JP2017053929A - 赤外遮蔽フィルム、及び、赤外反射体 - Google Patents

赤外遮蔽フィルム、及び、赤外反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化チタン粒子の触媒作用による耐候性の低下を抑制することが可能な赤外遮蔽フィルムの提供。【解決手段】高屈折率層13aと低屈折率層13bとの交互積層を有する熱線反射層13を備え、高屈折率層13aが、ポリマー、酸化チタン微粒子、及び、アルデヒド化合物を含有する赤外遮蔽フィルム10。さらに前記アルデヒド化合物がグリオキシル酸塩であり、あるいはさらに前記酸化チタン微粒子に対する前記アルデヒド化合物の割合が、3%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外遮蔽フィルム、及び、この赤外遮蔽フィルムを備える赤外反射体に関する。
近年、省エネルギー対策への関心が高まり、建築用ガラスや車両用ガラスにおいて、室内又は車内に入る太陽輻射エネルギーを遮蔽し、温度上昇、冷房負荷を低減する目的で、赤外線の遮蔽性を有する断熱ガラスが採用されている。また、屈折率の異なる層を積層して形成した赤外遮蔽フィルムをガラスに貼付し、太陽光の中の熱線の透過を遮断する方法が、より簡便な方法として注目されている。
赤外遮蔽フィルムとしては、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた積層膜を蒸着法やスパッタ法等の気相成膜法で作製する方法がある。しかしながら、気相成膜法は製造コストが高く、大面積化が困難であり、耐熱性素材が限定される等の課題がある。これに対し、製造コストが安く、大面積化が可能であり、基材の選択幅が広いといった観点から液相成膜法を用いた赤外遮蔽フィルムが提案されている。例えば、水溶性高分子及び金属酸化物微粒子の混合物を含む塗布液を、湿式塗布方式により塗布して積層することにより製造された光学フィルム(近赤外反射フィルム)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
高屈折率層の金属酸化物微粒子として酸化チタン粒子が挙げられる。しかし、酸化チタン粒子は強い光触媒作用を有するため、樹脂媒体の劣化及びバインダの劣化が促進される課題がある。これに対し、酸化チタン粒子の表面にアルミニウム、珪素、ジルコニウム等の光不活性化合物を立体的障壁のある島状に担持して光触媒作用を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
国際公開第2012/014607号 特開平9−225319号公報 特開平9−239277号公報
しかしながら、酸化チタン粒子の表面に島状に光不活性化合物を担持させる方法では、島状の光不活性化合物の間から酸化チタン粒子が露出する。このため、樹脂媒体やバインダの特定部位において、酸化チタン粒子の強い光触媒作用を受ける部分が存在してしまう場合がある。従って、酸化チタン粒子を用いた赤外遮蔽フィルムにおいては、酸化チタン粒子の触媒作用に起因する耐候性の低下という問題がある。
上述した問題の解決のため、本発明においては、酸化チタン粒子の触媒作用による耐候性の低下を抑制することが可能な赤外遮蔽フィルム、及び、赤外反射体を提供するものである。
本発明の赤外遮蔽フィルムは、高屈折率層と低屈折率層との交互積層を有する熱線反射層を備え、高屈折率層が、ポリマー、酸化チタン微粒子、及び、アルデヒド化合物を含有する。
また、本発明の赤外反射体は、光透過性基体と、上記赤外遮蔽フィルムとを備える。
本発明によれば、酸化チタン粒子の触媒作用による耐候性の低下を抑制することが可能な赤外遮蔽フィルム、及び、赤外反射体を提供することができる。
赤外遮蔽フィルムの概略断面図を示す図である。 赤外反射体の概略断面図を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.赤外遮蔽フィルム
2.赤外反射体
〈1.赤外遮蔽フィルム〉
以下本発明の赤外遮蔽フィルムの具体的な実施の形態について説明する。
図1に赤外遮蔽フィルムの概略断面図を示す。図1に示す赤外遮蔽フィルム10は、樹脂フィルム14、及び、熱線反射層13を備える。また、図1に示す赤外遮蔽フィルム10は、熱線反射層13上に粘着層12を備える。赤外遮蔽フィルム10の構成では、樹脂フィルム14とは逆側の粘着層12側から、熱線反射層13での反射を目的とする光(太陽光等の熱線)が入射する構成である。
なお、樹脂フィルム14及び粘着層12は、赤外遮蔽フィルム10の必須の構成要件ではなく、任意に適用できる構成である。図1に示すように、熱線反射層13の一方の面に樹脂フィルム14が配置されることにより、熱線反射層13が光や水分等の外部からの影響をより受けにくくなる。このため、赤外遮蔽フィルム10の耐候性高め、色調の変化を抑制できる。
また、赤外遮蔽フィルム10の光入射側と反対側の面には、必要に応じて、ハードコート層(保護層)や保護フィルム等が配置されていてもよい。このような構成を設けることにより、擦り傷や水分等の外部からの影響を抑制し、耐候性をより高めることができる。
赤外遮蔽フィルム10の全体の厚さは、施工性の観点から、好ましくは12〜315μm、より好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。なお、赤外遮蔽フィルム10の全体の厚さには、粘着層12等の赤外遮蔽フィルム10として施工される層は含まれるが、粘着層12上の剥離層(離型フィルム)等のような施工前に剥離される構成は含まれない。
なお、赤外遮蔽フィルムにおいて、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜60%の条件で測定する。
[熱線反射層]
赤外遮蔽フィルム10の熱線反射層13は、高屈折率層13aと低屈折率層13bとの交互積層を有する。熱線反射層13は、熱線(赤外線)の侵入を防ぐことができるように、屈折率の異なる高屈折率層13aと低屈折率層13bとが交互に積層された積層体(ユニット)を少なくとも1つ有する構成である。
なお、「高屈折率層」及び「低屈折率層」は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率の高い方の層を高屈折率層とし、低い方の層を低屈折率層とする。従って、熱線反射層13における高屈折率層及び低屈折率層は、熱線反射層13を構成する各層において、隣接する2つの層の屈折率の比較により決められる。このため、これらの構成の名称は、積層体の構成や比較対象となる層との屈折率の関係により随時置き換えられる。また、「高屈折率層」及び「低屈折率層」とは、フィルムを構成する各層において、隣接する2つ層が同じ屈折率を有する場合を除く、すべての形態に適用することができる。
熱線反射層13は、層の主体となるポリマーを含んで構成される。熱線反射層13がポリマーを主体とすることにより、金属酸化物材料のみで形成される無機膜の熱線反射層に対して層の柔軟性が向上する。このため、膜割れを有効に防ぐことができる。また、各層間の密着性を向上させることができる。
熱線反射層13は、好ましくは、ポリマーを含む高屈折率層13aと、ポリマーを含む低屈折率層13bとが積層された積層体(ユニット)を少なくとも1つ有する。また、熱線反射層13は、ポリマーに加えて、例えば、金属酸化物(粒子)、その他の添加剤等の他の物質を含んでもよい。
さらに、ポリマーを主体として熱線反射層13を形成することにより、塗布等の液相成膜法を用いて熱線反射層13を作製することができる。このため、均一且つ大面積な製膜を容易に行なうことができる。また、液相成膜法を用いることにより、製膜速度を上げることができるため、製造コストや量産性に優れる。さらに、塗布等を用いることにより、高屈折率層13a及び低屈折率層13bの厚さを任意の厚さに制御することが容易となる。
さらに、液相成膜法では、気相成膜法と異なり高温で製膜する必要がない。このため、樹脂フィルムの材料の選択範囲が広がる。ポリマーを含む熱線反射層は上述のように柔軟性に優れるため、柔軟な樹脂フィルムを用いることにより、赤外遮蔽フィルム10を折り曲げた際にも、曲げ部分等での割れや剥離等の発生を抑制できる。
さらに、温度変化による熱線反射層13と他の層との間、又は、熱線反射層13を構成する高屈折率層13aと低屈折率層13bと間の収縮率差に起因する、層間で剥離を抑制することができる。
また、熱線反射層13においては、高屈折率層13aと低屈折率層13bの界面において、各層を構成する成分が混在する混合層が形成される場合がある。このような混合層が存在する場合には、混合層中において、高屈折率層13aを構成する成分が50質量%以上である部位の集合が高屈折率層13aに含まれ、低屈折率層13bを構成する成分が50質量%を超える部位の集合が低屈折率層13bに含まれる。
具体的には、高屈折率層13aと低屈折率層13bがそれぞれ金属酸化物粒子を含む場合、低屈折率層13bに含まれる金属酸化物粒子(第1の金属酸化物粒子)と、高屈折率層13aに含まれる金属酸化物粒子(第2の金属酸化物粒子)とが2つの層の界面で混合され、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子とを含む混合層が形成される場合がある。この場合、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との存在比により低屈折率層13b又は高屈折率層13aとみなす。具体的には、低屈折率層13bとは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第1の金属酸化物粒子が、50〜100質量%で含まれる層を意味する。高屈折率層13aとは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第2の金属酸化物粒子が、50質量%を超えて100質量%以下で含まれる層を意味する。なお、屈折率層に含まれる金属酸化物粒子の種類及び量は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析できる。
なお、熱線反射層13は、ポリマーを含む高屈折率層とポリマーを含む低屈折率層が交互に積層された積層体であればよく、高屈折率層13a及び低屈折率層13bの数(総数)は、特に制限はない。好ましくは、10〜50層の範囲であり、好ましくは13〜39層である。積層数が10層以上であれば、所望の赤外反射率が得られ、13層以上であるとより高い赤外反射率が得られ、遮熱性効果が向上する。また、積層数が50層以下であれば熱線反射層13が割れ難く、端部剥がれも抑制できるなど十分な耐候性が得られる点で優れている。さらに、積層数が39層以下であれば、熱線反射層13の割れを防止し、端部剥がれも防止できるなど、高い耐候性が得られる。
また、熱線反射層13は、熱線反射層13を構成する積層体の最下層及び最表層は、高屈折率層13a、低屈折率層13bのいずれでもよい。熱線反射層13の最下層及び最表層が低屈折率層13bであると、最下層の隣接層(例えば、樹脂フィルム)への密着性、最表層の吹かれ耐性が向上しやすい。
熱線反射層13は、隣接する高屈折率層13aと低屈折率層13bとの屈折率の差が大きいほど、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる。
熱線反射層13において、高屈折率層13aは、より高い屈折率を有することが好ましい。高屈折率層13aの屈折率は、好ましくは1.70〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20であり、さらに好ましくは1.90〜2.20である。
また、熱線反射層13において、低屈折率層13bは、より低い屈折率を有することが好ましい。低屈折率層13bの屈折率は、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.55であり、さらに好ましくは1.30〜1.50である。
高屈折率層13a及び低屈折率層13bからなる積層体において、隣接する高屈折率層13aと低屈折率層13bとの少なくとも1組において、屈折率差が0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.25以上であることがさらに好ましい。熱線反射層13が複数の高屈折率層13a及び低屈折率層13bを有する場合には、全ての層において屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、熱線反射層13の最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
熱線反射層13における特定波長領域の反射率は、隣接する2層(高屈折率層13a及び低屈折率層13b)の屈折率差と積層数で決まり、屈折率差が大きいほど、少ない層数で高い反射率が得られる。屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率(赤外遮蔽率)90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層を超える積層が必要になり、透明性が低下する。このため、隣接する層の屈折率差は、0.1以上であることが好ましい。特に好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.4以上である。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、隣接する高屈折率層13aと低屈折率層13bとの屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度である。
屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。まず、必要に応じてガラスや樹脂フィルム等の基材を用いて、計測する層を単層で形成したサンプルを作製し、作製したサンプルを10cm×10cmに断裁する。そして、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理し、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止する。この後、分光光度計U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件で可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定した平均値から、平均屈折率を求める。
また、単層膜において、層表面での反射光と層底部での反射光との光路差が[n・d=λ/4]で表される関係になると、この特定の波長λの反射を、位相差によって強めることができる。なお、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚、λは波長である。
このように、熱線反射層13では、光路差を利用することで、各波長の反射を制御できる。即ち、上記式で表される関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御することにより、可視光や近赤外光等の特定の波長の反射率を制御することができる。例えば、各層の屈折率、膜厚及び積層状態を制御することにより、特定波長領域の反射率を向上させることができる。この結果、特定の波長λの反射率を上げることができる。
高屈折率層13aと低屈折率層13bとの交互積層からなる熱線反射層13の膜厚は、特に限定されず、好ましくは10μm以下、より好ましくは5.5μm以下、特に好ましくは1.0〜4.0μmの範囲である。熱線反射層の膜厚が10μm以下、特に5.5μm以下であれば、窓等への施工を行いやすい。また、熱線反射層13の膜厚を上記範囲とすることにより、耐候性、特に赤外遮蔽フィルム10が熱膨張・熱収縮を繰り返した場合でも、フィルムの湾曲を効果的に防止することができ、施工後も長期間において端部剥がれを防止することができる。
熱線反射層13を構成する高屈折率層13aと低屈折率層13bの1層あたりの厚さ(乾燥後の厚さ)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、100〜300nmであることがさらにより好ましく、100〜200nmであることが特に好ましい。高屈折率層13aと低屈折率層13bの厚さは、同じでもよく、また、異なっていてもよい。また、各層の1層あたりの厚さは、例えば、製造した熱線反射層13を切断し、その切断面を電子顕微鏡により観察することで確認することができる。この際、2つの層間の界面を明確に観測することができない場合には、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)表面分析装置により得た厚さ方向のXPSプロファイルにより界面を決定することができる。
[高屈折率層]
高屈折率層13aは、ポリマー、酸化チタン微粒子、及び、アルデヒド化合物を含有する。酸化チタン微粒子とともに、アルデヒド化合物を含むことにより、酸化チタン微粒子の光触媒作用によるポリマーの劣化(変質、分解等)を抑制することができる。アルデヒド化合物が酸化チタン微粒子の光触媒作用によるポリマーの劣化を抑制するメカニズムについての詳細は解明されていないが、酸化チタンとアルデヒド化合物の相互作用により、ポリマーの劣化が抑制されたと推測される。このように、アルデヒド化合物を用いて、酸化チタン微粒子の光触媒作用によるポリマーの劣化を抑制することにより、熱線反射層13の変色等を抑制し、赤外遮蔽フィルム10の耐候性を向上させることができる。
特に、上述のアルデヒド化合物による酸化チタン微粒子の光触媒作用の抑制効果は、ポリマーとしてアセトアセチル基を持たないポリビニルアルコールを含有する構成において、特に有効である。これは、高屈折率層13aを構成するポリマーとしてアセトアセチル基を持たないポリビニルアルコールを含む場合には、酸化チタンとアルデヒド化合物の相互作用がより強く発生し、ポリマーの劣化(変質、分解等)が抑制されるためと推測される。
(水溶性高分子)
高屈折率層13aに含まれるポリマーとしては、バインダとして機能する水溶性高分子を用いることが好ましい。高屈折率層13aが、水溶性高分子を含むことにより、有機溶剤の使用を抑えた層形成が可能となり、有機溶剤による環境上の問題を解決することがでる。また、水溶性高分子を用いることにより、塗膜に柔軟性を付与することができる。
高屈折率層13aに含まれるポリマーとして水溶性高分子を用いる場合、高屈折率層13aの形成に塗布やスピンコートなどの液層成膜法を適用することできる。液層成膜法は、気相成膜法に比べて簡便であり、基材の耐熱性を問わないため樹脂フィルムを用いた赤外遮蔽フィルム10の作製に有効である。また、塗布法を用いることにより、ロール・ツー・ロール法等の大量生産方式が採用できるため、コスト面やプロセス時間面で有利となる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、及び、その誘導体(ポリビニルアルコール系樹脂)、ゼラチン、並びに、増粘多糖類等が挙げられる。塗布ムラや膜厚均一性(ヘイズ)等の観点からは、高屈折率層13aは、ポリマーとしてポリビニルアルコール又はその誘導体を含むことが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他、各種の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリマーは、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
なお、高屈折率層13aに用いられるポリマーは上述の材料に制限されず、例えば、国際公開第2012/128109号、特開2013−121567号公報、特開2013−148849号公報等に記載の公知のポリマーを使用することもできる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上であることが好ましく、平均重合度が1500〜5000であることが特に好ましい。また、ケン化度は、70〜100モル%であることが好ましく、80〜99.9モル%であることが特に好ましい。このようなポリビニルアルコールとしては、例えば、日本酢ビ・ポバール社製のJP−45(重合度4500、ケン化度88モル%)等を用いることもできる。
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂(例えば、クラレ社製「エクセバール」)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学工業社製「エスレック」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(例えば、クラレ社製「R−1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、日本合成化学工業社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)等も変性ポリビニルアルコールに含まれる。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載のアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び特開昭63−307979号公報に記載のビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、特開平7−285265号公報に記載の水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載のポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載の疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基等の反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載の第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%であることが好ましく、0.2〜5モル%であることがより好ましい。
エチレン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開2009−107324号公報、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のものが使用できる。または、エクセバール(商品名:株式会社クラレ製)等の市販品を使用してもよい。
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(商品名:株式会社クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
なお、上述のポリビニルアルコールは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリビニルアルコールは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、1000〜200000であることが好ましく、3,000〜60,000であることがより好ましい。なお、「重量平均分子量」の値は、静的光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)、TOFMASS等によって測定した値を採用することができる。水溶性高分子の重量平均分子量が上記範囲内であると、塗布法の適用が可能となり、生産性を向上させることができる。
高屈折率層13aにおける水溶性高分子の含有量は、高屈折率層13aの全固形分に対して、5〜75質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が5質量%以上であると、湿式製膜法で高屈折率層13aを形成する場合に、塗布して得られた塗膜の乾燥時に、膜面の乱れによる透明性の劣化を抑制できる。一方、水溶性高分子の含有量が75質量%以下であると、高屈折率層13a中に金属酸化物粒子を含有する場合に好適な含有量となる。
なお、水溶性高分子の含有量は、蒸発乾固法の残固形分より求められる。具体的には、赤外遮蔽フィルムを95℃の熱水に2時間浸し、残ったフィルムを除去した後、熱水を蒸発させ、得られた固形物の量を水溶性高分子量とする。この際、IR(赤外分光)スペクトルにおいて1700〜1800cm−1、900〜1000cm−1、および800〜900cm−1の領域にそれぞれ1つずつピークが見られる場合、その水溶性高分子はポリビニルアルコールであると断定することができる。
または、高屈折率層13aが水溶性高分子を含む場合には、水溶性高分子を硬化させるために、硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ホウ酸及びその塩、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ砂等が挙げられる。屈折率層における硬化剤の含有量は、屈折率層の固形分に対して、1〜10質量%であることが好ましい。
または、高屈折率層13aは、塗布時の表面張力を調整するための界面活性剤を含んでもよい。ここで、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましく、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基又はその塩を含有するものが好ましい。高屈折率層13aにおける界面活性剤の含有量は、高屈折率層13aの固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。界面活性剤としては、例えば、ニューコールシリーズ(日本乳化剤株式会社製)等を用いることができる。
(金属酸化物微粒子;高屈折率層)
高屈折率層13aには、金属酸化物微粒子として酸化チタン粒子が含まれる。また、高屈折率層13aには、酸化チタンと共に、酸化チタン以外の金属酸化物微粒子が含まれていてもよい。高屈折率層は、金属酸化物微粒子として、酸化チタンを最も多い比率で有していることが好ましい。好ましくは、全粒子中において、酸化チタンを50質量%以上含むことが好ましく、さらに、酸化チタンを70質量%以上含むことが好ましく、酸化チタンを80質量%以上含むことがより好ましい。酸化チタンとしては、透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成することのできることから、二酸化チタンが好ましく、特にルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を用いることが好ましい。
高屈折率層13aにおける酸化チタン粒子及びその他の金属酸化物粒子の合計含有量としては、高屈折率層13aの固形分100質量%に対して、熱線遮蔽性や色ムラ低減の観点から、20〜80質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。
酸化チタン以外の金属酸化物微粒子としては、例えば、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物を用いることができる。酸化チタンとともに高屈折率層13aに用いられる金属酸化物粒子は、1種でもよく、2種以上でもよい。
高屈折率層13aに用いる酸化チタン以外の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル(Ta)、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、及び、酸化鉛、並びに、これらの複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、及び、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)等が挙げられる。
また、希土類酸化物としては、例えば、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等を用いることができる。
高屈折率層13aに用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が1.90以上の金属酸化物粒子が好ましい。屈折率が1.90以上の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
また、高屈折率層13aに用いられる金属酸化物粒子としては、金属酸化物粒子の表面にアルミニウム、珪素、ジルコニウム等が立体的障壁のある島状に担持した構成を用いることができる。例えば、酸化チタン微粒子が、含ケイ素水和酸化物で被覆されたコアシェル粒子であってもよい。コアシェル粒子は、コアとなる金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)の表面に、含ケイ素水和酸化物のシェル層が被覆した構造を有する。このようなコアシェル粒子を高屈折率層13aに用いることで、シェル層の含ケイ素水和酸化物と水溶性樹脂との相互作用により、隣接する層界面での混合が抑制される。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素水和酸化物が付着した状態を示す。すなわち、金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素水和酸化物で覆われた状態でもよく、酸化チタン粒子の表面の一部に含ケイ素水和酸化物が付着した状態でもよい。コアシェル粒子の屈折率は、含ケイ素水和酸化物の被覆量に影響を受けるため、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素水和酸化物で被覆されていることが好ましい。以下ではこのような被覆された酸化チタンのコアシェル粒子を「シリカ付着二酸化チタンゾル」とも称する。酸化チタン粒子を含ケイ素水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報、特開2000−204301号公報、特開2007−246351号公報等に記載された方法を適用することができる。
高屈折率層13aに用いられる酸化チタン粒子及びその他の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。特に、ヘイズ値が低く、可視光透過率に優れることから、体積平均粒径が1〜30nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましい。
なお、ここで体積平均粒径は、粒子そのものを観察する方法により、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、平均した値である。粒径の測定には、例えば、レーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は、電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法を用いる。そして、これらの方法により測定された1000個の任意の粒子について、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子が、それぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される値を、上述の体積平均粒径とする。
(アルデヒド化合物)
高屈折率層13aには、アルデヒド化合物が含まれる。アルデヒド化合物を含むことにより、酸化チタン微粒子の光触媒作用によるポリマーの劣化を抑制することができる。
高屈折率層13aに用いることができるアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸塩等のモノアルデヒド化合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、マロンジアルデヒド等のジアルデヒド化合物を挙げることができる。
特に、上記のアルデヒド化合物の中でも、安全性が高く変色効果が高い点から、グリオキシル酸塩を用いることが好ましい。グリオキシル酸塩としては、グリオキシル酸の金属塩やアミン塩等を用いることが好ましい。グリオキシル酸の金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属、及び、その他の亜鉛、アルミニウム等の金属と、グリオキシル酸との金属塩が挙げられる。
高屈折率層13aにおいて、酸化チタン微粒子に対するアルデヒド化合物の割合(質量基準)は、1%以上であることが好ましい。アルデヒド化合物が酸化チタン微粒子に対して1%以上含まれることにより、酸化チタン微粒子の光触媒作用を効果的に抑制することができ、赤外遮蔽フィルム10の変色防止に有効となる。
また、高屈折率層13aにおいて、酸化チタン微粒子に対するアルデヒド化合物の割合(質量基準)は、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、赤外遮蔽フィルム10にヘイズが発生しやすく、赤外遮蔽フィルム10の透明性が低下しやすくなる。
[低屈折率層]
低屈折率層13bは、ポリマーを含んで構成される。また、低屈折率層13bは、必要に応じて、金属酸化物微粒子や無機酸化物微粒子を含んでいてもよい。金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子を含む場合には、酸化チタン微粒子とともにアルデヒド化合物を含むことが好ましい。
低屈折率層13bに含まれるポリマーとしては、上述の高屈折率層13aの説明に記載のポリマーと同様のポリマーを挙げることができる。また、低屈折率層13bに含まれるポリマーは、上述の高屈折率層13aと同様に水溶性高分子であることが好ましい。なお、低屈折率層に含有されるポリマーは、高屈折率層と同じ構成成分であってもよく、異なる構成成分であってもよいが、異なることが好ましい。また、低屈折率層13bには、水溶性高分子を硬化させるための硬化剤や、界面活性剤が含まれていてもよい。これらも、上述の高屈折率層13aと同様の材料を用いることができる。
(無機酸化物微粒子・金属酸化物微粒子;低屈折率層)
低屈折率層13bは、水溶性高分子とともに、無機酸化物微粒子、金属化合物微粒子、及び、金属酸化物微粒子等の微粒子(無機微粒子)を含んで構成されていてもよい。高屈折率層13aと低屈折率層13bとがともに無機微粒子を含有することにより、屈折率の調整が容易となる。このため、高屈折率層13aと低屈折率層13bと屈折率を大きくすることも可能となり、積層数を低減して熱線反射層13を薄くすることができる。熱線反射層13の層数を減らすことで、生産性が向上し、積層界面での散乱による透明性の減少を抑制することができる。
低屈折率層13bに用いられる無機酸化物粒子及び金属化合物微粒子としては、二酸化ケイ素(SiO)、フッ化マグネシウム(MgF)等が挙げられ、二酸化ケイ素を用いることが好ましく、特にコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。また、低屈折率層13bに用いられる金属酸化物微粒子としては、上述の高屈折率層13aで説明した金属酸化物微粒子と同様の材料を挙げることができる。
低屈折率層13bに含まれる無機微粒子は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。低屈折率層13b中の無機微粒子の平均粒径は、粒子自体を、又は、低屈折率層13bの断面や表面に現れた粒子を、電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求める。ここで個々の粒子の粒径は、粒子の投影面積と等しい面積の円を仮定したときの、円の直径(面積円相当径)である。
低屈折率層13b層における無機微粒子の含有量としては、低屈折率層の固形分に対して、屈折率の観点から、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム等の酸による複分解や、イオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを、加熱熟成して得られる。コロイダルシリカは、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、及び、国際公開第94/26530号等に記載されている製法及び構成を適用することができる。この様なコロイダルシリカは、合成品を用いてもよく、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されていてもよく、Al、Ca、Mg又はBa等で処理されていてもよい。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業(株)から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックスOS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
各層は、上記以外にも、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。これらの添加物の含有量は、屈折率層の固形分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
低屈折率層13bが金属酸化物粒子として二酸化チタン粒子を含む場合には、アルデヒド化合物を含むことが好ましい。アルデヒド化合物を含むことにより、高屈折率層13aの場合と同様に、酸化チタン微粒子の光触媒作用によるポリマーの劣化を抑制することができる。低屈折率層13bに用いられるアルデヒド化合物についても、上述の高屈折率層13aの説明で記載したアルデヒド化合物と同様の材料及び含有量で使用することができる。
[粘着層]
赤外遮蔽フィルム10は、熱線反射層13上に粘着層12を有してもよい。図1に示す赤外遮蔽フィルム10の構成では、樹脂フィルム14が形成された面とは逆側の熱線反射層13の面上に粘着層12が設けられている。そして、熱線反射層13での反射を目的とする光(太陽光等の熱線)が、粘着層12側から赤外遮蔽フィルム10に入射する構成である。
粘着層12は、粘着剤等の粘着性を有する材料を含んで構成される。赤外遮蔽フィルム10を窓ガラスに貼り合わせて用いる用途においては、窓に水を吹き付け、濡れた状態のガラス面に赤外遮蔽フィルム10の粘着層12側を貼り合わせる方法、いわゆる水貼り法が好適に用いられる。このため、粘着層12は、水が存在する湿潤下で粘着力が弱い粘着剤を含むことが好ましい。
粘着層12に用いる粘着剤は、特に限定されず、公知の粘着剤を使用できる。具体的には、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤等を用いることができる。これらのうち、アクリル系粘着剤が、耐久性、透明性、粘着特性の調整の容易さなどの面から好ましい。アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたものである。上記アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。また、粘着剤として市販品を使用することもできる。例えば、東洋インキ社製BPS5978、日本合成化学製コーポニール(例えば、N−2147、5697、5698、5705L)等が使用することができる。
また、粘着層12にアクリル系粘着剤を用いる場合には、アクリル系粘着剤の硬化剤を用いることもできる。アクリル系粘着剤の硬化剤は、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が挙げられる。イソシアネート系硬化剤としては、長期保存後も安定した粘着力が得られること、及び、粘着層12の強度が上がることから、トノレイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを用いることが好ましい。トノレイレンジイソシアネート(TDI)としては、例えば東洋インキ社製BXX5134を使用することができる。
硬化剤の添加量(固形分換算)は、粘着剤に対して、2〜9質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜7質量%である。このような範囲であれば、粘着剤が残りにくく、十分な接着力も確保できる。
粘着層12は、上記粘着剤に加えて、添加剤を含んでもよい。ここで、添加剤としては、例えば、安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を用いることができる。これらのうち、粘着層12は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤を含む粘着層12を、赤外遮蔽フィルム10の太陽光の入射側(光入射側)に設けることによって、熱線反射層13や樹脂フィルム14に侵入する紫外線が低減する。このため、窓貼用として使用する場合には、紫外線による熱線反射層13や樹脂フィルム14の劣化を抑制することができ、赤外遮蔽フィルム10の劣化を抑制できる。
また、赤外遮蔽フィルム10が粘着層12を有する場合、粘着層12上に、さらに、剥離層を設け、赤外遮蔽フィルム10を基体に貼りつける際に、この剥離層を剥がして粘着層12の表面を露出する構成としてもよい。
また、赤外遮蔽フィルム10には、上記の各層以外にも、例えば、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易粘着層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、及び、合わせガラスに利用される中間膜層等の機能層を、単独又は2種以上組み合わせて設けてもよい。
また、赤外遮蔽フィルム10の樹脂フィルム14上(樹脂フィルム14と熱線反射層13との間、及び、熱線反射層13が形成された面と逆側の樹脂フィルム14の面上)にも、例えば、ハードコート層、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易粘着層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、及び、合わせガラスに利用される中間膜層等の機能層の1つ以上を、単独又は2種以上組み合わせて設けてもよい。
赤外遮蔽フィルム10の設置方法は特に制限されない。例えば、赤外遮蔽フィルム10を熱線遮蔽フィルムとして窓ガラスに施工する場合には、図1に示すように、太陽光が赤外遮蔽フィルム10の熱線反射層13側から入射するように、設置すればよい。このような形態では、例えば、赤外遮蔽フィルム10を自動車等の車室内や建造物等の室内側の窓ガラス面に粘着層12を介して貼り合わせる場合に、粘着層12が太陽光入射側に配置され、他方の最外層に樹脂フィルム14が配置される。
〈2.赤外反射体〉
上述の実施形態の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができ、例えば、建物の屋外の窓や自動車の窓等の長期間太陽光に晒らされる設備に、赤外遮蔽効果を付与する赤外反射体として用いることができる。赤外反射体としては、上述の赤外遮蔽フィルムと、この赤外遮蔽フィルムを光透過性基体とを備える。
赤外遮蔽フィルムを備える赤外反射体の概略断面図を、図2に示す。図2に示す赤外反射体100は、光透過性基体16と、赤外遮蔽フィルム10とを備える。具体的には、粘着層12が光透過性基体16と接合(貼合)されることにより、光透過性基体16上に赤外遮蔽フィルム10が接合(貼合)されて、赤外遮蔽フィルム10が形成されている。なお、赤外遮蔽フィルム10は、上述の実施形態において説明した構成であるため、赤外反射体100の説明においては詳細な説明を省略する。
光透過性基体16としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。また、光透過性基体16は、全光透過性を有していても、部分的な波長領域に対する光透過性を有していてもよい。
〈試料101の赤外遮蔽フィルムの作製〉
[低屈折率層用塗布液の作製]
低屈折率層用塗布液を以下のようにして調製した。
まず、350質量部のコロイダルシリカ水溶液(固形分10質量%)(スノーテックスOXS、一次粒子の平均粒径4〜6nm、日産化学工業株式会社製)、428質量部のポリビニルアルコール水溶液(固形分8質量%)(JP−45、重合度4500、ケン化度88モル%、日本酢ビ・ポバール株式会社製)、及び、5質量部の界面活性剤の水溶液(固形分5質量%)(ニューコール1305−SN、日本乳化剤株式会社製)を45℃でこの順に添加した。そして、純水で1000質量部に仕上げ、低屈折率層用塗布液を調製した。
[高屈折率層用塗布液の作製]
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
固形分15.0質量%の酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径:5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次に、ケイ酸ソーダ4号(日本化学社製)をSiO濃度が0.5質量%となるように純水で希釈したケイ酸水溶液0.5質量部を徐々に添加し、オートクレーブ中で175℃、18時間の加熱処理を行った。冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が6質量%のSiOを表面に付着させたシリカ付着二酸化チタンゾル(TiO(Si変性))(体積平均粒径:9nm)を得た。
このようにして得られたシリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20質量%)330質量部に対して、リン酸水溶液(固形分1.92質量%)を150質量部加え、さらにエチレン変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、エクセバールRS−2117、鹸化度:97.5〜99モル%、エチレン変性度:3.0mol%、重合度:1700、粘度(4%、20℃):23.0〜30.0(mPa・s)、固形分8質量%)を315質量部加えて撹拌し、最後に界面活性剤の5質量%水溶液(ニューコール1305−SN;日本乳化剤株式会社製)3質量部、グリオキシル酸カルシウム(固形分0.7質量%)を75質量部加えた。そして、純水で1000質量部に仕上げ、高屈折率層用塗布液を調製した。
[樹脂フィルムへの熱線反射層の形成]
スライドホッパー塗布装置を用い、上記で得られた低屈折率層用塗布液及び高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した樹脂フィルム(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)上に、21層同時重層塗布を行った。重層塗布後の乾燥方法としては、重層塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットし、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、21層からなる熱線反射層を樹脂フィルム上に形成した。この際、最下層及び最上層は低屈折率層とし、それ以外は低屈折率層と高屈折率層とがそれぞれ交互に積層するように設定した。塗布量については、乾燥時の膜厚が下記の通りになるように調節した。なお、樹脂フィルム直上の低屈折率層を1層目とした。
低屈折率層:1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21層目;150nm
高屈折率層:2,4,6,8,10,12,14,16,18,20層目;110nm
[熱線反射層上への粘着層の形成]
下記の処方で粘着層塗布液を作製した。
・粘着剤:日本合成化学工業製 N−2147(固形分35質量%) 100質量部
・BASF製UV吸収剤 Tinuvin477(固形分80質量%) 2.1質量部
・イソシアネート系硬化剤 日本ポリウレタン工業製 コロネートL55E(固形分55質量%) 5質量部
上記粘着層塗布液を、剥離フィルム(剥離層)であるセパレーターSP−PET(銘柄:PET−O2−BU)(三井化学東セロ株式会社製)のシリコン面に対して、コンマコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗工し、80℃、1分間乾燥した。そして、熱線反射層を形成した樹脂フィルムに対し、粘着層塗布液を塗工した剥離フィルムをラミネートし、熱線反射層上に粘着層を形成した。
〈試料102の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムの量を169質量部に変更した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料102の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料103の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムの量を234質量部に変更した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料103の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料104の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムの量を300質量部に変更し、純水を加えなかった以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料104の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料105の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムをグリオキシル酸ナトリウムに変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料105の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料106の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製に用いるポリマーを、エチレン変性ポリビニルアルコールから、分子内にアセトアセチル基を有する特殊変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、ゴーセネックスZ−410)に変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料106の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料107の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムをグリオキザールに変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料107の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料108の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムをグルタルアルデヒドに変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料108の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料109の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、ポリマーをエチレン変性ポリビニルアルコールから、エスレックKW−3(積水化学工業社製、ポリビニルアセタール)に変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料109の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料110の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、下記の方法で調製したアルミナを島状に担持した酸化チタン微粒子(アルミナ担持酸化チタン微粒子)を用いた以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料110の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(アルミナ担持酸化チタン微粒子)
硫酸チタニルを加熱加水分解して得られた酸性酸化チタンゾル(石原産業株式会社製、CS−N)に、水酸化ナトリウムを加えてpH7に調整した後、濾過、及び、洗浄を行った。
次に、得られた酸化チタン湿ケーキに水を加え、TiOに換算して100g/lのスラリーを調製した。さらに、このスラリーに水酸化ナトリウムを加えてpH10に調整した後、オートクレーブにおいて150℃で3時間の水熱処理を行なった。
次に、水熱処理後のスラリーに硝酸を加えて中和し、pH7に調整した後、濾過し、洗浄を行った。この酸化チタンの粒子径は20nmであった。これをTiOに換算して200g/lの酸化チタンスラリーを調製した。
また、これとは別に、アルミン酸ソーダ(NaAlO・HO、ナカライテスク社製)を、1N水酸化ナトリウム水溶液に、60℃に加温しながら溶解し、Al換算で100g/lのアルミン酸ナトリウム水溶液を調製した。
次に、上述の調製した酸化チタンスラリーを500ml(TiO換算で100g)を採取し、このスラリー中に、上述の調製したアルミン酸ナトリウム水溶液を70ml(Al換算で7g、酸化チタン重量基準で7%)徐々に添加した後、純水を430ml加えて、TiOに換算して100g/lの混合スラリーを作製した。この混合スラリーのpHは12.8であった。
次に、この混合スラリーを60℃に加温し、30分間保持したのち、1N硫酸水溶液で中和し、pHを7に下げ、1時間熟成を行った。この後、室温まで徐冷し、再度pH7に調整した後濾過し、濾液の導電率が10μS/cmになるまで純水で洗浄し、110℃の温度で1晩乾燥後、乳鉢で粉砕して、アルミナ7重量%処理酸化チタン粒子(アルミナ担持酸化チタン微粒子)を得た。
〈試料111の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムを除いた以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料111の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈試料112の赤外遮蔽フィルムの作製〉
高屈折率層の作製において、グリオキシル酸カルシウムを除いた以外は、上述の試料110と同様の方法で、試料112の赤外遮蔽フィルムを作製した。
〈評価項目〉
[耐候性(変色)の評価]
上述の方法で作製した試料101〜112の赤外遮蔽フィルムを、ガラスに貼り、ガラス側が光入射側になるように配置し、キセノンウェザーメーター(スガ試験機、SX−75)を用い、SAE_J2412試験条件に基づいて1000時間照射した。照射前後の透過光から、それぞれL値、a値、b値を計算し、その差異から色差(ΔE)を計算した。このΔEの値が小さいほど、キセノン光曝露による着色の程度が小さいことを意味する。また、可視光透過率差(ΔVLT)も計算した。なお、照射前後の透過光は、分光光度計(U−4000型、積分球使用、日立製作所製)を用いて測定した。そして、測定した色差(ΔE)、及び、可視光透過率差(ΔVLT)を下記の基準に従って評価した。
[色差(ΔE)の評価基準]
4:ΔE≦1
3:1<ΔE<2
2:2≦ΔE<3
1:ΔE≧3
[可視光透過率差(ΔVLT)の評価基準]
4;−1≦ΔVLT≦1
3;−1.5<ΔVLT<−1、又は、1<ΔVLT<1.5
2;−2<ΔVLT≦―1.5、又は、1.5≦ΔVLT<2
1;ΔVLT≦―2、又は、ΔVLT≧2
[ヘイズ]
日本電色工業製ヘーズメータNDH7000を用いて、以下の評価基準でヘイズを測定した。
4;1.2以下
3;1.2超〜1.5以下
2;1.5超〜2.0以下
1;2.0超
表1に各試料の高屈折率層の構成と、各評価結果を示す。
Figure 2017053929
表1に示すように、高屈折率層にアルデヒド化合物を添加した試料101〜110は、アルデヒド化合物を含まない試料111及び試料112に比べて、耐光性試験の結果が優れている。この結果から、酸化チタン微粒子とともにアルデヒド化合物を含むことにより、酸化チタン微粒子の光触媒作用が抑制され、赤外遮蔽フィルムの耐光性が向上することがわかる。
アルデヒド化合物の添加量のみが異なる試料101〜104を比較すると、アルデヒド化合物の添加量が1%未満の試料101では、耐光性の評価において、色差(ΔE)及び可視光透過率差(ΔVLT)が、アルデヒド化合物の添加量が1.8%の試料102よりも悪化している。また、色差(ΔE)のみを比較すると、試料101は、アルデヒド化合物の添加量が2.5%の試料103、及び、アルデヒド化合物の添加量が3.2%の試料104よりも、悪い結果となっている。
また、アルデヒド化合物の添加量が多い試料103と試料104のヘイズが悪化している。アルデヒド化合物の添加量が2%を超える試料103では、試料101及び試料102よりもヘイズがやや悪化し、アルデヒド化合物の添加量が3%を超える試料104では、他の試料よりも明らかにヘイズが悪化している。さらに、このヘイズの悪化の影響を受けて、試料103及び試料104は、可視光透過率差(ΔVLT)が試料102よりも悪化している。
この結果から、赤外遮蔽フィルムの耐光性を向上させるためには、アルデヒド化合物の添加量を、1%以上とすることが好ましいことがわかる。さらに、ヘイズの悪化、及び、可視光透過率差(ΔVLT)の悪化を防ぐためには、アルデヒド化合物の添加量を3%以下とすることが好ましく、2%以下とすることがより好ましいことがわかる。
アルデヒド化合物として、グリオキシル酸ナトリウムを用いた試料105では、グリオキシル酸カルシウムを用いた試料102から、ヘイズがやや悪化しているものの、同様の耐光性を得られている。
これに対し、アルデヒド化合物として、グリオキザールを用いた試料107や、グルタルアルデヒドを用いた試料108では、試料102に比べて耐光性が悪化している。
この結果から、アルデヒド化合物として、グリオキシル酸ナトリウムやグリオキシル酸カルシウム等のグリオキシル酸塩を用いることにより、酸化チタン微粒子の光触媒作用を効果的に抑制できることがわかる。
高屈折率層に含まれるポリマーとして、アセトアセチル基を有する特殊変性ポリビニルアルコール(Z410)を用いた試料106は、アセトアセチル基を持たないポリビニルアルコール(RS2117)を用いた試料102に比べて、耐候性が悪化している。また、ポリマーとしてポリビニルアセタール(KW−3)を用いた試料109も同様に、試料102に比べて耐候性が悪化している。この結果から、高屈折率層に含まれるポリマーとして、アセトアセチル基を持たないポリビニルアルコールを用いることにより、アルデヒド化合物による酸化チタン微粒子の光触媒作用が効果的に抑制されることがわかる。
また、酸化チタン微粒子として、アルミナが島状に担持した酸化チタン微粒子(アルミナ担持酸化チタン微粒子)を用いた試料110 においても、試料102と同様の耐光性が得られた。従って、酸化チタン微粒子単体だけでなく、他の金属が島状に担持した酸化チタン微粒子を用いた場合にも、アルデヒド化合物により、酸化チタン微粒子の光触媒作用を効果的に抑制できることがわかる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 赤外遮蔽フィルム、12 粘着層、13 熱線反射層、13a 高屈折率層、13b 低屈折率層、14 樹脂フィルム、16 光透過性基体、100 赤外反射体

Claims (6)

  1. 高屈折率層と低屈折率層との交互積層を有する熱線反射層を備え、
    前記高屈折率層が、ポリマー、酸化チタン微粒子、及び、アルデヒド化合物を含有する
    赤外遮蔽フィルム。
  2. 前記アルデヒド化合物がグリオキシル酸塩である請求項1記載の赤外遮蔽フィルム。
  3. 前記酸化チタン微粒子に対する前記アルデヒド化合物の割合が、3%以下である請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  4. 前記酸化チタン微粒子に対する前記アルデヒド化合物の割合が、1%以上2%以下である請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  5. 前記高屈折率層が、アセトアセチル基を持たないポリビニルアルコールを含有する請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  6. 光透過性基体と、
    高屈折率層と低屈折率層との交互積層を有する熱線反射層を有する赤外遮蔽フィルムと、を備え、
    前記高屈折率層が、ポリマー、酸化チタン微粒子、及び、アルデヒド化合物を含有する
    赤外反射体。
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