JP6569191B2 - 研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法 - Google Patents

研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法に関する。特に、本発明は、半導体素子の製造工程に用いられる研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法に関する。
ULSI半導体素子の製造技術として、現在、半導体素子の高密度化及び微細化のための加工技術が研究開発されている。CMP(ケミカルメカニカルポリッシング:化学機械研磨)技術はこのような加工技術の一つである。CMPを用いた平坦化技術は、半導体素子の製造工程において、層間絶縁材料の平坦化、STI(シャロートレンチアイソレーション)形成、プラグ形成、埋め込み金属配線形成(ダマシン工程)等を行う際に必須の技術となってきている。CMP工程(CMP技術を用いた平坦化工程)は、一般に、研磨パッド(研磨布)と基体の被研磨材料との間にCMP研磨剤を供給し、被研磨材料を研磨パッドにより研磨することによって行われる。
CMPに用いる研磨剤(以下「CMP研磨剤」という。)として、種々の研磨剤が知られている。CMP研磨剤を砥粒(研磨粒子)の種類によって分類すると、酸化セリウム(セリア)粒子を含むセリア系研磨剤、酸化珪素(シリカ)粒子を含むシリカ系研磨剤、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子を含むアルミナ系研磨剤、有機樹脂粒子を含む樹脂粒子系研磨剤等が知られている。
ところで、近年、半導体素子の製造工程では更なる配線の微細化を達成することが求められており、研磨時に発生する研磨傷が問題となっている。すなわち、従来の研磨剤を用いて研磨を行った際に微小な研磨傷が発生しても、この研磨傷の大きさが従来の配線幅より小さいものであれば問題にならなかったが、更なる配線の微細化を達成しようとする場合には問題となってしまう。
この問題に対し、研磨剤に含まれる砥粒の平均粒径を小さくする試みがなされている。しかしながら、平均粒径を小さくすると、機械的作用が低下するため研磨速度が低下してしまう問題がある。このように研磨速度及び研磨傷の両立は困難極まりない。これに対し、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を用いた研磨剤が検討されている(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
また、STIを形成するためのCMP工程等においては、凹凸パターンを有する基板と、基板の凸部上に配置されたストッパ(研磨停止層)と、基板の凹部を埋めるように基板及びストッパの上に配置された絶縁材料(例えば、酸化珪素)と、を有する積層体の研磨が行われる。このような研磨では、絶縁材料の研磨がストッパにより停止される。すなわち、ストッパが露出した段階で絶縁材料の研磨を停止させる。これは絶縁材料の研磨量(例えば絶縁膜における除去される膜厚)を人為的に制御することが難しいためであり、ストッパが露出するまで絶縁材料を研磨することにより研磨の程度を制御している。この場合、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性(研磨速度比:絶縁材料の研磨速度/ストッパ材料の研磨速度)を高める必要がある。
このような要求に対して、添加剤を含む研磨剤が知られている(例えば、下記特許文献4参照)。この技術によれば、4価金属元素の水酸化物の粒子と、カチオン性の重合体及び多糖類の少なくとも一方とを含む研磨剤によって、窒化珪素をストッパ材料として用いて酸化珪素を研磨することが記載されている。
従来、ストッパ材料として窒化珪素が用いられているが、近年、ポリシリコンをストッパ材料として用いることが増えてきている。この場合、ポリシリコンに対する絶縁材料の研磨選択性を更に高める必要がある。このような要求に対して、添加剤を含む研磨剤が知られている(例えば、下記特許文献5参照)。
国際公開第2002/067309号 国際公開第2012/070541号 国際公開第2012/070542号 国際公開第2012/070544号 国際公開第2013/125446号
分散技術大全集、株式会社情報機構、2005年7月、第三章「各種分散機の最新開発動向と選定基準」
ところで、STIを形成するためのCMP工程等においては、酸化珪素等の絶縁材料を研磨してストッパが露出した段階で研磨を停止させた後、ストッパ上に絶縁材料が残存することを避けるため、ストッパが露出した後も余分に研磨を行うことがある。この余分な研磨は、「オーバー研磨」と呼ばれている。例えば、ストッパが露出するまでにかかる研磨時間と同時間のオーバー研磨を行うことを、「100%オーバー研磨」という。
オーバー研磨を行う場合において、単に、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性が高い研磨剤を用いると、ストッパ上に位置する絶縁材料以外の絶縁材料までもが余分に研磨される。これにより、ディッシング(素子分離層等としての絶縁材料に凹み(段差)が生じる現象)が進行してしまい、研磨後の平坦性が劣る場合がある。そのため、STIを形成するためのCMP工程においては、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を高めるだけでなく、ストッパが露出した際に、ストッパ上に位置する絶縁材料以外の絶縁材料が過剰に研磨されることを抑制する必要がある場合がある。
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであり、ストッパを用いて絶縁材料を研磨するCMP技術において、ストッパ材料に対する絶縁材料の優れた研磨選択性が得られると共に研磨終了後の基体表面を高度に平坦化することが可能な研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明に係る研磨剤は、液状媒体と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、第三の添加剤と、を含有し、前記第一の添加剤が、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン、ビニルアルコール重合体及びα−グルコース重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記第二の添加剤が陽イオン性ポリマであり、前記第三の添加剤が1、9、10、11、12及び13族からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属塩化合物である。
本発明に係る研磨剤によれば、従来の研磨剤に比べて、ストッパ材料の研磨速度が過度に高くなることを抑制すると共に絶縁材料の研磨速度を向上させることにより、ストッパ材料に対する絶縁材料の優れた研磨選択性を得ることができる。また、本発明に係る研磨剤によれば、従来の研磨剤に比べて、研磨後のディッシングを低減することにより研磨終了後の基体表面を高度に平坦化できる。更に、本発明に係る研磨剤によれば、研磨終了後の基体表面を高度に平坦化させつつ、絶縁材料を低研磨傷で研磨できる。
前記第二の添加剤は、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ビニルアミン重合体及びエチレンイミン重合体からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。これにより、ストッパ材料に対する絶縁材料の更に優れた研磨選択性を得ることができる。
前記第三の添加剤は、ナトリウム、カリウム、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミニウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の塩であることが好ましい。これにより、平坦性を更に向上させることができる。
前記第三の添加剤の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.001質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。これにより、絶縁材料の研磨速度を更に向上させることができると共に平坦性を更に向上させることができる。
4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素に結合した陰イオン(但し、水酸化物イオンを除く)を含むことが好ましい。これにより、絶縁材料の研磨速度を更に向上させることができる。
本発明の一態様は、酸化珪素を含む被研磨面の研磨への前記研磨剤の使用に関する。すなわち、本発明に係る研磨剤は、酸化珪素を含む被研磨面を研磨するために使用されることが好ましい。
本発明に係る研磨剤セットは、前記研磨剤の構成成分が複数の液に分けて保存され、第一の液が砥粒を含み、第二の液が、前記第一の添加剤、前記第二の添加剤及び前記第三の添加剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む。本発明に係る研磨剤セットによれば、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明に係る基体の研磨方法の第一態様は、前記研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備える。このような基体の研磨方法によれば、前記研磨剤を用いることにより、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明に係る基体の研磨方法の第二態様は、前記研磨剤セットにおける、少なくとも前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備える。このような基体の研磨方法によれば、前記研磨剤セットを用いることにより、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明に係る基体の研磨方法の第三態様は、絶縁材料及びストッパ材料を有する基体の研磨方法であって、前記研磨剤を用いて絶縁材料をストッパ材料に対して選択的に研磨する工程を備える。このような基体の研磨方法によれば、前記研磨剤を用いることにより、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明に係る基体の研磨方法の第四態様は、絶縁材料及びストッパ材料を有する基体の研磨方法であって、前記研磨剤セットにおける、少なくとも前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて絶縁材料をストッパ材料に対して選択的に研磨する工程を備える。このような基体の研磨方法によれば、前記研磨剤セットを用いることにより、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明に係る基体の研磨方法において前記ストッパ材料は、窒化珪素又はポリシリコンであることが好ましい。本発明に係る基体の研磨方法によれば、ストッパ材料として窒化珪素又はポリシリコンを用いた場合であっても、本発明に係る研磨剤と同様の上記効果を得ることができる。
本発明によれば、ストッパを用いて絶縁材料(STI絶縁材料、プリメタル絶縁材料、層間絶縁材料等)を研磨するCMP技術において、ストッパ材料に対する絶縁材料の優れた研磨選択性が得られると共に研磨終了後の基体表面を高度に平坦化できる。また、本発明によれば、研磨終了後の基体表面を高度に平坦化させつつ、絶縁材料を低研磨傷で研磨することもできる。
アングルロータの一例を示す模式断面図である。 実施例で用いたパターンウエハを示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット、及び、前記研磨剤又は前記研磨剤セットを用いた基体の研磨方法について詳細に説明する。
<研磨剤及び研磨剤セット>
本実施形態に係る研磨剤は、研磨時に被研磨面に触れる組成物であり、例えばCMP研磨剤である。具体的には、本実施形態に係る研磨剤は、液状媒体と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、第三の添加剤と、を含有し、第一の添加剤が、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン、ビニルアルコール重合体及びα−グルコース重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、第二の添加剤が陽イオン性ポリマであり、第三の添加剤が1、9、10、11、12及び13族からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属塩化合物である。以下、必須成分及び任意成分等について説明する。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨剤は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を含有する。「4価金属元素の水酸化物」は、4価の金属イオン(M4+)と、少なくとも一つの水酸化物イオン(OH)とを含む化合物である。4価金属元素の水酸化物は、水酸化物イオン以外の陰イオン(例えば、硝酸イオンNO 、硫酸イオンSO 2−)を含んでいてもよい。例えば、4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素に結合した陰イオン(水酸化物イオンを除く。例えば硝酸イオンNO 、硫酸イオンSO 2−)を含むことが好ましく、4価金属元素に結合した硝酸イオンを含むことがより好ましい。
4価金属元素の水酸化物は、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を更に向上させつつ被研磨面における研磨傷の発生を抑制する観点から、希土類元素の水酸化物及びジルコニウムの水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。4価金属元素は、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる観点から、希土類元素が好ましい。4価を取りうる希土類元素としては、セリウム、プラセオジム、テルビウム等のランタノイドなどが挙げられ、入手が容易であり且つ研磨速度に更に優れる観点から、セリウムが更に好ましい。希土類元素の水酸化物とジルコニウムの水酸化物とを併用してもよく、希土類元素から二種以上を選択して使用することもできる。
本実施形態に係る研磨剤は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒の特性を損なわない範囲で他の種類の砥粒を更に含有していてもよい。具体的には例えば、セリア、シリカ、アルミナ、ジルコニア、有機樹脂粒子等を含む砥粒が挙げられる。
砥粒中における4価金属元素の水酸化物の含有量の下限は、砥粒全質量基準で50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上が極めて好ましい。砥粒は、研磨剤の調製が容易であると共に研磨特性に更に優れる観点から、前記4価金属元素の水酸化物からなる(実質的に砥粒の100質量%が前記4価金属元素の水酸化物の粒子である)ことが好ましく、化学的活性が高く研磨速度に更に優れる観点から、4価セリウムの水酸化物からなる(実質的に砥粒の100質量%が4価セリウムの水酸化物の粒子である)ことがより好ましい。
本実施形態に係る研磨剤の構成成分中において、4価金属元素の水酸化物は研磨特性に与える影響が大きいと考えられる。そのため、4価金属元素の水酸化物の含有量を調整することにより、砥粒と被研磨面との化学的な相互作用が向上し、研磨速度を更に向上させることができる。すなわち、4価金属元素の水酸化物の含有量の下限は、4価金属元素の水酸化物の機能を充分に発現しやすい観点から、研磨剤の全質量基準で0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましく、0.04質量%以上が特に好ましい。4価金属元素の水酸化物の含有量の上限は、砥粒の凝集を避けることが容易であると共に、被研磨面との化学的な相互作用が良好であり、砥粒の特性を有効に活用する観点から、研磨剤の全質量基準で20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が極めて好ましく、0.5質量%以下が非常に好ましく、0.3質量%以下がより一層好ましい。
本実施形態に係る研磨剤において、砥粒の含有量の下限は、所望の研磨速度が得られやすい観点から、研磨剤の全質量基準で0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、0.03質量%以上が特に好ましく、0.04質量%以上が極めて好ましい。砥粒の含有量の上限は、特に制限はないが、砥粒の凝集を避けることが容易であると共に、砥粒が効果的に被研磨面に作用して研磨がスムーズに進行する観点から、研磨剤の全質量基準で20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が極めて好ましく、0.5質量%以下が非常に好ましく、0.3質量%以下がより一層好ましい。
砥粒の平均粒径(平均二次粒径)がある程度小さい場合、被研磨面に接する砥粒の比表面積が増大することにより研磨速度を更に向上させることができると共に、機械的作用が抑えられて研磨傷を更に低減できる。そのため、平均粒径の上限は、絶縁材料の更に優れた研磨速度が得られると共に研磨傷が更に低減される観点から、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましく、100nm以下が特に好ましく、80nm以下が極めて好ましく、60nm以下が非常に好ましく、40nm以下がより一層好ましい。平均粒径の下限は、絶縁材料の更に優れた研磨速度が得られると共に研磨傷が更に低減される観点から、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。
砥粒の平均粒径は、光子相関法で測定できる。具体的には例えば、マルバーンインスツルメンツ社製の装置名:ゼータサイザー3000HS、ベックマンコールター社製の装置名:N5等で平均粒径を測定できる。N5を用いた測定方法は、具体的には例えば、砥粒の含有量を0.2質量%に調整した水分散液を調製し、この水分散液を1cm角のセルに約1mL(Lは「リットル」を示す。以下同じ)入れ、装置内にセルを設置する。分散媒の屈折率を1.333、分散媒の粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行うことで得られる値を砥粒の平均粒径として採用できる。
[不揮発分含量]
前記砥粒は、粒度分布計で測定し得る粒径を有する大粒子と、粒度分布計で測定し得ない粒径を有する微細粒子とを含有していると考えられる。このような砥粒を水に分散させた水分散液を充分な遠心力を作用させて遠心分離した場合、水分散液は主に沈降物と上澄み液(液相)とに固液分離し、大粒子は沈降物として沈降し、微細粒子は上澄み液中に浮遊すると考えられる。
本発明者は、充分量の砥粒を含有する水分散液を特定の条件(大粒子と微細粒子とを好適に分離可能な遠心力を作用し得る条件)で遠心分離したときに、不揮発分含量の高い上澄み液を与える砥粒を用いることにより、更に優れた研磨速度で被研磨材料を研磨できることを見出した。すなわち、本実施形態において砥粒は、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を遠心加速度1.59×10Gで50min(「min」は「分」を示す)遠心分離したときに、不揮発分含量500ppm以上の上澄み液を与えるものであることが好ましい。
遠心分離後の上澄み液に含まれる不揮発分含量が高い場合に研磨速度の向上効果が得られる理由について、本発明者は次のように考えている。砥粒を含むスラリ及び研磨剤は、一般的に、遠心加速度1.59×10Gで50min遠心分離した場合には、実質的に全ての砥粒が沈降する。しかしながら、本実施形態では、粒径が充分に小さいため前記条件で遠心分離を行っても沈降しない微細粒子が多く含まれる。すなわち、不揮発分含量が増加するに伴い砥粒中の微細粒子の割合が増加し、被研磨面に接する砥粒の表面積が増大すると考えられる。これにより、化学的作用に起因する研磨の進行が促進され、研磨速度が向上すると考えられる。
上澄み液の不揮発分含量の下限は、更に優れた研磨速度が得られる観点から、500ppm以上が好ましく、700ppm以上がより好ましく、800ppm以上が更に好ましい。上澄み液の不揮発分含量の上限は、砥粒含量の全量であり、例えば10000ppmである。
前記遠心分離を行う装置としては、チューブが所定の角度で配置されてなるアングルロータ、及び、チューブの角度が可変であり遠心分離中にチューブが水平又はほぼ水平になるスイングロータのいずれも使用できる。
図1は、アングルロータの一例を示す模式断面図である。アングルロータARは、回転軸A1を中心として左右対称であり、図1では、その一方側(図中左側)のみを図示し、他方側(図中右側)を省略している。図1において、A2はチューブ角であり、Rminは回転軸A1からチューブまでの最小半径であり、Rmaxは回転軸A1からチューブまでの最大半径である。Ravは回転軸A1からチューブまでの平均半径であり、「(Rmin+Rmax)/2」として求められる。
このような遠心分離装置において、遠心加速度[単位:G]は下記式(1)から求めることができる。
遠心加速度[G]=1118×R×N2×10-8 ・・・(1)
[式中、Rは回転半径(cm)を示し、Nは1min当たりの回転数(rpm=min−1)を示す。]
本実施形態においては、式(1)中の回転半径Rとして図1中の平均半径Ravの値を用いて、遠心加速度が1.59×10Gとなるように回転数Nを設定して遠心分離を行う。なお、図1のようなアングルロータに代えてスイングロータを使用する場合は、遠心分離中のチューブの状態から最小半径Rmin、最大半径Rmax、平均半径Ravをそれぞれ求めて条件を設定する。
前記砥粒は、例えば、アングルロータとして日立工機株式会社製の超遠心分離機、装置名:70P−72を用いて、大粒子と微細粒子とに分離できる。70P−72を用いた水分散液の遠心分離は、具体的には例えば、以下のようにして行うことができる。まず、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を調製し、これを遠沈管(チューブ)に充填した後に遠沈管をロータに設置する。そして、回転数50000min−1で50min回転させた後、ロータから遠沈管を取出し、遠沈管内の上澄み液を採取する。上澄み液の不揮発分含量は、採取した上澄み液の質量と、上澄み液を乾燥した後の残留分の質量とを量ることにより算出できる。
[光透過率]
本実施形態に係る研磨剤は、可視光に対する透明度が高い(目視で透明又は透明に近い)ことが好ましい。具体的には、本実施形態に係る研磨剤に含まれる砥粒は、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において波長500nmの光に対して光透過率50%/cm以上を与えるものであることが好ましい。これにより、添加剤の添加に起因する研磨速度の低下を更に抑制できるため、研磨速度を維持しつつ他の特性を得ることが容易である。同様の観点から、前記光透過率の下限は、60%/cm以上がより好ましく、70%/cm以上が更に好ましく、80%/cm以上が特に好ましく、90%/cm以上が極めて好ましく、95%/cm以上が非常に好ましく、98%/cm以上がより一層好ましく、99%/cm以上が更に好ましい。光透過率の上限は100%/cmである。
このように砥粒の光透過率を調整することで研磨速度の低下を抑制することが可能な理由は詳しくは分かっていないが、本発明者は以下のように考えている。4価金属元素(セリウム等)の水酸化物を含む砥粒が有する砥粒としての作用は、機械的作用よりも化学的作用の方が優勢であると考えられる。そのため、砥粒の大きさよりも砥粒の数の方が、より研磨速度に寄与すると考えられる。
砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が低い場合、その水分散液に存在する砥粒は、粒径の大きい粒子(以下「粗大粒子」という)が相対的に多く存在すると考えられる。このような砥粒を含む研磨剤に添加剤を添加すると、粗大粒子を核として他の粒子が凝集する。その結果として、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が減少し、被研磨面に接する砥粒の比表面積が減少するため、研磨速度が低下すると考えられる。
一方、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が高い場合、その水分散液に存在する砥粒は、前記「粗大粒子」が少ない状態であると考えられる。このように粗大粒子の存在量が少ない場合は、研磨剤に添加剤を添加しても、凝集の核になるような粗大粒子が少ないため、砥粒同士の凝集が抑えられるか、又は、凝集粒子の大きさが相対的に小さい。その結果として、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が維持され、被研磨面に接する砥粒の比表面積が維持されるため、研磨速度が低下し難いと考えられる。
本発明者の検討では、一般的な粒径測定装置において測定される砥粒の粒径が同じ研磨剤であっても、目視で透明である(光透過率の高い)もの、及び、目視で濁っている(光透過率の低い)ものがあり得ることがわかった。これにより、前記のような作用を起こし得る粗大粒子は、一般的な粒径測定装置で検知できないほどのごくわずかの量であっても研磨速度の低下に寄与すると考えられる。
前記光透過率は、波長500nmの光に対する透過率である。前記光透過率は、分光光度計で測定されるものであり、具体的には例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計U3310(装置名)で測定される。
より具体的な測定方法としては、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を測定サンプルとして調製する。この測定サンプルを1cm×1cmのセルに約4mL入れ、装置内にセルをセットし測定を行う。なお、砥粒の含有量が1.0質量%より大きい水分散液において50%/cm以上の光透過率を有する場合は、これを希釈して1.0質量%とした場合も光透過率は50%/cm以上となることが明らかである。そのため、砥粒の含有量が1.0質量%より大きい水分散液を用いることにより、簡便な方法で光透過率をスクリーニングできる。
[吸光度]
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒が、当該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において波長400nmの光に対して吸光度1.00以上を与えるものであることにより、研磨速度を更に向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように考えている。すなわち、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて、1個の4価の金属イオン(M4+)に対して、1〜3個の水酸化物イオン(OH)及び1〜3個の陰イオン(Xc−)を有する、組成式がM(OH)(式中、a+b×c=4である)で表される粒子が砥粒の一部として生成すると考えられる(なお、このような粒子も「4価金属元素の水酸化物を含む砥粒」である)。M(OH)では、電子吸引性の陰イオン(Xc−)が作用して水酸化物イオンの反応性が向上しており、M(OH)の存在量が増加するに伴い研磨速度が向上すると考えられる。そして、組成式がM(OH)で表される粒子が波長400nmの光を吸光するため、M(OH)の存在量が増加して波長400nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い、研磨速度が向上すると考えられる。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、組成式がM(OH)で表される粒子だけでなく、組成式がM(OH)、MO等で表される粒子も含み得ると考えられる。陰イオン(Xc−)としては、NO 、SO 2−等が挙げられる。
なお、砥粒が組成式M(OH)を有することは、砥粒を純水でよく洗浄した後にFT−IR ATR法(Fourier Transform Infra Red Spectrometer Attenuated Total Reflection法(フーリエ変換赤外分光光度計全反射測定法))を用いて陰イオン(Xc−)に該当するピークを検出する方法により確認できる。XPS法(X−ray Photoelectron Spectroscopy(X線光電子分光法))により、陰イオン(Xc−)の存在を確認することもできる。また、X線吸収微細構造(XAFS)測定から、EXAFS解析をすることによって、Mと陰イオン(Xc−)の結合の有無を確認することもできる。
ここで、M(OH)(例えばM(OH)X)の波長400nmの吸収ピークは、後述する波長290nmの吸収ピークよりもはるかに小さいことが確認されている。これに対し、本発明者は、砥粒の含有量が比較的多く、吸光度が大きく検出されやすい砥粒含有量1.0質量%の水分散液を用いて吸光度の大きさを検討した結果、当該水分散液において波長400nmの光に対する吸光度1.00以上を与える砥粒を用いる場合に、研磨速度の向上効果に優れることを見出した。なお、前記のとおり波長400nmの光に対する吸光度は砥粒に由来すると考えられるため、波長400nmの光に対して吸光度1.00以上を与える砥粒に代えて、波長400nmの光に対して1.00以上の吸光度を与える物質(例えば黄色を呈する色素成分)を含む研磨剤では、優れた研磨速度で被研磨材料を研磨できない。
波長400nmの光に対する吸光度の下限は、更に優れた研磨速度が得られる観点から、1.00以上が好ましく、1.20以上がより好ましく、1.40以上が更に好ましく、1.45以上が特に好ましい。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒が、当該砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長290nmの光に対して吸光度1.000以上を与えるものであることにより、研磨速度を更に向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように考えている。すなわち、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて生成する、組成式がM(OH)(例えばM(OH)X)で表される粒子は、計算上、波長290nm付近に吸収のピークを有し、例えばCe4+(OHNO からなる粒子は波長290nmに吸収のピークを有する。そのため、M(OH)の存在量が増加して波長290nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い研磨速度が向上すると考えられる。
ここで、波長290nm付近の光に対する吸光度は、測定限界を超えるほど大きく検出される傾向がある。これに対し、本発明者は、砥粒の含有量が比較的少なく、吸光度が小さく検出されやすい砥粒含有量0.0065質量%の水分散液を用いて吸光度の大きさを検討した結果、当該水分散液において波長290nmの光に対する吸光度1.000以上を与える砥粒を用いる場合に、研磨速度の向上効果に優れることを見出した。また、本発明者は、吸光物質に吸収されると当該吸光物質が黄色を呈する傾向のある波長400nm付近の光とは別に、波長290nm付近の光に対する砥粒の吸光度が高いほど、このような砥粒を用いた研磨剤及びスラリの黄色味が濃くなることを見出し、研磨剤及びスラリの黄色味が濃くなるほど研磨速度が向上することを見出した。そして、本発明者は、砥粒含有量0.0065質量%の水分散液における波長290nmの光に対する吸光度と、砥粒含有量1.0質量%の水分散液における波長400nmの光に対する吸光度とが相関することを見出した。
波長290nmの光に対する吸光度の下限は、更に優れた研磨速度で被研磨材料を研磨する観点から、1.000以上が好ましく、1.050以上がより好ましく、1.100以上が更に好ましく、1.150以上が特に好ましく、1.200以上が極めて好ましい。波長290nmの光に対する吸光度の上限は、特に制限はないが、例えば10.000以下が好ましい。
波長400nmの光に対する吸光度1.00以上を与える前記砥粒が、砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長290nmの光に対して吸光度1.000以上を与える場合には、更に優れた研磨速度で被研磨材料を研磨できる。
4価金属元素の水酸化物(例えばM(OH))は、波長450nm以上、特に波長450〜600nmの光を吸光しない傾向がある。従って、不純物を含むことにより研磨に対して悪影響が生じることを抑制して更に優れた研磨速度で被研磨材料を研磨する観点から、砥粒は、当該砥粒の含有量を0.0065質量%(65ppm)に調整した水分散液において波長450〜600nmの光に対して吸光度0.010以下を与えるものであることが好ましい。すなわち、砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長450〜600nmの範囲における全ての光に対する吸光度が0.010を超えないことが好ましい。波長450〜600nmの光に対する吸光度の下限は、0が好ましい。
水分散液における吸光度は、例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)を用いて測定できる。具体的には例えば、砥粒の含有量を1.0質量%又は0.0065質量%に調整した水分散液を測定サンプルとして調製する。この測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、装置内にセルを設置する。次に、波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、得られたチャートから吸光度を判断する。
砥粒の含有量が1.0質量%より少なくなるよう過度に希釈して波長400nmの光に対する吸光度を測定した場合に、吸光度が1.00以上を示すようであれば、砥粒の含有量を1.0質量%とした場合にも吸光度が1.00以上であるとして吸光度をスクリーニングしてもよい。砥粒の含有量が0.0065質量%より少なくなるよう過度に希釈して波長290nmの光に対する吸光度を測定した場合に、吸光度が1.000以上を示すようであれば、砥粒の含有量を0.0065質量%とした場合にも吸光度が1.000以上であるとして吸光度をスクリーニングしてもよい。砥粒の含有量が0.0065質量%より多くなるように希釈して波長450〜600nmの光に対する吸光度を測定した場合に、吸光度が0.010以下を示すようであれば、砥粒の含有量を0.0065質量%とした場合にも吸光度が0.010以下であるとして吸光度をスクリーニングしてもよい。
砥粒が水分散液において与える吸光度及び光透過率は、砥粒以外の固体成分、及び、水以外の液体成分を除去した後、所定の砥粒含有量の水分散液を調製し、当該水分散液を用いて測定できる。固体成分又は液体成分の除去には、研磨剤に含まれる成分によっても異なるが、数千G以下の重力加速度をかけられる遠心機を用いた遠心分離、数万G以上の重力加速度をかけられる超遠心機を用いた超遠心分離等の遠心分離法;分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、限外ろ過等のろ過法;減圧蒸留、常圧蒸留等の蒸留法などを用いることができ、これらを適宜組み合わせてもよい。
例えば、重量平均分子量が数万以上(例えば5万以上)の化合物を研磨剤が含む場合の方法としては、クロマトグラフィー法、ろ過法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過が好ましい。ろ過法を用いる場合、研磨剤に含まれる砥粒は、適切な条件の設定により、フィルタを通過させることができる。重量平均分子量が数万以下(例えば5万未満)の化合物を研磨剤が含む場合の方法としては、クロマトグラフィー法、ろ過法、蒸留法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過、減圧蒸留が好ましい。4価金属元素の水酸化物を含む砥粒以外の砥粒が研磨剤に含まれる場合の方法としては、ろ過法、遠心分離法等が挙げられ、ろ過の場合はろ液に、遠心分離の場合は液相に、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒がより多く含まれる。
クロマトグラフィー法で砥粒を分離する方法としては、例えば、下記条件によって、砥粒を分取する、及び/又は、他成分を分取できる。
試料溶液:研磨剤100μL
検出器:株式会社日立製作所製、UV−VISディテクター、商品名:L−4200、波長:400nm
インテグレーター:株式会社日立製作所製、GPCインテグレーター、商品名:D−2500
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名:L−7100
カラム:日立化成株式会社製、水系HPLC用充填カラム、商品名:GL−W550S
溶離液:脱イオン水
測定温度:23℃
流速:1mL/min(圧力:40〜50kgf/cm(3.9〜4.9MPa)程度)
測定時間:60min
なお、クロマトグラフィーを行う前に、脱気装置を用いて溶離液の脱気処理を行うことが好ましい。脱気装置を使用できない場合は、溶離液を事前に超音波等で脱気処理することが好ましい。
研磨剤に含まれる成分によっては、上記条件でも砥粒を分取できない可能性があるが、その場合、試料溶液量、カラム種類、溶離液種類、測定温度、流速等を最適化することで砥粒を分離できる。また、研磨剤のpHを調整することで、研磨剤に含まれる成分の留出時間を調整し、砥粒と分離できる可能性がある。研磨剤に不溶成分がある場合、必要に応じ、ろ過、遠心分離等で不溶成分を除去することが好ましい。
[砥粒の作製方法]
4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素の塩(金属塩)と、アルカリ源(塩基)とを反応させることにより作製可能である。4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素の塩とアルカリ液(例えばアルカリ水溶液)とを混合することにより作製されることが好ましい。これにより、粒径が極めて細かい粒子を得ることができ、研磨傷の低減効果に更に優れた研磨剤を得ることができる。このような手法は、例えば、上記特許文献4に開示されている。4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素の塩を含む金属塩溶液(例えば金属塩水溶液)とアルカリ液とを混合することにより得ることができる。なお、4価金属元素の塩及びアルカリ源の少なくとも一方を液体状態で反応系に供給する場合、混合液を撹拌する手段は限定されるものではない。例えば、回転軸回りに回転する棒状、板状又はプロペラ状の撹拌子又は撹拌羽根を用いて混合液を撹拌する方法、容器の外部から動力を伝達するマグネチックスターラーを用いて、回転する磁界で撹拌子を回転させて混合液を撹拌する方法、槽外に設置したポンプで混合液を撹拌する方法、外気を加圧して槽内に勢いよく吹き込むことで混合液を撹拌する方法が挙げられる。4価金属元素の塩としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、M(NO、M(SO、M(NH(NO、M(NH(SO(Mは希土類元素を示す。)、Zr(SO・4HO等が挙げられ、中でも、M(NH(NOが好ましい。Mとしては、化学的に活性なセリウム(Ce)が好ましい。以上より、4価金属元素の塩(金属塩)としては、硝酸セリウムアンモニウム(Ce(NH(NO)がより好ましい。
吸光度及び光透過率を調整する手段としては、4価金属元素の水酸化物の製造方法の最適化等が挙げられる。波長400nmの光に対する吸光度及び波長290nmの光に対する吸光度を変化させる方法としては、具体的には例えば、アルカリ液中のアルカリ源の選択、金属塩溶液とアルカリ液とにおける原料濃度の調整、金属塩溶液とアルカリ液との混合速度の調整、4価金属元素の塩とアルカリ源とを混合して得られる混合液の液温の調整が挙げられる。また、波長500nmの光に対する光透過率を変化させる方法としては、具体的には例えば、金属塩溶液とアルカリ液とにおける原料濃度の調整、金属塩溶液とアルカリ液との混合速度の調整、混合するときの撹拌速度の調整、混合液の液温の調整が挙げられる。
波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率を高くするためには、4価金属元素の水酸化物の製造方法を、より「緩やか」にすることが好ましい。ここで、「緩やか」とは、反応が進行するにしたがって反応系のpHが上昇するときのpHの上昇を穏やかにする(遅くする)ことを意味する。逆に、波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率を低くするためには、4価金属元素の水酸化物の製造方法を、より「激しく」することが好ましい。ここで、「激しく」とは、反応が進行するにしたがって反応系のpHが上昇するときのpHの上昇を激しくする(速くする)ことを意味する。これらの吸光度及び光透過率の値を所定範囲に調整するためには、前記傾向を参考にして、4価金属元素の水酸化物の製造方法を最適化することが好ましい。以下、吸光度及び光透過率の制御方法について更に詳しく説明する。
{アルカリ源}
アルカリ液中のアルカリ源としては、従来公知のものを特に制限なく使用できる。アルカリ源としては、有機塩基、無機塩基等が挙げられる。有機塩基としては、グアニジン、トリエチルアミン、キトサン等の含窒素有機塩基;ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、イミダゾール等の含窒素複素環有機塩基;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム等のアンモニウム塩などが挙げられる。無機塩基としては、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の無機塩などが挙げられる。アルカリ源は、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
アルカリ源としては、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる観点から、アンモニア及びイミダゾールが好ましく、イミダゾールが更に好ましい。波長400nmの光に対する吸光度及び波長290nmの光に対する吸光度を高くするためには、アルカリ源として、弱い塩基性を示すアルカリ源を使用することが好ましい。アルカリ源の中でも、含窒素複素環有機塩基が好ましく、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、イミダゾールがより好ましく、ピリジン及びイミダゾールが更に好ましく、イミダゾールが特に好ましい。
{濃度}
金属塩溶液とアルカリ液とにおける原料濃度の制御により、波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率を変化させることができる。具体的には、金属塩溶液の金属塩濃度を濃くすることで吸光度が高くなる傾向があり、アルカリ液のアルカリ濃度(塩基の濃度、アルカリ源の濃度)を薄くすることで吸光度が高くなる傾向がある。また、金属塩濃度を濃くすることで光透過率が高くなる傾向があり、アルカリ濃度を薄くすることで光透過率が高くなる傾向がある。
金属塩溶液における金属塩濃度の上限は、優れた研磨速度と優れた砥粒の安定性とを両立しやすくなる観点から、金属塩溶液の全体を基準として1.000mol/L以下が好ましく、0.500mol/L以下がより好ましく、0.300mol/L以下が更に好ましく、0.200mol/L以下が特に好ましい。金属塩濃度の下限は、急激に反応が起こることを抑制できる(pHの上昇を穏やかにできる)と共に、波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率が高くなる観点から、金属塩溶液の全体を基準として0.010mol/L以上が好ましく、0.020mol/L以上がより好ましく、0.030mol/L以上が更に好ましい。
アルカリ液におけるアルカリ濃度の上限は、急激に反応が起こることを抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として15.0mol/L以下が好ましく、12.0mol/L以下がより好ましく、10.0mol/L以下が更に好ましい。アルカリ濃度の下限は特に制限されないが、生産性の観点から、アルカリ液の全体を基準として0.001mol/L以上が好ましい。
アルカリ液におけるアルカリ濃度は、選択されるアルカリ源により適宜調整されることが好ましい。例えば、アルカリ源の共役酸のpKaが20以上であるアルカリ源の場合、アルカリ濃度の上限は、急激に反応が起こることを抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として0.10mol/L以下が好ましく、0.05mol/L以下がより好ましい。アルカリ濃度の下限は特に限定されないが、所定量の4価金属元素の水酸化物を得るために用いる溶液の使用量を抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として0.001mol/L以上が好ましい。
アルカリ源の共役酸のpKaが12以上20未満であるアルカリ源の場合、アルカリ濃度の上限は、急激に反応が起こることを抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として1.0mol/L以下が好ましく、0.50mol/L以下がより好ましい。アルカリ濃度の下限は特に限定されないが、所定量の4価金属元素の水酸化物を得るために用いる溶液の使用量を抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として0.01mol/L以上が好ましい。
アルカリ源の共役酸のpKaが12未満であるアルカリ源の場合、アルカリ濃度の上限は、急激に反応が起こることを抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として15.0mol/L以下が好ましく、10.0mol/L以下がより好ましい。アルカリ濃度の下限は特に限定されないが、所定量の4価金属元素の水酸化物を得るために用いる溶液の使用量を抑制する観点から、アルカリ液の全体を基準として0.10mol/L以上が好ましい。
アルカリ源の共役酸のpKaが20以上であるアルカリ源としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(pKa:25)が挙げられる。アルカリ源の共役酸のpKaが12以上20未満であるアルカリ源としては、例えば、水酸化カリウム(pKa:16)、水酸化ナトリウム(pKa:13)が挙げられる。アルカリ源の共役酸のpKaが12未満であるアルカリ源としては、例えば、アンモニア(pKa:9)、イミダゾール(pKa:7)が挙げられる。使用するアルカリ源の共役酸のpKa値は、アルカリ濃度が適切に調整される限り、特に限定されるものではないが、アルカリ源の共役酸のpKaは、20未満であることが好ましく、12未満であることがより好ましく、10未満であることが更に好ましく、8未満であることが特に好ましい。
{混合速度}
金属塩溶液とアルカリ液との混合速度の制御により、波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率を変化させることができる。傾向としては、pHの上昇が穏やかになる(遅くなる)ようにすることで吸光度及び光透過率がそれぞれ高くなる。より具体的には、混合速度を遅くすることで吸光度が高くなる傾向があり、混合速度を速くすることで吸光度が低くなる傾向がある。また、混合速度を遅くすることで光透過率が高くなる傾向があり、混合速度を速くすることで光透過率が低くなる傾向がある。
混合速度の上限は、急激に反応が進行することを更に抑制すると共に、局所における反応の偏りを更に抑制する観点から、5.00×10−3/min(5L/min)以下が好ましく、1.00×10−3/min(1L/min)以下がより好ましく、5.00×10−4/min(500mL/min)以下が更に好ましく、1.00×10−4/min(100mL/min)以下が特に好ましい。混合速度の下限は、特に制限されないが、生産性の観点から、1.00×10−7/min(0.1mL/min)以上が好ましい。
{撹拌速度}
金属塩溶液とアルカリ液とを混合するときの撹拌速度の制御により、波長500nmの光に対する光透過率を変化させることができる。具体的には、撹拌速度を速くすることで光透過率が高くなる傾向があり、撹拌速度を遅くすることで光透過率が低くなる傾向がある。
撹拌速度の下限は、局所における反応の偏りを更に抑制でき、且つ、混合効率に優れる観点から、30min−1以上が好ましく、50min−1以上がより好ましく、80min−1以上が更に好ましい。撹拌速度の上限は、特に制限されず、また、撹拌羽根の大きさ、形状により適宜調整を要するが、液はねを抑制する観点から、1000min−1以下が好ましい。
{液温(合成温度)}
4価金属元素の塩とアルカリ源とを混合して得られる混合液の液温の制御により、波長400nmの光に対する吸光度、波長290nmの光に対する吸光度、及び、波長500nmの光に対する光透過率を変化させることが可能であり、所望の研磨速度と保管安定性を達成可能な砥粒を得ることができる。具体的には、液温を低くすることで吸光度が高くなる傾向があり、液温を高くすることで吸光度が低くなる傾向がある。また、液温を低くすることで光透過率が高くなる傾向があり、液温を高くすることで光透過率が低くなる傾向がある。
液温は、例えば混合液に温度計を設置して読み取れる混合液内の温度であり、0〜100℃であることが好ましい。液温の上限は、急激な反応を抑制する観点から、100℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、55℃以下が更に好ましく、50℃以下が特に好ましく、45℃以下が極めて好ましい。液温の下限は、反応を容易に進行させる観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましく、30℃以上が特に好ましい。
前記方法で合成された4価金属元素の水酸化物は、不純物(例えば金属不純物)を含むことがあるが、洗浄して不純物を除去できる。4価金属元素の水酸化物の洗浄は、遠心分離等で固液分離を数回繰り返す方法などが使用できる。また、遠心分離、透析、限外濾過、イオン交換樹脂等によるイオンの除去などにより洗浄することもできる。不純物を除去することにより、波長450〜600nmの光に対する吸光度を調整できる。
前記で得られた砥粒が凝集している場合、適切な方法で液状媒体中に分散させることができる。液状媒体(例えば水)に砥粒を分散させる方法としては、撹拌機による分散処理の他に、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等による機械的な分散処理であってもよい。分散方法及び粒径制御方法については、例えば上記非特許文献1に記述されている方法を用いることができる。また、前記の洗浄処理を行って、砥粒を含む分散液の電気伝導度を下げる(例えば500mS/m以下)ことによっても、砥粒の分散性を高めることができる。そのため、前記洗浄処理を分散処理として適用してもよく、前記洗浄処理と分散処理とを併用してもよい。
(添加剤)
本実施形態に係る研磨剤は、添加剤を含有する。ここで、「添加剤」とは、研磨速度、研磨選択性等の研磨特性;砥粒の分散性、保存安定性等の研磨剤特性などを調整するために、液状媒体及び砥粒以外に研磨剤に添加される物質を指す。
[第一の添加剤:ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン、ビニルアルコール重合体及びデキストリン]
本実施形態に係る研磨剤は、第一の添加剤として、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン、ビニルアルコール重合体及びデキストリンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する。第一の添加剤は、ストッパ材料の研磨速度が過度に高くなることを抑制する効果がある。アルキレンオキシド部の作用によって、第一の添加剤がストッパ材料を被覆することにより、砥粒による研磨の進行が緩和されてストッパ材料の研磨速度が過度に高くなることが抑制されると推測される。
第一の添加剤としては、平坦性が更に向上する観点から、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン及びデキストリンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ポリアルキレングリコールがより好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられ、平坦性が更に向上する観点から、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
ポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリアルキレングリコールに官能基及び/又は置換基を導入した化合物、有機化合物にポリアルキレンオキシドを付加した化合物等が挙げられる。前記官能基及び置換基としては、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、フェニルエーテル、スチレン化フェニルエーテル、アルキルアミン、脂肪酸エステル、グリコールエステル、ポリグリセリルエーテル、ジグリセリルエーテル、糖エーテル、糖エステル等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:ノイゲンEAシリーズ(「ノイゲン」は、登録商標。));ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、花王株式会社製、商品名:エマルゲンシリーズ(「エマルゲン」は、登録商標。));ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:エマルジットシリーズ(「エマルジット」は、登録商標。));ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:ソルゲンTWシリーズ(「ソルゲン」は、登録商標。));ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、花王株式会社製、商品名:エマノーンシリーズ(「エマノーン」は、登録商標。));ポリオキシエチレンアルキルアミン(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:アミラヂンD(「アミラヂン」は、登録商標。));ポリオキシプロピレンソルビトール(例えば、日油株式会社製、商品名:ユニオールHS−1600D(「ユニオール」は、登録商標。));ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル(例えば、阪本薬品工業株式会社製、SC−Eシリーズ)、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル(例えば、阪本薬品工業株式会社製、商品名:SY−DPシリーズ)等のポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル;ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル;ポリアルキレンオキシドを付加した化合物(例えば、エアープロダクツジャパン株式会社製、商品名:サーフィノール465(「サーフィノール」は、登録商標。);日本乳化剤株式会社製、商品名:TMPシリーズ)などが挙げられる。
ポリグリセリンは、グリセリンの平均重合度が3以上であるポリグリセリン(3量体以上のポリグリセリン)である。ポリグリセリンの平均重合度の下限は、絶縁材料の研磨速度を高める観点から、3以上であり、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。ポリグリセリンの平均重合度の上限は特に限定されないが、製造上の観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。上記観点から、ポリグリセリンの平均重合度は、3以上100以下がより好ましい。
ビニルアルコール重合体は、理想的には下記構造式を有する重合体である。
Figure 0006569191
[式中、nは正の整数を表す。]
しかしながら、一般に、ビニルアルコールは単体では安定な化合物として存在しない傾向があるため、ビニルアルコール重合体は、酢酸ビニルモノマー等のカルボン酸ビニルモノマーを重合してポリカルボン酸ビニルを得た後にこれをケン化(加水分解)して得られている。そのため、例えば、原料として酢酸ビニルモノマーを使用して得られたビニルアルコール重合体は、−OCOCHと、加水分解された−OHとを分子中に官能基として有しており、−OHとなっている割合がケン化度として定義される。つまり、ケン化度が100%ではないビニルアルコール重合体は、実質的に酢酸ビニルとビニルアルコールとの共重合体のような構造を有している。また、ビニルアルコール重合体は、酢酸ビニルモノマー等のカルボン酸ビニルモノマーと、その他のビニル基含有モノマー(例えばエチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル)とを共重合させた後、カルボン酸ビニルモノマーに由来する部分の全部又は一部をケン化したものであってもよい。このようなビニルアルコール重合体としては、具体的には、株式会社クラレ製、商品名:PVA−403、日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名:JC−25等が挙げられる。本明細書では、これらを総称して「ビニルアルコール重合体」と定義する。
ビニルアルコール重合体は、ビニルアルコールの単独重合体(すなわちケン化度100%の重合体)の誘導体、ビニルアルコールモノマーと他のビニル基含有モノマー(例えばエチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル)との共重合体の誘導体等であってもよい。このような誘導体としては、水酸基の少なくとも一部がアミノ基、カルボキシル基、エステル基等で置換された化合物、水酸基の少なくとも一部が変性された化合物等が挙げられ、具体的には、反応型ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセファイマーZ(「ゴーセファイマー」は、登録商標。))、カチオン化ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセファイマーK)、アニオン化ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセランL(「ゴーセラン」は、登録商標。)、商品名:ゴーセナールT(「ゴーセナール」は、登録商標。))、親水基変性ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名:エコマティ(「エコマティ」は、登録商標。))等が挙げられる。
ビニルアルコール重合体のケン化度の上限は、ストッパ材料に対する絶縁材料の更に優れた研磨選択性を得る観点から、90mol%以下が好ましく、85mol%以下がより好ましく、80mol%以下が更に好ましい。ケン化度の下限に特に制限はないが、水への溶解性に優れる観点から、50mol%以上が好ましく、60mol%以上がより好ましく、70mol%以上が更に好ましい。なお、ビニルアルコール重合体のケン化度は、JIS K 6726(ポリビニルアルコール試験方法)に準拠して測定できる。
ビニルアルコール重合体の平均重合度の上限は、特に制限はないが、絶縁材料の研磨速度が更に向上する観点から、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。平均重合度の下限は、ストッパ材料に対する絶縁材料の更に優れた研磨選択性を得る観点から、50以上が好ましく、100以上がより好ましく、150以上が更に好ましい。なお、ビニルアルコール重合体の平均重合度は、JIS K 6726(ポリビニルアルコール試験方法)に準拠して測定できる。
α−グルコース重合体としては、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、マルトデキストリン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、オリゴ糖、マルトース、グルコース、マルトトリオース、スタキオース等が挙げられ、中でも、汎用性の観点からデキストリン及びマルトースが好ましい。α−グルコース重合体としては、サンエイ糖化株式会社製、商品名:NSDシリーズや、三和澱粉工業株式会社製、商品名:サンデックシリーズ(「サンデック」は、登録商標。)や、松谷化学工業株式会社製、商品名:マックス1000等が挙げられる。
第一の添加剤は、研磨選択性及び平坦性等の研磨特性を調整する目的で、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
第一の添加剤の重量平均分子量の上限は、絶縁材料(例えば酸化珪素)の研磨速度を更に向上させる観点から、100×10以下が好ましく、80×10以下がより好ましく、50×10以下が更に好ましく、40×10以下が特に好ましく、30×10以下が極めて好ましい。第一の添加剤の重量平均分子量の下限は、研磨選択性及び平坦性を更に向上させる観点から、250以上が好ましく、400以上がより好ましく、500以上が更に好ましい。第一の添加剤がポリグリセリンである場合、第一の添加剤の重量平均分子量の上限は、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる観点から、250以上が好ましく、400以上がより好ましく、500以上が更に好ましく、750以上が特に好ましく、1.0×10以上が極めて好ましく、1.2×10以上が非常に好ましい。
なお、重量平均分子量は、例えば、標準ポリスチレンの検量線を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により下記の条件で測定できる。
使用機器:日立L−6000型(株式会社日立製作所製、商品名)
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(日立化成株式会社製、商品名(「ゲルパック」は、登録商標。)、計3本)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75mL/min
検出器:L−3300RI(株式会社日立製作所製、商品名)
第一の添加剤の含有量の下限は、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.01質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。第一の添加剤の含有量の上限は、研磨剤の粘度が過剰に高くなることを抑制する観点から、研磨剤の全質量を基準として10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.0質量%以下が特に好ましい。上記の観点から、第一の添加剤の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。なお、第一の添加剤として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が前記範囲を満たしていることが好ましい。第一の添加剤の含有量は、絶縁材料の研磨速度、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性、及び、平坦性を更に向上させる観点から、絶縁材料の作製方法(種類、膜付け条件)に応じて適宜調整することが好ましい。
α−グルコース重合体の澱粉分解度DEは、研磨選択性や平坦性を更に向上させる観点から、DEの上限は、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、35以下が特に好ましく、30以下が極めて好ましい。また、第1の添加剤の重合平均分子量の下限は、良好な酸化膜研磨速度が得られる観点から、12以上が好ましく、14以上がより好ましく、15以上が更に好ましい。上記の観点から、第1の添加剤の澱粉分解度DEは、12以上50以下がより好ましい。なお、澱粉分解度DEは下式により求められる。
DE=還元糖量÷固形分質量×100 ・・・(2)
還元糖量を定量する方法としては、レインエイノン法、ベルトラン法、ウイルシュテッターシューデル法等が知られている。レインエイノン法は、硫酸銅溶液に加熱状態で糖液を加え、亜酸化銅を生じさせる反応に基づく方法であり、正確にCu2+量のわかった硫酸銅溶液にCu2+が完全に還元されるまで糖液を加えて、その糖液量から還元糖量を求める方法である。ベルトラン法も、レインエイノン法と同様に、硫酸銅溶液に加熱状態で糖液を加え、亜酸化銅を生じさせる反応に基づく方法であり、生じた亜酸化銅の定量に、モール法を利用する方法である。また、ウイルシュテッターシューデル法は、アルドースがアルカリ性ヨード溶液(NaIO)によって定量的に酸化されてアルドン酸となる反応を利用する方法であり、還元糖の酸化に消費されたI量から還元糖量を求める方法である。なお、本実施形態では、上記のようにDEの測定方法には種々の定量原理があることに鑑み、ウイルシュテッターシューデル法で測定したDEを基準にするものとする。
[第二の添加剤:陽イオン性ポリマ]
本実施形態に係る研磨剤は、前記第一の添加剤の他に、第二の添加剤として陽イオン性ポリマを含有する。「陽イオン性ポリマ」とは、陽イオン基、又は、陽イオン基にイオン化され得る基を主鎖又は側鎖に有するポリマである。なお、前記第一の添加剤は、「第二の添加剤」に含まれないものとする。
第二の添加剤は、第一の添加剤と併用することにより、ストッパ材料の研磨速度を抑制する効果がある。第二の添加剤の方が絶縁材料に吸着しやすいため、第二の添加剤が吸着していることで吸着できなくなった余剰な第一の添加剤がストッパ材料表面に厚く吸着する。これにより、ストッパ材料が研磨されることが抑制されると考えられる。また、第二の添加剤は、絶縁材料の研磨速度を向上させる効果がある。第一の添加剤が絶縁材料を過度に被覆すると絶縁材料の研磨速度が小さくなると考えられる。しかし、第二の添加剤を併用すると、第一の添加剤と第二の添加剤が相互作用し、絶縁材料が第一の添加剤に過度に被覆されることが抑制されると考えられる。これにより、本実施形態に係る研磨剤によれば、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を向上させることができる。
第二の添加剤は、平坦性を悪化させることなく絶縁材料の研磨速度を上昇させる効果もある。第二の添加剤が存在することにより第一の添加剤が適度に絶縁材料を被覆する。これにより、絶縁材料の凸部に対する研磨速度を向上させつつ、絶縁材料の凹部に対する研磨速度が抑制され、高い平坦性を維持できると考えられる。
第二の添加剤としては、ストッパ材料に対する絶縁材料の更に優れた研磨選択性を得る観点から、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ビニルアミン重合体及びエチレンイミン重合体からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。これらの重合体は、アリルアミン化合物、ジアリルアミン化合物、ビニルアミン化合物、エチレンイミン化合物及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の単量体成分を重合させることにより得ることができる。前記重合体は、アリルアミン化合物、ジアリルアミン化合物、ビニルアミン化合物、エチレンイミン化合物及びこれらの誘導体以外の単量体成分由来の構造単位を有していてもよく、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、マレイン酸、二酸化硫黄等に由来する構造単位を有していてもよい。
第二の添加剤は、アリルアミン化合物、ジアリルアミン化合物、ビニルアミン化合物、エチレンイミン化合物の単独重合体(ホモポリマ)であってもよく、アリルアミン化合物、ジアリルアミン化合物、ビニルアミン化合物、エチレンイミン化合物又はこれらの誘導体由来の構造単位を有する共重合体であってもよい。共重合体において構造単位の配列は任意である。例えば、(a)それぞれ同種の構造単位が連続したブロック共重合の形態、(b)構造単位A及び構造単位Bが特に秩序なく配列したランダム共重合の形態、(c)構造単位A及び構造単位Bが交互に配列した交互共重合の形態、等を含む任意の形態をとり得る。
アリルアミン重合体は、アリルアミン化合物又はその誘導体を重合させることにより得られる構造を有する重合体であり、例えば、下記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。アリルアミン化合物としては、アリルアミン、メチルアリルアミン、ジメチルアリルアミン、トリメチルアリルアンモニウム塩が挙げられる。アリルアミン化合物の誘導体としては、アルコキシカルボニル化アリルアミン、メチルカルボニル化アリルアミン、アミノカルボニル化アリルアミン、尿素化アリルアミン等が挙げられる。
Figure 0006569191
[式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を示し、Xは、陰イオンを示す。]
ジアリルアミン重合体は、ジアリルアミン化合物又はその誘導体を重合させることにより得られる構造を有する重合体であり、例えば、下記一般式(III)又は(IV)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。ジアリルアミン化合物としては、例えば、ジアリルアミン、メチルジアリルアミン、tert−ブチルジアリルアミン 、N,N−ジアリルアニリン、N,N−ジアリルベンジルアミン、(α−メチルベンジル)ジアリルアミンが挙げられる。ジアリルアミン化合物の誘導体としては、ジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルメチルエチルアンモニウム塩、アシル化ジアリルアミン、アミノカルボニル化ジアリルアミン、アルコキシカルボニル化ジアリルアミン、アミノチオカルボニル化ジアリルアミン、ヒドロキシアルキル化ジアリルアミン等が挙げられる。アンモニウム塩としては、アンモニウムクロリド等が挙げられる。
Figure 0006569191
[式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を示し、Xは、陰イオンを示す。]
ビニルアミン重合体は、ビニルアミン化合物又はその誘導体を重合させることにより得られる構造を有する重合体であり、例えば、下記一般式(V)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。ビニルアミン化合物としては、ビニルアミン、メチルビニルアミン、N,N−ジメチルビニルアミン、ビニルエチルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N−ビニルアニリン、ビニルベンジルアミン、tert−ブチルビニルアミン、アリルビニルアミン等が挙げられる。ビニルアミン化合物の誘導体としては、アルキル化ビニルアミン、アミド化ビニルアミン、エチレンオキサイド化ビニルアミン、プロピレンオキサイド化ビニルアミン、アルコキシ化ビニルアミン、カルボキシメチル化ビニルアミン、アシル化ビニルアミン、尿素化ビニルアミン等が挙げられる。
Figure 0006569191
[式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を示す。]
エチレンイミン重合体は、エチレンイミン化合物又はその誘導体を重合させることにより得られる構造を有する重合体であり、例えば、下記一般式(VI)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。エチレンイミン誘導体としては、アミノエチル化アクリル重合体、アルキル化エチレンイミン、尿素化エチレンイミン、プロピレンオキサイド化エチレンイミン等が挙げられる。
Figure 0006569191
[式中、Rは、水素原子又は一価の有機基を示す。]
式(I)〜式(VI)におけるRの一価の有機基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;アリル基などが挙げられる。式(II)及び式(IV)におけるXとしては、塩化物イオン、硫酸エチルイオン、硫酸メチルイオン等が挙げられる。
第二の添加剤としては、カチオン変性したポリアクリルアミド、カチオン変性したポリジメチルアクリルアミド等のアクリル系ポリマ;キトサン、キトサン誘導体、カチオン変性したセルロース、カチオン変性したデキストラン等の多糖類;これらの化合物を構成する構成単位由来の単量体を重合させて得られる共重合体などを用いてもよい。
第二の添加剤としては、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を更に向上させつつ、被研磨面におけるディッシングの進行及び研磨傷の発生を更に抑制する観点から、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体及びエチレンイミン重合体が好ましい。また、同様の観点から、アリルアミン重合体としては、式(I)でRが全て水素原子である単独重合体が好ましく、ジアリルアミン重合体としては、式(IV)でRが全て有機基である単独重合体、式(IV)でRが全て有機基である単量体とアクリルアミドとの共重合体、及び、式(IV)でRが全て有機基である単量体とアクリル酸との共重合体が好ましい。例えば、第二の添加剤としては、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリル酸共重合体が好ましい。また、第二の添加剤としては、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を更に向上させる観点、及び、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる観点から、ポリアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体が好ましい。第二の添加剤は、研磨選択性及び平坦性等の研磨特性を調整する目的で、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
第二の添加剤の重量平均分子量の下限は、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を更に向上させる観点から、100以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上が更に好ましく、1000以上が特に好ましい。第二の添加剤の重量平均分子量の上限は、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性を更に向上させる観点から、1000×10以下が好ましく、800×10以下がより好ましく、600×10以下が更に好ましく、400×10以下が特に好ましい。上記の観点から、第二の添加剤の重量平均分子量は、100以上1000×10以下であることがより好ましい。なお、第二の添加剤の重量平均分子量は、第一の添加剤の重量平均分子量と同様の方法により測定できる。
第二の添加剤の含有量の下限は、研磨選択性及び平坦性を更に向上させる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.0001質量%以上が好ましく、0.0003質量%以上がより好ましく、0.0005質量%以上が更に好ましく、0.0007質量%以上が特に好ましい。第二の添加剤の含有量の上限は、研磨選択性に更に優れる観点から、研磨剤の全質量を基準として5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が極めて好ましく、0.05質量%以下が非常に好ましく、0.01質量%以下がより一層好ましい。上記の観点から、第二の添加剤の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.0001質量%以上5質量%以下がより好ましい。なお、第二の添加剤として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が前記範囲を満たしていることが好ましい。第二の添加剤の含有量は、絶縁材料の研磨速度、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性、及び、平坦性を更に向上させる観点から、絶縁材料の作製方法(種類、膜付け条件)に応じて適宜調整することが好ましい。
第一の添加剤の含有量に対する第二の添加剤の含有量の比率の下限は、研磨選択性及び平坦性を更に向上させる観点から、質量比で0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.0015以上が更に好ましく、0.002以上が特に好ましい。第一の添加剤の含有量に対する第二の添加剤の含有量の比率の上限は、研磨選択性が更に優れる観点から、質量比で0.03以下が好ましく、0.025以下がより好ましく、0.02以下が更に好ましく、0.015以下が特に好ましい。上記の観点から、前記含有量の比率は、0.0005以上0.03以下がより好ましい。
[第三の添加剤:1、9、10、11、12及び13族からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属塩化合物]
本実施形態に係る研磨剤は、前記第一の添加剤及び前記第二の添加剤の他に第三の添加剤として金属塩化合物を含有する。この金属塩化合物における金属は、1、9、10、11、12、13族からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む。金属塩化合物としては、無機酸や、有機酸の塩が挙げられる。また金属塩化合物は、水和物や、複数の金属を含む複塩であってもよい。第三の添加剤を前記第一の添加剤及び前記第二の添加剤と併用することにより、ストッパ露出後の絶縁材料(例えば、凹部に埋め込まれた絶縁材料)の研磨が抑制されることにより高い平坦性を得ることができる。
第三の添加剤としては、1族の金属塩としてナトリウム塩、カリウム塩、9族の金属塩としてコバルト塩、10族の金属塩としてニッケル塩、11族の金属塩として銅塩、銀塩、12族の金属塩として亜鉛塩、13族の金属塩としてアルミニウム塩、ガリウム塩等が挙げられる。また、これらの金属塩化合物の対イオンとしては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の有機酸、硝酸、硫酸、塩酸、炭酸、リン酸等の無機酸などが挙げられる。対イオンは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。このような化合物を用いることにより、平坦性を更に向上させることができる。
第三の添加剤としては、ストッパ露出後の絶縁材料(例えば、凹部に埋め込まれた絶縁材料)の研磨が更に抑制されることにより更に高い平坦性が得られる観点から、カリウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩が好ましい。また、同様の観点から、対イオンは、硝酸イオン(硝酸塩)、硫酸イオン(硫酸塩)、塩素イオン(塩化物塩)が好ましい。第三の添加剤は、研磨選択性及び平坦性等の研磨特性を調整する目的で、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第三の添加剤の含有量の下限は、平坦性を更に向上させる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.006質量%以上が更に好ましい。第三の添加剤の含有量の上限は、絶縁材料の研磨速度に更に優れる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.1質量%以下が好ましく、0.08質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が更に好ましく、0.03質量%以下が特に好ましく、0.02質量%以下が極めて好ましい。上記の観点から、第三の添加剤の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.001質量%以上0.1質量%以下がより好ましい。なお、第三の添加剤として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が前記範囲を満たしていることが好ましい。第三の添加剤の含有量は、絶縁材料の研磨速度、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨選択性、及び、平坦性を更に向上させる観点から、絶縁材料の作製方法(種類、膜付け条件)に応じて適宜調整することが好ましい。
[第四の添加剤]
本実施形態に係る研磨剤は、研磨速度等の研磨特性;砥粒の分散性、保存安定性等の研磨剤特性;などを調整する目的で、前記第一の添加剤、前記第二の添加剤及び第三の添加剤の他に、第四の添加剤を更に含有していてもよい。
第四の添加剤としては、カルボン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。中でも、砥粒の分散性と研磨特性のバランスに優れる観点から、カルボン酸及びアミノ酸が好ましい。
カルボン酸は、pHを安定化させると共に絶縁材料の研磨速度を更に向上させる効果がある。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸等が挙げられる。
アミノ酸は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒の分散性を向上させ、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる効果がある。アミノ酸としては、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン等が挙げられる。なお、アミノ酸はカルボキシル基を有するが、カルボン酸とは異なるものとする。
第四の添加剤を使用する場合、第四の添加剤の含有量は、砥粒の沈降を抑制しつつ添加剤の添加効果が得られる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。なお、第四の添加剤として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が前記範囲を満たしていることが好ましい。
[水溶性高分子]
本実施形態に係る研磨剤は、平坦性、面内均一性、窒化珪素に対する酸化珪素の研磨選択性(酸化珪素の研磨速度/窒化珪素の研磨速度)、ポリシリコンに対する酸化珪素の研磨選択性(酸化珪素の研磨速度/ポリシリコンの研磨速度)等の研磨特性を調整する目的で、水溶性高分子を更に含有していてもよい。ここで、「水溶性高分子」とは、25℃において水100gに対して0.1g以上溶解する高分子として定義する。なお、前記第一の添加剤及び前記第二の添加剤は、「水溶性高分子」に含まれないものとする。
水溶性高分子の具体例としては、特に制限はなく、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン、グアーガム等の多糖類;ポリビニルピロリドン、ポリアクロレイン等のビニル系ポリマなどが挙げられる。水溶性高分子は、一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
水溶性高分子を使用する場合、水溶性高分子の含有量の下限は、砥粒の沈降を抑制しつつ水溶性高分子の添加効果が得られる観点から、研磨剤の全質量を基準として0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。水溶性高分子の含有量の上限は、砥粒の沈降を抑制しつつ水溶性高分子の添加効果が得られる観点から、研磨剤の全質量を基準として5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。上記の観点から、水溶性高分子の含有量は、研磨剤の全質量を基準として0.0001質量%以上5質量%以下がより好ましい。水溶性高分子として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が前記範囲を満たしていることが好ましい。
(液状媒体)
本実施形態に係る研磨剤における液状媒体は、特に制限はないが、脱イオン水、超純水等の水が好ましい。液状媒体の含有量は、他の構成成分の含有量を除いた研磨剤の残部でよく、特に限定されない。
(研磨剤の特性)
本実施形態に係る研磨剤のpHの下限は、絶縁材料の研磨速度を更に向上させると共に平坦性を更に向上させる観点から、3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましく、5.0以上が特に好ましく、5.5以上が極めて好ましく、6.0以上が非常に好ましい。pHの上限は、絶縁材料の研磨速度を更に向上させると共に絶縁材料の研磨残りの発生を防ぐ観点から、10.0以下が好ましく、9.0以下がより好ましく、8.0以下が更に好ましく、7.0以下が特に好ましく、6.5以下が極めて好ましい。上記の観点から、研磨剤のpHは3.0以上10.0以下がより好ましい。pHは、液温25℃におけるpHと定義する。
研磨剤のpHは、無機酸、有機酸等の酸成分;アンモニア、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、イミダゾール等のアルカリ成分などによって調整可能である。また、pHを安定化させるため、緩衝剤を添加してもよい。また、緩衝液(緩衝剤を含む液)として緩衝剤を添加してもよい。このような緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、フタル酸塩緩衝液等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨剤のpHは、pHメータ(例えば、電気化学計器株式会社製の型番:PHL−40)で測定できる。具体的には例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH:4.01)と中性リン酸塩pH緩衝液(pH:6.86)を標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を研磨剤に入れて、2min以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、標準緩衝液と研磨剤の液温は共に25℃とする。
本実施形態に係る研磨剤は、砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、第三の添加剤と、液状媒体とを少なくとも含む一液式研磨剤として保存してもよく、スラリ(第一の液)と添加液(第二の液)とを混合して前記研磨剤となるように前記研磨剤の構成成分をスラリと添加液とに分けた複数液式(例えば二液式)の研磨剤セットとして保存してもよい。スラリは、例えば、砥粒を少なくとも含む。添加液は、例えば、第一の添加剤、第二の添加剤及び第三の添加剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む。第一の添加剤、第二の添加剤、第三の添加剤、水溶性高分子及び緩衝剤は、スラリ及び添加液のうち添加液に含まれることが好ましい。なお、前記研磨剤の構成成分は、三液以上に分けた研磨剤セットとして保存してもよい。例えば、前記研磨剤の構成成分は、砥粒及び液状媒体を含むスラリと、第一の添加剤及び液状媒体を含む添加液と、第二の添加剤、第三の添加剤及び液状媒体を含む添加液とに分けて保存されてもよい。
前記研磨剤セットにおいては、研磨直前又は研磨時に、スラリ及び添加液が混合されて研磨剤が作製される。また、一液式研磨剤は、液状媒体の含有量を減じた研磨剤用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。複数液式の研磨剤セットは、液状媒体の含有量を減じたスラリ用貯蔵液及び添加液用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。
一液式研磨剤の場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、研磨剤を直接送液して供給する方法;研磨剤用貯蔵液及び液状媒体を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめ研磨剤用貯蔵液及び液状媒体を混合しておき供給する方法等を用いることができる。
スラリと添加液とに分けた複数液式の研磨剤セットとして保存する場合、これらの液の配合を任意に変えることにより研磨速度の調整ができる。研磨剤セットを用いて研磨する場合、研磨定盤上への研磨剤の供給方法としては、下記に示す方法がある。例えば、スラリと添加液とを別々の配管で送液し、これらの配管を合流、混合させて供給する方法;スラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び液状媒体を別々の配管で送液し、これらを合流、混合させて供給する方法;あらかじめスラリ及び添加液を混合しておき供給する方法;あらかじめスラリ用貯蔵液、添加液用貯蔵液及び液状媒体を混合しておき供給する方法等を用いることができる。また、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とをそれぞれ研磨定盤上へ供給する方法を用いることもできる。この場合、研磨定盤上においてスラリ及び添加液が混合されて得られる研磨剤を用いて被研磨面が研磨される。
<基体の研磨方法>
本実施形態に係る基体の研磨方法は、前記一液式研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよく、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液を少なくとも混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する研磨工程を備えていてもよい。また、本実施形態に係る基体の研磨方法は、絶縁材料及びストッパ材料を有する基体の研磨方法であってもよく、例えば、前記一液式研磨剤、又は、前記研磨剤セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨剤を用いて、絶縁材料をストッパ材料に対して選択的に研磨する研磨工程を備えていてもよい。この場合、基体は、例えば、絶縁材料を含む部材と、ストッパ材料を含む部材(ストッパ)とを有していてもよい。ストッパ材料としては、ポリシリコン、窒化珪素が好ましく、ポリシリコンがより好ましい。なお、「材料Aを材料Bに対して選択的に研磨する」とは、同一研磨条件において、材料Aの研磨速度が、材料Bの研磨速度よりも高いことをいう。例えば、材料Bの研磨速度に対する材料Aの研磨速度の研磨速度比が150以上で材料Aを研磨することをいう。
研磨工程では、例えば、被研磨材料を有する基体の該被研磨材料を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、前記研磨剤を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給し、基体と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料の被研磨面を研磨する。研磨工程では、例えば、被研磨材料の少なくとも一部を研磨により除去する。
研磨対象である基体としては、基板等が挙げられ、例えば、半導体素子製造に係る基板(例えば、STIパターン、ゲートパターン、配線パターン等が形成された半導体基板)上に被研磨材料が形成された基板が挙げられる。被研磨材料としては、酸化珪素等の絶縁材料;ポリシリコン、窒化珪素等のストッパ材料などが挙げられる。被研磨材料は、単一の材料であってもよく、複数の材料であってもよい。複数の材料が被研磨面に露出している場合、それらを被研磨材料と見なすことができる。被研磨材料は、膜状(被研磨膜)であってもよく、酸化珪素膜、ポリシリコン膜、窒化珪素膜等であってもよい。
このような基板上に形成された被研磨材料(例えば酸化珪素等の絶縁材料)を前記研磨剤で研磨し、余分な部分を除去することによって、被研磨材料の表面の凹凸を解消し、被研磨材料の表面全体にわたって平滑な面とすることができる。本実施形態に係る研磨剤は、酸化珪素を含む被研磨面を研磨するために使用されることが好ましい。
本実施形態では、少なくとも表面に酸化珪素を含む絶縁材料と、絶縁材料の下層に配置されたストッパ(研磨停止層)と、ストッパの下に配置された半導体基板とを有する基体における絶縁材料を研磨できる。ストッパを構成するストッパ材料は、絶縁材料よりも研磨速度が低い材料であり、ポリシリコン、窒化珪素等が好ましい。このような基体では、ストッパが露出した時に研磨を停止させることにより、絶縁材料が過剰に研磨されることを防止できるため、研磨終了後の基体表面の平坦性を向上させることができる。
被研磨材料の作製方法としては、低圧CVD法、準常圧CVD法、プラズマCVD法等のCVD法;回転する基板に液体原料を塗布する回転塗布法などが挙げられる。
酸化珪素は、低圧CVD法を用いて、例えば、モノシラン(SiH)と酸素(O)を熱反応させることにより得られる。また、酸化珪素は、準常圧CVD法を用いて、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC)とオゾン(O)を熱反応させることにより得られる。その他の例として、テトラエトキシシランと酸素をプラズマ反応させることにより、同様に酸化珪素が得られる。
酸化珪素は、回転塗布法を用いて、例えば、無機ポリシラザン、無機シロキサン等を含む液体原料を基板上に塗布し、炉体等で熱硬化反応させることにより得られる。
ポリシリコンの作製方法としては、モノシランを熱反応させる低圧CVD法、モノシランをプラズマ反応させるプラズマCVD法等が挙げられる。
窒化珪素の作製方法としては、ジクロルシランとアンモニアを熱反応させる低圧CVD法、モノシラン、アンモニア及び窒素をプラズマ反応させるプラズマCVD法等が挙げられる。以上のような方法で得られた窒化珪素には、材質を調整するために、炭素、水素等のように、シリコンと窒素以外の元素が含まれていてもよい。
以上のような方法で得られた酸化珪素、ポリシリコン、窒化珪素等の材質を安定化させるために、必要に応じて200〜1000℃の温度で熱処理をしてもよい。また、以上のような方法で得られた酸化珪素には、埋込み性を高めるために微量のホウ素(B)、リン(P)、炭素(C)等が含まれていてもよい。
以下、絶縁材料が形成された半導体基板の研磨方法を一例に挙げて、本実施形態に係る研磨方法を説明する。本実施形態に係る研磨方法において、研磨装置としては、被研磨面を有する半導体基板等の基体を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用できる。ホルダー及び研磨定盤のそれぞれには、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてある。研磨装置としては、例えば、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置、商品名:Reflexion(「Reflexion」は、登録商標。)を使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、アクリル−エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。研磨パッドの材質としては、特に、研磨速度及び平坦性の観点から、発泡ポリウレタン及び非発泡ポリウレタンが好ましい。研磨パッドには、研磨剤がたまるような溝加工が施されていてもよい。
研磨条件に制限はないが、研磨定盤の回転速度(回転数)は、半導体基板が飛び出さないように200min−1以下が好ましく、半導体基板にかける研磨圧力(加工荷重)は、研磨傷が発生することを充分に抑制する観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等で連続的に研磨剤を研磨パッドに供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨剤で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の半導体基板は、流水中でよく洗浄して基板に付着した粒子を除去することが好ましい。洗浄には、純水以外に希フッ酸又はアンモニア水を用いてもよく、洗浄効率を高めるためにブラシを用いてもよい。また、洗浄後は、半導体基板に付着した水滴を、スピンドライヤ等を用いて払い落としてから半導体基板を乾燥させることが好ましい。
本実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法は、STIの形成に好適に使用できる。STIを形成するためには、ストッパ材料(例えばポリシリコン)に対する絶縁材料(例えば酸化珪素)の研磨速度比は、150以上が好ましく、250以上がより好ましく、350以上が更に好ましく、500以上が特に好ましく、700以上が極めて好ましい。前記研磨速度比が150未満であると、ストッパ材料の研磨速度に対する絶縁材料の研磨速度の大きさが小さく、STIを形成する際に所定の位置で研磨を停止しにくくなる傾向がある。一方、前記研磨速度比が150以上であれば、研磨の停止が容易になり、STIの形成に更に好適である。
本実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法は、プリメタル絶縁材料の研磨にも使用できる。プリメタル絶縁材料としては、酸化珪素の他、例えば、リン−シリケートガラス、ボロン−リン−シリケートガラスが使用され、更に、シリコンオキシフロリド、フッ化アモルファスカーボン等も使用できる。
本実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法は、酸化珪素等の絶縁材料以外の材料にも適用できる。このような材料としては、Hf系、Ti系、Ta系酸化物等の高誘電率材料;シリコン、アモルファスシリコン、SiC、SiGe、Ge、GaN、GaP、GaAs、有機半導体等の半導体材料;GeSbTe等の相変化材料;ITO等の無機導電材料;ポリイミド系、ポリベンゾオキサゾール系、アクリル系、エポキシ系、フェノール系等のポリマ樹脂材料などが挙げられる。
本実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法は、膜状の研磨対象だけでなく、ガラス、シリコン、SiC、SiGe、Ge、GaN、GaP、GaAs、サファイヤ又はプラスチック等から構成される各種基板にも適用できる。
本実施形態に係る研磨剤、研磨剤セット及び研磨方法は、半導体素子の製造だけでなく、TFT液晶、有機EL等の画像表示装置;フォトマスク、レンズ、プリズム、光ファイバー、単結晶シンチレータ等の光学部品;光スイッチング素子、光導波路等の光学素子;固体レーザ、青色レーザLED等の発光素子;磁気ディスク、磁気ヘッド等の磁気記憶装置の製造に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<4価金属元素の水酸化物の合成>
4.968Lの水を容器に入れた後、濃度50質量%の硝酸セリウムアンモニウム水溶液(一般式Ce(NH(NO、式量548.2、日本化学産業株式会社製、製品名:50%CAN液)を0.143L加えて混合した。その後、液温を40℃に調整して金属塩水溶液(金属塩濃度0.037mol/L)を得た。
次に、イミダゾールを水に溶解させて濃度0.7mol/Lの水溶液を0.912L用意した。その後、液温を温度40℃に調整してアルカリ液を得た。
前記金属塩水溶液の入った容器を、水を張った水槽に入れた。外部循環装置クールニクスサーキュレータ(東京理化器械株式会社(EYELA)製、製品名:クーリングサーモポンプ CTP101)を用いて、水槽の水温を40℃に調整した。水温を40℃に保持しつつ、撹拌速度400min−1で金属塩水溶液を撹拌しながら、前記アルカリ液を混合速度1.7×10−6/minで容器内に加え、4価セリウムの水酸化物を含む砥粒を含有するスラリ前駆体1を得た。なお、羽根部全長5cmの3枚羽根ピッチパドルを用いて金属塩水溶液を撹拌した。
得られたスラリ前駆体1を、分画分子量50000の中空糸フィルタを用いて循環させながら限外ろ過して、導電率が50mS/m以下になるまでイオン分を除去することにより、スラリ前駆体2を得た。なお、前記限外ろ過は、液面センサを用いて、スラリ前駆体1の入ったタンクの水位を一定にするように水を添加しながら行った。得られたスラリ前駆体2を適量とり、乾燥前後の質量を量ることにより、スラリ前駆体2の不揮発分含量(4価セリウムの水酸化物を含む砥粒の含量)を算出した。なお、この段階で不揮発分含量が1.0質量%未満であった場合には、限外ろ過を更に行うことにより、1.1質量%を超える程度に濃縮した。最後に、適量の水を追加し、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(粒子の含有量:1.0質量%)を調製した。
<砥粒の構造分析>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液を適量採取し、真空乾燥して砥粒を単離した後に、純水で充分に洗浄して試料を得た。得られた試料について、FT−IR ATR法による測定を行ったところ、水酸化物イオン(OH)に基づくピークの他に、硝酸イオン(NO )に基づくピークが観測された。また、同試料について、窒素に対するXPS(N−XPS)測定を行ったところ、NH に基づくピークは観測されず、硝酸イオンに基づくピークが観測された。これらの結果より、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液に含まれる砥粒は、セリウム元素に結合した硝酸イオンを有すると考えられる粒子を少なくとも一部含有することが確認された。
<吸光度及び光透過率の測定>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液を適量採取し、砥粒含有量が0.0065質量%(65ppm)となるように水で希釈して測定サンプル(水分散液)を得た。この測定サンプルを1cm×1cmのセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長290nmの光に対する吸光度と、波長450〜600nmの光に対する吸光度とを測定した。波長290nmの光に対する吸光度は1.207であり、波長450〜600nmの光に対する吸光度は0.010未満であった。
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(粒子の含有量:1.0質量%)を1cm×1cmのセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200〜600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長400nmの光に対する吸光度と、波長500nmの光に対する光透過率とを測定した。波長400nmの光に対する吸光度は2.25であり、波長500nmの光に対する光透過率は99%/cmであった。
<上澄み液の不揮発分含量の測定>
セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液(粒子の含有量:1.0質量%)を日立工機株式会社製の超遠心分離機(装置名:70P−72)に付属の遠沈管(チューブ)に充填し、前記超遠心分離機を用いて回転数50000min−1で50min遠心分離した。遠沈管の底には沈殿物が確認された。前記超遠心分離機において、チューブ角は26°、最小半径Rminは3.53cm、最大半径Rmaxは7.83cm、平均半径Ravは5.68cmであった。平均半径Ravから計算される遠心加速度は、158756G=1.59×10Gであった。遠心分離後の遠沈管から上澄み液を5.0gとり、アルミシャーレに入れて150℃で1時間乾燥させた。乾燥前後の質量を量ることにより、上澄み液に含まれる不揮発分含量(セリウム水酸化物粒子の含量)を算出した。不揮発分含量は812ppmであった。
<CMP研磨剤の調製>
[実施例1]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#4000、重量平均分子量:4000)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水760gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%硝酸カリウムを含有する水溶液60gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、硝酸カリウムを0.006質量%(60ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例2]
ポリグリセリン10量体(PGL10量体)(阪本薬品工業株式会社製、商品名:PGL750、重量平均分子量:750)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水720gと、陽イオン性ポリマとしてポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製、商品名:エポミンP−1000(「エポミン」は、登録商標。)、重量平均分子量:70×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%硝酸コバルト・6水和物を含有する水溶液100gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリグリセリンを0.5質量%、ポリエチレンイミンを0.003質量%、硝酸コバルト・6水和物を0.01質量%(100ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例3]
金属塩化合物の種類以外は実施例1と同様にして、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、硝酸ニッケル・6水和物を0.01質量%(100ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例4]
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製、商品名:ノイゲンEA−207D、重量平均分子量:4500)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水620gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%塩化銅・2水和物を含有する水溶液200gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、塩化銅・2水和物を0.02質量%(200ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例5]
ビニルアルコール重合体(株式会社クラレ製、商品名:PVA−403、平均重合度300、ケン化度80mol%、重量平均分子量:14×10)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水720gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%硝酸亜鉛・6水和物を含有する水溶液100gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ビニルアルコール重合体を0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、硝酸亜鉛・6水和物を0.01質量%(100ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例6]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水720gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%硝酸アルミニウム・9水和物を含有する水溶液100gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、硝酸アルミニウム・9水和物を0.01質量%(100ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[実施例7]
α−グルコース重合体(サンエイ糖化株式会社製、商品名:NSD700、DE値:17−21)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水640gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−01、重量平均分子量:1.6×10)を含有する水溶液10gと、金属塩化合物として0.1質量%塩化銅・2水和物を含有する水溶液200gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、α−グルコース重合体を0.5質量%、ポリアリルアミンを0.001質量%、塩化銅・2水和物を0.02質量%(200ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.0になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例1]
上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水940gと、1質量%イミダゾール水溶液10gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%含有するpH5.9のCMP研磨剤を調製した。
[比較例2]
上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水940gと、0.1質量%ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−01、重量平均分子量:1.6×10)水溶液10gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリアリルアミンを0.001質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.0になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例3]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.2になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例4]
ビニルアルコール重合体(株式会社クラレ製、商品名:PVA−403、平均重合度300、ケン化度80mol%、重量平均分子量:14×10)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ビニルアルコール重合体を0.5質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.8になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例5]
陽イオン性ポリマとしてポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−01、重量平均分子量:1.6×10)を加えた以外は比較例4と同様にして、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ビニルアルコール重合体を0.5質量%、ポリアリルアミンを0.0001質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例6]
ビニルアルコール重合体(株式会社クラレ製、商品名:PVA−403、平均重合度300、ケン化度80mol%、重量平均分子量:14×10)10質量%、ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−08、重量平均分子量:8.0×10)0.008質量%及び水89.992質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ビニルアルコール重合体を1質量%、ポリアリルアミンを0.0008質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.0になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例7]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600)0.07質量%、キトサン(大日精化工業株式会社製、商品名:ダイキトサン100D(「ダイキトサン」は、登録商標。)、脱アセチル化度:98%以上)0.15質量%及び水99.78質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.007質量%、キトサンを0.015質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.4になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例8]
ビニルアルコール重合体(株式会社クラレ製、商品名:PVA−403、平均重合度300、ケン化度80mol%、重量平均分子量:14×10)5質量%、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの重合体(重量平均分子量:23×10)0.01質量%及び水94.99質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ビニルアルコール重合体を0.5質量%、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの重合体を0.001質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.1になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
なお、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの重合体は、下記の手順により作製した。まず、丸底フラスコにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、商品名:DMAPAA)15g、水281gを入れ、窒素ガスを導入した。80℃に加熱し、攪拌しながら、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩696mg及び水4gからなる水溶液を加えた。80℃で2時間加熱攪拌後、室温(25℃)まで冷却して、濃度5質量%のN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの重合体を得た。
[比較例9]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600)5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)0.03質量%及び水94.97質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水850gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.2になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例10]
上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水750gと、金属塩化合物として0.1質量%塩化銅・2水和物を含有する水溶液200gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、塩化銅・2水和物を0.02質量%(200ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例11]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水650gと、金属塩化合物として0.1質量%塩化銅・2水和物を含有する水溶液200gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、塩化銅・2水和物を0.02質量%(200ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例12]
上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水740gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−01、重量平均分子量:1.6×10)を含有する水溶液10gと、金属塩化合物として0.1質量%塩化銅・2水和物を含有する水溶液200gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリアリルアミンを0.001質量%、塩化銅・2水和物を0.02質量%(200ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、6.0になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例13]
ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名:PEG#4000、重量平均分子量:4000)5質量%及び水95質量%を含有する添加液用貯蔵液100gと、上記で調製したセリウム水酸化物スラリ用貯蔵液50gと、水520gと、陽イオン性ポリマとして0.1質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS−J−81、重量平均分子量:200×10)を含有する水溶液30gと、金属塩化合物として0.1質量%硝酸マグネシウム・6水和物を含有する水溶液300gとを混合することにより、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、硝酸マグネシウム・6水和物を0.03質量%(300ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
[比較例14]
金属塩化合物の種類と添加量以外は比較例13と同様にして、セリウム水酸化物粒子を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.003質量%、塩化鉄を0.01質量%(100ppm)含有するCMP研磨剤を調製した。CMP研磨剤のpHは、5.9になるようにイミダゾールを用いて適宜調整した。
<液状特性評価>
CMP研磨剤のpH、及び、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液中のセリウム水酸化物粒子の平均粒径を下記の条件で評価した。
(pH)
測定温度:25±5℃
測定装置:電気化学計器株式会社製、型番:PHL−40
測定方法:標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液、pH:4.01(25℃);中性リン酸塩pH緩衝液、pH:6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極をCMP研磨剤に入れて、2min以上経過して安定した後のpHを前記測定装置により測定した。
(セリウム水酸化物粒子の平均粒径)
ベックマンコールター社製、商品名:N5を用いて、セリウム水酸化物スラリ用貯蔵液中のセリウム水酸化物粒子の平均粒径を測定した。測定法は下記のとおりである。まず、砥粒の含有量を0.2質量%に調整した水分散液を調製し、この水分散液を1cm×1cmのセルに約1mL入れ、N5内にセルを設置した。分散媒の屈折率を1.333、分散媒の粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行い、Unimodal Size Meanとして表示される値を読み取った。その結果、砥粒の平均粒径は24nmであった。
<CMP評価>
CMP研磨剤を用いて下記研磨条件で被研磨基板を研磨した。但し、比較例1、2、10及び12については、パターンなしウエハでの一次スクリーニングの結果、酸化珪素膜とポリシリコン膜の研磨速度比が10以下であったためパターンウエハの研磨を行わなかった。
(CMP研磨条件)
・研磨装置:Reflexion(APPLIED MATERIALS社製、商品名)
・CMP研磨剤流量:200mL/min
・被研磨基板:
(パターンなしウエハ)
パターンが形成されていないブランケットウエハとして、厚さ1μmの酸化珪素膜をシリコン基板上にプラズマCVD法で形成した基板と、厚さ0.2μmのポリシリコン膜をシリコン基板上にCVD法で形成した基板とを用いた。
(パターンウエハ)
模擬パターンが形成されたパターンウエハとして、SEMATECH社製ウエハ(商品名:764ウエハ、直径:300mm)を用いた。当該パターンウエハは、下記の工程を経て得られたウエハであった。
(1)ストッパとしてポリシリコン膜をシリコン基板上に積層、
(2)トレンチを形成、
(3)ポリシリコン膜及びトレンチを埋めるようにシリコン基板及びポリシリコン膜の上に絶縁材料として酸化珪素膜(SiO膜)を積層。
酸化珪素膜は、HDP(High Density Plasma)法により成膜されたものであった。
・研磨パッド:独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番:IC1010)、ショアD硬度:60
・研磨圧力:16.5kPa(2.4psi)
・基板と研磨定盤との相対速度:85m/min
・研磨時間:ブランケットウエハは、1min研磨を行った。パターンウエハは、ストッパであるポリシリコン膜が露出するまで研磨を行った。また、ポリシリコン膜が露出するまでにかかった研磨時間と同じ時間更に削り込む(100%オーバー研磨する)ことにより、ディッシングの進行度合いの確認を行った。
・洗浄:CMP処理後、超音波水による洗浄を行った後、スピンドライヤで乾燥させた。
パターンウエハとして、ライン(凸部)&スペース(凹部)幅が200μmピッチであり且つ凸部パターン密度が50%である部分を有するものを使用した。ライン&スペースとは、模擬的なパターンであり、凸部であるポリシリコン膜でマスクされたアクティブ部と、凹部である溝が形成されたトレンチ部とが、交互に並んだパターンである。「ライン&スペースが200μmピッチで、凸部パターン密度が50%」とは、凸部幅:100μmと、凹部幅:100μmとが、交互に並んだパターンを意味する。
パターンウエハにおいて、酸化珪素膜の膜厚は、凹部のシリコン基板及び凸部のポリシリコン膜のいずれの上においても600nmであった。具体的には、図2に示すように、シリコン基板1上のポリシリコン膜2の膜厚は150nmであり、酸化珪素膜3の凸部の膜厚は600nmであり、酸化珪素膜3の凹部の膜厚は600nmであり、酸化珪素膜3の凹部深さは500nm(トレンチ深さ350nm+ポリシリコン膜厚150nm)であった。
パターンウエハの研磨評価に際しては、セルフストップ性(模擬パターンの残段差が小さくなると研磨速度が低下する)を有する公知のCMP研磨剤を用いて前記ウエハを研磨することにより残段差が100nm以下の状態となったウエハを用いた。具体的には、日立化成株式会社製、商品名:HS−8005−D4と、日立化成株式会社製、商品名:HS−7303GPと、水とを2:1.2:6.8の比率で配合した研磨剤を用いて、1000μmピッチ50%密度パターンにおける凸部の酸化珪素膜厚を130nmまで研磨した状態のウエハを用いた。
<研磨品評価>
[ブランケットウエハ研磨速度]
前記条件で研磨及び洗浄した被研磨膜(酸化珪素膜、ポリシリコン膜)の研磨速度(酸化珪素研磨速度:SiORR、ポリシリコン研磨速度:p−SiRR)を次式より求めた。また、p−SiRRに対するSiORRの研磨速度比を算出した。なお、研磨前後での被研磨膜の膜厚差は、光干渉式膜厚測定装置(フィルメトリクス社製、商品名:F80)を用いて求めた。
(研磨速度:RR)=(研磨前後での被研磨膜の膜厚差(nm))/(研磨時間(min))
[パターンウエハ評価]
前記条件で研磨及び洗浄したパターンウエハの凸部のポリシリコン膜の残膜厚、及び、凹部の酸化珪素膜の残膜厚を測定して残段差量(ディッシング)を次式より求めた。そして、研磨時間(min)に基づきディッシング進行速度(nm/min)を算出した。なお、研磨前後での被研磨膜の膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ナノメトリクス社製、商品名:NanoSpec AFT−5100(「NanoSpec」は、登録商標。))を用いて求めた。
残段差(ディッシング)=(350nm+ポリシリコン膜厚(nm))−(凹部の酸化珪素膜の残膜厚(nm))
[研磨傷評価]
前記条件で研磨及び洗浄した被研磨基板(酸化珪素膜を有するブランケットウエハ基板)を0.5質量%のフッ化水素の水溶液に15秒間浸漬した後に60秒間水洗した。続いて、ポリビニルアルコールブラシを用いて、水を供給しながら被研磨基板の表面を1min洗浄した後に乾燥させた。APPLIED MATERIALS社製、商品名:Complusを用いて、被研磨基板の表面の0.2μm以上の欠陥を検出した。更に、APPLIED MATERIALS社製、商品名:Complusで得られた欠陥検出座標とAPPLIED MATERIALS社製、商品名:SEM Visionとを用いて、被研磨基板の表面を観測し、被研磨基板の表面における0.2μm以上の研磨傷であるものを抽出し、その個数を数えた。研磨傷の個数は、実施例及び比較例のいずれにおいても0〜3(個/ウエハ)程度であり、研磨傷の発生が充分に抑制されていた。
実施例1〜7及び比較例1〜14の各測定結果を表1〜表3に示す。
Figure 0006569191







Figure 0006569191
Figure 0006569191
以下、表1〜表3に示す結果について詳しく説明する。
実施例1〜7のいずれにおいても、SiORRは100nm/min以上、p−SiRRは1nm/min以下、研磨速度比は150以上であり、実用的な充分に高い研磨速度及び高い研磨速度比を示した。また、パターンウエハ評価では、ディッシング進行速度はいずれも8nm/min以下であり、ディッシングの進行が抑制されている結果が得られた。
本発明によれば、ストッパを用いて絶縁材料(STI絶縁材料、プリメタル絶縁材料、層間絶縁材料等)を研磨するCMP技術においてストッパ材料に対する絶縁材料の優れた研磨選択性が得られると共に研磨終了後の基体表面を高度に平坦化することが可能な研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法を提供できる。
1…シリコン基板、2…ポリシリコン膜、3…酸化珪素膜、AR…アングルロータ、A1…回転軸、A2…チューブ角、Rmin…最小半径、Rmax…最大半径、Rav…平均半径。

Claims (12)

  1. 液状媒体と、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、第三の添加剤と、を含有し、
    前記第一の添加剤が、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリグリセリン、ビニルアルコール重合体及びα−グルコース重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記第二の添加剤が陽イオン性ポリマであり、
    前記第三の添加剤が1、9、10、11、12及び13族からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属塩化合物である、研磨剤。
  2. 前記第二の添加剤が、アリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ビニルアミン重合体及びエチレンイミン重合体からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の研磨剤。
  3. 前記第三の添加剤が、ナトリウム、カリウム、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミニウム及びガリウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属の塩である、請求項1又は2に記載の研磨剤。
  4. 前記第三の添加剤の含有量が、研磨剤の全質量を基準として0.001質量%以上0.1質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨剤。
  5. 4価金属元素の水酸化物が、4価金属元素に結合した陰イオン(但し、水酸化物イオンを除く)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨剤。
  6. 酸化珪素を含む被研磨面を研磨するために使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨剤の構成成分が複数の液に分けて保存され、第一の液が前記砥粒を含み、第二の液が、前記第一の添加剤、前記第二の添加剤及び前記第三の添加剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む、研磨剤セット。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備える、基体の研磨方法。
  9. 請求項7に記載の研磨剤セットにおける、少なくとも前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて基体の被研磨面を研磨する工程を備える、基体の研磨方法。
  10. 絶縁材料及びストッパ材料を有する基体の研磨方法であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨剤を用いて前記絶縁材料を前記ストッパ材料に対して選択的に研磨する工程を備える、基体の研磨方法。
  11. 絶縁材料及びストッパ材料を有する基体の研磨方法であって、
    請求項7に記載の研磨剤セットにおける、少なくとも前記第一の液と前記第二の液とを混合して得られる研磨剤を用いて前記絶縁材料を前記ストッパ材料に対して選択的に研磨する工程を備える、基体の研磨方法。
  12. 前記ストッパ材料が窒化珪素又はポリシリコンである、請求項10又は11に記載の基体の研磨方法。
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