JP2017062879A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体を備えたスパークプラグを提供することを課題とする。【解決手段】 Al成分を酸化物換算で92質量%以上96質量%以下含む絶縁体を備えたスパークプラグであって、前記絶縁体は、アルミナ結晶と前記アルミナ結晶の結晶間に存在する粒界相とからなるアルミナ焼結体で形成され、前記粒界相は、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分を含有し、酸化物換算したときの質量含有率をそれぞれMSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOとし、これらの合計をMtとしたとき、下記の(1)〜(4)を満たすことを特徴とするスパークプラグ。(1)0.17≦MSiO2/Mt≦0.47(2)0.005≦MMgO/Mt≦0.07(3)0.29≦MBaO/Mt≦0.77(4)0.03≦MCaO/Mt≦0.19【選択図】 図1

Description

この発明は、スパークプラグに関する。この発明は、特に、高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体を備えたスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグは、例えば、アルミナ(Al)を主成分とするアルミナ基焼結体により形成されたスパークプラグ用絶縁体(「絶縁体」とも称する。)を備えている。この絶縁体がアルミナ基焼結体で形成される理由としては、アルミナ基焼結体が耐熱性及び機械的強度等に優れていることが挙げられる。このようなアルミナ基焼結体を得るために、従来より、焼成温度の低減及び焼結性の向上を目的として、例えば、酸化珪素(SiO)−酸化カルシウム(CaO)−酸化マグネシウム(MgO)からなる三成分系の焼結助剤等が使用されている。
このようなスパークプラグが装着される内燃機関の燃焼室は例えば700℃程度の温度に達することがあり、したがって、スパークプラグには室温から700℃程度の温度範囲において優れた耐電圧性能を発揮することが要求される。このような耐電圧性能を発揮するスパークプラグの絶縁体等に好適に用いられるアルミナ基焼結体が提案されている。
例えば、特許文献1には、「・・・Al(アルミナ)を主成分とし、Ca(カルシウム)成分、Sr(ストロンチウム)成分、Ba(バリウム)成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分(以下、E.成分と表す)を含有するアルミナ基焼結体からなり、そのアルミナ基焼結体の少なくとも一部には、前記E.成分とAl(アルミニウム)成分とを少なくとも含む粒子であって、E.成分を酸化物換算した含有量に対するAl成分を酸化物換算した含有量のモル比が4.5〜6.7の範囲内となる化合物を含む粒子が存在しており、さらに、相対密度が90%以上であるアルミナ基焼結体からなることを特徴とするスパークプラグ用絶縁体」(特許文献1の請求項1)が記載されている。この発明によると、アルミナ基焼結体中の粒界に存在する残留気孔や粒界における低融点ガラス相の影響による絶縁破壊の発生を抑制し、従来の材料と比較して700℃近傍といった高温下での耐電圧特性に一層優れた絶縁体を有するスパークプラグを提供できることが開示されている(特許文献1の0007欄等)。
また、特許文献2には、高い耐電圧特性及び高温強度を発揮する絶縁体を備えたスパークプラグを提供することを目的として(特許文献2の0014欄)、「・・・前記絶縁体は、1.50μm以上の平均結晶粒径DA(Al)を有する緻密なアルミナ基焼結体で構成され、当該アルミナ基焼結体は、Si成分と、IUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素のうちMg及びBaを必須とするとともにMg及びBaを除く少なくとも他の一元素を含有する第2族元素(2A)成分と、希土類元素(RE)成分とを、前記Si成分の含有率S(酸化物換算質量%)と前記第2族元素(2A)成分の含有率A(酸化物換算質量%)との合計含有率(S+A)に対する前記含有率Sの比が0.60以上となる割合で含有してなることを特徴とするスパークプラグ。」(特許文献2の請求項1)が記載されている。
特許文献3には、強度及び耐電圧性能の向上を目的として、「・・・希土類元素と、IUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素との、質量百分率を用いて表される酸化物換算した場合の含有割合が、0.1≦希土類元素の含有率/第2族元素の含有率≦1.4 を満たし、かつ、前記希土類元素と、酸化バリウムとの質量百分率を用いて表される酸化物換算した場合の含有割合が、0.2≦酸化バリウムの含有率/希土類元素の含有率≦0.8 を満たしており、前記焼結体の断面における任意の630μm×480μmの領域内に、前記希土類元素を含む結晶を包む7.5μm×50μmの仮想的な長方形枠が、少なくとも1つ以上存在し、前記長方形枠は、前記長方形枠の面積に対する前記希土類元素を含む結晶の面積の占有率が5%以上、かつ、前記長方形枠を長辺方向に3等分割した場合の各分割領域における前記希土類元素を含む結晶の面積の占有率のうちの最大の面積の占有率と、最小の面積の占有率の比率が5.5以下であることを特徴とする絶縁体。」(特許文献3の請求項1)が記載されている。
特許文献4には、「Ca(カルシウム)成分、Sr(ストロンチウム)成分、Ba(バリウム)成分から選ばれる少なくとも1種(以下、E.成分と表す)を含むアルミナ基焼結体であって、該アルミナ基焼結体の少なくとも一部に、前記E.成分とAl(アルミニウム)成分とを含む粒子が存在し、該粒子には、酸化物換算したE.成分(E.O換算)に対する酸化物換算したAl成分(Al23換算)のモル比が4.5〜6.7の範囲にある化合物が含まれるとともに、該アルミナ基焼結体の相対密度が90%以上であることを特徴とする高耐電圧性アルミナ基焼結体」(特許文献4の請求項1)が記載されている。この発明によると、室温以下から700℃付近の高温までの幅広い温度範囲において十分な耐電圧性を得ることが可能となることが開示されている(特許文献4の0015欄等)。
特開2001−155546号公報 国際公開第2009/119098号公報 特開2014−187004号公報 特開2000−313657号公報
ところで、近年、内燃機関の高出力化及び燃費向上を図るために燃焼室内の温度を高くする傾向にある。そのため、スパークプラグを構成する絶縁体が、従来よりもさらに高温、例えば約900℃という高温に曝されることがある。したがって、約900℃という高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体が求められている。特許文献1〜4に記載の発明では、約900℃という高温下に絶縁体が曝されることを想定していない。よって、上述した特許文献に記載された絶縁体では、約900℃という高温下において十分なレベルの耐電圧性能を発揮できないおそれがある。
この発明は、高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体を備えたスパークプラグを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] Al成分を酸化物換算で92質量%以上96質量%以下含む絶縁体を備えたスパークプラグであって、
前記絶縁体は、アルミナ結晶と前記アルミナ結晶の結晶間に存在する粒界相とからなるアルミナ焼結体で形成され、
前記粒界相は、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ酸化物換算したときの質量含有率を、それぞれMSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOとし、MSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOの合計をMtとしたとき、下記の(1)〜(4)を満たすようにSi成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分を含むことを特徴とするスパークプラグである。
(1)0.17≦MSiO2/Mt≦0.47
(2)0.005≦MMgO/Mt≦0.07
(3)0.29≦MBaO/Mt≦0.77
(4)0.03≦MCaO/Mt≦0.19
前記[1]の好ましい態様は、以下の通りである。
[2] 前記粒界相は、少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相を有する。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のスパークプラグにおいて、前記粒界相は、IUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを含有する結晶相を有する。
この発明に係るスパークプラグは、Al成分を酸化物換算で92質量%以上96質量%以下含有し、アルミナ結晶と粒界相とからなるアルミナ焼結体で形成された絶縁体を備え、粒界相はSi成分とMg成分とBa成分とCa成分とをそれぞれ前記(1)〜前記(4)を満たすように含有するので、例えば、絶縁体が例えば約900℃という高温に曝されるような環境でスパークプラグが使用された場合に十分な耐電圧性能を有する。したがって、この発明によると、高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体を備えたスパークプラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図である。 図2は、高温耐電圧試験に用いた耐電圧測定装置を示す概略断面説明図である。
この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを図1に示す。図1はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図である。なお、図1では紙面下方すなわち後述する接地電極が配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示されるように、軸線O方向に沿って延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、前記軸孔2内の先端側に設けられた略棒状の中心電極4と、前記軸孔2内の後端側に設けられた端子金具5と、前記軸孔2内の前記中心電極4と前記端子金具5との間に配置された接続部6と、前記絶縁体3の外周に設けられた略円筒形状の主体金具7と、前記主体金具7の先端に固定された基端部及び前記中心電極4に間隙Gを介して対向するように配置された先端部を有する接地電極8とを備える。
絶縁体3は、軸線O方向に延びる軸孔2を有し、略円筒形状を有している。絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、該後端側胴部11よりも先端側に配置され、径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、該大径部12の先端側に配置され、大径部12より小さい外径を有し、接続部6を収容する。脚長部14は、該先端側胴部13の先端側に配置され、先端側胴部13より小さい外径及び内径を有し、中心電極4を収容する。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気絶縁性を有する材料で形成される。この発明の特徴部分である絶縁体3の詳細については、後述する。
接続部6は、軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置され、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。
主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部24が形成されている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有し、ガスシール部25の後端側にスパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26、工具係合部26の後端側に加締め部27を有する。ネジ部24の内周面における先端側は、脚長部14に対して空間を有するように配置されている。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行うための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて接続部6により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼等の金属材料により形成されることができる。
中心電極4は、接続部6に接する後端部28と、前記後端部28から先端側に延びる棒状部29とを有する。中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定され、主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4における後端部28と棒状部29とは、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。中心電極4は、Ni合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。芯部を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。
前記接地電極8は、例えば、略角柱形状に形成されてなり、基端部が主体金具7の先端部に接合され、途中で略L字状に屈曲され、先端部が中心電極4の先端との間に間隙Gを介して対向するように形成されている。この実施形態における間隙Gは、中心電極4の先端と接地電極8の側面との最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。接地電極8は、Ni合金等の接地電極8に使用される公知の材料で形成されることができる。また、中心電極4と同様にNi合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。
この発明の特徴部分である絶縁体について、以下に詳細に説明する。
絶縁体3は、前記絶縁体3に含まれる成分の酸化物換算での合計質量に対してAl成分を酸化物換算で92質量%以上96質量%以下含有するアルミナ焼結体からなる。アルミナ焼結体は、アルミナ結晶と、アルミナ結晶とアルミナ結晶との間に存在する粒界相とからなる。Al成分は、その大部分が、アルミナ結晶としてアルミナ焼結体中に存在する。Al成分の一部は、粒界相に存在するガラス相中及び結晶相中に存在する。アルミナ焼結体は、Al成分を酸化物換算したときの含有率が前記範囲内にあると耐電圧性能及び機械的強度等に優れる。Al成分を酸化物換算したときの含有率が96質量%を超えると、焼結性が悪く、アルミナ焼結体に気孔が残留し易くなり、十分な耐電圧性能が得られない。Al成分を酸化物換算したときの含有率が92質量%未満であると、相対的に粒界相におけるガラス相の割合が増大するので、例えば、約900℃という高温下においてガラス相が軟化すると、十分な耐電圧性能が得られない。
粒界相は、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ酸化物換算したときの質量含有率を、それぞれMSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOとし、MSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOの合計をMtとしたとき、下記の(1)〜(4)を満たすようにSi成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分を含む。
(1)0.17≦MSiO2/Mt≦0.47
(2)0.005≦MMgO/Mt≦0.07
(3)0.29≦MBaO/Mt≦0.77
(4)0.03≦MCaO/Mt≦0.19
アルミナ焼結体におけるAl成分の含有率が前記範囲内にあり、粒界相が(1)〜(4)を満たすようにSi成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ含有するので、このアルミナ焼結体で形成された絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、十分な耐電圧性能を有する。したがって、この発明によると、高温下における耐電圧性能に優れた絶縁体を備えたスパークプラグを提供することができる。
Si成分は、酸化物、イオン等としてアルミナ焼結体中に存在する。Si成分は、焼結時には溶融して通常液相を生じるので、アルミナ焼結体の緻密化を促進する焼結助剤として機能する。Si成分は、焼結後は粒界相においてガラス相として又はAl等の他の元素と共に結晶相として存在する。粒界相において、Si成分の質量割合MSiO2/Mtは、0.17以上であり、0.19以上であるのが好ましい。前記質量割合MSiO2/Mtは、0.47以下であり、0.45以下であるのが好ましく、0.40以下であるのがより好ましい。粒界相において、Si成分の含有率が小さく、前記質量割合MSiO2/Mtが0.17より小さいと、焼結性が悪く、緻密なアルミナ焼結体が得られ難くなり、十分な耐電圧性能が得られない。粒界相においてSi成分の含有率が大きく、前記質量割合MSiO2/Mtが0.47より大きいと、粒界相におけるガラス相の割合が増大するので、例えば、約900℃という高温下においてガラス相が軟化すると、十分な耐電圧性能が得られない。
Mg成分は、酸化物、イオン等としてアルミナ焼結体中に存在する。Mg成分は、焼結時には溶融して通常液相を生じるので、アルミナ焼結体の緻密化を促進する焼結助剤として機能する。Mg成分は、焼結後は粒界相においてガラス相として又はAl等の他の元素と共に結晶相として存在する。粒界相において、Mg成分の質量割合MMgO/Mtは、0.005以上であり、0.015以上であるのが好ましい。前記質量割合MMgO/Mtは、0.07以下であり、0.041以下であるのが好ましい。粒界相において、Mg成分の含有率が小さく、前記質量割合MMgO/Mtが0.005より小さいと、アルミナ結晶が異常粒成長し易くなり、曲げ強度が低下する。粒界相においてMg成分の含有率が大きく、前記質量割合MMgO/Mtが0.07より大きいと、例えば、約900℃という高温下において十分な耐電圧性能が得られない。
Ba成分は、酸化物、イオン等としてアルミナ焼結体中に存在する。Ba成分は、焼結時には溶融して通常液相を生じるので、アルミナ焼結体の緻密化を促進する焼結助剤として機能する。Ba成分は、焼結後は粒界相においてガラス相として又はAl等の他の元素と共に結晶相として存在する。粒界相において、Ba成分の質量割合MBaO/Mtは、0.29以上であり、0.35以上であるのが好ましく、0.45以上であるのがより好ましい。前記質量割合MBaO/Mtは、0.77以下であり、0.71以下であるのが好ましい。粒界相において、Ba成分の含有率が小さく、前記質量割合MBaO/Mtが0.29より小さいと、粒界相における結晶相が析出し難くなり、例えば、約900℃という高温下において十分な耐電圧性能が得られない。粒界相においてBa成分の含有率が大きく、前記質量割合MBaO/Mtが0.77より大きいと、焼結性が悪くなり、緻密なアルミナ焼結体が得られ難くなり、十分な耐電圧性能が得られない。Ba成分は、Mg成分及びCa成分よりも多く含有されているのが好ましく、Si成分、Mg成分、及びCa成分よりも多く含有されているがより好ましい。Ba成分の含有率が他の焼結助剤に比べて相対的に大きいと、粒界相において結晶相が析出し易くなり、例えば、約900℃という高温下における耐電圧性能がより一層向上する。
Ca成分は、酸化物、イオン等としてアルミナ焼結体中に存在する。Ca成分は、焼結時には溶融して通常液相を生じるので、アルミナ焼結体の緻密化を促進する焼結助剤として機能する。Ca成分は、焼結後は粒界相においてガラス相として又はAl等の他の元素と共に結晶相として存在する。粒界相において、Ca成分の質量割合MCaO/Mtは、0.03以上である。前記質量割合MCaO/Mtは、0.19以下であり、0.10以下であるのが好ましい。粒界相において、Ca成分の含有率が小さく、前記質量割合MCaO/Mtが0.03より小さいと、焼結性が悪く、緻密なアルミナ焼結体が得られ難くなり、十分な耐電圧性能が得られない。粒界相においてCa成分の含有率が大きく、前記質量割合MCaO/Mtが0.19より大きいと、粒界相における結晶相が析出し難くなり、例えば、約900℃という高温下において十分な耐電圧性能が得られない。
アルミナ焼結体は、Ba成分、Mg成分、及びCa成分以外のIUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素の成分(以下、第2族元素成分と称することがある。)を含有してもよい。Ba成分、Mg成分、及びCa成分以外の第2族元素成分としては、低毒性の観点から、Sr成分が挙げられる。Sr成分がアルミナ焼結体中に存在する場合には、Ba成分、Mg成分、及びCa成分と同様に、酸化物、イオン等としてアルミナ焼結体中に存在する。Sr成分は、焼結時には溶融して通常液相を生じるので、アルミナ焼結体の緻密化を促進する焼結助剤として機能する。Sr成分は、焼結後は粒界相においてガラス相として又はAl等の他の元素と共に結晶相として存在する。
粒界相は、結晶相として、少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相のうちの少なくとも1種を有するのが好ましい。粒界相が少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相を有すると、例えば約900℃という高温下における耐電圧性能がより一層向上する。アルミナ焼結体は、高温下において粒界相におけるガラス相が軟化すると、これが導電パスとなって耐電圧性能が低下する。一方、粒界相に少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相が存在すると、この結晶相は0.2〜3μm程度の最大長さを有する板状の結晶であるので、これが導電パスを分断し、高温下における耐電圧性能が向上する。少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相としては、Ba成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相、及びBa成分とAl成分とMg成分とを含有する六方晶系の結晶相を挙げることができる。Ba成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相としては、BaAl1219、Ba0.717Al1117.282、Ba0.75Al1117.25、Ba0.79Al10.917.14、Ba0.83Al1117.33、Ba0.857Al10.91417.232、BaAl13.220.8、Ba1.157Al10.68617.157、Ba1.17Al10.6717.2、BaAl1017、Ba2.333Al21.33334.333等を挙げることができる。Ba成分とAl成分とMg成分とを含有する六方晶系の結晶相としては、BaMgAl1017、Ba0.638Mg0.276Al10.72417、Ba0.82Mg0.63Al10.3717、Ba0.62Mg0.67Al10.3317、Ba0.956Mg0.912Al10.08817等を挙げることができる。また、上記の少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相と同様に、少なくともCa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相、及び少なくともSr成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相についても同様の効果がある。
粒界相は、結晶相として、第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを少なくとも含有する結晶相のうちの少なくとも1種を有するのが好ましい。前記結晶相に含有される第2族元素成分としては、Mg成分、Ca成分、Ba成分、及びSr成分等を挙げることができ、これらの中でもMg成分、Ca成分、及びBa成分が好ましい。粒界相が第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを少なくとも含有する結晶相を有すると、例えば約900℃という高温下における耐電圧性能がより一層向上する。第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを少なくとも含有する結晶相は、焼結後にガラス相を形成し易いSi成分を含んでいるので、粒界相におけるガラス相の割合を低減して結晶相の割合を増大させる。粒界相においてガラス相より結晶相が多いほど高温下において軟化したガラス相の導電パスを低減させることができるため、高温下における耐電圧性能が向上する。第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを少なくとも含有する結晶相としては、例えば、(AE)Si、(AE)(AE’) Si、(AE)AlSi、(AE)(AE’)AlSi(a,b,c,d,eは正数を示す。)等を挙げることができる。具体的には、(AE)AlSi、(AE)AlSiO等を挙げることができる。なお、上述した「AE」はIUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素を示す。また、「AE」は第2族元素のうちの一元素を、「AE’」は第2族元素であって、AEで示される第2族元素とは異なる第2族元素を示す。
粒界相は、少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相、及び第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを含有する結晶相のうちの少なくとも1種を有するのが好ましく、いずれの結晶相も有するのがより好ましい。
前述した結晶相は、アルミナ焼結体を製造するときの原料組成、原料粉末の成形体を焼成するときの焼成条件、例えば降温速度等を変更することにより析出させることができる。
アルミナ焼結体に含まれる各成分の含有率(酸化物換算質量%)は、例えば蛍光X線分析や化学分析の結果から算出することができる。ここで、検出された、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ酸化物換算したときの含有率を、それぞれMSiO2、MMgO、MBaO、MCaO、及びこれらの合計をMtとして、得られた値それぞれの比MSiO2/Mt、MMgO/Mt、MBaO/Mt、MCaO/Mtを算出する。Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分の大部分は粒界相に含まれているので、前記比MSiO2/Mt、MMgO/Mt、MBaO/Mt、及びMCaO/Mtは、粒界相における比に対応するとみなすことができる。
また、アルミナ焼結体中の粒界相に含まれる結晶の種類は、例えば、アルミナ焼結体をX線回折分析し、X線回折により得られたX線回折チャートと例えばJCPDSカードとを対比することで、確認することができる。
スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。まず、この発明の特徴部分である絶縁体3の製造方法について説明する。
まず、原料粉末、すなわち、Al化合物粉末と、Si化合物粉末と、Mg化合物粉末と、Ba化合物粉末と、Ca化合物粉末とを所定の割合で配合してスラリー中で混合する。ここで、各粉末の混合割合は、例えば絶縁体3を形成するアルミナ焼結体における各成分の含有率と同一に設定することができる。この混合は、原料粉末の混合状態を均一にし、かつ得られる焼結体を高度に緻密化することができるように、8時間以上にわたって混合されるのが好ましい。
Al化合物粉末は、焼成によりAl成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、通常、アルミナ(Al)粉末が用いられる。Al化合物粉末は、不可避不純物、例えばNa等を含有していることがあるので、高純度のものを用いるのが好ましく、例えば、Al化合物粉末における純度は99.5%以上であるのが好ましい。Al化合物粉末は、緻密なアルミナ焼結体を得るには、通常、その平均粒径が0.1〜5.0μmの粉末を使用するのがよい。
Si化合物粉末は、焼成によりSi成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Siの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的にはSiO粉末等を挙げることができる。なお、Si化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。Si化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
Mg化合物粉末は、焼成によりMg成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Mgの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、MgO粉末、MgCO粉末等を挙げることができる。なお、Mg化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。Mg化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
Ba化合物粉末は、焼成によりBa成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Baの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、BaO粉末、BaCO粉末等を挙げることができる。なお、Ba化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。Ba化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
Ca化合物粉末は、焼成によりCa成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Caの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、CaO粉末、CaCO粉末等を挙げることができる。なお、Ca化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。Ca化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
この原料粉末を溶媒に分散させ、バインダーとして例えば親水性結合剤を配合することにより、スラリー中で混合する。このとき用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール等を挙げることができる。親水性結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂、アラビアゴム、デキストリン等を挙げることができる。これらの親水性結合剤及び溶媒は1種単独でも2種以上を併用することもできる。親水性結合剤及び溶媒の使用割合は、原料粉末を100質量部としたときに、親水性結合剤は0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部であり、溶媒として水を使用する場合には40〜120質量部、好ましくは50〜100質量部である。
次いで、このスラリーをスプレードライ法等により噴霧乾燥して平均粒径50〜200μm、好ましくは70〜150μmに造粒する。この平均粒径はいずれもレーザー回折法(日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布測定装置(MT−3000))により測定した値である。
次いで、この造粒物を例えばラバープレス又は金型プレス等でプレス成形して好ましくは絶縁体3の形状及び寸法を有する未焼成成形体を得る。得られた未焼成成形体は、その外面がレジノイド砥石等で研削されることにより形状が整えられる。
所望の形状に研削成形された未焼成成形体を、大気雰囲気で1450〜1700℃、好ましくは1550〜1650℃の範囲における所定の温度で、1〜8時間、好ましくは3〜7時間保持して焼成することにより、アルミナ焼結体が得られる。アルミナ焼結体は焼成温度が1450〜1700℃であると、アルミナ成分の異常粒成長が生じ難く、焼結体が十分に緻密化し易いので、得られるアルミナ焼結体の耐電圧性能及び機械的強度を確保することができる。また、焼成時間が1〜8時間であると、アルミナ成分の異常粒成長が生じ難く、焼結体が十分に緻密化し易いので、得られるアルミナ焼結体の耐電圧性能及び機械的強度を確保することができる。また、降温速度が通常よりも遅いと、例えば降温速度が30℃/分以下であると、粒界相に結晶相が析出し易くなり、約900℃の高温下において耐電圧性を有するアルミナ焼結体を得ることができる。
このようにしてアルミナ焼結体からなる絶縁体3が得られる。この絶縁体3を備えたスパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。すなわち、Ni合金等の電極材料を所定の形状及び寸法に加工して中心電極4及び接地電極8を作製する。電極材料の調整及び加工を連続して行うこともできる。例えば、真空溶解炉を用いて、所望の組成を有するNi合金等の溶湯を調整し、真空鋳造にて各溶湯から鋳塊を調整した後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法に適宜調整して、中心電極4及び接地電極8を作製することができる。
次いで、所定の形状及び寸法に塑性加工等によって成形した主体金具7の端面に接地電極8の一端部を電気抵抗溶接等によって接合する。次いで、絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を公知の手法により組付け、接続部6を形成する組成物を軸孔2内に予備圧縮しつつ充填する。次いで、軸孔2内の端部から端子金具5を圧入しつつ組成物を圧縮加熱する。こうして前記組成物が焼結して接続部6が形成される。次いで、接地電極8が接合された主体金具7に、この中心電極4等が固定された絶縁体3を組付ける。最後に、接地電極8の先端部を中心電極4側に折り曲げて、接地電極8の一端が中心電極4の先端部と対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
本発明に係るスパークプラグ1は、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部24が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグ1は、如何なる内燃機関にも使用することができる。この発明に係るスパークプラグ1における絶縁体3は、例えば900℃という高温下で電圧を印加しても優れた耐電圧性能を有するので、絶縁体3が例えば900℃という高温に曝される内燃機関に特に好適である。
この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
(絶縁体の作製)
Al粉末と、SiO粉末と、MgCO粉末と、BaCO粉末と、CaCO粉末と、所望によりB粉末とを混合して原料粉末とした。この原料粉末に溶媒としての水と親水性結合剤とを添加してスラリーを調製した。
得られたスラリーをスプレードライ法により噴霧乾燥して平均粒径が約100μmの粉末を造粒した。この粉末をプレス成形して、その外面をレジノイド砥石等にて切削加工することにより、試験用絶縁体31の原形となる未焼成成形体を成形した。この未焼成成形体を大気雰囲気下において焼成温度1450〜1700℃の範囲内で焼成時間を1〜8時間の範囲内に設定して焼成し、その後、降温速度30℃/分以下で降温させて、室温まで温度を下げた。このようにして、図2に示される形状を有する蓋付きの試験用絶縁体31を得た。
(試験用絶縁体の組成等の測定)
作製した試験用絶縁体の組成については、蛍光X線分析又は化学分析により各成分の含有率(酸化物換算質量%)を算出した。次いで、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ酸化物換算したときの含有率を、それぞれMSiO2、MMgO、MBaO、MCaO、及びこれらの合計をMtとして、得られた値それぞれの比MSiO2/Mt、MMgO/Mt、MBaO/Mt、MCaO/Mtを算出した。なお、原料粉末における混合比(原料粉末組成)と、アルミナ焼結体を蛍光X線分析又は化学分析して算出した各成分の含有率(酸化物換算質量%)とは、ほぼ一致していた。
次いで、試験用絶縁体31をX線回折分析し、粒界相における結晶相の同定を行った。
(高温耐電圧試験)
図2に示す耐電圧測定装置50を用いて、この試験用絶縁体31の900℃における高温耐電圧試験を行った。図2に示すように、作製した試験用絶縁体31は、その軸線方向の中心部に軸孔21を備えていると共に軸孔21の先端部には蓋が設けられ、閉じた状態になっている。耐電圧測定装置50は、金属製の環状部材51と、試験用絶縁体31を加熱するヒータ52を有する炉とを備えている。試験用絶縁体31の軸孔21にNi合金製の試験用中心電極41をその先端部まで挿入配置し、試験用絶縁体31の先端から後端に向かって外径が大きくなる手前における試験用絶縁体31の外周面に、環状部材51の内周面が接するように環状部材51を配置した状態で、試験用絶縁体31の耐電圧を測定した。具体的には、試験用絶縁体31を炉に入れてヒータ52で炉内の温度が900℃になるまで加熱して900℃に保持した状態で、試験用中心電極41と環状部材51との間に、1.5kV/sの昇温速度で電圧を印加した。試験用絶縁体31に絶縁破壊が発生したとき、すなわち、試験用絶縁体31が貫通して昇電圧できなくなったときの電圧値を測定した。次いで、試験用絶縁体31において外周面から軸孔21まで貫通している部分における試験用絶縁体31の厚さを測定した。電圧値を厚さで除した値を、耐電圧値(kV/mm)として表1に示した。
Figure 2017062879
表1に示すように、MSiO2/Mt、MMgO/Mt、MBaO/Mt、MCaO/Mtの少なくとも一つが本発明の範囲外にある試験番号19〜24の絶縁体は、耐電圧値が「43」以下であり、十分な耐電圧性能が得られないのに対し、Al成分の含有率、MSiO2/Mt、MMgO/Mt、MBaO/Mt、及びMCaO/Mtのいずれの値も本発明の範囲内にある試験番号1〜18の絶縁体は、耐電圧値が「49」以上であり、十分な耐電圧性能が得られた。また、試験番号1〜18の絶縁体は、Ba成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相X及び第2族元素とSi成分とを含有する結晶相A、C、B、Gのうちの少なくとも1種を含んでいた。
試験番号1と試験番号2〜18とを比較すると、結晶相X、A、C、B、Gのうち、結晶相Bのみを含んでいる試験番号1の絶縁体は、耐電圧値が「49」であるのに比べて、結晶相X、A、C、B、Gのうち、結晶相Xを少なくとも含み、2種以上の結晶相を含んでいる試験番号2〜18の絶縁体は、耐電圧値が「51」以上であり、試験番号2〜18の絶縁体は、試験番号1の絶縁体に比べて耐電圧性能に優れていた。
試験番号24と試験番号1〜23とを比較すると、B成分を含有する試験番号24の耐電圧値は「8」であるのに比べて、B成分が無含有である試験番号1〜23の耐電圧値は「11」以上であり、試験番号24の絶縁体は、試験番号1〜23の試験体に比べて耐電圧性能に劣っていた。
1 スパークプラグ
2 軸孔
3 絶縁体
4 中心電極
5 端子金具
6 接続部
7 主体金具
8 接地電極
11 後端側胴部
12 大径部
13 先端側胴部
14 脚長部
24 ネジ部
25 ガスシール部
26 工具係合部
27 加締め部
28 後端部
29 棒状部
31 試験用絶縁体
21 軸孔
41 試験用中心電極
50 耐電圧測定装置
51 環状部材
52 ヒータ
G 火花放電間隙

Claims (3)

  1. Al成分を酸化物換算で92質量%以上96質量%以下含む絶縁体を備えたスパークプラグであって、
    前記絶縁体は、アルミナ結晶と前記アルミナ結晶の結晶間に存在する粒界相とからなるアルミナ焼結体で形成され、
    前記粒界相は、Si成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分をそれぞれ酸化物換算したときの質量含有率を、それぞれMSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOとし、MSiO2、MMgO、MBaO、及びMCaOの合計をMtとしたとき、下記の(1)〜(4)を満たすようにSi成分、Mg成分、Ba成分、及びCa成分を含むことを特徴とするスパークプラグ。
    (1)0.17≦MSiO2/Mt≦0.47
    (2)0.005≦MMgO/Mt≦0.07
    (3)0.29≦MBaO/Mt≦0.77
    (4)0.03≦MCaO/Mt≦0.19
  2. 前記粒界相は、少なくともBa成分とAl成分とを含有する六方晶系の結晶相を有することを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記粒界相は、IUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素の各成分のうちの少なくとも1種とSi成分とを含有する結晶相を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
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