JP2017065689A - 高粘度流体用包装体 - Google Patents

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誠治 高原
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Abstract

【課題】 高粘度流体をより効率よく注出することが可能な高粘度流体用包装体を提供すること。
【解決手段】 膨出形状とされた殻部101および殻部101を囲む環状部102を有する主板部10と、殻部101を覆う主板部10と、殻部101と主板部10との少なくとも一部ずつが接合された接合部2と、殻部101および主板部10によって規定された流体貯留部3と、流体貯留部3に収容された内容物4と、を備え、殻部101の内面は、撥液処理がされた撥液面15であり、内容物4は、粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sであり、かつBrix値が40%以上である高粘度流体である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、高粘度流体用包装体に関する。
液体等の内容物を収容した包装体は、内容物を密閉状態で保持することが求められる。また、内容物の種類等に応じて、容器本体の外観に工夫を凝らすことは、商品としての内容物の販売を促進するにおいて有利である。特許文献1には、このような包装体を製造する従来の包装体の一例が開示されている。同文献に開示された包装体は、樹脂製のシート材料からなる一対の主板部を有する。一対の主板部は、互いに向かい合っており、各々が殻部を有している。一対の主板部の殻部は、貯留部を規定している。この貯留部には、内容物が貯留されている。
包装体の内容物として、高粘度流体が選択される場合がある。このような場合、内容物の流動性が低いため、たとえば、包装体を開封して貯留部から内容物を注出する際には、速やかに注出することは困難である。また、殻部の内面に内容物が付着しやすいため、内容物のすべてを注出することが阻害され、相当量の内容物が残存してしまうという問題がある。これらの懸念は、包装体が小型となるほど、貯留部の容積に対する内面積の割合が大きくなるため、顕著となる。
特開平8−174702号公報
本発明は、上述した事情のもとで考え出されたものであって、高粘度流体をより効率よく注出することが可能な高粘度流体用包装体を提供することをその課題とする。
本発明によって提供される高粘度流体用包装体は、膨出形状とされた第1殻部および該第1殻部を囲む第1環状部を有する第1主板部と、前記第1殻部を覆う第2主板部と、前記第1環状部と前記第2主板部との少なくとも一部ずつが接合された接合部と、前記第1殻部および前記第2主板部によって規定された流体貯留部と、前記流体貯留部に収容された内容物と、を備え、前記第1殻部の内面は、撥液処理がされた撥液面であり、前記内容物は、粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sであり、かつBrix値が40%以上である高粘度流体であることを特徴としている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2主板部は、前記第1殻部を覆うとともに前記流体貯留部を規定する膨出形状とされた第2殻部と、該第2殻部を囲む第2環状部とを有しており、前記第2殻部の内面は、撥液処理がされた撥液面であり、前記接合部は、前記第1環状部と前記第2環状部とが接合された部位である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1主板部と前記第2主板部とは、同一のシート材料によって構成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2主板部は、平坦形状のフィルムである。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記接合部は、前記第1環状部と前記第2主板部との少なくとも一部ずつがヒートシールによって接合された部位である。
本発明によれば、前記内容物は、前記撥液面によって規定された前記流体貯留部に貯留される。粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sで、かつ一般的な糖度の指標であるBrix値が40%以上である前記内容物は、通常の樹脂シート等からなる包装体に貯留した場合、注出に相応の時間を要する。本発明においては、前記内容物が前記撥液面によってはじかれるため、前記内容物をよりスムーズに注出することができる。また、前記内容物が前記撥液面に付着しにくいため、より多くの前記内容物を前記高粘度流体用包装体外へと注出することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態に基づく高粘度流体用包装体を示す斜視図である。 図1の高粘度流体用包装体を示す平面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 図1の高粘度流体用包装体を示す要部拡大断面図である。 (a)〜(f)は、図1の高粘度流体用包装体の製造方法の一例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に基づく高粘度流体用包装体を示す斜視図である。 図6のVII−VII線に沿う断面図である。 図6の高粘度流体用包装体の製造方法の一例を示す断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に基づく高粘度流体用包装体を示している。本実施形態の高粘度流体用包装体A1は、一対の主板部10、接合部2、流体貯留部3および内容物4を備えている。
図1は、高粘度流体用包装体A1を示す斜視図である。図2は、高粘度流体用包装体A1を示す平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図4は、高粘度流体用包装体A1を示す要部拡大断面図である。なお、図1および図2においては、理解の便宜上、接合部2に複数の離散点からなるハッチングを付している。また、内容物4に斜線ハッチングを付している。
一対の主板部10は、互いに対面しており、接合部2が設けられていることに互いに接合されている。一対の主板部10は、各々が殻部101および環状部102を有する。本発明においては、第1主板部と第2主板部を備えることが意図されている。後述するように、本実施形態においては、一対の主板部10は、大きさや形状についてそれぞれが略同じ構成となっている。このため、一対の主板部10の一方を第1主板部と観念した場合、他方の主板部10が第2主板部と観念される。また、第1主板部と観念された主板部10の殻部101は、本発明における第1殻部と観念され、第2主板部と観念された主板部10の殻部101は、本発明における第2殻部と観念される。同様に、第1主板部と観念された主板部10の環状部102は、本発明における第1環状部と観念され、第2主板部と観念された主板部10の環状部102は、本発明における第2環状部と観念される。本実施形態の高粘度流体用包装体A1についての以降の説明においては、理解の便宜上、一対の主板部10について、第1主板部および第2主板部を特に区別しない。
主板部10は、たとえば後述するシート材料によって形成されている。本実施形態においては、一対の主板部10は、それぞれが同じ素材あるいは同じ層構造からなる同一のシート材料によって形成されている。本実施形態においては、一対の主板部10は、接合部2によって接合されていることを除き、互いに連結等はされていない。これと異なり、一対の主板部10の端縁同士が折り返し部等によって連結された構成であってもよい。殻部101は、主板部10が部分的に膨出形状に加工された部分である。本実施形態においては、一対の主板部10の殻部101が平面視によって互いに一致しており、これらの殻部101によって規定された空間が流体貯留部3とされている。なお、本発明は、主板部10のそれぞれに殻部101が形成された構成に限定されるものではない。本実施形態と異なり、たとえば一方の主板部10にのみ殻部101が形成され、他方の10が平板状であってもよい。
環状部102は、殻部101を囲む部分であり、平坦な形状とされている。本実施形態においては、一対の主板部10の環状部102は、平面視において互いに一致しており、平面視略矩形状である。なお、環状部102は、殻部101の全周を完全に囲むものに限定されない。たとえば、環状部102が途切れた部分を有しており、この途切れた部分から殻部101が平面視外方に露出する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、一対の主板部10に一対の切欠き部16および切断予定線17が設けられている。一対の切欠き部16は、一対の主板部10の幅方向両端縁(図2における図中左右方向両端縁)に設けられており、内方に凹んだ部位である。切欠き部16は、高粘度流体用包装体A1を開封する際の起点として用いられる。一対の切欠き部16は、図2における図中上下方向において、略同じ位置に配置されている。図示された例においては、切欠き部16は、略三角形状とされている。切断予定線17は、主板部10の切断を促す線であり、たとえば主板部10の線状部分が所謂ハーフカット等によって周囲部分よりも減肉された部位である。図示された例においては、切断予定線17は、一対の切欠き部16の双方に到達しており、一対の主板部10を横断している。
接合部2は、一対の主板部10を互いに固定している部位であり、具体的には、一対の主板部10の環状部102同士が接合されたものである。一対の主板部10の環状部102同士を接合する手法は特に限定されないが、たとえばヒートシールを用いることができる。接合部2が設けられることにより、流体貯留部3が密閉されている。なお、接合部2を設けるための接合手法は特に限定されず、第1主板部と第2主板部とを適切に接合しうる手法を適宜採用することができる。このような手法としては、上述のヒートシールのほか、接着剤を塗布する手法、接着テープ等の接着層を介在させる手法等が挙げられる。
流体貯留部3は、内容物4を貯留するための部位である。本実施形態においては、流体貯留部3は、一対の主板部10の殻部101によって規定されている。図示された例においては、流体貯留部3は、本体部31および注出部32を有する。本体部31は、流体貯留部3の大部分を占める部分であり、貯留すべき内容物4を収容するのに十分な容積を有する。図中の本体部31は、扁平な円柱形状とされているがこれは一例であり、本体部31の形状は様々に設定しうる。注出部32は、本体部31から主板部10の端縁に向かって延びる部分であり、本体部31よりも顕著に小さい部位とされている。図2に示すように、図示された例においては、注出部32は、本体部31から図中上方に延びている。ただし、注出部32は、主板部10の端縁には到達していない。また、本実施形態においては、注出部32を切断予定線17が横断している。これにより、切欠き部16を起点として高粘度流体用包装体A1が開封されると、切断予定線17に沿った切断により注出部32が切断される。これにより、流体貯留部3の密閉状態が解除され、切断された注出部32から内容物4を注出することができる。
殻部101の内面は、撥液面15とされている。撥液面15は、後述する高粘度流体である内容物4を良好にはじく機能を果たす面であり、撥液処理が施された面である。なお、ここでいう撥液処理とは、撥液剤の塗布や混合等、あるいは表面加工により、当該処理を施す前に比して当該面に接した液体がはじかれる状態になるように処理することをいう。また撥液とは、撥水と撥油を含む概念である。すなわち、本発明における撥液面とは、撥水処理及び撥油処理の双方或いはいずれか一方の処理が施された面のことをいう。なお、本発明は、殻部101の内面のすべてが完全に撥液面15とされた構成に限定されるものではない。撥液のための加工の制限や殻部101の成形の影響等によって、殻部101の一部が完全な撥液面15とされていない構成であってもよい。殻部101の内面の大部分が撥液面15とされることにより、後述する本発明が意図する効果を奏する構成であればよい。
図4に示すように、本実施形態においては、撥液面15は、微細な凹凸加工が付与された態様とされている。また、微細な凹凸加工とともに内容物4をはじく機能を発揮する要素として、撥液面15のうち少なくとも凹凸形状とされた部分は、たとえばポリオレフィン系樹脂と撥液剤とを含有する樹脂組成物によって形成されている。前記撥液剤としては、たとえばシリコーン系撥液剤が挙げられる。また、成形後の殻部101の撥液面15の凹凸形状の凸部高さは特に限定されないが、通常10μm〜100μmであり、好ましくは20μm〜80μmである。また、隣り合う凸部のピッチ(凸部頂点間の距離)は、通常100μm以下であり、好ましくは80μm以下である。
このような構成の主板部10を構成するシート材料は、後述する殻部101の成形手法、接合部2を形成するための接合手法を適切に行えるものであるとともに、少なくとも殻部101の内面を撥液面15とし得るシート材料が選択される。たとえば、シート材料の主たる部分となる基材を構成する材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられ、これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、シート材料の基材としては、前記樹脂の単層の合成樹脂製シート、同種又は異種の複数の合成樹脂製シートが積層された積層シートなどが挙げられる。これら合成樹脂製シートには、必要に応じて金属や金属酸化物が蒸着された合成樹脂製シートやエチレン−ビニルアルコール(EVOH)などのバリア機能を有するものを用いてもよい。また、シート材料は、収納された内容物4を透視するためには、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。さらに、シート材料は、必要に応じて商品名等のデザインが印刷されていてもよい。シート材料の厚みは、特に限定されず、たとえば0.05〜1.0mmであり、好ましくは0.1〜0.6mmである。
撥液面15を設ける具体的手法としては、上述した基材の片面に上述した撥液のための具体的態様である微細な凹凸加工や表層への撥液剤の混入を行えばよい。あるいは、上述の通り例示された基材の片面に、撥液機能を発揮する撥液フィルムを積層させてもよい。係る撥液フィルムとしては、たとえば従来公知の特開2014−113721号公報に開示の撥液フィルムを採用しうる。また、同様の従来公知の撥液フィルムとして、特開2014−213937号公報、特開2014−24188号公報等に開示の撥液フィルムや特開2015−25053号公報に開示の撥液フィルムを適宜採用してもよい。一方、前記撥液剤は凹凸加工が施された面の上に設けられていてもよく、当該構成の従来公知の撥液フィルムとして、特開2013−208816号公報や特開2013−208817号公報に開示の撥液フィルムが挙げられる。また、撥液処理が施されており撥液面となっていれば凹凸形状は必ずしも必須ではなく、例えば特開2015−25053号公報に開示の撥液フィルムも採用することができる。ただし、本発明の内容物に用いられる糖度の高い高粘度流体には、凹凸形状を備える撥液面が特に好ましい。
内容物4は、高粘度流体であり、特に粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sで、かつ一般的な糖度の指標であるBrix値が40%以上である高粘度流体である。粘度及び糖度がこのような数値範囲に該当する内容物4としては、たとえば、ガムシロップ(Brix値75%程度)、はちみつ(Brix値80%程度)、練乳(Brix値42〜55%程度)等が挙げられる。本発明の高粘度流体用包装体は、特に、Brix値が70%以上の高糖度の内容物4の貯留に好適に用いられる。
次に、高粘度流体用包装体A1の製造方法の一例について、図5を参照しつつ以下に説明する。
同図においては、一対の主板部10の材料となるシート材料1Aが、図中左方から右方へと搬送される。シート材料1Aは、上述したシート材料が適宜採用される。まず、同図(a)に示すように、たとえばロール状に巻き取られた帯状のシート材料1Aを、順次繰り出す。この際、シート材料1Aの少なくとも片面(図中上面)は、撥液面15Aとされている。そして、シート材料1Aの幅中央において折りたたむ加工を施す。これにより、シート材料1Aは、折り返し部181を介して連結され、互いに向かい合う長尺状の一対の主板部10を有する状態となる。また、一対の主板部10の撥液面15A同士が対面する格好となる。さらに、折りたたむ加工の直後に、カッタCtによって一対の主板部10の外面に所謂ハーフカット加工を施す。これにより、一対の主板部10には、搬送方向に延びる切断予定線17が設けられる。なお、成形前のシート材料1Aにおける撥液面15Aの凹凸形状の凸部高さは特に限定されないが、好ましくは10μm〜150μm程度であり、より好ましくは15μm〜100μm、さらに好ましくは20μm〜90μmである。また、隣り合う凸部のピッチは、通常100μm以下であり、好ましくは80μm以下である。
次いで、同図(b)において、ヒートシールを施すことにより、接合部2を形成する。シートシールは、たとえば所定温度に設定された金型(図示略)を用いる。この際、一対の主板部10の一部にヒートシールを施さない未接合部182を設ける。次いで、同図(c)に示すように、たとえば図示しない金型によって一対の主板部10を挟んだ状態で、図示しないノズルを用いて未接合部182に気体を吹き込む。この気体は、たとえば圧縮空気、窒素ガス等である。また、この気体は、主板部10の変形を促すために高温の気体であってもよい。これにより、未接合部182であった部分が、殻部101および充填口183となる。一対の主板部10の殻部101は、高粘度流体用包装体A1において流体貯留部3となる空間を規定している。また、殻部101の内面は、撥液面15となっている。
次いで、同図(d)に示すように、たとえばノズルNzを用いて充填口183から所定量の内容物4を殻部101の内部に充填する。そして、同図(e)に示すように、たとえばヒートシールを施すことにより、充填口183を封鎖する。ヒートシールによって封鎖された充填口183は、接合部2の一部となる。そして、同図(f)に示すように、切断線Clに沿って一対の主板部10を切断する。これにより、図1および図2に示す高粘度流体用包装体A1が得られる。
次に、高粘度流体用包装体A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、内容物4は、撥液面15によって規定された流体貯留部3に貯留される。粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sで、かつ一般的な糖度の指標であるBrix値が40%以上である内容物4は、通常の樹脂シート等からなる包装体に貯留した場合、注出に相応の時間を要する。本実施形態においては、内容物4が撥液面15によってはじかれるため、内容物4をよりスムーズに注出することができる。また、内容物4が撥液面15に付着しにくいため、より多くの内容物4を高粘度流体用包装体A1外へと注出することができる。特に、高粘度流体用包装体A1のサイズが小さくなるほど、流体貯留部3の容積に対する流体貯留部3の内面積の割合が大きくなり、内容物4が付着するおそれが大きくなる。高粘度流体用包装体A1においては、撥液面15が採用されていることにより、かかる懸念を解消することができる。
シート材料からなる主板部10の殻部101は、使用者が指等で加圧すると押しつぶすように変形させることができる。これにより、流体貯留部3内の内容物4を高粘度流体用包装体A1外へと押し出すことが可能である。これにより、よりスムーズに注出可能であるとともに、より多くの内容物4を注出することができる。
図6〜図8は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
図6および図7は、本発明の第2実施形態に基づく高粘度流体用包装体を示している。本実施形態の高粘度流体用包装体A1は、第1主板部11、第2主板部12、接合部2、流体貯留部3および内容物4を備えている。図6は、高粘度流体用包装体A2を示す下方から見た斜視図である。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。なお、本実施形態においては、第1主板部11と第2主板部12とが互いに異なる構成であることから、名称および符号を区別して説明する。
第1主板部11は、殻部111および環状部112を有している。第1主板部11は、たとえば、上述した高粘度流体用包装体A1における主板部10と同様のシート材料によって形成される。殻部111は、膨出形状とされている。図示された例においては、殻部111は、円錐台形状であるがこれは一例であり、殻部111の形状は様々に設定される。環状部112は、殻部111を囲んでおり、図示された例においては円環形状とされている。殻部111の内面は撥液面15とされている。撥液面15の凹凸形状等は、上述した実施形態の撥液面15と同様である。
第2主板部12は、平坦な部材であり、一部が殻部111を覆っており、他の一部が環状部112と接合されている。このような第2主板部12は、いわば殻部111(流体貯留部3)を封鎖する蓋として機能する。第2主板部12の材質等は特に限定されないが、たとえば上述した樹脂材料の他、紙材、あるいは金属シート等を適宜採用できる。図示された例においては、樹脂を主材料とするフィルムが用いられている。第2主板部12の平面視形状は、第1主板部11に対応した円形状とされている。なお、第2主板部12のうち殻部111を覆う内面は、撥液面15とされていてもよい。あるいは、蓋として機能する第2主板部12には、内容物4が実質的に付着しないことが想定される場合は、第2主板部12の内面は、撥液面15とされていなくてもよい。
接合部2は、第1主板部11の環状部112と第2主板部12の一部とが接合された部位である。環状部112と第2主板部12とを接合する手法は特に限定されず、ヒートシール等の熱溶融手法や、接着剤や接着シートを用いた手法を適宜用いることができる。
本実施形態の流体貯留部3は、第1主板部11の殻部111と第2主板部12の一部とによって規定されている。流体貯留部3のうち殻部111によって規定された部分は、撥液面15によって規定されている。流体貯留部3のうち第2主板部12によって規定された部分は、上述した通り撥液面15であることは必須ではない。
図8は、高粘度流体用包装体A2の製造方法の一例を示す断面図である。図示された製造方法においては、金型8を用いる。金型8は、保持部81、凹部83および複数の吸引孔84を有する。保持部81は、第1主板部11の材料となるシート材料1Aを保持する部分であり、上面が平坦な部分である。凹部83は、殻部111を形成するための部位であり、保持部81の上面から下方に凹んでいる。複数の吸引孔84は、保持部81の上面および凹部83の内面に開口しており、図示しないポンプなどの吸引源に接続されている。
上述した金型8の上方に、シート材料1Aを配置する。この際、シート材料1Aの撥液面15Aは、図中上面に置かれる。撥液面15Aの凹凸形状等は、上述した実施形態の撥液面15Aと同様である。また、シート材料1Aは、以下の脱気成形に適した温度に加熱されていることが好ましい。次いで、シート材料1Aを金型8に向けて下降させ、保持部81に保持させる。また、これと同時にあるいはこれに引き続いて、上述した吸引源を稼働させることにより、複数の吸引孔84から吸引する。これにより、金型8とシート材料1Aとの間の空気が脱気され、シート材料1Aが金型8の表面に密着させられる。この際、シート材料1Aのうち金型8の凹部83に密着する部分には、顕著な延伸が施される。この脱気成形を経ることにより、シート材料1Aには、殻部111および環状部112が形成される。この後は、たとえば内容物4の充填、第2主板部12の材料となるフィルム材料とシート材料1Aとの接合による接合部2の形成、および切断工程を経ることにより、高粘度流体用包装体A2が得られる。
このような実施形態によっても、内容物4をよりスムーズに注出することができる。高粘度流体用包装体A2を開封する際には、第1主板部11から第2主板部12を剥離させ、殻部111を開口させる。そして、たとえば、第1主板部11を傾けることによって内容物4を抽出する。このため、たとえば殻部111を押しつぶすことによって内容物4を押し出す行為は適さない。しかし、殻部111の内面が撥液面15とされていることにより、殻部111を傾ける行為のみであっても、撥液面15を有さない構成と比べて内容物4をスムーズに注出することができる。
また、このような実施形態において、第2主板部12の内面を仮に撥液面15としていない場合であっても、内容物4を抽出する際には、第2主板部12は、第1主板部11からすでに取り去られている。したがって、第2主板部12の内面が撥液面15でないことは、内容物4をスムーズに注出することを不当に阻害することはない。一方、第2主板部12の内面が撥液面15であれば、たとえば高粘度流体用包装体A2の搬送中や陳列中における内容物4の第2主板部12への付着を抑制可能であり、開封において第2主板部12とともに取り去られてしまう内容物4を減じることができるという利点がある。
本発明に係る高粘度流体用包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る高粘度流体用包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A1,A2 高粘度流体用包装体
10 主板部
101 殻部
102 環状部
11 第1主板部
111 殻部
112 環状部
12 第2主板部
15 撥液面
1A シート材料
16 切欠き部
17 切断予定線
181 折り返し部
182 未接合部
183 充填口
2 接合部
3 流体貯留部
31 本体部
32 注出部
4 内容物
8 金型
81 保持部
83 凹部
84 吸引孔
Ct カッタ
Nz ノズル
Cl 切断線

Claims (5)

  1. 膨出形状とされた第1殻部および該第1殻部を囲む第1環状部を有する第1主板部と、
    前記第1殻部を覆う第2主板部と、
    前記第1環状部と前記第2主板部との少なくとも一部ずつが接合された接合部と、
    前記第1殻部および前記第2主板部によって規定された流体貯留部と、
    前記流体貯留部に収容された内容物と、を備え、
    前記第1殻部の内面は、撥液処理がされた撥液面であり、
    前記内容物は、粘度が1.0x102〜1.0x104mPa・sであり、かつBrix値が40%以上である高粘度流体であることを特徴とする、高粘度流体用包装体。
  2. 前記第2主板部は、前記第1殻部を覆うとともに前記流体貯留部を規定する膨出形状とされた第2殻部と、該第2殻部を囲む第2環状部とを有しており、
    前記第2殻部の内面は、撥液処理がされた撥液面であり、
    前記接合部は、前記第1環状部と前記第2環状部とが接合された部位である、請求項1に記載の高粘度流体用包装体。
  3. 前記第1主板部と前記第2主板部とは、同一のシート材料によって構成されている、請求項2に記載の高粘度流体用包装体。
  4. 前記第2主板部は、平坦形状のフィルムである、請求項1に記載の高粘度流体用包装体。
  5. 前記接合部は、前記第1環状部と前記第2主板部との少なくとも一部ずつがヒートシールによって接合された部位である、請求項1ないし4のいずれかに記載の高粘度流体用包装体。
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