[構成]
[概要]
本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、スタッフが顧客へサービスを提供する業務を支援する業務支援システムに適用される。ここでいうサービスは、公共施設、商業施設で提供されるサービスを含み、イベント等、一時的に開催される会場で提供されるサービス、医療等、一対一で提供されるサービスも含む。スタッフは、サービスを提供するために業務を遂行する人員である。顧客は、これらのサービスの提供を受ける者である。サービスが有償か無償かは問わない。
図1に示すように、業務支援システムAは、ウェアラブルデバイスD1〜Dn(以下、単にウェアラブルデバイスDとする)、管理デバイスS1、管理サーバS2、アクセスポイントPを有する。ウェアラブルデバイスDは、ネットワークNを介して相互に又は管理デバイスS1、管理サーバS2との間で、情報を送受信可能な情報通信端末である。ウェアラブルデバイスDは、本体ユニットUと、人体に装着する装着部Bを有する。ウェアラブルデバイスDとしては、例えば、腕時計型の情報通信端末を用いる。この場合、本体ユニットUは、薄型の筐体内に、後述する処理部を備えたコンピュータを内蔵している。装着部Bは、腕に巻いて止めるバンドである。このウェアラブルデバイスDは、所持者である各スタッフが、自らの腕に装着して使用する。
管理デバイスS1、管理サーバS2は、ネットワークNを介して、相互に又はウェアラブルデバイスDと情報の送受信が可能な管理装置である。管理デバイスS1、管理サーバS2は、サービスの全体又は一部を管理する主体が使用する。例えば、サービスの全体は管理サーバS2を用いて管理して、特定の業務、特定のグループについては管理デバイスS1を用いて管理することができる。管理デバイスS1、管理サーバS2には、各ウェアラブルデバイスDからの所持者情報が収集され、これに基づいて、運営者、管理者が各スタッフの活動を支援する。
アクセスポイントPは、ネットワークNとウェアラブルデバイスD、管理デバイスS1との通信の中継を行う中継装置である。このアクセスポイントPは、位置情報を発信する発信装置でもある。アクセスポイントPは、典型的には、WiFiの無線LANアクセスポイントである。各アクセスポイントPには、識別情報、設置場所に関する位置情報が登録され、発信されるビーコンには、識別情報及び設置場所に関する情報が含まれる。例えば、設置された施設が、複数のエリアに区分され、各エリアに設置されたアクセスポイントPに、エリア毎に異なる位置情報が付与されている。
ウェアラブルデバイスD、管理デバイスS1、管理サーバS2、アクセスポイントPは、主としてプログラムで制御されるコンピュータにより構成される。この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。
特に、ウェアラブルデバイスDは、上記のように、時計型の情報通信端末、管理デバイスS1はスマートフォン、管理サーバS2はパーソナルコンピュータに、アプリケーションプログラム(以下、単に、アプリと呼ぶ)をインストールすることにより構成できる。後述する各部の処理に必要な各種の設定、演算式、パラメータ等は、あらかじめ内蔵の若しくはリムーバブルなメモリが記憶している。後述する記憶部は、このようなメモリの記憶領域の一部として構成できる。また、以下の説明では、主として、ローカルなインストールを必要とするアプリの例で説明しているが、外部のサーバとの連携によるWebアプリであっても適用可能である。
また、本発明は、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。以下の説明では、本実施形態の各機能をブロックで図示した仮想的ブロック図を用いる。
[ウェアラブルデバイス]
ウェアラブルデバイスDは、上記のように、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有する装置である。このウェアラブルデバイスDは、図2に示すように、通信部1、タイミング調整部11、現在位置判定部2、所持者情報入力部3、情報変換部41、所持者情報出力部42、通知情報受付部5、通知情報出力部6を有する。また、ウェアラブルデバイスDは、図2に示すように、状態特定部100を含むことができる。但し、本実施形態においては、状態特定部100は、管理装置7が有するものとして、後述する。
(通信部)
通信部1は、外部との情報の送受信を行う処理部である。通信部1は、ネットワークNを介して、管理デバイスS1、管理サーバS2及び他のウェアラブルデバイスDとの間で情報を送受信できる。通信部1が有する又は通信部1に接続されるアンテナについては、一般的であるため説明は省略する。ネットワークNは、多対1、多対多、1対1のいずれの関係でもよい。たとえば、通信部1は、WiFi等の無線LAN、WiFi Direct等によって、管理デバイスS1、管理サーバS2、ウェアラブルデバイスD相互間の接続機能を有する。通信部1は、アクセスポイントPが発信するビーコンに含まれる位置情報を受信する。この受信処理を、ビーコンスキャンと呼び、ビーコンスキャンを行うタイミングをスキャンタイミングと呼ぶ。
(タイミング調整部)
タイミング調整部11は、アクセスポイントPからの位置情報の受信タイミング、つまりスキャンタイミングを、状況に応じで変化させる処理部である。「状況に応じて」とは、「時間の経過により発生又は変化する状態に応じて」の意味である。「起動時に」、「時間帯に応じて」、「移動距離に応じて」、「通信部1が外部から通知情報を受信する頻度に応じて」は、「状況に応じて」に含まれる。通知情報については後述する。「移動距離に応じて」は、「移動の有無に応じて」を含む。このように、受信タイミングを調整するのは、消費電力を節約するためである。
例えば、一日の時間帯のうち、早い方を受信頻度を少なくし、遅い方を受信頻度を多くする。これは、朝の方が顧客の数が少ないためにスタッフの移動が少なく、夕方になるに従って、顧客の数が増えてスタッフの移動が増えるからである。また、例えば、後述する通知情報を受信する頻度が多いほど、スタッフの移動が多いと考えられるので、受信頻度を多くしてもよい。
スタッフの移動の多寡には、移動しているスタッフの数の大小、各スタッフの移動量の大小を含む。このスタッフの移動を検出して、受信頻度を決定してもよい。つまり、後述する加速度センサ31によりスタッフの移動が検出された場合のみ受信したり、スタッフの移動の頻度や、移動しているスタッフの数が多いほど、受信頻度を多くしてもよい。
(位置判定部)
現在位置判定部2は、通信部1が受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する位置、つまりスタッフの位置を判定する処理部である。現在位置判定部2は、信号検出部21、位置判定部22、距離判定部23、方向判定部24、予測部25、比較部26、補正部27を有する。
信号検出部21は、アクセスポイントPから受信したビーコンに含まれる位置情報を検出する処理部である。この位置情報は、例えば、各アクセスポイントPが設置された所定のエリアを識別する情報である。位置判定部22は、位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDの位置を判定する処理部である。つまり、位置判定部22は、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者の位置を判定する。なお、アクセスポイントPの位置情報による位置の検出には、種々の手法が適用可能である。複数のエリアのアクセスポイントPからのビーコンを受信した場合には、電波強度等、他の情報を加味して判定してもよい。
距離判定部23は、後述する加速度センサ31からの信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する処理部である。移動距離は、移動した長さでもよいが、歩数であってもよい。つまり、歩数をカウントすることにより、大まかな距離を判定できる。このため、加速度センサ31及び距離判定部23は、歩数計デバイスとして構成されたものも含む。方向判定部24は、後述する地磁気センサ32からの信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する処理部である。
予測部25は、距離判定部23が判定した距離と、方向判定部24が判定した方向とに基づいて、ウェアラブルデバイスDが移動した位置、つまり所持者が移動した位置を予測する処理部である。この予測には、あらかじめ設定されたマップ情報を用いることが望ましい。マップ情報は、アクセスポイントPの設置領域の座標等を含む地図情報である。つまり、マップ上の現在位置からの移動距離と方向によって、移動先の位置が予測できる。エリア単位で位置を判定する場合には、大まかな位置判定となるが、予測は容易となる。
比較部26は、予測部25が予測した移動位置と、位置判定部22が移動先で判定した移動位置とが、一致するか否かを判定する処理部である。補正部27は、予測部25が予測した移動位置と、位置判定部22が判定した移動位置とが相違する場合に、方向判定部24による方向を補正する処理部である。なお、補正部27による補正は、地磁気センサ32をリセットするように、後述する振動部61の振動、表示部62の画像により促すことにより行ってもよい。
(所持者情報入力部)
所持者情報入力部3は、ウェアラブルデバイスDの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する処理部である。所持者情報入力部3は、加速度センサ31、地磁気センサ32、タッチセンサ33、脈拍センサ34、温度センサ35、カメラ36、マイク37を有する。
加速度センサ31は、傾き及び振動を感知して、傾きや振動の程度に応じた電気信号に変換するセンサである。地磁気センサ32は、磁場の大きさや方向を感知して、方向に応じた電気信号に変換するセンサである。
タッチセンサ33は、表面への接触を感知するセンサである。このタッチセンサ33は、所持者との接触を介して所持者情報を入力する手段である。タッチセンサ33は、例えば、後述する表示部62に構成されたタッチパネルであり、タップ、スライド等の入力操作を可能とする。タップは、指で表面を短くタッチすることであり、スライドは表面を指で触れながら移動させることである。但し、タップは表面に触れている時間が短い操作、スライドは表面に触れている時間が長い操作を便宜的に示したに過ぎず、フリック、スワイプ等の他の呼び名であってもよい。
脈拍センサ34は、所持者に接触し、所持者の脈拍を検出するセンサである。この脈拍センサ34も、所持者との接触を介して所持者情報を入力する手段である。脈拍センサ34としては、例えば、紫外線の照射と反射により脈拍を検出するセンサを用いることができる。温度センサ35は、所持者に接触して、所持者の体温に応じた電気信号に変換するセンサである。この温度センサ35も、所持者に接触して、所持者情報を入力する手段である。
カメラ36は、静止画若しくは動画を撮像して、画像データ、動画データとして入力する装置である。マイク37は、周囲の音声を電気信号に変換する入力装置である。
(情報変換部、所持者情報出力部)
情報変換部41は、所持者情報入力部3により入力された所持者情報を、業務支援システムAの処理、スタッフや管理者の認識に適した形式に変換する処理部である。情報の変換は、加速度センサ31、地磁気センサ32、脈拍センサ34、温度センサ35からの信号を、傾き、振動、方向、脈拍、体温等のそれぞれの検出情報に応じたパラメータへの変換を含む。また、情報の変換は、タッチセンサ33から入力された信号のパルス信号への変換を含む。
また、情報の変換は、カメラ36により撮像された画像データ、動画データに基いて、所持者の姿勢、瞼の開閉度合い、表情等を示すパラメータへ変換する処理を含む。さらに、情報の変換は、マイク37により入力された信号を、音の大きさを示すパラメータへ変換する処理を含む。
なお、情報変換部41は、所持者情報入力部3から入力された情報を、全て変換する必要はない。例えば、所持者情報入力部3から入力された情報をそのまま所持者情報出力部42に出力し、これを通信部1が管理デバイスS1、管理サーバS2に送信してもよい。この場合、管理デバイスS1、管理サーバS2が、上記のような情報の変換を行う情報変換部を有する。
所持者情報出力部42は、所持者情報を、各ウェアラブルデバイスDの識別情報及び位置情報とともに出力し、通信部1に送信させる処理部である。この所持者情報出力部42が出力する識別情報、位置情報及び所持者情報により、これを受信した管理デバイスS1、管理サーバS2を使用する管理者が、各ウェアラブルデバイスDの所持者の位置、状況を把握できる。なお、この所持者情報には、通信部1が受信する1つ又は複数のアクセスポイントPからの電波の強度を含む。
(通知情報受付部)
通知情報受付部5は、通信部1が受信した外部からの通知情報を、条件に応じて受け付ける処理部である。通知情報受付部5は、条件判定部51、通知情報判定部52を有する。条件判定部51は、通知情報に含まれる条件を判定し、受け付けるか否かを判定する処理部である。例えば、条件判定部51は、通知情報に含まれる位置情報と、ウェアラブルデバイスDの位置情報とに基いて、自分宛の通知情報か否かを判定し、自分宛の通知情報のみを受け付ける。これにより、例えば、所定のエリアにいるスタッフのみが、特定の通知情報を受け取ることができる。
通知情報判定部52は、条件判定部51が受け付けた通知情報がどのような通知情報かを判定して、通知情報出力部6における対応する処理部に出力する処理部である。例えば、通知情報判定部52は、振動による通知を、後述する振動部61に出力し、画面表示による通知を、後述する表示部62に出力する。
(通知情報出力部)
通知情報出力部6は、通知情報受付部5が受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する処理部である。通知情報出力部6は、振動部61、表示部62、レベル調整部63を有する。振動部61は、振動により通知情報を出力する装置である。この振動部61は、所持者との接触を介して、通知情報を所持者に伝達する手段である。振動部61は、例えば、モータを駆動源として、振動を発生させるバイブレータを用いることができる。振動部61は、通知情報に応じて、連続した振動に限らず、パルス信号に応じた間欠した振動を出力することができる。
表示部62は、例えば、静止画、動画、テキストのように、ユーザが視覚的に認識する画像を表示するディスプレイである。表示部62は、上記のタッチセンサ33による入力のための画面インタフェースを表示することができる。
レベル調整部63は、所持者情報入力部3から入力される所持者情報に応じて、振動部61の振動の大きさを調整する処理部である。例えば、加速度センサ31からの信号に基いて、移動中であると判定できる場合には、振動の大きさを大きくすることができる。但し、例えば、エレベータにより移動していると判定できる場合には、振動を小さくすることができる。また、マイク37からの信号に基いて、周囲の騒音等が大きい場合には、振動を大きくすることができる。振動の大小は、あらかじめ段階に分けて設定されたレベルの中から選択することにより決定できる。
なお、ウェアラブルデバイスDは、図示はしないが、上記の各部の処理に必要な情報を記憶する記憶部を有する。記憶部が記憶する情報としては、上記の各部において入力、処理、出力される情報、受信頻度、振動レベル、しきい値等の各種の設定、各ウェアラブルデバイスDの識別情報、所持者の認証情報、アクセスポイントPの設置領域のマップ情報等を含む。
[管理デバイス、管理サーバ]
管理デバイスS1、管理サーバS2は、共通の処理部を有する管理装置7として説明する。図3に示す通り、管理装置7は、通信部71、入力部72、認証部73、表示部74、通知情報生成部75、条件設定部76を有する。通信部71は、ネットワークNを介して、各ウェアラブルデバイスD及び管理装置7との間で情報を送受信する処理部である。なお、通信部71による通信は、有線でも無線でも可能である。但し、無線で通信を行う場合に、通信部71が有する又は通信部1に接続されるアンテナについては、一般的であるため説明は省略する。
この通信部71は、ウェアラブルデバイスDからの所持者情報及び位置情報を受信する受信部、位置情報に応じて、後述する通知情報生成部75が生成した通知情報を送信する送信部として機能する。
入力部72は、管理装置7に必要な各種の情報を入力する処理部である。入力部72としては、タッチパネル、キーボード、マウス等を含む。タッチパネルは、後述する表示部74に構成されたものも含む。
認証部73は、ウェアラブルデバイスDから受信した各スタッフの認証情報に基づいて、ログインを認証する処理部である。なお、認証部73は、所定の時刻が到来すると、ログインをリセットする。例えば、所定の時刻を業務終了後における特定の時刻とする。これにより、不特定多数のスタッフで、ウェアラブルデバイスDを利用する場合に、日が変わるとログインがリセットされるので、他のスタッフが利用できるようになる。
表示部74は、管理装置7に必要な各種の情報を表示する処理部である。表示部74は、例えば、通信部71が受信した所持者情報及び位置情報に基いて、どのスタッフがどのエリアにいるかを表示することができる。また、表示部74は、後述する状態特定部100により特定された各ウェアラブルデバイスDの所持者の状態を表示することができる。また、表示部74は、入力部72による入力のための画面インタフェースを表示することができる。
通知情報生成部75は、入力部72による入力に応じて、所持者への通知情報を生成する処理部である。例えば、通知情報生成部75は、タッチパネルからの信号をパルス信号へ変換する。条件設定部76は、入力部72による入力により、通知情報の宛先の条件を設定する処理部である。例えば、入力部72により、通知情報の宛先を、特定の位置にいるウェアラブルデバイスDに限定する条件を設定できる。つまり、所望のエリアを指定して、そのエリアにいるスタッフにのみ通知することができる。また、移動中のウェアラブルデバイスD、静止中のウェアラブルデバイスDに宛先を限定する条件を設定することもできる。この条件は、種々の設定が可能である。
状態特定部100は、各ウェアラブルデバイスDの所持者の状態を特定する処理部である。この状態特定部100は、コンピュータに状態特定処理を実行させるプログラムであり、ウェアラブルデバイスD又は管理装置7のコンピュータで実行されるプログラムの一部として構成できる。例えば、状態特定部100をモジュール化して組み込むことができる。状態特定部100による状態特定処理を実行するコンピュータを、状態特定装置として捉えることもできる。状態特定部100は、図4に示すように、加速度信号入力部110、静状態判定部120、地磁気信号入力部130、変化量算出部140、電波強度検出部150、特定部160を有する。
加速度信号入力部110は、加速度センサ31からの信号を入力する処理部である。例えば、加速度センサ31が3軸の場合、信号は、ウェアラブルデバイスDに対するX、Y、Z方向に対する重力の値を含む加速度値である。
静状態判定部120は、加速度センサ31からの信号に基づいて、ウェアラブルデバイスDの動きの程度が静状態であることを判定する処理部である。静状態とは、加速度センサ31の変化量が所定のしきい値以下に収まっていることをいう。このしきい値は、人が静止しているといえる場合に示す加速度の変化の上限程度とする。
地磁気信号入力部130は、地磁気センサ32からの信号を入力する処理部である。例えば、地磁気センサ32が3軸の場合、信号は、X、Y、Z方向に対する地場の強さを示す値となる。上記の加速度値と地場の強さを示す値を組み合わせることで、方位を求めることができる。
変化量算出部140は、加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号の所定時間内の変化量を算出する処理部である。例えば、変化量は、X、Y、Z方向の所定時間内における振れ幅又は平均値の差分、つまり偏差量により求めることができる。
電波強度検出部150は、ウェアラブルデバイスDの通信部1が受信するアクセスポイントPからの電波の強度を検出する処理部である。電波の強度、つまり電波強度は、電波の有無、強弱に関する情報を含む。例えば、各アクセスポイントP毎のビーコン信号の電波強度は、各アクセスポイントPのデバイスに付与されたユニークIDであるBSSID及びデシベル値で示される電波強度のリストである。
特定部160は、加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号、電波強度を含む所持者情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者の状態を特定する処理部である。例えば、加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号が、腕をデスク上に置いた方向となっていて、パソコンのディルプレイが特定のアクセスポイントPからの電波を遮蔽する位置に来ている場合、デスクワークをしていると特定できる。
このような特定部160による所持者の状態の特定は、後述する記憶部にあらかじめ記憶された状態情報と、所持者情報とを照合、つまりマッチングすることにより行う。状態情報は、加速度センサからの信号、地磁気センサからの信号と、電波強度と、所持者の状態を示す情報とを関連付けた情報である。つまり、特定の状態の場合に、加速度信号、地磁気信号、電波強度が示す値と、これに対応する状態を示すラベルをあらかじめ用意しておき、所持者情報がこれらの値と一致又は近似する場合には、当該ラベルが示す状態に該当するといえる。近似するかどうかは、値の相違が所定のしきい値以内かどうかで判定できる。上記の例では、特定の加速度信号、地磁気信号、電波強度の値の組み合わせが、デスクワークに該当する場合、デスクワークというラベルを付することができる。
このような状態情報は、例えば、図4に示すように、特定したい位置や所持者ごとに、種々の値の組み合わせを多数収集しておき、多次元のテーブルであるデータマップとして用意されているとよい。状態の特定においては、所持者情報に近似する状態情報のラベルが、状態として選択される。このようなデータマップの量が多い程、状態特定の精度は向上する。
電波強度は、他の人の動き、アクセスポイントPの出力制限など、種々の要因で変化するため、状態検出のためのデータは、多数収集することが望ましい。このデータは、ウェアラブルデバイスDを装着した状態で、普段通りに行動することにより、検出される電波強度を収集すればよい。データ収集のためのユーザインタフェースとしては、実際の状態に対応して、表示されたラベルを選択するか、先にラベルを選択しておいて、実際の状態をそれに合わせることにより、ラベリングを容易に行うことができるようにするとよい。
なお、状態情報、所持者情報に、変化量算出部140により算出された変化量も含めて、所持者の状態を特定してもよい。例えば、デスクワークをしているときに、キーボードを打っている場合の変化を加味することにより、より正確な状態特定が可能となる。また、所持者情報に、現在位置判定部2が判定した現在位置も含めて、所持者の状態を特定してもよい。つまり、現在位置が特定できれば、その位置におけるデスク、パソコン等の備品の配置等、電波の遮蔽状況も分かるため、より正確な状態特定が可能となる。
さらに、静状態判定部120により静状態が検出できた場合にのみ、特定部160による状態の特定を行ってもよい。つまり、加速度センサ31からの信号は、動きが少ない場合の方が、特徴を抽出しやすいため、状態の特定の精度が上がる。このため、静状態のときのみ、状態の特定を行い、精度を高めることができる。
なお、図示はしないが、管理装置7も、上記の各部の処理に必要な情報を記憶する記憶部を有する。記憶部が記憶する情報としては、上記の各部において入力、処理、出力される情報、条件、しきい値等の各種の設定、管理装置7の識別情報、各ウェアラブルデバイスDの識別情報、所持者の認証情報、アクセスポイントPの設置領域のマップ情報等を含む。例えば、加速度信号、地磁気信号、変化量、電波強度等を含む所持者情報、さらにラベルを含む状態情報、静状態か否かの情報は、記憶部が記憶する。これは、状態特定部100をウェアラブルデバイスDが有する場合も同様である。
[処理手順]
以上のような本実施形態の処理の一例を、図5〜図8を参照して説明する。なお、以下のような手順による処理方法も、本発明の一態様である。
[位置情報の出力]
公共施設や商業施設において、顧客へのサービスを提供する業務を遂行するスタップは、各自が自らの腕に、ウェアラブルデバイスDを装着して起動する。このとき、ウェアラブルデバイスDは、位置情報を管理装置7に送信する。このような位置情報の出力処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、スタッフが、ウェアラブルデバイスDを起動させてタッチセンサ33により各自の認証情報を入力すると、通信部1がウェアラブルデバイスDの識別情報とともに管理装置7に送信する。管理装置7においては、認証部73がログインを認証する(ステップ101)。この認証により、管理装置7の記憶部には、どのウェアラブルデバイスDをどのスタッフが使用しているかが登録される。
通信部1は、起動時は、あらかじめ設定されたスキャンタイミングであるとして(ステップ102のYES)、アクセスポイントPからのビーコンをスキャンする(ステップ103)。つまり、アクセスポイントPが発信している情報を受信する。このスキャンは、信号検出部21が受信した信号から位置情報を検出するまで繰り返す(ステップ104のNO)。
信号検出部21が位置情報を検出した場合(ステップ104のYES)、位置判定部22は、その位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する現在位置を判定する(ステップ105)。この現在位置を示す位置情報は、例えば、各アクセスポイントPが存在する所定のエリアを単位とする。
所持者情報出力部42は、判定した位置情報を、各ウェアラブルデバイスDの識別情報とともに、通信部1に出力する(ステップ106)。通信部1は、入力された識別情報と位置情報を管理装置7に送信する(ステップ107)。
このとき、上記のようにウェアラブルデバイスDに入力されている各種の所持者情報も、所持者情報出力部42が出力し、通信部1が送信する。つまり、脈拍センサ34、温度センサ35、カメラ36、マイク37から入力される情報に基づく各種の所持者情報が、情報変換部41、所持者情報出力部42を介して、通信部1によって管理装置7に送信される。
管理装置7の通信部71は、各ウェアラブルデバイスDの識別情報と位置情報を受信する。表示部74は、各ウェアラブルデバイスD毎の現在位置、所持者情報を表示する。これにより、管理者は、どのスタッフがどのエリアにいるかが把握できる。また、各種の所持者情報により、各スタッフの状況が把握できる。例えば、各ウェアラブルデバイスDを装着しているスタッフの脈拍、体温、姿勢、瞼の開閉度合、周囲の音量等を表示部74に表示する。これにより、管理者は、スタッフがどのような状況にあるかが把握できる。
なお、次回の現在位置の出力は、あらかじめ設定された定期的なスキャンタイミングまで待ち(ステップ102のNO)、スキャンタイミングが到来すると(ステップ102のYES)、ステップ103以降の処理を行う。定期的なスキャンタイミングによる現在位置の送信に合わせて、又は別途設定されたタイミングで、上記のように所持者情報の送信も行われる。
さらに、スタッフが表示部62をタップ等した場合に、これをタッチセンサ33が検知して、このタップに対応するパルス信号が、所持者情報として管理装置7に送信される。
[移動検出]
次に、スタッフが移動した場合の処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、ウェアラブルデバイスDにおける距離判定部23は、移動距離を判定し、方向判定部24は移動方向を判定している(ステップ201)。つまり、距離判定部23は、加速度センサ31により検出される加速度に基いて、歩数をカウントする。方向判定部24は、地磁気センサ32により検出される地磁気に基いて、移動方向を判定する。
予測部25は、現在位置からの歩数及び移動方向と、あらかじめ設定されたマップ情報とに基いて、移動先の位置を予測する(ステップ202)。例えば、移動先のエリアを予測する。タイミング調整部11は、設定時間内の歩数変化がしきい値を超えるまで待つ(ステップ203のNO)。タイミング調整部11は、設定時間内の歩数変化がしきい値を超えた場合(ステップ203のYES)、通信部1が、ビーコンスキャンを行う(ステップ204)。
ビーコンスキャンは、信号検出部21が、受信した情報から位置情報を検出するまで行う(ステップ205のNO)。信号検出部21が位置情報を検出した場合(ステップ205のYES)、位置判定部22は、その位置情報に基づいて、現在、ウェアラブルデバイスDが存在する位置を判定する(ステップ206)。例えば、移動先のエリアを判定する。
比較部26は、予測による位置とスキャンにより得られた位置とが一致するか否かを判定する(ステップ207)。例えば、予測したエリアと、スキャンしたエリアとが一致するか否かを判定する。一致する場合には(ステップ207のYES)、そのエリアを現在位置として、所持者情報出力部42が出力し(ステップ210)、通信部1が管理装置7に送信する(ステップ211)。この場合も、上記のように所持者情報を送信する。
位置が一致しない場合(ステップ207のNO)、スキャン回数が設定値を超えていない場合、再度スキャンを行う(ステップ204)。スキャン及びその後の処理(ステップ204〜207)を繰り返し、スキャン回数が設定値を超えた場合(ステップ208のYES)、補正部27が、地磁気センサ32のエラーとして、方向判定部24により判定した方向を補正する(ステップ209)。その後、ステップ201以降の処理を行う。
[通知情報の送信]
管理装置7が、受信した所持者情報に基いて、各ウェアラブルデバイスDへの通知情報を送信する処理を、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、管理者は、通知情報を送信する宛先を指定する条件を、入力部72から入力し、これを条件設定部76が設定する(ステップ301)。条件は、例えば、受信先を、特定のエリアに指定する情報とする。
そして、管理者は、入力部72から通知情報を入力する(ステップ302)。通知情報生成部75は、入力された通知情報を生成する(ステップ303)。例えば、通知情報として、入力部72により、タップ又は所望の振動パターンの選択がなされると、これに対応するパルス信号が生成される。通信部71は、生成された通知情報を、条件とともにウェアラブルデバイスDに送信する(ステップ304)。
[通知情報出力]
通知情報を受信したウェアラブルデバイスDの処理を、図8のフローチャートを参照して説明する。ウェアラブルデバイスDの通信部1は、通知情報を受信する(ステップ401)。通知情報受付部5の条件判定部51は、通知情報とともに受信した条件と、現在位置判定部2により判定される現在位置から、自分宛ての通知情報か否かを判定する(ステップ402)。自分宛である場合には(ステップ402のYES)、通知情報として受け付ける(ステップ403)。自分宛でない場合には、通知情報を破棄する(ステップ402のNO)。
通知情報判定部52は、通知情報の内容を判定する(ステップ404)。例えば、振動パターン、画面表示等の内容を判定する。通知情報出力部6は、通知情報判定部52による判定結果に基づいて、通知情報を出力する(ステップ405)。例えば、タップ又は振動パターンを示すパルス信号の場合には、パルス信号に応じて振動部61が振動する。連絡内容を示す画像や文字の場合には、表示部62に連絡内容が表示される。なお、レベル調整部63は、所持者情報入力部3から入力される情報に基いて、振動の大きさを調整する。
例えば、スタッフが移動中や作業中の場合、スタッフが振動を感知し難いので、振動が大きくなる。エレベータにより移動している場合には、振動音が周囲に聞こえてうるさいので、振動が小さくなる。また、マイク37からの信号に基いて、周囲が静かな場合には、振動が大きくなり、周囲の騒音等が大きい場合には、振動が大きくなる。
[状態特定]
さらに、管理装置7が有する状態特定部100が、ウェアラブルデバイスDの所持者の状態を特定する処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。まず、管理装置7の通信部71は、ウェアラブルデバイスDの通信部1から送信された所持者情報を受信している。このような所持者情報のうち、加速度信号入力部110により加速度信号が入力され(ステップ501)、地磁気信号入力部130により地磁気信号が入力される(ステップ502)。
変化量算出部140は、加速度信号及び地磁気信号の所定時間内の変化量を算出する(ステップ503)。電波強度検出部150は、ウェアラブルデバイスDの通信部1から送信されたアクセスポイントPからの電波強度を検出する(ステップ504)。
特定部160は、加速度信号、地磁気信号、変化量及び電波強度と、状態情報とを照合する(ステップ505)。照合の結果、一致又は近似する状態情報が存在する場合には(ステップ506のYES)、そのラベルに示された状態を、各ウェアラブルデバイスDの所持者の状態として特定する(ステップ507)。例えば、デスクワークの状態情報に該当する場合、当該ウェアラブルデバイスDの所持者はデスクワークをしていると特定できる。
特定された所持者の状態は、表示部74が表示する(ステップ508)。このように表示された各ウェアラブルデバイスDの所持者の状態に応じて、管理者は、上記のように、通知情報の入力、送信を行う。
なお、特定部160は、静状態判定部120が静状態と判定した場合にのみ、状態の特定を行うこともできる。このような場合の処理手順を、図10のフローチャートに示す。図10において、ステップ601〜604は、図9のフローチャートの501〜504と同様である。そして、静状態判定部120は、加速度センサ31からの信号に基づいて、ウェアラブルデバイスDの動きの程度が静状態であるか否かを判定する(ステップ605)。静状態にないと判定された場合(ステップ603のNO)、状態特定処理は行わない。
静状態にあると判定された場合(ステップ603のYES)、図9のフローチャートの505〜508と同様に、状態の特定、表示処理を行う(ステップ607〜610)。例えば、3軸の加速度センサ31の場合、図11のA、Bに示すように、各軸の値の変化が、所定のしきい値以下に収まっている間は、静状態であるといえる。この静状態にある場合には、状態の特定を行う。静状態以外の場合には、状態の特定を行わない。
[適用態様]
本実施形態は、ウェアラブルデバイスDを、スタッフ又は顧客が装着することにより、「人」と「人」とのサービスの提供現場における業務支援システムを構築することができる。例えば、現実のショップや駅、空港、病院、学校、イベントにおけるスタッフ支援に用いることができる。このような本実施形態のより具体的な適用態様を説明する。
(1)位置検出
本実施形態は、発信装置として、例えば、Bluetooth(登録商標)ビーコン等を用いることもできる。これによると、少ない消費電量でより正確な位置検出ができる。但し、Bluetoothビーコンによる位置検出のためには、WiFiよりも多数の発信装置を設置する必要がある。
そこで、WiFiのアクセスポイントPを用いることにより、業務支援に適した条件でのシステム構築が可能となる。まず、既存の発信装置を活用できるので、設置コストがかからない。また、業務支援のためには、ピンポイントでの位置検出でなくても、エリア単位で検出できれば十分である。さらに、上記のように、スキャンタイミングを制限することにより、消費電力を抑えることができる。特に、各種センサを用いて、スキャンタイミングを調整することにより、正確な位置検出と消費電力の抑制の両立を図ることができる。
また、ウェアラブルデバイスDは、腕に装着することが決まっているので、その姿勢は一定の範囲に納まっている。このため、地磁気センサ32による方向の特定がしやすい。例えば、左腕に着用した場合、方向判定部24は、ウェアラブルデバイスDの下方向、つまりアナログ時計等を表示した場合の6時の方向を、進行方向として判断できる。よって、例えば、スタッフに歩きながら画面を見ることを禁ずることにより精度を高めることができる。また、方向判定部24は、加速度センサ31により検出される加速度変化から、手を上げているか下しているかを加味して、方向を判定できる。
さらに、地磁気センサ32を補正することにより、正確な位置検出を維持できる。例えば、図12に示すように、エリアAにいるスタッフは移動していないが、エリアBにいるスタッフが、北東に100歩進んだとする。この場合、マップ情報から、エリアBからエリアCに移動したと予測できる。この予測したエリアCが、スキャンにより位置判定部22が判定した位置と合っていれば、その位置を現在位置として出力できる。
異なっていた場合、再度スキャンによる位置検出を繰り返し、異なったままの場合には、補正部27は、地磁気センサ32のエラーとして、方向を補正する。なお、一般的に、地磁気センサ32は、8の字に動かすことでリセットされる。このため、振動部61を振動させることにより、又は表示部62にその旨を表示することにより、ウェアラブルデバイスDを8の字に動かすことを、スタッフに促してもよい。
また、位置検出により、サービス提供中のスタッフの位置を管理装置7又はウェアラブルデバイスD同士で把握できるので、チームでの業務遂行に役立てることができる。さらに、スタッフの行動と営業成績等の結果との関係性の分析に役立てることができる。
(2)操作性の向上
アプリが、各種のインタフェースとして、業務に応じて操作しやすいものを採用することにより、忙しいスタッフや管理者を煩わせないウェアラブルデバイスD、管理装置7を構成することができる。例えば、音ではなく、振動を利用して顧客に気づかれないようにさり気なく連絡し合うことができる。特に、スタッフに動きがあるときには強めに又は長く振動させて気づきやすいようにして、静かなときには、振動を弱く又は短くして周囲に振動音がわからないようにしてもよい。
操作入力するための画面インタフェースとしては、業務内容、利用者、場所、時間によって種々のものを用意して、適宜選択することにより又は自動的に変更することができる。それぞれの画面インタフェースにより、ウェアラブルデバイスDが、目的に応じた専用の装置となる。その場合の操作が煩雑とならないように、画面インタフェースは単純な構成とする。
例えば、全員、グループ、1人、現在位置、動きの程度等、通知相手を絞り込む各種の条件を選択するメニューボタンをタップする画面と、振動パターンを選択するメニューボタンをタップする画面とを用意する。これにより、条件選択と、振動パターンの選択の2回のタップで、通知情報を、条件に適合する特定のスタッフに送信することができる。画面を切り替える場合も、2、3階層程度とする。振動パターンをデフォルトで設定しておけば、条件を選択するだけで、通知情報を送信できる。図13に示すように、送信するエリアを指定する場合、複数のエリアが表示されたボタンをタップすると、振動パターンが送信されて、ウェアラブルデバイスDが振動する。全員に送信する場合には、条件選択を不要とすることもできる。このように、目的に適したシンプルなユーザインタフェース設計により、通知する相手を一人一人特定する等の煩わしい操作を不要とすることができる。
さらに、不特定多数のスタッフが、ランダムでウェアラブルデバイスDを使用する場合、夜中の0時等、設定時刻を過ぎると、ウェアラブルデバイスDのログインをリセットして、次回、使い始めには、新たなスタッフのログインから開始させることができる。なお、上記のような各種のインタフェースは、急な変更が必要な場合には、管理装置7側で変更等ができるようにしてもよい。
(3)所持者情報の活用
本実施形態は、各種の所持者情報を活用して種々の業務支援が可能となる。まず、オフィスにおいて、スタッフである社員の位置が把握できることにより、業務を円滑に進めることができる。例えば、打ち合わせの時間の通知を、打ち合わせに参加するメンバーのみに行うことができる。また、特定の場所にいるメンバーに、次の集合場所を通知して誘導することができる。集合中の人たちがどこにいるかをモニターできるので、遅れてくるメンバーがいる場合の打ち合わせの進行調整に役立てることができる。
脈拍センサ34から得られる脈拍、温度センサ35から得られる体温、カメラ36から得られる姿勢、瞼の開閉度、顔の向き等の情報から、スタッフの状況をチェックして、適切なアドバイスを画面で通知することができる。例えば、これらの状況から、デスクワークへの集中度合い、眠気の度合い、休息の必要な度合いが判定できるので、リフレッシュするための案内やアドバイスを画面表示で振動とともに通知することができる。つまり、所持者情報は、スタッフの健康面のケアに役立つ。
さらに、医療、整骨、整体、マッサージ、鍼灸等、種々の施術を行う業務において、施術するスタッフ側も、される顧客側も、ウェアラブルデバイスDを装着することにより、種々の情報が得られる。例えば、時間と動きから施術内容を推測することができる。マッサージ等は、スタッフが所定時間内に特定の動きをするため、これを加速度センサ31からの信号に基づいて検出して、施術内容を推測する。このような施術内容を記録するとともに、これに対応する顧客の脈拍の変動を記録する。これにより、どのような施術が有効であったかを判定できる。
(4)状態の特定
例えば、図14に示すように、スタッフが立った状態からデスクワークに移った場合、デスクに腕を載せることにより、ウェアラブルデバイスDの方向が変わるとともに、位置の変更、デスク、パソコンのディスプレイ、スタッフの身体等により、電波の遮蔽状況が変化する。また、図15に示すように、スタッフが立ちながら、看板の手前の監視業務に移った場合、腕の方向はほとんど変化はないが、位置の変更、看板により電波の遮蔽状況が変化する。本実施形態では、これらの状態を特定することができる。
また、本実施形態を利用して、ウェアラブルデバイスDを装着したスタッフが所定の作業をしたかどうかを確認する方法の一例を、図16のフローチャートを参照して説明する。まず、スタッフである担当者は、特定の場所に行く、パソコンに入力する等の一連の複数の作業を行うことが業務であるとする。
まず、管理者は、管理装置7における担当者の作業スケジュールを参照して、当該担当者のウェアラブルデバイスDの所持者情報から、状態特定部100により特定される状態を確認する(ステップ701)。つまり、状態特定部100による状態の特定により、どのような作業が行われたかどうかがわかるので、管理者は、いずれの作業が行われたかどうかを、表示部74により確認していく(ステップ702のNO)。
管理者は、一つの作業又は一連の複数の作業のセットを全て確認した場合(ステップ702のYES)、管理装置7から、当該担当者のウェアラブルデバイスDに、作業のセットを確認したことを振動で通知する(ステップ703)。そして、管理者は、当該担当者本人からの確認を待つ(ステップ704のNO)。
担当者から所定の確認の操作があった場合、例えば、タップ操作があった場合(ステップ704のYES)、作業が実行されたことを記憶部、つまりローカルファイルに記録する又は外部のサーバに送信する等の処理を行う(ステップ705)。なお、タップ操作は、特に、ユーザインタフェースを伴わず、画面のどこでもシングルあるいはダブルタップすればよいことにすれば、作業の妨げにならない。
以上の通り、本実施形態を利用することにより、管理者及び本人の確認処理も含めて、所定の作業を行ったか否かを、システム全体で把握して管理することができる。
さらに、本実施形態を利用して、ウェアラブルデバイスDを装着したスタッフから、所定の連絡を速やかに周りに気付かせないように行う方法の一例を、図17のフローチャートを参照して説明する。なお、ウェアラブルデバイスDの方向とタップ操作の組み合わせが、接客中の応援要請、不審者の通報、作業完了や休憩などの連絡を示すように、あらかじめ記憶部等に登録されているものとする。
まず、管理者は、管理装置7における担当者の作業スケジュールを参照して、当該担当者のウェアラブルデバイスDの所持者情報から、状態特定部100により特定される状態を確認する(ステップ801)。つまり、状態特定部100による状態の特定により、担当者がどのような作業が行っているかがわかるので、管理者は、担当者がどのような作業を行っているかを表示部74により確認している(ステップ802のNO)。例えば、図18(A)〜(D)に示すように、担当者として通常の作業で生じる方向に腕を動かしている場合には、管理者はそのまま確認を継続する。
そして、担当者が一定時間以上、通常の作業では生じない方向にウェアラブルデバイスDを向けた場合(ステップ802のYES)、これを管理者が認識する。例えば、図19に示すように、担当者が、通常の作業と異なる方向に腕を動かした場合、管理者は、担当者が意図的にこのような方向にしたことを認識する。
管理者は、当該担当者のウェアラブルデバイスDに、当該担当者からの操作を待つことを示すために振動で通知する(ステップ803)。そして、管理者は、当該担当者本人からの操作を待つ(ステップ804のNO)。
担当者から所定の確認の操作があった場合、例えば、タップ操作があった場合(ステップ804のYES)、管理装置7において、方向とタップ操作の組み合わせが、あらかじめ登録された特定の連絡を示すものとして表示部74に表示されるので、管理者はその連絡を認識して対応することができる(ステップ805)。なお、タップ操作は、特に、ユーザインタフェースを伴わず、画面のどこでもシングルあるいはダブルタップすればよいことにすれば、作業の妨げにならないことは、上記と同様である。
以上の通り、本実施形態を利用することにより、周囲に気付かれないように、接客中の応援要請、不審者の通報、作業完了や休憩などの連絡を行うことができる。
(5)データ収集
上記のように状態特定を行うためのデータ収集について説明する。
(初期調査)
まず、初期調査によって、所持者情報とマッチングを行う状態情報を収集する例を、図20を参照して説明する。図20(A)は、所持者であるスタッフが静止して待機している状態、図20(B)はスタッフが作業をしている状態、図20(C)はスタッフが待機しながら、振動による通知を受けている状態、図20(D)は、スタッフが待機しながら、どのような作業をしていたかを選択入力している状態を示している。
管理装置7の通信部71は、スタッフが装着しているウェアラブルデバイスDの通信部1から、所定のタイミングで送信された所持者情報を継続的に受信し、この所持者情報を記憶部が記憶する。管理装置7の表示部74は、受信した所持者情報を、動作状態か静止状態かがわかる情報として表示してもよい。例えば、図11に示すように、加速度信号等の信号の波形を表示してもよい。また、表示部74が表示したマーク、アイコン、キャラクター、ウェアラブルデバイスDの画像等が、実際のウェアラブルデバイスDと同様の動きや傾きを示すようにしてもよい。加速度信号や地磁気信号等が、所定のしきい値を超えるか否かにより、動作状態、静止状態かの2値的な情報が表示されるようにしてもよい。
また、通知情報生成部75は、スタッフの状態を示す情報の入力を促す通知情報を生成する。例えば、動作状態の後、静止状態が所定時間経過した場合に、通知情報を生成する。この通知情報は、例えば、スタッフのウェアラブルデバイスDへ送信されるパルス信号である。さらに、ウェアラブルデバイスDの通知情報出力部6における表示部62は、状態を示す情報を入力するための画面インタフェースを表示する。つまり、表示部62は、どのような作業をしていたかを選択入力するための画面インタフェースを表示する機能を有する。このように表示部62に画面インタフェースを表示させる表示処理は、管理装置7のコンピュータによる通知情報の生成と出力に応じて実行される処理も含む。通知情報受付部5が上記の通知情報を受け付けた場合に表示部62が表示することも、管理装置7のコンピュータが表示処理を実行させることを意味する。
ここで、図20(A)に示すように、スタッフが静止して待機している状態では、所持者情報も動きの少ない信号を含む情報となる。この場合、管理装置7の表示部74の表示は、静止状態に応じた表示となる。例えば、信号波形の変化が少ない、画像の動きが少ない、静止状態といった表示となる。次に、スタッフが、図20(B)に示すように、特定の作業を行うと、所持者情報は動きの多い信号を含む情報となる。この場合、管理装置7の表示部74の表示は、動作状態に応じた表示となる。例えば、信号波形の変化が大きい、画像の動きが多い、動作状態といった表示となる。
そして、スタッフが、図20(C)に示すように、待機状態に戻ると、所持者情報も動きの少ない信号を含む情報に戻る。この場合、管理装置7の表示部74の表示は、静止状態に応じた表示に戻る。この静止状態が所定時間経過した場合、通知情報生成部75は、スタッフへの通知情報を生成し、これを通信部71がスタッフのウェアラブルデバイスDに送信する。
すると、スタッフのウェアラブルデバイスDの通信部1が、通知情報を受信して、これに応じて振動部61が振動するので、スタッフは、作業の入力を促される。このとき、ウェアラブルデバイスDの表示部62には、作業を選択するための画面インタフェースが表示される。例えば、あらかじめ設定された複数の作業名のリストが表示される。スタッフは、所持者情報入力部3により、状態を示す情報を入力する。例えば、画面に表示された作業名のリストにおけるいずれかの作業名をタッチすることにより、どのような作業を行っていたかを選択する。なお、画面インタフェースを表示させるか否かにかかわらず、マイク37を介して音声入力により状態を示す情報、例えば、作業名を入力してもよい。
このように入力された状態を示す情報は、通信部1により管理装置7に送信され、通信部71が受信する。そして、記憶部が、ウェアラブルデバイスDからの状態を示す情報と当該状態に対応する時間における所持者情報とを関連付けた状態情報を記憶する。つまり、受信した作業名を作業内容を示すラベルとして、動作時の加速度信号、地磁気信号、電波強度等を含む所持者情報と関連付けて、状態情報として記憶する。記憶された状態情報は、上記のように、状態特定に用いられる。
なお、音声入力の場合には、入力された音声信号である状態を示す情報又は音声信号を変換処理した状態を示す情報が、所持者情報と関連付けられる。例えば、音声信号の作業名をラベルとして用いてもよいし、ウエアラブルデバイスD若しくは管理装置7のコンピュータが有する音声認識部により、音声信号を変換処理した作業名をラベルとして使用してもよい。あらかじめ番号、略称等の識別情報と作業名とが関連付けられて記憶部に記憶され、識別情報が音声により入力されると、音声認識部により認識された識別情報に基づいて、コンピュータが有する選択部が対応する作業名を選択するようにしてもよい。音声入力による場合には、入力のための余分な動作をしなくて済むため、誤認識の防止となる。
(精度向上調査)
次に、状態情報の精度を担保するために行う調査の例を、図21を参照して説明する。図21(A)は、スタッフが静止して待機している状態、図21(B)は、スタッフが作業をしながら、状態のマッチングによる特定を受けている状態、図21(C)は、スタッフが待機しながら、マッチング完了による特定内容の通知を受けている状態、図21(D)は、スタッフが待機しながら、特定内容が正しいか否かを確認入力している状態を示している。
管理装置7の通知情報生成部75は、特定部160による特定処理の確認を促す通知情報を生成する機能を有する。つまり、状態特定が完了した場合に、スタッフの確認を促す通知情報を生成する。ここでの状態特定は、精度向上のためのテスト的な状態特定であるため、状態推定としての意味を有する。通知情報生成部75は、例えば、スタッフのウェアラブルデバイスDへ送信されるパルス信号を生成する。さらに、ウェアラブルデバイスDの通知情報出力部6の表示部62は、状態特定部100により特定された状態が、正しいか否かを選択入力する画面インタフェースを表示する機能を有する。このように表示部62に画面インタフェースを表示させる表示処理は、管理装置7のコンピュータによる通知情報の生成と出力に応じて実行される場合も含む。通知情報受付部5が上記の通知情報を受け付けた場合に表示部62が表示することも、管理装置7のコンピュータが表示処理を実行させることを意味する。
ここで、図21(A)に示すように、スタッフが静止して待機している状態では、所持者情報も動きの少ない信号を含む情報となる。次に、スタッフが、図21(B)に示すように、特定の作業を行うと、所持者情報は動きの多い信号を含む情報となる。この時、管理装置7の状態特定部100は、上記のように、所持者情報と状態情報とのマッチングにより状態を特定する。
そして、管理装置7の通知情報生成部75は、スタッフへの通知情報を生成し、これを通信部71がスタッフのウェアラブルデバイスDに送信する。すると、図21(C)に示すように、スタッフのウェアラブルデバイスDの通信部1が、通知情報を受信して、これに応じて振動部61が振動するので、スタッフは、確認の入力を促される。このとき、ウェアラブルデバイスDの表示部62には、特定された状態が正しいか否かを入力する画面インタフェースが表示される。例えば、作業名と[YES][NO]のボタンが表示される。スタッフは、画面をタッチすることにより、特定された状態が正しいか否かを入力する。例えば、[YES]か[NO]を選択する。なお、画面インタフェースを表示させるか否かにかかわらず、マイク37を介して音声入力により、正しいか否かを入力してもよい。
このように入力された情報は、通信部1により管理装置7に送信され、通信部71が受信する。そして、正しいか否かに応じて、記憶部の状態情報を補正する。例えば、正しい場合には、記憶部が、動作時の加速度信号、地磁気信号、電波強度等を当該状態と関連付けた状態情報として記憶する。正しくない場合は、動作時の加速度信号、地磁気信号、電波強度等を、当該状態を示す情報から削除する。これにより、マッチングの精度を向上させる。
なお、音声入力の場合には、例えば、「YES」か「NO」のように正しいか否かを示す音声を発話すると、ウェアラブルデバイスD若しくは管理装置7が有する音声認識部が、正しいか否かを示す情報に変換し、その情報が使用される。音声入力による場合には、入力のための余分な動作をしなくて済むため、誤認識の防止となる。
[作用効果]
(1)本実施形態の状態特定プログラムは、コンピュータに、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有するウェアラブルデバイスDにおける通信部1が、アクセスポイントPから受信する電波の強度を検出する電波強度検出処理と、ウェアラブルデバイスDにおける加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号と、電波の強度とを含む所持者情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者の状態を特定する特定処理と、を実行させる。
このため、状態特定部100は、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有するウェアラブルデバイスDにおける通信部1が、アクセスポイントPから受信する電波の強度を検出する電波強度検出部150、ウェアラブルデバイスDにおける加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号と、電波の強度とを含む所持者情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者の状態を特定する特定部160を有する。
このように、加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号のみならず、アクセスポイントPからの電波の強度も利用することにより、スタッフ等の所持者の状態を正確に把握して、適切な所持者に連絡等をすることができる。
より具体的には、加速度センサ31からの信号のみ、地磁気センサ32からの信号のみによる特定では、以下のような問題がある。
A.加速度センサ31の場合
(a)測定時やウェアラブルデバイスDの装着の締め付けの強弱によって、動きにバラつきがあり、同じ動きを一律に検出できない
(b)リアルタイムでバッテリー消費を考慮して分解能を制限する必要があるため、細かい差を得ることができず、詳細に動きを識別できない。
(c)特定したい動きとは関係のない動きが混ざると、状態が不明となる。
(d)受付業務、デスクワーク、見張りなど、動きの変化が少ない場合、特定が難しい。
(e)立っている、歩いている、座っている等の比較的大まかな動作しか特定できない。
B.地磁気センサ32の場合
(a)正常に動作していれば、絶対的な方向を検出できる一方、磁場が乱れている場合や、検出に誤差が生じキャリブレーションを必要とする場合には正確な絶対値が得られない。
(b)屋体や磁気を発生するものの近くでは、絶対的な方向が得られない場合がある。このような場合、動きに対する相対的な変化値が得られるに過ぎない。
本実施形態では、加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号に加えて、アクセスポイントP等の発信装置からのビーコン信号等の電波の強度を利用することにより、その場の環境を手掛かりとして、状態を正確に特定することができる。例えば、アクセスポイントPの位置と、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者自身の位置、部屋の壁やデスク、モニターなどの物の位置との関係から、電波の遮蔽状況が変わる。このため、所持者の位置によって、ビーコン信号の強度が変化して、この値を状態特定の手がかりとすることができる。
発信装置からの電波の強度、加速度、地磁気のそれぞれの値は、互いに密接な関連があり、単なる組み合せでは得られない相乗的な効果が得られる。つまり、
(a)ウェアラブルデバイスDの向きで、通信部1、アンテナの方向も変わり、電波状況が変化する。
(b)発信装置からの電波による位置検出から、作業や配置が絞られ、ウェアラブルデバイスDの向きが作業の推定を行う上で限定される。
(c)発信装置からの電波による位置検出から、地磁気の補正が可能になる。
発信装置からの電波と地磁気は場に対する絶対的位置を示し、加速度は相対的な状態や変化を示すことから、これらの性質の異なる情報を組み合わせることで、状態の推定に活用できるようになる。
(2)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31からの信号、地磁気センサ32からの信号と、電波の強度と、所持者の状態を示す情報とを関連付けた状態情報を記憶する記憶処理を実行させ、特定処理は、所持者情報と状態情報とを照合することにより行う。
このため、あらかじめ記憶された状態情報と所持者情報との照合により、所持者の状態を簡単に特定して把握することができる。
(3)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31からの信号、地磁気センサ32からの信号の所定時間内の変化量を算出させる変化量算出処理を実行させ、状態情報及び所持者情報は、変化量を含む。
所持者の状態が異なる場合、加速度センサ31からの信号、地磁気センサ32からの信号の所定時間内の変化量も異なるため、このような変化量を含めて状態を特定することにより、より詳細な状態の特定が可能となる。例えば、同じデスクワークでも、パソコンを操作している場合と、操作していない場合とでは、変化量が異なるため、このような場合を識別できる。
(4)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31からの信号に基づいて、ウェアラブルデバイスDの動きの程度が、静状態であることを判定する静状態判定処理を実行させ、静状態判定処理により、静状態であると判定された場合にのみ、特定処理を行うこともできる。
上記のように、加速度センサ31の信号には問題がある。特に、図11のA、B以外の場合のように、動いている場合の信号の変化は大きく、これを特定の動きと関連付けることが難しい場合もある。かかる場合には、動きの信号はノイズとなる場合もあり、静止している状態を特徴とする方が精度が上がる場合もある。加速度センサ31及び地磁気センサ32からの信号だけでは、動いているか静止しているかといった程度の相対的な情報しか得られない場合もある。このため、本実施形態では、静止している状態に限定して、さらに電波の強度も加味することにより、より正確な状態の特定が可能となる。
(5)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31からの信号、地磁気センサ32からの信号及び電波の強度と関連付けられる情報として、所持者の状態を示す情報の入力を促す通知情報を生成する通知情報生成処理を実行させる。このため、自らの状態を知っている所持者からの入力により、正確な状態情報を作成することができる。
(6)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31からの信号、地磁気センサ32からの信号及び電波の強度と関連付けられる情報として、所持者の状態を示す情報を入力させる画面インタフェースを表示部62に表示させる表示処理を実行させる。このため、所持者は画面インタフェースを参照して、状態を示す情報を簡単に入力できる。
(7)本実施形態は、コンピュータに、特定処理が正しいか否かの確認を促す通知情報を生成する通知情報生成処理を実行させる。このため、状態を正確に判断できる所持者からの入力により、状態情報の正確さを担保することができる。
(8)本実施形態は、コンピュータに、特定処理が正しいか否かを入力する画面インタフェースを、表示部62に表示させる表示処理を実行させる。このため、所持者は画面インタフェースを参照して、正しいか否かの確認の入力を簡単に行うことができる。
(9)本実施形態は、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有するウェアラブルデバイスDが備えるコンピュータに、外部との情報の送受信を行う通信処理と、通信処理により受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する位置を判定する現在位置判定処理と、ウェアラブルデバイスDの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する所持者情報入力処理と、所持者情報を、位置情報とともに出力することにより、通信処理により外部に送信させる所持者情報出力処理と、通信処理により受信した外部からの通知情報を、現在位置判定処理により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付処理と、通知情報受付処理により受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する通知情報出力処理とを実行させる。
これにより、ウェアラブルデバイスDは、所持者が自らの体に装着する装着部Bと、外部との情報の送受信を行う通信部1と、通信部1が受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、所持者が存在する位置を判定する現在位置判定部2と、所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する所持者情報入力部3と、所持者情報を、位置情報とともに出力することにより、通信部1により外部に送信させる所持者情報出力部42と、通信部1が受信した外部からの通知情報を、現在位置判定部2により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付部5と、通知情報受付部5が受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する通知情報出力部6とを有する。
以上のような本実施形態によれば、接触によりスタッフに通知情報を伝達することにより、周囲に与える影響を抑えて、所望のスタッフに簡単に連絡をすることができる。特に、スタッフの位置に応じて通知情報を受け付けることができるので、特定の位置にいるスタッフのみが通知を受けることができる。
(10)本実施形態は、コンピュータに、通信処理によるアクセスポイントPからの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整処理を実行させる。これにより、ウェアラブルデバイスDは、通信部1によるアクセスポイントPからの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整部11を有する。
このように、アクセスポイントPからの受信タイミングを、状況に応じて変化させることにより、無駄な受信による消費電力の消耗の抑制と、正確な位置の検出とを両立させることができる。
上記の状況を、所持者の移動距離としたり、時間帯としたり、通信部1が受信する外部からの通知情報の頻度とすることができる。これにより、スタッフの移動が多いほど、受信頻度を多くして、スタッフの移動が少ないほど、受信頻度を少なくすることにより、消費電力を節約しつつ、位置を正確に把握し続けることができる。
(11)本実施形態は、コンピュータに、加速度センサ31から入力される信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する距離判定処理と、地磁気センサ32から入力される信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する方向判定処理と、距離判定処理により判定された距離と、方向判定処理により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測処理と、予測処理により予測した移動位置と、現在位置判定処理により判定された移動位置とが相違する場合に、方向判定処理により判定される方向を補正する補正処理と、予測処理により予測した移動位置と、現在位置判定処理により判定された移動位置とが一致する場合に、移動位置の位置情報を外部に送信させる送信処理とを実行させる。
これにより、ウェアラブルデバイスDは、加速度センサ31及び地磁気センサ32を有し、現在位置判定部2は、加速度センサ31から入力される信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する距離判定部23と、地磁気センサから入力される信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する方向判定部24と、距離判定部23により判定された距離と、方向判定部により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測部25と、予測部25により予測した移動位置と、位置判定部22により判定された移動位置とが相違する場合に、方向判定部24により検出される移動方向を補正する補正部27とを有し、予測部25により予測した移動位置と、位置判定部22により判定された移動位置とが一致する場合に、通信部1が移動位置の位置情報を外部に送信する。
このため、アクセスポイントPからの位置情報と合わせて、加速度センサ31、地磁気センサ32を用いて、移動位置を正確に判定できる。また、地磁気センサ32にエラーがあった場合にも補正できる。
(12)本実施形態は、コンピュータに、ウェアラブルデバイス用プログラムからの所持者情報及び位置情報を受信する受信処理と、受信処理により受信した所持者情報及び位置情報を表示する表示処理と、所持者への通知情報を生成する通知情報生成処理と、位置情報に応じて、通知情報生成処理により生成した通知情報を送信する送信処理とを実行させる。
これにより、管理装置7は、ウェアラブルデバイスDからの所持者情報及び位置情報を受信する通信部71と、通信部71が受信した所持者情報及び位置情報を表示する表示部74と、所持者への通知情報を生成する通知情報生成部75と、位置情報に応じて、通知情報生成部75が生成した通知情報を送信する通信部71とを有する。
このため、管理者は、スタッフの位置を把握して、適切な通知情報を生成、送信することができる。また、管理者は、スタッフの行動と、売上等の結果との関係性を分析して、スタッフの適切な配置、スタッフ教育等に役立てることができる。
[他の実施形態]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態における現在位置判定処理により判定された現在位置についても、所持者情報に含めて、状態を特定してもよい。つまり、本実施形態は、コンピュータに、発信装置からの位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する現在位置を判定する現在位置判定処理を実行させ、状態情報は、位置情報を含み、所持者情報は、現在位置を含むこともできる。位置が特定されれば、その位置での所持者の行動は限定されるので、より簡単に所持者の状態を特定できる。
さらに、時刻及び所持者を識別する情報の一方若しくは双方についても、所持者情報、状態情報に含めて、特定処理による状態の特定に用いることもできる。つまり、特定の時刻、特定の所持者の行動は限定されるので、さらに状態の特定が容易となる。
ウェアラブルデバイスDは、上記の全ての構成を備えるように設定されている必要はない。例えば、情報変換部41は、管理装置7側に設けてもよい。また、ウェラブルデバイスD同士で、通知情報を送受信してもよい。つまり、ウェアラブルデバイスDが、通知情報生成部、条件設定部を有し、所持者情報入力部3からの入力と、条件設定部の条件に応じて、通知情報を生成して、条件に合致するウェアラブルデバイスDに対して送信する構成としてもよい。さらに、図2に示すように、ウェアラブルデバイスDが状態特定部100を有し、ウェアラブルデバイスD側で特定した状態を、管理装置7や他のウェアラブルデバイスDが受信して、管理者や他の所持者が状態を把握するようにしてもよい。
例えば、顧客のタップをタッチセンサ33が検出し、他の顧客に振動として伝達してもよい。つまり、現場で配布されるウェアラブルデバイスDを、各顧客が装着して使用してもよい。この場合も、図9に示すように、送信先の選択を、画面表示されたエリアのいずれかを選択することにより行ってもよい。
発信装置としては、WiFiのアクセスポイントPには限定されず、他の装置であってもよい。例えば、Bluetoothビーコンを発信する装置など、比較的中距離の通信を実現する発信装置であってもよい。このBluetoothビーコンでも、ウェアラブルデバイスDと管理装置7、ウェアラブルデバイスD同士の通信が可能である。
装着部による体への装着は、振動等を感知できる程度に装着できればよい。腕の他、手指、頭部、首、胸、腰、足等、体のどの位置に装着してもよい。このため、装着部も、バンド、ベルト、紐、メガネ、耳栓等の他、粘着テープ、両面粘着シート、面ファスナー等でもよい。衣類、帽子類、サポーター、アクセサリー、履物等を装着部としてもよい。本体ユニットが直接肌に触れなくてもよい。つまり、情報の伝達のための接触は、肌に対して直接的なものであっても、装着部の一部が介在する間接的なものであってもよい。