JP2017057263A - 研磨用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度の比が大きく、ポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度が大きく、且つ、窒化ケイ素の研磨速度が小さい研磨用組成物を提供する。
【解決手段】研磨用組成物は、砥粒と、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩と、水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方と、を含有する。この研磨用組成物は、ポリシリコン及びアモルファスシリコンの少なくとも一方と窒化ケイ素とを有する研磨対象物の研磨に用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は研磨用組成物に関する。
半導体基板の表面を化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)により平坦化する場合には、比較的研磨されやすいポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜の下層に比較的研磨されにくい窒化ケイ素膜を配し、この窒化ケイ素膜をストッパー層としてポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜の研磨が行われることがある。このような研磨においては、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜が効率よく研磨され、且つ、窒化ケイ素膜はほとんど研磨されないことが理想的である。
したがって、このような研磨に用いられる研磨用組成物には、窒化ケイ素膜の研磨速度に対するポリシリコン膜及びアモルファスシリコン膜の研磨速度の比(ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜の研磨速度を窒化ケイ素膜の研磨速度で除することにより算出される)が大きいこと、ポリシリコン膜及びアモルファスシリコン膜の研磨速度が大きいこと、及び、窒化ケイ素膜の研磨速度がゼロに近いことが要求される。
例えば特許文献1には、窒化ケイ素膜の研磨速度に対するポリシリコン膜の研磨速度の比が大きく、且つ、ポリシリコン膜の研磨速度が大きい研磨用組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示の研磨用組成物は、窒化ケイ素膜の研磨速度が十分に小さいとは言えなかった。したがって、ポリシリコン膜の研磨が完了した後に、的確に研磨作業を終了させなければ、ストッパー層である窒化ケイ素膜にまで研磨が及んでしまうおそれがあった。
特開2004−266155号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度の比が大きく、ポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度が大きく、且つ、窒化ケイ素の研磨速度が小さい研磨用組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る研磨用組成物は、ポリシリコン及びアモルファスシリコンの少なくとも一方と窒化ケイ素とを有する研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物であって、砥粒と、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩と、水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方と、を含有することを要旨とする。
本発明の研磨用組成物は、窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度の比が大きく、ポリシリコン及びアモルファスシリコンの研磨速度が大きく、且つ、窒化ケイ素の研磨速度が小さい。
シリコンウェーハの構成を説明する断面図である。
本発明の一実施形態について以下に詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。例えば、本実施形態においては、ポリシリコン及び窒化ケイ素を有する研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物について説明するが、この研磨用組成物は、アモルファスシリコン及び窒化ケイ素を有する研磨対象物の研磨や、ポリシリコンとアモルファスシリコンと窒化ケイ素とを有する研磨対象物の研磨にも用いることができる。
本実施形態の研磨用組成物は、ポリシリコン及び窒化ケイ素を有する研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物であって、砥粒と、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩と、水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方と、を含有する。
このような本実施形態の研磨用組成物は、同一条件で研磨を行った場合の窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比(以下「研磨速度比」と記すこともある)が大きく、ポリシリコンの研磨速度が大きく、且つ、窒化ケイ素の研磨速度が小さいという性能を有している。なお、研磨対象物がアモルファスシリコンを有している場合には、「ポリシリコン」を「アモルファスシリコン」に読み替えればよい(以下も同様である)。
詳述すると、本実施形態の研磨用組成物は、高い加水分解性を有しているので、ポリシリコンを効率的に研磨することができる。よって、本実施形態の研磨用組成物を用いて研磨を行えば、ポリシリコンの研磨速度が大きくなる。また、第4級アンモニウム塩の陽イオンが、負に帯電した窒化ケイ素に吸着するので、窒化ケイ素の研磨が抑制される。よって、本実施形態の研磨用組成物を用いて研磨を行えば、窒化ケイ素の研磨速度が小さくなる。そして、ポリシリコンの研磨速度は大きく保たれるので、研磨速度比は大きくなり(すなわち、研磨の選択性が高い)、研磨速度比が250以上となり得る。
したがって、本実施形態の研磨用組成物を用いて、ポリシリコン及び窒化ケイ素を有する研磨対象物の研磨を行えば、ポリシリコンを効率的且つ選択的に研磨して除去することができる。また、窒化ケイ素が研磨されにくいので、ポリシリコンの研磨が完了した直後に研磨作業を終了させなかったとしても、窒化ケイ素の研磨量は僅かである。例えば、窒化ケイ素膜の上にポリシリコン膜を堆積させた膜付シリコンウェーハが研磨対象物である場合には、ポリシリコン膜を効率的且つ選択的に研磨して除去することができる。また、ポリシリコン膜の研磨が完了した直後に研磨作業を終了させなかったとしても、ストッパー層である窒化ケイ素膜はほとんど研磨されない。
さらに、水溶性高分子は、ポリシリコンに吸着して研磨を抑制する作用がある。ポリシリコンの表面に段差がある場合、段差を構成する凸部に吸着した水溶性高分子は研磨により除去されるためポリシリコンの研磨速度は維持される一方、段差を構成する凹部の水溶性高分子は除去されず研磨が抑制される。よって、本実施形態の研磨用組成物を用いて研磨を行えば、ポリシリコンの表面の凸部と凹部の研磨速度に差が生じ、その結果、ポリシリコンの表面の段差が緩和されやすい。
さらに、水溶性高分子として、その構造中に窒素を有する含窒素水溶性高分子を使用すると、凸部の研磨速度が促進されるため、特に良好な段差緩和性能を得ることができる。これは、ポリシリコンの表面に吸着した水溶性高分子の表面に窒素原子が存在することで、窒素原子が持つ正電荷及び親水性作用の影響により、親水性であり負電荷を持つ砥粒とポリシリコンの表面との親和性が向上し、砥粒によるかきとりが促進されるためと考えられる。
以下に、本実施形態の研磨用組成物について、さらに詳細に説明する。
1.研磨対象物について
本実施形態の研磨用組成物を用いる研磨に適用可能な研磨対象物は、ポリシリコン及び窒化ケイ素を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、基体の表面にポリシリコン膜及び窒化ケイ素膜が形成されたものがあげられる。基体の材質は特に限定されるものではなく、単体シリコン、シリコン化合物、金属、セラミック、樹脂等があげられる。
単体シリコンとしては、例えば単結晶シリコン、ポリシリコン(多結晶シリコン)、アモルファスシリコン等があげられる。また、シリコン化合物としては、例えば窒化ケイ素、二酸化ケイ素(例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いて形成される二酸化ケイ素層間絶縁膜)、炭化ケイ素等があげられる。
また、金属としては、例えば、タングステン、銅、アルミニウム、ハフニウム、コバルト、ニッケル、チタン、タンタル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等があげられる。これらの金属は、合金又は金属化合物の形態で含まれていてもよい。
このような研磨対象物の具体例としては、窒化ケイ素膜の上にポリシリコン膜を堆積させた膜付シリコンウェーハがあげられる。
2.砥粒について
本実施形態の研磨用組成物に含有される砥粒の種類は特に限定されるものではく、例えば、無機粒子、有機粒子、及び有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、及び、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックからなる粒子があげられる。有機粒子の具体例としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子があげられる。これらの砥粒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの具体例の中でもシリカが好ましい。シリカの具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ等があげられるが、これらシリカの中ではコロイダルシリカがより好ましく、コロイダルシリカの中では繭形(例えば、長軸を中心に楕円を回転して得られる回転体の形状)のコロイダルシリカがさらに好ましい。さらに、シリカの表面には有機酸を固定化してもよい。シリカへの有機酸の固定化は、シリカの表面に有機酸の官能基を化学的に結合させることにより行われる。有機酸の例としては、スルホン酸、カルボン酸、スルフィン酸、及びホスホン酸があげられる。
研磨用組成物中の砥粒の含有量は0.1質量%以上とすることができ、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。砥粒の含有量が多くなるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の除去速度(研磨速度)が向上する。
また、研磨用組成物中の砥粒の含有量は、15質量%以下とすることができ、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2.3質量%以下である。砥粒の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができることに加えて、砥粒の凝集が起こりにくい。
砥粒の平均一次粒子径は5nm以上とすることができ、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。砥粒の平均一次粒子径が大きくなるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。
また、砥粒の平均一次粒子径は、200nm以下とすることができ、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。砥粒の平均一次粒子径が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することにより表面欠陥の少ない被研磨面が得られやすい。
なお、砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、窒素ガス等を用いたBET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて計算することができる。なお、繭形のコロイダルシリカ等の非球状の砥粒の場合は、BET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて仮想的な球状粒子の平均一次粒子径が計算されるので、この仮想的な球状粒子の平均一次粒子径を非球状の砥粒の平均一次粒子径とする。
3.構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩について
本実施形態の研磨用組成物には、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩(以下、単に「第4級アンモニウム塩」と記すこともある)が添加される。第4級アンモニウム塩の種類は、その構造中にベンゼン環を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、第4級アンモニウム塩のアンモニウムイオンが下記化学式1で表されるものがあげられる。
なお、下記化学式1中のxは1以上15以下の整数であり、y、z、及びwはそれぞれ独立して0以上4以下の整数である。ただし、x、y、z、及びwは小さいほど好ましい。
Figure 2017057263
上記化学式1で表されるアンモニウムイオンを有する第4級アンモニウム塩の例としては、下記の各化学式2〜4に示すベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド等があげられる。
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
また、上記化学式1で表されるもの以外のアンモニウムイオンを有する第4級アンモニウム塩の例としては、下記の各化学式5〜12に示すベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド水和物、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド、トリエチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンゾイルコリンクロリド、ベンザルコニウムクロリド、デナトニウム安息香酸塩等があげられる。
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
Figure 2017057263
これらの第4級アンモニウム塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、化学式2〜12に示した第4級アンモニウム塩は、アンモニウムイオンと塩化物イオン又は安息香酸イオンとの塩であったが、アンモニウムイオンと水酸化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、又は有機酸イオンとの塩でもよい。
また、ポリシリコンの研磨速度及び窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比を向上させるためには、第4級アンモニウム塩のアンモニウムイオンは、化学式1に示すものが、他の化学式に示す第4級アンモニウム塩のアンモニウムイオンよりも好ましい。
さらに、第4級アンモニウム塩のアニオンとしては、研磨後表面のアニオン残留の観点から、水酸化物イオンが最も好ましい。
研磨用組成物中の第4級アンモニウム塩の含有量は0.0001質量%以上とすることができ、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。第4級アンモニウム塩の含有量が高くなるにつれて、研磨用組成物によるポリシリコンの研磨速度及び窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比が向上する。
また、研磨用組成物中の第4級アンモニウム塩の含有量は、1質量%以下とすることができ、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。これにより、優れた段差緩和性能が得られる。
4.水溶性高分子について
本実施形態の研磨用組成物には水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方が添加される。水溶性高分子の種類は特に限定されるものではなく、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類や、キトサン等の多糖類や、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(又はその塩)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等のポリマー類があげられる。これらの水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの水溶性高分子の中でも、その構造中に窒素を有する含窒素水溶性高分子が好ましい。含窒素水溶性高分子の単量体が有する窒素原子の数は、1個でもよいし複数でもよい。また、含窒素水溶性高分子は、その主鎖に窒素原子を有していてもよいし、側鎖に窒素原子を有していてもよい。さらに、含窒素水溶性高分子は、窒素原子をアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、カルボジイミド基、ヒドラジド基、又はウレタン基として有していてもよい。
さらに、含窒素水溶性高分子は、窒素原子を、窒素カチオンと他のアニオンから形成される塩(例えばアンモニウム塩)として有していてもよい。塩の構造を有する含窒素水溶性高分子としては、例えば、水溶性ナイロン等の重縮合系ポリアミド、水溶性ポリエステル等の重縮合系ポリエステル、重付加系ポリアミン、重付加系ポリイミン、重付加系(メタ)アクリルアミド、アルキル主鎖の少なくとも一部に窒素原子を有する水溶性高分子、側鎖の少なくとも一部に窒素原子を有する水溶性高分子等があげられる。
重付加系の含窒素水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピペリジンがあげられる。また、含窒素水溶性高分子は、ビニルアルコール構造、メタクリル酸構造、ビニルスルホン酸構造、ビニルアルコールカルボン酸エステル構造、オキシアルキレン構造等の親水性を有する構造を部分的に有するものであってもよい。また、これらのジブロック型やトリブロック型、ランダム型、交互型といった複数種の構造を有する重合体であってもよい。
さらに、含窒素水溶性高分子は、分子中の一部又は全部にカチオンを持つもの、アニオンを持つもの、アニオンとカチオンとの両方を持つもの、ノニオンを持つのものいずれであってもよい。
これらの含窒素水溶性高分子の中では、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミドがより好ましい。
水溶性高分子の重量平均分子量は、5000以上とすることができ、好ましくは10000以上、より好ましくは30000以上、さらに好ましくは40000以上である。これにより、研磨用組成物によるポリシリコンの研磨速度及び窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比が向上する。
また、水溶性高分子の重量平均分子量は、300万以下とすることができ、好ましくは100万以下、より好ましくは10万以下、さらに好ましくは6万以下である。これにより、優れた段差緩和性能が得られる。
さらに、研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量は0.0001質量%以上とすることができ、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。これにより、優れた段差緩和性能が得られる。
さらに、研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量は、1質量%以下とすることができ、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。これにより、研磨用組成物によるポリシリコンの研磨速度及び窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比が向上する。
さらに、研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量と砥粒の含有量との比([砥粒の含有量]/[水溶性高分子の含有量])は、85以下とすることができ、好ましくは65以下、より好ましくは45以下である。
さらに、研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量と第4級アンモニウム塩の含有量との比([第4級アンモニウム塩の含有量]/[水溶性高分子の含有量])は、30以上とすることができ、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上である。
5.界面活性剤について
本実施形態の研磨用組成物には水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方が添加される。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、又はこれらの塩(例えばラウリル硫酸アンモニウム)があげられる。
また、陽イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩があげられる。
さらに、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドがあげられる。
さらに、非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドがあげられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
6.その他の添加剤について
本実施形態の研磨用組成物には、その性能を向上させるために、必要に応じて、一般的な研磨用組成物に含有される公知の添加剤を更に添加してもよい。例えば、pH調整剤、酸化剤、防食剤、キレート剤、分散助剤、防腐剤、防カビ剤等の各種添加剤を添加してもよい。
6−1 pH調整剤について
本実施形態の研磨用組成物には、pHを所望の値に調整するために、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。使用されるpH調整剤は、酸及びアルカリのいずれであってもよく、また無機化合物及び有機化合物のいずれであってもよい。pH調整剤としては、例えば、硝酸、リン酸、塩酸、硫酸、クエン酸等を用いることができる。
本実施形態の研磨用組成物のpHは特に限定されるものではないが、7以上11以下としてもよい。
6−2 酸化剤について
本実施形態の研磨用組成物には、研磨対象物の表面を酸化するために、必要に応じて酸化剤を添加してもよい。酸化剤は研磨対象物の表面を酸化する作用を有し、研磨用組成物中に酸化剤を加えた場合は、研磨用組成物による研磨速度の向上効果がある。
使用可能な酸化剤は、例えば過酸化物である。過酸化物の具体例としては、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素、過塩素酸、過硫酸塩(例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)等があげられる。
6−3 防食剤について
本実施形態の研磨用組成物には、研磨対象物の表面の腐食を抑制するために、必要に応じて防食剤を添加してもよい。防食剤の具体例としては、アミン類、ピリジン類、テトラフェニルホスホニウム塩、ベンゾトリアゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、安息香酸等があげられる。
6−4 キレート剤について
本実施形態の研磨用組成物には、研磨系中の金属不純物成分を捕捉して錯体を形成することによって研磨対象物の金属汚染を抑制するために、必要に応じてキレート剤を添加してもよい。キレート剤の具体例としては、カルボン酸、アミン、有機ホスホン酸、アミノ酸等があげられる。
6−5 分散助剤について
本実施形態の研磨用組成物には、砥粒の凝集体の再分散を容易にするために、必要に応じて分散助剤を添加してもよい。分散助剤の具体例としては、ピロリン酸塩やヘキサメタリン酸塩等の縮合リン酸塩等があげられる。
6−6 防腐剤、防カビ剤について
本実施形態の研磨用組成物には、必要に応じて防腐剤や防カビ剤を添加してもよい。防腐剤及び防カビ剤としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系防腐剤や、パラオキシ安息香酸エステル類や、フェノキシエタノールがあげられる。
7.液状媒体について
本実施形態の研磨用組成物は、水、有機溶剤等の液状媒体を含有してもよい。液状媒体は、研磨用組成物の各成分(砥粒、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩、水溶性高分子、界面活性剤、添加剤等)を分散又は溶解するための分散媒又は溶媒として機能する。
液状媒体としては水、有機溶剤があげられ、1種を単独で用いることができるし、2種以上を混合して用いることができるが、水を含有することが好ましい。ただし、各成分の作用を阻害することを抑制するという観点から、不純物をできる限り含有しない水を用いることが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後にフィルタを通して異物を除去した純水や超純水、あるいは蒸留水が好ましい。
8.研磨用組成物の製造方法について
本実施形態の研磨用組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、砥粒と、第4級アンモニウム塩と、水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方と、所望により各種添加剤とを、水等の液状媒体中で攪拌、混合することによって製造することができる。混合時の温度は特に限定されるものではないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を向上させるために加熱してもよい。また、混合時間も特に限定されない。
9.研磨対象物の研磨方法について
本実施形態の研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法や条件は特に限定されるものではなく、一般的な研磨の方法、条件の範囲内において研磨対象物の研磨に好適な方法、条件を適宜選択して研磨を行えばよい。例えば、研磨対象物(例えば、窒化ケイ素膜の上にポリシリコン膜を堆積させた膜付シリコンウェーハ)と研磨パッドとの間に研磨用組成物を介在させ、研磨装置(片面研磨装置、両面研磨装置等)を用いて一般的な研磨条件で研磨を行うことによって、研磨対象物の研磨を行うことができる。
例えば、窒化ケイ素膜の上にポリシリコン膜を堆積させた膜付シリコンウェーハを研磨対象物とし、片面研磨装置を用いて研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いてシリコンウェーハを保持し、研磨パッドが貼付された定盤をシリコンウェーハの片面に押しつけて研磨用組成物を供給しながら定盤を回転させることにより、シリコンウェーハの片面を研磨する。
また、両面研磨装置を用いてシリコンウェーハを研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いてシリコンウェーハを保持し、研磨パッドが貼付された定盤をシリコンウェーハの両側からシリコンウェーハの両面にそれぞれ押しつけて、研磨用組成物を供給しながら両側の定盤を回転させることにより、シリコンウェーハの両面を研磨する。
研磨パッドの種類は特に限定されるものではなく、発泡体でもよいし、布、不織布等の非発泡体でもよく、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用できる。また、研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝を形成する溝加工が施されていてもよい。研磨パッドの材質としてはポリウレタン、アクリル、ポリエステル、アクリル−エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。
なお、本実施形態の研磨用組成物は、研磨対象物の研磨に使用された後に回収し、研磨対象物の研磨に再使用することができる。研磨用組成物を再使用する方法の一例としては、研磨装置から排出された研磨用組成物をタンクに回収し、再度研磨装置内へ循環させて研磨に使用する方法があげられる。研磨用組成物を循環使用すれば、廃液として排出される研磨用組成物の量を減らすことができるので、環境負荷を低減することができる。また、使用する研磨用組成物の量を減らすことができるので、研磨対象物の研磨に要する製造コストを抑制することができる。
本実施形態の研磨用組成物を再使用する際には、研磨に使用したことにより消費、損失された砥粒、第4級アンモニウム塩、水溶性高分子、界面活性剤、添加剤等の一部又は全部を、組成調整剤として添加した上で再使用するとよい。組成調整剤としては、砥粒、第4級アンモニウム塩、水溶性高分子、界面活性剤、添加剤等を任意の混合比率で混合したものを用いることができる。組成調整剤を追加で添加することにより、研磨用組成物が再使用されるのに好適な組成に調整され、好適な研磨を行うことができる。組成調整剤に含有される砥粒、第4級アンモニウム塩、水溶性高分子、界面活性剤、添加剤の濃度は任意であり、特に限定されず、タンクの大きさや研磨条件に応じて適宜調整すればよい。
また、本実施形態の研磨用組成物は一液型であってもよいし、研磨用組成物の成分の一部又は全部を任意の比率で混合した二液型等の多液型であってもよい。さらに、本実施形態の研磨用組成物は、原液をそのまま研磨に用いてもよいが、原液を水等の液状媒体で希釈して得た研磨用組成物の希釈物を研磨に用いてもよい。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
砥粒、第4級アンモニウム塩、水溶性高分子、及び水を混合して、研磨用組成物を製造した(表1を参照)。砥粒は、平均一次粒子径35nmの繭形のコロイダルシリカであり、研磨用組成物中の砥粒の濃度は2.0質量%である。第4級アンモニウム塩はベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(以下「BTMAH」と記す)であり、研磨用組成物中のBTMAHの濃度は0.05質量%である。水溶性高分子は、重量平均分子量(Mw)45000のポリ−N−ビニルピロリドン(以下「PVP」と記す)であり、研磨用組成物中のPVPの濃度は0.02質量%である。また、この研磨用組成物のpHは10.0であった。
Figure 2017057263
(実施例2〜9)
研磨用組成物中の砥粒、BTMAH、及びPVPの濃度、並びに、PVPの重量平均分子量(Mw)を、表1に示す通りとした点以外は、実施例1と同様にして研磨用組成物を製造した。これらの研磨用組成物のpHは表1に示す通りであった。
(実施例10)
水溶性高分子としてPVPに代えて重量平均分子量500000のポリビニルメチルケトン(以下「PVMK」と記す)を用い、研磨用組成物中のPVMKの濃度を0.05質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(実施例11)
水溶性高分子としてPVPに代えて重量平均分子量216000のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸交互共重合体(以下「PMVEMA」と記す)を用い、研磨用組成物中のPMVEMAの濃度を0.05質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(実施例12)
この実施例は、水溶性高分子に代えて界面活性剤を用いた例である。水溶性高分子に代えて界面活性剤であるラウリル硫酸アンモニウム(以下「ALS」と記す)を用い、研磨用組成物中のALSの濃度を0.10質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例1)
第4級アンモニウム塩としてBTMAHに代えてトリメチルアンモニウムヒドロキシド(以下「TMAH」と記す)を用い、研磨用組成物中のTMAHの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.4であった。
(比較例2)
第4級アンモニウム塩としてBTMAHに代えてトリエチルアンモニウムヒドロキシド(以下「TEAH」と記す)を用い、研磨用組成物中のTEAHの濃度を0.08質量%とした点以外は、実施例4と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.2であった。
(比較例3)
第4級アンモニウム塩としてBTMAHに代えてトリブチルアンモニウムヒドロキシド(以下「TBAH」と記す)を用い、研磨用組成物中のTBAHの濃度を0.12質量%とした点以外は、実施例4と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.1であった。
(比較例4)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例5)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例4と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例6)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例6と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例7)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例10と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例8)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例11と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例9)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点と、水溶性高分子としてPVPに代えて重量平均分子量40000のポリビニルアルコール(以下「PVA」と記す)を用い、研磨用組成物中のPVAの濃度を0.10質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例10)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点と、水溶性高分子としてPVPに代えて重量平均分子量250000のヒドロキシエチルセルロース(以下「HEC」と記す)を用い、研磨用組成物中のHECの濃度を0.04質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
(比較例11)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点と、水溶性高分子としてPVPに代えて重量平均分子量1100のポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール(以下「POEPOP」と記す)を用い、研磨用組成物中のPOEPOPの濃度を0.10質量%とした点以外は、実施例2と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
なお、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコールの「(3)」はオキシエチレン単位の平均繰り返し数が3であることを意味する。同様に「(17)」はオキシプロピレン単位の平均繰り返し数が17であることを意味する。
(比較例12)
第4級アンモニウム塩に代えて塩基としてアンモニアを用い、研磨用組成物中のアンモニアの濃度を0.07質量%とした点以外は、実施例12と同様にして研磨用組成物を製造した。この研磨用組成物のpHは10.0であった。
次に、これらの研磨用組成物を用いて研磨対象物の研磨を行った。まず、ポリシリコン膜を表面に有するシリコンウェーハ(SVM社製)及び窒化ケイ素膜を表面に有するシリコンウェーハ(SVM社製)を研磨対象物とし、同一の研磨方法、研磨条件でそれぞれ研磨を行って、ポリシリコン及び窒化ケイ素の研磨速度をそれぞれ算出した。そして、算出したポリシリコンの研磨速度と窒化ケイ素の研磨速度から、窒化ケイ素の研磨速度に対するポリシリコンの研磨速度の比(研磨速度比)を算出した。
各研磨速度及び研磨速度比の値を表1に示す。研磨速度は、シリコンウェーハのポリシリコン膜又は窒化ケイ素膜の研磨前後での膜厚差を研磨時間で除することにより算出した。よって、研磨速度の単位はnm/minである。ポリシリコン膜又は窒化ケイ素膜の膜厚は、ケーエルエー・テンコール株式会社製の膜厚測定装置ASET−F5x(商品名)を用いて測定した。
研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:株式会社荏原製作所製のCMP装置F−REX300E(商品名)
研磨パッド:ダウ・エレクトロニック・マテリアルズ社製の研磨パッド IC1010(商品名)
研磨荷重:10.3kPa
定盤回転速度:60rpm
キャリア回転速度:65rpm
研磨時間:1分間
研磨用組成物の供給速度:300mL/分(掛け流し使用)
次に、配線が形成されたシリコンウェーハ(図1を参照)を研磨対象物とし、実施例1〜12及び比較例1〜12の研磨用組成物を用いてそれぞれ研磨を行った。まず、研磨対象物であるシリコンウェーハの構成について、図1を参照しながら説明する。このシリコンウェーハは、アドバンスマテリアルテクノロジー株式会社製の直径300mmのウェーハであり、シリコン基板1上に酸化ケイ素膜2、窒化ケイ素膜3、及びポリシリコン膜4が形成されたものである。
詳述すると、シリコン基板1上に、熱酸化による酸化ケイ素膜2(膜厚12.5nm)が形成されており、さらに酸化ケイ素膜2の上に減圧化学気相蒸着法による窒化ケイ素膜3(膜厚70.0nm)が形成されている。そして、酸化ケイ素膜2及び窒化ケイ素膜3の一部が除去されて、溝状のトレンチ(最小幅0.18μm)が複数形成されている。さらに、窒化ケイ素膜3の上にポリシリコン膜4(膜厚152.5nm)が堆積されており、トレンチ内もポリシリコンで埋められている。
このようなシリコンウェーハの表面(ポリシリコン膜4の表面)のトレンチの上方部分には、段差(ステップ)4aが形成されている。この段差4aのステップ高さは70nmである。そして、このシリコンウェーハの表面を、実施例1〜12及び比較例1〜12の研磨用組成物を用いてそれぞれ研磨し、研磨後に残っている段差4aのステップ高さを測定した。
研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:日本エンギス株式会社製のラッピング装置EJ−380IN(商品名)
研磨パッド:ダウ・エレクトロニック・マテリアルズ社製の研磨パッド IC1010(商品名)
研磨荷重:6.9kPa
定盤回転速度:70rpm
研磨時間:1分間
研磨用組成物の供給速度:100mL/分(掛け流し使用)
また、ステップ高さの測定には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の高分解能表面トポグラフィプロファイリングシステムHRP340(商品名)を用いた。結果を表1に示す。表1においては、研磨後に残っている段差4aのステップ高さが8nm未満であった場合は「A」、8nm以上12nm未満であった場合は「B」、12nm超過であった場合は「C」と示してある。
表1から分かるように、実施例1〜12の研磨用組成物を用いた研磨では、研磨速度比が大きく、ポリシリコンの研磨速度が大きく、且つ、窒化ケイ素の研磨速度が小さかった。また、ステップ高さはA又はBであり、研磨後に残る段差4aは小さかった。
これに対して、比較例1〜12の研磨用組成物を用いた研磨では、ポリシリコンの研磨速度が大きいものや、窒化ケイ素の研磨速度が小さいものはあるものの、いずれも研磨速度比は小さく、250未満であった。また、ステップ高さについては、A又はBであるものもあったが、Cであるもの(研磨後に残る段差4aが大きいもの)もあった。
1 シリコン基板
2 酸化ケイ素膜
3 窒化ケイ素膜
4 ポリシリコン膜
4a 段差

Claims (3)

  1. ポリシリコン及びアモルファスシリコンの少なくとも一方と窒化ケイ素とを有する研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物であって、砥粒と、構造中にベンゼン環を有する第4級アンモニウム塩と、水溶性高分子及び界面活性剤の少なくとも一方と、を含有する研磨用組成物。
  2. 前記水溶性高分子が含窒素水溶性高分子である請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記第4級アンモニウム塩のアンモニウムイオンが下記化学式1で表されるものであり、下記化学式1中のxは1以上15以下の整数であり、y、z、及びwはそれぞれ独立して0以上4以下の整数である請求項1又は請求項2に記載の研磨用組成物。
    Figure 2017057263
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