JP7280035B2 - 導電性フィルム及び導電性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
第1導電層と、樹脂フィルムと、第2導電層とをこの順で備える導電性フィルムであって、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下である導電性フィルムに関する。
樹脂フィルムを準備する工程、及び
前記樹脂フィルムの両面にスパッタリング法で導電層を順次形成する工程
を含み、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下である導電性フィルムの製造方法に関する。
本実施形態の導電性フィルムは、
第1導電層と、樹脂フィルムと、第2導電層とをこの順で備える導電性フィルムであって、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下である。
本実施形態の導電性フィルムの製造方法は、
樹脂フィルムを準備する工程、及び
前記樹脂フィルムの両面にスパッタリング法で導電層を順次形成する工程
を含み、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下である。
樹脂フィルム1としては、絶縁性を確保できるものであれば特に制限されず、各種のプラスチックフィルムが用いられる。樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)等のポリイミド系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐久性、柔軟性、生産効率、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)等のポリイミド系樹脂が好ましい。特に、コストパフォーマンスの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
本実施形態の導電性フィルムは、樹脂フィルム1と第1導電層21との間、及び樹脂フィルム1と第2導電層22との間に配置された下地層41、42をさらに備えている。下地層は、樹脂フィルム1と第1導電層21との間、及び樹脂フィルム1と第2導電層22との間のうちの一方又は両方に形成されていてもよく、形成されていなくてもよい。下地層41、42は、導電層の樹脂フィルムへの密着性や導電性フィルムへの強度付与、電気的特性の制御等、目的に応じた下地層を設けることで導電性フィルムの高機能化を図ることができる。下地層としては特に限定されず、易接着層、ハードコート層(アンチブロッキング層等として機能するものを含む。)、誘電体層等が挙げられる。
易接着層は、接着性樹脂組成物の硬化膜である。易密着層は、導電層に対して良好な密着性を有する。
(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(メタ)アクリレートモノマー成分及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
下地層として、ハードコート層を設けてもよい。さらに、導電性フィルム同士のブロッキングを防止してロール・トゥ・ロール法による製造を可能にするために、ハードコート層に粒子を配合してもよい。
下地層として、1層以上の誘電体層を備えていてもよい。誘電体層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。誘電体層を形成する材料としては、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3、TiO2、Ta2O5、ZrO2、ZnO、ZnS、SiOx(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。誘電体層は、上記の材料を用いて、グラビアコート法やバーコート法などの塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。
樹脂フィルム1の一方の面側に設けられる第1導電層21及び他方の面に設けられる第2導電層は、電磁波シールド効果やセンサ機能等を充分に得るため、それぞれ電気抵抗率が50μΩcm以下であることが好ましい。導電層21、22の構成材料としては、このような電気抵抗率を満足し導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、Cu,Al,Fe,Cr,Ti,Si,Nb,In,Zn,Sn,Au,Ag,Co,Cr,Ni,Pb,Pd,Pt,W,Zr,Ta,Hf、Mo,Mn,Mg,V等の金属が好適に用いられる。また、これらの金属の2種以上を含有するものや、これらの金属を主成分とする合金や酸化物等も用いることができる。これらの導電性化合物の中でも、電磁波シールド特性やセンサ機能に寄与する導電率が高く、比較的低価格である観点から、Cu,Alを含むことが好ましい。特に、コストパフォーマンスと生産効率の観点から、Cuを含むことが好ましいが、Cu以外の元素が不純物程度含まれていても良い。これにより、電気抵抗率が充分に小さく導電率が高いため、電磁波シールド特性やセンサ機能を向上できる。
保護層は、例えば導電層21、22が大気中の酸素の影響を受けて自然に酸化することを防止するために、導電層21、22の最表面側に形成することができる(図示せず)。保護層は、導電層21、22の錆び防止効果を示すものである限り特に限定されないが、スパッタできる金属が好ましく、Ni,Cu,Ti,Si、Zn,Sn,Cr,Fe、インジウム、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、パラジウム、タングステンからなる中から選ばれるいずれか1種類以上の金属又はこれらの酸化物が用いられる。Ni,Cu,Tiは,不動態層を形成するため腐食されにくく、Siは耐食性が向上するため腐食されにくく、Zn,Crは表面に緻密な酸化被膜を形成するため腐食されにくい金属であるため好ましい。
第1保護フィルム31の第1導電層21と接する側の面は粘着性を有する。同様に、第2保護フィルム32の第2導電層22と接する側の面も粘着性を有する。なお、本実施形態では、保護フィルムは樹脂フィルムの両面側に設けられているが、これに限定されず、樹脂フィルムのいずれか一方の面側にのみ設けられていてもよく、保護フィルムを全く設けなくてもよい。
導電性フィルム100の初期の表面抵抗値R1は、0.001Ω/□~10.0Ω/□であることが好ましく、0.01Ω/□~7.5Ω/□であることがより好ましく、0.1Ω/□~5.0Ω/□であることが更に好ましい。これにより生産効率に優れた実用的な導電性フィルムを提供できる。
導電性フィルムは様々な用途に適用可能であり、例えば、電磁波シールドシートや面状センサ等に応用され得る。電磁波シールドシートは、導電性フィルムを用いたものであり、タッチパネル等の形態で好適に使用することができる。前記電磁波シールドシートの厚みは、20μm~300μmであることが好ましい。
表1に示すポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムともいう。)からなる長尺状樹脂フィルムに対し、連続式オーブン内にてアニール処理を行った。オーブンは、第1室から第5室まで備えており、それぞれ独立して温度設定が可能であった。オーブン条件及びアニール処理条件(各室の長さ[m]及び温度[℃]、並びにフィルムに負荷した張力[N]及びライン速度[m/min])は、表2に示すとおりであった。
用いた樹脂フィルム及び作製した導電性フィルムについて、以下の評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
導電層の厚みは、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「H-7650」)を用いて、導電性フィルムの断面を観察して測定した。
導電層を形成する前のPETフィルムのロールからフィルムを繰り出し、巻き始めの端部から5mの箇所の幅方向に沿って熱膨張係数を3点測定した。測定サンプルは、図2に示すように、短冊状のサンプル(幅方向5mm×長手方向10mm)を、樹脂フィルムの幅方向での中央1箇所と、両端から50mmずつ離れた端部2箇所から合計3サンプルを切り出した。
《測定条件》
測定モード :引っ張り法
測定荷重 :19.6mN
チャック間距離:10mm
昇温速度 :10℃/min
温度プログラム:10℃→210℃
測定雰囲気 :N2(流量200mL/min)
作製した導電性フィルムについて、シワの有無の評価を行った。評価方法は、得られた両面導電性フィルムの巻回体から約10m引出し、蛍光灯を導電性フィルムに照射して、目視にてシワの有無を下記の評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
〇:シワが観察されなかった。
△:シワが僅かに観察された。
×:シワが多く観察された。
表1より、実施例1、2の導電性フィルムでは、樹脂フィルムの幅方向での熱膨張係数のバラツキが低減されており、導電層形成時のシワの発生も抑制されていた。一方、比較例1では、樹脂フィルムの幅方向での熱膨張係数のバラツキが生じており、導電層形成時のシワも発生していた。
21 第1導電層
22 第2導電層
31 第1保護フィルム
32 第2保護フィルム
41、42 下地層
100 導電性フィルム
Claims (4)
- 第1導電層と、樹脂フィルムと、第2導電層とをこの順で備える導電性フィルムであって、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下であり、
前記第1導電層及び前記第2導電層はCuを含む導電性フィルム。 - 前記第1導電層及び前記第2導電層の厚みが、それぞれ独立して10nm以上300nm以下である請求項1に記載の導電性フィルム。
- 前記第1導電層及び前記第2導電層がいずれもスパッタ膜である請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
- 樹脂フィルムを準備する工程、及び
前記樹脂フィルムの両面にスパッタリング法でCuを含む導電層を順次形成する工程
を含み、
前記樹脂フィルムの長手方向に垂直な方向に沿って測定した前記樹脂フィルムの20℃~140℃における熱膨張係数の最大値と最小値との差が25ppm/K以下である導電性フィルムの製造方法。
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