JP6276842B2 - 光学フィルム及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ディスプレイ等のディスプレイの表示画面を保護すると共にディスプレイから出射するブルーライトをカットするために前記表示画面に貼り付けられるディスプレイ保護フィルム、LED(発光ダイオード)照明カバー等の光拡散体またはガラスにブルーライトカット機能を付与するために光拡散体またはガラスに貼り付けられる機能付与フィルム等として利用できる光学フィルム及びその用途(複合光拡散体及び照明器具)に関する発明である。
昨今、ディスプレイの主流となっている液晶ディスプレイ(特にLED(発光ダイオード)を光源として用いた液晶ディスプレイ)や、LED照明は、可視光線の青色領域(380〜500nm)の光(「ブルーライト」と呼ばれる)、特に450nm付近のブルーライトを多く出している。このブルーライトは、人間の目に悪影響を与えると言われている。そのため、このブルーライトを低減する技術が注目されている。ブルーライトをカットする光学部品として、蒸着により形成された誘電体多層膜を含む光学部品が知られている。
例えば、特許文献1には、通常の液晶保護フィルムの表面を加工した液晶保護フィルムであって、可視光線の中で一般的にブルーライトと呼ばれる380nm程度から500nm程度の間の波長帯の光線透過率が、他の範囲の光に比べて下がっていることから、可視光線の中でエネルギーが高く人間の眼の網膜に対して負担をかけやすいブルーライトと呼ばれる範囲の光の透過を抑えることができる液晶保護フィルムが記載されている。
実用新案登録第3175771号公報
しかしながら、特許文献1の液晶保護フィルムは、PET基材層1の表面に真空蒸着処理可視光線透過率調整層2を形成したものである。この真空蒸着処理可視光線透過率調整層2は、真空蒸着処理により形成された誘電体多層膜を指しているものと考えられる。特許文献1の液晶保護フィルムは、誘電体多層膜を利用したものであるため、基本的に、液晶保護フィルムでカットされた380〜500nmの波長範囲の光は全て反射光となる。そのため、液晶保護フィルムの反射光が目に入射するような状況では、液晶保護フィルムでカットされた380〜500nmの波長範囲の光が目に入射して目に悪影響を与えることが懸念される。なお、液晶保護フィルムの反射光が目に入射するような状況としては、例えば、液晶保護フィルムにおける目に対向する面の裏面にディスプレイからの光が入射すると同時に、液晶保護フィルムにおける目に対向する面に外光(例えばLED照明からの光)が入射し液晶保護フィルムで反射されて目に入射する状況が考えられる。
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ブルーライトが光学フィルムで散乱されて目に入射することを抑制でき、かつ、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持したままブルーライトを十分に低減できる光学フィルム、並びにそれを用いた複合光拡散体及び照明器具を提供することにある。
本発明の光学フィルムは、前記課題を解決するために、透明基材フィルムと、前記透明基材フィルム上に形成された、樹脂粒子およびシリコーン系粘着剤を含む粘着層とを備える光学フィルムであって、波長700〜800nmの平均光透過率をTo(%)、波長380〜500nmの平均光透過率をTb(%)とすると、To−Tb(%)が5以上であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴としている。
前記構成では、粘着層に含まれる樹脂粒子とシリコーン系粘着剤との界面で光散乱が起こり、その散乱される光が主にブルーライトであることで、透過光中のブルーライトが低減される。そして、前記構成によれば、青色領域である波長380〜500nmの平均光透過率Tb(%)が橙色領域である波長700〜800nmの平均光透過率To(%)よりも5以上低いので、透過光中のブルーライトを十分に低減することができる。
なお、本発明の光学フィルムの光散乱効果によりブルーライトが散乱される現象は、後述する光学フィルムの分光透過率測定において分光光度計に積分球を装着した条件で測定した結果と分光光度計に積分球を装着せずに測定した結果との対比により確認することができる。
また、前記構成によれば、透過光中のブルーライトの低減(カット)は前述したような光散乱によって起こるため、前記光学フィルムでカットされたブルーライトは、特定の方向でなく様々な方向に散乱されて光学フィルムから出ていく。したがって、光学フィルムの反射光が目に入射するような状況、例えば、光学フィルムがディスプレイの表示画面上に配設され光学フィルムの前面に外光(例えばLED照明からの光)が入射する状況であっても、ブルーライトが光学フィルムで散乱されて目に入射することを十分に抑制できる。このようにして透過光中のブルーライトを十分に低減することで、目に対する刺激の強いブルーライトによる目への負担を和らげ、目の疲労や眼病を防止することができる。
また、前記構成によれば、全光線透過率が85%以上と高いために、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持することができる。これにより、ディスプレイの表示画面上に配設されたときの良好な透過像輝度や、LED照明等の照明の照明カバーに貼り付けたときの照明の良好な照度を維持することができる。
また、前記構成の光学フィルムは、粘着剤としてシリコーン系粘着剤を用いているため、他の粘着剤を用いた場合と比較して光透過性に優れている。また、前記構成の光学フィルムは、アクリル系粘着剤等と比較して屈折率が低いシリコーン系粘着剤を粘着剤として用いているため、アクリル系粘着剤と同程度またはそれより高い屈折率を持つ多くの樹脂粒子(例えば、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体)を用いた場合に、粘着剤と樹脂粒子との屈折率差を大きくすることができる。これにより、樹脂粒子と粘着剤との界面で散乱される光の量が多くなるので、To−Tb(%)の値が大きい構成を実現し易くなる。
本発明の複合光拡散体は、光拡散体と、本発明の光学フィルムとを備えることを特徴としている。
上記構成によれば、光拡散体による光拡散効果と、本発明の光学フィルムによるブルーライトカット効果との組み合わせにより、光を拡散でき、かつ、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持したままブルーライトを十分に低減できる複合光拡散体を実現できる。
本発明の照明器具は、本発明の複合光拡散体を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、照明器具の光源からの光を拡散でき、かつ、照明の明るさを良好なレベルに維持したまま照明器具の光源からのブルーライトを十分に低減できる照明器具を実現できる。
本発明によれば、ブルーライトが光学フィルムで散乱されて目に入射することを抑制でき、かつ、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持したままブルーライトを十分に低減できる光学フィルム、並びにそれを用いた複合光拡散体及び照明器具を提供できる。
実施例1で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例2で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例3で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例4で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例5で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例6で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 比較例1で得られた光学フィルムの分光透過率を示すグラフである。 実施例3で得られた光学フィルムの分光透過率(積分球を装着していない分光光度計により測定される分光透過率)及び全光分光透過率(積分球を装着した分光光度計により測定される分光透過率)を示すグラフである。
〔光学フィルム〕
本発明の光学フィルムについて、以下に詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、透明基材フィルムと、前記透明基材フィルム上に形成された、樹脂粒子およびシリコーン系粘着剤を含む粘着層とを備える光学フィルムであって、波長700〜800nmの平均光透過率をTo(%)、波長380〜500nmの平均光透過率をTb(%)とすると、To−Tb(%)が5以上であり、全光線透過率が85%以上である。
To−Tbは、5以上であればよいが、7以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、13以上であることがさらに好ましい。これにより、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持しながらブルーライトをさらに低減することができる。
前記光学フィルムは、波長380〜800nmの分光透過率の極大点が波長700〜800nmの範囲内にあり、かつ波長380〜800nmの分光透過率の極小点が波長380〜500nmの範囲内にあることが好ましい。これにより、効率良くブルーライトカットの効果が発現できる。
前記光学フィルムの波長380〜500nmの平均光透過率は、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましく、40%以下であることが最も好ましい。これにより、ブルーライトのカット率に優れた光学フィルムを実現できる。
前記光学フィルムの全光線透過率は、85%以上であればよいが、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。これにより、前記光学フィルムをディスプレイの表示画面に貼り付けたときの透過像輝度や、前記光学フィルムをLED照明等の照明の照明カバーに貼り付けたときの照明の照度を向上させることができる。
前記光学フィルムのΔb*値は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。これにより、黄色味の少ない光学フィルムを実現できる。
〔透明基材フィルム〕
前記透明基材フィルムを構成する材料としては、特に限定されないが、一般的な材料を用いることができ、例えば、セルロースアシレート、アクリル樹脂((メタ)アクリレート系ポリマー)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド等の樹脂を主体とする材料、ガラス等の無機材料が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよび/又はメタクリレートを意味するものとする。
前記セルロースアシレートとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。前記アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリルおよび/又はメタクリルを意味するものとする。前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
前記透明基材フィルムの厚さは、20〜300μmの範囲内であることが好ましく、20〜200μmの範囲内であることがより好ましい。
〔粘着層〕
前記粘着層は、樹脂粒子およびシリコーン系粘着剤を含んでいればよく、自己吸着性層であってもよい。前記粘着層の厚さは、通常は5〜100μmの範囲内であり、好ましくは10〜60μmの範囲内である。
前記粘着層に含まれる樹脂粒子の量は、シリコーン系粘着剤100重量部に対して1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。樹脂粒子の量が1重量部未満であると、樹脂粒子の量が1重量部以上である場合と比較して、To−Tbの値が小さくなり、ブルーライトの低減の度合いが小さくなる。一方、樹脂粒子の量が10重量部を超えると、樹脂粒子の量が10重量部以下である場合と比較して、光学フィルムの全光線透過率が低下する。
〔シリコーン系粘着剤〕
前記シリコーン系粘着剤は、25μm厚のポリイミドフィルム上にシリコーン系粘着剤の層を30μm厚で形成することによって粘着フィルムを作製し、被着体としてのステンレス板に前記粘着フィルムを粘着させて前記粘着フィルムの粘着力を測定したときの粘着力が0.01〜4N/25mmの範囲内であることが好ましく、0.01〜1.5N/25mmの範囲内であることがより好ましく、0.01〜0.5N/25mmの範囲内であることがさらに好ましい。前記測定による前記シリコーン系粘着剤の粘着力が4N/25mm以下であることで、前記光学フィルムをいったん被着体に貼り付けた後に被着体から剥離するのが容易になる。
前記測定による粘着力が0.01〜4N/25mmの範囲内にあるシリコーン系粘着剤の市販品としては、商品名「KR−3704(X−40−3229)」(信越化学工業株式会社製、前記測定による粘着力が0.06N/25mm)、商品名「X−40−3323」(信越化学工業株式会社製、前記測定による粘着力が0.06N/25mm)、商品名「X−40−3270−1」(信越化学工業株式会社製、前記測定による粘着力が0.18N/25mm)、商品名「X−40−3306」(信越化学工業株式会社製、前記測定による粘着力が0.02N/25mm)、商品名「SD 4587 L PSA」(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘着力が44N/1m)、商品名「DC 7651 ADHESIVE」(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘着剤塗工厚30μmのときの粘着力が2N/1m)、商品名「DC 7652 ADHESIVE」(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘着剤塗工厚30μmのときの粘着力が124N/1m)等が挙げられる。
前記シリコーン系粘着剤は、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。これにより、光透過性に優れた光学フィルムを実現できる。
前記シリコーン系粘着剤は、液状のシリコーン組成物を硬化させることにより得ることができる。シリコーン組成物の硬化は、加熱により行うことができる。前記加熱の温度は、特に限定されないが、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。前記加熱の温度が80℃以上であると、十分に硬化させるのに長時間の加熱が必要となることはなく、生産性の点より好ましい。また、加熱の温度が130℃以下であると、熱による前記透明基材フィルムのしわの発生を抑制でき、好ましい。特に、前記透明基材フィルムがPETフィルムなどの熱に弱いフィルムであると、熱によるしわの発生が生じやすい。前記加熱の時間は、特に限定されないが、生産性向上の点および透明基材フィルムへの熱によるダメージ低減の点から、10秒間〜3分間が好ましい。
前記シリコーン組成物の硬化は、加熱後に紫外線を照射することによって行ってもよい。紫外線の照射は、ピーク照度0.5〜4.0W/cm2の紫外線を積算照射量が0.1〜2.0J/cm2となるように照射することが好ましい。
〔樹脂粒子〕
前記樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体からなる樹脂粒子、ポリカーボネート粒子、ポリエチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられる。
前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体からなる樹脂粒子であることが好ましい。この場合、樹脂粒子自体の光透過性が良好となるので、全光線透過率の良好な光学フィルムを実現できる。前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体からなる場合、概ね樹脂粒子の屈折率は1.4〜1.6の範囲となる。具体的には、例えば、フッ素含有(メタ)アクリル酸アルキルを主成分とする(メタ)アクリル系単量体を重合させてなる重合体の屈折率は1.4程度であり、(メタ)アクリル酸アルキルを主成分とする(メタ)アクリル系単量体の単独重合体の屈折率は1.49程度であり、スチレンを主成分とするスチレン系単量体の単独重合体(ポリスチレン)の屈折率は1.59程度であり、(メタ)アクリル酸アルキルを主成分とする(メタ)アクリル系単量体とスチレンを主成分とするスチレン系単量体との共重合体の屈折率は1.49〜1.59程度である。これにより、前記粘着層におけるシリコーン系粘着剤と樹脂粒子との屈折率差が適度な差になり易く、したがって前記粘着層内部での光散乱が適度な程度となり易く、その結果としてブルーライトカット効率および全光線透過率の両方が良好な光学フィルムが実現され易い。
(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体からなる樹脂粒子のうち、(メタ)アクリル系単量体を主成分とする単量体の重合体からなる樹脂粒子は、スチレン系単量体を主成分とする単量体の重合体からなる樹脂粒子と比較して、耐候性に優れているという利点がある。一方、スチレン系単量体を主成分とする単量体の重合体からなる樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単量体を主成分とする単量体の重合体からなる樹脂粒子と比較してシリコーン系粘着剤との屈折率差を大きくすることが可能であるため、樹脂粒子とシリコーン系粘着剤との界面で散乱される光の量を多くすることが可能であり、その結果としてTo−Tb(%)の値を大きくし易いという利点がある。
前記(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方の重合体は、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方に由来する構成単位を含んでいる。
前記(メタ)アクリル系単量体としては、少なくとも1つのアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、1つのエチレン性不飽和基を有する単官能(メタ)アクリル系単量体であってもよく、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリル系単量体であってもよい。
前記単官能(メタ)アクリル系単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら単官能(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記多官能(メタ)アクリル系単量体としては、少なくとも1つのアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有し、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等が挙げられる。これら多官能(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記スチレン系単量体としては、スチレン類(スチレンまたはスチレン誘導体)であれば特に限定されるものではなく、1つのエチレン性不飽和基を有する単官能スチレン系単量体であってもよく、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能スチレン系単量体であってもよい。
前記単官能スチレン系単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これら単官能スチレン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記多官能スチレン系単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、およびこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物等が挙げられる。これらの多官能スチレン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記単官能(メタ)アクリル系単量体及び/又は単官能スチレン系単量体に由来する構成単位は、前記重合体100重量%に対して50〜95重量%の範囲内であることが好ましい。前記単官能(メタ)アクリル系単量体及び/又は単官能スチレン系単量体に由来する構成単位の量が50重量%未満であれば、それ以上の耐溶剤性の向上が期待できず、コストが上がってしまう。前記単官能(メタ)アクリル系単量体及び/又は単官能スチレン系単量体に由来する構成単位の量が前記範囲より多い場合、前記重合体の架橋度が低くなるので、樹脂粒子を含むコーティング剤を塗工する場合に、樹脂粒子が膨潤して塗料の粘度上昇が起こり塗工の作業性が低下する恐れがある。なお、前記重合体100重量%に対する、単量体に由来する構成単位の量は、全ての単量体の合計量100重量%に対する前記単量体の量に相当する。
なお、前記重合体は、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体であってもよく、スチレン系単量体の単独重合体であってもよく、(メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体との共重合体であってもよく、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体の少なくとも一方と他のビニル系単量体(少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物)との共重合体であってもよい。
前記他のビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル;クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル(例えばマレイン酸モノブチル)等のα,β−不飽和カルボン酸;これらα,β−不飽和カルボン酸のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩等のα,β−不飽和カルボン酸塩;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド、アルコキシ基の炭素数が1〜8であるN−アルコキシメチルアクリルアミド(例えばN−イソブトキシメチルアクリルアミド)等のα,β−不飽和アミド;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のような、多官能(メタ)アクリル系単量体および多官能スチレン系単量体以外の多官能ビニル系単量体等が挙げられる。
前記多官能ビニル系単量体に由来する構成単位の量は、前記単官能(メタ)アクリル系単量体および/又は単官能スチレン系単量体に由来する構成単位100重量部に対して5〜100重量部の範囲内であることが好ましく、また、前記重合体100重量%に対して5〜50重量%の範囲内であることが好ましい。前記多官能ビニル系単量体に由来する構成単位の量が前記範囲より少ない場合、前記重合体の架橋度が低くなる。その結果、シリコーン系粘着剤および樹脂粒子を含むコーティング剤を透明基材フィルム上に塗工する場合に、樹脂粒子が膨潤してコーティング剤の粘度上昇が起こり塗工の作業性が低下する恐れがある。
前記樹脂粒子の体積平均粒子径をD(μm)、前記樹脂粒子の屈折率をnP、前記シリコーン系粘着剤の屈折率をnAとすると、以下の不等式
0.01<D×│nP−nA│<0.25
を満たすことが好ましい。すなわち、D×│nP−nA│が0.01超0.25未満であることが好ましい。D×│nP−nA│が0.01以下である場合には、D×│nP−nA│が0.01超である場合と比較して、前記樹脂粒子による光散乱効果が少ないためにブルーライトカット効果が低下する。D×│nP−nA│が0.25以上である場合には、D×│nP−nA│が0.25未満である場合と比較して、To−Tbの値が小さくなり、ブルーライトの低減の度合いが小さくなる。D×│nP−nA│は、0.02〜0.22であることがより好ましい。
以下の不等式
0.01<D×(nP−nA)<0.25
を満たすことがより好ましい。すなわち、D×(nP−nA)が0.01超0.25未満であることがより好ましい。D×(nP−nA)が0.01以下である場合には、D×(nP−nA)が0.01超である場合と比較して、前記樹脂粒子による光散乱効果が少ないためにブルーライトカット効果が低下する。D×(nP−nA)が0.25以上である場合には、D×(nP−nA)が0.25未満である場合と比較して、To−Tbの値が小さくなり、ブルーライトの低減の度合いが小さくなる。D×(nP−nA)は、0.02〜0.22であることがさらに好ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒子径は、前記樹脂粒子が(メタ)アクリル系単量体を主成分とする単量体を重合してなる樹脂粒子である場合には0.3〜2μmの範囲内であることが好ましく、前記樹脂粒子がスチレン系単量体を主成分とする単量体を重合してなる樹脂粒子である場合には0.3〜1μmの範囲内であることが好ましい。前記樹脂粒子の体積平均粒子径が上記範囲内である場合に、前記光学フィルムのブルーライトカットの効果が最も良くなる。
前記樹脂粒子の粒子径の変動係数(以下、粒子径の変動係数を「CV値」と称する)は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子のCV値が30%を超えると、樹脂粒子に含まれる大粒子が多くなるため、波長380〜500nmの特定波長の光を散乱する効果が低下する恐れがある。
〔粘着層の形成方法〕
前記粘着層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、溶剤中に樹脂粒子を分散させると共に溶剤中にシリコーン系粘着剤またはその前駆体(硬化前のシリコーン系粘着剤)を溶解または分散させることによってコーティング剤を調製し、そのコーティング剤で前記透明基材フィルムをコーティングした後、コーティング剤を乾燥させる(溶剤を蒸発させる)方法が好適である。
前記コーティングは、コーター(塗工機)を用いて行ってもよい。前記コーターとしては、例えば、スリットコーター、グラビアコーター、バーコーター(例えば、マイヤーバーコーターなど)、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
前記コーティング剤の調製は、例えば、溶剤中に樹脂粒子を高速攪拌により分散させ、得られた分散液をシリコーン系粘着剤中に入れて攪拌脱泡を行うことにより行うことができる。
前記溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。なお、溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
〔他の構成要素〕
前記粘着層は、色素を含まないことが好ましい。これにより、全光線透過率の高い光学フィルムを実現できる。したがって、前記光学フィルムをディスプレイの表示画面に貼り付けたときの透過像輝度や、前記光学フィルムをLED照明等の照明の照明カバーに貼り付けたときの照明の照度を向上させることができる。
本発明の光学フィルムにおいては、さらに、前記粘着層の上に、必要に応じて剥離フィルムを設けてもよい。前記剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等からなる各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂等からなる剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。前記剥離フィルムの厚さは、特に制限はないが、通常、20〜150μmの範囲内である。
また、本発明の光学フィルムにおいては、透明基材フィルムにおける前記粘着層が形成されている面の裏面上に、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの機能層を形成してもよい。
〔ハードコート層〕
本発明の光学フィルムは、前記透明基材フィルムにおける前記粘着層が形成されている面の裏面上に、ハードコート層をさらに備えることが好ましい。これにより、硬度に優れ、ディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)の表示画面を保護するディスプレイ保護フィルム等の保護フィルムとして好適な光学フィルムを実現できる。
前記ハードコート層の厚さは、3〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。前記ハードコート層の厚さが3μm未満であると、光学フィルムの硬度(特に表面硬度)が不十分になる可能性がある。前記ハードコート層の厚さが100μmを超えると、前記ハードコート層を構成するのに必要な原料の量が多くなるので、不経済である。
前記ハードコート層は、JIS K 5600−5−4:1999で規定された鉛筆硬度試験(ただし鉛筆を押す荷重は4.9N)により測定された鉛筆硬度が2H以上である層である。
前記ハードコート層は、バインダー樹脂で形成することができる。前記バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂と電離放射線重合開始剤との混合物等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルの単独重合体又は共重合体、塩化ビニルの単独重合体又は共重合体、塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂(ポリアクリル酸エステル)及びその共重合樹脂、メタクリル樹脂(ポリメタクリル酸エステル)及びその共重合樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;線状ポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、前記熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性アクリル樹脂、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また、前記電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線(紫外線、電子線等)を照射することで硬化する樹脂であればよく、電離放射線重合性単量体又は電離放射線重合性プレポリマー(電離放射線重合性オリゴマー)等の1種又は2種以上を混合したものを使用することができる。前記電離放射線重合性単量体又は電離放射線重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上の電離放射線重合性の官能基を有する電離放射線重合性の多官能単量体、又は1分子中に2個以上の電離放射線重合性の官能基を有する電離放射線重合性の多官能プレポリマーが好ましい。
前記電離放射線重合性の多官能プレポリマー又は多官能単量体が有する電離放射線重合性の官能基としては、光重合性の官能基、電子線重合性の官能基、又は放射線重合性の官能基が好ましく、光重合性の官能基が特に好ましい。前記光重合性の官能基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル又はメタクリロイルを表す。
前記電離放射線重合性の多官能プレポリマーとしては、光重合性の官能基を2つ以上有する多官能プレポリマー(以下「光重合性多官能プレポリマー」と称する)が好ましい。前記光重合性多官能プレポリマーとして、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このような(メタ)アクリル系プレポリマーは、架橋硬化することにより3次元網目構造となる。前記(メタ)アクリル系プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等が使用できる。
前記電離放射線重合性単量体としては、前述した多官能ビニル系単量体等が使用できるが、光重合性の官能基を2つ以上有する多官能単量体(以下「光重合性多官能単量体」と称する)が好ましい。前記光重合性多官能単量体の具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート類;2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン等の多価アルコールエチレンオキシド付加物又は多価アルコールプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類;1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー等を挙げることができる。
前記光重合性多官能単量体としては、これらの具体例等のような多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーがより好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーとしては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。前記光重合性多官能単量体は、二種類以上を併用してもよい。
前記電離放射線重合性単量体又は電離放射線重合性プレポリマーとして前記光重合性多官能単量体又は光重合性多官能プレポリマーを用いる場合には、光重合開始剤を前記電離放射線重合開始剤として用いることが好ましい。前記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤が特に好ましい。
前記光重合性多官能単量体又は光重合性多官能プレポリマーの重合は、光ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射により行うことができる。従って、前記光重合性多官能単量体又は光重合性多官能プレポリマーと光ラジカル開始剤とを含有するコーティング剤を調製し、該コーティング剤を前記透明基材フィルム上に塗工した後、電離放射線による重合反応により前記コーティング剤を硬化することで、前記ハードコート層を前記透明基材フィルムの一方の面上に形成することができる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等に記載)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレート塩、活性ハロゲン化合物、α−アシルオキシムエステル等が挙げられる。
前記アセトフェノン類としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。前記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインベンゾエート、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。前記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。前記ケタール類としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルメチルケタール類が挙げられる。前記α−ヒドロキシアルキルフェノン類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。前記α−アミノアルキルフェノン類としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンが挙げられる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)651」(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)184」(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)907」(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン)、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)2959」(1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)等が好ましい例として挙げられる。
前記光重合開始剤は、前記光重合性多官能単量体又は光重合性多官能プレポリマー100重量部に対して、0.1〜15重量部の範囲内で使用することが好ましく、1〜10重量部の範囲内で使用することがより好ましい。
前記光重合性多官能単量体又は光重合性多官能プレポリマーの重合には、前記光重合開始剤に加えて光増感剤を用いてもよい。前記光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン、チオキサントン類等を挙げることができる。
前記コーティング剤には、必要に応じてバインダー樹脂を希釈するための溶剤(希釈剤)を用いてもよい。前記溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;水;アルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、1種を用いてもよく2種以上を併用してもよい。
電離放射線硬化性樹脂を含むコーティング剤を用いて前記ハードコート層を形成する場合、前記コーティング剤を塗工後に、前記コーティング剤に電離放射線(紫外線、電子線等)を照射して前記コーティング剤を硬化させることにより前記ハードコート層を形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する方法;走査型又はカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm未満の波長領域の電子線を照射する方法等を用いることができる。
前記ハードコート層を前記透明基材フィルム上に塗工する方法としては、リバースロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
〔LED光源を使用した光学機器への使用〕
本発明の光学フィルムは、その粘着層の粘着力により光学機器に貼り付けることができ、光学機器に貼り付けられたときに、光学機器から出射するブルーライトをカットすることができる。そのため、本発明の光学フィルムは、ブルーライトを多く出すLED光源を使用した光学機器に使用される光学フィルムとして好適である。LED光源を使用した光学機器としては、例えば、LED光源を使用した液晶ディスプレイ、LED光源を使用した投射型スクリーン(投射型ディスプレイ)、LED照明(LED照明器具)等が挙げられる。
〔ディスプレイ保護フィルム〕
本発明の光学フィルムは、その粘着層の粘着力によりディスプレイ(液晶ディスプレイ有機ELディスプレイ等)の表示画面に貼り付けることができ、表示画面に貼り付けられたときに、表示画面を保護すると共に表示画面から出射するブルーライトをカットすることができる。そのため、本発明の光学フィルムは、ディスプレイの表示画面を保護するディスプレイ保護フィルムとして好適であり、LED光源を使用したディスプレイ(LED光源を使用した液晶ディスプレイ、LED光源を使用した投射型スクリーン等)の表示画面を保護するディスプレイ保護フィルムとして特に好適である。また、本発明の光学フィルムは、携帯端末(携帯電話機、携帯タブレットパーソナルコンピュータ、携帯音楽プレイヤー等)のディスプレイの表示画面を保護する携帯端末用のディスプレイ保護フィルムとして特に好適である。
〔複合光拡散体〕
本発明の複合光拡散体は、光拡散体と、本発明の光学フィルムとを備えている。上記構成によれば、光拡散体による光拡散効果と、本発明の光学フィルムによるブルーライトカット効果との組み合わせにより、光を拡散でき、かつ、ブルーライト以外の光の透過率を良好なレベルに維持したままブルーライトを十分に低減できる複合光拡散体を実現できる。本発明の複合光拡散体は、ブルーライトを多く出すLED照明に使用されるLED照明用光拡散カバーとして特に好適である。本発明の複合光拡散体は、本発明の光学フィルムをその粘着層の粘着力により光拡散体に貼り付けることで得ることができる。
前記光拡散体としては、熱可塑性樹脂中に透明粒子を添加してなるものが好適である。
前記光拡散体の全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。これにより、光源からの出射光のより多くが光拡散体を透過する。従って、光拡散体の配設による出射光の明るさの低下をさらに抑制できる。従って、前記光拡散体を用いて、明るい出射光を出力可能な、光源を備える装置(照明器具等)を実現できる。
前記光拡散体は、その形状及び厚みに特に制限はないが、0.5〜3mmの範囲内の厚みを有する光拡散板(板状の光拡散体)であることが好ましい。前記光拡散体がLED電球や直管型LED等のLED照明器具に使用される板状のLED照明用光拡散カバー(光拡散板の1種)である場合、LED電球や直管型LEDの軽量化が望まれていることから、前記板状のLED照明用光拡散カバーの厚み(板厚)は1〜2mmの範囲内であることがより好ましい。
前記LED照明用光拡散カバーの大きさ及び形状は、特に制限されず、例えば、LED電球、直管型LED照明、LEDデスクスタンド、LEDシーリングライト等のLED照明器具の発光部(LED照明用光拡散カバー以外の部分)の大きさ及び形状に合わせればよい。
〔透明粒子〕
前記透明粒子は、光透過性を有する粒子であればよい。前記透明粒子は、均一な屈折率を有する粒子(例えば、単一の材質からなる粒子や、同一の屈折率を有するコア及びシェルからなるコア・シェル型粒子)であってもよいし、屈折率が異なる複数の部分から構成される粒子(例えば、異なる屈折率を有するコア及びシェルからなるコア・シェル型粒子)であってもよい。
前記透明粒子の体積平均粒子径は、1.0〜50μmの範囲内であることが好ましい。前記透明粒子の体積平均粒子径が1.0μm以上である場合、複合光拡散体の光透過性を良好にすることができる。前記透明粒子の平均粒子径が50μm以下である場合、良好な光拡散性を複合光拡散体に付与できる。
また、前記透明粒子の粒子径の変動係数は、40%以下であることが好ましい。前記透明粒子の粒子径の変動係数が40%を超えると、良好な光拡散効果を得にくくなる。
前記透明粒子の材質(透明粒子を構成する物質)としては、例えば、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、これらの共重合体等の合成樹脂;シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機物等が挙げられる。これらの材質のうち、合成樹脂が好適であり、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体(架橋(メタ)アクリル−スチレン共重合体)、並びにシリコーン系樹脂がさらに好適であり、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体が最も好適である。前記熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合には、架橋(メタ)アクリル系樹脂が最も好適である。これら透明粒子は、1種のみを用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記透明粒子が、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂、これらの共重合体等のような、架橋性単量体(2つ以上のエチレン性不飽和を有する化合物)を含むビニル系単量体(少なくとも1つのエチレン性不飽和を有する化合物)の重合体からなる場合、前記重合体は、架橋性単量体に由来する構造単位を、1〜50重量%含むことが好ましく、5〜30重量%含むことがより好ましい。前記の範囲である場合、透明粒子中に高いレベルで3次元的な網目構造を構築することができ、その結果、光拡散性により優れた光拡散体を実現できる。
前記架橋性単量体としては、例えば、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびこれらの誘導体である芳香族ビニル系多官能単量体が挙げられる。これら架橋性単量体は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記架橋(メタ)アクリル系樹脂は、単官能(メタ)アクリル系単量体を含んでいる。上記単官能(メタ)アクリル系単量体としては、1つのアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。これら単官能(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記スチレン系樹脂は、単官能スチレン系単量体を含んでいる。上記単官能スチレン系単量体としては、1つのエチレン性不飽和基を有するスチレン類であれば特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これら単官能スチレン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、架橋(メタ)アクリル系樹脂及び架橋スチレン系樹脂の共重合体は、上記単官能(メタ)アクリル系単量体及び上記単官能スチレン系単量体を含んでいる。
前記透明粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂の屈折率と異なっていればよいが、熱可塑性樹脂の屈折率との屈折率差が0.01〜0.2の範囲内であることが好ましく、熱可塑性樹脂の屈折率との屈折率差が0.02〜0.1の範囲内であることがより好ましい。
前記透明粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状であることが好ましい。
前記透明粒子は、光拡散体全体にわたって均一に熱可塑性樹脂中に分散させてもよく、熱可塑性樹脂の入光面側及び/又は出光面側に透明粒子の層として設けてもよい。
前記透明粒子の量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲内であることが好ましい。前記透明粒子の量が前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上である場合、良好な光拡散性を複合光拡散体に付与できる。前記透明粒子の量が前記熱可塑性樹脂100重量部に対して5重量部以下である場合、複合光拡散体の光透過率を良好にすることができる。
〔熱可塑性樹脂〕
前記熱可塑性樹脂は、透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルの単独重合体又は共重合体、塩化ビニルの単独重合体又は共重合体、塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂(ポリアクリル酸エステル)及びその共重合樹脂、メタクリル樹脂(ポリメタクリル酸エステル)及びその共重合樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタラート樹脂(以下「PET樹脂」と略記する)等の線状ポリエステル樹脂等が挙げられる。
〔照明器具〕
本発明の照明器具は、本発明の複合光拡散体を備えている。上記構成によれば、照明器具の光源からの光を拡散でき、かつ、照明の明るさを良好なレベルに維持したまま照明器具の光源からのブルーライトを十分に低減できる照明器具を実現できる。本発明の照明器具は、ブルーライトを多く出すLED光源を光源として備えるLED照明器具として特に好適である。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例及び比較例で使用した樹脂粒子の体積平均粒子径、CV値、および屈折率の測定方法、以下の実施例及び比較例で使用したシリコーン系粘着剤の屈折率の測定方法、並びに、以下の実施例及び比較例で得た光学フィルムの分光透過率、全光線透過率、およびΔb*値の測定方法を説明する。
〔樹脂粒子の体積平均粒子径およびCV値の測定方法(1)〕
以下の実施例および比較例で使用した体積平均粒子径が1.5μm未満の樹脂粒子の体積平均粒子径およびCV値は、以下のようにしてレーザー回折・散乱方式により測定した。
樹脂粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」)およびユニバーサルリキッドサンプルモジュールによって行う。
測定には、樹脂粒子を含むスラリー0.5g又は樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
また、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにおいて、ミー理論に基づいた評価のために必要となる以下に示す光学的なパラメータを、設定する。
<パラメータ>
液体(ノニオン性界面活性剤水溶液)の屈折率B.I.の実部=1.333(水の屈折率)
固体(測定対象の樹脂粒子)の屈折率の実部=樹脂粒子の屈折率
固体の屈折率の虚部=0
固体の形状因子=1
また、測定条件および測定手順は、以下の通りとする。
<測定条件>
測定時間:60秒
測定回数:1
ポンプ速度:50〜60%
PIDS相対濃度:40〜55%程度
超音波出力:8
<測定手順>
オフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、上記した分散液を、スポイトを用いて、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内へ注入する。上記のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内の濃度が上記のPIDS相対濃度に達し、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアが「OK」と表示したら、測定を開始する。なお、測定は、ユニバーサルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記樹脂粒子を分散させた状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動させた状態で行う。
また、測定は室温で行い、得られたデータから、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにより、上記の予め設定された光学的なパラメータを用いて、樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。なお、樹脂粒子の屈折率として、樹脂粒子を構成する重合体の屈折率を入力し、測定を実施する。
樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
樹脂粒子の粒子径の変動係数=(樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差÷樹脂粒子の体積平均粒子径)×100
〔樹脂粒子の体積平均粒子径およびCV値の測定方法(2)〕
以下の実施例および比較例で使用した体積平均粒子径が1.5μm以上の樹脂粒子の体積平均粒子径およびCV値は、以下のようにしてコールター方式により測定した。
体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizerTM3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、再度測定を行う。
また、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と設定する。
測定用試料としては、樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。樹脂粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
樹脂粒子の粒子径の変動係数=(樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差÷樹脂粒子の体積平均粒子径)×100
〔樹脂粒子の屈折率の測定方法〕
体積平均粒子径が1μmを超える樹脂粒子の屈折率の測定は、ベッケ法により行う。まず、スライドガラス上に樹脂粒子を載せ、屈折液(予想される屈折率辺りのCARGILLE社製のカーギル標準屈折液を屈折率差0.002刻みで複数準備する;例えば、屈折率(25℃での屈折率nD25)1.538〜1.562の屈折液を屈折率差0.002刻みで複数準備する)を滴下する。そして、樹脂粒子と屈折液とをよく混ぜた後、下方から岩崎電気株式会社製の高圧ナトリウムランプ「NX35」(中心波長589nm)の光を照射しながら、上方から光学顕微鏡により樹脂粒子の輪郭を観察する。なお、光学顕微鏡による観察は、樹脂粒子の輪郭が確認できる倍率での観察であれば特に問題ないが、粒子径5μmの粒子であれば500倍程度の観察倍率が適当である。
上記操作により、屈折液の屈折率と樹脂粒子の屈折率とが近いほど樹脂粒子の輪郭が見えにくくなることから、屈折液中の樹脂粒子の輪郭が見えない、あるいは屈折液中の樹脂粒子の輪郭が最も判りにくい屈折液の屈折率が樹脂粒子の屈折率に等しいと判断する。また、屈折率差が0.002である2種類の屈折液の間で樹脂粒子の見え方に違いがない場合は、これら2種類の屈折液の中間の値を当該樹脂粒子の屈折率と判断する。例えば、屈折率1.554及び1.556の屈折液それぞれで試験をしたときに、両屈折液で樹脂粒子の見え方に違いがない場合は、これら屈折液の中間値1.555を樹脂粒子の屈折率と判断する。上記の測定は、試験室気温23℃〜27℃の環境下で実施する。なお、体積平均粒子径が1μm以下の樹脂粒子の屈折率は、樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算(推定)することができる。
〔シリコーン系粘着剤の屈折率の測定方法〕
シリコーン系粘着剤の屈折率の測定は、体積平均粒子径が1μmを超える樹脂粒子の屈折率の測定と同様にしてベッケ法により行う。
〔光学フィルムの分光透過率の測定方法〕
気温20℃、相対湿度65%に設定した恒温恒湿室内で、積分球を装着していない紫外可視光分光光度計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER)(株式会社島津製作所製、型番「UV−2450」)に測定試料をセットして波長300nm〜800nmまでの光の直進光透過率を測定する。具体的には、まず、前記紫外可視光分光光度計に対して、前記紫外可視光分光光度計に付属のフィルムホルダをセットする。次に、前記紫外可視光分光光度計により波長300nm〜800nmの透過率を測定し、波長500nmの透過光強度が100%となるように前記紫外可視光分光光度計を補正する。次に、前記フィルムホルダに前記測定試料をセットし、波長300nm〜800nmの透過率を測定する。測定条件および紫外可視光分光光度計のパラメーター(装置パラメーター)は、以下の通りとする。
(測定条件)
・測定波長範囲:300nm〜800nm
・スキャンスピード:中速
・サンプリングピッチ:1nm
・測定モード:シングル
(装置パラメーター)
・測光値:透過
・スリット巾:2.0mm
・光源切替波長:360nm
・S/R切替:標準
波長300nm〜800nmの透過率を所定間隔(例えば10nm間隔)の各波長で測定する。これを分光透過率とする。
分光透過率における波長380〜500nmの範囲に含まれる各波長で測定された透過率の値の相加平均(積分値に相当)を演算することにより、波長380〜500nmの平均光透過率を算出する。同様にして、分光透過率における波長700〜800nmの範囲に含まれる各波長で測定された透過率の値の相加平均を演算することにより、波長700〜800nmの平均光透過率を算出する。この測定方法によって測定される光学フィルムの分光透過率は、光学フィルムを通して光源から人間の目へと直進する直進光の分光透過率に相当する。
〔光学フィルムの全光分光透過率の測定方法〕
前記紫外可視光分光光度計に積分球を装着すること以外は「光学フィルムの分光透過率の測定方法」と同様にして、300nm〜800nmの分光透過率を測定する。この測定方法によって測定される光学フィルムの分光透過率は、光学フィルムを通して光源から人間の目へと直進する直進光と、光学フィルムで散乱される散乱光とを合わせた全透過光の分光透過率に相当する。本明細書では、この測定方法によって測定される分光透過率を、全項の測定方法によって測定される分光透過率と区別するために、「全光分光透過率」と呼ぶ。
〔光学フィルムの全光線透過率の測定方法〕
光学フィルムの全光線透過率を、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH4000」)を使用して、JIS K 7361−1に従って測定する。また、2個の測定サンプルについてそれぞれ測定を実施し、得られた2つの測定値の平均値を最終的な測定値とする。
〔光学フィルムのΔb*値の測定方法〕
光学フィルムのΔb*値は、色彩色差計「CR−400」(コニカミノルタオプティクス株式会社製)及びデータプロセッサ「DP−400」(コニカミノルタオプティクス株式会社製)を用いて測定した。具体的には、まず、色彩色差計「CR−400」とデータプロセッサ「DP−400」とを接続した。次いで、色彩色差計「CR−400」及びデータプロセッサ「DP−400」の電源を入れた後、データプロセッサ「DP−400」の「表色系」ボタンを押してYxy表色系の表示画面に設定した。次に、色彩色差計「CR−400」に付属の白色校正板(X=84.5、x=0.3159、y=0.3227)に色彩色差計「CR−400」の測定部位を当てて、データプロセッサ「DP−400」の「校正」ボタンを押して校正を行った。校正の後、白色校正板に色彩色差計「CR−400」の測定部位を当てて測定を行い、データプロセッサ「DP−400」の「表色系」ボタンを押してL***表色系の表示画面に切り替え、L***表色系のb*値を読み取り、そのb*値を白色校正板のb*値とした。
校正の後、白色校正板上に光学フィルムを貼り付け、光学フィルムに色彩色差計「CR−400」の測定部位を当てて測定を行い、データプロセッサ「DP−400」をL***表色系の表示画面にした状態で、L***表色系のb*値を読み取り、そのb*値を光学フィルムのb*値とした。そして、光学フィルムのb*値から白色校正板のb*値を引いた値を光学フィルムのΔb*値とした。
〔実施例1〕
本実施例では、シリコーン系粘着剤として、主剤(信越化学工業株式会社製、型番「KR−3704(X−40−3229)」、有効成分60重量%)と硬化剤(信越化学工業株式会社製、型番「CAT−PL−50T」、白金系触媒)とからなる、2液混合系の付加型シリコーン組成物であるシリコーン系粘着剤(硬化後の屈折率1.41)を用いた。まず、容器に、溶剤としてのトルエン5gに、樹脂粒子としての体積平均粒子径0.8μmの架橋ポリメタクリル酸メチル(以下「PMMA」と略記する)粒子(メタクリル酸メチル70重量%及びエチレングリコールジメタクリレート30重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値12%、屈折率1.49)0.5gを入れ、高速攪拌機にて5分間攪拌を行い、PMMA粒子をトルエン中に分散させた。これにより、粒子分散液を得た。
その後、別の容器に、シリコーン系粘着剤の主剤(型番「KR−3704」)25gと、溶剤としてのトルエン7gと、シリコーン系粘着剤の硬化剤(型番「CAT−PL−50T」)0.12gとを入れ、次いで先に得た粒子分散液を入れ、攪拌棒にて良く攪拌を行った。得られた混合液の脱泡処理を行い、混合液中の気泡を取り除いた。これにより、コーティング剤を得た。
次に、透明基材フィルムとしての厚み100μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、型番「A4300」)上に、スリット幅100μmのスリットコーターを用いて上記コーティング剤をコーティングした。このコーティング剤でコーティングされたPETフィルムを130℃で3分間加熱することによって、コーティング剤を乾燥させると共に硬化させた。これにより、シリコーン系粘着剤中にPMMA粒子が分散した粘着層がPETフィルム上に形成された。最後に、粘着層にセパレートフィルム(剥離フィルム)を貼り付けて光学フィルムを得た。本実施例では、樹脂粒子の量は、シリコーン系粘着剤100重量部に対して3.3重量部である。
〔実施例2〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径0.3μmの架橋ポリスチレン(以下「PS」と略記する)粒子(スチレン95重量%及びジビニルベンゼン5重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値14%、屈折率1.59)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例3〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径0.5μmのPMMA粒子(メタクリル酸メチル70重量%及びエチレングリコールジメタクリレート30重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値12%、屈折率1.49)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例4〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径2.0μmのPMMA粒子(メタクリル酸メチル70重量%及びエチレングリコールジメタクリレート30重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値10%、屈折率1.49)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例5〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径0.8μmの架橋ポリスチレン(以下「PS」と略記する)粒子(スチレン95重量%及びジビニルベンゼン5重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値11%、屈折率1.59)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例6〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径2.0μmの架橋メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(以下「MS」と略記する)粒子(スチレン30重量%、メタクリル酸メチル65重量%及びエチレングリコールジメタクリレート5重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値11%、屈折率1.52)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
〔比較例1〕
樹脂粒子として体積平均粒子径0.8μmのPMMA粒子に代えて体積平均粒子径15μmのPMMA粒子(メタクリル酸メチル70重量%及びエチレングリコールジメタクリレート30重量%からなる単量体混合物の重合体、CV値9%、屈折率1.49)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
これら実施例および比較例で得られた光学フィルムについての、全光線透過率Tt、波長380〜500nmの平均光透過率Tb、波長700〜800nmの平均光透過率To、To−Tb、並びに波長380〜800nmの分光透過率の極大点および極小点の波長、Δb*値を、これら実施例および比較例の光学フィルムに使用した樹脂粒子の組成、体積平均粒子径D、および屈折率nP、シリコーン系粘着剤の屈折率nA、並びにnP−nAおよびD×(nP−nA)と共に、表1に示す。また、表1にも記載しているように、これら実施例および比較例で得られた光学フィルムの分光透過率を図1〜7のグラフに示す。
Figure 0006276842
以上のように、比較例1では、波長700〜800nmの平均光透過率をTo(%)、波長380〜500nmの平均光透過率をTb(%)としたときの、To−Tb(%)が5未満(詳細には3.5)であったのに対し、実施例1〜6では、To−Tb(%)が5以上(詳細には14.0〜32.1)であり、全光線透過率が85%以上(詳細には90〜96%)である光学フィルムを実現することができた。
また、実施例3で得られた光学フィルムについて、分光透過率(積分球を装着していない分光光度計により測定される分光透過率)を図8に実線で示し、全光分光透過率(積分球を装着した分光光度計により測定される分光透過率)を図8に破線で示す。分光透過率と全光分光透過率との差は散乱光の多さを示す。図8において、青色領域である波長380〜500nmにおいて分光透過率と全光分光透過率との差が大きいことから、実施例3で得られた光学フィルムが、ブルーライトをよく散乱していることが分かる。
〔実施例7〕
実施例3において、透明基材フィルム(PETフィルム)に代えて、以下に説明する透明基材フィルム(PETフィルム)の一方の面上にハードコート層が形成されたものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして光学フィルムを得た。ハードコート層は、以下の「ハードコート層形成用のコーティング剤の調製」「ハードコート層の形成」のようにして形成した。
(ハードコート層形成用のコーティング剤の調製)
まず、ハードコート層形成用のコーティング剤(ハードコート溶液)を以下のようにして調製した。光重合性多官能単量体としてのペンタエリストールトリアクリレート及びペンタエリストールテトラアクリレートの混合物(商品名「アロニックス(登録商標)M−305」、東亞合成株式会社製)80重量部と、溶剤としてのトルエンとシクロペンタノンとの混合液(トルエンとシクロペンタノンとの体積比=7:3)120重量部と、光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、商品名「イルガキュア(登録商標)907」、BASF(登録商標)ジャパン株式会社製)5重量部とを混合し、コーティング剤を調製した。
〔ハードコート層の形成〕
次に、透明基材フィルムとしての厚み100μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、型番「A4300」)上に、バーコーターを用いて上記コーティング剤をコーティングし、塗膜を形成した。次に、上記塗膜を80℃で1分間加熱することにより、上記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて紫外線を積算光量300mJ/cm2で上記塗膜に照射することにより、上記塗膜を硬化させてハードコート層を形成した。
〔シリコーン粘着層の形成〕
次に、以上のようにして得たPETフィルムの一方の面上にハードコート層が形成されたものをPETフィルムに代えて用い、PETフィルムにおけるハードコート層が形成されていない方の面(ハードコート層が形成されている面の裏面)上に粘着層が形成されるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例8〕
市販の40W型直管型LED照明(株式会社OBU、型番「OLL40SD」)のカバー(断面が馬蹄形状の光拡散体)に実施例3で得た光学フィルムを貼付し、複合光拡散体としての光学フィルム付きカバーを得た。この光学フィルム付きカバーを上記市販のLED照明の本体に取り付けて、照明器具としての光学フィルム付きLED照明を得た。
光学フィルム付きLED照明を発光させて目視確認したところ、実施例3の光学フィルムを貼付していない上記市販のLED照明と比較して目への刺激が少なかった。
本発明の光学フィルムは、液晶ディスプレイ等のディスプレイの表示画面を保護すると共にディスプレイから出射するブルーライトをカットするために前記表示画面に貼り付けられるディスプレイ保護フィルム、LED照明カバー等の光拡散板またはガラスにブルーライトカット機能を付与するために光拡散体またはガラスに貼り付けられる機能付与フィルム等として利用できる。

Claims (9)

  1. 透明基材フィルムと、
    前記透明基材フィルム上に形成された、樹脂粒子およびシリコーン系粘着剤を含む粘着層とを備える光学フィルムであって、
    波長700〜800nmの平均光透過率をTo(%)、波長380〜500nmの平均光透過率をTb(%)とすると、
    To−Tb(%)が5以上であり、全光線透過率が85%以上であり、
    前記樹脂粒子の体積平均粒子径をD(μm)、前記樹脂粒子の屈折率をn P 、前記シリコーン系粘着剤の屈折率をn A とすると、以下の不等式
    0.01<D×│n P −n A │<0.25
    を満たすことを特徴とする光学フィルム。
  2. 波長380〜800nmの分光透過率の極大点が波長700〜800nmの範囲内にあり、かつ波長380〜800nmの分光透過率の極小点が波長380〜500nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記透明基材フィルムにおける前記粘着層が形成されている面の裏面上に、ハードコート層をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. LED光源を使用した光学機器に使用される光学フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. ディスプレイ保護フィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 携帯端末用のディスプレイ保護フィルムであることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 光拡散体と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルムとを備えることを特徴とする複合光拡散体。
  8. LED電球、直管型LED照明、LEDデスクスタンド、及びLEDシーリングライトからなる群より選択されるLED照明器具の発光部の大きさ及び形状に合わせられた大きさ及び形状を有するLED照明用光拡散カバーであることを特徴とする請求項に記載の複合光拡散体。
  9. 請求項又はに記載の複合光拡散体を備えることを特徴とする照明器具。
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