JP2016225019A - 透明導電性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
透明導電性フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)を有し、厚み方向と直交する所定方向(面方向)に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材などの一部品であり、つまり、画像表示装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム1は、画像表示装置などを作製するための部品であり、LCDモジュールなどの画像表示素子を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
透明基材2は、透明導電性フィルム1の最下層であって、透明導電性フィルム1の機械強度を確保する基材である。透明基材2は、透明導電層7を、ハードコート層3、密着層4、光学調整層5およびエッチング調整層6とともに、支持している。
ハードコート層3は、複数の透明導電性フィルム1を積層した場合などに、透明導電層7の上面(すなわち、透明導電性フィルム1の表面)に擦り傷を生じにくくするための擦傷保護層である。また、ハードコート層3は、図2が参照されるように透明導電層7を配線パターンにエッチングした後に、パターン部8と、パターン部8が形成されていない非パターン部9との相違が認識されないように(すなわち、配線パターンの視認を抑制するように)、後述する光学調整層5とともに、透明導電性フィルム1の屈折率を調整する屈折率調整層でもある。
密着層4は、ハードコート層3および光学調整層5に密着し、ハードコート層3と光学調整層5とを強固に結合する層である。
光学調整層5は、透明導電層7における配線パターンの視認を抑制しつつ、透明導電性フィルム1に優れた透明性を確保するために、透明導電性フィルム1の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。
エッチング調整層6は、透明導電層7がエッチングされる際において、透明導電層7のエッチングを容易にして、透明導電層7のエッチング速度を調整する層である。
透明導電層7は、図2が参照されるように、後の工程で配線パターンに形成して、パターン部8を形成するための導電層である。
を含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分として
は、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、T
i、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、
Cr、Gaなどが挙げられる。
次いで、透明導電性フィルム1を製造する方法を説明する。
図1の実施形態では、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、ハードコート層3と、密着層4と、光学調整層5と、エッチング調整層6と、透明導電層7とを備えているが、例えば、ハードコート層3、密着層4および光学調整層5の少なくとも一層またはこれらの全ての層を備えていなくてもよい。
(透明基材)
透明基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイル」、厚み100μm)を用いた。
紫外線硬化型アクリル樹脂と、酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子(平均粒径20nm)とからなる紫外線硬化型樹脂組成物(樹脂組成物)を、固形分濃度が5質量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈して、紫外線硬化型樹脂組成物の希釈液を調製した。次いで、希釈液を、PETフィルムの上面に塗布し、80℃、2分の条件にて乾燥させて、紫外線硬化型樹脂組成物をフィルム形状に形成した。次いで、紫外線硬化型樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させた。これにより、厚み300nmのハードコート層(屈折率1.64)をPETフィルムの上面に形成した。
次いで、Arを導入した気圧0.3Paの真空雰囲気に、O2を導入しながら、下記の条件にてスパッタリングを実施して、ハードコート層の上面に密着層を形成した。
ターゲット: Si(三井金属鉱業社製)
ガス流量比: Ar:O2=100:0.1
なお、密着層の形成において、PETフィルムの下面(ハードコート層が形成された面とは反対側の面)を、−5℃の成膜ロールに接触させて、PETフィルムを冷却しながら実施した。
次いで、Arを導入した気圧0.2Paの真空雰囲気に、O2を導入しながら、下記の条件にてスパッタリングを実施して、密着層の上面に光学調整層を形成した。
ターゲット: Si(三井金属鉱業社製)
ガス流量比: Ar:O2=100:41
得られた光学調整層は、厚み14nmのSiO2層(屈折率1.47)であった。
次いで、Arを導入した気圧0.3Paの真空雰囲気に、O2を導入しながら、下記の条件にてスパッタリングを実施して、光学調整層の上面にエッチング調整層を形成した。
ターゲット: Si(三井金属鉱業社製)
ガス流量比: Ar:O2=100:0.1
なお、エッチング調整層の形成において、PETフィルムの下面(光学調整層が形成された面とは反対側の面)を、−5℃の成膜ロールに接触させて、PETフィルムを冷却しながら実施した。
下記の条件にてスパッタリングを実施して、光学調整層の上面に、厚み15nmのインジウムスズ酸化物層からなる第1透明導電層を形成した。
ガス比:ArおよびO2(流量比 Ar:O2=99:1)
電源: 直流(DC)電源
ターゲット: 酸化スズ(10質量%)と酸化インジウム(90質量%)との焼結体
続いて、下記の条件にてスパッタリングを実施して、第1透明導電層の上面に、厚み7nmのインジウムスズ酸化物層からなる第2透明導電層を形成した。
ガス比: ArおよびO2(流量比 Ar:O2=99:1)
電源: 直流(DC)電源
ターゲット: 酸化スズ(3質量%)と酸化インジウム(97質量%)との焼結体
ガス流量比: Ar:O2=99:1
このようにして、第1透明導電層および第2透明導電層の積層体からなる非晶質ITO層(22nm)を光学調整層の上面に形成した。
次いで、非晶質ITO層が形成されたフィルムを、140℃のオーブン内で60分加熱処理して、透明導電層として結晶質ITO層(厚み22nm)を形成した。加熱処理した透明導電層は、20℃の塩酸(濃度5質量%)に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm程度の間の端子間抵抗を測定し、ITO層が結晶質であることを確認した。これにより、実施例1の透明導電性フィルムを製造した(図1参照)。
エッチング調整層を形成する際、O2を導入しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、エッチング調整層(Si2p軌道の結合エネルギーは98.9eV)を形成した。これにより、実施例2の透明導電性フィルムを製造した。
エッチング調整層を形成する際、ArとO2との流量比をAr:O2=100:0.3とする以外は、実施例1と同様にして、エッチング調整層(Si2p軌道の結合エネルギーは102.5eV)を形成した。これにより、実施例3の透明導電性フィルムを製造した。
エッチング調整層を形成する際、ArとO2との流量比をAr:O2=100:32にし、成膜ロールの温度を40℃にする以外は、実施例1と同様にして、ケイ素含有層(Si2p軌道の結合エネルギーは103.1eV)を形成した。これにより、比較例1の透明導電性フィルムを製造した。
ハードコート層、密着層、光学調整層、エッチング調整層および透明導電層の厚みは、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、「H−7650」)を用いて断面観察により測定した。透明基材の厚みは、膜厚計(Peacock社製 デジタルダイアルゲージDG−205)を用いて測定した。
屈折率は、ハードコート層、密着層または光学調整層を形成した後に、それぞれ、高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000DI)を用いて、測定試料からの反射光の偏光状態の変化を測定し、取得したデータを解析ソフトWVASE32で計算することにより求めた。なお、本明細書の屈折率の数値は、波長550nmにおける屈折率である。
各実施例および比較例の透明導電性フィルムに対して、下記の条件にてX線光電子分光法(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を実施して、デプスプロファイルを取得し、エッチング調整層(上面から厚み方向0〜2nmの領域)におけるSi2p軌道の結合エネルギーを求めた。
X線源:モノクロAlKα
X Ray setting:200μmφ、15kV、30W
光電子取り出し角:試料表面に対して45°
帯電中和条件:電子中和銃とArイオン銃(中和モード)の併用
結合エネルギー:C1sスペクトルのC−C結合由来のピークを285.0eVに補正(最表面のみ)
Arイオン銃の加速電圧:1kV
Arイオン銃のエッチング速度:2nm/分(SiO2換算)
エッチング面積:2mm×2mm
(4)密着層のSi2p軌道の結合エネルギー
各実施例および比較例の透明導電性フィルムに対して、上記(3)エッチング調整層のSi2p軌道の結合エネルギーの測定条件と同一の測定条件にて、X線光電子分光法を実施して、デプスプロファイルを取得し、密着層(下面から厚み方向0〜2nmの領域)におけるSi2p軌道の結合エネルギーを求めた。
各実施例および比較例の透明導電性フィルム(5cm×5cm)を、50℃の10質量%HCl水溶液に含浸させた。その後、透明導電体をHCl水溶液から所定間隔で取り出し、電極間を1cmとしてテスターで抵抗値を測定し、60MΩ以上となったところでエッチングが完了したと判断した。
ヘーズメーター(スガ試験機社製、形式:HGM−2DP)を用いて、各実施例および比較例の透明導電性フィルムの全光線透過率を測定した。
2 透明基材
3 ハードコート層
4 密着層
5 光学調整層
6 エッチング調整層
7 透明導電層
Claims (5)
- 透明基材と、エッチング調整層と、透明導電層とを厚み方向に順に備え、
前記エッチング調整層は、前記透明導電層と接触しており、
前記エッチング調整層は、ケイ素またはケイ素化合物から形成され、
前記エッチング調整層は、前記透明導電層と接触する側の表面から厚み方向において、X線光電子分光法により求められるSi2p軌道の結合エネルギーが、98.0eV以上103.0eV未満である領域を含むことを特徴とする、透明導電性フィルム。 - 前記透明導電層が、インジウムスズ複合酸化物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電性フィルムは、前記透明基材と前記エッチング調整層との間に配置され、前記エッチング調整層と接触する光学調整層をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電性フィルムは、前記透明基材と前記エッチング調整層との間に配置され、前記透明基材と接触するハードコート層をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電性フィルムは、前記ハードコート層と前記エッチング調整層との間に配置され、前記ハードコート層と接触する密着層をさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の透明導電性フィルム。
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