JP2017052892A - オリゴマー再生物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大掛かりな装置やコストをかけることなく、ポリエステル系樹脂を含む被処理物から得られる新たなポリエステル系樹脂の原料としてのオリゴマー再生物を生産性良く得る方法を提供すること。【解決手段】ポリエステル系樹脂を含む被処理物を分解してオリゴマー再生物を得るオリゴマー再生物の製造方法であって、(A)前記被処理物を水蒸気雰囲気に曝露して加水分解して、ポリエステル系樹脂のオリゴマー再生物を生成させる工程、及び(B)孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段により、前記オリゴマー再生物を含む溶融物と残渣とを分離する工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル系樹脂を含む被処理物を分解して得られるオリゴマー再生物の製造方法に関する。
ポリエステル系樹脂は、その優れた特性から様々な用途に広く用いられている。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)は、化学的安定性が優れていることから、繊維やフィルム、樹脂等の生活関連資材として、特に飲料水や炭酸飲料用のボトル等として食品分野においても大量に生産され使用されている。しかしながら、生産量や使用量の増大に伴って大量に発生する繊維やフィルム、樹脂製品の廃棄物、規格外品の成形品等の処理は、現在大きな社会問題になりつつあり、また、資源の有効利用の観点からもこれらのポリエステル系樹脂成形品を有効にリサイクルする方法が求められている。
そのようなリサイクル方法としては、マテリアルリサイクル法やケミカルリサイクル法等の各種方法が提案されている。
マテリアルリサイクル法は、ポリエステル系樹脂を分解することなく、高温で溶融して再利用するものであるため、その熱履歴によりリサイクル品の品質はリサイクル前のポリエステル系樹脂と比べて徐々に低下するという問題点がある。また、ポリエステル系樹脂以外の成分(不純物)が含まれていると、該不純物を完全に除去するのが難しいため、さらに品質が低下するという問題点もある。そのため、リサイクル前のポリエステル系樹脂と同等品質のものを得ることは、射出成型時に発生するランナを粉砕後そのまま使用する等の一部の場合を除き、困難であるという問題を抱えている。
一方、ケミカルリサイクル法としては一般的に、(1)原料化、(2)還元剤化、(3)ガス・油化、(4)サーマルリサイクルの4種類に分類できる。この中で原料化は、リサイクル前のポリエステル系樹脂と同等品質のものを得ることができるため、有利な方法であるとして注目されている。
特許文献1には、ポリエチレンテレフタレートの原料化の例として、ポリエチレンテレフタレートを、エチレングリコール分解/メタノール処理により、テレフタル酸ジメチル、さらにはテレフタル酸にまで分解し、再度エチレングリコールと縮重合させて「ボトルtoボトル」にする方法が開示されている。
また、特許文献2には、ポリエチレンテレフタレートに加水分解触媒としてのテレフタル酸を添加して、300℃の熱水中で加水分解すると、約10分でテレフタル酸が100%の収率で得られることが報告されている。
さらに、特許文献3には、ポリエチレンテレフタレートを含む被処理物を、処理温度における飽和水蒸気圧の圧力で満たされた水蒸気雰囲気内に曝露させ、その処理温度で発生した飽和水蒸気によって前記被処理物中に含まれるポリエチレンテレフタレートを加水分解し、エチレングリコールを気体又は液状成分として、テレフタル酸を固形成分として分別回収する方法が開示されている。
特開2003−119316号公報 特開2007−332361号公報 特開2008−308416号公報
ポリエステル系樹脂は、限りある石油資源から得られる合成樹脂であるので、その供給を持続可能とする社会を構築するためには、ポリエステル系樹脂の廃棄物をケミカルリサイクルする技術の確立は喫緊の課題である。特にポリエチレンテレフタレートは、耐薬品性、耐熱性に優れ、食品に対して使用する場合はその安全性も良好であるため、各種分野において汎用されており、そのリサイクルは重要な課題となっている。
特許文献1の方法は、作業が煩雑でコストがかかることや設備投資額が大きくなる等の課題を有し、特許文献2の方法ではジカルボン酸を添加せずに150〜350℃の高温水中にてポリエステルを加水分解する場合には、充分に加水分解ができないことが示されており、高温水中での加水分解においては加水分解触媒としてのジカルボン酸が不可欠であることが示唆される。
また、特許文献3の方法は内部に攪拌手段を備えた耐圧性の処理チャンバーや、エチレングリコールを回収するための冷却塔を準備しなければならず、装置が大掛かりとなってしまい改善の余地があった。また、ポリエチレンテレフタレートが不純物を含む場合には、加水分解処理によって回収されたテレフタル酸及びエチレングリコールの品質が低下するという問題点がある。
特許文献1〜3に代表される従来技術は、被処理物であるポリエステル系樹脂をモノマー単位まで分解して原料化し、再利用するものである。よって、従来技術で得られるようなリサイクルされたテレフタル酸を用いてポリエステル系樹脂を得るには、通常のポリエステル系樹脂の合成と同様の合成工程を経る必要があり、コストも時間もかかってしまう。
そこで本発明は、大掛かりな装置やコストをかけることなく、ポリエステル系樹脂を含む被処理物から得られる新たなポリエステル系樹脂の原料としてのオリゴマー再生物を生産性良く得る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、ポリエステル系樹脂の分解をオリゴマー生成の段階で停止させ、得られたオリゴマー再生物を原料として用いてポリエステル系樹脂の再合成を行えば、モノマー単位まで分解して原料化する従来技術に比べて、原料化のためのコストだけでなくポリエステル系樹脂の合成に係るコストを低減できることを見出した。そして、ポリエステル系樹脂を含む被処理物を水蒸気雰囲気下で加水分解するケミカルリサイクル法において、特定の孔径を有する分離手段を用いて被処理物を分解・分離することにより、オリゴマー再生物を生産性良く製造することが出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)によって達成される。
(1)ポリエステル系樹脂を含む被処理物を分解してオリゴマー再生物を得るオリゴマー再生物の製造方法であって、
(A)前記被処理物を水蒸気雰囲気に曝露して加水分解して、ポリエステル系樹脂のオリゴマー再生物を生成させる工程、及び
(B)孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段により、前記オリゴマー再生物を含む溶融物と残渣とを分離する工程
を含むことを特徴とするオリゴマー再生物の製造方法。
(2)前記工程(A)及び前記工程(B)を、密閉装置内で連続的に行うことを特徴とする前記(1)に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(3)前記被処理物が前記分離手段を備えた容器に収容され、前記工程(A)及び前記工程(B)が行われることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(4)前記分離手段が、メッシュ材又はパンチング材であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(5)前記分離手段の孔径が1〜900μmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(6)さらに、(C)前記溶融物を洗浄して、前記オリゴマー再生物を精製する工程を含むことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(7)前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリトリメチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のオリゴマー再生物の製造方法。
(8)前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記(7)に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
本発明のオリゴマー再生物の製造方法によれば、疎水性であったり、加水分解により分解されない被処理物中の物質を残渣として分離手段に留めることができるので、ポリエステル系樹脂が分解されて生成したオリゴマー再生物を容易に得ることができる。また、本発明では特定孔径の孔部を有する分離手段を用いるため、被処理物中に疎水性であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリエステル系樹脂以外の樹脂が含まれていた場合でも、加水分解によりこれらの樹脂が分離手段に固着することがないため、分離手段に留まった残渣を分離手段から容易に除去することができるため作業性を高めることができる。
したがって、本発明の製造方法によれば、大掛かりな装置やコストをかけることなく、かつ高い生産性でもってオリゴマー再生物を回収することができるとともに、作業性を向上することができる。
本発明のオリゴマー再生物の製造方法を説明するための製造工程図である。 本発明の好適な形態における処理方法を説明するための模式図である。 実施例1で行った実験を説明するための写真図である。 実施例2〜8、比較例1において、キャップ除去後の状態を示す写真図である。
以下、本発明のオリゴマー再生物の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明のオリゴマー再生物の製造方法を説明するための製造工程図であり、図2は、本発明の好適な形態における処理方法を説明するための模式図である。
本発明のオリゴマー再生物の製造方法は、(A)ポリエステル系樹脂を含む被処理物を水蒸気雰囲気に曝露して加水分解して、ポリエステル系樹脂のオリゴマー再生物を生成させる工程、及び(B)孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段により、前記オリゴマー再生物を含む溶融物と残渣とを分離する工程を含む。
本発明のオリゴマー再生物の製造方法に用いる被処理物は、ポリエステル系樹脂を含み、その種類や、その中に含まれるポリエステル系樹脂以外の原料について、特に制限されず、従来から公知又は公用の各種被処理物であることができる。
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリオール成分と、ポリカルボン酸成分とを重合触媒の存在下で反応(重縮合)させて得られるエステル結合部位を有する樹脂が挙げられ、具体的には熱可塑性樹脂が挙げられる。
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、1,18−オクタデカンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、キシリレンジオール、ナフタレンジオール等の芳香族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテルグリコール等のジオール成分等が挙げられる。なお、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールや、ポリエステルポリオール等のポリマー形態のポリオール成分であってもよい。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらを共重合させたコポリエーテル等のポリエーテルジオール等が挙げられる。さらに、ポリオール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールであってもよい。ポリオール成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。さらに、ポリカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸であってもよい。なお、ポリカルボン酸成分としては、これらのカルボン酸の酸無水物や低級アルキルエステルであってもよい。ポリカルボン酸成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカロプラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)等の生分解性プラスチックもポリエステル系樹脂として使用できる。
またポリエステル系樹脂は、各種架橋剤により架橋されているものであってもよい。
本発明において、汎用性及びコスト観点から、好適に使用されるポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、本発明における被処理物の形態としては、特に制限されるものではなく、各種成形品、典型的には使用済であって再処理すべき各種成形品の廃棄物を使用することができ、例えば、繊維、フィルム、シート、飲料水や炭酸飲料用のボトル、粘着テープ、食品用トレイ等を挙げることができる。
また、上記被処理物としての各種成形品には、使用形態によってポリエステル系樹脂以外の各種添加剤等の原材料が配合されていることが多いが、本発明においては、これらの原材料の種類について制限されるものではない。
このような被処理物としての各種成形品に添加されていてもよい添加剤としては、例えば公知の難燃剤や可塑剤、滑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、表面処理剤等が挙げられる。
また、上記被処理物は、ポリエステル系樹脂のみからなる成形品だけでなく、他の材料との複合品でもあってもよい。すなわち、ポリエステル系樹脂からなる層と、ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含む層との積層体のような複合品であってもよい。
具体的には、例えば被処理物が粘着テープである場合には、背面処理されたポリエステル系樹脂フィルムと、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等からなる粘着剤層との積層体や、さらにシリコーン系樹脂等からなる剥離剤を片面に有する剥離シートを粘着剤層表面に設けた積層体が挙げられるが、本発明ではこのような積層体であっても処理することが可能である。
また、例えば被処理物が飲料水や炭酸飲料用のボトルである場合には、一般的な商品の形態、すなわちポリエステル系樹脂からなるボトル本体と、キャップと、ラベルとを備えた形態であることができ、本発明ではこのような形態であっても処理することが可能である。該キャップやラベルは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレンからなる。
しかし、本発明の製造方法によって得られるオリゴマー再生物の回収効率の観点からは、被処理物中のポリエステル系樹脂の含有割合は、例えば40質量%以上、好ましくは60質量%以上であるのがよい。
本発明において、被処理物はそのままの形状であってもよいが、効率よく加水分解物に分解され得るように、適当なサイズに破砕又は裁断するのが好ましい。さらに洗浄処理によって表面に付着している異物を除去しておくことが好ましい。
以下、本発明のオリゴマー再生物の製造方法について各工程ごとに説明する。
<被処理物の破砕・洗浄>
本発明のオリゴマー再生物の製造方法の実施形態では、まず、ポリエステル系樹脂を含む被処理物を準備し、効率よく加水分解物され得るように、必要に応じて被処理物を適当なサイズに破砕もしくは裁断し、表面に付着する異物等を洗浄除去することが好ましい(ステップS10,S11)。
被処理物の破砕方法としては公知の方法を用いて行うことができ、例えば、必要に応じて裁断機で裁断し、その後に破砕する方法が挙げられる。破砕機としては、例えば、二軸回転せん断式破砕機、一軸回転せん断式破砕機等のせん断式破砕機、ハンマーミル、インパクトクラッシャー等の衝撃式破砕機、シュレッダー等を用いることができる。破砕物の大きさは特に制限はされず、加水分解時間や加水分解時の温度等に応じて適宜設定すればよい。下記で説明する工程(B)において、特定孔径の孔部を有する分離手段を用いることから、被処理物は、該孔径よりも大きいものとすればよい。
被処理物の洗浄方法としては、例えば、破砕物の上から散水洗浄する方法、破砕物を水中に搬送しながら洗浄する方法等が挙げられる。
<工程(A)>
工程(A)では、被処理物を加水分解することによりポリエステル系樹脂のオリゴマー再生物を生成させ、オリゴマー再生物とそれ以外の物質とを含む溶融物(混合物)を得る(ステップS12,S13)。
加水分解とは、一般的に知られているように、一つの結合がイオン的に開裂し、HO1分子がHとOHに分かれて、開裂位置に付加する分解反応である。
本発明においては、工程(A)にて被処理物を水蒸気雰囲気下に曝露することにより、加水分解物とそれ以外の物質とを含む混合物が生じる。加水分解物としては、ポリエステル系樹脂中のエステル結合が切断されて生成するオリゴマー再生物を含む。オリゴマー再生物は、本発明においては加水分解条件下で流動状態を呈するものである。
工程(A)において、ポリエステル系樹脂を含む被処理物を水蒸気雰囲気に曝露する際の温度(以下、「水蒸気雰囲気温度」ともいう)は、ポリエステル系樹脂の種類に依存して適宜決定すればよいが、例えば100〜260℃であることが好ましく、より好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは140〜260℃である。前記温度の範囲で処理することにより、ポリエステル系樹脂を水蒸気雰囲気下で効果的に加水分解することができる。特に、ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートを含む場合は、加水分解反応時間の短縮と融点(ポリエチレンテレフタレートの融点:約260℃)の観点から、水蒸気雰囲気温度は、ポリエチレンテレフタレートの融点以下、例えば150〜260℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは180〜260℃、さらに好ましくは200〜260℃である。
加水分解時間は、例えば1分〜20時間であることが好ましく、より好ましくは5分〜10時間である。前記範囲内に時間で加水分解処理を行うことにより、加水分解物の分子量が低下し、オリゴマー再生物が得られるとともに、副生成物の生成を抑制することができる。特に、ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートを含む場合は、オリゴマー再生物が得られるという観点と副生成物の抑制の観点から、加水分解時間は、例えば5分〜10時間の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは10分〜5時間である。
また、工程(A)では、常圧から加圧条件下である飽和水蒸気圧下で加水分解処理を行うのが好ましい。加圧条件下としては上記水蒸気雰囲気温度での飽和水蒸気圧が好ましく、飽和水蒸気圧としては、例えば0.4〜5MPaであることが好ましく、1〜5MPaであることがより好ましい。前記範囲内で加水分解処理を行うことにより、短時間で効率よくオリゴマー再生物を生成させることができる。
なお、工程(A)における水蒸気圧は、飽和水蒸気圧曲線に沿って上昇させるのが好ましく、このようなステップを採用することによって、被処理物としてのポリエステル系樹脂が熱分解を起こして炭化又は変性するのを防止することができる。水蒸気の供給は、公知の各種手段を採用することができ、例えば、加水分解処理を行う密閉容器内に水を貯留しておき、該水を加熱する方法、水蒸気発生装置により発生させた水蒸気を密閉容器内に導入する方法等が挙げられる。
また、本発明における工程(A)においては、ポリエステル系樹脂を含む被処理物が水と接触しないような水蒸気雰囲気下に曝露された状態で、加水分解を開始することが好ましい。水と接触しないようにして水蒸気雰囲気下に曝露することで、被処理物が内部から分解されるので、効率良く分解処理することができる。
本発明において、工程(A)で得られるオリゴマー再生物は、粘度を有する流動物として得られる。オリゴマー再生物の溶融粘度は、被処理物の種類や加水分解の進行度、すなわち、加水分解処理時の水蒸気雰囲気温度や加水分解時間を調整することによって適宜設定することができる。
なお、オリゴマー再生物以外の物質は、ポリエステル系樹脂以外の成分であり、例えば被処理物が飲料水や炭酸飲料用のボトルである場合には、キャップやラベル等が挙げられる。該キャップやラベルは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレンからなる。
<工程(B)>
工程(B)では、孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段により、オリゴマー再生物を含む溶融物(以下、「粗オリゴマー」ともいう)と残渣とを分離する(ステップS14〜S16)。
孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段を用いて、工程(A)で得られたオリゴマー再生物を含む溶融物と残渣とを分離することにより、流動状態にあるオリゴマー再生物を選択的に分離しやすくなる。残渣はポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレン等の加水分解では分解されない樹脂を含み、分離の原理は現段階では明らかではないが、分離手段の孔部が水蒸気の膜で覆われ、疎水性であったり、加水分解により分解されないポリエステル系樹脂以外の樹脂や異物はその孔部を通過できずに分離手段に留まることになり、分子量の小さいオリゴマー再生物は分離手段を通過するので、オリゴマー再生物を含む溶融物と残渣を分離できると推測される。
分離手段は、孔径1〜1000μmの孔部を有するものであれば特に限定されず、例えば、メッシュ材、パンチング材等を用いることができる。
孔部の孔径は、分離手段に残った残渣の除去効率を高めて作業性を向上させるという観点及び材料価格の観点から、その上限は1000μm未満であることが好ましく、900μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることがさらにより好ましい。
孔部の形状は特に限定されないが、円形、多角形、不定形等の形状が挙げられる。
なお、本発明でいう孔径とは、円形である場合は直径を意味し、多角形、不定形等の形状である場合は、形成された孔部の最大長さを意味する。例えば孔部が長方形である場合、孔径は長方形の対角線である。
分離手段の開口率は10〜80%であることが好ましく、20〜70%であることがより好ましい。分離手段の開口率が10%以上であると、オリゴマー再生物を分離手段に留めることなく残渣と分離することができ、80%以下であると、分離手段に十分な強度を付与することができる。
<工程(C)>
本発明において、工程(B)により得られたオリゴマー再生物を含む溶融物(粗オリゴマー)は、冷却して固体状とし、ポリエステル系樹脂の再合成にそのまま用いてもよいが、精製することが好ましい(ステップS17、S18)。
オリゴマー再生物を含む溶融物には、オリゴマー再生物の他にポリエステル系樹脂を合成する際に用いられた重合触媒や、金属元素、顔料、染料等の不純物が含まれる場合がある。オリゴマー再生物に不純物が含有していると、再合成したポリエステル樹脂が着色したりして商品価値が低下する虞がある。よって、溶融物を精製してこれらの不純物を除去することが好ましい。
精製方法としては、例えば、水、有機溶媒及びこれらの混合溶媒での洗浄、吸着精製法、再沈殿法、分液抽出法、再結晶法、晶析法、蒸留等が挙げられる。これらの精製方法は組み合わせて行ってもよい。
溶媒を用いた精製方法としては、例えば、溶媒中に溶融物に含有した不純物を溶出させて除去する方法が挙げられる。具体的には、溶媒中に固体状溶融物を浸漬する方法、固体状溶融物をカラムに充填して溶媒を給液する方法等が挙げられるが、固体状溶融物と溶媒を十分に接触させるという観点から、溶媒に溶融物を浸漬する方法が好ましい。
溶媒としては、不純物を溶解可能なものであれば特に制限されず、例えば、アルキレングリコール等の有機溶媒、水等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の炭素数2〜10のアルキレングリコールが挙げられ、中でもエチレングリコールが特に好ましい。
水としては、例えば、水道水、精製水、蒸留水、超純水、イオン交換水等が挙げられる。
溶媒として有機溶媒を用いる場合、有機溶媒は固体状溶融物との接触時に120℃以上に加熱することが好ましい。固体状溶融物と有機溶媒とを120℃以上の温度で接触させることにより、不純物が有機溶媒中に溶出しやすくなり、抽出時間をコントロールしやすいため好ましい。有機溶媒の加熱温度(接触温度)は、沸点と不純物の溶解性の観点から選択すればよくエチレングリコールの場合、195〜100℃がより好ましく、190〜120℃がさらに好ましい。
なお、昇温速度は特に制限されないが、1〜30℃/分が好ましく、2〜10℃/分がより好ましい。
所望の加熱温度に昇温した後の固体状溶融物と有機溶媒との接触時間(保持時間)は、不純物が溶媒中に溶出する十分な時間とすればよく、作業性を考慮して適宜調整すればよいが、所望の接触温度に昇温してから0〜3時間程度の時間を固体状溶融物が有機溶媒に接触するようにすればよい。作業性の観点から、保持時間は0〜2時間がより好ましく、0〜1時間がさらに好ましい。なお、保持時間が0時間というのは、所望の温度に到達した直後に加熱が停止されることを意味する。
溶媒として水を用いる場合は、水と接触させる前に固体状溶融物を粉砕するのが好ましい。固体状溶融物を粉砕することにより、固体状溶融物の表面付近だけではなく内部に存在する不純物も水中に溶出しやすくなり、オリゴマー再生物中の不純物を容易に低減することができる。
粉砕後の固体状溶融物は、平均粒子径が0.1〜500μmであることが好ましく、0.3〜200μmであることがより好ましく、0.5〜50μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が500μm以下であれば十分に不純物を洗浄することができ、0.1μm以上であれば工程(C)の作業時間を長くかけることなく処理することができる。
固体状溶融物の粉砕方法としては、例えば、乳鉢やハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。
なお、本発明において平均粒子径とは、レーザー式粒度分布測定装置(例えば、「マイクロトラック」(商品名、日機装株式会社製))を用いて湿式レーザー法で測定した体積基準の累積百分率50%相当粒子径(d50)である。
固体状溶融物と水との接触温度は、特に限定されないが、20〜200℃であることが好ましい。粗オリゴマーと水とを20℃以上の温度で接触させることにより、不純物が有機溶媒中に溶出しやすくなり、抽出時間をコントロールしやすいため好ましく、200℃以下の温度で接触させることにより、加水分解を抑えることができ好ましい。接触温度は、不純物除去能力と加水分解を抑えるとの観点から、30〜195℃であることがより好ましく、40〜190℃がさらに好ましい。
なお、水を加熱する場合、昇温速度は特に制限されないが、1〜30℃/分が好ましく、2〜10℃/分がより好ましい。
所望の接触温度に昇温した後の固体状溶融物と水との接触時間(保持時間)は、不純物が溶媒中に溶出する十分な時間とすればよく、作業性を考慮して適宜調整すればよいが、所望の接触温度に昇温してから0〜5時間程度の時間を固体状溶融物が水に接触するようにすればよい。作業性の観点から、保持時間は0〜3時間がより好ましく、0〜1時間がさらに好ましい。
溶媒の添加量は、固体状溶融物100質量部に対し、50〜5000質量部が好ましい。固体状溶融物に対し溶媒を50質量部以上用いることで十分に固体状溶融物を含浸することができるため好ましく、5000質量部以下であれば加熱する溶媒の量を少なくすることができるため好ましい。溶媒の添加量は、不純物除去能力と作業性の観点から、固体状溶融物に対し、100〜3000質量部がより好ましく、100〜2000質量部が更に好ましい。
本発明において、溶媒として有機溶媒を用いる場合においても固体状溶融物を所望の大きさに粉砕して用いてもよい。粗オリゴマーを粉砕することで有機溶媒に接触する表面積が大きくなり、不純物が溶け易くなるため処理時間を短縮することができる。
また、溶媒の加熱手段としては特に限定されず、ヒータ等の公知の加熱手段を用いて行うことができる。
不純物が溶出した溶媒の除去方法としては、公知の手段により行うことができ、例えば、膜分離、遠心分離、デカンテーション、蒸留、吸着等が挙げられ、中でも、作業の簡便性やランニングコストの観点から、膜分離により行うのが好ましい。
本発明において、前記工程(A)及び前記工程(B)が同じ装置内で連続的に行われることが好ましい。同じ装置内で連続的に処理することにより、簡便な処理操作が可能となり、設備コスト及び処理コストを低減することができる。
工程(A)と工程(B)を行う装置としては、密閉装置(耐圧性装置)が挙げられる。耐圧性装置は、系全体を加熱するためにヒータを備えていることが好ましい。ヒータを備えた耐圧性装置を使用することにより、工程(A)における水蒸気による処理圧力及び加熱温度を任意に調整することができる。例えば、上記したような飽和水蒸気圧曲線に沿って水蒸気を上昇させる操作等を簡単に行うことができる。なお、圧力及び温度の上昇及び下降は、公知の制御手段を適宜適用することにより制御可能である。
図2は、密閉装置内で工程(A)と工程(B)を連続的に行うことによりオリゴマー再生物を製造する製造方法を説明するための模式図である。
図2(a)に示したように、ヒータ(図示せず)を備えた密閉装置(耐圧性装置)20内に、耐圧性装置20の上方に第1容器21が、該第1容器21の下部に第2容器22がそれぞれ設置されている。第1容器21の底部には、被処理物Sの加水分解により生じる流動状態のオリゴマー再生物を含む溶融物を通過させ、かつ加水分解により溶融しなかった物質を通過させない複数の孔部Aを有する分離手段23が設けられ、該孔部Aは、前記の特定の孔径(1〜1000μm)を有している。なお、第1容器21はその全体が分離手段23と同じ材質で形成されていてもよい。
第1容器21内には、被処理物Sが収容されている。耐圧性装置20の底部には、被処理物Sの加水分解処理に用いる水蒸気を発生させるための水W2が貯留されている。なお、水蒸気は、水W2を用いずに外部に設けた水蒸気発生装置(図示せず)により、耐圧性装置20内に供給されてもよい。
図2(b)に示したように、加水分解処理が実施されると、被処理物Sが加水分解され、オリゴマー再生物を含む溶融物H1が生成される。オリゴマー再生物を含む溶融物H1は、分離手段23を通過し、矢印に示すように第2容器22に向かって落下していく。落下したオリゴマー再生物を含む溶融物H1は、図2(c)に示すように、第2容器22に受け入れられ、放冷又は冷却手段を用いて冷却することにより固体化し、容易に回収することができる。一方、加水分解により溶融しない物質S1は分離手段23の孔部Aを通過することができず、残渣として第1容器21内に留まり、容易に除去される。
得られたオリゴマー再生物を含む溶融物H1はポリエステル系樹脂の再合成にそのまま用いてもよいが、必要に応じて精製処理を行えばよい。
本発明では上記のようにして得られたオリゴマー再生物を用いて再生ポリエステル系樹脂を製造することができる。具体的には、オリゴマー再生物を用いた縮重合反応は、公知の方法によって行うことができ、得られた再生ポリエステル系樹脂はペレット状等の形状で各種成形品に加工することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の応用が可能であり、本発明は下記実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示す装置を用い、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルのボトル及びポリプロピレン製のキャップ(合計重量35g)の加水分解処理を行った。
まず、図2(a)に示したように、ヒータ(図示せず)、第1容器21及び第2容器22を備えた耐圧性装置20を準備した。第1容器21は、孔径1mmの開口部が前面に形成されたステンレス(SUS)製容器であり、容器底部に孔径75μmのSUS製のメタルメッシュ(開口率40%)を設置した。
第1容器21の内容積は5Lであり、その中に、図3(a)に示すように、上記PET製ボトルとキャップをメタルメッシュ上に載置した。耐圧性装置20の底部には、水蒸気を発生するための水W2が貯留され、ヒータによって加水分解処理に必要な量の水蒸気を発生させることができる。
続いて、耐圧性装置20内で工程(A)及び工程(B)を連続的に実施した。すなわち、飽和水蒸気圧(圧力1.8MPa)の条件下、耐圧性装置20の内部温度を上昇させ、PET製ボトルとキャップを水蒸気雰囲気に曝露し、耐圧性装置内の水蒸気雰囲気温度が210℃に達してから2時間経過した後、降圧した。
第2容器22内に、図3(b)において丸で囲んだ部分に示すように、28gの固体が回収された。HPLCにより確認したところ、重量平均分子量300のオリゴマー再生物であった。HPLCによる測定条件は以下の通りとした。
<HPLC測定条件>
装置:HPLC8220(商品名、東ソー株式会社製)
カラム:TSKgelsuper(商品名、東ソー株式会社製)
溶離液:ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)
流量:0.15mL/min
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準物質:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
また、第1容器21内の残渣を確認したところ、図3(c)に示すように、ポリエステル系樹脂以外の材料がメッシュ上に残存していた。残存物はPET製ボトルの口部に嵌っていたキャップリングとキャップであり、これらをメッシュから取り除いた際に、メッシュへの固着は見られなかった。
(実施例2〜8、比較例1)
市販のポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルのキャップの加水分解処理を行った。キャップはポリプロピレン製だった。
使用するメタルメッシュの孔径を、表1に記載の孔径のものを用い、実施例1と同様の方法で実施した。
加水分解処理後、メッシュ上に残存したキャップについて、メッシュから除去する際の作業性を以下の基準により、「◎」、「〇」、「△」、「▲」、「×」の5段階で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
◎:初めからメッシュから浮いている状態であり、簡単にとれる。
○:引っ張らなくてもとれる。
△:引っ張るととれる。目詰まりはない。
▲:力いっぱい引っ張るととれるが、メッシュの目へのPPの詰りが見らえる。
×:力いっぱい引っ張るととれるが、PPがメッシュの目に詰まっており、メッシュの目が広がり、メッシュの再利用が難しい。
また、実施例2〜8、比較例1それぞれの、メッシュ上に残ったキャップを除去した後の状態を図4に示す。
表1及び図4の結果から、本発明の製造方法によるとオリゴマー再生物を生産性良く得ることができることがわかった。中でも孔径500μm以下のメッシュ(分離手段)を用いた実施例2〜7は、メッシュへの残渣の目詰まりもなく、残渣の除去作業が容易であり、よってメッシュを再利用可能であるため、作業コストを抑えることができる。
一方、比較例1はキャップを除去した後に残った付着物を除去しようとしても剥離に力を要し、メッシュが伸びて穴が開いた。このようなメッシュは再利用が出来ず破棄する結果となった。
本発明の製造方法により得られるオリゴマー再生物は、ケミカルリサイクル技術によって、限りある石油資源の供給を持続可能とする社会を構築の一助となり得る。
20 耐圧性装置
21 第1容器
22 第2容器
23 分離手段
A 孔部
H1 オリゴマー再生物を含む溶融物
S 被処理物
S1 加水分解により溶融しない物質
W2 水

Claims (8)

  1. ポリエステル系樹脂を含む被処理物を分解してオリゴマー再生物を得るオリゴマー再生物の製造方法であって、
    (A)前記被処理物を水蒸気雰囲気に曝露して加水分解して、ポリエステル系樹脂のオリゴマー再生物を生成させる工程、及び
    (B)孔径1〜1000μmの孔部を有する分離手段により、前記オリゴマー再生物を含む溶融物と残渣とを分離する工程
    を含むことを特徴とするオリゴマー再生物の製造方法。
  2. 前記工程(A)及び前記工程(B)を、密閉装置内で連続的に行うことを特徴とする請求項1に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  3. 前記被処理物が前記分離手段を備えた容器に収容され、前記工程(A)及び前記工程(B)が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  4. 前記分離手段が、メッシュ材又はパンチング材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  5. 前記分離手段の孔径が1〜900μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  6. さらに、(C)前記溶融物を洗浄して、前記オリゴマー再生物を精製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  7. 前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリトリメチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
  8. 前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項7に記載のオリゴマー再生物の製造方法。
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WO2023038271A1 (ko) * 2021-09-13 2023-03-16 주식회사 엘지화학 재활용 플라스틱 합성용 단량체 조성물, 이의 제조방법, 그리고 이를 이용한 재활용 플라스틱, 및 성형품

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