JP2017057250A - 建築部材、並びにそれを用いた人造大理石及び建材一体型照明器具 - Google Patents

建築部材、並びにそれを用いた人造大理石及び建材一体型照明器具 Download PDF

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Abstract

【課題】厚みの増大を抑制しつつ、容易に製造することが可能な建築部材、並びにそれを用いた人造大理石及び建材一体型照明器具を提供する。【解決手段】建築部材(10)は、第1樹脂により形成される第1樹脂相(1)と、第1樹脂と相違する第2樹脂により形成され、第1樹脂相の内部で三次元的に連続している第2樹脂相(2)とを有する相分離構造を備える。そして、第1樹脂相は光を透過する透光相であり、第2樹脂相は入射した光を伝播する導光相である。人造大理石は、上述の建築部材(10)からなるものである。建材一体型照明器具(100)は、建築部材(10)と、建築部材における導光相に光を入射する光源(20)とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、建築部材、並びに当該建築部材を用いた人造大理石及び建材一体型照明器具に関する。
従来より、天然の大理石と同様の素材感、質感、自然感等を持たせた、樹脂製の人造大理石が使用されている。このような人造大理石は高い意匠性から、住宅等の建材をはじめとして、システムキッチンのカウンタ、バス、洗面化粧台等の広範囲で利用されている。
このような人造大理石を使用したカウンタとして、従来、表面側に設けられ光を透過させる透光層と、透光層の裏側を遮蔽するように設けられた遮蔽層とを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに当該カウンタは、透光層と遮蔽層との界面に設けられ、一端に入光部を有すると共に、透光層との界面に出光面を有する導光層を備えている。そして、透光層と導光層と遮蔽層とが一体となり三層構造となっている。このような構成により、導光層で光が伝播して、透光層から光が放射されるため、多層構造のカウンタであっても深み感や立体感を出すことを可能にしている。
特開2011−67444号公報
しかしながら、特許文献1のカウンタは、透光層、導光層及び遮蔽層が一体となった三層構造であるため、積層することにより厚みが増大してしまうという問題があった。また、透光層、導光層及び遮蔽層をそれぞれ作製する必要があるため、製造プロセスが増加するという問題もあった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、厚みの増大を抑制しつつ、容易に製造することが可能な建築部材、並びにそれを用いた人造大理石及び建材一体型照明器具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る建築部材は、第1樹脂により形成される第1樹脂相と、第1樹脂と相違する第2樹脂により形成され、第1樹脂相の内部で三次元的に連続している第2樹脂相とを有する相分離構造を備える。そして、第1樹脂相は光を透過する透光相であり、第2樹脂相は入射した光を伝播する導光相である。
本発明の第二の態様に係る人造大理石は、上述の建築部材からなる。
本発明の第三の態様に係る建材一体型照明器具は、上述の建築部材と、当該建築部材における導光相に光を入射する光源とを備える。
本発明によれば、建築部材を単層で形成できるため、厚みの増大を抑制しつつ、容易に製造することが可能となる。また、人造大理石及び建材一体型照明器具は、単層の建築部材を用いているため、省スペースであり、さらに意匠性にも優れる。
本実施形態に係る建築部材を示す概略断面図であり、(a)は当該建築部材の一例を示す概略断面図であり、(b)は当該建築部材の他の例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る建築部材の相分離構造を説明するための概略図であり、(a)は海島構造を示し、(b)は連続球状構造を示し、(c)は複合分散構造を示し、(d)は共連続構造を示す。 本実施形態に係る建築部材の製造過程を説明するための概略図である。 相分離構造を有さない建築部材の製造過程を説明するための概略図である。 本実施形態に係る建材一体型照明器具を示す概略断面図であり、(a)は当該建材一体型照明器具の一例を示す概略断面図であり、(b)は当該建材一体型照明器具の他の例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る建材一体型照明器具の適用例を示す概略図である。 実施例の建築部材を示す写真である。
以下、本実施形態に係る建築部材、並びに当該建築部材を用いた人造大理石及び建材一体型照明器具について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[建築部材]
本実施形態に係る建築部材10は、図1(a)に示すように、第1樹脂により形成される第1樹脂相1と、第1樹脂と相違する第2樹脂により形成され、第1樹脂相1の内部で三次元的に連続している第2樹脂相2とを有する相分離構造を備える。
本実施形態の建築部材10は第1樹脂相1と第2樹脂相2とを有し、さらにこれらの樹脂相が混合し、相分離した構造を有している。ここで、相分離構造としては、海島構造、連続球状構造、複合分散構造及び共連続構造の少なくともいずれか一つを挙げることができる。海島構造は、図2(a)に示すように、体積の小さい分散相2Aが連続相1Aに分散された構造をいい、粒子状や球状の分散相2Aが連続相1Aの中に散在する構造である。連続球状構造は、図2(b)に示すように、略球状の分散相2Aが連結し、連続相1A中に分散した構造である。複合分散構造は、図2(c)に示すように、分散相2Aが連続相1Aの中に散在し、さらに分散相2A中に連続相1Aを構成する樹脂が散在している構造である。共連続構造は、図2(d)に示すように、連続相1Aと分散相2Aとが複雑な三次元の網目状を形成している構造である。なお、海島構造、連続球状構造、複合分散構造及び共連続構造のような相分離構造は、樹脂成形体の硬化速度や反応温度等の硬化条件、樹脂の相溶性、配合比を制御することにより得ることができる。
本実施形態の建築部材10は、第2樹脂相2が第1樹脂相1の内部で三次元的に連続している。そのため、第1樹脂相1及び第2樹脂相2は、複雑な三次元の網目状を形成している共連続構造であることが好ましい。
そして、建築部材10において、第1樹脂相1は光を透過する透光相であり、第2樹脂相2は入射した光を伝播する導光相である。つまり、後述するように、建築部材10の一端に設けられた光源20を用いて、第2樹脂相2の入光部2aから光を入射させた場合、入射した光は、第1樹脂相1と第2樹脂相2との界面で反射する。そして、この反射を繰り返すことにより、入射した光は入光部2aと反対側の端部に向けて伝播する。このとき、伝播する光の一部は、第1樹脂相1と第2樹脂相2との界面から出射し、第1樹脂相1を透過して建築部材10の表面から放射する。これにより、建築部材10の深い部分を浮かび上がらせるような外観とすることができ、立体感を効果的に表現することが可能となる。
また、建築部材10では、第1樹脂相1と第2樹脂相2とが互いに異なる光学的特性を有している。つまり、第1樹脂相1と第2樹脂相2は、例えば光透過性、光屈折率及び色の少なくとも一つが互いに異なっている。そのため、建築部材10には、相分離した第1樹脂相1及び第2樹脂相2の形状に由来する三次元の模様が形成されていることから、光を入射させない場合でも意匠性を高めることが可能となる。
建築部材10において、第2樹脂は第1樹脂よりも屈折率が高いことが好ましい。このような屈折率の差異により、第1樹脂相1と第2樹脂相2との界面で光が反射しやすくなることから、導光相である第2樹脂相2の内部で光が伝播しやすくなる。そのため、建築部材10の全体の立体感をより高めることが可能となる。なお、第1樹脂相1と第2樹脂相2の屈折率は、次のように測定することができる。まず、第1樹脂相1及び第2樹脂相2をそれぞれ削りだし粉末状にし、屈折率の異なる溶液に分散させる。そして、透明になった各相の溶液の屈折率を測定することにより、各相の屈折率を推定することができる。また、第1樹脂相1と第2樹脂相2の屈折率は、日本工業規格JIS K7142(プラスチック−屈折率の求め方)のB法でも求めることができる。
図1(b)に示すように、建築部材10Aは、相分離構造の裏面10aに設けられ、透光相である第1樹脂相1からの出射を遮蔽して表面10bに反射させる反射層3を備えてもよい。このような反射層3を設けることにより、建築部材10Aの裏面10aからの出射を抑制し、表面10bから効率的に放射させることが可能となる。反射層3に用いられる樹脂は特に制限されないが、酸化チタンなどの白色顔料を添加した白色の樹脂を用いることが好ましい。
建築部材10では、相分離構造のサイズは特に限定されないが、例えば可視光の波長以上であることが好ましい。つまり、相分離構造のサイズは380nm以上であることが好ましい。相分離構造のサイズが380nm以上であることにより、導光相である第2樹脂相2の内部を光が伝播するため、建築部材10の全体から放射することが可能となる。なお、相分離構造のサイズとは、図1(a)及び図2(d)に示すように、第2樹脂相2(分散相2A)の幅dをいう。なお、相分離構造のサイズは1μm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましい。また、相分離構造のサイズは1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましく、10mm以上であることが特に好ましい。相分離構造のサイズが0.5mm以上であることにより、第1樹脂相1と第2樹脂相2との境界が目視により判別できるため、建築部材10に形成されている模様を認識し、意匠性も高めることが可能となる。なお、相分離構造のサイズの上限は特に限定されないが、例えば300mmとすることができる。
建築部材10において、第1樹脂相1は、メタクリル酸メチル由来のアクリル相を含むことが好ましい。つまり、第1樹脂相1は、メタクリル酸メチルが重合してなるアクリル樹脂の相を含むことが好ましい。第1樹脂相1が当該アクリル相を含むことにより、得られる建築部材10は良好な外観となり、さらに耐熱性や耐水性などの強度も十分なものとなる。
また、第1樹脂相1は、ポリメタクリル酸メチルを含むことが好ましい。第1樹脂相1がポリメタクリル酸メチルを含むことにより、第1樹脂相1の強度をより高めることが可能となる。また、第1樹脂相1がポリメタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル由来のアクリル相との両方を含むことにより、相分離構造を形成しやすくなる。なお、ポリメタクリル酸メチルの重量平均分子量は特に限定されないが、例えば1000〜500000が好ましく、50000〜200000がより好ましい。当該重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の数値である。
第1樹脂相1を構成する第1樹脂は、メタクリル酸メチルが後述する架橋剤と重合してなる三次元のポリメタクリル酸メチルと、当該三次元のポリメタクリル酸メチルとは異なるポリメタクリル酸メチルとが混合してなるアクリル樹脂であることがより好ましい。これにより、建築部材10は良好な外観となり、さらに強度も十分なものとなる。また、第1樹脂相1と第2樹脂相2が相分離しやすくなるため、三次元の導光相を容易に形成することが可能となる。
なお、後述するように、第1樹脂相1には充填材等が含まれていてもよい。ただ、第1樹脂相1は、メタクリル酸メチルが重合してなる三次元のポリメタクリル酸メチルと、当該三次元のポリメタクリル酸メチルとは異なるポリメタクリル酸メチルとが混合してなるアクリル相が主成分であることが好ましい。
第2樹脂相2を構成する第2樹脂は、第1樹脂と相分離する材料からなることが好ましい。第2樹脂としてこのような材料を用いることにより、第1樹脂相1と第2樹脂相2とを容易に相分離することが可能となる。
第2樹脂相2を構成する第2樹脂としては、次のようなポリマーを使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニルからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、当該ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン、ポリイソプレン又はポリ塩化ビニルのランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体なども用いることができる。このようなポリマーとしては、根上工業株式会社製アクリレートポリマーAS−3000(骨格主組成:ブチルアクリレート、官能基種:OH、分子量:120000〜1300000、重量平均分子量Mw:650000)も挙げることができる。
また、第2樹脂相2は、第2樹脂前駆体とメタクリル酸メチルとが重合することにより形成されていてもよい。言い換えれば、第2樹脂相2を構成する第2樹脂は、第2樹脂前駆体とメタクリル酸メチルとの共重合体であってもよい。そのため、第2樹脂前駆体は、メタクリル酸メチルと重合可能な置換基を有していることが好ましい。このような第2樹脂前駆体としては、例えば、次のモノマー及びオリゴマーの少なくとも一方を用いることができる。
第2樹脂前駆体としてのモノマーは、単官能性のスチレン系モノマー、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ビニルエステル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンを挙げることができる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸と脂肪族炭化水素とのエステルを挙げることができる。なお、脂肪族炭化水素は、炭素数が1〜18であることが好ましい。また、メタクリル酸エステルとしては、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステルを挙げることができる。さらに、メタクリル酸エステルとしては、メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルも挙げることができる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸と脂肪族炭化水素とのエステルを挙げることができる。なお、脂肪族炭化水素は、炭素数が1〜18であることが好ましい。また、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステルを挙げることができる。さらに、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルも挙げることができる。アクリル酸エステルとしては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートも挙げることができる。
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどを挙げることができる。また、共役ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。
また、第2樹脂前駆体であるモノマーとしては、二官能性又は多官能性のアクリル系カルボン酸エステルモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、アクリル系モノマー及びメタクリレート系モノマーを挙げることができる。
アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナンエチレングリコールジアクリレート、テトラデカンエチレングリコールジアクリレート、1,3−プチレンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、o−ジアリルフタレート、m−ジアリルフタレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ビスフェノールAポリエチレングリコールジアクリレート、エタンジグリシジルエーテルジアクリレート、2−プロパノールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジウレタンポリエチレングリコールジアクリレート、キシリレンウレタンジアクリレート、1,6−ヘキサンジウレタングリセリンテトラアクリレート、1,6−ヘキサンジウレタンフタール酸ジアクリレート、ビスフェノールA−ヘキサンジウレタンジエチルアクリレ−ト、グリシドールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、キシリレングリコールジアクリレート、ヒドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルジグリコールカーボネ−ト、ジアリルジブチルホスホノサクシネート、共栄社化学株式会社製エポライト3002Aなどが挙げられる。これらのモノマーのアクリレート基のうち1つ以上がメタクリル基に置換されたものを用いてもよい。
また、メタクリレート系のモノマーとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナンエチレングリコールジメタクリレート、テトラデカンエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオベンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ノナンプロピレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAテトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エタングリシジルエーテルジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールグリシジルエーテルジメタクリレート、ビスフェノールポリエチレングリコールジメタクリレート、2−プロパノールジグリシジルエーテルジメタクリレート、1,6−ヘキサンジウレタンポリエチレングリコールジメタクリレート、キシリレンジウレタンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジウレタングリセリンテトラメタクリレート、グリシドールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、キシリレングリコールジメタクリレート、ヒドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、トリメタリルシアヌレート、ジメタリルジグリコールカーボネート、共栄社化学株式会社製エポライト3002Mなどが挙げられる。これらのモノマーのメタクリレート基のうち1つ以上がアクリレート基に置換されたものを用いてもよい。
なお、上述のモノマーは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。得られる建築部材10の耐熱性を向上させる観点から、第2樹脂前駆体であるモノマーは、(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステルが好ましい。
第2樹脂前駆体であるオリゴマーとしては、アクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、ジエン重合体系アクリレートオリゴマー、及びジエン重合体系アクリレートの水素添加物の骨格を有するオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
アクリレートオリゴマーとしては、綜研化学株式会社製アクトフロー(登録商標)UT−1001(多官能ヒドロキシルアクリレート、骨格主成分:2−エチルヘキシルアクリレート、重量平均分子量:約3500)が挙げられる。アクリレートオリゴマーとしては、綜研化学株式会社製アクトフローCB−3060(多官能カルボキシルアクリレート、骨格主成分:2−エチルヘキシルアクリレート、重量平均分子量:約3000)が挙げられる。また、アクリレートオリゴマーとしては、ダイセル・オルネクス株式会社製アクリルオリゴマーEBECRYL(登録商標)767(重量平均分子量:約12000)が挙げられる。
ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、根上工業株式会社製UN−7700(骨格主成分:ポリエステル、重量平均分子量:約20000)が挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ダイセル・オルネクス株式会社製EBECRYL4491(重量平均分子量:約7000)が挙げられる。また、ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ダイセル・オルネクス株式会社製EBECRYL230(骨格主成分:脂肪族、重量平均分子量:約5000)が挙げられる。
上述のオリゴマーは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、オリゴマーとしては、耐熱性及び長期信頼性の点で、反応基を有しているものが好ましい。また、官能基を有しているオリゴマーは相分離構造を形成しやすいため、第2樹脂前駆体としてこのようなオリゴマーを用いることが好ましい。
なお、第2樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことがより好ましい。これにより、得られる第2樹脂相もアクリル相となるため、得られる建築部材10は良好な外観となり、さらに強度も十分なものとなる。なお、「(メタ)アクリレートモノマー」とは、上述のメタクリレート系のモノマーおよびアクリル系モノマーを示す。また、「(メタ)アクリレートオリゴマー」は、(メタ)アクリレートモノマーが重合または共重合してなるものである。(メタ)アクリレートポリマーは、(メタ)アクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートオリゴマーが重合または共重合してなるものである。
なお、第2樹脂相2にも充填材等が含まれていてもよいが、第2樹脂相2もアクリル樹脂からなるアクリル相が主成分であることが好ましい。
本実施形態の建築部材10において、第1樹脂相1及び第2樹脂相2の少なくとも一方には、充填材が含まれていてもよい。充填材を含有することにより、建築部材10の意匠性や、入射した光の拡散性を高めることが可能となる。なお、充填材は、第1樹脂相1及び第2樹脂相2のいずれか一方にのみ含まれていてもよく、両方に含まれていてもよい。また、第1樹脂相1及び第2樹脂相2の内部に部分的に含まれていてもよい。
充填材は特に限定されないが、無機化合物を用いることができる。無機化合物としては、例えば、ホウ化物、炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物、水酸化物、炭酸塩などを挙げることができる。具体的には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、水酸化アルミニウム(Al(OH))などが挙げられる。また、二酸化ケイ素(SiO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、クレー、タルク、マイカ、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)なども挙げられる。
さらに、充填材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料は、例えば、カーボンブラック、活性炭及びフラーレンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、及びサーマルブラックからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
炭素材料の形状は粒子状に限定されず、例えばワイヤ状又はフレーク状であってもよい。ワイヤ状の炭素材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンナノホーン及びカーボンフィブリルからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。フレーク状の炭素材料としては、厚さが0.05μm〜1μm、アスペクト比が10〜1000程度のグラフェンを使用することができる。なお、アスペクト比とは、グラフェンの厚さに対する平均平面直径D(平均平面直径/厚さ)を意味する。
本実施形態の建築部材10において、第1樹脂相1及び第2樹脂相2の少なくとも一方には、顔料及び染料の少なくとも一方が含まれていてもよい。顔料及び染料は特に限定されないが、例えば有機顔料、無機顔料、染料等を用いることができる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、アゾ系、アゾメチンアゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、ぺリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリン系、イソインドリノン系顔料等やカーボンブラック顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、例えば、体質顔料、酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料、スピンネル顔料等が挙げられる。さらに詳細には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系、チオインジゴ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等の顔料が使用できる。
上記染料としては、例えば、直接染料、塩基性染料、カチオン染料、酸性染料、媒染染料、酸性媒染染料、硫化染料、ナフトール染料、分散染料、反応染料等が使用できる。
なお、第1樹脂相及び第2樹脂相内での分散性を向上させる観点から、当該充填材の粒子径は0.01μm〜100μmであることが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましい。充填材の粒子径及びアスペクト比は、建築部材10を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより求めることができる。
本実施形態の建築部材10は、本実施形態の効果を損なわない範囲において、上記の成分に加えて他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、ステアリン酸及びステアリン酸亜鉛等の内部離型剤、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等の機能性樹脂、難燃剤、難燃助剤、製造上の粘度調整のための減粘剤、充填材の分散性向上のための分散調整剤を配合することもできる。これらは公知のものを使用することができる。
次に、本実施形態の建築部材10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、第1樹脂の前駆体として、メタクリル酸メチルとポリメタクリル酸メチルを使用した場合について説明する。
まず、メタクリル酸メチルと、ポリメタクリル酸メチルと、上述のモノマー及びオリゴマーの少なくとも一方からなる第2樹脂前駆体と、重合開始剤とを混合し、未硬化状態の樹脂組成物を製造する。また、メタクリル酸メチルと、ポリメタクリル酸メチルと、上述のポリマーからなる第2樹脂と、重合開始剤とを混合することによっても、未硬化状態の樹脂組成物を製造することができる。この際、メタクリル酸メチル及び第2樹脂前駆体が重合した際の架橋反応を促進するために、架橋剤を含有してもよい。各成分の混合は一段で行ってもよく、各成分を逐次添加して多段的に行ってもよい。各成分を逐次添加する場合は、任意の順序で添加することができるが、樹脂組成物の保存安定性の観点から、重合開始剤は最後に添加することが好ましい。なお、樹脂組成物を製造する際の混合温度は、混合できれば特に限定されないが、例えば室温(15〜35℃程度)とすることができる。
上述のように、樹脂組成物には、必要に応じて、内部離型剤、機能性樹脂、難燃剤、難燃助剤、減粘剤、分散調整剤、重合禁止剤等の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の添加順序も特に制限されず、任意の段階で添加することができるが、上述のように重合開始剤は最後に添加することが好ましい。
樹脂組成物の製造に用いる混合機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、プラネタリーミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を供えた混合容器、横型混合槽などを挙げることができる。
そして、未硬化の樹脂組成物を所望の形状に成形する。未硬化の樹脂組成物の成形方法は任意の方法が可能であり、成形形状は任意の形状が可能である。例えば、成形手段としては、圧縮成形(直圧成形)、トランスファー成形、射出成形、押し出し成形、注型成形、スクリーン印刷等の各種手段を用いることができる。
成形後、未硬化の樹脂組成物を加熱して硬化反応を進行させることにより、本実施形態の建築部材10を得ることができる。樹脂組成物を加熱条件は特に限定されないが、例えば60〜150℃で、0.1時間〜4時間加熱することが好ましい。
なお、上記重合反応で使用される架橋剤としては、熱硬化系架橋剤であれば従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系化合物を使用することができる。アクリル系化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステルを挙げることができる。また、アクリル系化合物としては、これらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、又はマレエートに代えた化合物も使用することができる。これら架橋剤は一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記重合反応で使用される重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルや1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)のようなアゾ化合物、および有機過酸化物が挙げられるが、この中でも有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを用いることができる。また、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、t−アルミパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等を用いることもできる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の含有量は、メタクリル酸メチル及び第2樹脂前駆体の合計質量中の0.05〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
ここで、本実施形態の建築部材10において、相分離構造が形成されるメカニズムは明確になっていないが、予想されるメカニズムについて説明する。
本実施形態の製造方法では、上述のように、まず、メタクリル酸メチル11、ポリメタクリル酸メチル12、第2樹脂前駆体13、充填材14、架橋剤15及び重合開始剤を混合し、樹脂組成物を調製する。この際、図3(a)に示すように、室温で液体のメタクリル酸メチル11に、ポリメタクリル酸メチル12、第2樹脂前駆体13、充填材14、架橋剤15及び重合開始剤が分散した状態となる。
この状態で、樹脂組成物を加熱した場合、図3(b)に示すように、重合開始剤の効果によりメタクリル酸メチル11が重合して、ポリメタクリル酸メチル16を生成する。同時に、重合開始剤の効果により、第2樹脂前駆体13が重合して第2樹脂17を生成するとともに、メタクリル酸メチルの一部が第2樹脂前駆体13と共重合することにより、共重合体18も生成する。また、メタクリル酸メチル11及び第2樹脂前駆体13は、架橋剤15とも重合する。
そして、このような重合反応が進行することにより、メタクリル酸メチルが三次元架橋してなるアクリル樹脂とポリメタクリル酸メチルとが混合してなる第1樹脂相1が形成される。また、第2樹脂前駆体13が重合してなる第2樹脂と、メタクリル酸メチル11及び第2樹脂前駆体13が三次元架橋してなる共重合体とが混合してなる第2樹脂相2も形成される。その結果、図3(c)に示すように、第1樹脂相1と第2樹脂相2とからなる相分離構造を得ることができる。
これに対し、未硬化状態の樹脂組成物が第2樹脂前駆体13を含有しない場合には、図4(a)に示すように、メタクリル酸メチル11に、ポリメタクリル酸メチル12、充填材14、架橋剤15及び重合開始剤が分散した状態となる。
この状態で、樹脂組成物を加熱した場合、図4(b)に示すように、重合開始剤の効果によりメタクリル酸メチル11が重合して、ポリメタクリル酸メチル16を生成する。また、メタクリル酸メチル11は、架橋剤15とも重合する。そして、このような重合反応が進行することにより、図4(c)に示すように、メタクリル酸メチルが三次元架橋してなるアクリル樹脂とポリメタクリル酸メチルとが混合してなる第1樹脂相1のみが形成される。
なお、建築部材10における相分離構造は、上述のミクロレベルの相分離メカニズムだけでなく、第2樹脂を構成するポリマー又は第2樹脂前駆体とメタクリル酸メチルとの共重合体の影響により形成されている可能性がある。ただ、現時点では、相分離構造が形成されるメカニズムは不明である。そのため、本実施形態の建築部材10が他のメカニズムにより相分離構造を形成したとしても、本実施形態の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。
このように、本実施形態の建築部材10は、第1樹脂により形成される第1樹脂相1と、第1樹脂と相違する第2樹脂により形成され、第1樹脂相1の内部で三次元的に連続している第2樹脂相2とを有する相分離構造を備える。そして、第1樹脂相1は光を透過する透光相であり、第2樹脂相2は入射した光を伝播する導光相である。本実施形態の建築部材10は、一つの相分離構造からなる単層で形成できるため、厚みの増大を抑制し、省スペース化を図ることが可能となる。また、建築部材10は、上述のように、樹脂を混合することで相分離構造が形成されるため、容易に製造することが可能となる。さらに、透光相である第1樹脂相1の内部に、導光相である第2樹脂相2が形成されているため、第1樹脂相1と第2樹脂相2とが剥離し難い。そのため、建築部材10は、長期間に亘り高い意匠性を発揮することが可能となる。
[人造大理石及び建材一体型照明器具]
次に、本実施形態に係る人造大理石及び建材一体型照明器具について、図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態の人造大理石は、上述の建築部材10からなるものである。上述のように、建築部材10では種々の充填材を選択することで色や柄、質感を表現することができる。さらに建築部材10では、樹脂の相分離技術を用い、二種以上の樹脂を目視可能なレベルで相分離させることができる。そのため、建築部材10では、相分離した第1樹脂相1及び第2樹脂相2の形状に由来する三次元の模様を付与することができる。その結果、第2樹脂相2に光を入射させなくても建築部材10自体に優れた意匠性が付与されており、建築部材10そのものを人造大理石として用いることができる。
なお、本実施形態の人造大理石は、強度、表面硬度、意匠性及び耐水性に優れる。そのため、良好な外観が要求される用途、例えばキッチンカウンター、洗面化粧台、バス浴槽、床パン(防水パン)、洗面ボール等の水廻り部材に好適に用いることができる。
本実施形態の建材一体型照明器具100は、図5(a)に示すように、上述の建築部材10と、建築部材10における導光相に光を入射する光源20とを備えている。
図5(a)に示すように、光源20を用いて入光部2aから光を入射させた場合、入射した光は、第1樹脂相1と第2樹脂相2との界面で反射する。そして、この反射を繰り返すことにより、入射した光は入光部2aと反対側の端部に向けて伝播する。このとき、伝播する光のうち一部の光は、第1樹脂相1と第2樹脂相2との界面から出射し、第1樹脂相1を透過して建築部材10の表面から放射される。
このように、建材一体型照明器具100は、建築部材10の内部から第2樹脂相2の模様に沿った光を放出できることから、意匠性の高い照明器具とすることができる。また、建築部材10は、上述のように、樹脂製の相分離構造体で形成されているため、平板状などの任意の形状に成形することができる。そのため、建材一体型照明器具100の省スペース化を図ることが可能となる。また、建築部材10の内部から光が放射されることにより、建築部材10の深い部分を浮かび上がらせるような外観とすることができ、立体感を効果的に表現することが可能となる。
また、図5(b)に示すように、本実施形態の建材一体型照明器具100Aは、相分離構造の裏面10aに設けられ、第1樹脂相1からの出射を遮蔽して表面10bに反射させる反射層3を備えた建築部材10Aを用いてもよい。これにより、建築部材10Aの裏面10aからの出射を抑制し、表面10bから効率的に放射させることが可能となる。
光源20は、導光相である第2樹脂相2の入光部2aから第2樹脂相2の内部に光を入射させることができるものならば特に限定されない。光源20としては、例えば発光ダイオード(LED)などの点光源や、蛍光灯など線状の光源を用いることができる。
建材一体型照明器具100において、光源20は、建築部材10の端部に位置することが好ましい。図5(a)及び図5(b)に示すように、建築部材10が平板状の場合、光源20を建築部材10の側面10cに設けることにより、建築部材10の表面10b、裏面10a、及び側面10cと反対側の側面10dから光が放出される。そのため、建材一体型照明器具100の省スペース化を図りつつも、効率的に光を照射することが可能となる。
図6は、建材一体型照明器具100の適用例を示しており、例えば建材一体型照明器具100を洗面化粧台に適用した例を示している。図6の洗面化粧台では、正面に位置する鏡200の左右両側に建材一体型照明器具100を配置している。そして、建材一体型照明器具100の光源20が点灯していない場合には、鏡200の両側に建築部材10からなる人造大理石が設けられているため、洗面化粧台の高級感を高めることができる。また、建材一体型照明器具100の光源20が点灯している場合には、鏡200の両側から光が放出されるため、使用者の背の高さに関係なく、顔面及び上半身を効率的に照らすことが可能となる。
なお、建材一体型照明器具100を洗面化粧台に適用した場合、光源20の位置は特に限定されないが、例えば図6に示すように、建築部材10の上部10eに設けることができる。これにより、建材一体型照明器具100の省スペース化を図ることが可能となる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[樹脂成形体の作製]
メタクリル酸メチルを64質量部、ポリメタクリル酸メチルを16質量部、第2樹脂前駆体としてメタクリル酸シクロヘキシルを20質量部、架橋剤を1.0質量部、重合開始剤を0.2質量部の割合で混合することにより、アクリル樹脂組成物を調製した。なお、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、メタクリル酸メチル(MMA)を重量平均分子量が100000となるように塊状重合させて得られたものを使用した。メタクリル酸シクロヘキシルは、和光純薬工業株式会社製を用いた。架橋剤は、トリメチロールプロパントリメタクリレートを用いた。重合開始剤は、日油株式会社製パーブチル(登録商標)Z(t−ブチルパーオキシベンゾエート)を用いた。
そして、アクリル樹脂組成物を70℃で2時間加熱することにより硬化させ、本例の樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体を図7に示す。
[外観評価]
上述のようにして得られた樹脂成形体は、図7に示すように、第1樹脂相1と第2樹脂相2により共連続構造の相分離構造を形成し、三次元の網目状の模様を形成していることが分かる。また、第2樹脂相2からなる導光相のサイズが1mm以上となっていることも分かる。また、得られた樹脂成形体の側面から光源を当て、樹脂成形体の表面を目視したところ、第2樹脂相2から光が放射していることを確認した。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
1 第1樹脂相
2 第2樹脂相
10,10A 建築部材
14 充填材
17 第2樹脂
20 光源
100,100A 建材一体型照明器具

Claims (10)

  1. 第1樹脂により形成される第1樹脂相と、前記第1樹脂と相違する第2樹脂により形成され、前記第1樹脂相の内部で三次元的に連続している第2樹脂相とを有する相分離構造を備え、
    前記第1樹脂相は光を透過する透光相であり、前記第2樹脂相は入射した光を伝播する導光相であることを特徴とする建築部材。
  2. 前記第2樹脂は、前記第1樹脂よりも屈折率が高いことを特徴とする請求項1に記載の建築部材。
  3. 前記第1樹脂相は、メタクリル酸メチル由来のアクリル相を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築部材。
  4. 前記第1樹脂相は、ポリメタクリル酸メチルを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建築部材。
  5. 前記第2樹脂は、前記第1樹脂と相分離する材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建築部材。
  6. 前記第2樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の建築部材。
  7. 前記第1樹脂相及び前記第2樹脂相の少なくとも一方に、充填材が含まれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建築部材。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建築部材からなることを特徴とする人造大理石。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建築部材と、
    前記建築部材における導光相に光を入射する光源と、
    を備えることを特徴とする建材一体型照明器具。
  10. 前記光源は前記建築部材の端部に位置することを特徴とする請求項9に記載の建材一体型照明器具。
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