JP2017065282A - 鞍乗型電動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な操作で意図した減速力を得ることができる鞍乗型電動車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型電動車両1は、バッテリ6から供給される電力に応じて前輪2および後輪3の少なくとも一方を駆動するとともに、回生エネルギを発生することができる電動モータ5と、少なくとも中立位置から加速操作方向への操作が可能なアクセル操作子60と、アクセル操作子60の中立位置から加速操作方向への操作に応じてバッテリ6から電動モータ5へ供給される電力を制御するMCU70とを備える。アクセル操作子60は、乗員から電動モータ5の回生量の大きさを設定する設定操作を受け付ける。MCU70は、アクセル操作子60が受け付けた設定操作に応じて、回生量の大きさを設定し、アクセル操作子60が中立位置のとき、設定された回生量の大きさに基づいて、電動モータ5を回生制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回生エネルギを発生する鞍乗型電動車両に関する。
電動モータを駆動源とする鞍乗型電動車両の1つとして電動二輪車がある。電動モータは、電動二輪車に搭載されたバッテリから電力を供給されて回転し、電動二輪車は走行することができる。
駆動源として電動モータを用いる場合、電動二輪車の減速時に、電動モータに回生エネルギを発生させて減速力を得ることが提案されている(特許文献1および2参照)。減速力は回生量に応じて変化するため、回生量を調整することで乗員の意図した減速力を得ることができる。
国際公開第2012/090253号 特開2010−88154号公報
特許文献1は、ハンドル右側に設けられたアクセル操作子およびブレーキレバーとは別に、ハンドル左側に回生量を調整する加減速調整レバーを設けた電動二輪車を開示している。乗員は、加減速調整レバーを操作することにより回生量を調整して、意図した減速力を得ることができる。しかし、特許文献1が開示する電動二輪車では、加減速調整レバーという操作子が新たに追加されることにより、ハンドル周りの操作子の数が増加するため、電動二輪車の操作が煩雑になるという課題がある。また、回生エネルギを発生させて減速力を得るためには、乗員は加減速調整レバーを操作し続ける必要があり、電動二輪車の操作が煩雑になるという課題がある。
特許文献2は、アクセル操作子を加速側とは反対の側に回すことで、回生エネルギを発生させて減速力を得る電動二輪車を開示している。アクセル操作子を加速側とは反対の側に回す角度が大きくなるほど回生量を大きくすることで、乗員は所望の減速力を得ることができる。しかし、特許文献2が開示する電動二輪車では、回生エネルギを発生させて減速力を得るためには、乗員はアクセル操作子を加速側とは反対の側に回し続ける必要があり、電動二輪車の操作が煩雑になるという課題がある。
本発明は、簡易な操作で意図した減速力を得ることができる鞍乗型電動車両を提供する。
本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両は、前輪および後輪と、バッテリと、前記バッテリから供給される電力に応じて前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動するとともに、回生エネルギを発生することができる電動モータと、少なくとも中立位置から加速操作方向への操作が可能なアクセル操作子と、前記アクセル操作子の前記中立位置から前記加速操作方向への操作に応じて前記バッテリから電動モータへ供給される電力を制御する制御部とを備え、前記アクセル操作子は、乗員から前記電動モータの回生量の大きさを設定する設定操作を受け付け、前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて、前記回生量の大きさを設定し、前記制御部は、前記アクセル操作子が前記中立位置のとき、前記設定された回生量の大きさに基づいて、前記電動モータを回生制御する。
アクセル操作子が電動モータの回生量の大きさを設定する操作を受け付け、アクセル操作子が中立位置のとき、設定された回生量の大きさに基づいて電動モータを回生制御する。これにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができるとともに、回生エネルギを発生させるためにアクセル操作子を操作し続ける必要がないため、車両の操作を簡単にすることができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記中立位置から前記加速操作方向とは反対方向へ操作した回数に応じて、前記回生量の大きさを設定してもよい。これにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができる。
ある実施形態によれば、前記アクセル操作子は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記反対方向へ所定量操作したことを検出してもよい。アクセル操作子が回生量の大きさを設定する操作を受け付けることにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを記憶しており、前記制御部は、前記複数のマップから選択したマップを用いて前記電動モータを回生制御し、前記制御部は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記反対方向へ操作した回数に応じて、前記回生制御に用いる前記マップを切り替えてもよい。これにより、乗員の操作に応じて回生量の大きさを切り替えることができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記アクセル操作子を前記反対方向へ操作した回数の増加に応じて前記回生量の大きさが順次大きくなるように、前記回生制御に用いる前記マップを切り替えてもよい。これにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができる。
ある実施形態によれば、前記鞍乗型電動車両の電源オン時、前記制御部は、前記複数のマップのうち最も回生量の大きさが小さいマップを選択してもよい。これにより、車両の始動時に乗員が意図しない大きな減速力が発生することを防止することができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されたときは、前記設定された回生量の大きさをリセットしてもよい。これにより、乗員は簡単な操作で、回生量の大きさの設定をリセットすることができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されたときは、前記アクセル操作子が前記中立位置のときの前記回生量の大きさを最も小さい回生量に切り替えてもよい。これにより、乗員は簡単な操作で、回生量の大きさの設定をリセットすることができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されても、前記アクセル操作子が前記中立位置のときの前記回生量の大きさとして、前記設定操作に応じて設定した前記回生量の大きさを維持してもよい。これにより、車両の加減速を短時間に繰り返す走行時において乗員が意図した減速力を維持することができる。
ある実施形態によれば、前記制御部は、前記回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを記憶しており、前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて、前記回生制御に用いる前記マップを切り替えてもよい。これにより、乗員の操作に応じて回生量の大きさを切り替えることができる。
本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両によれば、アクセル操作子が電動モータの回生量の大きさを設定する操作を受け付け、アクセル操作子が中立位置のとき、設定された回生量の大きさに基づいて電動モータを回生制御する。これにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができるとともに、回生エネルギを発生させるためにアクセル操作子を操作し続ける必要がないため、車両の操作を簡単にすることができる。
本発明の実施形態に係る電動二輪車を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る電動二輪車の構成要素を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るアクセル操作子を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るアクセル操作子を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るアクセル操作子を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを示す図である。 本発明の実施形態に係る回生量の大きさを設定する処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両1を示す側面図である。図1に示す例では、鞍乗型電動車両1は、オンロード型の自動二輪車である。なお、本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両は、ここで例示するオンロード型の自動二輪車に限定されない。本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両は、いわゆるオフロード型、モペット型、スクータ型等の他の型式の自動二輪車であってもよい。また、本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両は、乗員が跨って乗車する任意の車両を意味し、二輪車に限定されない。本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両は、車体を傾けることによって進行方向を変える型式の三輪車(LMW)等であってもよく、ATV(All Terrain Vehicle)等の他の鞍乗型電動車両であってもよい。
以下の説明において、前、後、左、右は、それぞれ自動二輪車1の乗員から見たときの前、後、左、右を意味するものとする。図面に付した符号F、Reは、それぞれ前、後を表す。
図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム10、ステアリング装置20、フロントサスペンション30、前輪2および後輪3を備えている。自動二輪車1は、さらに、後輪3を駆動するための動力を発生させる電動モータ5と、電動モータ5に電力を供給するバッテリ6と、電動モータ5の動作を制御するMCU(Motor Control Unit)70を備えている。
車体フレーム10は、その最前部に位置するヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11の後方に位置するバッテリケース12およびモータケース13とを含む。車体フレーム10は、乗員が着座するシート7を支持している。
車体フレーム10を構成するバッテリケース12は、バッテリ6を収容する。つまり、バッテリ6は、車体フレーム10に取り付けられている。バッテリケース12は、上面が開口した箱状であり、バッテリケース12の上面を覆うようにケースカバー12Cが設けられている。
バッテリ6は、例えばリチウムイオン電池である。バッテリ6は、車体フレーム10に対して脱着可能であってもよい。バッテリ6の個数は1に限定されず、複数(つまり2つ以上)のバッテリ6がバッテリケース12に収容されてもよい。バッテリ6は、低電圧系の配線と、高電圧系の配線の両方に電力を供給する。低電圧系の配線は、灯火器やECUなどの補機へ電力を供給する配線であり、一般的には12V前後の電圧を供給する。高電圧系の配線は、電動モータ5に電力を供給する(つまり駆動力を発生させるための電力を供給する)配線であり、低電圧系の配線よりも高い電圧を供給する、高電圧系の配線と低電圧系とは別系統の配線である。
なお、バッテリ6は、必ずしも車体フレーム10に直接取り付けられている必要はない。本願明細書において、「バッテリ6が車体フレーム10に取り付けられている」とは、バッテリ6が車体フレーム10に直接取り付けられている場合と、バッテリ6が車体フレーム10に間接的に(つまり車体フレーム10以外の部材を介して)取り付けられている場合の両方を含む。
モータケース13は、電動モータ5を含む後輪駆動系を収容する。電動モータ5によって駆動される後輪3は、リアアーム8に取り付けられている。後輪3には、車軸51が挿通されている。後輪3は、リアアーム8に、車軸51周りに回転可能に取り付けられている。電動モータ5で発生した動力は、不図示のベルトまたはチェーンによって後輪3に伝達される。バッテリケース12およびモータケース13の後方に、リアサスペンション9が配置されている。リアサスペンション9の上端は、バッテリケース12の後壁部に取り付けられている。リアサスペンション9の下端は、例えばリンク機構を介してモータケース13に支持されている。後輪3にはブレーキディスク41が取り付けられており、ブレーキ操作時に後輪3の回転を制動する。
ステアリング装置20は、ヘッドパイプ11に挿通されたステアリングシャフト21と、ステアリングシャフト21の上端部に取り付けられたハンドル22とを含む。ステアリング装置20は、車体フレーム10に対してステアリング軸線(ステアリングシャフト21の中心軸)sa周りに回動可能である。ステアリング装置20の回動(ステアリングシャフト21の回転)により、前輪2が転舵される。ハンドル22には、乗員の加速操作および回生量設定操作を受け付けるアクセル操作子60が設けられている。
フロントサスペンション30は、ステアリング装置20に連結されている。フロントサスペンション30は、ステアリング装置20に取り付けられた部分(以下では「サスペンション上部」と呼ぶ)31と、サスペンション上部31に対してストローク方向に移動可能に取り付けられた部分(以下では「サスペンション下部」と呼ぶ)32とを含む。
フロントサスペンション30がテレスコピック式の場合、サスペンション上部31およびサスペンション下部32の一方がアウターチューブを含み、他方がインナーチューブを含む。図1に例示している自動二輪車1では、フロントサスペンション30は、倒立式であり、サスペンション上部31がアウターチューブを含み、サスペンション下部32がインナーチューブを含む。これに対し、フロントサスペンション30が正立式である場合には、サスペンション上部31がインナーチューブを含み、サスペンション下部32がアウターチューブを含む。
前輪2には、車軸50が挿通されている。前輪2は、フロントサスペンション30に、車軸50周りに回転可能に取り付けられている。前輪2にはブレーキディスク40が取り付けられており、ブレーキ操作時に前輪2の回転を制動する。
図2は、電動モータ5の駆動力の制御および回生制御に関係する電動二輪車1の構成要素を模式的に示すブロック図である。MCU70は、電動モータ5の動作を制御するとともに、電動二輪車1の各部の動作を制御する。MCU70は、マイクロコンピュータ71と、電動二輪車1の各部の動作を制御するための手順を規定したコンピュータプログラムを格納したメモリー73を備える。また、MCU70は、電動二輪車1の各部の動作を制御するための電子部品(図示せず)を備える。MCU70は、アクセル操作子60に接続されるとともに、インバータ75を介して電動モータ5およびバッテリ6に接続される。
インバータ75は、バッテリ6から出力された直流電流を交流電流に変換して電動モータ5に供給し、電動モータ5を回転駆動する。また、回生制御時においては、インバータ75は、電動モータ5で発生した交流電流を直流電流に変換してバッテリ6へ供給して、バッテリ6の充電を行う。インバータ75はMCU70と一体に形成されていてもよい。
アクセル操作子60は、電動二輪車1のハンドル22(図1)に設けられており、乗員の加速操作および回生量設定操作を受け付け、アクセル操作子60が受け付けた操作に応じてMCU70は電動モータ5の動作を制御する。
図3、図4および図5は、アクセル操作子60を示す断面図である。アクセル操作子60は、乗員が手で握って操作するアクセルグリップ63を備える。図3は、乗員が操作していない中立位置Nにあるアクセルグリップ63を示している。図4は、その中立位置Nから加速操作方向Daへアクセルグリップ63を乗員が回転させた状態を示す。アクセル操作子60は、加速操作方向Daへのアクセルグリップ63の回転角度に応じた信号をMCU70に出力する。MCU70は、アクセル操作子60から受け取った信号に応じてインバータ75を制御し、バッテリ6から電動モータ5へ供給される電力を調整して、電動モータ5を回転駆動する。電動モータ5の回転が後輪3に伝達して電動二輪車1は走行する。
アクセルグリップ63は、図示しない付勢機構により加速位置から中立位置Nの方向へ付勢されており、乗員が操作の手を緩めるとアクセルグリップ63は中立位置Nへ戻り、電動モータ5への電力供給が停止する。
次に、電動モータ5の回生制御を説明する。本実施形態の電動二輪車1では、アクセル操作子60は、電動モータ5の回生量の大きさを設定する設定操作を乗員から受け付け、MCU70は、アクセル操作子60が受け付けた設定操作に応じて、回生量の大きさを設定する。例えば、乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから加速操作方向Daとは反対方向へ回すことで、回生量の大きさを設定する設定操作を行う。図5は、加速操作方向Daとは反対方向である回生量設定方向Dbへアクセルグリップ63を乗員が回転させた状態を示す。
図3および図5を参照して、アクセル操作子60は、受付部81と、付勢部83と、バネ85とを備える。アクセルグリップ63には突起部65が設けられている。乗員がアクセルグリップ63を回生量設定方向Dbへ所定角度(例えば、5°)回転させたとき、突起部65は受付部81を押圧し、受付部81は回生量の設定操作を受け付ける。受付部81は例えばスイッチ素子である。付勢部83は、バネ85により、アクセルグリップ63を回生量設定位置から中立位置Nの方向へ付勢し、乗員が操作の手を緩めるとアクセルグリップ63は中立位置Nへ戻る。アクセルグリップ63が回生量設定位置から中立位置Nへ戻ったとき、MCU70は、設定された回生量の大きさに応じた電動モータ5の回生制御を開始する。
この例では、MCU70は、乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから回生量設定方向Dbへ操作した回数に応じて、回生量の大きさを設定する。すなわち、アクセルグリップ63を中立位置Nから方向Dbへ回して受付部81を押圧した後、再び中立位置Nへ戻る操作を1回とカウントし、その操作の回数に応じて回生量の大きさを設定する。例えば、そのような操作が1回のときと、2回のときと、3回のときとで、回生量の大きさを互いに異ならせる。アクセル操作子60は、乗員の操作を受け付ける度に信号をMCU70に出力する。MCU70は、アクセル操作子60から受け取った信号から操作回数を把握し、操作回数に応じてインバータ75を制御して、電動モータ5の回生量の大きさを変更する。回生量の大きさを変更する方法としては種々の公知の方法が有り、本発明の実施形態においてもこれらの方法を用いて回生量の大きさを変更することができる。例えば、MCU70は、PWM(Pulse Width Modulation)制御におけるデューティ比を変更して、電動モータ5の発電量を調整することで、回生量の大きさを変更することができる。インバータ75は、電動モータ5で発生した交流電流を直流電流に変換してバッテリ6へ供給して、バッテリ6の充電を行う。
本実施形態では、アクセル操作子60が電動モータ5の回生量の大きさを設定する操作を受け付け、アクセル操作子60が中立位置Nのとき、設定された回生量の大きさに基づいて電動モータ5を回生制御する。これにより、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができる。乗員は、回生エネルギを発生させるためにアクセル操作子60を操作し続ける必要がないため、電動二輪車1の操作を簡単にすることができる。
また、乗員の操作回数に応じて回生量の大きさを変更するとき、回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを切り替えることで、回生量の大きさを変更してもよい。例えば、MCU70のメモリー73が、回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを記憶しており、マイクロコンピュータ71がそのマップを読み出して実行することで、回生量の大きさを変更してもよい。
図6は、一例として、回生量の大きさが互いに異なる複数のマップM1、M2およびM3を示す図である。図6の縦軸は制動力を示し、横軸は車速を示している。縦軸の制動力は回生量に相当する。例えば、乗員による回生量設定の操作回数が1回のときは、マイクロコンピュータ71はマップM1を選択し、マップM1が示す車速と制動力との関係に応じて回生量を調整する。また、乗員の操作回数が2回のときはマップM2を選択し、3回のときはマップM3を選択し、それぞれのマップに応じて回生量を調整する。
図6の例では、マップM1、マップM2、マップM3の順で、車速に対する回生量が大きくなっている。すなわち、MCU70は、アクセルグリップ63を方向Dbへ操作した回数の増加に応じて回生量の大きさが順次大きくなるように、回生制御に用いるマップを切り替えていっている。操作回数と回生量の大きさとを比例させることで、乗員は簡単な操作で意図した減速力を得ることができる。
なお、マップとして制動力と車速との関係を用いるのは一例である。例えば、図6において縦軸は回生量を示していてもよい。また、図6において横軸は電動モータ5の回転数を示していてもよい。
設定した回生量のリセットは、例えば、アクセルグリップ63を中立位置Nから加速操作方向Daへ操作することで行われる。MCU70は、アクセルグリップ63が中立位置Nから加速操作方向Daへ操作されたことを示す信号を受け取ると、設定された回生量の大きさをリセットする。例えば、回生エネルギを発生させない設定に変更することによりリセットが行われる。また、例えば、リセット動作として、回生量が最も小さいマップM1に切り替えてもよい。リセット後、回生量の大きさを再び設定したいときは、乗員は、アクセルグリップ63を回生量設定方向Dbへ回転させる操作を所定の回数行うことで、所望の回生量の大きさを設定することができる。
図7は、回生量の大きさを設定する処理の一例を示すフローチャートである。乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから回生量設定方向Dbへ回転させる操作を行っていないときは(ステップS11におけるNO)、マイクロコンピュータ71は現在の電動モータ5の制御(例えば、加速制御)を維持する。乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから回生量設定方向Dbへ回転させる操作をアクセル操作子60が受け付けると(ステップS11におけるYES)、マイクロコンピュータ71は、操作回数1回に対応した回生量の大きさの設定を行う(ステップS12)。例えば、マイクロコンピュータ71はマップM1(図6)を選択し、マップM1に応じた電動モータ5の回生制御を行う。
乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから加速操作方向Daへ操作したことをアクセル操作子60が受け付けると(ステップS13におけるYES)、マイクロコンピュータ71は、設定された回生量の大きさをリセットする(ステップS16)。
アクセルグリップ63の中立位置Nから加速操作方向Daへの操作が無い場合は(ステップS13におけるNO)、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、中立位置Nから回生量設定方向Dbへの追加の操作が無い場合は(ステップS14におけるNO)、設定した回生量の大きさに応じた電動モータ5の回生制御を維持する。
ステップS14において、中立位置Nから回生量設定方向Dbへの追加の操作をアクセル操作子60が受け付けると(ステップS14におけるYES)、マイクロコンピュータ71は、中立位置Nから回生量設定方向Dbへの合計操作回数に対応した回生量の大きさの設定を行う(ステップS15)。例えば、合計操作回数が2回の場合は、マイクロコンピュータ71はマップM2(図6)を選択し、マップM2に応じた電動モータ5の回生制御を行う。合計操作回数が3回の場合は、マイクロコンピュータ71はマップM3(図6)を選択し、マップM3に応じた電動モータ5の回生制御を行う。ステップS13において、乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから加速操作方向Daへ操作したことをアクセル操作子60が受け付けると(ステップS13におけるYES)、マイクロコンピュータ71は、設定された回生量の大きさをリセットする(ステップS16)。リセット後は、マイクロコンピュータ71は、電動モータ5の加速制御等の乗員の操作に応じた制御を行う。乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから回生量設定方向Dbへ回転させる操作を再び行ったときは、ステップS11からS16の処理を再度実行する。
なお、アクセルグリップ63が中立位置Nから加速操作方向Daへ操作されても、設定した回生量の大きさをそのまま維持してもよい。例えば、複数のカーブが連続する道路の走行時等、電動二輪車1の加速と減速を短時間に繰り返す走行においては、設定した回生量を維持し続けたい場合がある。このような場合は、設定した回生量をそのまま維持することで、乗員が意図した減速力を維持し続けることができる。また、この場合における回生量のリセットは、アクセルグリップ63を方向Dbへ長押しする(所定時間以上、方向Dbに回し続ける)ことで行ってもよい。所定時間は例えば2秒であるが、これに限定されない。
また、電動二輪車1の電源をオフ状態からオン状態にした時(起動時)においては、MCU70は、最も回生量が小さいマップM1を選択してもよい。これにより、電動二輪車1の走り始めのときに、乗員が意図しない大きな減速力が発生することを防止することができる。
また、上記の例では、乗員がアクセルグリップ63を中立位置Nから回生量設定方向Dbへ操作した回数に応じて、回生量の大きさを設定したが、別の方法により回生量の大きさを設定してもよい。例えば、乗員がアクセルグリップ63を方向Dbへ操作し続ける時間に応じて、マップを変更してもよい。また、例えば、乗員が方向Dbに加える力の大きさに応じて、マップを変更してもよい。
また、MCU70が実行する上記各種処理の少なくとも一部は、バッテリ6が備えるコントロールユニット(図示せず)と連携して行ってもよい。
また、上述の例では、電動モータ5は交流モータであったが、直流モータであってもよい。電動モータ5が直流モータである場合は、インバータ75の代わりに直流モータの電圧および電流を制御する制御装置が設けられてもよい。
また、上述の例では、回生制御時に電動モータ5で発生した電力は、バッテリ6の充電に用いられたが、それ以外に用いられてもよい。例えば、電動二輪車1がキャパシタを備える場合は、電動モータ5で発生した電力はキャパシタに蓄電されてもよい。また、電動二輪車1が電気抵抗器を備え、電動モータ5で発生した電力を電気抵抗器で熱に変化して外部へ放出してもよい。また、これらキャパシタおよび/または電気抵抗器は、バッテリ6の充電と併用されてもよい。例えば、バッテリ6が満充電状態のときは、電動モータ5で発生した電力をキャパシタおよび/または電気抵抗器へ供給することで、減速力を得るようにしてもよい。
また、上述の例では、電動モータ5の駆動力が伝達される駆動輪は後輪3であったが、電動車両の形態に応じて、前輪2に電動モータ5の駆動力が伝達されてもよい。また、前輪2および後輪3の両方に駆動力が伝達されてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明した。上述の実施形態の説明は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。また、上述の実施形態で説明した各構成要素を適宜組み合わせた実施形態も可能である。本発明は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において、改変、置き換え、付加および省略などが可能である。
本発明は、回生エネルギを発生する鞍乗型電動車両の分野において特に有用である。
1 電動二輪車(鞍乗型電動車両)
2 前輪
3 後輪
5 電動モータ
6 バッテリ
7 シート
8 リアアーム
9 リアサスペンション
10 車体フレーム
11 ヘッドパイプ
12 バッテリケース
12C ケースカバー
13 モータケース
20 ステアリング装置
21 ステアリングシャフト
22 ハンドル
30 フロントサスペンション
31 サスペンション上部
32 サスペンション下部
40、41 ディスクブレーキ
50、51 車軸
60 アクセル操作子
63 アクセルグリップ
65 突起部
70 MCU
71 マイクロコンピュータ
73 メモリー
75 インバータ
81 受付部
83 付勢部
85 バネ
N 中立位置
Da 加速操作方向
Db 回生量設定方向
M1、M2、M3 マップ

Claims (10)

  1. 前輪および後輪と、
    バッテリと、
    前記バッテリから供給される電力に応じて前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動するとともに、回生エネルギを発生することができる電動モータと、
    少なくとも中立位置から加速操作方向への操作が可能なアクセル操作子と、
    前記アクセル操作子の前記中立位置から前記加速操作方向への操作に応じて前記バッテリから電動モータへ供給される電力を制御する制御部と、
    を備え、
    前記アクセル操作子は、乗員から前記電動モータの回生量の大きさを設定する設定操作を受け付け、
    前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて、前記回生量の大きさを設定し、
    前記制御部は、前記アクセル操作子が前記中立位置のとき、前記設定された回生量の大きさに基づいて、前記電動モータを回生制御する、鞍乗型電動車両。
  2. 前記制御部は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記中立位置から前記加速操作方向とは反対方向へ操作した回数に応じて、前記回生量の大きさを設定する、請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
  3. 前記アクセル操作子は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記反対方向へ所定量操作したことを検出する、請求項2に記載の鞍乗型電動車両。
  4. 前記制御部は、前記回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを記憶しており、
    前記制御部は、前記複数のマップから選択したマップを用いて前記電動モータを回生制御し、
    前記制御部は、前記乗員が前記アクセル操作子を前記反対方向へ操作した回数に応じて、前記回生制御に用いる前記マップを切り替える、請求項2または3に記載の鞍乗型電動車両。
  5. 前記制御部は、前記アクセル操作子を前記反対方向へ操作した回数の増加に応じて前記回生量の大きさが順次大きくなるように、前記回生制御に用いる前記マップを切り替える、請求項4に記載の鞍乗型電動車両。
  6. 前記鞍乗型電動車両の電源オン時、前記制御部は、前記複数のマップのうち最も回生量の大きさが小さいマップを選択する、請求項4または5に記載の鞍乗型電動車両。
  7. 前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されたときは、前記設定された回生量の大きさをリセットする、請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
  8. 前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されたときは、前記アクセル操作子が前記中立位置のときの前記回生量の大きさを最も小さい回生量に切り替える、請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
  9. 前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて前記回生量の大きさを設定した後、前記アクセル操作子が前記中立位置から前記加速操作方向へ操作されても、前記アクセル操作子が前記中立位置のときの前記回生量の大きさとして、前記設定操作に応じて設定した前記回生量の大きさを維持する、請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
  10. 前記制御部は、前記回生量の大きさが互いに異なる複数のマップを記憶しており、
    前記制御部は、前記アクセル操作子が受け付けた前記設定操作に応じて、前記回生制御に用いる前記マップを切り替える、請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
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