JP2017053297A - エジェクタ - Google Patents

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Etsuhisa Yamada
悦久 山田
高野 義昭
Yoshiaki Takano
義昭 高野
陽一郎 河本
Yoichiro Kawamoto
陽一郎 河本
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Abstract

【課題】感温媒体と吸引冷媒の温度差を縮小して、駆動機構から通路形成部材に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力することが可能なエジェクタを提供する。【解決手段】通路形成部材240を変位させる駆動機構250は、ダイヤフラム251、および温度変化に伴って圧力が変化する感温媒体を封入する封入空間254をダイヤフラム251と共に形成する上蓋部253を含んで構成されている。封入空間254は、気液混合状態の感温媒体が封入されている。そして、上蓋部253は、吸引冷媒の温度が感温媒体に対して伝わるようにボデー200の内部における吸引部231に隣接して配置されると共に、ダイヤフラム251に対向する対向部位の一部にダイヤフラム251に近づくように窪んだ窪部253bが設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、流体を減圧すると共に、高速で噴出する作動流体の吸引作用によって流体輸送を行う運動量輸送式ポンプであるエジェクタに関する。
従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用される減圧装置として、エジェクタが知られている。この種のエジェクタでは、冷媒を減圧させるノズル部から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒を吸引し、昇圧部(ディフューザ部)にて噴射冷媒と吸引冷媒とを混合して昇圧させる構成となっている。このエジェクタを備える冷凍サイクルでは、エジェクタの昇圧部における冷媒昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることが可能となる。
ここで、冷凍サイクルに適用されるエジェクタでは、ノズル部が固定絞りで構成されていると、冷媒の流量が調整できず、冷凍サイクルの負荷変動に対応した作動を実現することができない。
これに対して、蒸発器から流出した冷媒(吸引冷媒)の温度および圧力に応じて、冷媒を減圧させるノズル通路および冷媒を昇圧させるディフューザ通路の絞り開度(通路断面積)を調整可能とするエジェクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のエジェクタでは、ノズル通路およびディフューザ通路の絞り開度を調整する調整機構として、各通路を形成する通路形成部材を吸引冷媒の圧力および温度に応じて変位させる駆動機構を備えている。
駆動機構は、吸引冷媒の過熱度が所望の範囲となるように、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を通路形成部材に作用させるように構成されている。具体的には、駆動機構は、圧力に応じて変位する環状のダイヤフラム、温度変化に伴って圧力が変化する感温媒体を封入する封入空間をダイヤフラムと共に形成する環状の蓋部材を含んで構成されている。駆動機構の蓋部材は、吸引冷媒の温度が封入空間に封入された感温媒体に対して伝わるように、吸引冷媒が流通する通路に隣接して配置されている。そして、ダイヤフラムは、封入空間の内圧と吸引冷媒の圧力との圧力差に応じて、通路形成部材を変位させるようになっている。
特開2015−45493号公報
ところで、駆動機構から通路形成部材に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力するためには、感温媒体の温度を蒸発器から流通した冷媒の温度に近づけること、すなわち、感温媒体と吸引冷媒の温度差を縮小させることが重要となる。
この点を鑑みて、特許文献1では、吸引冷媒と蓋部材との接触面積を増やすために、蓋部材の上部に、吸引冷媒が流通する空間に向かって突出する感温筒を配置する構成が提案されている。
しかしながら、蓋部材の上部に感温筒を設けたエジェクタを適用した冷凍サイクルを作動させても、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることができず、駆動機構から通路形成部材に対する出力を安定しないことがあった。
そこで、本発明者らは、感温媒体と吸引冷媒の温度差が生ずる原因について調査した。この結果、封入空間の内部では、感温媒体の気液界面が形成され、熱伝導率が高い液相状態の感温媒体と蓋部材との間に、熱伝導率が低い気相状態の感温媒体が介在し、液相状態の感温媒体が吸引冷媒から離れてしまうことが原因であることが判った。すなわち、感温媒体と吸引冷媒の温度差を縮小するためには、熱伝導率が高い液相状態の感温媒体を吸引冷媒に近づけることが有効となるが、液相状態の感温媒体と蓋部材との間に、気相状態の感温媒体が介在する。この気相状態の感温媒体は、液相状態の感温媒体と蓋部材との間の熱抵抗となってしまうことで、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることができないことが判った。
本発明は上記点に鑑みて、感温媒体と吸引冷媒の温度差を縮小して、駆動機構から通路形成部材に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力することが可能なエジェクタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタを対象としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、減圧用空間の冷媒流れ下流側に連通して外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231)、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
少なくとも一部が減圧用空間の内部及び昇圧用空間の内部に配置され、減圧用空間から離れるに伴って断面積が拡大する形状に形成された通路形成部材(240)と、
通路形成部材を変位させる駆動機構(250)と、を備え、
ボデーにおける減圧用空間を形成する部位の内周側と通路形成部材の外周側との間には、冷媒流入口から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズル通路(224)が形成されており、
ボデーにおける昇圧用空間を形成する部位の内周側と通路形成部材の外周側との間には、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザ通路(232a)が形成されており、
駆動機構は、
受圧部(251a)で受ける圧力に応じて変位するダイヤフラム(251)と、
温度変化に伴って圧力が変化する感温媒体を封入する封入空間(254)をダイヤフラムと共に形成する封入空間形成部(253)と、を含んで構成されており、
感温媒体は、気液が混合された状態で封入空間に封入されており、
封入空間形成部は、吸引冷媒の温度が感温媒体に対して伝わるようにボデーの内部における吸引用通路に隣接して配置されると共に、ダイヤフラムに対向する対向部位の一部にダイヤフラムに近づくように窪んだ窪部(253b)が設けられていることを特徴としている。
このように、封入空間形成部におけるダイヤフラムに対向する部位の一部に窪部を設ける構成とすれば、窪部における液相状態の感温媒体が吸引冷媒に近づくことで、感温媒体の温度を吸引冷媒の温度に近づけることが可能となる。
従って、本発明のエジェクタによれば、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることができるので、駆動機構から通路形成部材に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力することが可能となる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係るエジェクタを備える冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態に係るエジェクタの模式的な断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す斜視図である。 図3のIV−IV断面図である。 図4のV−V断面図である。 感温媒体の温度、ダイヤフラムの変位量、液相状態の感温媒体の厚さとの関係を示す特性図である。 第1実施形態に係るエジェクタの内部における冷媒の流れを示す模式的な断面図である。 比較例に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 比較例に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第2実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第2実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第3実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す斜視図である。 図14のXV−XV断面図である。 図15のXVI−XVI断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。
また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。本実施形態では、図1に示す蒸気圧縮式の冷凍サイクル10に本発明のエジェクタ100を適用した例について説明する。
本実施形態の冷凍サイクル10は、空調対象空間である車室内へ送風する送風空気の温度を調整可能な車両用空調装置に適用されている。冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)を採用している。冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
従って、本実施形態の冷凍サイクル10は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。勿論、冷媒としては、HFO系冷媒(具体的には、R1234yf)等を採用してもよい。
図1に示すように、冷凍サイクル10は、主たる構成要素として、圧縮機11、放熱器12、エジェクタ100、蒸発器13を備えている。
圧縮機11は、冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。本実施形態の圧縮機11は、図示しない電磁クラッチおよびベルトを介して車両走行用のエンジンにより回転駆動されるようになっている。圧縮機11は、例えば、電磁式容量制御弁に図示しない制御装置からの制御信号が入力されることにより、吐出容量が可変される可変容量型圧縮機で構成される。なお、圧縮機11は、電動モータにより回転駆動される電動圧縮機で構成してもよい。圧縮機11を電動圧縮機で構成する場合、電動モータの回転数により吐出容量が可変される。
放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を、室外ファン12aにより強制的に送風される車室外空気(外気)と熱交換させることで、高圧冷媒の熱を外気に放出して冷媒を凝縮液化する放熱用熱交換器である。
本実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用している。具体的には、放熱器12は、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部121、凝縮部121から流出した冷媒の気液を分離して余剰となる冷媒を蓄えるレシーバ122、およびレシーバ122で分離された液相冷媒を過冷却する過冷却部123を有している。放熱器12の過冷却部123における冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒流入口211に接続されている。
エジェクタ100は、放熱器12から流出した液相状態の高圧冷媒を減圧する減圧装置として機能すると共に、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって、冷媒の循環を行う流体輸送用の冷媒循環装置としても機能する。なお、エジェクタ100の具体的構成については後述する。
蒸発器13は、室内送風機13aにより、図示しない車両空調装置の空調ケースに導入された外気、または車室内空気(内気)から吸熱して、その内部を流通する冷媒を蒸発させる吸熱用熱交換器である。蒸発器13の冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒吸引口212に接続されている。
次に、図示しない制御装置について説明する。制御装置は、CPU、ROMやRAM等の各種メモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置には、乗員による操作パネルからの各種操作信号や各種センサ群からの検出信号等が入力される。制御装置は、入力信号等を用いてメモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算・処理を実行して各種機器の作動を制御する。
次に、図2〜図6を参照して、本実施形態のエジェクタ100の詳細な構成について説明する。ここで、図2等の図面上に示す上下の各矢印は、エジェクタ100を車両に搭載した状態における上下方向を示している。また、図2中の一点鎖線CLは、後述する通路形成部材240の中心軸の軸線を示している。
本実施形態のエジェクタ100は、主たる構成要素として、ボデー200、通路形成部材240、通路形成部材240を後述するノズル通路224、ディフューザ通路232aの中心軸の軸方向(図2の上下方向)に変位させる駆動機構250を備える。
図2に示すように、本実施形態のエジェクタ100は、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー200を備えている。本実施形態のボデー200は、エジェクタ100の外殻を構成するハウジングボデー210の内部に、ノズルボデー220、ディフューザボデー230等を組み合わせることによって構成されている。
ハウジングボデー210は、角柱状等の金属または樹脂で形成された部材で構成されている。ハウジングボデー210は、その上端側に冷媒流入口211および冷媒吸引口212が形成されている。冷媒流入口211は、冷凍サイクル10の高圧側(放熱器12)から高圧冷媒を流入させる冷媒導入部である。冷媒吸引口212は、蒸発器13から流出した低圧冷媒を吸引する冷媒吸引部である。
また、ハウジングボデー210は、その下端側に液相流出口213および気相流出口214が形成されている。液相流出口213は、後述する気液分離空間260にて分離された液相冷媒を蒸発器13の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒導出部である。気相流出口214は、気液分離空間260にて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入側へ流出させる気相冷媒導出部である。
ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部における上端側に収容されている。より具体的には、ノズルボデー220は、後述する通路形成部材240の軸線CLの方向(上下方向)に直交する方向から見たときに、その一部が冷媒流入口211と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のノズルボデー220は、金属で形成された部材で構成されている。ノズルボデー220は、その軸方向が通路形成部材240の中心軸の軸線CLに沿うように、ハウジングボデー210の内部に圧入等の手段により固定されている。
また、ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部空間と適合する大きさに形成された胴部220a、および胴部220aの下端側に設けられて下方側へ向かって突出する筒状のノズル部220bを含んで構成されている。
ノズルボデー220の胴部220aには、その内部に冷媒流入口211から流入した高圧冷媒を旋回させる旋回空間221等が形成されている。ノズルボデー220のノズル部220bには、その内部に旋回空間221を旋回した冷媒が通過する減圧用空間222が形成されている。
旋回空間221は、その中心軸が通路形成部材240の軸線CLに沿って延びる回転体形状に形成された空間である。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間221は、円柱状の形状を有している。勿論、旋回空間221は、円錐または円錐台と円柱とを結合させた形状等となっていてもよい。
また、本実施形態の旋回空間221は、ハウジングボデー210およびノズルボデー220の胴部220aに形成された冷媒流入通路223を介して冷媒流入口211に連通している。
冷媒流入通路223は、旋回空間221の中心軸の方向から見たとき、旋回空間221の内壁面の接線方向に延びるように形成されている。これにより、冷媒流入通路223から旋回空間221に流入した冷媒は、旋回空間221の内壁面に沿って流れ、旋回空間221を旋回する。なお、冷媒流入通路223は、旋回空間221の中心軸の方向から見たとき、旋回空間221の接線方向と完全に一致するように形成されている必要はない。すなわち、冷媒流入通路223は、旋回空間221に流入した冷媒が旋回空間221の内壁面に沿って流れる形状に形成されていれば、その他の方向の成分(例えば、旋回空間221の中心軸の方向)を含んで構成されていてもよい。
ここで、旋回空間221内で旋回する冷媒には遠心力が作用する。このため、旋回空間221の内部では、その中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、冷凍サイクル10の作動時に、旋回空間221内の中心軸側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、または、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生ずる)圧力まで低下させるようにしている。
このような旋回空間221の中心軸側における冷媒圧力の調整は、旋回空間221内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することで実現できる。具体的には、旋回流速の調整は、冷媒流入通路223における通路断面積と旋回空間221における中心軸に直交する方向の断面積との比率の調整等により行うことができる。なお、上述の旋回流速は、旋回空間221の最外周部付近における冷媒の旋回方向の流速を意味している。
減圧用空間222は、旋回空間221を旋回した高圧冷媒が流入するように、旋回空間221の下方側に形成されている。本実施形態の減圧用空間222は、その中心軸が旋回空間221と同軸となるように形成されている。
減圧用空間222は、冷媒流れ方向下流側へ向かって流路断面積が連続的に小さくなる円錐台形状の穴(先細部222a)、および冷媒流れ方向下流側へ向かって流路断面積が連続的に大きくなる円錐台形状の穴(末広部222b)を結合させた形状となっている。なお、減圧用空間222における先細部222aと末広部222bとの接続箇所が、流路断面積が最も縮小されたノズル喉部(最小通路面積部)222cとなっている。
末広部222bは、減圧用空間222の中心軸に直交する方向から見たときに、減圧用空間222と後述する通路形成部材240の上方側の部位が重なり合っている。このため、末広部222bは、通路形成部材240の中心軸の軸線CLに対して垂直な断面形状が円環状(ドーナツ状)となっている。
本実施形態では、この通路形状によってノズルボデー220の減圧用空間222を形成する部位の内周面と、後述する通路形成部材240の上方側の外周面との間に形成される冷媒通路がノズルとして機能するノズル通路224を構成している。
続いて、ディフューザボデー230は、ハウジングボデー210の内部におけるノズルボデー220の下方側に収容されている。具体的には、ディフューザボデー230は、後述する通路形成部材240の軸線CLの方向に直交する方向から見たときに、その一部が冷媒吸引口212と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のディフューザボデー230は、金属で形成された部材で構成されている。ディフューザボデー230は、その軸方向が通路形成部材240の軸線CLに沿うように、ハウジングボデー210の内部に圧入等の手段により固定されている。
本実施形態のディフューザボデー230には、その中心部に表裏を貫通する回転体形状の貫通穴230aが形成されると共に、その貫通穴230aの外周側に後述する駆動機構250を収容するための溝部230bが形成されている。なお、貫通穴230aは、その中心軸が旋回空間221、および減圧用空間222と同軸となるように形成されている。
ディフューザボデー230の上面と、これと対向するノズルボデー220の下面との間には、冷媒吸引口212から流入した冷媒を滞留させる吸引空間231aが形成されている。
本実施形態では、ノズルボデー220の下方側の先端部がディフューザボデー230の貫通穴230aの内部に位置付けられている。このため、吸引空間231aは、旋回空間221および減圧用空間222の中心軸の方向から見たとき、断面円環状に形成されている。
また、ディフューザボデー230の貫通穴230aのうち、径方向から見たときにディフューザボデー230とノズルボデー220とが重なり合う範囲では、冷媒通路断面積が冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。
これにより、貫通穴230aの内周面とノズルボデー220の下方側の外周面との間には、吸引空間231aと減圧用空間222の冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路231bが形成される。つまり、本実施形態では、吸引空間231aおよび吸引通路231bによって、中心軸の外周側から内周側へ向かって吸引冷媒が流れる吸引部(吸引用通路)231が形成されることになる。さらに、吸引部231は、その中心軸に垂直な断面形状が円環状となっている。
また、ディフューザボデー230の貫通穴230aのうち、吸引通路231bの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間232が形成されている。この昇圧用空間232は、上述したノズル通路224から噴射された噴射冷媒と吸引部231から吸引された吸引冷媒とを混合して昇圧させる空間である。
本実施形態の昇圧用空間232は、冷媒の流れ方向下流側(下方側)に向かって、その径方向の断面積が拡大するように形成されている。なお、昇圧用空間232は、下方側に向かって断面積が拡大する円錐台形状(ラッパ状)の空間を構成している。
昇圧用空間232の内部には、後述する通路形成部材240の下方側の部位が配置されている。そして、昇圧用空間232内における通路形成部材240の円錐状側面の広がり角度は、昇圧用空間232の円錐台形状空間の広がり角度よりも小さくなっている。これにより、昇圧用空間232の内周面と、後述する通路形成部材240の外周面との間に形成される冷媒通路は、その冷媒通路面積が冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。
本実施形態では、昇圧用空間232の内周面と、通路形成部材240の外周面との間に形成される冷媒通路をディフューザとして機能するディフューザ通路232aとし、噴射冷媒および吸引冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させている。なお、ディフューザ通路232aは、その中心軸に対して垂直な断面形状は、円環状に形成されている。
続いて、通路形成部材240は、ノズルボデー220の内周面との間にノズル通路224を形成すると共に、ディフューザボデー230の内周面との間にディフューザ通路232aを形成する部材である。本実施形態の通路形成部材240は、略円錐状の金属または樹脂で構成されている。具体的には、通路形成部材240は、減圧用空間222から離れるに伴って断面積が拡大する略円錐形状に形成されている。
通路形成部材240は、少なくとも一部が減圧用空間222、および昇圧用空間232の双方に位置するようにハウジングボデー210の内部に収容されている。なお、通路形成部材240は、その中心軸の軸線CLが減圧用空間222、および昇圧用空間232と同軸となるように配置されている。
通路形成部材240における減圧用空間222の内周面と対向する部位は、減圧用空間222の内周面との間に環状のノズル通路224が形成されるように、減圧用空間222の末広部222bの内周面に沿う曲面を有する。
また、通路形成部材240における昇圧用空間232の内周面と対向する部位は、昇圧用空間232の内周面との間に環状のディフューザ通路232aが形成されるように、昇圧用空間232の内周面に沿う曲面を有する。
ここで、前述のように、昇圧用空間232が円錐台形状の空間を構成するように形成され、通路形成部材240が昇圧用空間232の内周面に沿う曲面を有する。このため、ディフューザ通路232aは、通路形成部材240の軸線CLに対して交差する方向に拡がるように形成されている。つまり、ディフューザ通路232aは、冷媒流れ上流側から下流側に向けて通路形成部材240の中心軸の軸線CLから遠ざかるような冷媒通路となっている。
また、通路形成部材240には、図示しないが、ディフューザ通路232aの冷媒流れ下流側となる部位に、ディフューザ通路232aから流出した冷媒に気液分離用の旋回力を付与する固定翼が配設されている。固定翼は、後述の作動棒256aと干渉しない位置に配設されている。
続いて、駆動機構250について説明する。駆動機構250は、通路形成部材240をノズル通路224およびディフューザ通路232aの中心軸の軸方向、すなわち、通路形成部材240の中心軸の軸線CLの方向に変位させて、各通路224、232aの冷媒流路面積を変更する駆動部である。
本実施形態の駆動機構250は、蒸発器13から流出した低圧冷媒の過熱度(温度および圧力)が所望の範囲となるように、通路形成部材240の変位量を制御するように構成されている。本実施形態の駆動機構250は、外部の雰囲気温度の影響を受けないように、ボデー200内部に収容されている。
本実施形態の駆動機構250は、受圧部251aで受ける圧力に応じて変位する圧力応動部材を構成する薄板状のダイヤフラム251、およびダイヤフラム251を保持する一対の蓋部253、255を有している。
図3に示すように、一対の蓋部253、255は、ディフューザボデー230の上面に形成された環状の溝部230b内に収容可能なように、当該溝部230bの内側形状に適合する環状の形状(ドーナツ状の形状)に形成されている。本実施形態では、一対の蓋部253、255のうち、上方側の上蓋部253が、ダイヤフラム251との間に感温媒体を封入する封入空間254を形成する封入空間形成部を構成している。
図4に示すように、ダイヤフラム251は、環状に形成されており、受圧部251a、内周縁部251b、および外周縁部251cを有する。ダイヤフラム251は、受圧部251aが内周縁部251b、および外周縁部251cよりも下方側に位置する段付き形状となっている。
受圧部251aは、主に感温媒体の圧力を受ける部位であり、内周縁部251bと外周縁部251cとの間に形成される平坦部で構成されている。本実施形態の受圧部251aは、後述するプレート部材256bと接触する部位が、接触しない部位に比べて厚みが大きくなっている。
ダイヤフラム251は、内周縁部251b、外周縁部251cの双方が、一対の蓋部253、255とで狭持された状態で、一対の蓋部253、255との間に形成される環状の空間を上下の2つの空間に仕切るように固定されている。
ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、上蓋部253との間に形成される空間は、蒸発器13から流出した冷媒の温度変化に応じて圧力が変化する感温媒体が封入される封入空間254を構成している。
本実施形態の封入空間254は、上蓋部253およびダイヤフラム251により形成されている。このため、本実施形態では、上蓋部253が、感温媒体を封入する封入空間254を形成する封入空間形成部を構成している。
封入空間254には、主として冷凍サイクル10を循環する冷媒と同一の冷媒で組成された感温媒体(例えば、R134a)が、予め定めた重量となるように封入されている。感温媒体は、気液混合状態で封入空間254に封入されている。なお、感温媒体は、例えば、サイクルを循環する冷媒とヘリウムガスとの混合流体を採用してもよい。
本実施形態の封入空間254は、ダイヤフラム251の形状に適合する環状の空間を構成しており、通路形成部材240と干渉しないように、通路形成部材240の中心軸の軸線CLの周りを囲むように形成されている。
封入空間254を形成する上蓋部253は、ディフューザボデー230における吸引部231と隣接する位置であって、吸引部231およびディフューザ通路232aによって囲まれる位置に配置されている。
これにより、封入空間254内の感温媒体には、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達され、封入空間254の内圧が、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度に応じた圧力に近づく。なお、本実施形態の上蓋部253の詳細については後述する。
一方、ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、下蓋部255との間に形成される空間は、ディフューザボデー230に形成された連通路230cを介して、蒸発器13から流出した冷媒を導入させる導入空間255aを構成している。
導入空間255aは、感温媒体の圧力に対抗するように、ダイヤフラム251に対して吸引部(吸引用通路)231内の吸引冷媒の圧力を作用させる圧力室である。
なお、図示しないが、下蓋部255には、ディフューザボデー230の連通路230cから導入空間255aに、吸引部231を流れる冷媒を導入する導入穴部、および後述する作動棒256aの上端部を挿入する貫通穴部が形成されている。
従って、封入空間254に封入された感温媒体には、上蓋部253およびダイヤフラム251を介して、蒸発器13から流出した冷媒、すなわち、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達される。本実施形態では、封入空間254および上蓋部253が吸引部231を流通する吸引冷媒の温度を検知する感温部252を構成している。
ここで、ダイヤフラム251は、封入空間254の内圧と導入空間255aへ導入された冷媒の圧力との圧力差に応じて変形すると共に、常に冷媒に接している。このため、ダイヤフラム251は、強靭性、耐圧性、ガスバリア性、シール性に優れた材料で構成することが望ましい。
本実施形態では、ダイヤフラム251として、例えば、基布(ポリエステル)入りのEPDM(エチレンプロピレンゴム)やHNBR(水素添加ニトリルゴム)等の合成ゴム製の基材を採用している。ダイヤフラム251は、ゴム製の基材に対して、感温媒体の封入空間254からの漏洩を抑制するバリア膜を一体化させることが望ましい。バリア膜は、封入空間254に封入する感温媒体の種類に応じて、当該感温媒体の透過度が低いものを選択することが望ましい。
また、駆動機構250は、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を通路形成部材240に伝達する荷重伝達部材256を有している。荷重伝達部材256は、図2に示すように、一端側が通路形成部材240に接触するように配設された複数本の作動棒256aと、各作動棒256aの他端側およびダイヤフラム251の双方に接触するように配設されたプレート部材256bとを有している。
各作動棒256aは、ディフューザボデー230の貫通穴230aの径方向外側に形成された摺動穴230dを貫くと共に、一端側が通路形成部材240の下方側の外周に接触し、他端側がプレート部材256bに接触するように配設されている。
ここで、摺動穴230dは、通路形成部材240の中心軸の軸線CLの方向に沿って延びると共に、吸引部231とディフューザ通路232aの下流側とを連通するようにディフューザボデー230に形成されている。この摺動穴230dは、作動棒256aを通路形成部材240の中心軸の軸線CLの方向に沿って摺動させるために設けられている。
各作動棒256aは、後述するプレート部材256bの周方向(通路形成部材240の中心軸の周方向)に間隔をあけて配置されている。各作動棒256aは、ダイヤフラム251の変位が通路形成部材240に正確に伝達されるように、後述するプレート部材256bの周方向に均等に配置することが望ましい。
また、各作動棒256aは、ダイヤフラム251の変位が通路形成部材240に正確に伝達されるように、ディフューザボデー230の周方向に間隔をあけて3本以上配設することが望ましい。より好ましくは、作動棒256aは、ディフューザボデー230の周方向に間隔をあけて3本配設することが望ましい。
さらに、作動棒256aと摺動穴230dとの間に形成される隙間は、Oリング等のシール部材によってシールされている。これにより、作動棒256aが変位した際に、この隙間から冷媒が漏れ難いようになっている。
ここで、作動棒256aを通路形成部材240やプレート部材256bに対して溶接等により一体化すると、ダイヤフラム251の反りや、感温媒体の圧力のばらつき等が生ずると、作動棒256aの軸が傾いてしまうことが懸念される。作動棒256aの軸が傾くと、吸引部231を流通する冷媒の過熱度(温度および圧力)によらず、通路形成部材240が変位してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態の作動棒256aは、通路形成部材240やプレート部材256bに接触する上端部が、曲面形状(例えば、半球形状、R形状)となっている。このように、作動棒256aを通路形成部材240やプレート部材256bに対する接触位置および接触角度を変更可能な構成とすれば、ダイヤフラム251の反り等に起因して作動棒256aの軸が傾いてしまうことを抑制できる。
続いて、プレート部材256bは、ダイヤフラム251からの荷重を各作動棒256aに対して均等に伝えるための部材である。プレート部材256bは、ダイヤフラム251における受圧部251aを支持するように、ダイヤフラム251と作動棒256aとで狭持されている。本実施形態のプレート部材256bは、導入空間255aに配置されている。具体的には、プレート部材256bは、ダイヤフラム251の受圧部251aにおける導入空間255a側の面に接するように配置されている。
本実施形態のプレート部材256bは、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を作動棒256aに適切に伝達するために、通路形成部材240の軸線CLの方向から見たときにダイヤフラム251の受圧部251aと重なり合うように環状に形成されている。
また、本実施形態のプレート部材256bは、ダイヤフラム251よりも剛性が高い材料(例えば、金属)で構成されている。ダイヤフラム251と作動棒256aとの間に、プレート部材256bを介在させることで、各作動棒256aの寸法のばらつきやダイヤフラム251の反り等が生じていても、ダイヤフラム251から通路形成部材240へ伝達される力が変化してしまうことを抑制できる。特に、ダイヤフラム251をゴム製の基材を含む構成とする場合、プレート部材256bを、ダイヤフラム251から感温媒体が漏洩することを抑制するバリアとしても機能させることができる。
また、駆動機構250は、通路形成部材240に対して荷重をかけるコイルバネ257、および通路形成部材240に対して作用するコイルバネ257の荷重を調整する荷重調整部258を有する。
コイルバネ257は、通路形成部材240の底面に対してノズル通路224、ディフューザ通路232aの冷媒通路面積を縮小する側に荷重をかけるものである。なお、コイルバネ257は、冷媒が減圧される際の圧力脈動に起因する通路形成部材240の振動を減衰させる緩衝部材としての機能を果たしている。
また、荷重調整部258は、コイルバネ257に連結された調整棒258a、および調整棒258aを上下に変位させる調整ネジ258bで構成されている。なお、荷重調整部258は、コイルバネ257により通路形成部材240に作用させる荷重を調整することで、通路形成部材240の開弁圧を調整して、狙いの過熱度を微調整する手段として機能する。
このように構成される駆動機構250は、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力に応じて、ダイヤフラム251が通路形成部材240を変位させることにより、蒸発器13出口側の冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
例えば、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が高く、冷凍サイクル10の負荷が高い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積が大きくなるように、ダイヤフラム251が通路形成部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が増加する。
一方、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が低く、冷凍サイクル10の負荷が低い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積が小さくなるように、ダイヤフラム251が通路形成部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が減少する。
続いて、エジェクタ100における通路形成部材240の下方側の構成について説明する。通路形成部材240とハウジングボデー210内部の底面との間には、ディフューザ通路232aから流出した混合冷媒の気液分離する気液分離空間260が形成されている。この気液分離空間260は、略円柱状の空間であり、その中心軸が、旋回空間221、減圧用空間222、昇圧用空間232の中心軸と同軸とるように形成されている。
また、ハウジングボデー210の内部空間の底面には、気液分離空間260と同軸となるように配置され、通路形成部材240側(上方側)に向かって延びる円筒状のパイプ261が設けられている。このパイプ261の内部には、気液分離空間260にて分離された気相冷媒をハウジングボデー210に形成された気相流出口214へ導く気相側流出通路262が形成されている。
また、気液分離空間260にて分離された液相冷媒は、パイプ261の外周側に貯留される。なお、ハウジングボデー210におけるパイプ261の外周側の空間は、液相冷媒を貯留する貯液空間270を構成している。また、ハウジングボデー210における貯液空間270に対応する部位には、貯液空間270に貯留された液相冷媒を液相流出口213へ導く液相側流出通路271が形成されている。
続いて、本実施形態の上蓋部253の詳細について説明する。本実施形態の上蓋部253は、図2に示すように、吸引冷媒の温度が封入空間254の感温媒体に対して伝わるように、ボデー200の内部における吸引部231に隣接して配置されている。
ここで、駆動機構250は、蒸発器13から流出した冷媒の過熱度が所望の範囲となるように、通路形成部材240の変位量を制御する部材である。そして、駆動機構250には、通路形成部材240に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力することが要求される。
駆動機構250から通路形成部材240に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力するためには、感温媒体の温度を蒸発器13から流通した冷媒(吸引冷媒)の温度に近づけることが重要となる。
そして、本発明者らの知見によれば、感温媒体と吸引冷媒の温度差を縮小するためには、熱伝導率が高い液相状態の感温媒体を吸引冷媒に近づけることが有効となることが判っている。
この点を鑑みて、本実施形態では、上蓋部253の形状を工夫することで、封入空間254における液相状態の感温媒体を吸引冷媒に近づける構成としている。すなわち、本実施形態では、図3および図4に示すように、上蓋部253のうち、ダイヤフラム251に対して対向する対向部位の一部にダイヤフラム251側に近づくように窪んだ窪部253bを設けている。なお、説明の便宜上、本実施形態では、上蓋部253のうち、ダイヤフラム251に対して対向する対向部位における窪部253b以外の部位、すなわち、窪部253bに対して上方側に凸となる部位を突部253aと呼ぶ。
上蓋部253は、その周方向の一部が下方側に窪んだ部位を有しており、当該窪んだ部位が窪部253bを構成している。すなわち、窪部253bは、上蓋部253における周方向に延びる部位のうち、下方側に窪んだ部位で構成されている。
具体的には、本実施形態では、図4に示すように、窪部253bにおけるダイヤフラム251と対向する対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbが、突部253aにおける当該間隔LDbに対応する間隔LDaよりも大きくなっている。
これにより、ダイヤフラム251と窪部253bとの間に形成される第2封入空間254bは、ダイヤフラム251と突部253aとの間に形成される第1封入空間254aに比べて、容積が小さくなっている。
また、窪部253bは、図5に示すように、上蓋部253の中心Coと窪部253bの周方向一端側とを結ぶ線と、中心Coと窪部253bの周方向他端側とを結ぶ線とのなす角度θが鋭角(例えば、60°)となるように、上蓋部253に設けられている。
窪部253bの外側には、吸引冷媒が流通する。このため、窪部253bは、窪部253bの外側を流れる吸引冷媒の流通抵抗とならないように、窪部253bの周方向一端側と他端側との間の外側表面を平坦状に形成することが望ましい。
ところで、吸引冷媒は、吸引部231を流通する際に、ボデー200における吸引部231を形成する部位と熱交換して、温度が上昇してしまう可能性がある。このような熱交換は、感温媒体の温度を蒸発器13から流通した冷媒(吸引冷媒)の温度に近づけることを妨げる要因となることから好ましくない。
そこで、本実施形態では、図2に示すように、上蓋部253における冷媒吸引口212に近接する部位に窪部253bを設ける構成としている。換言すれば、本実施形態では、上蓋部253における通路形成部材240の中心軸の軸線CLよりも冷媒吸引口212に近い部位に窪部253bを設ける構成としている。これにより、窪部253bは、冷媒吸引口212から流入した冷媒に晒されることになるので、封入空間254の感温媒体の温度を蒸発器13から流出した冷媒の温度に近づけることが可能となる。
ここで、本発明者らは、窪部253bにおける感温媒体と吸引冷媒との熱交換効率を向上させる方法として、液相状態の感温媒体を窪部253bの対向壁面253cと接触させることが有効となると考えた。
そこで、本実施形態では、第2封入空間254bを熱伝導率が高い液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している。
本実施形態では、ダイヤフラム251が窪部253bの対向壁面253cに最も接近する位置に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している。
ここで、封入空間254における液相状態の感温媒体の厚さHrは、封入空間254における感温媒体の温度Ts、ダイヤフラム251の変位量Frに応じて変化する。このため、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbは、封入空間254における感温媒体の温度Ts、ダイヤフラム251の変位量Frを加味して設定することが望ましい。
以下、封入空間254における感温媒体の温度Ts、ダイヤフラム251の変位量Fr、封入空間254における液相状態の感温媒体の厚さHrとの相関性について、図6を参照して説明する。
図6は、封入空間254における感温媒体の温度Ts、ダイヤフラム251の変位量Fr、封入空間254における液相状態の感温媒体の厚さHrの関係を示す特性図である。ダイヤフラム251の変位量Frは、封入空間254の容積が最も小さくなる状態、すなわち、ダイヤフラム251が上蓋部253に最も近づいた状態からの位置の変化量を示している。
図6では、x軸が感温媒体の温度Ts、y軸がダイヤフラム251の変位量Fr、z軸が液相状態の感温媒体の厚さHrを示している。なお、図6に示すデータは、感温媒体の温度Ts、ダイヤフラム251の変位量Fr、および液相状態の感温媒体の厚さHrの相関特性を説明するためのデータであり、図中に示す数値は一例である。
まず、図6のプロットAは、感温媒体の温度Tsがゼロ[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frがゼロ[μm]となる際に、液相状態の感温媒体の厚さHrが約105[μm]となることを示している。また、図6のプロットBは、感温媒体の温度Tsがゼロ[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frが800[μm]となる際に、液相状態の感温媒体の厚さHrが95[μm]程度となることを示している。
続いて、図6のプロットCは、感温媒体の温度Tsが34[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frがゼロ[μm]となる際に、液相状態の感温媒体の厚さHrが5[μm]程度となることを示している。また、図6のプロットDは、感温媒体の温度Tsが34[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frが800[μm]となる際に、液相状態の感温媒体の厚さHrが25[μm]程度となることを示している。
図6の各プロットA〜Dに示す数値を見ると、液相状態の感温媒体の厚さHrは、感温媒体の温度Tsが同一となる場合、ダイヤフラム251の変位量Frの増加に伴って小さくなる特性があることが判る。
また、図6の各プロットA〜Dに示す数値を見ると、液相状態の感温媒体の厚さHrは、ダイヤフラム251の変位量Frが同一となる場合、感温媒体の温度Tsが上昇するに伴って小さくなる特性があることが判る。
これらの特性を鑑みると、液相状態の感温媒体の厚さHrは、ダイヤフラム251の変位量Frが大きく、感温媒体の温度Tsの温度が高いときに、小さくなる傾向があることが判る。このため、液相状態の感温媒体の厚さHrの最小値は、感温媒体の温度Tsの常用域での最大値、およびダイヤフラム251の変位量Frの常用域での最大値に対応する液相状態の感温媒体の厚さHrとして推定することが可能となる。
従って、感温媒体の温度Tsおよびダイヤフラム251の変位量Frそれぞれの常用域での最大値に対応する液相状態の感温媒体の厚さHrを基準に、上蓋部253とダイヤフラム251との間隔を設定することで、液相状態の感温媒体の厚さHrを調整可能となる。
例えば、車両用空調装置においては、感温媒体の温度Tsの常用域が約0〜20[℃]となり、ダイヤフラム251の変位量Frの常用域が約0〜500[μm]となると想定される。この想定では、感温媒体の温度Tsが約20[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frが約500[μm]となる際、液相状態の感温媒体の厚さHrが最小の厚さとなると推定される。
図6のプロットEは、感温媒体の温度Tsが約22[℃]、ダイヤフラム251の変位量Frが約500[μm]となる際の液相状態の感温媒体の厚さHrが60[μm]程度となることを示している。
この例においては、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔を、60[μm]+αを基準に設定することで、ダイヤフラム251の変位量Frが最も小さくなる際に、第2封入空間254bを液相状態の感温媒体で満たすことが可能となる。
次に、上記構成に基づく、本実施形態の作動について説明する。乗員により空調作動スイッチ等が投入されると、制御装置からの制御信号により圧縮機11の電磁クラッチが通電され、電磁クラッチ等を介して、圧縮機11に車両走行用のエンジンから回転駆動力が伝達される。そして、制御装置から圧縮機11の電磁式容量制御弁に対して制御信号が入力され、圧縮機11の吐出容量が所望の量に調整されて、圧縮機11がエジェクタ100の気相流出口214から吸入した気相冷媒を圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧の気相冷媒は、放熱器12の凝縮部121に流入し、外気により冷却されて凝縮液化した後、レシーバ122にて気液が分離される。その後、レシーバ122にて分離された液相冷媒は、過冷却部123に流入して過冷却される。
放熱器12の過冷却部123から流出した液相冷媒は、エジェクタ100の冷媒流入口211に流入する。エジェクタ100の冷媒流入口211に流入した高圧冷媒は、図7に示すように、冷媒流入通路223を介してエジェクタ100内部の旋回空間221に流入する。そして、旋回空間221に流入した高圧冷媒は、旋回空間221の内壁面に沿って流れ、旋回空間221を旋回する旋回流となる。このような旋回流は、遠心力の作用によって、旋回中心付近の圧力を冷媒が減圧沸騰する圧力まで低下させることで、旋回中心側がガス単相、その周りが液単相の二層分離状態に近づく。
そして、旋回空間221を旋回する冷媒は、気液混相状態の冷媒として、旋回空間221の中心軸と同軸となる減圧用空間222に流入し、ノズル通路224にて減圧膨脹される。この減圧膨脹時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されることで、気液混相状態の冷媒は、ノズル通路224から高速度となって噴出される。
この点について詳述すると、まず、ノズル通路224では、ノズル部220bの先細部222aの内壁面側から冷媒が剥離する際に壁面沸騰が生ずる。また、ノズル通路224では、その中心側の冷媒のキャビテーションによる沸騰核によって界面沸騰が生ずる。このようにノズル通路224では冷媒の沸騰が促進されることから、ノズル通路224に流入した冷媒は、気相と液相が均質に混合した気液混相状態に近づく。
そして、ノズル部220bのノズル喉部222c付近で気液混相状態となった冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングにより音速に到達した気液混合状態の冷媒が、ノズル部220bの末広部222bにて加速されて噴出される。
このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって気液混層状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路224におけるエネルギ変換効率(ノズル効率に相当)の向上を図ることができる。
また、ノズル通路224から噴出される冷媒の吸引作用により、蒸発器13流出冷媒が冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引される。そして、吸引部231に吸引された低圧冷媒およびノズル通路224から噴出された噴出冷媒との混合冷媒が、冷媒流れ下流側に向かって冷媒流路面積が拡大するディフューザ通路232aに流入し、速度エネルギが圧力エネルギに変換されることで昇圧される。
なお、本実施形態のエジェクタ100の通路形成部材240は、減圧用空間222から離れるに伴って断面積が拡大する略円錐形状に形成されている。このため、ディフューザ通路232aの形状を減圧用空間222から離れるに伴って外周側へ拡がる形状とすることができる。これにより、通路形成部材240の軸線CLの方向への寸法の拡大を抑制して、エジェクタ100全体としての体格の大型化を抑制可能となる。
ディフューザ通路232aから流出した冷媒は、図示しない固定翼に流入して旋回力が付与される。このため、気液分離空間260では、遠心力の作用によって冷媒の気液が分離される。
気液分離空間260にて分離された気相冷媒は、気相側流出通路262および気相流出口214を介して、圧縮機11の吸入側に吸入され、再び圧縮される。この際、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力は、エジェクタ100のディフューザ通路232aにて昇圧されているので、圧縮機11の駆動力を低減することが可能となる。
また、気液分離空間260にて分離された液相冷媒は、貯液空間270に貯留され、エジェクタ100の冷媒吸引作用により、液相側流出通路271および液相流出口213を介して、蒸発器13に流入する。
蒸発器13では、低圧の液相冷媒が、空調ケース内を流れる空気から吸熱して蒸発気化する。そして、蒸発器13から流出した気相冷媒は、エジェクタ100の冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引され、ディフューザ通路232aに流入する。
以上説明した本実施形態のエジェクタ100は、通路形成部材240を変位させる駆動機構250を備えている。このため、冷凍サイクル10の負荷に応じて通路形成部材240を変位させて、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積を調整可能となっている。
本実施形態では、駆動機構250のダイヤフラム251および感温部252を通路形成部材240の中心軸の軸線CLの周りを囲むように環状に形成している。これによれば、ダイヤフラム251における冷媒の圧力を受ける面積を充分に確保できるので、吸引部231を流通する冷媒の圧力変化に応じて、ノズル通路224およびディフューザ通路232aを適切に変化させることができる。
ここで、図8、図9は、本実施形態の比較例として、駆動機構250の上蓋部253におけるダイヤフラム251と対向する対向壁面が平坦形状に構成された駆動機構を示している。
具体的には、図8は、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面から最も遠い位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。また、図9は、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面から最も接近した位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。なお、図8、図9では、比較例に係る駆動機構および本実施形態の駆動機構250の各構成要素の対応関係を明確にするために、比較例に係る駆動機構の各構成要素に対して、本実施形態の駆動機構250と同一の符号を付している。
比較例に係る駆動機構では、図8に示すように、ダイヤフラム251が下方側に変位した際、液相状態の感温媒体の厚さHrhが、上蓋部253とダイヤフラム251との間隔LDcよりも小さくなる(Hrh<LDc)。なお、液相状態の感温媒体の厚さHrhは、感温媒体の気液界面GLIとダイヤフラム251との間隔に相当する。
また、比較例に係る駆動機構では、図9に示すように、ダイヤフラム251が上方側に変位した際、液相状態の感温媒体の厚さHrlが、ダイヤフラム251が下方側に変位した際の液相状態の感温媒体の厚さHrlよりも大きくなる(Hrl>Hrh)。
しかし、依然として、液相状態の感温媒体の厚さHrlは、上蓋部253とダイヤフラム251との間隔LDcよりも小さくなる(Hrl<LDc)。なお、液相状態の感温媒体の厚さHrlは、感温媒体の気液界面GLIとダイヤフラム251との間隔に相当する。
このように、比較例に係る駆動機構では、ダイヤフラム251が上下に変位した際、封入空間254において、熱伝導率の高い液相状態の感温媒体と上蓋部253との間に、熱伝導率の低い気相状態の感温媒体が介在してしまう。この気相状態の感温媒体は、液相状態の感温媒体と蓋部材との間の熱抵抗となってしまう。このため、比較例に係る駆動機構では、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることが難しい。
特に、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面から最も遠い位置に変位した際には、液相状態の感温媒体と上蓋部253との間隔が最も大きくなることから、感温媒体の温度を吸引冷媒の温度に近づけることが難しくなる。
これに対して、本実施形態では、上蓋部253のうち、ダイヤフラム251に対して対向する対向部位の一部にダイヤフラム251側に近づくように窪んだ窪部253bを設けている。これによれば、窪部253bにおける液相状態の感温媒体が吸引冷媒に近づくことで、感温媒体の温度を吸引冷媒の温度に近づけることが可能となる。
ここで、図10は、本実施形態の駆動機構250において、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。
本実施形態に係る駆動機構250では、図10に示すように、ダイヤフラム251が下方側に変位した際、窪部253bにおける液相状態の感温媒体の厚さHrhが、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDcに近づいた状態となる。すなわち、ダイヤフラム251が窪部253bにおける対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際においても、液相状態の感温媒体の気液界面GLIを窪部253bの対向壁面253cに近づけることが可能となる。これにより、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることが可能となる。
従って、本実施形態のエジェクタ100によれば、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させて、駆動機構250から通路形成部材240に対して、吸引冷媒の温度および圧力に応じた荷重を安定して出力することが可能となる。
さらに、本実施形態では、ダイヤフラム251が窪部253bの対向壁面253cに最も接近する位置に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している。
ここで、図11は、本実施形態の駆動機構250において、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面253cから最も近い位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。
本実施形態に係る駆動機構250では、図11に示すように、ダイヤフラム251が上方側に変位した際、窪部253bにおける液相状態の感温媒体の厚さHrhが、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDcと同様の長さとなる。すなわち、ダイヤフラム251が窪部253bにおける対向壁面253cから最も近接した位置に変位した際において、液相状態の感温媒体の気液界面GLIが窪部253bの対向壁面253cに密着した状態となる。
これによれば、液相状態の感温媒体と窪部253bとの間に気相状態の感温媒体が介在しないので、液相状態の感温媒体を吸引冷媒と効率よく熱交換させることができ、感温媒体と吸引冷媒の温度差をより一層近づけることが可能となる。
また、本実施形態では、上蓋部253における冷媒吸引口212に近接する部位に窪部253bを設ける構成としている。これによれば、窪部253bが、冷媒吸引口212から流入した冷媒に晒されることになるので、第2封入空間254bの感温媒体の温度を蒸発器13から流出した冷媒の温度に近づけることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図12、図13を参照して説明する。本実施形態では、ダイヤフラム251が窪部253bの対向壁面253cに最も遠い位置に変位した際の液相状態の感温媒体の厚みを基準に、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している点が第1実施形態と相違している。
本実施形態では、ダイヤフラム251が窪部253bの対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している。
図12は、本実施形態の駆動機構250において、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。
図12に示すように、本実施形態では、ダイヤフラム251が下方側に変位した際、窪部253bにおける液相状態の感温媒体の厚さHrhが、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDcと同様の長さとなっている。これにより、ダイヤフラム251が窪部253bにおける対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際において、液相状態の感温媒体の気液界面GLIが窪部253bの対向壁面253cに密着させることが可能となる。
また、図13は、本実施形態の駆動機構250において、ダイヤフラム251が上蓋部253における対向壁面253cから最も接近する位置に変位した際の封入空間254における感温媒体の状態を示している。
図13に示すように、本実施形態では、ダイヤフラム251が上方側に変位した際、窪部253bにおける液相状態の感温媒体の厚さHrhが、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDcよりも大きくなる。これにより、ダイヤフラム251が上下に変位した際に、液相状態の感温媒体が窪部253bの対向壁面253cに密着した状態が維持される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のエジェクタ100は、第1実施形態で説明した効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施形態では、ダイヤフラム251が窪部253bの対向壁面253cから最も遠い位置に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDbを設定している。これによれば、窪部253bの対向壁面253cとダイヤフラム251との間隔が大きくなったとしても、液相状態の感温媒体と窪部253bとの間に気相状態の感温媒体が介在しない構成となる。このため、液相状態の感温媒体を吸引冷媒と効率よく熱交換させることができ、感温媒体と吸引冷媒の温度差をより一層近づけることが可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。本実施形態では、上蓋部253の周方向における窪部253bの占める範囲を拡大している点が第1実施形態と相違している
図14、図15に示すように、本実施形態では、上蓋部253の周方向における窪部253bが占める範囲を、突部253aが占める範囲と同程度の範囲としている。すなわち、窪部253bは、図16に示すように、上蓋部253の中心Coと窪部253bの周方向一端側とを結ぶ線と、中心Coと窪部253bの周方向他端側とを結ぶ線とが実質的に同じ(例えば、θ=180°)となるように、上蓋部253に設けられている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のエジェクタ100は、第1実施形態で説明した効果を奏する。
特に、本実施形態では、上蓋部253の周方向における窪部253bの占める範囲を拡大させる構成としている。これによれば、上蓋部253において、液相状態の感温媒体の気液界面GLIを窪部253bの対向壁面253cに近づけることが可能な領域を拡大させることができるので、感温媒体と吸引冷媒の温度差を充分に縮小させることが可能となる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態の如く、ダイヤフラム251が上下に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされるように、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDbを設定することが望ましいが、これに限定されない。例えば、ダイヤフラム251が上下に変位した際に、第2封入空間254bが液相状態の感温媒体で満たされないように、窪部253bとダイヤフラム251との間隔LDbが設定されていてもよい。
(2)上述の各実施形態の如く、窪部253bは、上蓋部253における冷媒吸引口212に近接する部位に設けることが望ましいが、これに限定されない。例えば、上蓋部253における冷媒吸引口212から離れた部位に窪部253bを設けるようにしてもよい。
(3)上述の各実施形態の如く、窪部253bは、窪部253bの外側を流れる吸引冷媒の流通抵抗とならないように、窪部253bの周方向一端側と他端側との間の外側表面を平坦状に形成することが望ましいが、これに限定されない。例えば、窪部253bの周方向一端側と他端側との間の外側表面が曲面状に形成されていてもよい。
(4)上述の各実施形態では、窪部253bが窪部253bの外側を流れる吸引冷媒の流通抵抗とならないように、窪部253bの周方向一端側と他端側との間の外側表面を平坦状に形成することが望ましいが、これに限定されない。例えば、窪部253bの周方向一端側と他端側との間の外側表面が曲面状に形成されていてもよい。
(5)上述の各実施形態では、窪部253bを上蓋部253の一箇所に設ける例について説明したが、これに限定されず、例えば、窪部253bを上蓋部253の複数箇所に設けるようにしてもよい。
(6)上述の各実施形態では、窪部253bを上蓋部253の一箇所に設ける例について説明したが、これに限定されず、例えば、窪部253bを上蓋部253の複数箇所に設けるようにしてもよい。
(7)上述の各実施形態では、ダイヤフラム251を一対の蓋部253、255で狭持する例について説明したが、これに限らず、例えば、ダイヤフラム251を上蓋部253とディフューザボデー230の溝部230bとで狭持する構成としてもよい。
(8)上述の各実施形態では、ボデー200を、ハウジングボデー210、ノズルボデー220等の複数の構成部材の組み合わせにより構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ボデー200を構成する複数の構成部材の一部が一体成形物として構成されていてもよい。
(9)上述の各実施形態では、通路形成部材240として、軸方向の断面形状が二等辺三角形となるものを採用しているが、これに限定されない。通路形成部材240は、例えば、軸方向の断面形状が、頂点を挟む二辺が内周側に凸となる形状や二辺が外周側に凸となる形状、あるいは断面形状が半円形状となるものを採用してもよい。
(10)上述の各実施形態の如く、ダイヤフラム251の変位を適切に通路形成部材240へ伝達するためには、荷重伝達部材256を構成する作動棒256aを3本配設することが望ましいが、これに限定されない。2本または4本以上の作動棒256aによりダイヤフラム251の変位を通路形成部材240へ伝達する構成としてもよい。
(11)上述の各実施形態で説明したように、ダイヤフラム251をゴム製の基材で構成するほうが望ましいが、これに限定されず、例えば、ステンレス等によりダイヤフラム251を構成してもよい。
(12)上述の実施形態の如く、駆動機構250にコイルバネ257や荷重調整部258を追加することが望ましいが、コイルバネ257や荷重調整部258は必須ではなく、省略されていてもよい。
(13)上述の実施形態の如く、エジェクタ100の内部に気液分離空間260や貯液空間270を形成することが望ましいが、これに限らず、エジェクタ100の外部に気液分離器や貯液器等を設けるようにしてもよい。
(14)上述の実施形態では、ノズルボデー220に旋回空間221を形成する例について説明したが、これに限らず、例えば、ハウジングボデー210に旋回空間221を形成してもよい。
(15)上述の実施形態の如く、ノズル通路224におけるエネルギ変換効率の向上を図るためには、ボデー200の内部に旋回空間221を形成することが望ましいが、これに限定されず、ボデー200の内部に旋回空間221を形成しなくてもよい。
(16)上述の実施形態では、ボデー200、通路形成部材240、駆動機構250等を構成する要素の殆どを金属材料で構成する例について説明したが、これに限定されない。耐圧性や耐熱性等が問題とならない範囲で、各構成要素を金属材料以外(例えば、樹脂)により構成してもよい。
(17)上述の実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用する例について説明したが、これに限定されず、例えば、レシーバ122や過冷却部123が設けられていない放熱器を採用してもよい。
(18)上述の実施形態では、車両用空調装置の冷凍サイクル10に本発明のエジェクタ100を適用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、据置型空調装置等に用いられるヒートポンプサイクルや、空調装置以外の熱機器に適用される冷凍サイクルに本発明のエジェクタ100を適用してもよい。
(19)上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(20)上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(21)上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
10 冷凍サイクル
200 ボデー
224 ノズル通路
231 吸引部(吸引用通路)
232a ディフューザ通路
240 通路形成部材
250 駆動機構
251 ダイヤフラム
253 上蓋部(封入空間形成部)
253b 窪部
254 封入空間

Claims (4)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタであって、
    冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、前記減圧用空間の冷媒流れ下流側に連通して外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231)、および前記減圧用空間から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間の内部及び前記昇圧用空間の内部に配置され、前記減圧用空間から離れるに伴って断面積が拡大する形状に形成された通路形成部材(240)と、
    前記通路形成部材を変位させる駆動機構(250)と、を備え、
    前記ボデーにおける前記減圧用空間を形成する部位の内周側と前記通路形成部材の外周側との間には、前記冷媒流入口から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズル通路(224)が形成されており、
    前記ボデーにおける前記昇圧用空間を形成する部位の内周側と前記通路形成部材の外周側との間には、前記噴射冷媒および前記吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザ通路(232a)が形成されており、
    前記駆動機構は、
    受圧部(251a)で受ける圧力に応じて変位するダイヤフラム(251)と、
    温度変化に伴って圧力が変化する感温媒体を封入する封入空間(254)を前記ダイヤフラムと共に形成する封入空間形成部(253)と、を含んで構成されており、
    前記感温媒体は、気液が混合された状態で前記封入空間に封入されており、
    前記封入空間形成部は、前記吸引冷媒の温度が前記感温媒体に対して伝わるように前記ボデーの内部における前記吸引用通路に隣接して配置されると共に、前記ダイヤフラムに対向する対向部位の一部に前記ダイヤフラムに近づくように窪んだ窪部(253b)が設けられていることを特徴とするエジェクタ。
  2. 前記ボデーには、前記吸引冷媒を前記吸引用通路に導く冷媒吸引口(212)が形成されており、
    前記窪部は、前記封入空間形成部における前記冷媒吸引口に近接する部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記窪部は、前記ダイヤフラムが前記封入空間形成部における前記対向部位に対して最も接近する位置に変位した際に、前記窪部における前記ダイヤフラムに対向する対向壁面(253c)と前記ダイヤフラムとの間に形成される空間(254b)が液相状態の前記感温媒体で満たされるように、前記対向壁面と前記ダイヤフラムとの間隔(LDb)が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記窪部は、前記ダイヤフラムが前記封入空間形成部における前記対向部位に対して最も遠い位置に変位した際に、前記窪部における前記ダイヤフラムに対向する対向壁面(253c)と前記ダイヤフラムとの間に形成される空間(254b)が液相状態の前記感温媒体で満たされるように、前記対向壁面と前記ダイヤフラムとの間隔(LDb)が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ。
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