムについて下記の評価を実施した。結果を表1に示す。
(厚みの測定)
透明基材の厚みは、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)を用いて測定した。樹脂層の厚みは、瞬間マルチ測光システム(MCPD2000、大塚電子社製)を用いて測定した。光学調整層および透明導電層の厚みは、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム社製)を用いて測定した。
(屈折率の測定)
樹脂層および光学調整層の屈折率は、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム社製)を用いて測定した。
(色相割合の測定)
反射色相差Δaにおける最大値(Δa(max))および最小値(Δa(min))は、以下の1〜8の手順に従って求めた。
1.まず、各実施例および各比較例の透明導電性フィルムの上面に粘着剤層(アクリル系接着剤、日東電工社製、「型番No.7」、厚み25μm)を介してシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製、「ゼオノアZF16」、厚み100μm)を貼付し、透明導電性フィルムの下面にアクリル黒板(日東樹脂社製、「ブラックアクリル:ノーマル FLAT N−885」、厚み1μm)を配置して、測定用積層体を得た。続いて、測定用積層体を前後方向(塗工方向)15cmおよび左右方向(幅方向)25cmに切断して、測定サンプルを作製した(図2参照)。
2.次いで、測定サンプルにおいて、前後方向5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、左右方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点を測定点とした(図3参照)。
3.一方、アクリル黒番(上記と同一)の上面に粘着剤層(上記と同一)を介してシクロオレフィンポリマーフィルム(上記と同一)を貼付して、参照用積層体を得た。続いて、参照用積層体を前後方向15cmおよび左右方向25cmに切断して、参照サンプルを作製した。
4.次いで、参照サンプルにおいて、測定サンプルと同様に、前後方向5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、左右方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点を測定点とした。
5.次いで、測定サンプルにおいて、各測定点に対し、分光光度計(日立分光社製、「U4100」)を用いて、380〜780の波長範囲で5nm間隔に反射率を測定した(全81点)。同様にして、参照サンプルにおいて、各測定点に対し、380〜780の波長範囲で5nm間隔に反射率を測定した(全81点)。なお、測定モードは、反射モードとした。
81点の各波長ごとに、測定サンプルの反射率から参照サンプルの反射率を差し引いて、反射スペクトルを得た。
6.次いで、得られた反射スペクトルを用いて、380〜780nm全領域における反射率、および、反射色相(a、b)を求めた。
なお、380〜780nm全領域における反射率は、380〜780nmの範囲で視感度補正して求めた平均反射率とした。また、反射色相は、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」、および、JIS Z 8781−4「測色−第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間」に記載の方法に準拠して求めた。色相算出に用いる光源は、D65光源とした。
7.求めた反射色相(a、b)から、下記式(1)を用いて、反射色相差Δaを算出した。
Δa={(a+(b1/2 (1)
8.上記手順5〜7に基づいて測定点15点ごとの反射色相差Δaを得た。これら15の反射色相差Δaの中で、最大のものを最大値(Δa(max))と認定し、最小のものを最小値(Δa(min))と認定した。
手順1〜8によって得られた最大値および最小値から、色相割合(Δa(max))/(Δa(min))を計算した。
(反射色相bの測定)
上記手順6にて求めた測定点15点における反射色相bの平均値を算出した。
(反射率の測定)
上記手順6にて測定した測定点15点における反射率(波長域380〜780nm)の平均値を算出した。
(色ムラの評価)
色ムラをより視認しやすくするため、各実施例および各比較例の透明導電性フィルムの最上面(視認側面)に粘着剤層(上記と同一)を介して反射防止ARフィルム(大日本印刷社製、「DSC03」)を貼付し、透明導電性フィルムの最下面にアクリル黒板(上記と同一)を配置した。なお、透明導電性フィルムのサイズは、前後方向(塗工方向)500mm、左右方向(幅方向)250mmとした。
次いで、LEDライドに白色拡散板を取付けた照明の下で、透明導電性フィルムの上方から透明導電性フィルムを観察した。なお、照度は、2500luxとした。
色ムラが目視できなかった場合を○と評価し、色ムラが目視できた場合を×と評価した。
Figure 2017068509
1 透明導電性フィルム
2 透明基材
3A 第1樹脂層
3B 第2樹脂層
4A 第1光学調整層
4B 第2光学調整層
5A 第1透明導電層
5B 第2透明導電層

Claims (3)

  1. 透明基材と、樹脂層と、光学調整層と、透明導電層とを順に備える透明導電性フィルムであって、
    前記光学調整層の屈折率が、1.60以上1.70以下、前記光学調整層の厚みが、120nm以上145nm以下であり、
    前記透明導電層の屈折率が、1.85以上2.00以下、前記透明導電層の厚みが、20nm以上35nm以下であり、
    前記透明導電性フィルムについて、厚み方向に対して直交する第1方向に5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、前記厚み方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点の反射色相差Δaを測定し、得られた15点の前記反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する割合が、1.15未満であることを特徴とする、透明導電性フィルム。
  2. 反射色相bが、−27.0以上−15.0以下であり、
    反射率が、1.8%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 基材と、樹脂層と、光学調整層と、透明導電層とを順に備える透明導電性フィルムのムラを抑制する方法であって、
    前記光学調整層の屈折率を、1.60以上1.70以下に、前記光学調整層の厚みを、120nm以上145nm以下に設定し、
    前記透明導電層の屈折率を、1.85以上2.00以下に、前記透明導電層の厚みを、20nm以上35nm以下に設定し、
    前記透明導電性フィルムについて、厚み方向に対して直交する第1方向に5cmのピッチで互いに間隔が隔てられた3つの点からなる列が、前記厚み方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に5cmのピッチで互いに間隔が3列隔てられた計15点の反射色相差Δaを測定し、得られた15点の前記反射色相差Δaにおける最大値の最小値に対する割合を、1.15未満に設定することを特徴とする、透明導電性フィルムのムラ抑制方法。
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