以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
まず、本発明で扱う色ずれについて説明する。DC色ずれの代表的な例4種類を図27に示す。実線7と破線は本来の画像位置を、実線8は色ずれが発生している場合の画像位置を示す。(a)、(b)は主走査方向に色ずれがある場合、(c)、(d)は副走査方向に色ずれがある場合を示している。
(a)は主走査書出し位置ずれと呼ばれる主走査方向の書出し位置の誤差を示し、レーザスキャナと感光ドラムとの主走査方向の位置関係が変化したこと等によって発生する。(b)は主走査全体倍率ずれと呼ばれる主走査線幅のばらつきによる出力倍率(全体倍率)の誤差を示し、これはレーザスキャナと感光ドラム間の距離の違いによって発生する。(c)は副走査書出し位置ずれと呼ばれる副走査方向の書出し位置の誤差を示し、レーザスキャナと感光ドラムとの副走査方向の位置関係が変化したこと等によって発生する。(d)は副走査傾きずれと呼ばれる主走査線が副走査方向に傾く位置誤差を示し、レーザスキャナと感光ドラム間に傾きがある場合等に発生する。
<実施例1>
[プリンタ全体の画像形成動作の説明]
図1はタンデム方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置10の構成図である。まず、ピックアップローラ13によって繰り出された記録媒体12は、レジストセンサ111によって先端位置が検出された後、搬送ローラ対14,15に先端が少し通過した位置で搬送を一旦停止される。一方、スキャナユニット20a〜20dは、反射ミラーやレーザダイオード(発光素子)を含み、回転駆動される感光体としての感光ドラム22a〜22dに対し、レーザ光21a〜21dを順次照射する。この時、感光ドラム22a〜22dは、帯電ローラ23a〜23dによって予め帯電されている。
各帯電ローラからは例えば−1200Vの電圧が出力されており、各感光ドラムの表面は例えば−700Vで帯電されている。この帯電電位においてレーザ光21a〜21dの照射によって静電潜像を形成すると、静電潜像が形成された箇所の電位は例えば−100Vとなる。現像器25a〜25d(現像スリーブ24a〜24d)は例えば−350Vの電圧を出力し、感光ドラム22a〜22dの静電潜像にトナーを供給し、各感光ドラム上にトナー像を形成する。1次転写ローラ26a〜26dは、例えば+1000Vの正電圧を出力し、感光ドラム22a〜22dのトナー像を、転写体である中間転写ベルト30(無端状ベルト)に転写する。
尚、スキャナユニット20及び感光ドラム22を含む、帯電ローラ23、現像器25及び1次転写ローラ26等のトナー像を形成するのに直接的に係る部材群のことを画像形成部と称する。また、場合によってはスキャナユニット20を含めずに画像形成部と称しても良い。
中間転写ベルト30は、ローラ31、32、33によって周回駆動され、トナー像を2次転写ローラ27の位置へ搬送する。この時、記録媒体12は、2次転写ローラ27の2次転写位置において、搬送されたトナー像とタイミングが合うよう搬送が再開される。そして、2次転写ローラ27によって中間転写ベルト30から記録材上(記録媒体12上)にトナー像が転写される。
その後、定着ローラ対16,17によって記録媒体12のトナー像を加熱定着した後、記録媒体12を機外へ出力する。ここで、2次転写ローラ27によって、中間転写ベルト30から記録媒体12へ転写されなかった残トナーは、クリーニングブレード35によって廃トナー容器36に回収される。
また、位置ずれ(色ずれ)検出手段であるレジ検出センサ6は、中間転写ベルト30上に形成されるトナーマークからなる本発明にかかる位置ずれ(色ずれ)検出用パターンを読み取り、後述する方法で位置ずれ(色ずれ)検出を行う。ここで、各符号の英文字aはイエロー、bはマゼンタ、cはシアン、dはブラックの構成およびユニットを示す。なお、以降の説明において符号は、同じ種類の構成部位が同じ動作をする場合には英文字を省略して記載する。
尚、図1においては、スキャナユニットにより光照射を行う系を説明した。しかし、それに限定されることはなく、色ずれ(位置ずれ)が生じてしまうという意味では、例えば、光照射手段としてLEDアレイを備えた画像形成装置を以下の各実施例に適用することもできる。以下の説明においては、一例として、光照射手段としてスキャナユニットを備えた場合を説明していくこととする。
また、上の説明においては、中間転写ベルトを有する画像形成装置について述べたが、その他の方式の画像形成装置にも転用できる。例えば、記録材搬送ベルトを備え、中間転写ベルト上にトナー像を形成する代わりに、感光ドラムに現像されたトナー像を記録材搬送ベルト(無端状ベルト)により搬送されてくる転写材(記録材)上に直接転写する方式を採用してもよい。
また、本明細書においては、中間転写ベルト30の移動方向が副走査方向に対応し、その移動方向に垂直な方向が主走査方向となる。
[レジ検出センサと動作の説明]
中間転写ベルト30およびレジ検出センサ6の詳細構成について、図2を用いて説明する。
レジ検出センサ6の配置について図2(a)を用いて説明する。レジ検出センサ6は主走査方向に2個並べて6Lと6Rが配置されており、6Lは主走査方向の画像書き始め側に配置され、6Rは主走査方向の画像書き終わり側に配置されている。
レジ検出センサ6の構成について図2(b)を用いて説明する。斜めに実装された光照射手段であるLED61と、光量検出手段であるフォトトランジスタ(以下、PTRという)62を有している。LED61は、検出面に対して斜めに実装されているが、ライトガイドなどを用い、検出面に対して斜めに照射させる構成でもよい。LED61とPTR62は、図2(b)に示すように光学的に対称となるように、それぞれ中心より角度Aだけ傾けられて、配置されている。PTR62は、LED61から出射された光が中間転写ベルト30表面で正反射した光を受光する。本実施形態では、正反射光のみを検出するセンサを設けているが、乱反射光を検出するフォトトランジスタを追加したものでもよい。
図2(c)は、レジ検出センサ6L、6R、レジ検出センサ制御部45の概略回路構成図である。レジ検出センサ6Lは、LED61、PTR62、トランジスタ63、抵抗64、抵抗65、コンパレータ66、および閾値電圧67で構成されている。トランジスタ63はLED61のON/OFFを行うために用いられる。抵抗64はLEDに流す電流を制限する。抵抗65はPTR62の光電流を光電圧に変換するために用いられる。コンパレータ66は抵抗65で変換された電圧を2値化した検出信号aを出力する。閾値電圧67はコンパレータ66の閾値電圧である。レジ検出センサ6Rの構成は、レジ検出センサ6Lと同じであるため説明を省略する。
また、レジ検出センサ制御部45は、駆動部47、計測部46(46a、46b)、演算部48(48a、48b)、演算部49で構成されている。駆動部47はLEDをON/OFFするための駆動信号(a、b)を出力する。計測部46はレジ検出センサ6(6L、6R)から出力される検出信号(a、b)の出力時間を計測する。演算部48は計測部46の計測結果を基に各レジ検出センサ6が検出した色ずれ量を演算する。演算部49は演算部48の演算結果を基に画像書き出し位置などの補正値を演算する。
駆動部47によって、LED−ON信号が出力されると、トランジスタ63がONとなり、LED61が発光する。PTR62は、LED61から出射されて中間転写ベルト30で正反射した光を受光すると、光電流を発生させる。コンパレータ66は、抵抗65が変換した光電圧と閾値電圧67とを比較し、光電圧が閾値電圧67よりも低い場合はHighを出力し、光電圧が閾値電圧67よりも高い場合はLowを出力する。
中間転写ベルト30上に後述する図6や図12に示すような位置ずれ検出パターンを形成し、レジ検出センサ6で読取り、各色の位置ずれ値を検出する。また、予め定められた基準色との差を取った各色間の相対的な色ずれ値を算出してもよい。なお、この一連の色ずれ補正制御処理は通常の画像形成処理とは独立したタイミングで行われ、例えば、電源投入時や、後述する連続印刷中に機内温度が上昇し色ずれが悪化していると判断された時に印刷動作を一時的に中止して行われるものである。画像形成の条件の補正である色ずれ補正制御の実行タイミングの詳細は後述する。
[色ずれ補正制御の機能ブロック図の説明]
図3は本実施形態の色ずれ補正制御動作の全体を示すブロック図である。
制御部1は、色ずれ補正制御の動作を統括的に制御する。CPU2は、RAM3を主メモリ、ワークエリアとして利用し、EEPROM4に格納される色ずれ補正動作に関わる後述する各種データに従い、各ブロックの動作のタイミング、及び各ブロック間の通信を不図示のバスを介して、各ブロックを制御している。
色ずれ補正制御が実行されると、まずEEPROM4に格納された位置ずれ検出パターンを表す画像データを読み出し、位置ずれ検出パターン生成部44によって後述する検出パターン(図6、図12)の画像が生成される。本実施形態にて用いるパターンでは、線状のマークを用いるものとする。生成された検出パターンは画像制御部40でC、M、Y、Kの各色の画像信号に変換され各スキャナユニット20a〜20dに出力されて、中間転写ベルト30上に検出パターンが画像形成される。画像形成された検出パターンはレジ検出センサ制御部45によって制御されたレジ検出センサ6によって読み取られ、レジ検出センサ制御部45によって色ずれ補正値が算出される。検出結果に基づいて算出された色ずれ補正値はEEPROM4に格納される。
本実施形態で使用する色ずれ補正値は、図27を用いて説明したようなDC色ずれ(a)〜(d)を補正するための主走査書出し位置ずれ、主走査全体倍率ずれ、副走査書出し位置ずれ、副走査傾きずれの補正値4種類であり、各色分ある。画像制御部40は格納された走査書出し位置ずれ、主走査全体倍率ずれの色ずれ補正値に応じて、ビデオクロック周波数や書出しタイミングの補正が実行される。ポリゴンモータ制御部41は副走査書出し位置ずれの色ずれ補正値に応じて、ポリゴンの面位相を制御して書出しタイミングの補正が実行される。傾き制御部42は副走査傾きずれの色ずれ補正値に応じて、傾き補正レンズに取り付けられたモータを制御して走査線の傾きを補正する。各色ずれ補正制御にかかる制御ブロックについては後述する主走査と副走査の色ずれ補正制御フローの中で詳細を説明する。
[色ずれ補正制御]
本実施形態では、副走査色ずれ補正と主走査色ずれ補正の2つの独立な補正制御フローに分かれている。
以下、本実施形態における副走査色ずれ補正制御と主走査色ずれ補正制御について説明し、それら補正制御を実行するタイミングについても説明する。本実施形態において、以降に説明する各補正制御は、制御部1が制御するものとする。
[副走査色ずれ補正制御]
図4は副走査色ずれ補正制御の全体を説明するフローチャートである。まず、S401で制御部1は、タイマーをスタートさせる。
次にS402にて、制御部1は、位置ずれ検出パターン生成部44と画像制御部40により中間転写ベルト30上に副走査位置ずれ検出用のトナーマークからなるパターン画像を形成させる。ここで、副走査位置ずれ検出パターンを図6に示し、以下そのパターンの説明をする。
[副走査位置ずれ検出パターン]
背景技術で説明したように位置ずれを精度よく検出するためには各種速度変動などによるAC成分による検出誤差を除去するようにパターンを設計しなければならない。本実施形態ではAC成分としてドラム周期D(=100mm)、駆動ローラ周期T(=70mm)、ベルト周期B(=700mm)の3成分による周期的な検出誤差を複数セットからなるパターンを平均化計算によってよく除去できるようにパターン配置設計する。
図6(a)は全部で8セットあるパターンのうちの一つ(nセット目)のパターンptnの配置を示した。1セットは4色からなる横線マークを左右にあるレジ検出センサ6L、6Rでそれぞれ検出できるような主走査方向の位置に配置している。白抜き矢印は中間転写ベルト30の移動方向を示しており、横線マークの長手方向はそのベルト移動方向となす角が90°となる垂直方向に向いている。なお副走査方向はベルト移動方向とは逆方向となって図面下向きが正の方向となっている。左側のレジ検出センサ6L側のマークLYn、LMn、LCn、LKnはそれぞれY、M、C、K色のマークで、添字のnはnセット目のパターンであることを示している。副走査線方向において、各マーク幅w1は40ドット(600dpi)の約1.7mmで、各マーク間の隙間w2も40ドットの約1.7mmとする。これは、レジ検出センサ6で良好な検出結果を得るためであり、その検出の様子は後述する図5のS502で説明する。よってマーク間隔pはw1+w2の80ドット(600dpi)の約3.4mmとなり、ptnの全長yd0は280ドットの約11.9mmとなる。右側のレジ検出センサ6R側のマークRYn、RMn、RCn、RKnも同様である。副走査方向の位置に対しても左側のマークと同位置になるように配置している。
図6(b)は図6(a)のパターンセット8セット分(pt1〜pt8)ベルト全長内に収まるように配置した副走査位置ずれ検出パターンの全体を示した図である。図6(b)中の各セット間隔yd1、yd2、yd3は、上述した3つのAC成分を除去するために、夫々のAC成分の検出誤差が打ち消しあうように逆位相となる配置、即ち半周期の間隔に2つずつと少ない数で配置できるようにした。つまり、セット間隔yd1は駆動ローラ半周の長さT/2=35mm、セット間隔yd2はドラム半周の長さD/2=50mm、セット間隔yd3はベルト半周の長さB/2=350mmである。このように各セットを配置することにより、パターン検出時に全8セットに対して平均化処理の計算をすることで3つのAC成分の周期が全て逆位相の関係となり検出誤差を除去することができる。少なくとも検出誤差を低減することができる。
図4のフローチャートの説明に戻る。S403で、中間転写ベルト30上に形成された検出パターンを左側のレジ検出センサ6Lで検出して位置ずれを検出計算する(L位置ずれ検出)。
[L位置ずれ検出の処理フロー]
この処理ブロックの詳細を図5(a)のフローチャートを使って説明する。制御部1は、S501〜S504でi=1〜64のループ処理を行う。制御部1は、S502において、図6(b)に示した左側Lの32個のトナーマークについて、エッジの検出タイミングte(i)(i=1〜64)を検出する。図7にトナーマークをエッジの検出する様子を示した。図7は1セット目のLY1とLM1の先頭から2つのトナーマークをレジ検出センサ6で検出して得られた(抵抗65で変換された)電圧波形を示している(図2(c))。
閾値電圧67により2値化した検出信号aが変化したことに基づきエッジ検出することで、マークLY1の立ち下りエッジte(1)、立ち上りエッジte(2)と、マークLM1の立ち下りエッジte(3)、立ち上りエッジte(4)のタイミングを検出する。各マーク幅w1やマーク間の隙間w2は、大きな色ずれが生じたとしても(例えばYとM間でトナーマークが隣接するほど近づく場合)、各マークの電圧波形がオーバーラップしてしまい各マークのエッジが良好に検出できないようなことがないように設計される。つまり、マーク間の隙間w2は想定される色ずれ量より十分大きくとるように設計される。
次に、S503において、制御部1は、検出されたタイマー値te(i)をRAM3に一時記憶する。
制御部1は、S505〜S509でi=1〜32のループ処理を行う。制御部1は、S506において、エッジの検出タイミングte(i)からi番目のマークの中心位置yL(i)を計算する。このマークの中心位置yL(i)は、各マークの両エッジ検出タイミングの平均値と中間転写ベルト30の移動速度Vp(mm/s)から次式のように計算できる。
・・・(式1)
なお、検出タイミングで用いたタイマーがS402にて検出パターン(図6)を書き始めた時刻を0とするように設定している。そのため、マークの中心位置yL(i)は、検出パターンを書き始めた時に、レジ検出センサ6Lによって検出されるベルト上の副走査方向位置が原点となるような位置座標である。つまり、マークの中心位置yL(i)はそのベルト上の副走査方向位置が原点から(理想の移動速度Vpで移動した)ベルト移動距離が具体的な位置座標となる。
続いて制御部1は、S507において、i番目のマークの理想位置からの位置ずれδyL(i)を計算する。このマークの位置ずれは、図6からわかる各マークの理想(中心)位置座標yideal(i)との差分を取ることで次式のように計算できる。
δyL(i)=yL(i)−yideal(i)・・・(式2)
なお、このマークの理想(中心)位置座標yideal(i)は前述したようなマークの中心位置yL(i)の位置座標系と同じ原点をとるものとする。つまり、マークの理想(中心)位置座標yideal(i)は、DC色ずれやAC色ずれが発生しないような理想的なプリンタで上述のような位置ずれδyL(i)を算出した時に全マークで0(位置ずれなし)となるような値であることを意味する。理想(中心)位置座標yideal(i)の値は予めEEPROM4等に保持されていてもよいし、本処理フローを行う際に算出されるようにしても構わない。
S509において、制御部1は、i番目マークの位置ずれδyL(i)をRAM3に一時記憶する。
次に、S510において、制御部1は、全32個のマークの位置ずれδyLから各色の位置ずれに分けて平均化計算を行う。イエローYの位置ずれdyL(Y)は、i番目マークの位置ずれδyL(i)からYのトナーマークだけを抽出して得られる8セットのデータを平均化処理することで次式のように計算できる。
・・・(式3)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式4)
・・・(式5)
・・・(式6)
ここで、計算して得られる各色の位置ずれdyLは、主走査方向には左側のレジ検出センサ6Lの位置で検出された副走査方向のDC成分の位置ずれであって、AC成分については図6で説明したように検出パターンの配置によって除去できている。
そして制御部1は、S511において、S510で計算された各色の位置ずれdyL(Y)、dyL(M)、dyL(C)、dyL(K)をEEPROM4に記憶する。
図4のフローチャートの説明に戻る。S404で、制御部1は、中間転写ベルト30上に形成された検出パターンを右側のレジ検出センサ6Rで検出して位置ずれを検出計算する(R位置ずれ検出)。このR位置ずれ検出の処理ブロックは、S403のL位置ずれ検出の処理内容と同様なので詳細な説明を省略する。S403の説明文中や図5(a)のフローチャート内の変数名や添字のLをRと読み替えればよい。つまり、R位置ずれ検出の処理によって、主走査方向の右側のレジ検出センサ6Rの位置で検出された副走査方向のDC成分の各色位置ずれdyR(Y)、dyR(M)、dyR(C)、dyR(K)が得られ、EEPROM4に格納されている。
次に、S405において制御部1は、S403とS404で得られた副走査方向の位置ずれdyLとdyRから、副走査書出し位置ずれと副走査傾きずれの2種類の副走査位置ずれを各色計算する。
[副走査位置ずれ値計算の処理フロー]
この処理ブロックの詳細を図5(b)のフローチャートを使って説明する。制御部1は、S521において、各色の副走査書出し位置ずれytopを計算する。イエローYの副走査書出し位置ずれytop(Y)は、副走査方向の位置ずれdyL(Y)とdyR(Y)の平均値から次式のように計算できる。
・・・(式7)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式8)
・・・(式9)
・・・(式10)
左右の副走査位置ずれに差がある場合、副走査傾きずれが発生していることになる。そのため、本実施形態では左右中心位置を基準として副走査位置ずれを補正するために副走査書出し位置ずれytopの計算において左右の副走査位置ずれdyLとdyRで平均をとる。
次に、S522において制御部1は、各色の副走査傾きずれyprlを計算する。イエローYの副走査傾きずれyprl(Y)は、副走査方向の位置ずれdyL(Y)とdyR(Y)の差分から次式のように計算できる。
・・・(式11)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式12)
・・・(式13)
・・・(式14)
この副走査傾きずれyprlは、レジ検出センサ6Lから6Rの主走査位置にかけての走査線の傾き値を計算していることになる。そして制御部1は、S523において、S521とS522で計算された各色の副走査書出し位置ずれ値ytopと副走査傾きずれ値yprlをEEPROM4に記憶する。
図4のフローチャートの説明に戻る。S406で、制御部1は、副走査傾きずれyprlの計算結果から副走査傾きずれ補正制御を行う。
[副走査傾きずれ補正制御]
図8は、本実施形態における副走査方向の傾きの補正に関する動作を説明する図である。図8(a)において、感光ドラム22、スキャナユニット20、ポリゴンミラー81、および傾き補正レンズ82を示している。さらに、図8(b)において、傾き補正レンズ82、カム83、およびモータ84を示している。傾き補正レンズ82は、モータ84軸に取り付けられたカム83にて一方を保持されている。モータ84が動作してカム83が回転すると、傾き補正レンズ82の一方端が、感光ドラム22の回転方向に移動し、ポリゴンミラー81にて偏向されたレーザ光21の感光ドラム22への入射位置が変化する。この副走査方向の傾きの補正は、各色それぞれで同じ動作をする構成となっている。
制御部1は、S523でEEPROM4に格納されたイエローYの副走査傾きずれyprl(Y)を読み出し、傾き制御部42に出力する。傾き制御部42は、その傾き値yprl(Y)に応じて、モータ84を動作させて副走査方向の傾きを補正する。この時、傾き補正レンズ82は、一方端を基準にして他方端のみ移動するので、画像上では、例えば左端側を固定して、右端側のみ上下するので、同時に副走査方向の書き出し位置も変化する。よって、傾き補正動作による傾き補正レンズ82の動作量(移動量)に応じて、副走査方向の書き出し位置も補正される。同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの副走査傾きについても補正される。
本実施形態では、各色の傾きずれ値yprlから各色独立に傾き補正したが、予め定められた基準色(例えばブラックK)との差を取った各色間の相対的な色ずれ値から、基準色を除く残りの色についてだけその相対値に応じた傾き補正を行うとしてもよい。この場合、基準色の副走査傾き値に合わせるにように、他色の傾きを補正するような動作をしていることになる。
図4のフローチャートの説明に戻る。S407で制御部1は、副走査書出し位置ずれytopの計算結果から副走査書出し位置ずれ補正制御を行う。
[副走査書出し位置ずれ補正制御]
図9は本実施形態における副走査書出し位置ずれの補正に関する動作を説明する図である。
制御部1は、S523でEEPROM4に格納されたイエローYの副走査書出し位置ずれytop(Y)を読み出し、ポリゴンモータ制御部41に出力する。ポリゴンモータ制御部41は、その書出し位置ずれytop(Y)の値に応じて、以下の様に副走査方向の書出し位置ずれを補正する。
図9(a)に示すように、ポリゴンモータ制御部41は、水平同期信号生成部95、ポリゴンモータ位相制御部96、ポリゴンモータ駆動部97、および基準水平同期信号生成部98を有する。
例えば、書出し位置ずれytop(Y)が−2.25ドット(600dpi)である場合について説明する。この時、その書出し位置ずれ補正値90は検出値とは符号が逆となる+2.25(2と1/4)ドットと算出される。なお、前述した副走査傾きずれ補正制御が、この時(直前で)行われている場合は、傾き補正による書出し位置ずれの変動も加味した副走査書出し位置ずれ補正値90を算出し補正動作を行う。
レーザスキャナを用いた系では、走査ライン毎の書出し位置を揃えるため、ポリゴンモータ駆動部97によって駆動されるポリゴンミラーの回転に同期して、ポリゴンミラーの面毎に水平同期信号生成部95で生成される水平同期信号を用いる。コントローラ(不図示)は、画像形成領域内で走査ライン毎にエンジン(不図示)から送信される水平同期信号に同期して画像データを送信する。1ドット単位の書出し位置ずれ補正値は、コントローラに送信する水平同期信号のタイミングを走査ライン単位で早く又は遅くすることにより行う。なお、1走査ラインは副走査方向の1ドット(600dpi)と同じ意味である。
2走査ライン分遅くする場合は、図9(c)に示す副走査方向の基準位置を示す垂直同期信号から、コントローラへの水平同期信号の送信を開始するまでのエンジン内部の水平同期信号のカウント数を+2にする。1ドット未満の補正(例えば、1/4)は、ポリゴンの面位相を制御することにより行う。基準水平同期信号は、エンジンの内部タイマーによって、1走査ライン周期の間に等間隔で4つ生成される信号である。各色の水平同期信号が、基準水平同期信号の4位相の中の所望の位相に同期する様に、ポリゴンの面位相は制御される。そこで、補正前の設定が1/4位相で、そこから1/4ドット遅くする場合は、図9(b)に示すように1/4位相から2/4位相に基準位相を切り換える。同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの副走査書出し位置ずれについても補正される。
本実施形態では、各色の位置ずれ値ytopから各色独立に書出し位置ずれ補正したが、予め定められた基準色(例えばブラックK)との差を取った各色間の相対的な色ずれ値から、基準色を除く残りの色についてだけその相対値に応じた補正を行うとしてもよい。この場合、基準色の副走査書出し位置ずれ値に合わせるにように、他色の書出し位置ずれを補正するような動作をしていることになる。
以上説明したような従来技術を使用した副走査色ずれ補正制御により、副走査方向の色ずれを精度よく検出して色ずれ補正を実行することができる。
[主走査色ずれ補正制御]
以下、本発明に係る主走査色ずれ補正制御、特に主走査方向の色ずれ検出を従来技術より精度よく、より短時間に行う方法について説明する。図10は主走査色ずれ補正制御の全体を説明するフローチャートである。
まず、制御部1は、S101でタイマーをスタートさせる。
次にS102にて、制御部1は、位置ずれ検出パターン生成部44と画像制御部40により中間転写ベルト30上に主走査位置ずれ検出用のトナーマークからなるパターン画像を形成させる。ここで、主走査位置ずれ検出パターンを図12に示し、以下そのパターンの説明をする。
[主走査位置ずれ検出パターン]
図12において白抜き矢印は中間転写ベルト30の移動方向を示している。主走査位置ずれ検出パターンは各色において、ベルトの移動方向となす角が90°となる垂直方向に向いている横線マークと、ベルトの移動方向となす角が45°となる斜め方向に向いている斜線マークの2種類からなっている。なお、この斜線マークの向きとベルト移動方向となす角の符号については、図12に示した回転方向を正の方向とする。つまり、回転軸が紙面通して向こう向きとした時の右手系の定義とする。
イエローYの主走査位置ずれを検出するパターンについて詳細を説明する。イエローYについては、左側のレジ検出センサ6L側の横線マークL1Y、斜線マークL2Yと、右側のレジ検出センサ6R側の斜線マークR1Y、横線マークR2Yの計4つのマークからなっている。横線マークL1Yと斜線マークR1Yは、各レジ検出センサ6で主走査方向の位置ずれがない場合に同時に検出されるよう副走査方向に対して同位置に配置してあり、同組(組1とする)であるとする。また同じく、斜線マークL2Yと横線マークR2Yは、各レジ検出センサ6で主走査方向の位置ずれがない場合に同時に検出されるよう副走査方向に対して同位置に配置してあり、同組(組2とする)であるとする。
なお、本実施形態にて示す検出パターンの構成例において便宜上、横線マークL1を第一の基準マーク、斜線マークL2を第一の検出マークとも記載する。また、斜線マークR1を第二の検出マーク、横線マークR2を第二の基準マークとも記載する。さらに本実施形態において、レジ検出センサ6Lにて第一の検出手段を実現し、レジ検出センサ6Rにて第二の検出手段を実現する。また、基準マークと検出マークの対において、第一のマークと第二のマークとも記載する。
図12中のtL1(Y)、tR1(Y)、tL2(Y)、tR2(Y)は、レジ検出センサ6によって、4つのマークL1Y、R1Y、L2Y、R2Yをそれぞれ検出して得られる、検出タイミングのことである。これは、各マークにおいて副走査方向のマーク中心位置での検出された時間を意味する。この検出タイミングの詳細は後述する。主走査方向の位置ずれがない場合、組1の検出タイミングtL1(Y)、tR1(Y)は同じ値となり、同様に組2の検出タイミングtL2(Y)、tR2(Y)も同じ値となる。つまり、同組の各マークの中心位置が同じとなるように4つのマークは配置されている。
また、横線マークL1Y、R2Yは、主走査位置ずれが発生しても検出タイミングtL1(Y)、tR2(Y)は変化しないことから、各組で主走査位置ずれを検出するための基準となるもので、基準マークとも呼ぶ。斜線マークR1Y、L2Yは、主走査位置ずれが発生すると検出タイミングtR1(Y)、tL2(Y)はその位置ずれ値に応じて変化することから、各組で主走査位置ずれを検出するターゲットとなるもので、検出マークとも呼ぶ。これは、例えば100μmの主走査位置ずれが発生すると、45°の斜線マークは各センサ位置において副走査方向に対し同じく100μmのずれが発生するため、検出タイミングtR1(Y)、tL2(Y)はこのずれに応じて遅く検出される。
この主走査位置ずれが発生した時の様子を図15に示した。図15はイエローYのマークについてだけ抜き出していて、破線は位置ずれがない場合の理想的なマーク位置を、灰色で塗りつぶしたマークは主走査位置ずれ+100μmが発生した場合のマーク位置を示している。ただし、図15中の位置ずれ発生した様子は、わかりやすいように実際の位置ずれより誇張してマーク位置を描いている。主走査位置ずれ+100μmが発生した場合、横線マーク(基準マーク)は副走査方向にずれないため検出タイミングtL1(Y)、tR2(Y)は変化しない。一方、斜線マーク(検出マーク)は副走査方向に+100μmにずれるためそのずれに応じてtR1(Y)、tL2(Y)も遅れている様子がわかる。
他の色のパターン、マゼンタM(横線マークL1M、R2M、斜線マークR1M、L2M)、シアンC(横線マークL1C、R2C、斜線マークR1C、L2C)、ブラックK(横線マークL1K、R2K、斜線マークR1K、L2K)についても同様である。
横線、斜線の各マーク幅w1は40ドット(600dpi)の約1.7mm、両マーク間の隙間w3は50ドットの約2.1mm、マーク長手方向幅w4は100ドットの約4.2mm、各色マーク間の隙間w5は40ドットの約1.7mmである。同色間のマーク間隔p1はw1+w3で90ドットの約3.8mm、色間のマーク間隔p2は220ドットの約9.3mmである。これらは、副走査位置ずれ検出パターン(S502、図7)で説明した理由と同じで、レジ検出センサ6で良好な検出結果を得るためである。主走査位置ずれ検出パターンの全長は840ドットで約35.6mmと、ベルト全長Bの700mmに比べかなり短いものになっている。
図10のフローチャートの説明に戻る。S103で、中間転写ベルト30上に形成された主走査位置ずれ検出パターンを左側のレジ検出センサ6Lで検出する。
[Lパターン検出の処理フロー]
この処理ブロックの詳細を図11(a)のフローチャートを使って説明する。制御部1は、S111〜S114でi=1〜16のループ処理を行う。制御部1は、S112において、図12に示した左側Lの8個のトナーマークについて、エッジの検出タイミングte(i)(i=1〜16)を検出する。トナーマークのエッジを検出は前述の図7で示した方法と同様である。
次に、制御部1はS113において、検出されたタイマー値te(i)をRAM3に一時記憶する。
制御部1は、S115〜S118でi=1〜8のループ処理を行う。制御部1は、S116において、エッジの検出タイミングte(i)からi番目のマークの中心位置の検出タイミングtL(i)を計算する。この検出タイミングtL(i)は、i番目のマークの両エッジ検出タイミングの平均値から次式のように計算できる。
・・・(式15)
制御部1はS117において、検出されたタイマー値tL(i)をRAM3に一時記憶する。
S119において、制御部1は、全8個のマークの検出タイミングtLから各色の各組における検出タイミングに分ける計算を行う。イエローYの各組の検出タイミングは組1がtL1(Y)、組2がtL2(Y)で、それぞれ次式のように計算できる。
tL1(Y)=tL(1)、tL2(Y)=tL(2)・・・(式16)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの各組の検出タイミングについても次式のようにそれぞれ計算できる。
tL1(M)=tL(3)、tL2(M)=tL(4)・・・(式17)
tL1(C)=tL(5)、tL2(C)=tL(6)・・・(式18)
tL1(K)=tL(7)、tL2(K)=tL(8)・・・(式19)
計算された各色各組の検出タイミングtL1、tL2は、図12で示した各マークの検出タイミングのことである。そして制御部1は、S120において、各色各組の検出タイミングtL1、tL2をRAM3に一時記憶する。
図10のフローチャートの説明に戻る。S104で、制御部1は、中間転写ベルト30上に形成された主走査位置ずれ検出パターンを右側のレジ検出センサ6Rで検出する。このRパターン検出の処理ブロックは、前S103のLパターン検出の処理内容と同様なので詳細な説明を省略する。前S103の説明文中や図11(a)のフローチャート内の変数名や添字のLをRと読み替えればよい。つまり、Rパターン検出の処理によって検出パターンの右側マークにおける、各色各組の検出タイミングtR1(Y)、tR1(M)、tR1(C)、tR1(K)、tR2(Y)、tR2(M)、tR2(C)、tR2(K)が得られる。これらの値は、RAM3に一時記憶されている。
次に、S105において制御部1は、S103とS104で得られた各色各組の検出タイミングtL1、tL2、tR1、tR2から、主走査書出し位置ずれと主走査全体倍率ずれの2種類の主走査位置ずれ値を各色計算する。
[主走査位置ずれ値計算の処理フロー]
この処理ブロックの詳細を図11(b)のフローチャートを使って説明する。制御部1は、S121において、各レジ検出センサ6L、6Rにおける各色の主走査位置ずれxL、xRを計算する。イエローYの各組の検出タイミングtL1(Y)、tR1(Y)とtL2(Y)、tR2(Y)から、Yの主走査位置ずれxL(Y)、xR(Y)を計算する方法について詳細を説明する。
組1における検出(斜線)マークの検出タイミングはtR1(Y)であり、基準(横線)マークの検出タイミングはtL1(Y)である。よって、主走査位置ずれ検出のターゲットである検出マーク(斜線マーク)は右側Rなので、組1では右側Rでの主走査位置ずれdxRが検出計算できる。つまり、主走査位置ずれdxRは、検出マークの検出タイミングtR1(Y)から基準マークの検出タイミングtL1(Y)を差し引いたタイミング差に、中間転写ベルト30の移動速度Vp(mm/s)をかけ合わせた次式のように計算できる。
・・・(式20)
これは、主走査位置ずれによって検出マークが基準マークに比べて副走査方向にずれた、マーク間の相対的なずれを計算している。この副走査方向の相対的な位置ずれは、検出(斜線)マークが45°であるのでその値のまま主走査方向に位置ずれているのに等しい。なお、位置ずれの方向(符号)については、図12においてベルト移動方向とは逆が副走査方向の正方向、主走査方向は右向きが正方向となっている。例えば、上式より主走査位置ずれxRが+100μmと計算された場合は、検出マークR1Yが右方向に100μm位置ずれしていることを意味する。
次に組2における検出(斜線)マークの検出タイミングはtL2(Y)で、基準(横線)マークの検出タイミングはtR2(Y)である。よって、主走査位置ずれ検出のターゲットである検出マーク(斜線マーク)は左側Lなので、組2では左側Lでの主走査位置ずれdxLが検出計算できる。つまり、組1の時と同様に、主走査位置ずれdxLは、検出マークの検出タイミングtL2(Y)から基準マークの検出タイミングtR2(Y)を差し引いたタイミング差から次式のように計算できる。
・・・(式21)
このようにして各組から右側と左側の主走査位置ずれを計算することができる。同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの右側と左側の主走査位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式22)
・・・(式23)
・・・(式24)
・・・(式25)
・・・(式26)
・・・(式27)
次に、S122において、制御部1は各色の主走査書出し位置ずれxtopを計算する。イエローYの主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、主走査方向の位置ずれdxL(Y)とdxR(Y)の平均値から次式のように計算できる。
・・・(式28)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式29)
・・・(式30)
・・・(式31)
左右の主走査位置ずれに差がある場合、主走査全体倍率ずれが発生していることになる。そのため、本実施形態では左右中心位置を基準として主走査位置ずれを補正するために主走査書出し位置ずれxtopの計算において左右の主走査位置ずれdxLとdxRで平均をとる。
次に、S123において、制御部1は各色の主走査全体倍率ずれxtwを計算する。イエローYの主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、主走査方向の位置ずれdxL(Y)とdxR(Y)の差分から次式のように計算できる。
・・・(式32)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式33)
・・・(式34)
・・・(式35)
この主走査全体倍率ずれxtwは、レジ検出センサ6Lから6Rの主走査位置にかけての走査線幅の拡大/縮小による増減値を計算していることになる。そして制御部1は、S124において、S122とS123で計算された各色の主走査書出し位置ずれ値xtopと主走査全体倍率ずれxtwをEEPROM4に記憶する。
図10のフローチャートの説明に戻る。S106で、制御部1は主走査全体倍率ずれの計算結果xtwから主走査全体倍率ずれ補正制御を行う。
[主走査全体倍率ずれ補正制御]
図13(a)と(b)は本実施形態における主走査全体倍率ずれの補正に関する動作を説明する図である。図13(a)は画像クロック生成部1301の動作を示す図で、いわゆるPLL(Phase LockedLoop)回路で構成されている。図13(b)は画像制御部40の動作を示す図である。
制御部1は、S124でEEPROM4に格納されたイエローYの主走査全体倍率ずれxtw(Y)を読み出し、画像制御部40に出力する。画像制御部40は、主走査全体倍率ずれxtw(Y)に応じて、画像クロック生成部1301で全体倍率ずれを補正するための補正値が算出され、主走査全体倍率ずれ補正値92に設定される。ここで設定される補正値は後述する。
画像クロック生成部1301は、電圧制御X’talと、1/NR分周器と、1/NF分周器と、位相比較器と、ローパスフィルタと、VCO(電圧制御発振器)を有する。1/NR分周器はX’talの出力を分周する。1/NF分周器は画像クロック出力を分周する。位相比較器は1/NR分周器は1/NF分周器の出力の位相差に応じて、極性と幅の異なるパルスを出力する。ローパスフィルタは位相比較器の出力を平滑化する。VCO(電圧制御発振器)は入力電圧に応じて出力周波数が異なる。
画像クロック周波数fVは、X’talの周波数をfXとすると、
fV=(NR/NF)×fX・・・(式36)
となり、NR(整数)とNF(整数)を微調整することにより、fVの調整が出来る。つまり、NRとNFの設定値を変更することで主走査全体倍率ずれの補正をする。よって、主走査全体倍率ずれ補正値92は、主走査全体倍率ずれxtw(Y)を補正するためのNRとNFの値が設定される。
例えば、主走査幅が狭い方向に全体倍率ずれが検出計算された場合は、NRとNFの比を小さくしてfVを低く(周期を長く)する。この時、画像周波数が変わるので、主走査方向の書き出し位置も変化する。よって、主走査幅の補正による画像クロックの変化量に応じて、主走査方向の書き出し位置も補正される(主走査方向の書き出し位置の詳細は後述する)。また、NRとNFの設定値は、同じ全体倍率ずれ値に対しても、コントローラの回路構成により異なる。
さらに、コントローラの回路構成とNRとNFの設定値の関係によって、画像クロック周波数のジッタが悪化する場合がある。この様な場合には、他の色も含めた全色の補正値に対し微少(目視で画像の全体サイズに対しては影響の無い範囲)な量を加算又は減算させて、ジッタが悪化する設定を避ける方法がある。同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの主走査全体倍率ずれについても補正される。
本実施形態では、各色の位置ずれ値xtwから各色独立に主走査全体倍率ずれ補正したが、予め定められた基準色(例えばブラックK)との差を取った各色間の相対的な色ずれ値から、基準色を除く残りの色についてだけその相対値に応じた補正を行うとしてもよい。この場合、基準色の主走査全体倍率ずれ値に合わせるにように、他色の全体倍率ずれを補正するような動作をしていることになる。
図10のフローチャートの説明に戻る。S107で、制御部1は主走査書出し位置ずれの計算結果xtopから主走査書出し位置ずれ補正制御を行う。
[主走査書出し位置ずれ補正制御]
図13(b)と(c)は本実施形態における主走査方向の書出し位置ずれ補正に関する動作を説明する図である。制御部1は、S124でEEPROM4に格納されたイエローYの主走査書出し位置ずれxtop(Y)を読み出し、画像制御部40に出力する。画像制御部40は、主走査書出し位置ずれxtop(Y)に応じて、画像信号生成部1302で書出し位置ずれを補正するための補正値が算出され、主走査書出し位置ずれ補正値92に設定される。
レーザスキャナを用いた系では、走査ライン毎の書き出し位置を揃える。そのため、前述した様に、コントローラは、水平同期信号生成部95で生成され画像形成領域内で走査ライン毎に送信される水平同期信号に同期して、画像クロック生成部1301で画像クロックを生成する。そして、コントローラは、生成された画像クロックに同期して、画像信号生成部で生成された画像信号(画像データ)をエンジンのレーザ駆動部に送信する。
算出した主走査書出し位置ずれxtop(Y)が、例えば、−2.25ドット(600dpi)である場合について説明する。この時、主走査書出し位置ずれ補正値92は検出値とは符号が逆となる+2.25(2と1/4)ドットと算出される。なお、この時に、前述した主走査全体倍率ずれの補正が行われている場合は、主走査全体倍率ずれ補正による書き出し位置の変動量も加味した補正値を算出し補正動作を行う。
1ドット単位の位置ずれ補正値は、水平同期信号から画像信号の送信を開始する位置(画像形成を開始する位置)までの、画像クロックのカウント数を変更して行う。2ドット遅くする場合は、カウント数を+2にする。1ドット未満(例えば、1/4)の補正は、水平同期信号の同期位相を制御することにより行う。サンプリングクロックは、水平同期信号の同期位相を制御するために、画像クロックの4倍の周波数を有する。水平同期信号の立ち上がりエッジからの4クロックの中の所望の立ち上がりエッジに同期して画像クロック(サンプリングクロックの4個分)の出力を開始して、水平同期信号に対する画像クロックの位相を制御する。そこで、補正前の設定が1/4位相で、そこから1/4ドット遅くする場合は、1/4位相から2/4位相にサンプリング位相を切り換える。同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの主走査書出し位置ずれについても補正される。
本実施形態では、各色の位置ずれ値xtopから各色独立に書出し位置ずれ補正したが、予め定められた基準色(例えばブラックK)との差を取った各色間の相対的な色ずれ値から、基準色を除く残りの色についてだけその相対値に応じた補正を行うとしてもよい。この場合、基準色の主走査書出し位置ずれ値に合わせるにように、他色の書出し位置ずれを補正するような動作をしていることになる。
以上説明した主走査色ずれ補正制御により、主走査方向の位置ずれを従来技術より精度よく検出して色ずれ補正を実行することができる。主走査方向の位置ずれ検出において、従来技術より精度よく位置ずれを検出できる理由の詳細は後述する。
[色ずれ補正制御の実行タイミング]
以上説明した本実施形態における副走査色ずれ補正制御と主走査色ずれ補正制御は、それぞれ独立な補正制御の処理となっており、以下、それら2つの補正制御を実行するタイミングについて説明する。
色ずれ補正制御の実行タイミングは、電源投入時や長時間放置した時など通常印刷時に色ずれ補正制御を実行する場合と、連続印刷時に色ずれ補正制御を実行する場合の2種類ある。
まず、通常印刷時に色ずれ補正制御を実行する場合について説明する。これは、電源投入時や長時間放置などした時で前回の色ずれ補正制御からかなり時間が経ち、色ずれが悪化していると予想される場合である。これは、主に外気温が変化した時を想定していて、その温度変化により装置内の部品、例えばレーザスキャナ内の光学部品または感光体ドラム部品の位置や形状が変化することが原因となって、色ずれを生じてしまうためである。例えば、装置の置かれている室内の外気温が、昼間は太陽の日光や室内の空調などによって高くなるが、朝と夜はそれらがなくなるので低くなるといったものである。
よって、前回の色ずれ補正制御からかなりの時間が経ったと判断される時、例えば、色ずれ補正を実行するための設定値が6時間となっていれば、6時間が経過した時、色ずれ補正制御を実行するものである。この時、色ずれ補正制御は、色ずれが主走査も副走査も両方悪化していると予想されるので、副走査色ずれ補正制御(図4)と主走査色ずれ補正制御(図10)を連続実行する。なお、順番は逆であってもよい。
次に、連続印刷時に色ずれ補正制御を実行する場合について説明する。
色ずれ補正制御を実行するタイミングは、装置内温度の上昇をセンサで検出するか、連続印刷の枚数などから予測して、温度変動による色ずれ量が所定値を超えた場合に実行している。この色ずれ補正制御の実行タイミングを決めるため、連続印刷枚数から予測される色ずれ量の予測曲線を図14に示す。色ずれはその種類によって色ずれ発生メカニズムが異なるため、副走査と主走査による2つの色ずれ予測曲線を図に示している。
主走査色ずれは色ずれ予測曲線140とし、副走査色ずれは色ずれ予測曲線141とするものである。つまり、本実施形態では、主走査色ずれの方が副走査色ずれに比べ温度による色ずれの悪化が早いため、主走査色ずれ補正制御の方が副走査色ずれ補正制御に比べ少ない枚数(早い時間)間隔で実行することになる。なお、図14に示す色ずれ予測曲線に対応する情報は予め定義され、保持しているものとする。
主走査色ずれ、副走査色ずれの予測される色ずれ量が、前回の各々の色ずれ補正制御から100μmを超えた時、各々色ずれ補正制御を実行する。例として連続印刷枚数が150枚までの色ずれ補正制御の実行タイミングについて説明する。連続印刷を開始して連続50枚印刷した時、主走査の色ずれ量予測が100μmを超えたため、連続印刷動作を一時中止し、主走査色ずれ補正制御を実行する。この補正制御の実行により、理想的には主走査色ずれは0となる。そして、連続印刷を再開し更に連続50枚印刷、つまり最初の連続印刷開始から100枚印刷した時、主走査色ずれ補正制御を再度実行する。これは、前回連続50枚印刷の時に主走査色ずれ補正制御で色ずれ0になったものの、主走査色ずれ予測曲線140から、連続50枚から連続100枚までの色ずれ量予測の変化量は100μmを超えたためである。
そして、連続印刷を再開し更に連続25枚印刷、つまり最初の連続印刷開始から125枚印刷した時、副走査の色ずれ量予測が100μmを超えたため、副走査色ずれ補正制御を実行する。この補正制御の実行により、理想的には副走査色ずれは0となる。そして、連続印刷を再開するものの、その後、最初の連続印刷開始から150枚印刷し終えるまでの間で色ずれ補正制御を実行することはない。主走査色ずれにおいて、前回連続100枚印刷の時に主走査色ずれ補正制御で色ずれ0になったものの、主走査色ずれ予測曲線140から、連続150枚までの色ずれ量予測の変化量は100μmを超えていないため、主走査色ずれ補正制御は実行されない。
なお、主走査色ずれは色ずれ予測曲線140は、主走査書出し色ずれ、または主走査全体率色ずれのどちらかずれが大きい方を示したもので、例えば、連続印刷においては主走査書出し色ずれの方が常に大きくなるとしたものである。また、副走査色ずれは色ずれ予測曲線141は、副走査書出し色ずれ、または副走査傾き色ずれのどちらかずれが大きい方を示したもので、例えば、連続印刷においては副走査書出し色ずれの方が常に大きくなるとしたものである。なお、画像形成装置の個体差や画像形成装置が設置される環境等の条件によって、主走査書き出し色ずれがより副走査書き出し色ずれの方が大きくなることもあり、そのような状況でも本実施形態における色ずれ補正制御を実行することが可能である。
なお、このように2つの色ずれ補正制御に分けて実行する理由としては、補正制御によってユーザがプリンタを使用できない時間を少しでも減らす狙いがあるためである。これは、色ずれ制御にかかる全体の時間の中で色ずれを検出する時間が大半を占めており、その色ずれ検出において、主走査と副走査を統一した色ずれ検出にかかる時間に比べ副走査を単独で検出する時間の方が早いためである。
以上説明したような実行タイミングで主走査色ずれ補正制御と副走査色ずれ補正制御が実行される。
[主走査色ずれ検出のメカニズム説明]
本発明に係る主走査色ずれ検出において、図12の主走査色ずれ検出パターンや、図11の主走査色ずれ検出の計算方法によって、従来技術とは異なる方法でAC色ずれによる主走査検出誤差を除去(低減)している。以下、そのAC成分を除去するメカニズムについて図16を用いて説明する。
図16(a)はAC成分の例を示していて、AC成分150は、例えば駆動ローラの回転速度の変動によって駆動ローラ周期の副走査位置ずれが発生している様子を示しいている。このAC成分150が各色で同様に発生しているとする。
図16(b)は、AC成分150による副走査位置ずれが発生した時、主走査色ずれ検出パターン(図12)のマークがずれる様子を示している。図16(b)はイエローYのマークについてだけ抜き出しており、破線は位置ずれがない場合の理想的なマーク位置を示し、灰色で塗りつぶしたマークはAC成分150が発生した場合のマーク位置を示している。
組1のマークL1Y、R1Yと、組2のマークL2Y、R2Yの(同色間の)マーク間隔p1で副走査方向に離れているため、各組のマークがAC成分により副走査方向に位置ずれする値は異なる。つまり、図16(a)に示したように、組1マークを形成するタイミングと組2マークを形成するタイミングがp1だけずれているため、AC成分150の位相が異なり、副走査位置ずれ値が各組で違うというものである。この時の具体的な数値は、例えば組1では+30μm、組2では+10μmといったもので、以下、その具体的な数値を使って説明をする。
図16(b)において、組1では横線マークL1Yも斜線マークR1Yも+30μmの位置ずれが等しく発生しており、それぞれの検出タイミングtL1(Y)もtR1(Y)もその位置ずれに応じて等しく検出タイミングが遅れている。つまり、組1の検出タイミングtL1(Y)とtR1(Y)に差は生じない。また、同様に、組2では斜線マークL2Yも横線マークR2Yも+10μmの位置ずれが等しく発生しており、それぞれの検出タイミングtL2(Y)もtR2(Y)もその位置ずれに応じて等しく検出タイミングが遅れている。つまり、組2の検出タイミングtL2(Y)とtR2(Y)にも差は生じない。
このAC成分による副走査位置ずれがあっても、各組ではその検出タイミングに差が生じなければ、結果として検出誤差が発生することはない。これは、図11(b)で説明したように、主走査位置ずれ値の計算は、各組の検出タイミング差を使って主走査位置ずれを求めるため、AC成分による各組での検出タイミングに差が生じなければ主走査位置ずれとして誤検出されることはないためである。つまり、AC成分による副走査位置ずれは同組左右のマークで同時かつ同等に発生する。そのため、同組での検出(斜線)マークと基準(横線)マークとの検出タイミング差をとった本発明の主走査位置ずれの検出方法であれば、自動的にそのAC成分による検出誤差を打ち消し合って除去できる。
具体的な計算式では、組1から主走査位置ずれdxR(Y)を求める(式20)、組2から主走査位置ずれdxL(Y)を求める(式21)のことで、AC成分による検出誤差が0となる。この主走査位置ずれdxL(Y)とdxR(Y)のAC成分による検出誤差が0となるから、その後に計算する主走査書出し位置ずれxtopや、主走査全体倍率ずれxtwの計算でも検出誤差が混ざることがない。
なお、図16(a)のAC成分150は駆動ローラの回転速度の変動によるものと説明したが、それに限るものでない。感光ドラムやベルト、ギア駆動のギア偏心など各種速度変動となりうるAC成分であればどのようなものであっても、同様なメカニズムで検出誤差を除去できる。より厳密に言うと、副走査位置によって副走査位置ずれが変化するようなAC成分で、左右のレジ検出センサ6L、6Rの主走査方向位置において、その副走査位置ずれが左右で同じ、つまり差が出ないようなAC成分であれば検出誤差を除去できる。
[効果]
本発明に係る主走査色ずれ検出の方法を使用することによる効果について、以下説明をする。説明する効果は2つあり、主走査位置ずれ検出の高精度化と、検出パターン長の短縮化についてである。
まず、主走査位置ずれ検出の高精度化について説明する。ここでの検出精度とは、AC成分による検出誤差の程度のことである。検出パターンを複数セットで平均化する従来技術(特許文献1)における検出誤差は、課題で説明したように、複数のAC成分による検出誤差を除去したくても、AC成分を全ては除去しきれずに検出誤差がある程度残る。
これに対して、本発明に係る主走査色ずれ検出の方法を使用すれば、上述のAC成分を除去するメカニズムについての説明(図16)から、どのようなAC成分でも、非周期的な成分でも、複数あっても検出誤差を除去できる。理想的には検出誤差が0となる。つまり、従来技術に比べ、主走査位置ずれ検出は高精度化している。特に、多くのAC成分があっても全て検出誤差が除去できるのは、従来技術に比べ、非常に有利である。
次に、検出パターン長の短縮化について説明する。本発明の検出パターンは、1色あたり副走査方向にたった2組のマーク(計4個のマーク)、4色でも副走査方向にたった8組のマーク(計32個のマーク)だけである。本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンの全長は840ドットで約35.6mmと、ベルト全長Bの700mmに比べかなり短いものになっている。一方、検出パターンを複数セット配置して平均化する従来技術(特許文献1)であればAC成分を少しでもより多く除去しようとするために通常はベルト全面を使うためそのパターン全長はほぼベルト全長と言える。よって、本発明の検出パターンは、従来技術の検出パターン(例えば、図28)に比べかなり短縮化できる。
このようなパターン長の短縮化は、すなわち主走査位置ずれを検出する時間の短時間化となり、補正制御によってユーザがプリンタを使用できない時間を減らす効果がある。また、マーク数も少ないためトナーの消費も抑えられるという効果がある。なお、このような検出パターン長の短縮化が実現できる理由は、1つ目の効果である主走査位置ずれ検出の高精度化によることが大きい。これはAC成分の検出誤差を全て高精度に除去できることで、従来技術のような複数セットのパターンをたくさん配置する必要がなくなったためである。
[変形例]
[マーク角度の変形]
なお、本実施形態における主走査位置ずれ検出パターン(図12)において、検出マークとしての斜線マークの角度がベルト搬送方向に対してなす角が45°のものを使用したが、この角度に限定するものではない。この検出(斜線)マークのなす角を45°とは異なる場合についての検出方法について図17、図18を用いて以下説明する。
図17(a)は主走査位置ずれの検出パターンにおいて、イエローYのマークのうち組2の検出パターンL2Yだけ45°から26.565°のなす角に変更した場合を示した図である。図17(b)は(a)の検出パターンで主走査位置ずれが発生した時の組2マークの様子を示した図である。主走査位置ずれ+100μmが発生した場合、なす角が26.565°の検出パターンL2Yは、レジ検出センサ6Lにおけるマーク位置が副走査方向に+200μm移動している。これは、なす角が45°のマークに比べ、(b)の26.565°のマークは鋭角になっているため、主走査方向へのマーク移動量による副走査方向への移動量は1対1ではなくなり、感度がよくなりより多くの量を移動する。
この副走査方向への移動量yは、なす角θdegの斜線マークの主走査方向への移動量xの時、y=x×tan(90°−θ)で計算できる。つまり、マークのなす角θに応じて副走査方向への移動量が変化し、θが45°より鋭角の場合はyがxより大きく、θが45°より鈍角の場合はyがxより小さくなるものである。この移動量yとxの大小関係を比の関係に置き直し、その比y/xを感度比とする。この感度比y/xとマーク角度θdegとの関係を表にしたのが図18である。なお、図17のなす角が26.565°のマークは、感度比2である。
ここで、図11で説明したような検出計算を行った場合、問題が生じる。図17(b)のようなケースについて、組2の主走査位置ずれ検出値が+200μmとなってしまい、本当の主走査位置ずれ+100μmとは異なって誤検出してしまう。よって、この検出値を補正する必要がある。この補正には、図18の感度比の逆数をとった補正係数αとして、検出値に掛け合わせればよい。
以下、組1の検出(斜線)マークのなす角をθ1、組2の検出(斜線)マークのなす角をθ2と一般化して、その補正された検出式の詳細を説明する。各検出マークの補正係数α1とα2は次式のように計算できる。
α1=1/tan(90°−θ1)=cot(90°−θ1)・・・(式37)
α2=1/tan(90°−θ2)=cot(90°−θ2)・・・(式38)
次に、S122における主走査書出し位置ずれxtop(Y)の計算は次式のような補正式に修正される。
・・・(式39)
また、S123における主走査全体倍率ずれxtw(Y)の計算は次式のような補正式に修正される。
・・・(式40)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの主走査書出し位置ずれxtopと主走査全体倍率ずれxtwについても修正される。
なお、本実施形態においては、例えば図12のようにセンサ6Lとセンサ6Rとが、副走査方向においてずれなく配置されている状態で、形成するマークも副走査方向においてずれなく形成されている状態を一例として説明した。しかし、これに限られるものではなく、例えばセンサ6Lとセンサ6Rが副走査方向において、例えば100μmずれて配置されている場合は、形成するマークも副走査方向に100μmずれるように形成することで、センサ6Lとセンサ6Rにより、同時にマークを検知できるようにすることができる。
[潜像レジ検]
また、本実施形態では副走査色ずれ補正制御を独立して実行する構成として、図6のようなトナーマークを用いた検出方法をとったが、背景技術で説明した特許文献2の潜像パターンを使った副走査色ずれ検出方法であってもよい。これは、この潜像パターンを使った検出方法の方が本実施形態でのトナーマークの検出方法よりも短時間で検出できるためである。したがって、本発明の主走査位置ずれ検出と併用することで、主走査と副走査を合わせた色ずれ補正制御がより短時間で済ませることができ、効果的である。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、色ずれ補正制御の実行タイミングで説明(図14)した連続印刷中に主走査色ずれ補正制御する時に副走査方向の傾きずれ(副走査傾きずれ)がある場合、傾きずれの大きさに応じて主走査全体倍率ずれの検出誤差が発生するという問題がある。そのため、本実施形態では、副走査傾きずれに応じて主走査全体倍率ずれの検出値を補正すること特徴とする。
[副走査傾きずれがある場合の問題]
図19は副走査傾きずれがある場合に主走査全体倍率ずれの検出誤差が発生する問題を示す図である。図19(a)は副走査傾きずれの一例を示している。副走査傾き190は、左側のレジ検出センサ6Lの位置で副走査位置ずれ−30μm、右側のレジ検出センサ6Rの位置で副走査位置ずれ+30μm発生するとした、両センサ間の傾き量60μmの線形的な走査線傾きである。図19(b)は副走査傾き190が発生した時の第1の実施形態の主走査位置ずれ検出パターン(図12)の様子を示した図である。図19(a)はイエローYの副走査傾きであるとして、図19(b)もイエローYのマークについてだけ抜き出している。
左側のレジ検出センサ6Lの位置では−30μmの副走査ずれが発生しているので、左側の横線マークL1Y、斜線マークL2Yが共に副走査方向とは逆方向に理想位置(破線)から30μm移動している。また、右側のレジ検出センサ6Rの位置では−30μmの副走査ずれが発生しているので、右側の斜線マークR1Y、横線マークR2Yが共に副走査方向に理想位置(破線)から+30μm移動している。ただし、図19(b)中の位置ずれ発生した様子は、わかりやすいように実際の位置ずれより誇張してマーク位置を描いている。
この時、各組の左右マーク間の検出タイミングで傾き量60μmの位置ずれに応じた相対差が生じている。つまり、組1において、上述した式20より検出マークの検出タイミングtR1(Y)から基準マークのtL1(Y)を引いた右側の主走査位置ずれdxRは+60μmと検出されてしまうことを意味する。実際には主走査位置ずれが発生していないため、この値は検出誤差である。また、組2においても、(式21)より検出マークの検出タイミングtL2(Y)から基準マークのtR2(Y)を引いた左側の主走査位置ずれdxLは−60μmと検出されてしまい、これも実際には主走査位置ずれが発生していないため、この値は検出誤差である。
しかしながら、主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLを平均化計算するため(式28)、結局、検出誤差は相殺され0となる。一方、主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLの差分計算するため(式32)、検出誤差は残り、実際の傾き量の倍となる120μmとなる。よって、第1の実施形態では、主走査位置ずれ検出の時に、副走査傾きがある場合、主走査書出し位置ずれでは検出誤差は発生しないものの、主走査全体倍率ずれでは検出誤差が発生する。
以下、第1の実施形態と異なる点を説明する。異なる点は、主走査色ずれ補正制御における、主走査位置ずれ検出パターン(図12)と、それをパターン検出して主走査位置ずれ値計算(図11)する箇所である。
[主走査位置ずれ検出パターン]
図21は本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンを示す。本実施形態では、第1の実施形態の検出パターン(図12)に、左右に横線マークL3Y、R3Yの第3組のマークを追加している。この追加したマークの検出タイミングはそれぞれtL3(Y)、tR3(Y)としている。なお、イエローYだけでなく、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKについても同様な第3組のマークを追加している。
また、マーク幅w1やマーク隙間w3、w5、マーク長手方向幅w4などは、第1の実施形態の検出パターン(図12)と同じとした。色間のマーク間隔p2は310ドットの約13.1mmで、検出パターンの全長は1200ドットで約50.8mmである。この検出パターンの全長は、第1の実施形態の検出パターンの35.6mmに比べ長くなるが、それでもベルト全長Bの700mmに比べ依然としてかなり短く、従来技術の検出パターン(例えば、図28)に比べかなり短縮化できている状態に変わりはない。
[主走査位置ずれ値計算]
図20(a)は本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンをレジ検出センサ(6L)で検出する処理フローを示した図である。図20(a)の各ステップの処理は、基本的には図11(a)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。以下では、図11(a)との差異を中心に説明を行う。本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンは、片側(L側)マークが全部で12個あるため、S211のループ処理はi=1〜24、S215のループ処理はi=1〜12となる。
また、S219において、制御部1は、全12個のマークの検出タイミングtLから各色の各組における検出タイミングに分ける計算を行う。イエローYの各組の検出タイミングは組1がtL1(Y)、組2がtL2(Y)、組3がtL3(Y)で、それぞれ次式のように計算できる。
tL1(Y)=tL(1)、tL2(Y)=tL(2)、tL3(Y)=tL(3)・・・(式41)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの各組の検出タイミングについても次式のようにそれぞれ計算できる。
tL1(M)=tL(4)、tL2(M)=tL(5)、tL3(M)=tL(6)・・・(式42)
tL1(C)=tL(7)、tL2(C)=tL(8)、tL3(C)=tL(9)・・・(式43)
tL1(K)=tL(10)、tL2(K)=tL(11)、tL3(K)=tL(12)・・・(式44)
計算された各色各組の検出タイミングtL1、tL2、tL3は、図21で示した各マークの検出タイミングのことである。S220では、制御部1は計算された各色各組の検出タイミングtL1、tL2、tL3をEEPROM4に記憶する。
図20(b)は本実施形態における主走査書出し位置ずれと主走査全体倍率ずれの2種類の主走査位置ずれ値を各色計算する処理フローを示した図である。図20(b)の各ステップの処理は、基本的には図11(b)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。以下では、図11(b)との差異を中心に説明を行う。
S222において制御部1は、本実施形態で追加された処理で、副走査傾きずれyprlを新たに計算する。イエローYの副走査傾きずれyprl(Y)は、組3の左右横線マークの検出タイミングtL3(Y)とtR3(Y)の差分に、中間転写ベルト30の移動速度Vp(mm/s)をかけ合わせた次式のように計算できる。
yprl(Y)=(tR3(Y)−tL3(Y))×Vp・・・(式45)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
yprl(M)=(tR3(M)−tL3(M))×Vp・・・(式46)
yprl(C)=(tR3(C)−tL3(C))×Vp・・・(式47)
yprl(K)=(tR3(K)−tL3(K))×Vp・・・(式48)
この副走査傾きずれyprlは、レジ検出センサ6Lから6Rの主走査位置にかけての走査線の傾き値を計算していることになる。
S223において制御部1は、各色の主走査書出し位置ずれxtopを計算する。内容は図11(b)のS122と同様である。
次に、S224において、制御部1は各色の主走査全体倍率ずれxtwを計算する。イエローYの主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、主走査方向の位置ずれdxL(Y)とdxR(Y)の差分から計算しつつ、副走査傾きずれyprl(Y)による検出誤差分を補正するため次式のように計算できる。
・・・(式49)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式50)
・・・(式51)
・・・(式52)
この主走査全体倍率ずれxtwは、レジ検出センサ6Lから6Rの主走査位置にかけての走査線幅の拡大縮小による増減値を計算していることになる。そして、S225において制御部1は、各色の主走査書出し位置ずれ値xtopと主走査全体倍率ずれxtwをEEPROM4に記憶する。
以上が、本実施例における第1の実施形態と異なる点である。
本実施形態では、副走査傾きずれに応じて主走査全体倍率ずれの検出値を補正することで、副走査傾きずれによらない、より高精度な主走査全体倍率ずれ検出を可能とする。
[変形例]
なお、本実施形態における主走査全体倍率ずれの計算時に補正すべき副走査傾きずれ値yprlを算出するために、主走査位置ずれ検出パターン(図21)に示したような傾き検出用の第3組の横線マークを追加し、毎回傾き検出するとした。しかし、副走査傾きを検出するパターンは、第3組の横線マークのような追加パターンに限定せず、副走査傾きを検出できるパターンであればどのようなパターンでも良い。
また、補正すべき副走査傾きずれ値yprlを算出するのに、主走査位置ずれ検出パターンに毎回傾き検出するための副走査傾き検出パターンを追加したが、このような毎回検出する構成に限定しない。例えば、前回の副走査色ずれ補正制御時に検出してEEPROM4に記憶された傾き値や、連続印刷中に予測される傾き値、またはそれら2つの値に応じて算出される傾き値、工場出荷時に測定器具などで傾き値を測定し設定された固定の傾き値などであっても良い。これは、本実施形態では図8に示したような副走査方向の傾きの補正を行う構成であったが、そのような傾き補正をしない構成もあるためである。このような構成の場合は、通常、傾きが経時的に大きく変化することがない様に設計されているため、検出パターンに追加してまで毎回傾き検出する必要はなく、副走査色ずれ補正制御時などによって得られた前回の傾き値などでもよいためである。
<第3の実施形態>
第1と第2の実施形態では、主走査位置ずれ検出パターンで用いる2組の検出(斜線)マークにおいて、両組のマークともベルト搬送方向とのなす角が同じ符号の斜線マークを用いたが、これに限らず異なる符号のなす角の斜線マークを使用しても構わない。ただし、異なる符号のなす角の斜線マークを使用する場合は、その後の主走査位置ずれ値の計算式や、また第2の実施形態における副走査傾き補正の計算式が異なる。そのため、本実施形態では、2組の検出(斜線)マークにおいて、その検出マークとベルト搬送方向とのなす角が両組で異符号の関係にある場合の検出パターンであることを特徴とし、それに適した構成について説明する。
以下、第2の実施形態と異なる点を説明する。異なる点は、主走査色ずれ補正制御における、主走査位置ずれ検出パターン(図21)と、それをパターン検出して主走査位置ずれ値計算(図20)する箇所である。
[主走査位置ずれ検出パターン]
図23は本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンを示してある。本実施形態では、組1の右側にある検出(斜線)マークR1Yのなす角を、組2の左側にある検出マークL2Yのなす角とは異なる符号の−45°とした。同様に他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKについても組1の検出マークのなす角を−45°に設定した。そのなす角の変更以外は、全て図21と同じであるので詳細な説明は省く。
図24はDC成分としての主走査位置ずれ+100μmが発生した時の、本実施形態における主走査位置ずれ検出パターン(図23)のずれる様子を示した。図23はイエローYのマークについてだけ抜き出している。なす角+45°である組2の検出マークL2Yは副走査方向に+100μmずれているのに対して、本実施形態で変更してなす角−45°とした組2の検出マークR1Yは副走査方向に−100μmずれているのがわかる。よって、検出(斜線)マークのなす角の符号が異なれば、主走査位置ずれにより検出マークが副走査方向にずれる方向も異なるため、その後の検出計算ではこの符号を考慮しなくてはならない。
[主走査位置ずれ値計算]
図22(a)は、本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンをレジ検出センサ(6L)で検出する処理フローを示した図である。図22(a)の各ステップの処理は、図20(a)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。
図22(b)は、本実施形態における主走査書出し位置ずれと主走査全体倍率ずれの2種類の主走査位置ずれ値を各色計算する処理フローを示した図である。図22(b)の各ステップの処理は、基本的には図20(b)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。以下では、図20(b)との差異を中心に説明を行う。
S231において制御部1は、各レジ検出センサ6L、6Rにおける各色の主走査位置ずれxL、xRを計算する。イエローYの組1において、検出できる主走査位置ずれdxRは検出マークの検出タイミングtR1(Y)から基準マークのtL1(Y)を差し引いたタイミング差に、前述した検出マークのずれる方向を考慮し補正して、次式のように計算できる。
・・・(式53)
なお、式中Vpは中間転写ベルト30の移動速度(mm/s)である。組2については、第2の実施形態の検出マークL2Yと同じなす角の符号であるため、主走査位置ずれdxLの検出計算は(式21)と同様な計算で求めることができるので詳細を省略する。
また、同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの組1における主走査位置ずれdxRについても、次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式54)
・・・(式55)
・・・(式56)
ここで、図19で説明したような副走査傾き(a)が発生した場合、S231で検出計算された主走査位置ずれdxR、dxLがどのような検出誤差となるかを説明する。右側のレジ検出センサ6Rの位置で副走査位置ずれ+30μm発生するため、イエローYの組1から検出できる主走査位置ずれdxR(Y)は−30μmとなる。この値は、第2の実施形態の時と符号が異なることに注意する。そして、レジ検出センサ6Lの位置で副走査位置ずれ−30μm発生するため、イエローYの組2から検出できる主走査位置ずれdxL(Y)も−30μmとなる。
つまり、この傾き量60μmの位置ずれに対して、左右の主走査位置ずれdxR、dxLにおいて同符号の−30μmの誤差となって検出される。これにより、主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLを平均化計算するため(式28)、結局、検出誤差は相殺されず残り−30μmとなる。一方、主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLの差分計算するため(式32)、検出誤差は相殺され0μmとなる。
よって、本実施形態では、第2の実施形態とは異なり、副走査傾きがある場合、主走査書出し位置ずれだけで検出誤差が発生する。
S232において制御部1は、各色の副走査傾きずれyprlを計算する。内容は図20(b)のS222と同様である。
次に、S233において制御部1は、各色の主走査書出し位置ずれxtopを計算する。前述したように、副走査傾きがある場合、主走査書出し位置ずれに検出誤差が発生するため、制御部1はこれを副走査傾きずれyprlを使って補正する。イエローYの主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、主走査方向の位置ずれdxL(Y)とdxR(Y)の平均値から計算しつつ、副走査傾きずれyprl(Y)による検出誤差分を補正するため次式のように計算できる。
・・・(式57)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式58)
・・・(式59)
・・・(式60)
次に、S234において制御部1は、各色の主走査全体倍率ずれxtwを計算する。前述したように、本実施形態では副走査傾きがあっても、主走査書出し位置ずれに検出誤差が発生しないため、第2の実施形態とは異なり、主走査全体倍率ずれ値xtwを補正する必要はない。よって、内容は図11(b)のS123と同様である。
以上が、本実施例における第2の実施形態と異なる点である。
本実施形態では、2組の検出(斜線)マークにおいて、その検出マークとベルト搬送方向となす角が両組で異符号の関係となる検出パターンである場合にも、副走査傾きずれによらない高精度な主走査書出し位置ずれと主走査全体倍率ずれの検出を可能とする。
<第4の実施形態>
第2と第3の実施形態では、副走査傾きずれがある場合、主走査位置ずれ値検出において傾きずれ値に応じた補正が必要であった。本実施形態では、主走査位置ずれ値検出において、副走査傾きずれ補正が必要としないことを特徴とする。
第2の実施形態において、2組の検出(斜線)マークのなす角が同符号の時は、副走査傾きずれ補正が必要だった主走査位置ずれの項目は主走査全体倍率ずれであった。第3の実施形態において、2組の検出(斜線)マークのなす角が異符号の時は、副走査傾きずれ補正が必要だった主走査位置ずれの項目は主走査書出し位置ずれであった。そこで、本実施形態では、これら2つの構成を統合し副走査傾きずれ補正が必要ない主走査位置ずれ項目を選択的に採用するとした。
以下、第1〜第3の実施形態と異なる点を説明する。異なる点は、主走査色ずれ補正制御における、主走査位置ずれ検出パターン(図12、図21、図23)と、それをパターン検出して主走査位置ずれ値計算(図11、図20、図22)する箇所である。
[主走査位置ずれ検出パターン]
図26は本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンを示してある。本実施形態では、第1の実施形態の検出パターン(図12)に、基準(横線)マークL3Yと、組1の検出マークとは符号が逆となるなす角が−45°の検出(斜線)マークR3Yとの第3組のマークを追加している。この追加したマークは、第3の実施形態(組1)と同じである。マークの検出タイミングはそれぞれtL3(Y)、tR3(Y)である。なお、イエローYだけでなく、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKについても同様な第3組のマークを追加している。
なお、本実施形態にて示す検出パターンの構成例において便宜上、横線マークL3を第三の基準マーク、斜線マークR3を第三の検出マークとも記載する。
また、マーク幅w1やマーク隙間w3、w5、マーク長手方向幅w4などは、第1の実施形態の検出パターン(図12)と同じとした。色間のマーク間隔p2は360ドットの約15.2mmで、検出パターンの全長は1400ドットで約59.3mmである。この検出パターンの全長は、第1の実施形態の検出パターンの35.6mmや、第2(第3)の実施形態の検出パターンの約50.8mmに比べ長くなる。しかし、それでもベルト全長Bの700mmに比べ依然としてかなり短く、従来技術の検出パターンに比べかなり短縮化できている状態に変わりはない。
[主走査位置ずれ値計算]
図25(a)は本実施形態における主走査位置ずれ検出パターンをレジ検出センサ(6L)で検出する処理フローを示した図である。図25(a)の各ステップの処理は、図20(a)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。
図25(b)は本実施形態における主走査書出し位置ずれと主走査全体倍率ずれの2種類の主走査位置ずれ値を各色計算する処理フローを示した図である。図25(b)の各ステップの処理は、基本的には図11(b)の各ステップと同様なので、詳しい説明を省略する。以下では、図11(b)との差異を中心に説明を行う。
S251において制御部1は、各レジ検出センサ6L、6Rにおける各色の主走査位置ずれxL、xRを計算する。
制御部1は、イエローYの組1において、検出マークの検出タイミングtR1(Y)と基準マークのtL1(Y)から、主走査位置ずれdxR1を検出計算する。制御部1は、組2において、検出マークの検出タイミングtL2(Y)と基準マークのtR2(Y)から、主走査位置ずれdxLを検出計算する。制御部1は、組3において、検出マークの検出タイミングtR3(Y)と基準マークのtL3(Y)から、主走査位置ずれdxR3を検出計算する。組1と組2は、第1の実施形態(組1と組2)と同様で、組3は第3の実施形態(組1)と同様な計算式のため、詳細な説明は省略する。
各組から検出される主走査位置ずれdxR1、dxL、dxR3は、中間転写ベルト30の移動速度Vp(mm/s)を使って次式のように計算できる。
・・・(式61)
・・・(式62)
・・・(式63)
また、同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの各組から検出される主走査位置ずれdxR1、dxL、dxR3についても、次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式61)
・・・(式62)
・・・(式63)
・・・(式61)
・・・(式62)
・・・(式63)
・・・(式61)
・・・(式62)
・・・(式63)
ここで、図19(a)で説明したような副走査傾きが発生した場合、S251で検出計算された主走査位置ずれdxR1、dxL、dxR3がどのような検出誤差となるか説明する。右側のレジ検出センサ6Rの位置で副走査位置ずれ+30μmが発生するため、イエローYの組1から検出できる主走査位置ずれdxR1(Y)は+30μmとなり、組3から検出できる主走査位置ずれdxR3(Y)は−30μmとなる。そして、レジ検出センサ6Lの位置で副走査位置ずれ−30μm発生するため、イエローYの組2から検出できる主走査位置ずれdxL(Y)は−30μmとなる。
つまり、右側のレジ検出センサ6Rの位置で検出される副走査位置ずれdxR1(Y)とdxR3(Y)は、左側の副走査位置ずれdxL(Y)とは大きさが同じで同符号のものと、異符号のものとなることがわかる。これにより、主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLを平均化計算するため(式28)、dxRは検出誤差が相殺されるdxR1(Y)の方を用いればよい。
また、主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、検出された左右の主走査位置ずれdxR、dxLの差分計算するため(式32)、dxRは検出誤差が相殺されるdxR3(Y)の方を用いればよい。このようにして選択的に使用すれば検出誤差が発生することがない。
次に、S252において、各色の主走査書出し位置ずれxtopを計算する。前述したように、計算に使用する右側の副走査位置ずれdxRは、組1のdxR1を使用する。よって、イエローYの主走査書出し位置ずれxtop(Y)は、組1と組2の主走査方向の位置ずれdxR1(Y)、dxL(Y)から、次式のように計算できる。
・・・(式64)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式65)
・・・(式66)
・・・(式67)
次に、S253において制御部1は、各色の主走査全体倍率ずれxtwを計算する。前述したように、計算に使用する右側の副走査位置ずれdxRは、組3のdxR3を使用する。よって、イエローYの主走査全体倍率ずれxtw(Y)は、組3と組2の主走査方向の位置ずれdxR3(Y)、dxL(Y)から、次式のように計算できる。
・・・(式68)
同様な方法で、他の色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの位置ずれについても次式のようにそれぞれ計算できる。
・・・(式69)
・・・(式70)
・・・(式71)
そして、S254において制御部1は、各色の主走査書出し位置ずれ値xtopと主走査全体倍率ずれxtwをEEPROM4に記憶する。以上が、本実施例における第1、第2、第3の実施形態と異なる点である。
よって、本実施形態では、副走査傾きずれ補正の必要がない主走査位置ずれ値の検出が可能となる。