JP6521897B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

この発明は、スパークプラグに関する。この発明は、特に、高温下において優れた耐電圧性能を有する絶縁体を備えたスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグは、例えば、アルミナ(Al)を主成分とするアルミナ基焼結体により形成されたスパークプラグ用絶縁体(「絶縁体」とも称する。)を備えている。この絶縁体がアルミナ基焼結体で形成される理由としては、アルミナ基焼結体が耐熱性及び機械的強度等に優れていることが挙げられる。このようなアルミナ基焼結体を得るために、従来より、焼成温度の低減及び焼結性の向上を目的として、例えば、酸化珪素(SiO)−酸化カルシウム(CaO)−酸化マグネシウム(MgO)からなる三成分系の焼結助剤等が使用されている。
ところで、近年の内燃機関の高出力化に伴い、燃焼室内が高温化する傾向にあることから、スパークプラグにおける絶縁体が従来よりもさらに高温、例えば900℃という高温に曝されることがある。したがって、約900℃という高温下において優れた耐電圧性能を有する絶縁体が求められている。従来の絶縁体は、前述したように焼結助剤が含まれており、これが焼成時に液相となり、焼結性を高める一方で、焼成後には液相が低融点の粒界相を形成し、これによって高温下における絶縁体の耐電圧性能が低下することが知られている。したがって、高温下における絶縁体の耐電圧性能を向上させる方法の一つとして、粒界相が少ないアルミナ基焼結体を絶縁体として使用することが考えられる。
例えば、特許文献1には、従来のSiO−MgO−CaO系のガラス質フラックスを有する焼結体において、アルミナの含有率を高めることによりフラックスを少なくして耐電圧を改善するだけでは十分ではなく、耐電圧の向上を目的として絶縁破壊のメカニズムを詳細に検討した結果として、「Y、ZrO、La、より選ばれた少なくとも一つの添加物、若しくは、Y、ZrO、Laより選ばれた少なくとも一つの添加物をアルミナとの固溶体複合物酸化物の何れかと、粒径0.5μm以下のアルミナ微粒粉とから構成された混合原料粉末を成形、焼成することによって、焼結体とするにあたり、前記添加物としての含有量が、前記焼結体に対して0.5〜10重量%であることを特徴とする高絶縁性高アルミナ質磁器組成物の製造方法。」(特許文献1の請求項1)が記載されている。
また、特許文献2には、耐電圧低下の原因となる粒界に着目し、少量の焼結助剤を用い、アルミナの結晶成長を適度に促すことによって、耐電圧低下の原因となる粒界の割合を低下させるとともに、粒界自体を高融点でかつ緻密に形成させることにより耐電圧を向上させることを目的として(特許文献2の2頁左欄5行目〜10行目)、「第1の必須添加成分としてMgOを0.2〜2.5wt%、第2の必須添加成分としてY、La、ZrOより選ばれた1つ以上を合計で1〜10wt%を含み、残部がAlからなる原料混合物を、所望の形状に成形し、真空または水素雰囲気中で1650〜1800℃の温度で焼結することを特徴とする高絶縁性高アルミナ質磁器組成物の製造方法。」(特許文献2の請求項1)が記載されている。
また、特許文献3には、「・・98.00重量%から99.50重量%の量の酸化アルミニウム(Al)と、0.16重量%から0.70重量%の量の二族アルカリ土類金属の少なくとも1つの酸化物(二族酸化物)と、0.25重量%から0.75重量%の量の二酸化ケイ素(SiO)とを備える、セラミック材料」(特許文献3の請求項1)が記載されている。また、「セラミック材料は、セラミック材料の重量%で、0.0010重量%までの量のNaOを含む」(特許文献3の0036欄)ことが記載されている。これにより、このセラミック材料は、先行技術のセラミック絶縁体と比較して向上した熱伝導率および絶縁耐力を与え、セラミック絶縁体のサイズまたはコストの大幅な増大なしに、より長い耐用年数と燃焼室の高温高電圧環境内での向上した性能を与えることが開示されている(特許文献3の0012欄)。
特公平7−173436号公報 特開昭62−187156号公報 特表2013−529355号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、アルミナの含有率を高めて粒界相の割合を低減させることを前提として耐電圧性能の向上を試みている。特許文献1及び特許文献2には、NaOについて開示がない。
特許文献3に記載のセラミック材料は、焼結助剤として作用する二族アルカリ土類金属及び二酸化ケイ素を0.1重量%より多く含み、所定量の粒界相(ガラス相)が形成されている(特許文献3の0040欄等)。また、特許文献3には、セラミック材料が希土類元素を含有することの開示がなく、また、NaOを0.0010重量%以下の割合で含有することが開示されている。特許文献3に記載のセラミック材料は、第2族元素成分、Si成分及びB成分の含有率を極力少なくして粒界相の割合を少なくすることを前提とする本発明における絶縁体とは異なる。
ところで、この発明の発明者らが絶縁体の高温下における耐電圧性能を向上させるために、焼結助剤の配合量を減ずることにより粒界相に存在するガラス相の体積量を減らすことのできる易焼結アルミナや高純度アルミナについて種々の検討をしたところ、高純度のアルミナを緻密な焼結体として製造するには焼成温度を高める必要があり、そのためアルミナ粒子が異常粒成長し、それによって耐電圧性能が低下してしまうことが分かった。絶縁体に異常粒成長したアルミナ粒子が1つでも存在すると、そのアルミナ粒子の周辺が欠陥となって電界集中が生じ、絶縁破壊が生じることから、異常粒成長したアルミナ粒子を有する絶縁体は耐電圧性能が低下してしまうと考えられる。また、粒界相はアルミナ粒子に比べて電流が流れやすいことから、絶縁体の高温下における耐電圧性能を向上させるためには、高温下で粒界相に電流が流れることを抑制することが有効であると考えられる。このように、発明者らは、絶縁体の高温下での耐電圧性能を向上させるためには、粒界相に存在するガラス相の体積量を少なくするだけでなく、粒界相の高温下における耐電圧性能を向上させると共にアルミナ粒子の異常粒成長を抑制することが有効であると考え、本発明を完成するに至った。
この発明は、高温下において優れた耐電圧性能を有する絶縁体を備えたスパークプラグを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] 軸線方向に沿って延びる軸孔を有し、アルミナ基焼結体からなる絶縁体と、前記軸孔の先端側にある中心電極と、前記絶縁体の外周にある主体金具と、前記主体金具の先端に固定された接地電極と、を備えたスパークプラグであって、
前記アルミナ基焼結体は、Al成分と希土類元素成分と前記アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とをそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%としたとき、酸化物換算で、Al成分のモル含有率が90.0モル%以上99.99モル%以下、及び希土類元素成分の合計モル含有率が0.01モル%以上10モル%以下であり、
前記アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、酸化物換算で、Na成分の質量含有率が0.001質量%以上0.020質量%以下、第2族元素成分の合計質量含有率が0質量%以上0.1質量%以下、及びSi成分及びB成分の合計質量含有率が0質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とするスパークプラグである。
前記[1]の好ましい態様は、以下の通りである。
[2] 前記アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ粒子の長辺の長さが大きくとも10μmである。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のスパークプラグにおいて、前記アルミナ基焼結体は、相対密度が98%以上である。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれが一つに記載のスパークプラグにおいて、前記希土類元素成分は、Y成分及びYb成分の少なくとも一方である。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれが一つに記載のスパークプラグにおいて、前記アルミナ基焼結体は、酸化物換算で、Fe成分の質量含有率が0.005質量%以上0.1質量%以下である。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれが一つに記載のスパークプラグにおいて、前記アルミナ基焼結体は、酸化物換算で、Cr成分の質量含有率が0.005質量%以上0.05質量%以下である。
この発明における絶縁体は、前記絶縁体を形成するアルミナ基焼結体が、Al成分と希土類元素成分と前記アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とをそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%としたとき、酸化物換算で、Al成分のモル含有率が90.0モル%以上99.99モル%以下、及び希土類元素成分の合計モル含有率が0.01モル%以上10モル%以下であり、前記アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、酸化物換算で、Na成分の質量含有率が0.001質量%以上0.020質量%以下、第2族元素成分の合計質量含有率が0.1質量%以下、及びSi成分及びB成分の合計質量含有率が0.1質量%以下であるので、絶縁体が例えば約900℃という高温に曝されるような環境でスパークプラグが使用された場合に十分な耐電圧性能を有する。したがって、この発明によると、高温下において優れた耐電圧性能を有する絶縁体を備えたスパークプラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図である。 図2は、アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ粒子の長辺の長さを測定するときの説明図である。 図3は、高温耐電圧試験に用いた耐電圧測定装置を示す概略断面説明図である。
図1はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図である。なお、図1では後述する接地電極が配置されている側を軸線Oの先端方向、端子金具が配置されている側を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示されるように、軸線O方向に沿って延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、前記軸孔2内の先端側に設けられた略棒状の中心電極4と、前記軸孔2内の後端側に設けられた端子金具5と、前記軸孔2内の前記中心電極4と前記端子金具5との間に配置された接続部6と、前記絶縁体3の外周に設けられた略円筒形状の主体金具7と、前記主体金具7の先端に固定された基端部及び前記中心電極4に間隙Gを介して対向するように配置された先端部を有する接地電極8とを備える。
絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、該後端側胴部11よりも先端側に配置され、径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、該大径部12の先端側に配置され、大径部12より小さい外径を有し、接続部6を収容する。脚長部14は、該先端側胴部13の先端側に配置され、先端側胴部13より小さい外径及び内径を有し、中心電極4を収容する。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気絶縁性を有する材料で形成される。この発明の特徴部分である絶縁体3の詳細については、後述する。
接続部6は、軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置され、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。
主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部24が形成されている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有し、ガスシール部25の後端側にスパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26、工具係合部26の後端側に加締め部27を有する。ネジ部24の内周面における先端側は、脚長部14に対して空間を有するように配置されている。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行うための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて接続部6により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼等の金属材料により形成されることができる。
中心電極4は、接続部6に接する後端部28と、前記後端部28から先端側に延びる棒状部29とを有する。中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定され、主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4は、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。また、中心電極4は、Ni合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。芯部を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。
前記接地電極8は、例えば、略角柱形状に形成されてなり、基端部が主体金具7の先端部に接合され、途中で略L字状に屈曲され、先端部が中心電極4の先端との間に間隙Gを介して対向するように形成されている。この実施形態における間隙Gは、中心電極4の先端と接地電極8の側面との最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。接地電極8は、Ni合金等の接地電極8に使用される公知の材料で形成されることができる。また、接地電極8は、中心電極4と同様にNi合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。
この発明の特徴部分である絶縁体について、以下に説明する。
絶縁体3は、アルミナ基焼結体からなる。アルミナ基焼結体は、主要成分としてAl成分と希土類元素成分とを所定の割合で含有し、第2族元素成分、Si成分、及びB成分を含有しないか、又は所定の割合以下で含有する。第2族元素成分、Si成分、及びB成分は、通常、焼結時に液相となって焼結性を向上させ、焼結後に粒界相に低融点のガラス相を形成し易い。一方、このアルミナ基焼結体は、第2族元素成分、Si成分、及びB成
分を含有しないか、又は所定の体積割合以下で含有するので、焼結時に液相が少なく大部分が固相焼結により形成される。固相焼結により形成されるこのアルミナ基焼結体は、液相焼結により形成されるアルミナ基焼結体に比べて粒界相の割合が小さい。発明者らが焼結後に粒界相を形成する、第2族元素成分、Si成分、及びB成分の割合を小さくしたアルミナ基焼結体について検討した結果、絶縁体の高温下での耐電圧性能を向上させるためには、粒界相の全体に対する体積割合を少なくするだけでなく、粒界相の高温下における耐電圧性能を向上させると共にアルミナ粒子の異常粒成長を抑制することが有効であると考え、さらに検討を行った。その結果、このようなアルミナ基焼結体を得るためには、アルミナ基焼結体におけるNa成分の含有割合及び希土類元素成分の含有割合を特定の範囲にすればよいことが分かった。以下において、絶縁体3を構成するアルミナ基焼結体についてより詳細に説明する。
アルミナ基焼結体は、Al成分と希土類元素成分と前記アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とをそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%としたとき、Al成分のモル含有率が酸化物換算(Al)で90.0モル%以上99.99モル%以下である。アルミナ基焼結体は、主結晶相としてのアルミナ粒子と、複数のアルミナ粒子により取り囲まれる空間に存在する粒界相とを有する。Al成分は、その大部分が、アルミナ粒子としてアルミナ基焼結体中に存在する。Al成分の一部は、粒界相に存在するガラス相中及び結晶相中に存在する。アルミナ基焼結体は、Al成分のモル含有率が前記範囲内にあると耐電圧性能及び機械的強度等に優れる。Al成分のモル含有率が99.99モル%を超えると、焼結性が悪く、アルミナ基焼結体に気孔が残留し易くなり、また、相対的に希土類元素成分の含有率が小さくなることからアルミナ粒子が粒成長し易くなり、十分な耐電圧性能が得られない。Al成分の含有率が90.0モル%未満であると、相対的に粒界相におけるガラス相の割合が増大するので、例えば、約900℃という高温下においてガラス相が軟化すると、十分な耐電圧性能が得られない。
アルミナ基焼結体は、希土類元素成分から選ばれる少なくとも1種を含有する。希土類元素成分は、具体的には、Sc成分、Y成分、La成分、Ce成分、Pr成分、Nd成分、Pm成分、Sm成分、Eu成分、Gd成分、Tb成分、Dy成分、Ho成分、Er成分、Tm成分、Yb成分及びLu成分である。アルミナ基焼結体は、これらの中でもY成分及びYb成分の少なくとも一方を含有するのが好ましい。希土類元素成分は、酸化物、イオン等としてアルミナ基焼結体中に存在する。
アルミナ基焼結体は、Al成分と希土類元素成分と前記アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とをそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%としたとき、希土類元素成分の合計モル含有率が酸化物換算(希土類元素をReで表したとき、Re)で0.01モル%以上10モル%以下である。希土類元素成分の合計モル含有率が前記範囲内にあると、粒界相を所定の割合に抑えつつ焼結時にアルミナ粒子の粒成長が過度に生じないように抑制することができ、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、十分な耐電圧性能を有する。
アルミナ基焼結体が希土類元素成分を含有すると、アルミナ粒子が粒成長し難くなる一方で、希土類元素成分はアルミナ粒子に比べて粒界相に存在し易いので、希土類元素成分の合計モル含有率が10モル%を超えると、相対的に粒界相の、アルミナ基焼結体の体積全体に対する体積割合が大きくなり、大量に添加するとアルミナ粒界だけではなく希土類で凝集した個所が発生する。高温下における十分な耐電圧性能が得られない。希土類元素成分の合計モル含有率が0.01モル%未満であると、アルミナ粒子が粒成長し易くなり、十分な耐電圧性能が得られない。アルミナ粒子が粒成長して大きくなり過ぎると十分な耐電圧性能が得られないのは以下の通りであると考えられる。アルミナ基焼結体中を微弱な電流が流れる場合、アルミナ粒子に比べて粒界に電流が流れやすい。複数の小さいアルミナ粒子が分散してなるアルミナ基焼結体は、粒界が形成する経路が複雑で、電流が流れる経路が分散することにより電界集中が生じ難い。一方、比較的大きなアルミナ粒子を有するアルミナ基焼結体は、小さいアルミナ粒子の周囲に形成される粒界に比べて粒界が形成する経路が少なく単純で粒界を流れる電流が集中することにより電界集中が生じ易い。したがって、1つでも大きなアルミナ粒子があると、電界集中が生じ易くなり、耐電圧性能が低下すると考えられる。
アルミナ基焼結体は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、Na成分の質量含有率が酸化物換算(NaO)で0.001質量%以上0.020質量%以下である。Na成分の質量含有率が前記範囲内にあると、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、十分な耐電圧性能を有する。
Na成分の質量含有率が0.020質量%を超えると、高温下における十分な耐電圧性能が得られない。Na成分は粒界相に存在し易く、高イオン伝導性を示すので、Na成分の含有率が大きくなるほど耐電圧性能が低下する。アルミナ基焼結体の原料の主要な成分がAl成分と希土類元素成分であり、SiO及びMgO等の焼結助剤の含有率が小さいこのアルミナ基焼結体は、焼結時に液相がほとんど存在せず、大部分が固相焼結により形成される。このようなアルミナ基焼結体はアルミナ粒子同士が近接して配置され、粒界相に存在するガラス相の体積割合が小さい。粒界相に存在するガラス相の粒界相全体に対する体積割合(以下、単に割合と称する。)が小さいアルミナ基焼結体と粒界相に存在するガラス相の割合が大きいアルミナ基焼結体とが、Na成分の含有率につき同じである場合、Na成分の大部分は粒界相に存在することから、粒界相に存在するガラス相の割合が小さいアルミナ基焼結体は、粒界相に存在するガラス相の割合が大きいアルミナ基焼結体に比べて、粒界相におけるNa成分の濃度が大きくなり、Na成分の影響を大きく受ける。すなわち、Na成分は高イオン伝導性を示すことから、粒界相に存在するガラス相におけるNa成分の濃度が大きいと高温下における耐電圧性能が低下する。また、粒界相中のガラス相はNa成分の含有率が大きくなるほどガラスの軟化点が低下するので、高温下においてガラス相が軟化し易くなる。したがって、このアルミナ基焼結体は、粒界相に存在するガラス相の割合が比較的大きいアルミナ基焼結体に比べてNa成分の含有率を小さくし、0.020質量%以下にすることにより高温下における十分な耐電圧性能が発揮される。
また、発明者らがNa成分の質量含有率について検討した結果、Na成分の質量含有率が小さいほど十分な耐電圧性能が得られる訳ではないことが分かった。すなわち、Na成分の質量含有率が0.001質量%未満であると、焼結が安定せず、アルミナ基焼結体を例えば約1350℃という比較的低温で焼結させると、耐電圧性能が低下することが分かった。アルミナ粒子の粒成長を抑制するためには、焼結温度を高くし過ぎないのが好ましく、また、絶縁体3を製造する際の焼成温度は、バラツキがあり、所定の温度範囲で変動する。Na成分の質量含有率が0.001質量%未満である絶縁体3は、アルミナ基焼結体を製造する際の焼成温度の変動を考慮すると、焼結が安定せず、一定の品質を維持することができない。
Na成分は、Na化合物粉末として原料粉末に含有させなくても、不純物としてアルミナ基焼結体に含有されることがある。例えば、Na成分は原料粉末としてのアルミナ粉末に含有されることがある。また、各種原料粉末を混合及び粉砕するときに使用するボールミル及び玉石、並びに未焼成成形体を焼成するときに使用する焼成炉にNa成分が含まれている場合には、これらの機器からNa成分がアルミナ基焼結体に含有されることがある。したがって、アルミナ基焼結体に含まれるNa成分の質量含有率は、原料粉末の純度、ボールミル及び焼成炉等を形成する材料等を適宜選択することにより、調整する。
アルミナ基焼結体は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、第2族元素成分の合計質量含有率が酸化物換算(第2族元素を2Aで表したとき、2AO)で0.1質量%以下である。すなわち、アルミナ基焼結体は、第2族元素成分を0.1質量%以下含有するか、又は含有しない。第2族元素成分は、具体的には、Mg成分、Ca成分、Sr成分、Ba成分である。アルミナ基焼結体が第2族元素成分を含有する場合、Mg成分、Ca成分、Sr成分、及びBa成分から選ばれる少なくとも1種を含有する。第2族元素成分は、焼結時には溶融して液相を生じるので通常焼結助剤として機能するが、このアルミナ基焼結体は第2族元素成分を多くとも0.1質量%しか含有しないので、焼結時に液相はほとんどなく固相焼結によりアルミナ基焼結体が製造される。絶縁体3が第2族元素成分を含有する場合は、酸化物、イオン等としてアルミナ基焼結体中に存在し、主に粒界相に存在する。第2族元素成分の質量含有率が0.1質量%以下であると、アルミナ基焼結体における粒界相の割合が小さくなり、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、十分な耐電圧性能を有する。
アルミナ基焼結体は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、Si成分及びB成分の合計質量含有率が酸化物換算(SiO、B)で0.1質量%以下である。すなわち、アルミナ基焼結体は、Si成分及びB成分を0.1質量%以下含有するか、又は含有しない。Si成分及びB成分は、焼結時には溶融して液相を生じるので通常焼結助剤として機能するが、このアルミナ基焼結体はSi成分及びB成分を多くとも0.1質量%しか含有しないので、焼結時に液相はほとんどなく固相焼結によりアルミナ基焼結体が製造される。絶縁体3がSi成分及びB成分を含有する場合は、酸化物、イオン等としてアルミナ基焼結体中に存在し、主に粒界相でガラス相を形成し易い。Si成分及びB成分の質量含有率が0.1質量%以下であると、アルミナ基焼結体における粒界相の割合が小さくなり、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、十分な耐電圧性能を有する。
アルミナ基焼結体は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、Fe成分の質量含有率が酸化物換算(Fe)で0.005質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。Fe成分の質量含有率が前記範囲内にあると、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、より一層高温下における耐電圧性能に優れるアルミナ基焼結体が得られる。
アルミナ基焼結体は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、Cr成分の質量含有率が酸化物換算(Cr)で0.005質量%以上0.05質量%以下であることが好ましい。Cr成分の質量含有率が前記範囲内にあると、絶縁体3が、例えば約900℃という高温に曝される環境で使用された場合に、より一層高温下における耐電圧性能に優れるアルミナ基焼結体が得られる。
アルミナ基焼結体は、主要成分としてAl成分及び希土類元素成分のみを含有し、その他の成分は微量成分として含有される。したがって、アルミナ基焼結体は、Al成分と希土類元素成分以外の主要成分、すなわちアルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分を含有しない。アルミナ基焼結体は、この発明の目的を損なわない範囲内で、前記各成分に加えて不純物を含有してもよい。このような不純物としては、例えば、TiO2等が挙げられる。これらの不純物の含有率は小さい方が好ましく、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたときに各不純物の含有率が0.2質量%以下であり、合計で0.5質量%以下であることが好ましい。
アルミナ基焼結体に含まれる各成分の含有率は、次のようにして求めることができる。まず、アルミナ基焼結体に含有される各成分のうち、Al成分を除いて、希土類元素成分とアルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とを、主要成分として蛍光X線分析にて定量する。Al成分は、蛍光X線分析により定量した成分(酸化物換算)の合計の残差として算出する。蛍光X線分析にて含有率が酸化物換算で5質量%未満の成分については、微量成分としてICP発光分光分析により定性分析後、定量分析を行う。なお、Al成分及び希土類元素成分等の主要成分は、それぞれを酸化物換算したときの合計を100モル%として、それぞれの含有率をモル%で求める。また、微量成分は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%として、それぞれの含有率を質量%で求める。
アルミナ基焼結体は、複数のアルミナ粒子を有する焼結体であり、アルミナ粒子の長辺の長さが大きくとも10μmであることが好ましい。10μmを超える大きさのアルミナ粒子が存在すると、前述したように、粒界を流れる電流が集中することにより電界集中が発生し易くなり、耐電圧性能が低下するおそれがある。アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ粒子に10μmを超える粗大粒がなく、均一な粒径のアルミナ粒子を有すると、電界集中が発生し難く、より一層高温下における耐電圧性能に優れるアルミナ基焼結体が得られる。
10μmを超える粗大粒がなく、均一な粒径のアルミナ粒子を有するアルミナ基焼結体は、Na及びK等のアルカリ金属の含有率を所定の割合以下にすること、特にアルカリ金属の合計質量含有率を酸化物換算で0.020質量%以下にすること、及び焼成条件を調整することにより、製造することができる。焼成条件としては、例えば、昇温速度、最高温度、最高温度より100℃低い温度から最高温度までの間の温度域で維持する時間等を変更することにより、アルミナ粒子の長辺の長さを調整することができる。
アルミナ粒子の長辺の長さは次のようにして求めることができる。まず、アルミナ基焼結体を様々な温度で再焼成(50℃間隔)した後、鏡面研磨したサンプルを作り、そのサンプルを再焼成温度より100〜150℃低い温度にてサーマルエッチングを行う。作製したサンプルを各々観察し、粒成長が発生した再焼成温度よりも50℃低い温度にて再焼成したサンプルのサーマルエッチングサンプルを測定対象とした。測定対象のアルミナ基焼結体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、例えば、1000倍で観察する。SEMで観察される視野全体で最も大きなアルミナ粒子を選択し、図2に示すように、選択したアルミナ粒子31を囲繞する矩形の長辺の長さDを測定する。同様にして、少なくとも10箇所の視野を選択し、アルミナ粒子31の長辺の長さDを測定する。測定した値のうち最も大きな値をアルミナ粒子の長辺の長さとする。
アルミナ基焼結体の相対密度は98%以上であることが好ましい。アルミナ基焼結体が緻密であるほど、気孔が少なくアルミナ基焼結体の強度が向上すると共に、絶縁破壊の起点となりうる気孔の存在が少ないことから、より一層耐電圧性能が向上する。アルミナ基焼結体の相対密度は、アルミナ基焼結体の原料を粉砕し、原料粒度を小さくすること等により調整することができる。
アルミナ基焼結体の相対密度は、アルキメデス法により測定されたアルミナ基焼結体の密度の理論密度に対する比率を百分率で表したものである。理論密度は、アルミナ基焼結体に含まれる各元素を酸化物換算し、各酸化物換算した含有率から計算される密度である。したがって、アルミナ基焼結体の相対密度の上限は100%である。アルミナ基焼結体の相対密度の数値が大きいほど、アルミナ基焼結体がより緻密であることを示す。
スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。まず、この発明の特徴部分である絶縁体3の製造方法について説明する。
まず、原料粉末、すなわち、Al化合物粉末と、希土類元素化合物粉末と、所望により第2族元素化合物粉末と、Si化合物粉末と、B化合物粉末とを所定の割合で配合してスラリー中で混合する。ここで、各粉末の混合割合は、例えば絶縁体3を形成するアルミナ基焼結体における各成分の含有率と同一に設定することができる。この混合は、原料粉末の混合状態を均一にし、かつ得られる焼結体を高度に緻密化することができるように、8時間以上にわたって混合されるのが好ましい。また、原料粉末を混合する際に、不純物としてNa成分が原料粉末に含有されるおそれがあるので、Na成分をほとんど含有しない高アルミナ製又は樹脂製の内壁を有するボールミル及び玉石を使用することが好ましい。
Al化合物粉末は、焼成によりAl成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、通常、アルミナ(Al)粉末が用いられる。Al化合物粉末は、Na等の不可避不純物を含有していることがあるので、高純度のものを用いるのが好ましい。Al化合物粉末は、緻密なアルミナ基焼結体を得るには、通常、その平均粒径が0.1〜5.0μmの粉末を使用するのがよい。
希土類元素化合物粉末は、焼成により希土類元素成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、希土類元素の酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的にはY粉末、La粉末、Yb粉末等を挙げることができる。なお、希土類元素化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算モル%で把握する。すなわち、アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分をそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%として、希土類元素成分を酸化物換算したときの合計モル含有率で希土類元素成分の含有割合を把握する。希土類元素化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
第2族元素化合物粉末は、焼成により第2族元素成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、第2族元素の酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、MgO粉末、MgCO粉末、CaO粉末、CaCO粉末、SrO粉末、SrO粉末、BaO粉末、BaCo粉末等を挙げることができる。なお、第2族元素化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。第2族元素化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
Si化合物粉末は、焼成によりSi成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Siの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、SiO粉末等を挙げることができる。なお、Si化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。Si化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
B化合物粉末は、焼成によりB成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、例えば、Bの酸化物(複合酸化物を含む。)、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を挙げることができる。具体的には、B粉末等を挙げることができる。なお、B化合物粉末として酸化物以外の粉末を使用する場合には、その使用量は酸化物に換算したときの酸化物換算質量%で把握する。B化合物粉末の純度及び平均粒径はAl化合物粉末と基本的に同様である。
これらの原料粉末を溶媒に分散させ、バインダーとして例えば親水性結合剤を配合して、スラリー中で混合する。このとき用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール等を挙げることができる。親水性結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂、アラビアゴム、デキストリン等を挙げることができる。これらの溶媒及び親水性結合剤は1種単独でも2種以上を併用することもできる。溶媒及び親水性結合剤の使用割合は、原料粉末を100質量部としたときに、溶媒として水を使用する場合には40〜120質量部、好ましくは50〜100質量部であり、親水性結合剤は0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部である。
次いで、このスラリーをスプレードライ法等により噴霧乾燥して平均粒径50〜200μm、好ましくは70〜150μmに造粒する。この平均粒径はいずれもレーザー回折法(日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布測定装置(MT−3000))により測定した値である。
次いで、この造粒物を例えばラバープレス又は金型プレス等でプレス成形して好ましくは絶縁体3の形状及び寸法を有する未焼成成形体を得る。得られた未焼成成形体は、その外面がレジノイド砥石等で研削されることにより形状が整えられる。その他、射出成型等の成形方法も用いることができる。
所望の形状に研削成形された未焼成成形体を、大気雰囲気で1350〜1600℃、好ましくは1400〜1550℃の範囲における所定の温度で、最高温度から−50℃までの範囲の時間を30分以上80分以内にコントロールして焼成することにより、緻密且つ異常粒成長が無いアルミナ基焼結体が得られる。最高温度付近のキープ時間が長いと、アルミナ粒子の異常粒成長が生じ難く、焼結体が十分に緻密化し易いので、得られるアルミナ基焼結体の耐電圧性能及び機械的強度を確保することができる。なお、最高温度は50℃毎の耐電圧性能の比較を行うことによって決定した。また、未焼成成形体を焼成する際に、Na成分が不純物としてアルミナ基焼結体に含有されるおそれがあるので、Na成分をほとんど含有しない高アルミナ製又は樹脂製の内壁を有する焼成炉を使用することが好ましい。
このようにしてアルミナ基焼結体からなる絶縁体3が得られる。この絶縁体3を備えたスパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。すなわち、Ni合金等の電極材料を所定の形状及び寸法に加工して中心電極4及び接地電極8を作製する。電極材料の調製及び加工を連続して行うこともできる。例えば、真空溶解炉を用いて、所望の組成を有するNi合金等の溶湯を調製し、真空鋳造にて各溶湯から鋳塊を調製した後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法に適宜調整して、中心電極4及び接地電極8を作製することができる。
次いで、所定の形状及び寸法に塑性加工等によって成形した主体金具7の端面に接地電極8の基端部を電気抵抗溶接等によって接合する。次いで、絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を公知の手法により組付け、接続部6を形成する組成物を軸孔2内に予備圧縮しつつ充填する。次いで、軸孔2内の端部から端子金具5を挿入して組成物を圧縮加熱する。こうして前記組成物が焼結して接続部6が形成される。次いで、接地電極8が接合された主体金具7に、この中心電極4等が固定された絶縁体3を組付ける。最後に、接地電極8の先端部を中心電極4側に折り曲げて、接地電極8の先端部が中心電極4の先端部と対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
本発明に係るスパークプラグ1は、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部24が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグ1は、如何なる内燃機関にも使用することができる。この発明に係るスパークプラグ1における絶縁体3は、例えば900℃という高温下で電圧を印加しても優れた耐電圧性能を有するので、絶縁体3が例えば900℃という高温に曝される内燃機関に特に好適である。
この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
(アルミナ基焼結体の作製)
Al粉末と、Re粉末(ReはYb、Y、又はLa)と、所望により2ACO粉末(2AはMg、Ca、Sr、及びBaのうちの少なくとも1種)と、SiO粉末及びB粉末の少なくとも一方とを混合して原料粉末とした。この原料粉末に溶媒としてのイオン交換水と親水性結合剤とを添加し、高アルミナ製のボールミル及び玉石を使用してスラリーを調製した。
得られたスラリーをスプレードライ法により噴霧乾燥して平均粒径が約100μmの粉末を造粒した。この粉末をプレス成形して、その外面をレジノイド砥石等にて切削加工することにより、アルミナ基焼結体の原形となる未焼成成形体を成形した。
表1及び表3に示すアルミナ基焼結体では、未焼成成形体を大気雰囲気下において焼成温度1450〜1700℃の範囲内で焼成時間を1〜8時間の範囲内に設定して、高アルミナ製の内壁を有する焼成炉で焼成した。
表2に示すアルミナ基焼結体では、未焼成成形体を大気雰囲気下において焼成温度1350℃にて、高アルミナ製の内壁を有する焼成炉で焼成した。このようにして、縦50mm、横50mm、厚さ20mmのアルミナ基焼結体を得た。
(アルミナ基焼結体の組成等の測定)
作製したアルミナ基焼結体の組成については、まず、アルミナ基焼結体に含有される成分のうち、主要成分として希土類元素成分を蛍光X線分析にて定量した。酸化物換算で、Al成分と希土類元素成分との合計を100モル%とし、それぞれの含有率をモル%で求めた。すなわち、希土類元素成分以外の成分をAl成分として算出した。微量成分すなわち蛍光X線分析による含有率が酸化物換算で5質量%未満の成分については、ICP発光分光分析により定性分析後、定量分析を行った。微量成分は、アルミナ基焼結体の全質量を100質量%として、それぞれの含有率を質量%で求めた。これらの分析結果を表1〜表4に示した。
なお、表1及び表2において、「−」はその成分の含有率を測定していないことを示す。また、ICP発光分光分析により検出されない場合、例えば含有率が5ppm以下(0.0005質量%以下)の場合は、「0.000」で示した。
作製したアルミナ基焼結体の相対密度は、アルキメデス法によりアルミナ基焼結体の密度を測定して測定密度を求め、測定密度の理論密度に対する比率を算出することにより求め、表1及び表2に示した。
作製したアルミナ基焼結体に含まれるアルミナ粒子の長辺の長さは、上述した方法で求めた。アルミナ粒子の長辺の長さを表3に示した。
(高温耐電圧試験)
高温下における耐電圧性能は、900℃における耐電圧値で評価した。作製したアルミナ基焼結体を縦16mm、横16mm、厚さ0.65mmに加工した試験片41を用いて、図4に示す構成の装置により測定した。具体的には、以下の通りである。まず、試験片41をアルミナ製碍筒42aとアルミナ製碍筒42bとで挟んだ状態で、SiO系の封着ガラス43を用いて1400℃に加熱溶融し、ガラス接合体47を作製する。加熱用ヒータ45を有する加熱用ボックス48中にガラス接合体47をセットした後、高電圧発生装置46に接続された電極44aと接地された電極44bとで試験片41を挟む。その後、加熱用ヒータ45で900℃まで加熱した状態で高電圧を印加し、絶縁破壊が発生したときの値を電圧値として計測する。耐電圧値を試験片41の厚さで除した値を、耐電圧値(kV/mm)として、以下の評価基準にしたがって評価した結果を表1〜3に示した。
10:耐電圧値160kV/mm以上
9:耐電圧値155kV/mm以上160kV/mm未満
8:耐電圧値150kV/mm以上155kV/mm未満
7:耐電圧値145kV/mm以上150kV/mm未満
6:耐電圧値140kV/mm以上145kV/mm未満
5:耐電圧値135kV/mm以上140kV/mm未満
4:耐電圧値130kV/mm以上135kV/mm未満
3:耐電圧値125kV/mm以上130kV/mm未満
2:耐電圧値120kV/mm以上125kV/mm未満
1:耐電圧値120kV/mm未満
Figure 0006521897
Figure 0006521897
Figure 0006521897
表1に示すように、本発明の範囲内にある試験番号1〜5、7、8、10〜20、22、25、26のアルミナ基焼結体は、評価結果が「5」以上であり、十分な耐電圧性能が得られた。一方、「Al成分」、「希土類元素成分」、「Na成分」、「第2族元素成分」、及び、「Si成分及びB成分」それぞれの含有率の少なくとも一つが本発明の範囲外にある試験番号6、9、21、23、24のアルミナ基焼結体は、評価結果が「3」以下であり、十分な耐電圧性能が得られなかった。
試験番号16と試験番号17及び25とを比較すると、Fe成分の含有率がそれぞれ0質量%及び0.200質量%である試験番号25及び17の評価結果は「8」であるのに対して、Fe成分の含有率が0.100質量%である試験番号16の評価結果は「10」であり、Feの含有率が0.005質量%以上0.100質量%以下であるアルミナ基焼結体は、Feの含有率が前記範囲外にあるアルミナ基焼結体に比べてより一層耐電圧性能に優れていた。
試験番号18と試験番号19及び26とを比較すると、Cr成分の含有率がそれぞれ0質量%及び0.100質量%である試験番号26及び19の評価結果は「8」であるのに対して、Cr成分の含有率が0.050質量%である試験番号18の評価結果は「10」であり、Crの含有率が0.005質量%以上0.050質量%以下であるアルミナ基焼結体は、Crの含有率が前記範囲外にあるアルミナ基焼結体に比べてより一層耐電圧性能に優れていた。
試験番号12〜15を比較すると、相対密度が96.0%である試験番号15の評価結果は「5」であるのに対し、相対密度が98.0〜99.8%である試験番号12〜14の評価結果は「7」〜「10」であり、相対密度が98.0%以上であるアルミナ基焼結体は、相対密度が98.0%より小さいアルミナ基焼結体に比べてより一層耐電圧性能に優れていた。
表2に示すように、Na成分の含有率が0.001質量%未満である試験番号33の評価結果は「1」であるのに対し、Na成分の含有率が0.001質量%以上である試験番号31及び32の評価結果は「7」であり、焼成温度を比較的低温である1300℃にしてアルミナ基焼結体を製造した場合、Na成分の含有率が0.001質量%未満であるアルミナ基焼結体は、十分な耐電圧性能が得られなかった。
表3に示すように、試験番号41と試験番号42〜46とを比較すると、アルミナ粒子の長辺の長さが15.0μmである試験番号41の評価結果は「5」であるのに比べて、アルミナ粒子の長辺の長さが10.0μm以下である試験番号42〜46の評価結果は「7」以上であり、アルミナ粒子の長辺の長さが10.0μm以下のアルミナ基焼結体は、アルミナ粒子の長辺の長さが10.0μmより大きいアルミナ基焼結体に比べてより一層耐電圧性能に優れていた。
1 スパークプラグ
2 軸孔
3 絶縁体
4 中心電極
5 端子金具
6 接続部
7 主体金具
8 接地電極
11 後端側胴部
12 大径部
13 先端側胴部
14 脚長部
24 ネジ部
25 ガスシール部
26 工具係合部
27 加締め部
28 後端部
29 棒状部
31 アルミナ粒子
41 試験片
42a、42b アルミナ製碍筒
43 封着ガラス
44a、44b 電極
45 加熱用ヒータ
46 高電圧発生装置
47 ガラス接合体
48 加熱用ボックス
G 火花放電間隙

Claims (6)

  1. 軸線方向に沿って延びる軸孔を有し、アルミナ基焼結体からなる絶縁体と、前記軸孔の先端側にある中心電極と、前記絶縁体の外周にある主体金具と、前記主体金具の先端に固定された接地電極と、を備えたスパークプラグであって、
    前記アルミナ基焼結体は、Al成分と希土類元素成分と前記アルミナ基焼結体の全質量に対して酸化物換算で5質量%以上含有する成分とをそれぞれ酸化物換算したときの合計を100モル%としたとき、酸化物換算で、Al成分のモル含有率が90.0モル%以上99.99モル%以下、及び希土類元素成分の合計モル含有率が0.01モル%以上10モル%以下であり、
    前記アルミナ基焼結体の全質量を100質量%としたとき、酸化物換算で、Na成分の質量含有率が0.001質量%以上0.020質量%以下、第2族元素成分の合計質量含有率が0質量%以上0.1質量%以下、及びSi成分及びB成分の合計質量含有率が0質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記アルミナ基焼結体に含まれるアルミナ粒子の長辺の長さが大きくとも10μmであることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記アルミナ基焼結体は、相対密度が98%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記希土類元素成分は、Y成分及びYb成分の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記アルミナ基焼結体は、酸化物換算で、Fe成分の質量含有率が0.005質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記アルミナ基焼結体は、酸化物換算で、Cr成分の質量含有率が0.005質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
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