JP2016017149A - 研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法 - Google Patents

研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低研磨傷で酸化珪素及びポリシリコンを高速に研磨できる研磨剤、研磨剤セットおよび基体の研磨方法を提供する。【解決手段】 水と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、一般式(I)で表されるカチオン化合物と、を含有する、研磨剤。【化1】[一般式(I)中、Rは、各々独立に、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基、ベンジル基を示す。]一般式(I)中のRは置換基を有してもよいアリール基を1つと、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基を3つ有するものが好ましい。また、一般式(I)中の少なくとも3つのRは、炭素原子数1〜2(C1〜C2)のアルキル基を有するものが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法に関する。特に、本発明は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)用の研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法に関する。
近年、半導体素子の製造工程では、更なる配線の微細化を達成することが求められており、研磨時に発生する研磨傷が問題となっている。例えば、従来の酸化セリウム系研磨剤を用いて研磨を行った際に微小な研磨傷が発生しても、この研磨傷の大きさが従来の配線幅より小さいものであれば問題にならなかったが、更なる配線の微細化を達成しようとする場合には、研磨傷が微小であっても問題となってしまう。
この問題に対し、4価金属元素の水酸化物の粒子を用いた研磨剤が検討されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。また、4価金属元素の水酸化物の粒子の製造方法についても検討されている(例えば、下記特許文献4、5参照)。これらの技術は、4価金属元素の水酸化物の粒子が有する化学的作用を活かしつつ機械的作用を極力小さくすることによって、粒子による研磨傷を低減しようとするものである。
ところで、半導体素子の製造工程が多様化し、酸化珪素、窒化珪素、ポリシリコン等の様々な被研磨材料を含む被研磨面を研磨し、状況に応じて、対象物の研磨速度を抑制する要求がある。
国際公開第2002/067309号 国際公開第2012/070541号 国際公開第2012/070542号 特開2006−249129号公報 国際公開第2012/070544号
4価金属元素の水酸化物の粒子を用いた研磨剤に対しては、酸化珪素やポリシリコンを高速に研磨する要求もある。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、被研磨面の研磨傷の発生を抑制し、酸化珪素及びポリシリコンを高速に研磨できる研磨剤、研磨剤セットおよび基体の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、下記一般式(I)の構造のカチオン化合物とを併用することにより酸化珪素及びポリシリコンを高速に研磨できることを見出した。
すなわち、本発明は、水と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、一般式(I)で表されるカチオン化合物と、を含有する、研磨剤を提供する。本発明に係る研磨剤によれば、酸化珪素及びポリシリコンを高速に研磨することができる。
Figure 2016017149
[一般式(I)中、Rは、各々独立に、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基、ベンジル基を示す。]
一般式(I)中のRは、置換基を有してもよいアリール基を1つと、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基を3つ有するカチオン化合物であることが好ましい。また、一般式(I)中の少なくとも3つのRは、炭素原子数1〜2(C1〜C2)のアルキル基を有するカチオン化合物であることが好ましい。
さらに、前記4価金属元素は、4価セリウムであることが好ましい。これにより、酸化珪素及びポリシリコンの研磨速度を向上させつつ、被研磨面における研磨傷の発生を抑制できる。
本発明の一態様は、酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む被研磨面の研磨への前記研磨剤の使用に関する。すなわち、本発明に係る研磨剤は、酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む被研磨面を研磨するために使用されることが好ましい。
本発明は、前記研磨剤の構成成分が第一の液と第二の液とに分けて保存され、前記第一の液が前記砥粒及び水を含み、前記第二の液が前記一般式(I)のカチオン化合物及び水を含む、研磨剤セットを提供する。本発明に係る研磨剤セットによれば、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明は、前記研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備え、前記被研磨面が酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む、基体の研磨方法を提供する。このような基体の研磨方法によれば、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明は、前記研磨剤セットにおける前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備え、前記被研磨面が酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む、基体の研磨方法を提供する。このような基体の研磨方法によれば、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明によれば、4価金属元素の水酸化物粒子の研磨傷低減効果を保持しつつ、酸化珪素及びポリシリコンを高速に研磨できる研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法を提供することができる。また、本発明によれば、酸化珪素及びポリシリコンの研磨への研磨剤又は研磨剤セットの使用を提供できる。本発明によれば、酸化珪素及びポリシリコンと他の被研磨材料(例えば、窒化珪素)とを含む被研磨面において特定の被研磨材料(例えば、酸化珪素、ポリシリコン)を選択的に研磨する研磨工程への研磨剤又は研磨剤セットの使用を提供できる。
以下、本発明の一実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット、及び、前記研磨剤又は前記研磨剤セットを用いた基体の研磨方法について詳細に説明する。
<定義>
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「研磨速度(Polishing Rate)」とは、単位時間当たりに材料が除去される速度(除去速度=Removal Rate)を意味する。
<研磨剤>
本実施形態に係る研磨剤は、研磨時に被研磨面に触れる組成物であり、例えばCMP用研磨剤である。具体的には、本実施形態に係る研磨剤は、水と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、一般式(I)の構造のカチオン化合物とを少なくとも含有する。本実施形態に係る研磨剤によれば、酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を高速に研磨することができる。以下、必須成分、及び、任意に添加できる成分について説明する。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨剤は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する。前記4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、シリカ又はセリアからなる従来の砥粒と比較して、酸化珪素、ポリシリコンとの反応性が高く、酸化珪素、ポリシリコンを高研磨速度で研磨できる。本実施形態に係る研磨剤において、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と併用することのできる他の砥粒としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、セリア粒子等が挙げられる。また、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒として、4価金属元素の水酸化物粒子とシリカ粒子との複合粒子等を用いることもできる。
前記砥粒における前記4価金属元素の水酸化物の含有量の下限は、砥粒の全質量を基準として80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。前記砥粒は、研磨剤の調製が容易であると共に研磨特性に更に優れる観点から、前記4価金属元素の水酸化物からなる(実質的に砥粒の100質量%が前記4価金属元素の水酸化物である)ことが好ましい。
4価金属元素の水酸化物は、酸化珪素、ポリシリコンを更に高速に研磨すると共に被研磨面における研磨傷の発生を抑制する観点から、希土類元素の水酸化物及びジルコニウムの水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。4価金属元素は、酸化珪素、ポリシリコンを更に高速に研磨すると共に被研磨面における研磨傷の発生を更に抑制する観点から、希土類元素が好ましい。4価を取り得る希土類元素としては、セリウム、プラセオジム、テルビウム等のランタノイドなどが挙げられ、入手が容易であると共に酸化珪素、ポリシリコンの研磨速度に更に優れる観点から、セリウムがより好ましい。希土類元素の水酸化物とジルコニウムの水酸化物とを併用してもよく、希土類元素から二種以上を選択して使用することもできる。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を作製する方法としては、4価金属元素を含む塩と、アルカリ液とを混合する手法が使用できる。この方法は、例えば、「希土類の科学」[足立吟也編、株式会社化学同人、1999年]304〜305頁に説明されている。また、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を作製する方法としては、前記特許文献5に記載の砥粒を用いてもよい。
4価金属元素を含む塩としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、M(SO、M(NH(NO、M(NH(SO(Mは希土類元素を示す。)、Zr(SO・4HO等が挙げられる。Mとしては、化学的に活性なセリウム(Ce)が好ましい。
アルカリ液としては、従来公知のものを特に制限なく使用できる。アルカリ液中の塩基性化合物としては、イミダゾール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、グアニジン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、キトサン等の有機塩基;アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基などが挙げられる。これらのうち、酸化珪素、ポリシリコンの研磨速度を更に向上させる観点から、アンモニア及びイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、イミダゾールがより好ましい。
前記方法で合成された4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、洗浄して金属不純物を除去できる。砥粒の洗浄方法としては、遠心分離等で固液分離を数回繰り返す方法などが使用できる。また、遠心分離、透析、限外濾過、イオン交換樹脂等によるイオンの除去などの工程で砥粒を洗浄することもできる。
前記で得られた砥粒が凝集している場合、適切な方法で砥粒を水中に分散させることが好ましい。主な分散媒である水に砥粒を分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理の他に、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を用いた分散処理などが挙げられる。分散方法及び粒径制御方法については、例えば、「分散技術大全集」[株式会社情報機構、2005年7月]第三章「各種分散機の最新開発動向と選定基準」に記述されている方法を用いることができる。また、前記洗浄処理を行って、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する分散液の電気伝導度を下げる(例えば500mS/m以下)ことによっても、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒の分散性を高めることができる。そのため、前記洗浄処理を分散処理として適用してもよく、前記洗浄処理と分散処理とを併用してもよい。
砥粒の平均粒径の下限は、酸化珪素、ポリシリコンに対する更に好適な研磨速度を得る観点から、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。砥粒の平均粒径の上限は、被研磨面に傷がつくことを更に抑制する観点から、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。上記観点から、砥粒の平均粒径は、1nm以上、300nm以下であることがより好ましい。
砥粒の「平均粒径」とは、砥粒の平均二次粒径を意味する。砥粒の平均粒径は、例えば、研磨剤、又は、後述する研磨剤セットにおけるスラリについて、光子相関法で測定できる。具体的には例えば、砥粒の平均粒径は、マルバーン社製の装置名:ゼータサイザー3000HS、ベックマンコールター社製の装置名:N5等で測定できる。N5を用いた測定方法は、下記のとおりである。具体的には例えば、砥粒の含有量を0.2質量%に調整した水分散液を調製し、この水分散液を1cm角のセルに約4mL(Lは「リットル」を示す。以下同じ)入れ、装置内にセルを設置する。分散媒の屈折率を1.33、粘度を0.887mPa・sに調整し、25℃において測定を行い、表示される平均粒径値を砥粒の平均粒径として採用できる。
砥粒の含有量の下限は、酸化珪素、ポリシリコンに対する更に好適な研磨速度を得る観点から、研磨剤の全質量を基準として0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。砥粒の含有量の上限は、研磨剤の保存安定性が高くなる観点から、研磨剤の全質量を基準として20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。上記観点から、砥粒の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.01質量%以上、20質量%以下であることがより好ましい。
(添加剤)
本実施形態に係る研磨剤は、添加剤を含有する。ここで、「添加剤」とは、研磨速度、研磨選択性等の研磨特性;砥粒の分散性、保存安定性等の研磨剤特性などを調整するために、水及び砥粒以外に研磨剤が含有する物質を指す。添加剤は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
本実施形態に係る研磨剤は、添加剤として、下記一般式(I)で表されるカチオン化合物を含有する。一般式(I)で表されるカチオン化合物は、酸化珪素及びポリシリコンの研磨速度を高める効果がある。この効果が得られる理由としては、一般式(I)の添加剤が酸化珪素及びポリシリコンと砥粒との親和性を高めることで研磨速度を高めていると推測される。特に、酸化珪素及びポリシリコンの研磨速度をより高める効果が得られる点で、一般式(I)中の置換基を有しても良いアリール基を1つと、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基を3つ有してなる化合物が好ましく、アルキル基は炭素原子数1〜2(C1〜C2)であるものがより好ましい。
Figure 2016017149
[一般式(I)中、Rは、各々独立に、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基、ベンジル基を示す。]
炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基及びその異性体(1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル)、ヘキシル基及びその異性体が挙げられる。アリール基として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、べンゾ[a]フルオレニル基、べンゾ[b]フルオレニル基、べンゾ[c]フルオレニル基、インデニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、これらアリール基は置換基を有していてもよい。置換基として、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよく、例えば、酸素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、置換もしくは非置換アミノ基、芳香族複素環基、アセトキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換カルバモイル基、アジド基、置換もしくは非置換アシルアミノ基、カルバメート基、フェニル基が挙げられる。
一般式(I)で表されるカチオン化合物として、たとえば、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムハライド、ベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ベンジルトリエチルアンモニウムハライド、ベンジルトリブチルアンモニウムハライド、トリメチルフェニルアンモニウムハライド等が挙げられる。また、化合物中のハロゲンとして、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
一般式(I)で表されるカチオン化合物は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
一般式(I)で表されるカチオン化合物の含有量の下限は、酸化珪素、ポリシリコンの研磨速度を速くする点から、研磨剤の全質量を基準として0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上が更に好ましい。一般式(I)で表されるカチオン化合物の含有量の上限は、十分な研磨速度を得られる点から、研磨剤の全質量を基準として0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が更に好ましい。上記観点から、一般式(I)で表されるカチオン化合物の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.005質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。
(研磨剤の特性)
本実施形態に係る研磨剤のpHの下限は、酸化珪素、ポリシリコンの研磨速度を向上させる点から、3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4.0以上が更に好ましく、4.5以上が特に好ましい。研磨剤のpHの上限は、酸化珪素、ポリシリコンの研磨速度を向上させる点、保存安定性の点から、6.0以下が好ましく、5.5以下がより好ましく、5.0以下が特に好ましい。上記の観点から、研磨剤のpHは、3.0以上、6.0以下がより好ましい。pHは、液温25℃におけるpHと定義する。
研磨剤のpHは、無機酸、有機酸等の酸成分;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のアルカリ成分などによって調整できる。また、pHを安定化させるため、緩衝液を添加してもよい。このような緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、フタル酸塩緩衝液等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨剤のpHは、pHメータ(例えば、電気化学計器株式会社製の型番PHL−40)で測定できる。具体的には例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH4.01)と中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86)とを標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を研磨剤に入れて、3min以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、標準緩衝液及び研磨剤の液温は共に25℃とする。
本実施形態に係る研磨剤は、砥粒、第一の添加剤(一般式(I)で表されるカチオン化合物)及び水を少なくとも含む一液式研磨剤として保存してもよく、スラリ(第一の液)と添加液(第二の液)とを混合して前記研磨剤となるように前記研磨剤の構成成分をスラリと添加液とに分けた二液式の研磨剤セット(例えばCMP用研磨剤セット)として保存してもよい。スラリは、例えば、砥粒及び水を少なくとも含む。添加液は、例えば、添加剤(一般式(I)で表されるカチオン化合物)及び水を少なくとも含む。添加剤及び緩衝液は、スラリ及び添加液のうち添加液に含まれることが好ましい。なお、前記研磨剤の構成成分は、三液以上に分けた研磨剤セットとして保存してもよい。
前記研磨剤セットにおいては、研磨直前又は研磨時に、スラリ及び添加液が混合されて研磨剤が調製される。また、一液式研磨剤は、水の含有量を減じた研磨剤用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に水で希釈して用いられてもよい。二液式の研磨剤セットは、水の含有量を減じたスラリ用貯蔵液及び添加液用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に水で希釈して用いられてもよい。
一液式研磨剤を用いて研磨する場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、研磨剤を直接送液して供給する方法;研磨剤用貯蔵液及び水を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめ研磨剤用貯蔵液及び水を混合しておき供給する方法等を用いることができる。
スラリと添加液とに分けた二液式の研磨剤セットとして保存する場合、これら二液の配合を任意に変えることにより研磨速度の調整ができる。研磨剤セットを用いて研磨する場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、例えば、下記に示す方法が挙げられる。例えば、スラリと添加液とを別々の配管で送液し、これらの配管を合流、混合させて供給する方法;スラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び水を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめスラリ及び添加液を混合しておき供給する方法;あらかじめスラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び水を混合しておき供給する方法を用いることができる。また、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とをそれぞれ研磨定盤上へ供給する方法を用いることもできる。この場合、研磨定盤上においてスラリ及び添加液が混合されて得られる研磨剤を用いて被研磨面が研磨される。
<基体の研磨方法>
本実施形態に係る基体の研磨方法は、前記一液式研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよく、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよい。本実施形態に係る基体の研磨方法において、被研磨面は、例えば酸化珪素、ポリシリコンを含む。研磨工程は、前記一液式研磨剤、又は、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨剤を用いて、酸化珪素及びポリシリコンと他の被研磨材料(例えば、窒化珪素等)とを含む被研磨面において特定の被研磨材料(例えば酸化珪素、ポリシリコン)を選択的に研磨する研磨工程であってもよい。この場合、基体は、例えば、酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む部材と、他の被研磨材料を含む部材とを有していてもよい。
酸化珪素の研磨速度は、30 nm/min以上が好ましく、120 nm/min以上がより好ましく、180 nm/min以上が更に好ましい。研磨速度が180 nm/min以上であることにより、デバイス製造におけるスループット向上に大きく貢献できる。
ポリシリコンの研磨速度は、30 nm/min以上が好ましく、80 nm/min以上がより好ましく、140 nm/min以上が更に好ましい。研磨速度が140 nm/min以上であることにより、デバイス製造におけるスループット向上に大きく貢献できる。
研磨工程では、例えば、被研磨材料(酸化珪素やポリシリコン及び/又は、酸化珪素やポリシリコン以外の被研磨材料)を有する基体の当該被研磨材料を研磨定盤の研磨パッド(研磨布)に押圧した状態で、前記研磨剤を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給し、基体と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料を研磨する。研磨工程では、例えば、被研磨材料の少なくとも一部を研磨により除去する。被研磨材料は、例えば膜状(被研磨膜)であってもよい。
研磨対象である基体としては、基板等が挙げられる。基体としては、半導体素子製造に係る基板(例えば、STIパターン、ゲートパターン、配線パターン等が形成された半導体基板)上に被研磨材料が形成された基体などが挙げられる。
以下、本実施形態に係る基体(半導体基板等)の研磨方法を更に説明する。本実施形態に係る研磨方法において、研磨装置としては、被研磨面を有する基体(半導体基板等)を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用できる。ホルダー及び研磨定盤のそれぞれには、例えば、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてある。研磨装置としては、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Mirra−3400、Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F REX−300)等が挙げられる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、アクリル−エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標名)及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。研磨パッドの材質としては、特に、研磨速度及び平坦性に優れる観点から、発泡ポリウレタン及び非発泡ポリウレタンが好ましい。研磨パッドには、研磨剤がたまるような溝加工が施されていてもよい。
研磨条件に制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基体が飛び出さないように200min−1(rpm)以下が好ましく、基体にかける研磨圧力(加工荷重)は、研磨傷が発生することを充分に抑制する観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等で連続的に研磨剤を研磨パッドに供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨剤で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基体は、流水中でよく洗浄して、基体に付着した粒子を除去することが好ましい。洗浄には、純水以外に希フッ酸又はアンモニア水を用いてもよく、洗浄効率を高めるためにブラシを用いてもよい。また、洗浄後は、基体に付着した水滴を、スピンドライヤ等を用いて払い落としてから基体を乾燥させることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<4価金属元素の水酸化物の合成>
7.603Lの水を容器に入れた後、濃度50質量%の硝酸セリウムアンモニウム水溶液(化学式:Ce(NH(NO、式量:548.2g/mol、日本化学産業株式会社製、製品名50%CAN液)を0.715L加えて混合した。その後、液温を40℃に調整して金属塩水溶液(金属塩濃度:0.114mol/L)を得た。
次に、イミダゾールを水に溶解させて濃度0.7mol/Lの水溶液を4.566L用意した後、液温を40℃に調整してアルカリ液を得た。
前記金属塩水溶液の入った容器を、水を張った水槽に入れた。外部循環装置クールニクスサーキュレータ(東京理化器械株式会社(EYELA)製、製品名クーリングサーモポンプ CTP101)を用いて、水槽の水温を40℃に調整した。水温を40℃に保持しつつ、撹拌速度400min−1で金属塩水溶液を撹拌しながら、前記アルカリ液を混合速度8.5×10−6/minで容器内に加え、4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を含有するスラリ前駆体1を得た。スラリ前駆体1のpHは2.2であった。なお、羽根部全長5cmの3枚羽根ピッチパドルを用いて金属塩水溶液を撹拌した。
分画分子量50000の中空糸フィルタを用いて、得られたスラリ前駆体1を循環させながら限外ろ過して、導電率が50mS/m以下になるまでイオン分を除去することにより、スラリ前駆体2を得た。前記限外ろ過は、液面センサを用いて、スラリ前駆体1の入ったタンクの水位を一定にするように水を添加しながら行った。得られたスラリ前駆体2を適量とり、乾燥前後の質量を量ることにより、スラリ前駆体2の不揮発分含量(4価セリウムの水酸化物を含む砥粒の含量)を算出した。なお、この段階で不揮発分含量が1.0質量%未満であった場合には、限外ろ過を更に行うことにより、1.1質量%を超える程度に濃縮した。最後に、適量の水を追加し、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(粒子の含有量:1.0質量%)を調製した。
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液を適量採取し、砥粒の含有量が0.2質量%となるように水で希釈して測定サンプル(水分散液)を得た。測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、ベックマンコールター社製の装置名:N5内にセルを設置した。分散媒の屈折率を1.33、粘度を0.887mPa・sに調整し、25℃において測定を行い、表示された平均粒径値を平均二次粒径とした。結果は21nmであった。
<CMP用研磨剤の調製>
[実施例1]
一般式(I)の材料としてカチオン界面活性剤であるトリメチルフェニルアンモニウムクロリド[ライオン株式会社製]0.02質量%、及び水99.98質量%を含有する添加液用貯蔵液500gと、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液150gと、水350gとを混合することにより、表1に記載される組成のCMP用研磨剤(1000g)を調製した。
尚、研磨液のpHを2−メチルイミダゾールを添加することで4.8に調整した。当該CMP用研磨剤は、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.15質量%、一般式(I)のカチオン化合物を0.01質量%、2‐メチルイミダゾールを0.0034質量%含有する。
[比較例1]
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液150gと、水850gとを混合することにより、表1に記載される組成のCMP用研磨剤(1000g)を調製した。尚、研磨液のpHを2−メチルイミダゾールを添加することで4.8に調整した。当該CMP用研磨剤は、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.15質量%含有する。2‐メチルイミダゾールを0.0008質量%含有する。
<液状特性評価>
前記で得られたCMP用研磨剤のpHを下記の条件で評価した。
(pH測定条件)
測定温度:25±5℃
測定装置:電気化学計器株式会社製、型番PHL−40
測定方法:標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液、pH:4.01(25℃);中性リン酸塩pH緩衝液、pH6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極をCMP用研磨剤に入れて、3min以上経過して安定した後のpHを前記測定装置により測定した(本実施例では3min後に測定)。
<CMP評価:ブランケットウエハ評価>
前記CMP用研磨剤のそれぞれを用いて下記CMP条件で被研磨基板を研磨した。
(CMP条件)
・研磨装置:Reflexion LK(APPLIED MATERIALS社製)
・CMP用研磨剤流量:200mL/min
・被研磨基板:パターンが形成されていないブランケットウエハとして、厚さ1μm(1000nm)の酸化珪素膜をシリコン基板上にプラズマCVD法で形成した基板と、厚さ0.2μm(200nm)のポリシリコン膜をシリコン基板上にCVD法で形成した基板とを用いた。
・研磨パッド:独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番IC1010)、ショアD硬度=60
・研磨圧力:20kPa(3.0psi)
・基板及び研磨定盤の回転数:基板/研磨定盤=93/87min−1(rpm)
・研磨時間:1min
・ウエハの洗浄及び乾燥:CMP処理後、PVCブラシによる洗浄を行い、続いて、スピンドライヤで乾燥させた。
(ブランケットウエハ研磨速度の測定)
前記条件で研磨及び洗浄した各被研磨膜(酸化珪素膜、ポリシリコン)の研磨速度(酸化珪素膜の研磨速度:SiORR、ポリシリコン膜の研磨速度:pSiRRを下記式より求めた。なお、研磨前後での各被研磨膜の膜厚差は、光干渉式膜厚装置(フィルメトリクス社製、商品名:F80)を用いて求めた。
(研磨速度:RR)=(研磨前後での各被研磨膜の膜厚差(nm))/(研磨時間(min))
実施例及び比較例で得られた各測定結果を表1に示した。なお、表1中の記号は下記の通りである。
A1:トリメチルフェニルアンモニウムクロリド(ライオン株式会社製)
Figure 2016017149
本発明によれば、同一研磨条件で、同じ量のセリウム水酸化物を用いて、一般式(I)で示すカチオン化合物を用いることで(実施例1)、それを用いない場合(比較例1)に比べ酸化珪素の場合約2倍、ポリシリコンの場合約3倍速く研磨することができる。本発明は、このように酸化珪素、ポリシリコンを高速に研磨できる研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法を提供できる。

Claims (8)

  1. 水と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、一般式(I)で表されるカチオン化合物と、を含有する、研磨剤。
    Figure 2016017149
    [一般式(I)中、Rは、各々独立に、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基、ベンジル基を示す。]
  2. 一般式(I)中のRは置換基を有してもよいアリール基を1つと、炭素原子数1〜6(C1〜C6)のアルキル基を3つ有するカチオン化合物である請求項1に記載の研磨剤。
  3. 一般式(I)中の少なくとも3つのRは、炭素原子数1〜2(C1〜C2)のアルキル基を有するカチオン化合物である請求項1又は2に記載の研磨剤。
  4. 前記4価金属元素が4価セリウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤。
  5. 酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む被研磨面を研磨するために使用される、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の研磨剤の構成成分が第一の液と第二の液とに分けて保存され、前記第一の液が前記砥粒及び水を含み、前記第二の液が請求項1に記載の一般式(I)のカチオン化合物及び水を含む、研磨剤セット。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備え、前記被研磨面が酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む、基体の研磨方法。
  8. 請求項6に記載の研磨剤セットにおける前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備え、前記被研磨面が酸化珪素及びポリシリコン、又は、どちらか一方を含む、基体の研磨方法。
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