JP2017067649A - 物理量センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の小型化を図ることが可能なSAW素子を用いた物理量センサを提供する。【解決手段】1枚の圧電基板2に対して、2方向のSAWを出力できる構造を1つのIDT3によって実現する。具体的には、IDT3を構成する各櫛歯電極31、32の各櫛歯部31b、32bを曲げられた形状とし、曲げられた各部からx方向とy方向の2方向に第1SAWと第2SAWが出力されるようにする。これにより、1枚の圧電基板2に対して1つのIDT3を備えるだけで、2方向へのSAWの出力が可能となり、装置の小型化を図ることが可能となる。【選択図】図1
Description
本発明は、弾性表面波素子を用いた物理量センサに関するものである。
従来より、弾性表面波(以下、SAW(Surface Acoustic Wave)という)素子を用いた物理量センサがある。例えば、SAW素子を用いた物理量センサは、圧電基板の上に、2つの櫛形の電極を組み合わせて構成されたストライプ状の電極(以下、IDT(Inter Digital Transducer)という)と、IDTに対向配置されたストライプ状の反射器を備えた構成とされる。
このように構成される物理量センサでは、IDTの各電極に入力信号を入力し、そのときに圧電基板の表面に発生させられるSAWが反射器で反射された反射波を受け取ったときにIDTから出力される信号を出力信号として、印加された物理量を検出する。すなわち、物理量に基づく歪みによってIDTと反射器との間の距離が変化すると、IDTが発した弾性波が反射波として戻ってくるまでに掛かる時間が変化することから、出力信号が発生させられる時間が変化する。このため、入力信号を入力してから出力信号が発生させられるまでの間の時間間隔である遅延時間に基づいて、発生している物理量を検出することができる。
特許文献1では、上記のように構成されるセンサ部を2つ備えた物理量センサが開示されている。物理量センサは、例えば2つのセンサ部を回転軸に取り付けることで回転軸に加わるトルクを検出するトルクセンサとして用いられる。各センサ部は、別々に搬送波を発生させる別々のIDTを備えた構造とされ、SAWの伝播路の方向が回転軸の中心軸を中心として互いに反対側に同角度傾斜させられて配置されている。このように、各センサ部が回転軸の中心軸を中心として反対側に同角度傾斜させられるように物理量センサを配置すると、トルク印加時に、一方には引張応力が加わり他方には圧縮応力が加わる。このため、各センサ部のSAWの共振周波数が反対方向に変化し、2つの周波数の差に基づいてトルク検出を行うことが可能となる。また、二つのセンサ部のSAWの周波数の温度係数(TCF)が等しくなり、その差を用いることで、温度変化の影響を自動的に排除することが可能となる。
しかしながら、複数のIDTが必要になることから、物理量センサの大型化を招くことになる。そして、物理量センサの大型化は、物理量の検出対象への取り付けスペースの増大を招いたり、物理量の検出対象の制約を生じさせてしまう。
本発明は上記点に鑑みて、2つの伝播路それぞれにSAWを発生させて物理量検出を行う物理量センサにおいて、装置の小型化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかる物理量センサは、少なくとも表面が圧電性材料で構成された圧電基板(2)と、圧電基板の表面上において、圧電基板の表面内に延設された櫛歯(31b、32b)を含む2つの櫛形電極(31、32)を有し、2つの櫛形電極それぞれの櫛歯が交互に並ぶように対向して配置することにより構成され、入力信号が入力されると圧電基板の圧電効果に基づいて所定波長のSAWを励起させ、圧電基板に備えられる伝播路に伝播させる入力電極(3)と、伝播路を通じて伝播されたSAWを検知し、出力信号を発生させる出力電極(3)と、を有するSAW素子(1)を備え、印加された物理量に応じて伝播路の長さが変化することに基づいて、入力信号と出力信号との間の時間間隔である遅延時間より物理量の検出を行う。このような物理量センサにおいて、入力電極は、2つの櫛形電極それぞれの櫛歯が該櫛歯の長手方向の途中位置において曲がっており、該曲がり部を挟んだ両側においてそれぞれ2つの櫛形電極それぞれの櫛歯が対向配置され、入力信号が入力されると、曲がり部を挟んだ両側より異なる2つの方向にSAWを励起させて伝播させる。
このような構成においては、1枚の圧電基板に対して、2方向のSAWを出力できる構造を1つのIDTによって実現している。すなわち、IDTを構成する各櫛歯電極の各櫛歯部を曲げられた形状とし、曲げられた各部からx方向とy方向の2方向に第1SAWと第2SAWが出力されるようにしている。これにより、1枚の圧電基板に対して1つのIDTを備えるだけで、2方向へのSAWの出力が可能となり、装置の小型化を図ることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。まず、本実施形態のSAW素子1の構成について説明する。ここでは、トルク検出を行うトルクセンサにSAW素子1を適用する場合を例に挙げて説明するが、SAW素子1を圧力センサなどの他の物理量を検出するセンサとして用いることもできる。
本発明の第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。まず、本実施形態のSAW素子1の構成について説明する。ここでは、トルク検出を行うトルクセンサにSAW素子1を適用する場合を例に挙げて説明するが、SAW素子1を圧力センサなどの他の物理量を検出するセンサとして用いることもできる。
SAW素子1は、図1および図2に示すように圧電基板2の表面上にIDT3と反射器4を備えた構成とされている。図2では、SAW素子1の構成要素として圧電基板2やIDT3および反射器4のみを図示してあるが、SiO2、GeO2、BeF2等の温特抑制膜やSiN、AlN等の防湿膜などでIDT3を含めた圧電基板2の表面を被覆しても良い。
また、SAW素子1は、外部の装置として、制御装置5に接続されており、この制御装置5によって制御されることでトルク検出を行っている。
圧電基板2は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等の圧電性材料で形成された平板状の基板である。本実施形態の場合、圧電基板2の上面視形状を正方形としている。
IDT3は、入力信号に基づいてSAWを発生させる入力電極に相当するものであり、本実施形態の場合は出力電極の役割も果たす。IDT3は、図1に示すように、対向する2つの櫛形電極31、32の各歯が互いに平行かつ交互に並ぶように配置されており、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)などの電極材料によって構成されている。各櫛形電極の歯は互いに平行に並べられ、本実施形態の場合は、IDT3を構成する櫛形電極31、32の歯のピッチを例えばλ/2で一定としているが、各歯のピッチについては任意に設定可能である。なお、λは本実施形態において使用するSAWの波長である。
各櫛形電極31、32はそれぞれ制御装置5と接続するための配線や端子に接続されており、これらを通じて制御装置5からの入力信号の入力や、制御装置5への出力信号の出力が為される。そして、制御装置5から入力信号が入力されることに基づき、IDT3は、各櫛形電極31、32の間に発生する電位差および圧電基板2の圧電効果による励起によりSAWを発生させ、伝播路および反射器4側に伝播させる。
本実施形態の場合、IDT3は、後述するように、各櫛歯電極31、32に備えられる第1櫛歯部31b、32bが長手方向の途中位置において曲げられた構造とされることで、全体形状がV字状とされている。図1に示すように、基板の面方向のうちの一方向をx方向、x方向に対する垂直方向をy方向とすると、IDT3はx方向とy方向に延びることでV字状とされている。そして、IDT3は、圧電基板2の一角部に配置されつつ、V字状における両先端が圧電基板2の一角部を構成する2辺にそれぞれ向けられ、V字状の曲がり部、つまり角部が圧電基板2の一角部と反対側に位置するように配置されている。
具体的には、櫛歯電極31は、直線状の第1基部31aと、この第1基部31aに繋がった複数本の第1櫛歯部31bとを有した構成とされている。第1基部31aは、x方向に延びている。第1櫛歯部31bは、第1基部31aからy方向に延設される第1部分と、中央位置において曲げられてx方向のうち後述する第1SAWの出力方向と反対方向に延設された第2部分を有している。
また、櫛歯電極32も、直線状の第2基部32aと、この第2基部32aに繋がった複数本の第2櫛歯部32bとを有した構成とされている。第2基部32aは、y方向に延びている。第2櫛歯部32bは、第2基部32aからx方向に延設される第3部分と、中央位置において曲げられてy方向のうち後述する第2SAWの出力方向と反対方向に延設された第4部分を有している。
そして、各櫛歯電極31、32の各櫛歯部31b、32bが交互に等間隔に配置されることで、各櫛歯部31b、32bがx方向およびy方向それぞれにおいて対向配置されている。
反射器4は、IDT3から伝播されるSAWの伝播方向に対して垂直に延設された複数の突起状構造部によって構成されるもので、伝播されてきたSAWを反射し、反射波を発生させてIDT3側に伝える。本実施形態では、反射器4は第1反射器41と第2反射器42の2つを備えた構成とされている。ここでは、IDT3の櫛形電極31、32を構成する電極材料によって構成した電極構造部41a、42aによって第1、第2反射器41、42を構成している。ただし、温特抑制膜や防湿膜が形成される場合には、温特抑制膜や防湿膜のうち電極構造部4aの上に、電極構造部4aの形状に対応する凸形状部が構成されることがある。これら温特抑制膜や防湿膜の表面に形成された凸形状部によっても第1、第2反射器41、42の一部が構成される。
また、本実施形態では、複数の電極構造部41aは、それぞれ等間隔に平行に並べられ、IDT3の各櫛形電極31、32の各櫛歯部31b、32bのうちy方向に平行な部分と対向して配置されている。各櫛歯部31b、32bのうちy方向に平行な部分より出力されるSAWは、x方向に伝わることから、IDT3から見てx方向に複数の電極構造部41aが配置されるようにしている。同様に、複数の電極構造部42aも、それぞれ等間隔に平行に並べられ、IDT3の各櫛形電極31、32の各櫛歯部31b、32bのうちx方向に平行な部分と対向して配置されている。各櫛歯部31b、32bのうちx方向に平行な部分より出力されるSAWは、y方向に伝わることから、IDT3から見てy方向に複数の電極構造部42aが配置されるようにしている。
各反射器41、42は、IDT3からの距離が異なる距離となるように配置されることで、SAWの伝播経路長が異なる長さとなるようにしてある。また、各電極構造部41a、42aのピッチは、例えばIDT3を構成する櫛形電極31、32の各櫛歯部31b、32bのピッチと同じとされている。なお、櫛形電極31の各第1櫛歯部31bと櫛形電極32の各第2櫛歯部32bの間の間隔は、上記したように、λ/2とされている。
制御装置5は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路などで構成されるものであり、IDT3に対して入力信号を入力すると共に、IDT3の出力信号に基づいて物理量としてトルク検出を行う。具体的には、制御装置5は、IDT3への入力信号、例えば各櫛形電極31、32の間にパルス状の電位差を発生させる信号を入力することで、圧電効果に基づいてSAWを発生させる。これにより、反射器4から反射波が伝播され、その反射波に基づいて圧電効果によりIDT3の各櫛形電極31、32の間に電位差あるいは電荷が発生することから、制御装置5は、それを検出することで反射波が返って来たタイミングを検出する。そして、制御装置5は、SAWを発生させてから反射波が返って来るまでの間を遅延時間として、この遅延時間の測定を行う。印加されるトルクによってIDT3と反射器4との間の距離が変化し、この距離の変化によって遅延時間が変化することから、遅延時間を測定することで、トルクを検出することができる。
本実施形態の場合、IDT3を上記構造としていることから、各櫛歯部31b、32bのうちy方向に平行な部分とx方向に平行な部分それぞれから2方向にSAWが出力される。各櫛歯部31b、32bのうちy方向に平行な部分より出力されるSAWを第1SAWとして、第1SAWは第1反射器41に伝えられる。また、各櫛歯部31b、32bのうちx方向に平行な部分より出力されるSAWを第2SAWとして、第2SAWは第2反射器42に伝えられる。これら第1SAWおよび第2SAWは、IDT3に対して入力信号を印加したときに同時に発生させられる。しかしながら、第1反射器41と第2反射器42のIDT3からの距離が異なる距離とされていることから、第1SAWおよび第2SAWの反射波がIDT3に返って来るまでの遅延時間は異なった値となる。したがって、第1SAWおよび第2SAWの反射波がIDT3に異なったタイミングで入力されることとなり、制御装置5は、その異なったタイミングを検出するようになっている。
このような構造により、本実施形態にかかるSAW素子1が構成されている。このように構成されるSAW素子1は、例えば、ガラスなどの応力が伝達されやすい硬い材料で構成された接合材を介して図3に示すような検出対象10に貼り付けられ、検出対象10に加わる物理量、例えばトルクや圧力などを検出するものとして用いられる。例えば、SAW素子1は、車両のエンジンにおけるクランク軸近辺に配置されるトルクセンサとして用いられ、クランク軸に掛かるトルクに基づいて圧電基板2が変形することを利用して、トルク検出を行う。
つぎに、SAW素子1の動作について説明する。
まず、制御装置5がIDT3の2つの櫛形電極31、32に対して入力信号を入力、例えば櫛形電極31、32間に電位差を発生させると、櫛形電極31、32を通して圧電基板2に電位差が発生する。これにより、圧電基板2のうちIDT3が形成された部分の表面において、圧電効果によるSAWが発生する。具体的には、各櫛歯部31b、32bのうちy方向に平行な部分より第1SAWが出力され、各櫛歯部31b、32bのうちx方向に平行な部分より第2SAWが出力される。
第1SAWは圧電基板2の表面のうちIDT3と第1反射器41との間の伝播路となる第1伝播路を通じて伝播され、第1反射器41に到達する。その後、第1反射器41で反射されて、第1反射波としてIDT3に返って来る。この第1反射波に基づいて、圧電基板2のうちのIDT3が形成された部分の表面が変形し、IDT3の櫛形電極31、32間に圧電効果による電位差が発生する。同様に、第2SAWは圧電基板2の表面のうちIDT3と第2反射器42との間の伝播路となる第2伝播路を通じて伝播され、第2反射器42に到達する。その後、第2反射器42で反射されて、第2反射波としてIDT3に返って来る。この第2反射波に基づいて、圧電基板2のうちのIDT3が形成された部分の表面が変形し、IDT3の櫛形電極31、32間に圧電効果による電位差が発生する。そして、第1反射器41と第2反射器42のIDT3からの距離が異なる距離とされていることから、第1SAWおよび第2SAWの反射波がIDT3に返って来るまでの遅延時間は異なった値となる。したがって、第1SAWおよび第2SAWの反射波がIDT3に異なったタイミングで入力されることとなり、異なったタイミングで上記電位差が発生させられる。
この異なったタイミングで発生した電位差が第1出力信号および第2出力信号として制御装置5に出力され、制御装置5は、IDT3に入力信号を入力してから、IDT3から第1出力信号や第2出力信号が出力されるまでの遅延時間を測定する。
SAW素子1がこのような動作をしているときに、圧電基板2が検出対象12に加わる物理量、例えばクランク軸に加わるトルクに基づいて歪むと、SAWの伝播路の長さが変化する。このため、SAWがIDT3から第1反射器41および第2反射器42で反射してIDT3に戻ってくるまでの遅延時間が変化する。この遅延時間の測定結果に基づいて、制御装置5は、ROM等の記憶領域に記憶された遅延時間とトルクとの関係をもとに、測定した遅延時間からトルクを検出する。
そして、このような物理量検出を行う際に、2方向のSAWを出力できる形態とされていることから、例えば、クランク軸の中心軸を中心として第1SAWと第2SAWが線対称に出力されるように物理量センサを配置する。このような配置にすると、二つのセンサ部のSAWの周波数の温度係数(TCF)が等しくなり、その差を用いることで、温度変化の影響を自動的に排除することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態のSAW素子1では、1枚の圧電基板2に対して、2方向のSAWを出力できる構造を1つのIDT3によって実現している。すなわち、IDT3を構成する各櫛歯電極31、32の各櫛歯部31b、32bを曲げられた形状とし、曲げられた各部からx方向とy方向の2方向に第1SAWと第2SAWが出力されるようにしている。これにより、1枚の圧電基板2に対して1つのIDT3を備えるだけで、2方向へのSAWの出力が可能となり、装置の小型化を図ることが可能となる。
また、1つの方向へのSAWの出力が行えるセンサ部を別チップとして2つ備えて物理量センサを備える場合、各SAWが正確な方向に出力されるように各チップが高い精度で実装される必要がある。これに対して、本実施形態の構造の場合、2つの方向へのSAWの出力が1チップで行えることから、各SAWが正確な方向に出力されるようにでき、物理量センサを高い精度で実装しなくても済む。そして、1チップで構成しているため、各SAWの特性を同じにできるし、各SAWを正確な方向に出力されるようにできることから、各SAWのペア性も良好にできる。
さらに、1つのIDT3によって、2方向のSAWを両方共に出力しているため、1つのIDT3の電気特性によって2方向のSAWの特性を両方共に決めることができる。したがって、SAWのペア性を良好にでき、より高精度な物理量センサとすることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3のレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3のレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態でも、IDT3は、各櫛歯電極31、32の各櫛歯部31b、32bが長手方向において曲げられた構造とされることで、全体形状がV字状とされているが、V字状の向きが第1実施形態に対して変更されている。すなわち、IDT3は、圧電基板2の一角部に配置されつつ、V字状の曲がり部、つまり角部が圧電基板2の一角部と同じ方向に向けられ、V字状の両辺が圧電基板2の一角部を構成する2辺にそれぞれ沿った状態で配置されている。
具体的には、櫛歯電極31では、直線状の第1基部31aは、y方向に延びている。第1櫛歯部31bは、第1基部31aからx方向における第1SAWの出力方向と反対方向に延設されると共に、中央位置において曲げられてy方向のうち第2SAWの出力方向に延設されている。
また、櫛歯電極32では、直線状の第2基部32aは、x方向に延びている。第2櫛歯部32bは、第2基部32aからy方向における第2SAWの出力方向と反対方向に延設されると共に、中央位置において曲げられてx方向のうち第1SAWの出力方向に延設されている。
そして、各櫛歯電極31、32の各櫛歯部31b、32bが交互に等間隔に配置されることで、曲がり部を挟んだ両側において、各櫛歯部31b、32bがx方向およびy方向それぞれで対向配置されている。
このように構成しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、このような構成の場合、IDT3の角部を圧電基板2の一角部に合わせられることから、櫛歯電極31、32のうち第1SAWおよび第2SAWを出力する部分をより圧電基板2の各辺に近づけることができる。したがって、第1SAWおよび第2SAWの伝播路を確保したとしても、IDT3や第1反射器41および第2反射器42の配置に必要なスペースを小さくすることができ、より物理量センサの小型化を図ることが可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して圧電基板2のチップの取り方、つまりチップ切断位置を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して圧電基板2のチップの取り方、つまりチップ切断位置を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態では、圧電基板2を相対する2つの短辺および2つの長辺を有する長方形で構成している。この長方形とされた圧電基板2の一長辺の中央位置にIDT3を配置すると共に、その一長辺に対してIDT3の曲がり部を反対方向に向けて配置している。そして、その長辺と対向する長辺の両端に位置している長方形の2つの角部それぞれに向けて第1SAWおよび第2SAWを伝播し、その2つ角部に第1反射器41と第2反射器42をそれぞれ配置している。
このような配置にしても第1実施形態と同様の効果が得られ、かつ、チップ面積の減少を図ることが可能となって、さらに物理量センサの小型化を図ることが可能となる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して圧電基板2のチップの取り方、つまりチップ切断位置を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して圧電基板2のチップの取り方、つまりチップ切断位置を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態でも、圧電基板2を相対する2つの短辺および2つの長辺を有する長方形で構成している。そして、一短辺の中央位置にIDT3を配置し、その短辺と対向する短辺の両端に位置している長方形の2つの角部に第1反射器41と第2反射器42をそれぞれ配置している。
このような配置にしても第2実施形態と同様の効果が得られ、かつ、チップ面積の減少を図ることが可能となって、さらに物理量センサの小型化を図ることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、圧電基板2として、全部が圧電性材料で構成されたものを例に挙げて説明したが、少なくともSAWが伝播される表面が圧電性材料で構成されていれば良い。
また、上記各実施形態で説明したIDT3や反射器4の上面レイアウトは一例であり、他のレイアウトであっても良い。すなわち、IDT3については発生させたSAWを一方向に向けて伝播できる構造であれば良く、反射器4についても、伝播してきたSAWをIDT3側に向けて反射できる構造であれば良い。
また、上記実施形態では、x方向とy方向、つまり第1SAWと第2SAWの伝播方向が90°の角度をなすようにしている。つまり、第1SAWと第2SAWの線対称となる中心線に対して第1SAWと第2SAWが互いに反対方向に45°ずつ傾斜するようにしている。しかしながら、これは物理量センサのレイアウトの一例を示したに過ぎない。すなわち、圧電基板2の種類(より詳しくは結晶性)に応じて感度の高くなる方向が異なっており、圧電基板2の種類に応じてx方向とy方向が決められるため、x方向とy方向とが必ずしも90°の角度となっている必要はない。この場合には、櫛形電極31については、第1基部31aと、第1基部31aからx方向に対する垂直方向に延設される第1部分とy方向に対する垂直方向に延設される第2部分とを有する第1櫛歯31bとを有した構成とする。また、櫛形電極32については、第2基部32aと、第2基部32aからy方向に対する垂直方向に延設される第3部分とx方向に対する垂直方向に延設される第4部分とを有する第2櫛歯32bとを有した構成とする。そして、第1部分と第4部分とが対向配置されることでx方向に第1SAWを出力し、第2部分と第3部分とが対向配置されることでy方向に第2SAWを出力するようにすればよい。勿論、全部が圧電性材料で構成される圧電基板2を用いずに、表層部のみが圧電性材料とされるものであっても同様のことが言える。
また、上記各実施形態では、IDT3から伝播されたSAWを反射器4で反射させると共に、その反射波をIDT3に返し、反射してきたSAWをIDT3で検知して、物理量に対応する出力を発生させる構成としている。これにより、IDT3と反射器4との間によって構成される伝播路でSAWを往復させることで遅延時間を長くでき、より物理量の検知精度を高めることが可能になる。また、1つのIDT3によって、入力信号に基づいてSAWを発生させる入力電極とSAWを検知して物理量に対応する遅延時間を含む出力信号を発生させる出力電極としての役割を果たすことが可能になる。しかしながら、この構造はSAW素子1の構成の一例を示したに過ぎない。例えば、反射器4を備えることなく、反射器4の部分に出力電極を備え、入力電極(IDT3)から伝播路を通じて伝播されてきたSAWを入力電極に対して伝播路と反対側に配置された出力電極によって検知する構成であっても良い。
1 SAW素子
2 圧電基板
3 IDT
31、32 櫛形電極
31a、32a 基部
31b、32b 櫛歯
4 反射器
41 第1反射器
42 第2反射器
5 制御装置
2 圧電基板
3 IDT
31、32 櫛形電極
31a、32a 基部
31b、32b 櫛歯
4 反射器
41 第1反射器
42 第2反射器
5 制御装置
Claims (7)
- 少なくとも表面が圧電性材料で構成された圧電基板(2)と、
前記圧電基板の表面上において、前記圧電基板の表面内に延設された櫛歯(31b、32b)を含む2つの櫛形電極(31、32)を有し、前記2つの櫛形電極それぞれの櫛歯が交互に並ぶように対向して配置することにより構成され、入力信号が入力されると前記圧電基板の圧電効果に基づいて所定波長の弾性表面波を励起させ、前記圧電基板に備えられる伝播路に伝播させる入力電極(3)と、
前記伝播路を通じて伝播された前記弾性表面波を検知し、出力信号を発生させる出力電極(3)と、を有する弾性表面波素子(1)を備え、
印加された物理量に応じて前記伝播路の長さが変化することに基づいて、前記入力信号と前記出力信号との間の時間間隔である遅延時間より前記物理量の検出を行う物理量センサであって、
前記入力電極は、前記2つの櫛形電極それぞれの前記櫛歯が該櫛歯の長手方向の途中位置において曲がっており、該曲がり部を挟んだ両側においてそれぞれ前記2つの櫛形電極それぞれの前記櫛歯が対向配置され、前記入力信号が入力されると、前記曲がり部を挟んだ両側より異なる2つの方向に弾性表面波を励起させて伝播させることを特徴とする物理量センサ。 - 前記圧電基板の表面と平行な一方向をx方向、該x方向と異なる一方向をy方向として、前記異なる2つの方向に励起される弾性表面波は、前記x方向に出力される第1弾性表面波と前記y方向に出力される第2弾性表面波であり、
前記2つの櫛形電極の一方は、第1基部(31a)と、前記第1基部から前記x方向に対する垂直方向に延設される第1部分と前記y方向に対する垂直方向に延設される第2部分とを有する第1櫛歯(31b)とを有し、
前記2つの櫛形電極の他方は、第2基部(32a)と、前記第2基部から前記y方向に対する垂直方向に延設される第3部分と前記x方向に対する垂直方向に延設される第4部分とを有する第2櫛歯(32b)とを有し、
前記第1部分と前記第4部分とが対向配置されていると共に、前記第1弾性表面波を出力し、前記第2部分と前記第3部分とが対向配置されていると共に、前記第2弾性表面波を出力することを特徴とする請求項1に記載の物理量センサ。 - 前記圧電基板は上面形状が正方形とされ、
前記入力電極が正方形とされた前記圧電基板の一角部に配置されているとともに、該一角部を構成する2辺の一辺に沿って前記第1弾性表面波が伝播されるとともに、もう一辺に沿って前記第2弾性表面波が伝播されることを特徴とする請求項2に記載の物理量センサ。 - 前記入力電極は、前記曲がり部が前記一角部と反対方向に向けられて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の物理量センサ。
- 前記入力電極は、前記曲がり部が前記一角部と同方向に向けられて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の物理量センサ。
- 前記圧電基板は上面形状が相対する2つの短辺と2つの長辺を有する長方形とされ、
前記入力電極が前記2つ長辺のうちの一方に配置されると共に、該一方の長辺に対して前記曲がり部が反対方向を向けて配置され、かつ、前記2つの長辺のうちの他方の両端に位置している前記長方形の2つの角部に向けて前記第1弾性表面波と前記第2弾性表面波がそれぞれ出力されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の物理量センサ。 - 前記圧電基板は上面形状が相対する2つの短辺と2つの長辺を有する長方形とされ、
前記入力電極が前記2つ短辺のうちの一方に配置されると共に、該一方の長辺に対して前記曲がり部を向けて配置され、かつ、前記2つの短辺のうちの他方の両端に位置している前記長方形の2つの角部に向けて前記第1弾性表面波と前記第2弾性表面波がそれぞれ出力されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の物理量センサ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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