JP2017055114A - 圧縮性ポリオレフィンフィルム、圧電素子、振動素子およびセンサー - Google Patents

圧縮性ポリオレフィンフィルム、圧電素子、振動素子およびセンサー Download PDF

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Abstract

【課題】耐水圧に優れ、圧電定数が高く、起電圧が高い圧電フィルム、また、静電容量が高く起電圧が高い圧電素子や振動素子、起電圧が高いことによる高感度境センサーを提供する。
【解決手段】圧電定数d33が1.5nC/N以上である圧縮性ポリオレフィンフィルムとする。また、印加荷重を0.25Nとし、かつ、直列抵抗が2kΩのときの起電圧が5V以上である。さらに、厚み方向の平均孔径が1μm未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、圧電定数が高く、起電圧が高い圧縮性ポリオレフィンフィルムに関する。また、静電容量が高く起電圧が高い圧電素子や振動素子、さらに起電圧が高いことによる高感度のセンサーに関する。
圧電素子、振動素子、センサーを作製するための高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エレクトレット化した多孔質ポリプロピレン(E−PP)などが用いられている。なお、センサーとは、圧電センサー、感知センサー、超音波センサーなどをいう。
例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVdF)からなる結晶性極性高分子シートを延伸する際に分極電圧を印加して、結晶性極性高分子シートを分極処理することにより高分子圧電体フィルムを製造する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性樹脂に扁平状あるいは鱗片状充填剤を添加し、フィルムあるいはシートに成形加工した後に、場合によりフィルムあるいはシートを延伸処理を行った後に、直流高電圧を印加することで帯電処理を行って圧電素子材料を製造する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、PVdFからなる圧電フィルムは、無機材料からなる圧電材料に比べて圧電率が低く、起電圧が低いという問題があった。
また、多孔性樹脂フィルムを用いたエレクトレットは、圧電効果を示すことが知られているが、実際にフィルム内部により多くの電荷を蓄積するためには、電荷注入の際に、より高い電圧でフィルムを放電処理することが必要になる。空孔部にガスを導入することで発泡倍率を高くしている多孔性樹脂フィルムは、フィルム表面の均一性に劣り、また凹凸も大きい場合、印加電圧を上げてゆくと局所的な放電集中が発生してしまい、多孔性樹脂フィルムの絶縁耐性を超えてフィルムが部分的に破壊されてしまう問題点があった(例えば特許文献3)。多孔性樹脂フィルムの空孔率が高く、粗大ボイドが存在する場合、空気層が存在し、圧電率が低く、起電圧が低くなり、また、電荷注入を+または−のみの電荷を注入すると圧電率が低く、起電圧が低くなる場合がある(例えば特許文献4)。
特開2008−171935号公報 特開2006−111837号公報 特許第3675827号公報 特開2013−100458号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、圧電定数が高く、起電圧が高い圧縮性ポリオレフィンフィルムを提供することにある。また、静電容量が高く起電圧が高い圧電素子、振動素子、起電圧が高いことによる高感度のセンサーを提供することにある。
上記した課題は、圧電定数d33が1.5nC/N以上である圧縮性ポリオレフィンフィルムによって達成可能である。
本発明によれば、圧電定数が高く、起電圧が高い圧縮性ポリオレフィンフィルムを得ることができる。また、静電容量が高く、起電圧が高い圧電素子、振動素子、起電圧が高いことによる高感度のセンサーを提供することができる。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、圧縮性を有している。この圧縮性とは、式(1)で算出される厚み変化が0.5%以上発生する特性をいう。
((圧力25kPa印加時の厚み−圧力100kPa印加時の厚み)/(圧力25kPa印加時の厚み))×100 ・・・式(1)
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、荷重解放後の厚みが荷重を加える前の厚みに回復することが好ましい。
圧縮性ポリオレフィンフィルムを構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、5−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられ、これらの単独重合体や上記単量体成分から選ばれる少なくとも2種以上の共重合体、およびこれら単独重合体や共重合体のブレンド物などを用いることができるが、これらに限定されるわけではない。上記の単量体成分以外にも、例えば、ビニルアルコール、無水マレイン酸などを共重合、グラフト重合しても構わないが、これらに限定されるわけではない。圧縮性ポリオレフィンフィルムの構成成分としては、エチレンを単量体成分として用いたポリエチレンおよび/またはプロピレンを単量体成分として用いたポリプロピレンが好ましく、特に圧電性、透気性、空孔率などの観点からプロピレンを単量体成分として用いたポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンが主成分であることが好ましい。したがって、本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムはポリオレフィン樹脂を主成分として含み、かつ、当該ポリオレフィン樹脂がポリプロピレンであることが特に好ましい。なお、「主成分」とは、特定の成分が全成分中に占める割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上である。なお、上限は特に限定されないが、100質量%が実質的な上限になる。
ポリオレフィンフィルムに圧縮性を付与する方法として、ポリオレフィンフィルムを多孔化したり、柔軟性のある樹脂を使用したりすることが例示できるが、圧電定数および起電圧の観点から多孔化することが好ましい。
ポリオレフィンフィルムを多孔化する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わない。具体的には、湿式法とは、ポリオレフィン樹脂をマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合した樹脂組成物をシート化し、その後、被抽出物の良溶媒を用いて添加剤のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法である。
一方、乾式法とは、たとえば:
溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを熱処理後に一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法);
無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生させ、空隙を形成する方法(粒子法、相分離法);および
ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる方法(所謂、β晶法)
など溶媒による抽出を行わない方法全般を意味する。
これらの方法の中でも乾式法、特にβ晶法を採用するのが圧電特性および生産性の点で好ましい。
β晶法を用いてフィルムを多孔化するためには、β晶形成能が40%以上であるポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、圧電性能の低いフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能の上限は特に限定されるものではないが、99.9%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が低下するなど工業的な実用価値が低い。工業的にはβ晶形成能は65〜99.9%が好ましく、70〜95%が特に好ましい。ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能は多孔化後の圧縮性ポリプロピレンフィルムで評価することができる。
β晶形成能を40%以上に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。β晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の添加量としては、ポリプロピレン組成物を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、圧縮性ポリオレフィンフィルムの透気性が低下する場合がある。0.5質量%を超えると、粗大ボイドを形成しやすく、絶縁破壊電圧が低くなる場合がある。なお、本発明において、ポリプロピレン組成物とは、ポリプロピレン樹脂に加えて、β晶核剤、および酸化防止剤など圧縮性ポリオレフィンフィルムを構成する全ての材料を含む組成物である。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、メルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲であることが好ましく、さらにアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。MFRが2g/10分未満であると、樹脂の溶融粘度が高くなり高精度濾過が困難となり、フィルムの品位が低下する場合がある。MFRが30g/10分を超えると、分子量が低くなりすぎるため、延伸時のフィルム破れが起こりやすくなり、生産性が低下する場合がある。より好ましくは、MFRは3〜20g/10分である。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いる場合、アイソタクチックインデックスは90〜99.9%であることが好ましく、95〜99%がより好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を達成するのが困難な場合がある。
本発明でポリプロピレン樹脂を用いる場合、ホモポリプロピレン樹脂を用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を用いることもできる。なお、ポリプロピレンへのコモノマー(共重合成分)の導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、中和剤、帯電防止剤や有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましいが、ポリプロピレン組成物を100質量%としたときに、酸化防止剤含有量は2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、圧電特性の観点から、導電性樹脂、導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックを含有せしめることが好ましく、多孔化時の均一な孔構造の観点から、導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックを含有せしめることがより好ましく、特に圧縮性ポリオレフィンフィルムの体積抵抗を低減し、圧電特性を向上する観点から、カーボンブラックを含有せしめること、または/および圧電特性を向上する観点から、圧電特性を有するセラミックを含有せしめることが好ましい。カーボンブラックの1次粒径は1〜100nmであることが圧電特性および分散性の観点から好ましい。カーボンブラックの1次粒径が100nmより大きい場合、粗大ボイドが発生し、圧電特性。生産性が悪化する場合がある。カーボンブラックの形状は、鎖状構造、中空シェル状構造が圧電特性の観点から好ましい。圧電特性を有するセラミックの1次粒径は10〜1000nmであることが圧電特性および分散性の観点から好ましい。圧電特性を有するセラミックの1次粒径が1000nmより大きい場合、粗大ボイドが発生し、圧電特性。生産性が悪化する場合がある。カーボンブラックまたは/および圧電特性を有するセラミックを添加する場合、絶縁破壊電圧の低下を抑制する観点から、ポリプロピレン樹脂中に均一分散されることが好ましい。樹脂中への分散方法は、溶融混練が好ましく、ポリプロピレン組成物100質量%に対する含有濃度はそれぞれ0.1〜10質量%が好ましい。なお、圧電特性を有するセラミックには、TiO、PZT、BaTiO、ZnOなどがある。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、圧電定数が1.5nC/N以上である。圧電定数が1.5nC/N未満では、本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを圧電素子、振動素子として使用したとき、電気容量が不十分となる場合がある。電気容量の観点から、圧電定数は、2nC/N以上が好ましく、3nC/N以上がより好ましい。圧電定数は、カーボンブラックの含有濃度を0.1〜10質量%の範囲内で絶縁破壊電圧が低下しない程度に増加させたり、エレクトレット処理の印加電圧の変更、圧縮性ポリオレフィンフィルムの絶縁破壊電圧の変更、または/および圧縮性ポリオレフィンフィルム内の電荷量に関しては厚み方向の平均孔径を変更したり、厚み方向の樹脂層数を変更することによって調整することができる。圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚み方向の平均孔径を小さくしたり、厚み方向の樹脂層数を増加することによって絶縁破壊電圧が高くなり、エレクトレット処理の印加電圧を高くすることができる。圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚み方向の平均孔径は後述する方法で調整することができる。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、印加荷重を0.25Nとし、かつ直列抵抗が2kΩのときの起電圧が5V以上であることが好ましい。起電圧が5V未満の場合、圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いた圧電素子、振動素子の作動時の電圧が低く、十分な電力を取り出せない場合がある。また、圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いたセンサーの感度が悪く、センサーとして十分な機能を有さない場合がある。圧電素子、振動素子の電力および/またはセンサーの感度の観点から起電圧は、7V以上がより好ましく、9V以上が更に好ましい。起電圧も、圧電定数と同様に、カーボンブラックの含有濃度を0.1〜10質量%の範囲内で絶縁破壊電圧が低下しない程度に増加させたり、エレクトレット処理の印加電圧の変更、圧縮性ポリオレフィンフィルムの絶縁破壊電圧の変更、または/および圧縮性ポリオレフィンフィルム内の電荷量に関しては厚み方向の平均孔径を変更したり、厚み方向の樹脂層数を変更することによって調整することができる。圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚み方向の平均孔径を小さくしたり、厚み方向の樹脂層数を増加することによって絶縁破壊電圧が高くなり、エレクトレット処理の印加電圧を高くすることができる。圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数は後述する方法で調整することができる。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、厚み方向の平均孔径が1μm未満であることが好ましい。厚み方向の平均孔径が1μm以上では、圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いた圧電素子、振動素子の電力を取り出す際に空孔の圧縮が不十分となり十分な電力が取り出せない場合があったり、圧縮性ポリオレフィンフィルムの絶縁破壊電圧が低くなり、外部からの印加電圧を高くすることができない場合がある。空孔の圧縮の観点から厚み方向の平均孔径は0.8μm以下がより好ましい。厚み方向の平均孔径を上記範囲とするためには、カーボンブラックの1次粒径を1〜100nm、圧電特性を有するセラミックの1次粒径を10〜1000nmの範囲内とし、それぞれの含有濃度を0.1〜10質量%の範囲内とすることが好ましく、また、後述する延伸条件に代表されるフィルム製造条件により制御することが好ましい。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、厚み方向の樹脂層数が30以上であることが好ましい。厚み方向の樹脂層数が40未満では、圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いた圧電素子、振動素子の電力を取り出す際に空孔の圧縮が不十分となり十分な電力が取り出せない場合があったり、圧縮性ポリオレフィンフィルムの絶縁破壊電圧が低くなり、外部からの印加電圧を高くすることができない場合がある。空孔の圧縮の観点から厚み方向の樹脂層数が50以上がより好ましい。厚み方向の平均孔径を上記範囲とするためには、カーボンブラックの1次粒径を1〜100nm、圧電特性を有するセラミックの1次粒径を10〜1000nmの範囲内とし、それぞれの含有濃度を0.1〜10質量%の範囲内とすることが好ましく、また、後述する延伸条件に代表されるフィルム製造条件により制御することが好ましい。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、フィルム厚みが5μm以上であることが好ましい。厚みが5μm未満ではエレクトレット処理を行う際にフィルムが絶縁破壊する場合がある。フィルム厚みは10μm以上であればより好ましい。
以下に本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、製膜用の原料を準備する。
導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックを樹脂に添加して原料を調製する場合、樹脂への添加方法としては、ドライブレンド、樹脂が溶融した状態に粒子を添加する溶融混練などあるが、本発明では絶縁破壊電圧を低下させないために導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックを均一に分散することが好ましい態様である。ドライブレンドで導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックの添加を行うとフィルム化した際に導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックがフィルム中に不均一に分散してしまい、外部から印加電圧を加えた際、局部的にフィルムの体積抵抗が低くなり、絶縁破壊電圧が低くなる場合がある。したがって、導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックの添加方法としては、溶融混練を採用するのが好ましい。溶融混練にて使用する押出機は1軸押出機、2軸押出機いずれでもよいが、高せん断にて混合できることと、添加比率が一定に制御しやすく、導電性セラミック、圧電特性を有するセラミック、カーボンブラックの均一性、樹脂劣化抑制、生産性の観点から2軸押出機で行うことが好ましい。また、分散状態を制御するために、2軸押出機で複数回溶融混練を行ってもよい。
また、原料組成の一例を挙げ説明すると、ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分のホモポリプロピレン樹脂96.5質量部、カーボンブラック3質量部、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量部、酸化防止剤0.2質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(プロピレン組成物)を準備する。この際、溶融温度は280〜310℃とすることが好ましい。
続いて、本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムの製膜方法および処理方法について説明するが、以下の製膜方法は、上述のポリプロピレン原料以外の原料を用いたときにも適用することができる。
ポリプロピレン原料を単軸押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸のキャストフィルムを得る。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、キャストフィルムのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にキャストフィルムの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、キャストフィルム全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に、得られたキャストフィルムを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、透湿性、伸度、耐水圧の観点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストフィルムを長手方向に延伸する温度に制御するとよい。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、90〜140℃であることが好ましい。長手方向の延伸温度が90℃未満では、フィルムが破断したり、絶縁破壊電圧が低下することによって外部からの印加電圧が低くなり圧電定数が低下する場合がある。長手方向の延伸温度が140℃を超えると、透気性が低下し、圧電定数が低下する場合がある。長手方向の延伸温度は、より好ましくは110〜135℃、特に好ましくは125〜130℃である。長手方向の延伸倍率としては、3〜7倍であることが好ましい。長手方向の延伸倍率が、3倍未満では透湿性が低下する場合がある。長手方向の延伸倍率を高くするほど圧電定数は良化するが、7倍を超えて延伸すると、フィルムが破断したり、絶縁破壊電圧が低下することによって外部からの印加電圧が低くなり圧電定数が低下する場合がある。圧電定数の観点から、長手方向の延伸倍率はより好ましくは4〜7倍である。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入し幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸温度は、好ましくは130〜155℃である。幅方向の延伸温度が、130℃未満ではフィルムが破断したり、絶縁破壊電圧が低下することによって外部からの印加電圧が低くなり圧電定数が低下する場合がある。幅方向の延伸温度が、155℃を超えると圧電定数が低下する場合がある。幅方向の延伸温度は、圧電定数の観点から、より好ましくは140〜155℃である。幅方向の延伸倍率は4〜15倍であることが好ましい。幅方向の延伸倍率が、4倍未満であると、透気性が低下し、圧電定数が低下する場合がある。圧電定数の観点から、幅方向の延伸倍率は高倍が好ましいが、15倍を超えると、フィルムが破断し生産性が低下する場合がある。圧電定数の両立の観点から、幅方向の延伸倍率はより好ましくは4〜12倍、更に好ましくは6〜12倍、特に好ましくは8〜11倍である。
圧電定数および厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数の制御の観点から、幅方向の延伸に続いて、テンター内で弛緩処理前熱処理、弛緩処理、弛緩処理後熱処理を、この順で施すことが好ましい。ここで弛緩処理前熱処理とは、幅方向の延伸後の幅のまま熱処理を施すことを指す。弛緩処理とは、テンターの幅を狭めてフィルムを弛緩させながら熱処理を施すことを指す。弛緩処理後熱処理とは、弛緩処理後の幅のまま熱処理を行うことを指す。また、弛緩処理前熱処理工程、弛緩処理工程、および弛緩処理後熱処理工程を「熱処理工程」と総称することがある。
弛緩前の熱処理温度は、140〜170℃であることが好ましい。弛緩前の熱処理温度が、140℃未満であると、厚み方向の平均孔径が粗大、厚み方向の樹脂層数が少なくなり、圧電定数が低下する場合がある。弛緩前の熱処理温度が、170℃を超えると、圧縮性ポリオレフィンフィルム表面が溶融し透気性が低下し、圧電定数が低下したり、さらに圧縮性ポリオレフィンフィルムが幅方向に収縮し、破断してしまい、生産性が低下する場合がある。弛緩前の熱処理温度は、圧電定数、厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数の観点から155〜170℃であればより好ましく、163〜170℃であれば、さらに好ましい。
弛緩前の熱処理時間は、圧電定数と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。
弛緩処理工程における弛緩率は、幅方向の熱収縮率の観点から5〜35%であることが好ましく、5〜20%であるとより好ましい。なお、弛緩率は[(弛緩前の圧縮性ポリオレフィンフィルムの幅−弛緩後の圧縮性ポリオレフィンフィルムの幅)/(弛緩前の圧縮性ポリオレフィンフィルムの幅)]×100で算出することができる。
弛緩処理工程における弛緩温度(熱処理温度)は、155〜170℃であることが好ましい。弛緩温度が155℃未満であると、弛緩の為の収縮応力が低くなり、上述した高い弛緩率を達成できなかったり、厚み方向の平均孔径が粗大、厚み方向の樹脂層数が少なくなり、圧電定数が低下する場合がある。弛緩温度が、170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて溶融し透気性が低下し、圧電定数が低下する場合がある。弛緩温度は、圧電定数、厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数の観点から163〜170℃であるとより好ましい。
弛緩後の熱処理温度は、155〜170℃であることが好ましい。弛緩後の熱処理温度が155℃未満であると、厚み方向の平均孔径が粗大、厚み方向の樹脂層数が少なくなり、圧電定数が低下する場合がある。弛緩後の熱処理温度が170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて溶融し透気性が低下し、圧電定数が低下する場合がある。弛緩後の熱処理温度は、圧電定数、厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数の観点から155〜170℃であればより好ましく、163〜170℃であれば、さらに好ましい。
弛緩後の熱処理時間は、圧電定数の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。
得られたポリオレフィンフィルムにエレクトレット処理を行い、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得る。エレクトレット処理は、針電極を用いて行うことが電荷の均一性の観点から好ましい。印加電圧は5〜30kVであることが好ましく、圧電特性の観点から、10〜30kVであることがより好ましい。処理時間は、1〜30秒間であることが好ましく、圧電特性の観点から5〜30秒がより好ましい。処理は、+電荷を与え、次いで、その裏面に−電荷を与える順番が好ましい。
本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムは、圧電定数が高く、起電圧が高いことから、圧電素子、振動素子、センサーに好適に用いることができる。また、本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いてなる圧電素子、振動素子は、静電容量、起電圧が高くなる。本発明の圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いてなるセンサーは、高感度である。圧電素子、振動素子は、発電装置、圧電トランス、マイク、タッチパネルに使用でき、センサは、圧縮性ポリオレフィンフィルムの表裏に電極を設けることで圧力、超音波を電気信号として取り出せることできることから、圧電センサー、感知センサー、超音波センサーとして使用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)圧縮性
PEACOCK(株)製ダイヤルゲージ(UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)25、5mmφ平型標準測定子)を用いて、測定荷重50gf、圧力25kPa時の圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚みを5箇所測定し、その平均値を当該フィルムの圧力25kPa印加時の厚みとした。また、測定荷重200gf、圧力100kPa時の圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚みを5箇所測定し、その平均値を当該フィルムの圧力100kPa印加時の厚みとした。式(1)に従い、圧縮性を算出した。
圧縮性=((圧力25kPa印加時の厚み−圧力100kPa印加時の厚み)/(圧力25kPa印加時の厚み))×100 ・・・式(1)
○:圧縮性≧0.5
×:圧縮性<0.5
(2)β晶形成能
圧縮性ポリオレフィンフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から260℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、40℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、ファーストランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出することで、その試料の状態でのβ晶分率を算出することができる。
(3)厚み方向の平均孔径、厚み方向の樹脂層数
クロスセクションポリッシャ(日本電子製SM−9010)を用いてクライオ処理したサンプルの幅方向と厚み方向を含む平面における断面を作製後、観察面に白金コートをして観察試料とした。次に、日立製作所社製電界放射走査電子顕微鏡(S−4800)を用いてフィルム断面を撮影倍率1,000、5,000、30,000倍のそれぞれの倍率で観察した。観察時の加速電圧は1.0kVとした。得られた画像データ(スケールバーなどの表示がない、観察部のみの画像)をプラネトロン社製Image−ProPlus Ver.4.5を用いて画像解析を行い、空孔部の厚み方向の孔径を算出した。画像解析方法としては、まず平坦化フィルタ(暗い、10ピクセル)を1回実行し輝度斑を修正した後、メディアンフィルタ(カーネルサイズ3×3)を1回実行しノイズを除去した。次いで、局部イコライゼーションフィルタ(対数分布、小ウィンドウ100、ステップ1)を1回実行し空孔部以外を明るく強調させた。さらに、コントラスト調整(コントラスト100)を行った。
(i)平均孔径
30,000倍の画像より空孔部つまり観察した画像の暗部の厚み方向の最大部の孔径を測定した。測定箇所は、1つのサンプルにつき、1,000倍の画像を厚み方向に均等に10分割し、各分割した場所を中心に30,000倍の観察を実施し、観察を行った10箇所の平均値を厚み方向の平均孔径とした。
(ii)樹脂層数
5,000倍の画像より厚み方向の樹脂部つまり観察した画像の明部の数をカウントした。測定箇所は、1つのサンプルにつき、5箇所実施し、その平均値を厚み方向の樹脂層数とした。
(4)フィルム厚み
PEACOCK(株)製ダイヤルゲージ(UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)25、5mmφ平型標準測定子、測定荷重50gf、圧力25kPa)を用いて、圧縮性ポリオレフィンフィルムの厚みを5箇所測定し、その平均値を当該フィルムの厚みとした。
(5)圧電特性評価
圧縮性ポリオレフィンフィルムを5.5cm×5.5cmの大きさの正方形に、Al箔(厚み:20μm)を5.0cm×5.0cmの大きさの正方形に切り出した。Al箔は、Al集電リードを溶接した。Al箔、圧縮性ポリオレフィンフィルム、Al箔の順で積層した。なお、Al箔は圧縮性ポリオレフィンフィルムの内側に配置した。なお、Al箔の集電リードは接触しないように配置した。積層体を10.0×10.0cmに切り出した厚み50μmのポリプロピレンフィルムで挟み、幅1.0cmで外周を160℃で熱ラミネートし、評価セルとした。
(i)圧電定数(d33)
LCRメータ(ASONE製LCR−819)を用いて荷重0.25N、測定周波数1kHz、測定電圧1Vにて評価セルの静電容量の測定を実施した。測定は3セルで実施し、平均をサンプルの静電容量とした。測定した静電容量から以下の式を用いて圧電定数を算出した。
圧電定数(d33)=(静電容量×測定電圧)/荷重
(ii)起電圧
BioLogic(SP−100)を用いて評価セルの電圧の測定を実施した。2kΩの抵抗を直列に接続し、抵抗荷重0.25Nを印加した際の電圧を起電圧とし、測定は3セルで実施し、平均をサンプルの起電圧とした。なお、本装置での電圧の上限は15Vとなる。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を96.5質量部、カーボンブラックとして電気化学工業(株)製平均1次粒径が35nmのデンカブラックを3質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(I)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(I)を単軸の溶融押出機に供給し、220℃で溶融押出を行い、400μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストフィルムを得た。ついで、130℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5倍に、延伸温度130℃で延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で3秒間予熱後、150℃で9.0倍に延伸した。
続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離(フィルム幅方向におけるクリップ間距離)に保ったまま155℃で3秒間熱処理し、更に165℃で弛緩率10%で弛緩処理を行い、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま165℃で5秒間熱処理を行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを針電極を用いて印加電圧20kVで10秒間+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで10秒間−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を98.5質量部、カーボンブラックとして電気化学工業(株)製平均1次粒径が35nmのデンカブラックを1質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(II)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(II)を実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を94.5質量部、カーボンブラックとして電気化学工業(株)製平均1次粒径が35nmのデンカブラックを5質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(III)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(III)を実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例4)
熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離(フィルム幅方向におけるクリップ間距離)に保ったまま160℃で3秒間熱処理し、更に168℃で弛緩率10%で弛緩処理を行い、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま168℃で5秒間熱処理を行った以外は実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例5)
実施例1で得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧25kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧25kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例6)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を96.5質量部、カーボンブラックとしてライオン(株)製平均1次粒径が39nmのライオナイトEC200Lを3質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(IV)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(IV)を実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例7)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を89.5質量部、圧電特性を有するセラミックとして堺化学工業(株)製平均1次粒径が600nmの酸化亜鉛3種を10質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(VI)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(VI)を実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(実施例8)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を88.5質量部、圧電特性を有するセラミックとして堺化学工業(株)製平均1次粒径が600nmの酸化亜鉛3種を10質量部、カーボンブラックとしてライオン(株)製平均1次粒径が39nmのライオナイトEC200Lを1質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(VII)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(VII)を実施例1と同じ条件で行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与え、圧縮性ポリオレフィンフィルムを得た。
(比較例1)
高密度ポリエチレン粉末(“ハイゼックス”340M、三井化学(株)製、)40質量部と、ポリエチレンワックス(“ハイワックス”110P、三井化学(株)製)30質量部と、炭酸カルシウム(商品名:“スターピゴット”15A、白石カルシウム(株)製、平均粒子径0.15μm)30質量部を混合した組成物を二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度30℃のキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より20℃の冷風を吹き付けてキャストフィルムを作製した。次に、該キャストフィルムを125℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、方向に延伸速度30,000%/分で3倍延伸し20℃のロールで冷却した。続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱した雰囲気中で幅方向に延伸速度500%/分で5倍延伸して、厚さ20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与えた。
(比較例2)
比較例1で得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧25kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧25kVで−電荷を与えた。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を99.5質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、299℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(V)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(V)を単軸の溶融押出機に供給し、220℃で溶融押出を行い、400μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストフィルムを得た。ついで、130℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5倍に、延伸温度130℃で延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で3秒間予熱後、150℃で9.0倍に延伸した。 続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離(フィルム幅方向におけるクリップ間距離)に保ったまま150℃で3秒間熱処理し、更に160℃で弛緩率10%で弛緩処理を行い、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま160℃で5秒間熱処理を行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与えた。
(比較例4)
MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を単軸の溶融押出機に供給し、220℃で溶融押出を行い、400μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストフィルムを得た。ついで、130℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5倍に、延伸温度130℃で延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で3秒間予熱後、150℃で9.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離(フィルム幅方向におけるクリップ間距離)に保ったまま150℃で3秒間熱処理し、更に160℃で弛緩率10%で弛緩処理を行い、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま160℃で5秒間熱処理を行い、厚み20μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたポリオレフィンフィルムを印加電圧20kVで+電荷を与え、その裏面に印加電圧20kVで−電荷を与えた。
Figure 2017055114
本発明の要件を満足する実施例の圧縮性ポリオレフィンフィルムは圧電定数、起電圧に優れた。一方、比較例のポリオレフィンフィルムは、圧電定数、起電圧が不十分であった。そのため、圧電素子、振動素子、センサーとして不十分であった。

Claims (8)

  1. 圧電定数d33が1.5nC/N以上である圧縮性ポリオレフィンフィルム。
  2. 印加荷重を0.25Nとし、かつ直列抵抗が2kΩのときの起電圧が5V以上である、請求項1に記載の圧縮性ポリオレフィンフィルム。
  3. 厚み方向の平均孔径が1μm未満である、請求項1または2に記載の圧縮性ポリオレフィンフィルム。
  4. ポリプロピレンを主成分として含む、請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮性ポリオレフィンフィルム。
  5. β晶形成能が40%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮性ポリオレフィンフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いた圧電素子。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いた振動素子。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮性ポリオレフィンフィルムを用いたセンサー。
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