JP2017067148A - 電磁ブレーキ装置及びエレベータ装置 - Google Patents

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Michitoshi Shimada
通利 島田
清弥 伊藤
Seiya Ito
清弥 伊藤
洋嗣 山本
Hirotsugu Yamamoto
洋嗣 山本
佐藤 克己
Katsumi Sato
克己 佐藤
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Abstract

【課題】アマチュアの移動量を容易に調整する。
【解決手段】移動量調整機構170は、コア110と、支持部140と、カラー150と、スペーサ160と、から構成されている。カラー雄ねじ部152とコア雌ねじ部113とが、相対的に螺進退可能に螺合している。カラー150を回転させると、カラー雄ねじ部152に対しコア雌ねじ部113が螺進退し、これに伴って、コア110が移動する。カラー150の他端部は、コア110のドラム10側の反対側から突出して、スペーサ筒孔161に挿入されている。カラー150の他端部における互いに対向する3組の第1カラー平面153,153の内のいずれか1組の第1カラー平面153,153のそれぞれが、スペーサ160の内平面163と対向する。スペーサ160が回転すると、スペーサ160の内平面163,163が、カラー150の他端部の角部と係合し、カラー150も回転する。
【選択図】図6

Description

本発明は、エレベータ装置、エレベータ装置に用いられる電磁ブレーキ装置に係り、これらの装置が有するアマチュアの移動量を調整する技術に関する。
一般的に、エレベータ装置は、乗りかごと、つり合いおもりと、これらを吊持するロープと、ロープを駆動して乗りかごを昇降させる巻上機と、を有している。この巻上機としては、ロープが巻き掛けられた駆動シーブと、駆動シーブと一体的に形成されたドラムと、ドラムを制動する電磁ブレーキ装置を有する巻上機が知られている。また、電磁ブレーキ装置としては、制動部を有し、ドラムに対して移動可能に支持されるアマチュアを備え、アマチュアの移動に伴って、制動部がドラムに当接する位置又はドラムから離間する位置に移動する電磁ブレーキ装置が知られている。
例えば、特許文献1には、アマチュアとしての可動鉄心と、可動鉄心を移動可能に支持するアームと、可動鉄心と供に移動し、ドラムを制動する制動部を有するエレベータ巻上機の制動装置が記載されている。また、制動部には、制動時にドラムに当接する摩擦部材が設けられている。また、アームの一方の端部は、アームよりもドラムに近い位置に配置された取付部に、ボルトで固定されている。ボルトには、2つのナットが螺合されている。1つのナットはボルトを取付部に固定し、もう1つのナットはアームをボルトに固定している。また、この制動装置では、これらのナットを緩めると共に、ボルトを僅かに緩めてアームを回動できるようにした上で、可動鉄心がアームに吸着されているときの、すなわち非制動時のドラムと摩擦部材との隙間値を調整する。そして、調整後、2つのナットを締め込むと共に、ボルトも締め込む。
WO2011/004543号公報
特許文献1に記載されたエレベータ巻上機の制動装置では、非制動時のドラムと摩擦部材との隙間値、すなわち制動時の制動部(の摩擦部材)の移動量を調整するために、アームよりもドラムに近い位置に配置されている2つのナットを緩めたり、締め込んだりする作業が必要である
しかしながら、建物に設置されているエレベータ装置の制動部の移動量を調整する場合、ドラムと一体的に形成された駆動シーブに巻き掛けられたロープなどが邪魔となり、アームよりもドラム側に配置されている2つのナットを緩めたり、締め込んだりする作業を容易に行うことができない。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、アマチュアの移動量を容易に調整することができる電磁ブレーキ装置を提供することを目的とする。また、この電磁ブレーキ装置を備えるエレベータ装置を提供することをその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電磁ブレーキ装置は、エレベータ装置の巻上機における固定部に取り付けられ、ドラムを制動する電磁ブレーキ装置であって、ドラムに当接するブレーキ部と、ブレーキ部を支持するアマチュアと、アマチュアをドラム側に付勢する付勢部材及びアマチュアを電磁力でドラムから離れる方向に移動させる電磁コイルを有し、アマチュアよりもドラムから離れた位置に配置されたコアと、アマチュアに設けられ、アマチュアの移動方向に沿って延びるアマチュア孔と、コアに設けられ、アマチュアの移動方向に沿って延び、且つ、アマチュア孔と連通するコア孔と、筒状に形成され、軸方向がアマチュアの移動方向と一致し、連通したアマチュア孔とコア孔に挿通し、ドラム側の端部である一端部がアマチュアから突出して固定部に当接し、且つ、他端部がコアのドラム側の反対側から突出するカラーと、カラーの内部に設けられ、アマチュアの移動方向に沿って延びるカラー筒孔と、カラー筒孔に挿通し、一端部が固定部と着脱可能に結合することで、コアを固定部に支持させる支持部と、筒状に形成され、支持部の他端部とコアとの間に設けられ、支持部とカラーの他端部が挿入されるスペーサ筒孔を有するスペーサと、を備える。
また、カラーの他端部側の外周面には、第1ねじ部が形成され、コアにおけるコア孔の周囲の内周面には、第1ねじ部と相対的に螺進退可能に螺合する第2ねじ部が形成され、第1ねじ部と第2ねじ部が相対的に螺進退すると、コアがドラムに近づく方向又はドラムから離れる方向に移動し、コアがドラムに近づく方向に移動すると、制動時のアマチュアの移動量が減り、コアがドラムから離れる方向に移動すると、制動時のアマチュアの移動量が増え、スペーサを回転させると、スペーサ筒孔の周囲の内周面とカラーの他端部とが係合してカラーが回転し、第1ねじ部と第2ねじ部とが相対的に螺進退する。
また、本発明のエレベータ装置は、乗りかごと、つり合いおもりと、乗りかごとつり合いおもりとを吊持するロープと、ロープを駆動する巻上機とを有するエレベータ装置であって、巻上機は、ロープが巻き掛けられた綱車と、綱車と一体的に形成されたドラムと、上記電磁ブレーキ装置と、を備える。
本発明によれば、アマチュアの移動量を容易に調整することができる。
本発明の実施形態に係るエレベータ装置の模式図である。 本発明の実施形態に係る電磁ブレーキ装置の上面図である。 本発明の実施形態に係る電磁ブレーキ装置の側面図の部分断面図である。 本発明の実施形態に係るカラーを説明するための図であり、Aは上面図、Bは側面図、Cは下面図である。 本発明の実施形態に係るスペーサを説明するための図であり、Aは下面図、BはAのX−X線断面図、CはAのスペーサを横から見た図である。 本発明の実施形態に係る移動量調整機構を説明するための図であり、図3の要部拡大図である。
以下、本発明の実施形態に係るエレベータ装置1について、図1〜図6を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、図1、図3及び図6における矢印Zは、上下方向を示す。
<エレベータ装置1の構成の概要>
まず、図1を参照して、エレベータ装置1の構成の概要について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るエレベータ装置1の模式図である。
図1に示すように、本実施形態のエレベータ装置1は、機械室が設けられていない、いわゆる機械室レスエレベータである。
エレベータ装置1は、建物に形成され、昇降路壁2に囲まれた昇降路3内を昇降可能な乗りかご4と、つり合いおもり5と、これら両者を吊持するロープ6と、ロープ6が巻き掛けられた巻上機7を備えている。
巻上機7は、昇降路3内に配置され、フレーム8と、駆動シーブ(綱車)9と、ドラム10と、2つの電磁ブレーキ装置100,100と、モータ(図示省略)と、を有している。
フレーム8は、昇降路3内に立設され、駆動シーブ9、ドラム10、2つの電磁ブレーキ装置100,100及びモータを支持している。
駆動シーブ9は、略円板状に形成され、外周面には、ロープ6が巻き掛けられている。ドラム10は、駆動シーブ9よりも大径の略円板状に形成され、且つ、駆動シーブ9と一体的に形成されている。モータは、駆動シーブ9及びドラム10を回転駆動させる。
駆動シーブ9がモータによって回転すると、ロープ6が駆動し、乗りかご4及び釣り合いおもり5が昇降路内を昇降する。
2つの電磁ブレーキ装置100,100は、ドラムを挟んで上下方向に対向するように、フレーム8に支持されている。2つの電磁ブレーキ装置100,100は、ドラム10の外周面に当接して、ドラム10及び駆動シーブ9を制動する。
<電磁ブレーキの構成>
次に、図2及び図3を参照して、電磁ブレーキ装置100の構成の概要について説明する。図2は、電磁ブレーキ装置100の上面図であり、図3は、電磁ブレーキ装置100の側面図の部分断面図である。なお、本実施形態では、2つの電磁ブレーキ装置100,100の構成は共通しているため、以下では、上方に配置した電磁ブレーキ装置100の構成についてのみ説明する。
図3に示すように、電磁ブレーキ装置100は、コア110と、アマチュア120と、ブレーキ部130と、支持部140と、カラー150と、スペーサ160と、を有している。ブレーキ部130、アマチュア120、コア110は、この順番でドラム10から遠ざかるように配置されている。
図2に示すように、コア110は、略矩形板状に形成されている。図3に示すように、コア110の各角部には、上下方向に貫通するコア貫通孔111が形成されている。コア貫通孔111の一端部(図3における上方の端部)は、コア貫通孔111の他端部側に比べて大径の大径部112が形成されている。また、コア110における大径部112の周囲の内周面には、コア雌ねじ部113(図6参照)が形成されている。
また、図3に示すように、コア110のドラム10側には、円環状の電磁コイル114が埋め込まれている。また、コア110のドラム10側には、2つの渦巻状のばね115,115が埋め込まれている。2つのばね115,115のドラム10側と反対側の端部は、コア110に設けたばね挿入部の底面に当接している。なお、本実施形態では、2つのばね115,115を設けたが、ばねの設置数は所望の制動力などに応じて適宜変更可能である。すなわち、ばねを1つ、または3つ以上設けてもよい。
アマチュア120は、略矩形板状に形成されている。アマチュア120の各角部には、上下方向に貫通し、コア貫通孔111と連通するアマチュア貫通孔121が形成されている。アマチュア120のコア110側の平面(図3では上面)は、コア110に埋め込まれた2つのばね115,115のドラム10側の端部が当接している。
2つのばね115,115は圧縮コイルばねであり、コア110とアマチュア120との間に圧縮された状態で配置されている。これにより、2つのばね115,115は、アマチュア120をドラム10側に付勢する付勢部材として機能する。なお、2つのばね115,115の付勢力は、電磁コイル114が励磁されることによって発生するアマチュア120をコア110側に吸引する吸引力よりも弱く設定されている。
また、アマチュア120のドラム10側の平面(図3では下面)の略中央部には、ブレーキ部130が固定されている。
ブレーキ部130は、ブレーキパッド131と、ブレーキシュー132とからなる。ブレーキシュー132は略矩形板状に形成されている。ブレーキシュー132のコア110側の平面(図3では上面)は、アマチュア120のドラム10側の平面(図3では下面)に固定されている。
また、ブレーキシュー132のドラム10側の平面(図3では下面)には、ブレーキパッド131が固定されている。ブレーキパッド131のドラム10に対向するドラム対向面131aは、円弧状の凹面に形成されている。ドラム対向面131aの曲率半径は、ドラム10における外周面の曲率半径と略等しい。
支持部140は、ボルトで構成されており、略円柱状の支持部本体141を有している。支持部本体141の一端部側には支持雄ねじ部142が形成され、他端部側にはねじ頭143が形成されている。また、支持部本体141は、連通したコア貫通孔111とアマチュア貫通孔121を貫通している。
支持部本体141の一端部がフレーム8に形成されたねじ孔8aに挿通し、支持雄ねじ部142がフレーム8のねじ孔8aの周囲に形成された雌ねじ部(図示省略)に螺合することによって、支持部140は、フレーム8に固定されている。
カラー150は、筒状に形成され、連通したコア貫通孔111とアマチュア貫通孔121に挿通し、軸方向が、上下方向に一致するように配置されている。カラー150のドラム10側の端部である一端部(図3では下端部)は、アマチュア120から突出してフレーム8に当接している。
また、カラー150の他端部(図3では上端部)は、コア110のドラム10側の反対側から突出している。カラー150は、内部に上下方向に延びるカラー筒孔151を有しており、カラー筒孔151には、支持部本体141が挿通している。なお、カラー150のその他の点については、図4を参照して後述する。
スペーサ160は、筒状に形成され、支持部140のねじ頭143とコア110との間に設けられている。スペーサ160は、内部にスペーサ筒孔161を有し、スペーサ筒孔161には、支持部本体141とカラー150の他端部(図3では上端部)が挿通している。
スペーサ160のコア110側の端部である一端部(図3では下端部)は、コア110のドラム10側の反対側の面(図3では上面)と接している。
また、スペーサ160の他端部(図3では上端部)は、ねじ頭143と接している。これによって、電磁ブレーキ装置100が、支持部140によってフレーム8に支持される。また、支持部140の軸力がスペーサ160を介してコア110に伝わって、コア110の移動が規制される。なお、スペーサ160のその他の点については、図5を参照して後述する。
次に、図4を参照して、カラー150の詳細について説明する。
図4は、カラー150を説明するための図であり、Aは上面図、Bは側面図、Cは下面図である。
図4Bに示すように、カラー150は、一端部(図4では下端部)側よりも、他端部(図4では上端部)側が大径に形成されている。この大径に形成されている他端部側の外周面の一部(図4では上部)には、カラー雄ねじ部152が形成されている。カラー雄ねじ部152とコア雌ねじ部113(図6参照)とは、後述するように相対的に螺進退可能に螺合する。
また、図4A及び図4Bに示すように、カラー150の他端部は、略六角筒状に形成されており、互いに平行に対向する平面である2つの第1カラー平面153,153が3組、すなわち合計6つの第1カラー平面153が形成されている。
また、図4B及び図4Cに示すように、カラー150の一端部(図4では下端部)には、互いに平行に対向する平面である2つの第2カラー平面154,154が2組、すなわち合計4つの第2カラー平面154が形成されている。
対向する第2カラー平面154,154の二面幅W2は、カラー150を、軸心を中心に回転させる際に用いられる工具、例えばスパナが係合可能な幅に設定されている。なお、二面幅W2は、対向する第1カラー平面153,153の二面幅W1よりも、小さく設定されている。
次に、図5を参照して、スペーサ160の詳細について説明する。
図5は、スペーサ160を説明するための図であり、Aは下面図、BはAのX−X線断面図、CはAのスペーサを横から見た図である。
図5A及び図5Cに示すように、スペーサ160の外周面には、互いに平行に対向する平面である2つの外平面162,162が形成されている。また、対向する外平面162,162の二面幅W3は、スペーサ160を、軸心を中心に回転させる際に用いられる工具、例えばスパナが係合可能な幅に設定されている。
また、図5A及び図5Bに示すように、スペーサ160のスペーサ筒孔161は、一端部側(図5Bでは右側)が、他端部側よりも大径に形成されている。スペーサ160におけるスペーサ筒孔161の大径部分の周囲の内周面には、互いに平行に対向する平面である2つの内平面163,163が形成されている。
また、対向する内平面163,163の二面幅W4は、対向する第1カラー平面153,153の二面幅W1(図4A参照)以上に、本実施形態では、二面幅W1よりもやや大きく設定されている。
また、スペーサ筒孔161の大径部分の周囲の内周面と小径部分の周囲の内周面との間には、両内周面と直交し、両内周面を連結する連結面164が形成されている。
なお、スペーサ筒孔161の小径部分の内径は、カラー筒孔151と略同径に設定されている。
このように構成された電磁ブレーキ装置100においては、図3に示すように、ドラム10を制動しない非制動状態では、電磁コイル114が励磁されて、2つのばね115,115による付勢力に抗う吸引力が発生しており、アマチュア120がコア110側に吸引されている。このとき、ブレーキパッド131とドラム10との間には、隙間Gが生じるので、ドラム10は電磁ブレーキ装置100によって、制動されない。
一方、ドラム10を制動する制動状態では、電磁コイル114が消磁され、2つのばね115,115の付勢力によってアマチュア120が、カラー150にガイドされて、Z方向に沿って、隙間G分ドラム10に近づく方向(図3では下方)に移動する。そして、ブレーキパッド131がドラム10と当接して、ドラム10を制動する。
なお、制動状態から非制動状態に変わるとき、電磁コイル114が励磁されて2つのばね115,115による付勢力に抗う吸引力が発生し、アマチュア120がコア110側に吸引され、アマチュア120が、カラー150にガイドされて、Z方向に沿って、ドラム10から離れる方向(図3では上方)に移動する。アマチュア120の移動後、ブレーキパッド131とドラム10との間には、隙間Gが生じる。
ここで、非制動時のブレーキパッド131とドラム10との間の隙間G、すなわち制動時のアマチュア120の移動量は、エレベータ装置1の建物への設置時などに、所望の制動力や制動時の静音性などを考慮して設定される。
しかし、エレベータ装置1の建物への設置後に、制動時のアマチュア120の移動量を調整する必要がある場合がある。例えば、電磁ブレーキ装置100が繰り返し使用されることで、ブレーキパッド131が摩耗すると、非制動時のブレーキパッド131とドラム10との間の隙間G、すなわち制動時のアマチュア120の移動量が増えることがある。制動時のアマチュア120の移動量が増えると、制動時に異音が発生したり、所望の制動力を得ることができなかったりする不具合が生じる場合がある。この場合は、制動時のアマチュア120の移動量の調整が必要となる。
そこで、本実施形態の電磁ブレーキ装置100では、制動時のアマチュア120の移動量を調整可能な移動量調整機構170を備えている。
次に、図6を参照し、移動量調整機構170について説明する。
図6は、移動量調整機構170を説明するための図であり、図3の要部拡大図である。
移動量調整機構170は、コア110と、支持部140と、カラー150と、スペーサ160と、から構成されている。
カラー150は、コア110のコア貫通孔111に、ドラム10側の反対側(図6では上側)から挿通され、カラー雄ねじ部152とコア雌ねじ部113とが、相対的に螺進退可能に螺合している。
カラー150のドラム10側の端部(図6では下側の端部)は、アマチュア120から突出して上述のようにフレーム8に当接している(図3参照)。したがって、カラー150の移動は規制されているので、カラー150を回転させると、カラー雄ねじ部152に対しコア雌ねじ部113が螺進退し、これに伴って、コア110がZ方向に沿って移動する。
コア110が、Z方向に沿って、ドラム10に近づく方向(図6では下方)に移動すると、これに伴ってコア110に吸引されているアマチュア120及びアマチュア120に固定されているブレーキ部130(図3参照)が、同方向に移動する。したがって、非制動時におけるブレーキパッド131とドラム10との隙間G(図3参照)が減少する。このため、制動時におけるアマチュア120の移動量が減る。
一方、コア110が、Z方向に沿って、ドラム10から離れる方向(図6では上方)に移動すると、これに伴ってコア110に吸引されているアマチュア120及びアマチュア120に固定されているブレーキ部130(図3参照)が、同方向に移動する。したがって、非制動時におけるブレーキパッド131とドラム10との隙間G(図3参照)が増加する。このため、制動時におけるアマチュア120の移動量が増える。なお、コア110を、Z方向に沿って、ドラム10から離れる方向(図6では上方)に移動させるときは、後述するように、支持部140を予め緩めておく。
また、カラー150の他端部(図6では上端部)は、コア110のドラム10側の反対側から突出して、スペーサ160におけるスペーサ筒孔161に挿入されている。スペーサ筒孔161に挿入されたカラー150の他端部における互いに対向する3組の第1カラー平面153,153の内のいずれか1組の第1カラー平面153,153のそれぞれが、内平面163と対向する。
スペーサ160の連結面164と、カラー150の他端部(図6では上端部)との間には、所定の隙間が形成されている。この所定の隙間は、アマチュア120の移動量を減らす方向(図6では下方)へのコア110の移動の許容量以上に設定されている。すなわち、所定の隙間は、コア110が、アマチュア120の移動量を減らす方向に、少なくとも許容量の最大限に、移動するまで、連結面164とカラー150の他端部とが接触しないように設定されている。この許容量は、予想されるブレーキパッド131の磨耗分などを考慮して適宜設定される。
支持部140は、支持雄ねじ部142からスペーサ筒孔161及びカラー筒孔151に挿通し、カラー150から突出した支持雄ねじ部142がフレーム8(図3参照)に形成された雌ねじ部(図示省略)に螺合することによって、フレーム8に固定されている。
<作用>
以上のように構成された電磁ブレーキ装置100を備えるエレベータ装置1において、アマチュア120の制動時の移動量を減らす際、作業者は、スペーサ160の外平面162,162の二面幅W3に適合する工具、例えばスパナを用いて、スペーサ160を一方向に回転させる。スペーサ160が一方向に回転すると、スペーサ160の内平面163,163が、カラー150の略六角筒状に形成された他端部(図3及び図6では上端部)の角部(隣り合う第1カラー平面153,153で形成される角部)と係合し、カラー150も一方向に回転する。
カラー150が一方向に回転すると、カラー雄ねじ部152に対しコア雌ねじ部113が螺進し、これに伴って、コア110がZ方向に沿って、ドラム10に近づく方向(図3及び図6では下方)に移動する。これによって、コア110に吸引されているアマチュア120及びアマチュア120に固定されているブレーキ部130(図3参照)が、同方向に移動する。したがって、非制動時におけるブレーキパッド131とドラム10との隙間G(図3参照)が減少する。このため、制動時におけるアマチュア120の移動量が減る。
なお、コア110がドラム10に近づく方向に移動することに伴って、一端部がコア110のドラム10側の反対側の面(図3では上面)と接しているスペーサ160もドラム10に近づく方向に移動する。これによって、スペーサ160の他端部と、ねじ頭143との間に隙間が生じる。作業者は、ねじ頭143に適合する工具、例えばスパナを用いて、生じた隙間分、支持部140を締め付けることで、スペーサ160の他端部とねじ頭143とを接触させる。これによって、電磁ブレーキ装置100がフレーム8に固定され、また、支持部140の軸力がスペーサ160を介してコア110に伝わって、コア110の移動を規制することができる。
一方、アマチュア120の制動時の移動量を増やす際、作業者は、まず、ねじ頭143に適合する工具、例えばスパナを用いて、支持部140を緩め、スペーサ160の他端部とねじ頭143との間に、少なくとも増やす移動量分の隙間を生じさせる。
次に、スペーサ160の外平面162,162の二面幅W3に適合する工具、例えばスパナを用いて、スペーサ160を他方向に回転させる。スペーサ160が他方向に回転すると、スペーサ160の内平面163,163が、カラー150の略六角筒状に形成された他端部(図3及び図6では上端部)の角部(隣り合う第1カラー平面153,153で形成される角部)と係合し、カラー150も他方向に回転する。
カラー150が他方向に回転すると、カラー雄ねじ部152に対しコア雌ねじ部113が螺退し、これに伴って、コア110がZ方向に沿って、ドラム10から離れる方向(図6では上方)に移動する。これによって、コア110に吸引されているアマチュア120及びアマチュア120に固定されているブレーキ部130(図3参照)が、同方向に移動する。したがって、非制動時におけるブレーキパッド131とドラム10との隙間G(図3参照)が増加する。このため、制動時におけるアマチュア120の移動量が増える。
なお、コア110がドラム10から離れる方向に移動しても、スペーサ160の他端部と、ねじ頭143との間の隙間が残る場合は、作業者は、ねじ頭143に適合する工具、例えばスパナを用いて、残った隙間分、支持部140を締め付けて、スペーサ160の他端部とねじ頭143とを接触させる。これによって、電磁ブレーキ装置100がフレーム8に固定され、また、支持部140の軸力がスペーサ160を介してコア110に伝わって、コア110の移動を規制することができる。
以上のように、本実施形態のエレベータ装置1では、コア110のドラム10側の反対側に突出するカラー150の他端部が挿入されたスペーサ160を回転させることで、カラー150を回転させて、アマチュア120の制動時の移動量を調整することができる。すなわち、コア110よりもドラム10から離れた位置に位置するスペーサ160を回転させることで、アマチュア120の制動時の移動量を調整することができる。したがってこの移動量の調整のため、コア110よりもドラム10に近い位置に設けられている部材を回転させる場合に比べて、駆動シーブ9に巻き掛けられたロープ6などで作業が邪魔されないので、この移動量の調整を容易に行うことができる。
ここで、スペーサ160に外平面162,162と内平面163,163とを設けておらず、スペーサ160が回転してもカラー150が回転しない場合、カラー150を回転させるには、多くの労力と時間がかかる。具体的には、作業者は、コア110のドラム10側の反対側に突出するカラー150の他端部における第1カラー平面153,153の二面幅W1(図4A参照)に適合する工具、例えばスパナを、カラー150の他端部に係合させる必要がある。したがって、調整する移動量の値に関わらず、支持部140を、少なくともスパナの厚み分緩めなければならない。そして、支持部140を緩めたことによって生じるねじ頭143とスペーサ160の他端部(図3及び図6の上端部)との間に生じる隙間分、スペーサ160を上方に移動させ、その位置で保持しつつ、スパナをスペーサ160の下方に挿入して、カラー150の他端部に係合させて回転させなければならない。
これに比べて、本実施形態のエレベータ装置1では、支持部140を、スパナの厚み分緩める作業を省略することができるので、アマチュア120の制動時における移動量の調整作業にかかる労力を減少させ、且つ、作業時間を短縮できる。
また、本実施形態のエレベータ装置1では、カラー150の一端部(図3及び図6では下端部)に第2カラー平面154,154を設けた。このため、例えば、エレベータ装置1を建物に設置する前や建物に設置する作業中で駆動シーブ9にロープ6が巻き掛けられる前などは、第2カラー平面154,154の二面幅W2に適合する工具を、カラー150の一端部に係合させて回転させることで、アマチュア120の制動時における移動量の調整を行うことができる。すなわち、作業者は、スペーサ160を回転させて移動量を調整するか、カラー150の一端部を回転させて移動量を調整するか、を状況に応じて選択することができる。
また、本実施形態のエレベータ装置1では、支持部140の軸力を、スペーサ160を介して、コア110に伝えている。したがって、確実にコア110の移動を規制することができる。
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、スペーサ160の外周面に、2つの外平面162,162が形成されている態様を説明したが、外平面162の形成数は、スペーサ160の径や材質などに応じて、適宜設定可能である。
また、スペーサ160の内周面に、2つの内平面163,163が形成されている態様を説明したが、内平面163の形成数は、スペーサ160の回転に伴って、カラー150の他端部の角部と係合してカラー150が回転可能な範囲で、適宜設定可能である。例えば、カラー150の他端部に形成されている第1カラー平面153の形成数と等しい数の内平面163を形成してもよい。
また、カラー150の他端部に形成した第1カラー平面153及び一端部に形成した第2カラー平面154の形成数も、カラー150の径や材質などに応じて、適宜設定可能である。
また、本実施形態では、支持部140を4つ設置する態様を説明したが、設置する支持部140の数は、電磁ブレーキ装置100をフレーム8に固定できる範囲で適宜設定可能である。また、支持部140の設置数と移動量調整機構170の設置数とは、等しいことが好ましいが、コア110の移動を規制できる範囲で、移動量調整機構170の設置数を、支持部140の設置数よりも少ない数にしてもよい。
また、スペーサ160の設置を省略してもよい。この場合、ねじ頭143をカラー150の他端部(図3及び図6の上端部)に接触させて、支持部140の軸力をカラー150に伝えることで、電磁ブレーキ装置100が、支持部140によってフレーム8に支持され、また、コア110の移動を規制することができる。また、この場合、カラー150とコア110間(カラー雄ねじ部152とコア雌ねじ部113間)のがたつきの発生を抑制するように、カラー雄ねじ部152及びコア雌ねじ部113の形成精度を高め、また、カラー150とコア110の組付精度を高めることが好ましい。
また、本実施形態では、電磁ブレーキ装置100,100を上下方向に対向させる態様を説明したが、電磁ブレーキ装置100,100を対向させる方向は、これに限らず適宜変更可能である。例えば、ドラム10を挟んで、左右方向に対向するように電磁ブレーキ装置100,100を設置してもよい。
また、本実施形態では、エレベータ装置1として、機械室が設けられていない、いわゆる機械室レスエレベータを例に説明したが、これに代えて、機械室が設けられているエレベータ装置に、本発明を適用してもよい。
1…エレベータ装置、 2…昇降路壁、 3…昇降路、 4…乗りかご、 5…つり合いおもり、 6…ロープ、 7…巻上機、 8…フレーム、 9…駆動シーブ(綱車)、 10…ドラム、 100…電磁ブレーキ装置、 110…コア、 111…コア貫通孔(コア孔)、 112…大径部、 113…コア雌ねじ部、 114…電磁コイル、 115…ばね、 120…アマチュア、 121…アマチュア貫通孔(アマチュア孔)、 130…ブレーキ部、 131…ブレーキパッド、 132…ブレーキシュー、 140…支持部、 141…支持部本体、 142…支持雄ねじ部、 143…ねじ頭、 150…カラー、 151…カラー筒孔、 152…カラー雄ねじ部、 153…第1カラー平面、 154…第2カラー平面、 160…スペーサ、 161…スペーサ筒孔、 162…外平面、 163…内平面、 164…連結面、 170…移動量調整機構


Claims (3)

  1. エレベータ装置の巻上機における固定部に取り付けられ、ドラムを制動する電磁ブレーキ装置であって、
    前記ドラムに当接するブレーキ部と、
    前記ブレーキ部を支持するアマチュアと、
    前記アマチュアを前記ドラム側に付勢する付勢部材及び前記アマチュアを電磁力で前記ドラムから離れる方向に移動させる電磁コイルを有し、前記アマチュアよりもドラムから離れた位置に配置されたコアと、
    前記アマチュアに設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延びるアマチュア孔と、
    前記コアに設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延び、且つ、前記アマチュア孔と連通するコア孔と、
    筒状に形成され、軸方向が前記アマチュアの移動方向と一致し、連通した前記アマチュア孔と前記コア孔に挿通し、前記ドラム側の端部である一端部が前記アマチュアから突出して前記固定部に当接し、且つ、他端部が前記コアの前記ドラム側の反対側から突出するカラーと、
    前記カラーの内部に設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延びるカラー筒孔と、
    前記カラー筒孔に挿通し、一端部が前記固定部と着脱可能に結合することで、前記コアを前記固定部に支持させる支持部と、
    筒状に形成され、前記支持部の他端部と前記コアとの間に設けられ、前記支持部と前記カラーの他端部が挿入されるスペーサ筒孔を有するスペーサと、を備え、
    前記カラーの他端部側の外周面には、第1ねじ部が形成され、
    前記コアにおける前記コア孔の周囲の内周面には、前記第1ねじ部と相対的に螺進退可能に螺合する第2ねじ部が形成され、
    前記第1ねじ部と前記第2ねじ部が相対的に螺進退すると、前記コアが前記ドラムに近づく方向又は前記ドラムから離れる方向に移動し、
    前記コアが前記ドラムに近づく方向に移動すると、制動時の前記アマチュアの移動量が減り、
    前記コアが前記ドラムから離れる方向に移動すると、制動時の前記アマチュアの移動量が増え、
    前記スペーサを回転させると、前記スペーサ筒孔の周囲の内周面と前記カラーの他端部とが係合して前記カラーが回転し、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが相対的に螺進退する
    電磁ブレーキ装置。
  2. 前記カラーの他端部には、少なくとも2つの互いに平行に対向する平面であるカラー平面が設けられ、
    前記スペーサにおける前記スペーサ筒孔の周囲の内周面には、少なくとも2つの互いに平行に対向する平面である内平面が設けられ、
    対向する前記内平面の二面幅は、対向する前記カラー平面の二面幅以上に設定され、
    前記スペーサの外周面には、少なくとも2つの互いに平行に対向する平面である外平面が設けられている
    請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
  3. 乗りかごと、つり合いおもりと、前記乗りかごと前記つり合いおもりとを吊持するロープと、前記ロープを駆動する巻上機とを有するエレベータ装置であって、
    前記巻上機は、前記ロープが巻き掛けられた綱車と、
    前記綱車と一体的に形成されたドラムと、
    前記ドラムを制動する電磁ブレーキ装置と、
    前記電磁ブレーキ装置が取り付けられる固定部と、を備え、
    前記電磁ブレーキ装置は、前記ドラムに当接するブレーキ部と、
    前記ブレーキ部を支持するアマチュアと、
    前記アマチュアを前記ドラム側に付勢する付勢部材及び前記アマチュアを電磁力で前記ドラムから離れる方向に移動させる電磁コイルを有し、前記アマチュアよりもドラムから離れた位置に配置されたコアと、
    前記アマチュアに設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延びるアマチュア孔と、
    前記コアに設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延び、且つ、前記アマチュア孔と連通するコア孔と、
    筒状に形成され、軸方向が前記アマチュアの移動方向と一致し、連通した前記アマチュア孔と前記コア孔に挿通し、前記ドラム側の端部である一端部が前記アマチュアから突出して前記固定部に当接し、且つ、他端部が前記コアの前記ドラム側の反対側から突出するカラーと、
    前記カラーの内部に設けられ、前記アマチュアの移動方向に沿って延びるカラー筒孔と、
    前記カラー筒孔に挿通し、一端部が前記固定部と着脱可能に結合することで、前記コアを前記固定部に支持させる支持部と、
    筒状に形成され、前記支持部の他端部と前記コアとの間に設けられ、前記支持部と前記カラーの他端部が挿入されるスペーサ筒孔を有するスペーサと、を備え、
    前記カラーの他端部側の外周面には、第1ねじ部が形成され、
    前記コアにおける前記コア孔の周囲の内周面には、前記第1ねじ部と相対的に螺進退可能に螺合する第2ねじ部が形成され、
    前記第1ねじ部と前記第2ねじ部が相対的に螺進退すると、前記コアが前記ドラムに近づく方向又は前記ドラムから離れる方向に移動し、
    前記コアが前記ドラムに近づく方向に移動すると、制動時の前記アマチュアの移動量が減り、
    前記コアが前記ドラムから離れる方向に移動すると、制動時の前記アマチュアの移動量が増え、
    前記スペーサを回転させると、前記スペーサ筒孔の周囲の内周面と前記カラーの他端部とが係合して前記カラーが回転し、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが相対的に螺進退する
    エレベータ装置。
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