JP2017060464A - 植物の栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】開花を早め、開花数を多くすることが可能な植物の栽培方法を提供する。【解決手段】植物に対して青色光を照射する第1の日長条件にて植物を花芽分化まで育成させる工程と、次いで、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する第2の日長条件にて植物を開花まで育成させる工程とを含む、植物の栽培方法である。【選択図】図3

Description

本発明は、植物の栽培方法に関し、特には開花を早め、開花数を増やすことが可能な植物の栽培方法に関するものである。
ブルーベリーは自然条件下では春季に開花し夏季に果実が成熟し、秋〜冬季には落葉して休眠に入る。
具体的に、北半球の温帯地域(例えば、東京)では、夏至が過ぎた7月頃から短日に反応して、9月頃までに新梢(新しく伸びた茎)の先端や上部の葉の付け根(葉腋)に花芽を形成し、日中の気温が10〜15℃程度となる11月中旬から落葉が開始し、休眠を経て翌年開花する。花が咲き散ったあと(4月頃)、或いは開花と同時に葉芽の萌芽が始まり、葉芽は葉と茎を伸ばして新梢となり、その成長を伴いつつ、早生品種では60日ほどで種子のまわりに果肉が形成・成熟し、初夏(6月)以降に収穫、というライフサイクルが一般的である。つまり、ブルーベリーは、1年に1回しか収穫できない落葉果樹である。同様なライフサイクルは、桜、梅、桃、林檎などの、いわゆる一季成り果樹でも見られる。
従って、日本の自然条件(太陽光のみ)でのブルーベリーの収穫期間は、果肉の成熟期間等が異なる品種を組み合わせたとしても、せいぜい6月から9月までである。また、ハウスを利用した施設栽培の場合でも、収穫時期は4月中旬から6月上旬であり、10月から翌年の3月(オフシーズン)には、国内産ブルーベリーの収穫・出荷に空白が生じている。よって、10月から翌年5月までは、生果のブルーベリーは需要に対して供給が不足し、チリなど南半球の国々から輸入されているが、高価なものである。
このような状況下、本発明者らは、6月に果実が収穫されたブルーベリーを用いて7月から人工光型閉鎖系栽培室内で低温短日処理を開始したところ、新梢の頂芽が9月に開花し、12月から再び収穫できたことを報告しており、これによりブルーベリーの二期どりが可能になる(特許文献1及び非特許文献1)。
しかしながら、低温短日処理の開始から開花までの期間は長く、その間、人工光型閉鎖系栽培室内の育成環境を制御することになり、ランニングコストが増大する問題があった。このため、開花までの期間を短くすることが望まれている。
ところで、農業分野においては、人工光を利用して植物を育成する技術が注目されている。例えば、特許文献2は、密植条件かつ短日条件下でイネに青色光を照射して栽培するイネの生産方法を記載している。また、非特許文献2には、ニホンナシに遠赤色光を夜間照射することで花芽形成を促進できたことが記載され、非特許文献3には、木本性植物であるヒノキに対して赤色光及び黄色光を照射することで雌花と雄花の分化を促進でき、青色光を照射すると、該分化を抑制できたことが記載され、非特許文献4には、青色光の連続照射によってイチゴの開花を促進できたことが記載されている。しかしながら、果樹に分類される植物に対しては十分な検討がなされていない。
国際公開第2014/156939号 特開2010−233509号公報
堀内尚美、車敬愛、Thanda Aung、真弓優里香、荻原勲、「ブルーベリー果実収穫直後に異なる日長および温度制御した樹体における開花および新梢成長応答」、2013年、園芸学研究12 別1、43 伊東明子、齋藤隆徳、西島隆明、森口卓哉、「Effect of extending the photoperiod with low-intensity red or far-red light on the timing of shoot elongation and flower-bud formation of 1-year-old Japanese pear (Pyrus pyrifolia)」、Tree Physiology、2014年、34、534-546 長尾精文、「異なる温度条件下におけるヒノキの花成反応に及ぼす光質の影響」、日本林学会誌、1983年、65、233-236 吉田英生、彦坂晶子、後藤英司、高砂裕之、工藤善、「完全人工光型植物工場における連続明期およびその開始時期が四季成り性イチゴ苗の開花までの日数および成育に及ぼす影響」、植物環境工学、2013年、25(2):77-82
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、開花を早め、開花数を増やすことが可能な植物の栽培方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、花芽が分化するまでは青色光の照射により植物を育成し、花芽が分化した後は青色光に代えて赤色光を照射することによって植物を開花させることで、植物の開花までの期間を短縮し、開花数を増やすことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明者は、更に検討したところ、花芽が分化した後は、青色光に代えて赤色光を照射するよりも、青色光に代えて赤色光と青色光の混合光を照射した方が、植物の開花を早めて開花数を増やすだけでなく、開花期間(本願において「連続生産の期間」ともいう)を長くすることができ、より安定した生産が可能となることを見出した。
即ち、本発明の植物の栽培方法は、植物に対して青色光を照射する第1の日長条件にて植物を花芽分化まで育成させる工程と、次いで、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する第2の日長条件にて植物を少なくとも開花まで育成させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明の植物の栽培方法の好適例においては、前記第1の日長条件による植物の育成工程が、果実収穫後で且つ花芽分化前の植物に対して行われる。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例において、前記青色光は、ピーク波長が418〜486nmの領域内にあり且つ半値幅が25nm以下である。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例において、前記赤色光は、ピーク波長が581〜664nmの領域内にあり且つ半値幅が22nm以下である。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例においては、前記青色光及び前記赤色光の照射手段として、発光ダイオード(LED)を用いる。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例において、前記第1の日長条件は、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃で、暗期の温度が10〜18℃である。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例において、前記第2の日長条件は、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃で、暗期の温度が10〜18℃である。
本発明の植物の栽培方法の他の好適例においては、前記植物がブルーベリーである。
本発明によれば、花芽が分化するまでは青色光の照射により植物を育成し、花芽が分化した後は青色光に代えて赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射することによって植物を開花させることで、開花を早め、開花数を増やすことが可能な植物の栽培方法を提供することができる。特に、赤色光と青色光の混合光の照射により植物の開花を行う場合には、植物の開花を早めて開花数を増やすだけでなく、連続生産の期間を長くすることが可能になる。
異なる光質が花芽分化前のブルーベリーの開花数に及ぼす影響を示す図である。グラフ中、育成開始から45日目の開花数を黒いバーで示し(赤色LED区は開花数が0である)、順に60日目、75日目、90日目、110日目の開花数を示す。 異なる光質が花芽分化後のブルーベリーの開花数に及ぼす影響を示す図である。グラフ中、育成開始から50日目の開花数を黒いバーで示し(青色LED区は開花数が0である)、順に70日目、90日目の開花数を示す。 青色光照射により花芽分化を誘導した後、異なる光質がブルーベリーの開花数に及ぼす影響を表した図である。グラフ中、育成開始から82日目の開花数を黒いバーで示し、順に90日目、97日目の開花数を示す。 異なる光質が花芽分化後のブルーベリーの新梢と葉の形態に及ぼす影響を示す図である。図中のAは青色LED区で育成したブルーベリーの写真であり、Bは赤色LED区で育成したブルーベリーの写真であり、CはAに示されるブルーベリーの新梢の拡大写真であり、DはBに示されるブルーベリーの新梢の拡大写真である。
以下に、本発明の植物の栽培方法を詳細に説明する。本発明の植物の栽培方法は、植物に対して青色光を照射する第1の日長条件にて植物を花芽分化まで育成させる工程と、次いで、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する第2の日長条件にて植物を少なくとも開花まで育成させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明の植物の栽培方法においては、まず、植物に対して青色光を照射する第1の日長条件にて植物を花芽分化まで育成させる(第1工程)。第1工程では、花芽分化前の植物に対して青色光を照射しているが、この段階で青色光の照射を受けた植物は、開花を遅らせることなく、開花数を増加させることができる。なお、花芽分化前の植物に対して赤色光を照射すると、開花数は若干増加できるものの、開花を遅らせる傾向にある。
上記第1工程において、第1の日長条件による植物の育成は花芽分化まで行われる。花芽は、通常、新梢の先端部の発育が停止した後の数週間後に、該新梢の先端や葉の付け根(葉腋)に分化し始め、開花直前には長さ(縦径)が4〜6mm程度、直径(横径)2〜3mm程度にふっくらと膨れ球体状になる。しかしながら、花芽分化後の植物に対して青色光を照射すると、開花を遅らせ且つ開花数を減少させる恐れもあるため、本発明の植物の栽培方法においては、花芽の形成が認められた時点で第1工程を終了することが好ましい。第1の工程を行う期間としては、花芽分化までであれば特に限定されるものではないが、約50日〜70日間を例示できる。なお、本発明において、1日とは、1回の明期と1回の暗期とからなる単位を意味する。つまり、1回の明期と1回の暗期の合計が24時間である場合は、当該24時間を1日とする。本明細書において特に断りのない場合は、24時間が1日に対応する。
植物種や品種によって暦の時期的な違いはあるが、多くの一季成り果樹は収穫期、つまり果実の成熟したころに頂芽や腋芽の葉原基から花芽を形成させる。東京の天候下での収穫期開始が6月頃のブルーベリーを例にとると、その収穫が終了した7月上旬頃から頂芽及び腋芽の上部の葉原基が10月頃までに花芽に分化する。従ってその場合は、果実の収穫直後の7月上旬〜8月上旬(つまり、1月以内程度)のいずれかの時点から、第1の工程を行うことが好ましい。なお、果実の収穫前から、或いは収穫時期の最中からも第1の工程を行うことは可能であるが、収穫量に影響を及ぼす懸念もあるので、敢えて収穫が完了する前から環境を変化させる必要はないだろう。即ち、本発明の植物の栽培方法において、第1工程は、果実収穫後で且つ花芽分化前の植物に対して行われることが好ましく、果実収穫直後の植物であれば更に好ましい。
上記第1の日長条件は、植物に対して青色光を照射することを要し、ここで、青色光としては、ピーク波長が418〜486nmの領域内にあり且つ半値幅が25nm以下であることが好ましい。なお、発光スペクトルにおいて、強度が最大となる波長をピーク波長とし、強度がピーク波長の強度の50%となる二つの波長の差を半値幅とする。このようなピーク波長及び半値幅を有する好適な青色光を発する光源(照射手段)としては、発光ダイオード(LED)を用いることが好ましい。また、第1の工程においては、太陽光(自然光)が植物に照射されることを避けるのが望ましい。
上記第1の日長条件は、青色光を照射する限り特に限定されるものではないが、低温短日の条件であることが好ましく、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃、好ましくは26〜30℃又は23〜27℃で、暗期の温度が10〜18℃、好ましくは15〜18℃又は12〜16℃であることが更に好ましい。第1の工程において、青色光の照射に加えて、上記特定した範囲の日長及び温度に第1の日長条件を制御することで、植物の開花までの期間をより短縮することができる。
本発明の日長条件(即ち、第1の日長条件及び第2の日長条件)において、「明期」とは、光合成が可能な程度の光強度条件下に植物が置かれる継続した期間を意味し、その期間の長さが「日長」である。また、「暗期」とは、自然条件下の夜に相当する期間であり、本発明においては、青色光や赤色光といった光の照射を停止している期間を意味する。
光合成が可能な程度の光強度条件としては、光強度(光合成光量子束密度:Photosynthetic Photon Flux Density)が、約100〜1000μmol・m−2・s−1PPFD、好ましくは約200〜400μmol・m−2・s−1PPFDの範囲にあることを例示できる。
本発明の日長条件は、光源、暖房機、冷房設備、送風、除(加)湿器、換気扇、ドライミスト及び遮光カーテンといった各種の装置を単独で或いは組み合わせて使用することで実現することができる。そのためには、これら装置を組み込んだ閉鎖系室や、これら装置を備える通常の温室が利用できる。そのような施設の好適な例は、特開2011−120555号公報や特開2011−120557号公報に記載されている。
本発明の植物の栽培方法においては、次いで、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する第2の日長条件にて、上記第1工程で花芽が分化した植物を少なくとも開花まで育成させる(第2工程)。第2工程では、花芽分化後の植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射しているが、この段階で赤色光又は赤色光と青色光の混合光の照射を受けた植物は、開花を早めることができる。このため、第1工程(花芽分化前の植物への青色光照射)と第2工程(花芽分化後の植物への赤色光又は該混合光照射)を組み合わせることで、植物の開花を大幅に早めることが可能となり、大幅なコストダウンを達成できる。また、第1工程と同様に、第2工程でも開花数を増加させることができる。特に、第2工程において赤色光と青色光の混合光の照射を行う場合には、植物の開花を早めて開花数を増やすだけでなく、連続生産の期間を長くすることが可能になる。
上記第2工程において、第2の日長条件による植物の育成は、少なくとも開花まで行われる。開花後の結実まで継続して第2工程を行うことも可能であるが、例えば上述のような施設で本発明の植物の栽培方法を行う場合、開花した植物は施設から出して、次の植物の育成を開始する方が効率的である。このため、本発明の植物の栽培方法においては、花芽分化後照射を開始してから50日以内に第2工程を終了することが好ましい。
上記第2の日長条件は、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射することを要し、ここで、赤色光(該混合光に用いる赤色光も含む)としては、ピーク波長が581〜664nmの領域内にあり且つ半値幅が22nm以下であることが好ましい。このようなピーク波長及び半値幅を有する好適な赤色光を発する光源(照射手段)としては、発光ダイオード(LED)を用いることが好ましい。また、上記混合光に用いる青色光としては、上記第1の日長条件と同じ青色光であることが好ましく、具体的にはピーク波長が418〜486nmの領域内にあり且つ半値幅が25nm以下であることが好ましい。上記混合光を用いる場合、赤色光と青色光の光強度比は、赤色光:青色光が7:3から5:5の範囲内が好ましく、7:3から6:4の範囲内が更に好ましい。また、第2の工程においては、太陽光(自然光)が植物に照射されることを避けるのが望ましい。
上記第2工程において、赤色光又は赤色光と青色光の混合光の照射は、花芽が分化した後に行われるが、赤色光の照射は、新梢の頂芽のみならずその直下の葉腋も花芽に分化している植物(即ち、花芽分化がすでに完了している植物)に対して行うことが好ましい。一方、赤色光と青色光の混合光の照射は、新梢の頂芽は花芽に分化しているがその直下の葉腋の花芽分化はしていないような植物(即ち、花芽分化がまだ完了していない植物)に対しても好適に行うことができる。
上記第2の日長条件は、赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する限り特に限定されるものではないが、低温短日の条件であることが好ましく、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃、好ましくは26〜30℃又は23〜27℃で、暗期の温度が10〜18℃、好ましくは15〜18℃又は12〜16℃であることが更に好ましい。第2の工程において、赤色光又は赤色光と青色光の混合光の照射に加えて、上記特定した範囲の日長及び温度に第2の日長条件を制御することで、植物の開花までの期間をより短縮することができる。
本発明の植物の栽培方法の第1工程及び第2工程においては、相対湿度、CO濃度、土壌pH、土壌EC(Electric Conductivity(電気伝導度):肥料濃度を推定できる)等の各種パラメーターを植物の生育に適した範囲に調節することが好ましい。例えば、相対湿度は約30〜80%の範囲とすることが好ましく、CO濃度は約400〜600μmol・mol−1の範囲とすることが好ましく、土壌pHは約5.0〜6.0の範囲とすることが好ましく、土壌ECは約0.7〜1.2程度とすることが好ましい。
本発明の植物の栽培方法において、植物としては、ブルーベリー、さくらんぼ、桃、梅、林檎等のいわゆる一季成り果樹が好適に挙げられ、これらの中でも、ブルーベリーが特に好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[材料及び方法]
<供試植物>
ブルーベリーとして、3年生サザンハイブッシュ種の「Misty」及び2年生サザンハイブッシュ種の「Sharpblue」を用いた。
<実験施設>
特開2011−120555号公報や特開2011−120557号公報に記載されたシステムに相当する設備を有する、東京農工大学植物工場研究施設内の人工光型閉鎖環境室を用いた。また、人工光型閉鎖環境室には、4つの処理区を設け、蛍光灯(FHF32EX−N−H,Panasonic社製)を光源とする処理区を対照区とし、青色LED(ピーク波長459nm,半値幅25nm)を光源とする処理区を青色光区とし、赤色LED(ピーク波長631nm,半値幅22nm)を光源とする処理区を赤色光区とし、青色LED(ピーク波長459nm,半値幅25nm)と赤色LED(ピーク波長631nm,半値幅22nm)とを光源とする処理区を混合光区とした。なお、青色光区、赤色光区及び混合光区には、沖デジタル社製の高輝度LED装置を設置した。
<実験1.異なる光質が花芽分化前のブルーベリーに及ぼす影響>
日長が12時間(9:00〜21:00)、明期の温度が28℃、暗期の温度が18℃及び湿度が40〜80%の条件下、花芽分化前の「Misty」を各処理区で育成した。育成は、2014年6月17日に開始し、10月10日までの110日間行い、光強度は各処理区とも380±10μmolm−2−1となるように設定した。なお、育成の開始から45日目に青色光区及び対照区で最初の開花が観察されたため、それ以降15日毎に各処理区の開花数を調査した。結果を図1に示す。
<実験2.異なる光質が花芽分化後のブルーベリーに及ぼす影響>
日長が11時間(9:00〜20:00)、明期の温度が28℃、暗期の温度が18℃及び湿度が40〜80%の条件下、花芽分化後の「Sharpblue」を各処理区で育成した。育成は、2013年10月20日に開始し、2014年1月17日までの90日間行い、光強度は各処理区とも300±10μmolm−2−1となるように設定した。なお、育成の開始から50日目以降20日毎の開花数、新梢の伸長方向及び新葉の傾斜角を観察した。開花数の結果を図2に示す。
<実験3.青色光照射によりブルーベリーの花芽分化を誘導した後、異なる光質を照射した時の開花に及ぼす影響>
日長が12時間(9:00〜21:00)、明期の温度が20℃、暗期の温度が10℃及び湿度が40〜80%の条件下、花芽分化前の「Sharpblue」を青色光区で育成した。光強度は300±10μmolm−2−1となるように設定した。育成は、2016年5月12日から2016年7月6日までの55日間行い、花芽の形成を確認した。
次に、この花芽形成後の「Sharpblue」を、翌日2016年7月7日から、青色光区にて引き続き育成するもの、赤色光区に移して育成するもの、混合光区に移して育成するものに分けて、同年8月17日まで育成を行った。各処理区とも、日長条件は、日長が12時間(9:00〜21:00)、明期の温度が20℃、暗期の温度が10℃及び湿度が40〜80%となるように設定し、光強度は、300±10μmolm−2−1となるように設定し、また、混合光区における光強度比は、赤色光:青色光=1:1となるように設定した。育成の開始から82日目(2016年8月2日)、90日目(2016年8月10日)、97日目(2016年8月17日)の開花数を観察した。結果を図3に示す。
[結果及び考察]
<結果1.異なる光質が花芽分化前のブルーベリーに及ぼす影響>
総開花数は、青色光区が最も多く、次いで赤色光区、対照区の順であった(図1)。青色光区は、育成開始から60日目以降の開花数が多かったために総開花数が多くなった。また、青色光区及び対照区では、育成の開始から45日目に最初の開花が観察されたが、赤色光区の最初の開花は60日目であった。このため、花芽分化前のブルーベリーに対する青色光の照射は、赤色光の照射よりも開花を早める傾向にあることを示した。
<結果2.異なる光質が花芽分化後のブルーベリーに及ぼす影響>
総開花数は、赤色光区及び対照区の方が青色光区よりも多かった(図2)。赤色光区では、育成の開始から37日目に最初の開花が観察され、対照区よりも10日早かった。ほとんどの花が70日目までに開花しており、開花が他の区に比べて一斉に行われる傾向を示した。一方、青色光区での最初の開花は、61日目であり、対照区よりも14日遅かった。次に、新梢と葉の形態を観察したところ、青色光区では垂直方向に誘導され、立性の草姿を示したが、赤色光区では水平方向へ誘導され、開帳性の草姿を示した(図4)。
<結果3.青色光照射により花芽分化を誘導した後、異なる光質がブルーベリーの開花数に及ぼす影響>
総開花数は、混合光区(青色光→混合光)の方が青色光区(青色光→青色光)及び赤色光区(青色光→赤色光)よりも著しく多かった(図3)。最初に開花が確認されたのは、青色光区で80日目、混合光区で82日目であり、これらは赤色光区よりもそれぞれ8日間及び6日間早かった。
なお、実験2の結果では、花芽が自然条件下(9月中旬)で分化した後の10月20日からLEDを照射しているので、新梢の頂芽のみならずその直下の葉腋も花芽に分化している個体を用いている。赤色光は花芽分化がすでに完了している芽の開花を促進しているため、開花数が多くなったと推察される。しかし、実験3では、閉鎖系環境下で人工光を照射させて花芽を分化させており、処理開始時(7月7日)には新梢の頂芽は花芽に分化しているが、その直下の葉腋の花芽分化はしていない状況であった。そのため、実験3では赤色光区の開花数が少なかったと考えられる。一方で、混合光は青色光で腋芽を分化させ、赤色光で開花を促進しているため、開花数が著しく多くなったと考えられる。
以上の結果から、花芽分化前の植物に対する青色光の照射は、赤色光の照射と比べて開花期を早め、開花数を増加させるが、花芽分化後の植物に対して青色光を照射すると、開花期を遅延させることが明らかになった。一方、花芽分化後の植物に対する赤色光の照射は、開花期を早め、開花数を増加させるが、花芽分化前の植物に対して赤色光を照射すると、開花期を遅延させることが明らかになった。さらに、新梢の頂芽が花芽分化した後の処理においては、混合光は青色光で腋芽を分化させ、赤色光で開花を促進しているため、開花期間も長く、開花数が多くなることが明らかになった。よって、青色光及び赤色光は、花芽分化の前後で相反する効果を示すことが明らかになった。また、青色光は、新梢や葉の立性に関与し、赤色光は開帳性に関与していることが明らかになった。
本発明の植物の栽培方法は、開花の時期を短縮することができるため、各種の装置を組み込んだ閉鎖系室や温室で植物を栽培する際にかかるランニングコストを削減することが可能である。また、開花後の植物については、このような施設で継続して育成する必要もないため、次の植物の育成を開始することで、施設を効率的に利用することもできる。更に、オフシーズンを迎える農家に開花後の植物を提供し育成し、果実を出荷してもらうという新しいビジネスモデルが知られているが、本発明の植物の栽培方法は、かかるビジネスモデルを普及させる上で非常に有効である。そして、本発明の植物の栽培方法を利用すれば、特定の波長を有する光による光形態反応に関する研究が進展するものと思われ、新たな栽培法の開発につながる可能性もある。

Claims (8)

  1. 植物に対して青色光を照射する第1の日長条件にて植物を花芽分化まで育成させる工程と、次いで、植物に対して赤色光又は赤色光と青色光の混合光を照射する第2の日長条件にて植物を少なくとも開花まで育成させる工程とを含む、植物の栽培方法。
  2. 前記第1の日長条件による植物の育成工程が、果実収穫後で且つ花芽分化前の植物に対して行われる、請求項1に記載の植物の栽培方法。
  3. 前記青色光は、ピーク波長が418〜486nmの領域内にあり且つ半値幅が25nm以下である、請求項1又は2に記載の植物の栽培方法。
  4. 前記赤色光は、ピーク波長が581〜664nmの領域内にあり且つ半値幅が22nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
  5. 前記青色光及び前記赤色光の照射手段として、発光ダイオード(LED)を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
  6. 前記第1の日長条件は、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃で、暗期の温度が10〜18℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
  7. 前記第2の日長条件は、日長が11〜12時間で、明期の温度が20〜30℃で、暗期の温度が10〜18℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
  8. 前記植物がブルーベリーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
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