以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における画像形成装置1の全体構成を示す図である。図2は、給紙装置の制御系の主要部を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置本体20の側方(図1では右側)に外付け型の大容量給紙装置10(以下、「給紙装置10」と称する)が接続された構成を有する。
給紙装置10は、内部に三段の給紙ユニット10A〜10Cを備え、画像形成装置本体20に用紙を1枚ずつ給紙する。給紙装置10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を有する制御部100を備える。制御部100は、画像形成装置本体20の制御部28と協働して、給紙装置10の各ブロックの動作を集中制御する。具体的には、制御部100は、画像形成装置本体20からの制御信号、または後述する吸着状態検出部181、用紙検出部182、用紙送出検出部183、用紙高さ検出部184からの入力信号等に基づいて、用紙収容部11、吸着搬送部12、浮上エアー送風部13、分離エアー送風部(送風部)14、及び出口ローラー部15の動作を制御する。給紙ユニット10A〜10Cの詳細については後述する。
画像形成装置本体20は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置本体である。画像形成装置本体20には、CMYKの4色に対応する感光体ドラムを中間転写ベルトの走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。すなわち、画像形成装置本体20は、感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルトに転写(一次転写)し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
画像形成装置本体20は、画像読取部21、操作表示部22、画像処理部23、画像形成部24、定着部25、給紙部26、用紙搬送部27、及び制御部28を備える。
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置本体20の各ブロックの動作を集中制御する。また、制御部28は、給紙装置10の制御部100と協働して、給紙装置10の動作を制御する。
画像読取部21は、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)及び原稿画像走査装置(スキャナー)等を備える。画像読取部21において、自動原稿給紙装置からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿が原稿画像走査装置によって読み取られ、入力画像データが生成される。
操作表示部22は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部及び操作部として機能する。
画像処理部23は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じた階調補正、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等のデジタル画像処理を行う。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部24が制御される。
画像形成部24は、画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成する。画像形成部24は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び中間転写装置を備える。画像形成部24においては、感光体ドラムの表面が帯電装置によって一様に帯電される。この帯電した感光体ドラムに対して、露光装置によって画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムに対して、現像装置によってトナーが供給されることにより、静電潜像が可視化されてトナー像が形成される。このトナー像が、中間転写ベルト等を有する中間転写装置によって用紙に転写される。
定着部25は、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部、及び加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙を挟持して搬送する定着ニップが形成される。定着部25は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱及び加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。
給紙部26は、複数(図1では三段)の給紙トレイを有する。給紙トレイには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。
用紙搬送部27は、給紙部26または給紙装置10から給紙された用紙を画像形成部24に搬送する。画像形成部24の二次転写部を用紙が通過する際、中間転写ベルト上のトナー像が用紙の一方の面(表面)に一括して二次転写され、定着部25において定着処理が施される。画像が形成された用紙は、排紙ローラーにより機外に排紙される。用紙の両面に画像を形成する場合は、表面に画像が形成された用紙が裏面用搬送路に搬送され、反転した状態で画像形成部24に搬送される。
図3は、給紙装置10の要部である給紙ユニット10A〜10Cを示す斜視図である。図3では、吸着搬送部12を用紙搬送方向下流側に矢印Z分だけずらして示している。図4は、図3におけるIII−III矢視断面図であり、図5は、図4において送風路切替部の動作を示す図である。以下において、「用紙搬送方向下流側」を「前端側」、「用紙搬送方向上流側」を「後端側」と称することもある。
図3、4に示すように、給紙ユニット10A〜10Cは、用紙収容部11、吸着搬送部12、浮上エアー送風部13、分離エアー送風部14、出口ローラー部15、出口ガイド部16、及びガイド部材30等を備える。
用紙収容部11は、用紙載置台111、前端規制部材112、後端規制部材113、側端規制部材114,115を有し、複数の用紙を収容する。例えば、給紙ユニット10Aの用紙収容部11には1300枚、給紙ユニット10B,10Cの用紙収容部11にはそれぞれ1850枚、全体として5000枚程度の用紙が収容される。用紙収容部11は、それぞれガイドレールによって給紙装置10から引き出し可能となっている。
用紙載置台111は、載置されている用紙束SSの上端面(最上位の用紙)が常に一定の位置となるように昇降可能となっている。用紙載置台111は、用紙の補給時には、最下部まで下降する。用紙載置台111の昇降動作は、制御部100によって制御される。前端規制部材112は、用紙載置台111の前端に固定され、用紙束SSの前端位置を規制する。
後端規制部材113は、用紙搬送方向に移動可能に構成され、用紙束SSの用紙長に対応して配置される。後端規制部材113は、用紙束SSを後端側から軽く押圧して、用紙束SSの後端位置を規制する。後端規制部材113は、浮上エアー送風部13または分離エアー送風部14の送風により用紙が浮上した場合も含めて常に用紙の後端位置を規制できるような高さと形状を有する。後端規制部材113には、用紙載置台111に積載された用紙束SSの最上部の高さを検知する用紙高さ検出部184が配置される。制御部100は、用紙高さ検出部184の検出結果に基づいて、用紙載置台111の昇降動作を制御する。
側端規制部材114、115は、用紙幅方向に移動可能に構成され、用紙束SSの用紙幅に対応して配置される。側端規制部材114、115は、用紙束SSを用紙幅方向両側から軽く押圧して、用紙束SSの側端位置を規制する。側端規制部材114、115は中空構造を有し、内部に浮上エアー送風部13が配置される。側端規制部材114、115は、内面(用紙束SSに当接する面)の上部に、浮上エアー送風部13から送風されたエアーの送風口114a,115aを有する。送風口114a,115aは、用紙搬送方向において、吸着搬送部12と少なくとも一部が重なるように配置される。
吸着搬送部12は、用紙幅方向に並設された第1の吸着搬送部12A、第2の吸着搬送部12B、第3の吸着搬送部12C、及び第4の吸着搬送部12Dを有し、用紙載置台111の上方に配置される。第1の吸着搬送部12A〜第4の吸着搬送部12Dは、同様の構成を有するので、図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にA、B、C、またはDを添えて示すこととする。
吸着搬送部12は、無端状の搬送ベルト121及び搬送ベルト121の内部に配置されるエアー吸引部122を有する。搬送ベルト121は、全面にわたって多数の吸引孔121aを有する。搬送ベルト121は、エアー吸引部122の用紙搬送方向上流側に設けられた大径ローラー123と、前方に設けられた二つの小径ローラー124、125(区別する場合は、「上側小径ローラー124」、「下側小径ローラー125」と称する)に巻回される。大径ローラー123及び小径ローラー124、125は、巻回される搬送ベルト121が横ずれしないように、太鼓状(クラウン状)に形成される。
大径ローラー123A〜123Dは、それぞれの搬送ベルト121A〜121Dに対応して、共通のローラー軸123aに取り付けられる。ローラー軸123aは、動力伝達機構(図示略)を介して駆動モーターに接続される。制御部100が駆動モーターを駆動させることに伴い、大径ローラー123が回転し、搬送ベルト121が一定の方向に走行する。
上側小径ローラー124A〜124Dは、それぞれの搬送ベルト121A〜121Dに対応して、共通のローラー軸に取り付けられる。大径ローラー123の最上部の位置と上側小径ローラー124の最上部の位置は同じである。上側小径ローラー124は、搬送ベルト121の走行に従動して回転する。
下側小径ローラー125A〜125Dは、それぞれの搬送ベルト121A〜121Dに対応して、共通のローラー軸に取り付けられる。大径ローラー123の最下部の位置と下側小径ローラー125の最下部の位置は同じである。すなわち、搬送ベルト121A〜121Dによる用紙の搬送面は水平面となる。下側小径ローラー125A〜125Dは、搬送ベルト121の走行に従動して回転する。
エアー吸引部122は、搬送ベルト121A〜121Dを貫通して装置奥側(吸着搬送部12A側)に延び、搬送ベルト121A〜121Dに対応する部分の下面に吸引口を有する吸引ダクト122aと、吸引ダクト122aの最も奥側に配置される吸引ファン(図示略)を有する。吸引ファンが作動すると、吸引ダクト122a内が負圧となり、吸引孔121aを介して用紙が搬送ベルト121に吸引され、吸着する。吸引ファンの動作は、制御部100によって制御される。
吸着搬送部12には、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かを検出する吸着状態検出部181が配置される。吸着状態検出部181は、例えば検出フラップ181aと透過型の光センサー(フォトインタラプター)181bで構成される。検出フラップ181aは、例えば大径ローラー123Bと大径ローラー123Cとの間に配置される。光センサー181bは、発光部(図示略)と受光部(図示略)とを有し、受光部に入射した光の強度を検知する。
用紙が搬送ベルト121に吸着していない状態において、検出フラップ181aは、一端側が搬送ベルト121の搬送面よりも下方に突出し、他端側が光センサー181bの発光部から出射した光を遮断しない位置となる。一方、用紙が搬送ベルト121に吸着している状態において、検出フラップ181aは、一端側が搬送ベルト121の搬送面まで押し上げられ、他端側が光センサー181bの発光部から出射した光を遮断する位置となる。光センサー181bで検知された光の強度に基づいて、検出フラップ181aの位置を検出でき、したがって、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かを判断することができる。ただし、吸着状態検出部181は、搬送ベルト121に吸着している用紙が1枚目の用紙であるか2枚目の用紙であるかを判別することはできない。なお、吸着状態検出部181は、これに限定されるものではなく、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かを検出できる構成であれば良い。
浮上エアー送風部13は、送風ファン131及び導風路132を有する。浮上エアー送風部13は、側端規制部材114、115のそれぞれの内部に配置される。図3では、側端規制部材115の内部に配置される浮上エアー送風部13だけを図示している。送風ファン131は、例えば用紙のサイズ、紙質、坪量等で風量を制御し、最適な風量で送風できるようになっている。送風ファン131の動作は、制御部100によって制御される。
側端規制部材115の内部に配置された浮上エアー送風部13の導風路132は、送風口115aに連通する。側端規制部材114の内部に配置された浮上エアー送風部(図示略)の導風路(図示略)は、送風口114aに連通する。浮上エアー送風部13は、側端規制部材114,115の内部に配置されているので、用紙のサイズが変更された場合でも、側端規制部材114,115の移動に伴い、浮上エアー送風部13も一緒に移動する。
浮上エアー送風部13において、送風ファン131が作動すると、浮上エアーが上向きに送風され、導風路132で90°向きを変えられる。そして、浮上エアーは、送風口114a,115aを介して、用紙幅方向両側から用紙束SSの上部に送風される。これにより、用紙束SSの上位数枚の用紙が浮上する。
分離エアー送風部14は、送風ファン141、導風路142、送風路切替部17及び下流側シャッター(遮断部)19を有する。分離エアー送風部14は、前端規制部材112の用紙搬送方向下流側に配置される。送風ファン141は、例えば用紙のサイズ、紙質、坪量等で風量を制御し、最適な風量で送風できるようになっている。送風ファン141の動作は、制御部100によって制御される。
導風路142は、送風ファン141が送り出すエアーの経路を含む。導風路142は、前端規制部材112側で、用紙束SSの前端側に向かって開口する送風口142aを有する浮上用ダクト41と、吸着搬送部12の搬送方向側の端部に分離エアーを吹き付けるための搬送路42に接続される接続ダクト44と、を有する。
浮上用ダクト41は、送風ファン141からエアーが送られる導風口141aに接続されている。浮上用ダクト41では、第1エアーシャッター171の開閉動作によって、送風ファン141の導風口141aと送風口142aとが接続状態或いは非接続状態になる。浮上用ダクト41は、ここでは、導風口141aに接続され、前端規制部材112側に屈曲する屈曲管により形成されている。
接続ダクト44は、搬送路42に形成された開口(エア流入口421)を介して搬送路42に接続されている。ここでは、接続ダクト44は、搬送方向下流側から上流側に向けて傾斜するように搬送路42に接合されている。これにより、送風ファン141の分離エアーを、接続ダクト44から搬送路42内へ送出する際に、搬送方向上流側に向けて送出される。接続ダクト44は、搬送路42とともに、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアーを送風する風路となるダクト(「正面側ダクト」という)を構成する。なお、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面は、搬送ベルト121に吸着されたときの送り出し位置にある用紙の搬送方向側の端面である。
送風路切替部17は、送風経路を、浮上用ダクト41と、接続ダクト44とに切り替えることにより、吸着搬送部12の前端面と、用紙束SSの前端近傍とに、エアーの送風方向を切り替え可能である。この場合、分離エアー送風部14は、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が行われるときには、浮上用ダクト41に切り替えて、用紙束SSの前端近傍に浮上エアーの送風(図5の矢印AC1で示す)を行う(第1の送風)。また、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が停止されると接続ダクト44に切り替えて、吸着搬送部12の前端面(吸着された用紙の前端面)に分離エアーの送風(図4の矢印AC2で示す)を行う(第2の送風)。つまり、分離エアー送風部14は、浮上エアー送風部としても機能する。
実施の形態1における送風路切替部17は、図4及び図5に示すように、第1エアーシャッター171と、第2エアーシャッター172とを有する。
第1エアーシャッター171は用紙束SSの前端面に浮上エアーを送風(矢印AC1)するダクトに切り替える。第1エアーシャッター171は、導風路142(詳細には屈曲管)において、浮上エアー用風路となる浮上用ダクト41を開閉する。
第2エアーシャッター172は、吸着搬送部12の前端面、つまり、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアー(「正面分離エアー」ともいう)を送風(矢印AC2)するダクトに切り替える。第2エアーシャッター172は、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアーを送風する正面側ダクトを開閉する。
特に、第2エアーシャッター172は、吸着搬送部12の下流側の搬送路42に形成されたエアー流入口421を開閉する。第2エアーシャッター172を可動して、エアー流入口421を開放することにより、接続ダクト44と搬送路42とを連続させて、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に向かって分離エアーを送風する正面側ダクトが形成される(図4参照)。なお、一方、第1エアーシャッター171を開き、第2エアーシャッター172によりエアー流入口421を閉塞することによって、図5に示す浮上用ダクト41に切り替えられる。
第1エアーシャッター171及び第2エアーシャッター172は、各風路を開閉するものであればどのように構成されてもよく、例えば、ソレノイドにより開閉するシャッターにより構成してもよい。第1エアーシャッター171、第2エアーシャッター172は、一端側に設けた軸部を中心に回動自在な互いに対向するシャッター板を有する。このシャッター板は、一端側に設けたリップを介して、ソレノイドに対して進退動するプランジャーに接続する。シャッター板は、プランジャーの進退動により軸部を中心に回動することにより、エアー流入口421、浮上用ダクト41を開閉する。第1エアーシャッター171及び第2エアーシャッター172の動作は制御部100によって制御される。
特に、第2エアーシャッター172はシャッター板172aが搬送路42内で開閉することにより、搬送面145のエアー流入口421を開放状態或いは閉塞状態とする。また、第2エアーシャッター172は、回動軸となる一端部を、搬送路42の下流側に配置しているので、シャッター板172aを可動して、エアー流入口421を開放状態にした際に、搬送路42を下流側で閉塞できる(図4参照)。これにより、送風ファン141からのエアーが搬送路42内に送風された際に、搬送路の下流側から漏れることなく、正面分離エアーとして、搬送路上流側から、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に向かって吹き出す。
すなわち、送風路切替部17が図5の状態では、送風ファン141(図3参照)が作動すると、導風口141aから導風路142の送風口142aを介して、用紙束SSの前端近傍、または吸着搬送部12の前端面下方に浮上エアーが送風される。用紙束SSの前端近傍、または吸着搬送部12の前端面下方への浮上エアーの送風を行うことにより、用紙束SSの上位数枚の用紙を効率よく浮上させることができる。また、送風路切替部17が図4の状態では、吸着搬送部12の前端面に向かって分離エアー(正面分離エアー)の送風を、搬送路下流側へのエアー漏れを防止しつつ行うことにより、搬送ベルト121に吸着した複数枚の用紙から2枚目以降の用紙を効率良く分離させ、1枚目の用紙だけを搬送ベルト121に吸着させて搬送することができる。
下流側遮断シャッター19は、搬送路42においてエアー流入口421よりも下流側に配置され、搬送路42を開閉する。下流側遮断シャッター19は、正面側ダクトに切り替えられるときに、搬送路42を下流側で閉塞する。本実施の形態では、第2エアーシャッター172によっても搬送路42の下流側を閉塞できるので、この第2エアーシャッター172と、下流側遮断シャッター19とのいずれか一方を有する構成としてもよい。しかしながら、第2エアーシャッター172と下流側遮断シャッター19との双方を有する構成とすれば、正面分離エアーを送風する際の搬送路下流側へのエアー漏れを更に防ぎ、より効率良く正面分離エアーを送風できる。
分離エアー送風部14の上面は、ガイド部材30とともに搬送路42を画成する通紙部40を形成する。
ガイド部材30は、ここでは、分離エアー送風部14においてエアー流入口421が形成された搬送面145に対向配置されたガイド板により構成され、搬送面145とともに、搬送路42の上下面を画成する。ガイド部材30としてのガイド板は、吸着搬送部12によって搬送されてきた用紙を出口ローラー部15に案内する。すなわち、ガイド板と搬送面145とによって形成された間隙(搬送路42)に用紙が搬送される。
また、ガイド部材30には、下流側遮断シャッター19の上流側に、用紙送出検出部183(いわゆるフィードセンサー)が配置される。ここでは、用紙送出検出部183は、搬送路42を挟みエアー流入口421と対向する位置に配置される。用紙送出検出部183は、例えば反射型の光センサーで構成され、受光した反射光の強度に基づいて、用紙の通過、具体的には用紙の先端部の通過を検出する。これにより、用紙送出検出部183によって、搬送路42においてエアー流入口421を用紙の先端部が通過したことを検出できる。
出口ローラー部15は、上側搬送ローラー151と、上側搬送ローラー151に当接する下側搬送ローラー152とを有する。上側搬送ローラー151は駆動ローラーであり、下側搬送ローラー152が従動ローラーである。出口ローラー部15は、吸着搬送部12により送り出された用紙を、上側搬送ローラー151と下側搬送ローラー152とで挟持して、用紙搬送方向下流側に送り出す。
出口ガイド部16は、上側ガイド板161および下側ガイド板162を有し、吸着搬送部12によって搬送されてきた用紙を出口ローラー部15に案内する。上側ガイド板161と下側ガイド板162とによって形成された間隙に用紙が搬送される。
出口ローラー部15の用紙搬送方向上流側には用紙検出部182(いわゆるフィードセンサー)が配置される。用紙検出部182は、例えば反射型の光センサーで構成され、受光した反射光の強度に基づいて、用紙の有無を検出する。用紙検出部182によって用紙が出口ローラー部15に進入し始めることを検出できる。また、出口ローラー部15における用紙の搬送速度と用紙サイズに基づいて、出口ローラー部15からの用紙の排出タイミングを算出することができる。用紙検出部182によって、紙ジャム等の給紙不良を検出することができる。なお、出口ローラー部15の用紙搬送方向下流側に、出口ローラー部15から用紙が排出されたことを検出するための用紙検出部を配置するようにしてもよい。
制御部100は、特に、分離エアー送風部14におけるエアー送風動作を制御する際に、動作環境に応じて、送風路切替部17による正面側ダクト、浮上用ダクト等の分離エアーを送風する経路の切替タイミングや分離エアー(本実施の形態では「正面分離エアー」に相当)の風量を可変させて制御する。例えば、動作環境として、高温高湿(温度摂氏30度程度、湿度80%程度)、常温常湿(温度摂氏20度程度、湿度50%程度)、低温低湿(温度摂氏10度程度、湿度20%程度)等が設定され、これらの設定に応じて、風量を高温高湿>常温常湿>低温低湿のように変更する。また、用紙が薄紙等の低剛度の用紙、或いは、厚紙等の高剛度の用紙である場合、風量を低剛度の用紙<高剛度の用紙のように調整して分離性を高めている。
図6は、給紙装置10における給紙処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す給紙処理は、例えば、画像形成装置本体20から給紙開始情報が入力されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、用紙載置台111は、用紙の補給に備えて、最下部まで下降しているものとする。また、図7は、給紙装置の各ブロックの給紙時における動作の例を示すタイミングチャートである。
まず、ステップS101において、制御部100は、用紙載置台111を所定位置まで上昇させる。ここで、所定位置とは、用紙載置台111に用紙が載置されている場合、最上位の用紙がエアー吸引部122の吸引力を受ける位置である。具体的には、用紙高さ検出部184の検出結果に基づいて制御部100は、用紙載置台を上昇させる。
ステップS102において、制御部100は、エアー吸引部122を制御してエアーによる吸引を開始させる。エアー吸引部122は、給紙処理が終了するまで常時エアーによる吸引を行う。
ステップS103において、制御部100は、浮上エアー送風部13を制御して用紙束SSの上部側方に浮上エアーを送風させる。また、制御部100は、分離エアー送風部14を制御して用紙束SSの上部前方に浮上エアーを送風させる。分離エアー送風部14を制御して浮上エアーの送風を行う際には、送風路切替部17を制御して、第2エアーシャッター172のシャッター板を回動して、接続ダクト44の開口(エアー流入口421)を閉塞し、浮上用ダクト41を介した浮上エアーの送風動作を開始する。用紙収容部11に収容された用紙束SSの上位数枚の用紙は、自重に抗して浮上する。浮上した用紙は、エアー吸引部122によって吸引され、搬送ベルト121に吸着する。なお、浮上エアー送風部13の浮上エアーの送風は、分離エアー送風部14における浮上エアーの送風とともに行う。
ステップS104において、制御部100は、吸着状態検出部181の検出結果に基づいて、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かを判定する。用紙が搬送ベルト121に吸着すると、吸着状態検出部181において用紙の吸着が検出される。用紙が搬送ベルト121に吸着している場合(ステップS104で“YES”)、処理はステップS105に移行する。用紙が搬送ベルト121に吸着していない場合(ステップS104で”NO”)、搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されるまで待機する。ただし、浮上エアーの送風が開始されてから所定時間経過しても搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部14等を用いた給紙処理を終了する。
ステップS105において、制御部100は、浮上エアー送風部13を制御して浮上エアーの送風を停止させる。ここで、制御部100が下流側遮断シャッター19も制御する処理の場合、下流側遮断シャッター19を閉状態にして下流側開口を閉塞する。また、同時に、制御部100は、分離エアー送風部14を制御して、浮上エアーの送風動作を停止して、分離エアーの送風動作を開始し、吸着搬送部12の前端面に分離エアーを送風させる。
具体的に、ステップS105において分離エアー(正面分離エアー)を送風する場合、制御部100は、分離エアー送風部14の送風路切替部17を制御する。ここでは、図4に示すように、送風路切替部17の第1エアーシャッター171は、分離・浮上エアー風路切替部として機能し、第2エアーシャッター172は、用紙の正面から吹き付ける正面分離エアー風路切替部として機能する。制御部100は、第1エアーシャッター171を可動制御して浮上用ダクト41を閉じて、送風口142aからの送風動作を停止し、第2エアーシャッター172を可動制御してエアー流入口421を開放する。これにより、接続ダクト44と搬送路42とを連続させて、接続ダクト44を介して搬送路42と導風口141aとを連通させる(図7に示すタイミングt1)。このようにして分離エアー送風部14では、送風ファン141の送風方向を切り替えて浮上エアーの送風を停止し、送風ファン141による分離エアー(正面分離エアー)の送風を開始する。
分離エアー送風部14からの分離エアーは、吸着搬送部12より下流側の搬送路42を介して、搬送ベルト121に吸着された用紙に向かって送風される。すなわち、搬送ベルト121に吸着された用紙の前端面(搬送方向側の端面でもある)は、真正面から分離エアー(正面分離エアー)を受ける。用紙の真正面、つまり、用紙の端部の真正面からの分離エアー)は、用紙の正面の下方から送風される従来の構成と比較して、より用紙に対する分離性が高い。また、分離エアーの吹きつけのために、給紙動作を停止させることなく行うことができる。これにより、生産性を低下させることなく、用紙を一枚ずつ確実に好適に分離できる。
ステップS106において、制御部100は、用紙の搬送動作を開始させるとともに分離エアーの送風動作を停止する。具体的には、制御部100は、吸着搬送部12を制御して、搬送ベルト121を走行させる。また、制御部100は、出口ローラー部15を制御して、上側搬送ローラー151を回転させる。搬送ベルト121が走行することにより、1枚目の用紙は搬送ベルト121に吸着した状態で搬送される。加えて、制御部100は、分離エアー送風部14を制御して、分離エアー(正面分離エアー)の送風動作を終了させる(図7のタイミングt2)。
なお、用紙の搬送動作が開始されると、用紙は搬送路42に送り出される。送りされた用紙は、搬送路42を通り、出口ガイド部16の上側ガイド板161および下側ガイド板162間に侵入する。そして、これら上下側ガイド板161、162にガイドされて、出口ローラー部15の上側搬送ローラー151と、下側搬送ローラー152とに挟持されて、更に、用紙搬送方向下流側に送り出される。出口ガイド部16に侵入する用紙は、用紙正面から受ける分離エアーによって、その用紙より下の用紙とは確実に分離させた用紙となる。
次いで、ステップS107において、制御部100は、吸着状態検出部181の検出結果に基づいて、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かの判定により、用紙の搬送が終了したかを判定する。用紙が搬送ベルト121に吸着していなければ(ステップS107で“YES”)、用紙は搬送路42に搬出されたと判定(搬出終了)し、処理はステップS108に移行する(図7に示すタイミングt5)。用紙が搬送ベルト121に吸着している場合(ステップS107で”NO”)、搬送ベルト121へ吸着した用紙を検出しなくなるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されている場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部14等を用いた給紙処理を終了する。
次いで、ステップS108において、制御部100は、次の用紙の給紙要求があるか否かを判定する。次の用紙の給紙要求がある場合(ステップS108で“YES”)、処理はステップS103に移行し、制御部100は、エアー吸引部122による吸引動作、及び、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風により、搬送ベルト121に吸着させた後、用紙の搬送を行う。なお、図7に示すタイミングt6での処理は、次の用紙がある場合、同図7のタイミングt1での処理と同様である。次の用紙の給紙要求がない場合(ステップS108で”NO”)、給紙処理は終了となる。
以上詳しく説明したように、本実施の形態における給紙装置10は、複数の用紙を収容する用紙収容部11と、用紙収容部11に収容される用紙の上方に位置するとともに、当該用紙を吸着して用紙搬送方向に送り出す吸着搬送部12と、吸着搬送部12に吸着される用紙の用紙搬送方向側の端部に対向して開口し、吸着搬送部12により送り出された用紙を搬送する搬送路42を有する通紙部40と、搬送路42に接続され、搬送路42を介して分離エアーを送風して、吸着搬送部12に吸着された最上位の用紙とその下の用紙とを分離させる分離エアー送風部(送風部)14と、を備える。また、搬送路42と分離エアー送風部14との接続部分を開閉自在な第2エアーシャッター(シャッター部)172を有し、分離エアー送風部14からの分離エアーの流入を遮断してもよい。また、制御部100は、分離エアー送風部14により搬送路42を介して行う分離エアー(正面分離エアー)の送風を、吸着搬送部12により用紙を吸着してから吸着搬送部12により用紙を搬送方向に送り出すまで行う。
制御部100は、吸着搬送部12が用紙を吸着するタイミングで送風路切替部17(第1及び第2エアーシャッター171、172)により搬送路42と分離エアー送風部14(具体的には送風ファン141の導風口141a)との間を開放して分離エアーを送風する。また、吸着搬送部12が用紙を搬送方向に送り出すタイミングで、送風路切替部17(第1及び第2エアーシャッター171、172)により搬送路42と分離エアー送風部14(具体的には送風ファン141の導風口141a)との間を閉塞して、分離エアー送風部14からの分離エアーの流入を遮断する。
また、搬送路42の下流側には、分離エアーを送風する際に、搬送路42の下流の開口を開閉することにより遮断自在な下流側遮断シャッター(遮断部)19を有してもよい。
吸着搬送部12を駆動して用紙を搬送し、分離エアー送風部14の分離エアー(正面分離エアー)の送風と、下流側遮断シャッター19の開閉とを制御する制御部100を有してもよい。下流側遮断シャッター19は、分離エアー(正面分離エアー)を送風する際に下流側遮断シャッター19により搬送路42をエアー流入口421の下流側で遮断し、吸着搬送部12を駆動する際に、下流側遮断シャッター19により搬送路42の下流を遮断してもよい。
本実施の形態によれば、搬送ベルト121に直接吸着された用紙に対して、当該用紙の搬送方向下流側の搬送路42から分離エアーを吹き付けるので、用紙の真正面に、分離エアーを吹き付けることができる。これにより、搬送ベルト121に直接吸着する1枚目の用紙の下方に位置する用紙が浮遊しているおそれがある場合でも、より効率良く確実に用紙を分離させて、一枚のみを搬送ベルト121に吸着させて、給紙装置10の外部、例えば、画像形成装置本体20に排紙できる。また、用紙の端面に真正面から分離エアーが吹き付けられるので、分離エアーの風量自体を押さえて効率良く分離エアーを吹きつけることができる。このように生産性を低下させることなく、用紙を一枚ずつ確実に分離して安定して給紙できる。また、下流側遮蔽シャッター19や第2エアーシャッター172等により、搬送路42を介して行う分離エアーの送風時に、搬送路42の下流側を閉塞できる。これにより、用紙の搬送路42において、分離エアーの漏れを防止しつつ、搬送路42の下流側から、分離エアーを効率良く効果的に、搬送ベルト121に吸着された用紙の前端面に吹き付けることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る給紙装置の要部構成を示す断面図であり、図9は、図8において送風路切替部の動作を示す図である。
なお、この実施の形態2における給紙装置は、図1に示す実施の形態1における給紙装置10と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態2の給紙装置は、図1及び図3〜図5に示す実施の形態1の給紙ユニット10A〜10Cの分離エアー送風部14の構成のみが異なり、その他の構成は同様の給紙ユニット50を有する。実施の形態2の給紙装置は、給紙ユニット50を実施の形態1の給紙ユニット10A〜10Cのそれぞれに替えて構成される。
より具体的には、実施の形態2の給紙装置は、分離エアー送風部14に換えて分離エアー送風部54を有する。分離エアー送風部54は、実施の形態1の分離エアー送風部14と比較して、機能及び効果は同様であるが、浮上用ダクト41と、搬送路42を含む正面側ダクトを切り替える送風路切替部57の構成が異なる。
実施の形態2の給紙装置の給紙ユニット50では、分離エアー送風部54は、送風ファン141、導風路542、送風路切替部57及び下流側遮断シャッター19を有する。分離エアー送風部54は、前端規制部材112の用紙搬送方向の下流側に配置される。送風ファン141は実施の形態1の送風ファン141であり、その動作は、制御部100によって制御される。制御部100は、図2において分離エアー送風部14に替えて分離エアー送風部54を、分離エアー送風部14と同様に制御することによって、送風ファン141、送風路切替部57、下側遮断シャッター19等を可動させる。
導風路542は、送風ファン141が送り出すエアーの経路であり、前端規制部材112側で、用紙束SSの前端側に向かって送風口142aで開口する浮上用ダクト41Aを含む屈曲管410と、吸着搬送部12の搬送方向側の端部に分離エアーを吹き付けるための搬送路42に接続される接続ダクト44Aと、を有する。
屈曲管410は、送風ファン141の導風口141aに一端側の開口が接続された浮上用ダクト41Aを構成する。屈曲管410は、前端規制部材112側で、用紙束SSの前端側に向かって開口する送風口142aを有し、送風路切替部57の開閉動作によって送風ファン141の導風口141aと、浮上用ダクト41Aの送風口142aを連絡させる。
接続ダクト44Aは、搬送路42とともに搬送ベルト121に吸着した用紙の正面(搬送ベルト121に吸着されたときの送り出し位置にある用紙の搬送方向側の端面)に分離エアーを送風する風路となるダクト(正面側ダクト)を構成する。接続ダクト44Aは、送風ファン141からの送風を搬送路42に案内し、その下流側から、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に向かって吹き付ける、正面分離エアーとして、搬送路42の上流側の口部から送出する。接続ダクト44Aは、搬送路42に形成された開口(エア流入口421)を介して搬送路42に接続されている。なお、接続ダクト44Aは、実施の形態1の接続ダクト44と同様に、搬送方向下流側から上流側に向けて傾斜するように搬送路42に接合されてもよい。この場合、送風ファン141の分離エアーを接続ダクト44Aから搬送路42へ送出する際に搬送方向上流側に向けて送出される。
分離エアー送風部54は、実施の形態1の送風路切替部17と同様の機能を有する送風路切替部として送風路切替部57を有し、吸着搬送部12の前端面(搬送方向側の端面の真正面)と、用紙束SSの前端近傍とに、エアーの送風方向を切り替え可能である。この場合、分離エアー送風部54は、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が行われるときには、用紙束SSの前端近傍に浮上エアーの送風を行い(第1の送風)、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が停止されると吸着搬送部12の前端面に分離エアーの送風を行う(第2の送風)。つまり、分離エアー送風部54は、浮上エアー送風部としても機能する。
実施の形態2における送風路切替部57は、図8及び図9に示すように、導風路542において、送風ファン141の導風口141aと搬送路42とを接続する接続ダクト44Aと、屈曲管410における浮上用ダクト41Aとのそれぞれを開閉可能に配置されている。
ここでは、送風路切替部57は、一端側に設けた軸部57cを中心に回動自在な互いに対向するシャッター板57a、57bを有する。送風路切替部57では、屈曲管410の上面側に、軸部57cが取り付けられる。この軸部57cを中心にシャッター板57a、57bは、接続ダクト44Aの開口441と、屈曲管410の開口とを開閉する。なお、送風路切替部57は、実施の形態1の第1エアーシャッター171及び第2エアーシャッター172と同様に、例えば、ソレノイドにより開閉するように構成してもよい。
図8に示すように、制御部100が送風路切替部57を制御することにより、シャッター板57aが屈曲管410の開口を閉塞した際には、接続ダクト44Aの開口441は開放される。また、図9に示すように、シャッター板57bが接続ダクト44Aの開口(エアー流入口と称しても良い)441を閉塞した際に、屈曲管410の開口は開放される。ここでは、送風路切替部57は、実施の形態1と異なり、搬送路42内に配置されていない。
具体的には、シャッター板57aは、導風路542において、浮上エアー用風路となる浮上用ダクトとしての屈曲管410を開閉し、シャッター板57bは、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアーを送風する風路となるダクト(正面側ダクト)を開閉する。
このように、送風路切替部57が、接続ダクト44Aの開口を閉塞することで、実施の形態1の第2エアーシャッター172のように搬送路42内にシャッター板を配置することなく、用紙束SSの前端近傍に浮上エアーを送風(矢印AC1方向)するダクトに切り替わる。また、送風路切替部57が、浮上用ダクトとしての屈曲管410の開口を閉塞することで、吸着搬送部12の前端面、つまり、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアー(正面分離エアー、矢印AC2で示す)を送風するダクトに切り替わる。
また、分離エアー送風部54は、接続ダクト44Aと搬送路42とを繋ぐエアー流入口421よりも下流側に配置され、且つ、搬送路42を開閉する下流側遮断シャッター19を有する。下流側遮断シャッター19は、ここでは、搬送路42の下流側開口423を開閉自在に取りつけられており、正面側ダクトに切り替えられるときに、搬送路42を下流側で閉塞する。
分離エアー送風部54の上面は、ガイド部材30とともに搬送路42を画成する通紙部40として機能する。
ガイド部材30は、実施の形態1と同様の構成及び効果を有するため説明は省略する。
分離エアー送風部54が、図8に示す状態では、分離エアー送風部14と同様に、送風ファン141が作動すると、特に、吸着搬送部12の前端面(端部の正面)に正面分離エアー(AC2)が送風される。分離エアー送風部54が、図9に示す状態では、導風路542における浮上用ダクト41Aの送風口142aを介して、用紙束SSの前端近傍に浮上エアーが送風(AC1)される。これにより、用紙束SSの上位数枚の用紙を効率よく浮上させることができる。また、図8に示す分離エアー送風部54の状態では、搬送路42を介して正面分離エアーを吸着搬送部12の前端面に吹き付けるので、用紙束SSの前端近傍搬送ベルト121に吸着した複数枚の用紙から2枚目以降の用紙を分離させ、1枚目の用紙だけを搬送ベルト121に吸着させて搬送することができる。
図10は、給紙装置における給紙処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す給紙処理は、例えば、画像形成装置本体20から給紙開始情報が入力されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、用紙載置台111は、用紙の補給に備えて、最下部まで下降しているものとする。また、図11は、給紙装置の各ブロックの給紙時における動作の例を示すタイミングチャートである。
まず、ステップS101〜ステップS104までは、実施の形態1の給紙処理と同様である。
ステップS111において、制御部100は、浮上エアー送風部13を制御して浮上エアーの送風を停止させる。加えて、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、浮上エアーの送風動作を停止して、分離エアーの送風動作を開始し、吸着搬送部12の前端面に分離エアーを送風させる。このとき、制御部100は、下流側遮断シャッター19を閉状態にして搬送路42の下流側開口を閉塞する。
ステップS111では、特に、制御部100は、正面分離エアーを用紙に吹き付けるために、分離エアー送風部54の送風路切替部57を制御する。ここでは、実施の形態1の送風路切替部17に相当する送風路切替部57は、浮上エアー・分離エアー風路用切替部として機能する。
具体的には、制御部100は、送風路切替部57を制御して、シャッター板57aで屈曲管410の開口を閉塞するとともに、接続ダクト44Aの開口を開放して、導風口141aからの屈曲管410への送風動作を停止し、搬送路42と接続ダクト44Aとを接続して送風する(図11に示すタイミングt1で行い、図8の状態にする)。このようにして分離エアー送風部54では、送風ファン141の送風方向を切り替えて浮上エアーの送風を停止し、分離エアーの送風を開始する。
分離エアー送風部54からの分離エアーは、搬送ベルト121に吸着された用紙よりも下流側の搬送路42を介して、搬送ベルト121に吸着された用紙に向かって送風される。すなわち、搬送ベルト121に吸着された用紙における搬送方向側の端面は、真正面から分離エアー(正面分離エアー)を受ける。用紙の真正面、つまり、用紙の前端面の真正面からの分離エアーは、用紙の正面の下方から送風される従来の構成と比較して、より用紙に対する分離性が高い。また、分離エアーの吹きつけのために、給紙動作を停止させることなく行うことができる。これにより、印刷速度PPMの向上を図ることができ、生産性を低下させることなく、用紙を一枚ずつ確実に好適に分離できる。
ステップS112において、制御部100は、用紙の搬送動作を開始させると、分離エアーの送風動作を停止し、下流側遮断シャッター19を開状態にする。具体的には、制御部100は、吸着搬送部12を制御して、搬送ベルト121を走行させる。搬送ベルト121が走行することにより、1枚目の用紙は搬送ベルト121に吸着した状態で搬送される。この動作とともに、もしくは、この動作前に、制御部100は、下流側遮断シャッター19を開状態にして搬送路42の下流側開口423を開放して、出口ガイド部16と連通させる。
加えて、ステップS112では、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、搬送ベルト121に吸着されたときの送り出し位置にある用紙に対する正面から吹き付ける正面分離エアーの送風動作を終了させる(図11のタイミングt2)。なお、用紙の搬送動作が開始されると、用紙は搬送路42に送り出される。送りされた用紙は、搬送路42を搬送されて、出口ガイド部16の上側ガイド板161および下側ガイド板162間に侵入する。
次いで、ステップS113において、制御部100は、搬送路42の下流側開口423から排紙されたか否か、具体的には、用紙検出部182の検出結果に基づいて、用紙が通過したか否かの判定により、出口ローラー部15にニップされたか否かを判定する。
用紙が用紙検出部182に検出されていれば(ステップS113で“YES”)、用紙は、出口ローラー部15にニップされた状態、つまり、吸着搬送部12から受け渡されている状態であると判定し、処理はステップS114に移行する。用紙が用紙検出部182に検出されていなければ(ステップS113で”NO”)、用紙が用紙検出部182に検出されるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても下流側開口の通過が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部54等を用いた給紙処理を終了する。
次いで、ステップS114において、制御部100は、分離エアー(正面分離エアー)の送風動作を開始する(図11に示すタイミングt4)。すなわち、制御部100は、搬送路42を通る用紙が、搬送路42より下流の出口ローラー部15にニップされることで、用紙が搬送路42中にあっても、用紙の先端側で支持された状態と判断する。搬送路42を搬送中の用紙が、下流側のローラーにニップされて搬送されるので、エアーを吹き付けても影響は少ない。分離エアーは、搬送中の用紙であっても、その用紙に他の用紙が付着する可能性があるので、搬送中の用紙に対しても吹き続けることが好ましい。ここでは分離エアーによりばたつく可能性のある薄い用紙であっても好適に分離させることができる。
吸着搬送部12から出口ローラー部15に受け渡されたタイミング(ステップS114において図11のタイミングt4)で開始する分離エアー送風動作は、制御部100により、送風路切替部57を駆動して正面側ダクトへの切り替えるとともに、送風ファン141を介して開始する。シャッター板57aを回動して屈曲管410の開口を閉塞する。これにより、接続ダクト44Aの開口は開放されて、導風口141aに搬送路42が接続されて、正面側ダクトとして機能する。
これにより、搬送中の用紙に対しても正面分離エアーを吹き付けることができ、他の用紙が付着した際の分離性を向上させることができる。
次いで、ステップS115において、制御部100は、吸着状態検出部181の検出結果に基づいて、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かの判定により、用紙の搬送が終了したかを判定する。用紙が搬送ベルト121に吸着していなければ(ステップS1115で“YES”)、用紙は搬送路42に搬出されたと判定(搬出終了)し、処理はステップS116に移行する。用紙が搬送ベルト121に吸着している場合(ステップS115で”NO”)、搬送ベルト121へ吸着した用紙を検出しなくなるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されている場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部54等を用いた給紙処理を終了する。
ステップS116において、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、分離エアー送風を停止する(図11に示すタイミングt5)。
次いで、ステップS117において、制御部100は、次の用紙の給紙要求があるか否かを判定する。次の用紙の給紙要求がある場合(ステップS117で“YES”)、処理はステップS103に移行し、次の用紙を先の処理と同様に、搬送ベルト121に吸着させて、用紙の搬送が行われる。タイミングt6での処理は、タイミングt1での処理と同様である。次の用紙の給紙要求がない場合(ステップS117で”NO”)、給紙処理は終了となる。図11に示すタイミングチャートは、次の給紙要求がある場合のタイミングチャートを示しており、次の給紙要求があれば、制御部100は、ステップS116における分離エアー送風停止において、ステップS103の処理も行ってもよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1の給紙装置と同様の効果を得ることができるとともに、吸着搬送部12に吸着された後に搬送路42中で搬送されている用紙であっても、分離エアーを吹き付けて、他の用紙との分離性を向上させることができる。
また、本実施の形態の下流側遮断シャッター19の開閉制御は、分離エアー送風部54による正面分離エアーに送風に伴い、閉塞するように構成されているが、このとき、下流側開口の閉塞領域は、少なくとも用紙を一枚分通す大きさとなるように開閉制御されるようにしてもよい。
(変形例)
図12は、本発明の実施の形態2に係る給紙装置における給紙処理の変形例を示すフローチャートである。図12に示す給紙処理は、例えば、画像形成装置本体20から給紙開始情報が入力されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、用紙載置台111は、用紙の補給に備えて、最下部まで下降しているものとする。また、図13は、給紙装置の各ブロックの給紙時における動作の例を示すタイミングチャートである。
この変形例の給紙装置は、図8、図9に示す実施の形態2の給紙装置において、下流側遮断シャッター19の制御と、この制御に伴う分離エアー送風部54の制御とが異なり、その他の動作は同様である。よって異なる動作のみ説明にその他の動作の説明は省略する。
まず、ステップS101〜ステップS112までは、図10に示す実施の形態2の給紙処理と同様である。
変形例の給紙装置では、ステップS112の後、ステップS121に移行する。
ステップS121において、制御部100は、用紙送出検出部183の検出結果に基づいて、用紙(ここでは用紙の先端)が通過したか否かの判定により、搬送路42におけるエアー流入口421上を用紙が通過したか否かを判定する。
用紙が用紙送出検出部183に検出されていれば(ステップS121で“YES”)、用紙の先端が、エアー流入口421を通過している状態であると判定し、処理はステップS122に移行する。用紙が用紙送出検出部183に検出されていなければ(ステップS121で”NO”)、用紙が用紙送出検出部183に検出されるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過してもエアー流入口421の通過が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部54等を用いた給紙処理を終了する。
ステップS122において、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、分離エアーの送風動作を開始し、吸着搬送部12の前端面側に分離エアーを送風させる(図8の矢印AC2で示す分離エアーの流れ参照)。このとき、制御部100は、下流側遮断シャッター19により下流側開口423を半閉じ状態にして、用紙が通るだけの隙間が空くようにする。
なお、ステップS122は、用紙先端が用紙送出検出部183に到達したとき(ステップS121)の処理であるので、この処理では、用紙の先端は、エアー流入口421上は通過しているものの、下流側遮断シャッター19には到達していない。この点を鑑みて、ステップS122において、分離エアーの送風動作の開始とともに、下流側遮断シャッター19を半閉じするタイミングを、用紙の先端が下流側遮断シャッター19の通過後としてもよい。この場合、制御部100は、ステップS121において、用紙送出検出部183による用紙の検出後に一定時間(下流側遮断シャッター19を通過する通過見込み後の時間)経過したか否かを判定する(ステップS121の後、一定時間待機してステップS122の処理を行う)。制御部100は、一定時間経過すれば、つまり、エアー流入口421上を通過した用紙の先端が、下流側遮断シャッター19を通過したと判定すれば、分離エアーの送風動作の開始及び下流側遮断シャッター19の半閉じ動作を行う。
また、ステップS121において、用紙送出検出部183の替わりに、下流側遮断シャッター19よりも搬送側に配置された用紙検出部182を用いて、用紙検出部182の検出結果と、下流側遮断シャッター19の動作を同期させるようにしてもよい。このとき、分離エアーの送風動作の開始も同期させることが望ましい。これにより、下流側遮断シャッター19の半閉じ動作により用紙の搬送を阻害することなく効率良く行いつつ、分離エアーをより効果的に送風できる。
なお、下流側遮断シャッター19は、ここでは、下流側開口423を用紙が通過する際に、用紙と接触する用紙接触部分を、摩擦抵抗が低い部材で形成している。これにより、下流側遮断シャッター19が一枚の用紙を通すだけの隙間の一辺を画成する場合、搬送される用紙が接触しても円滑に用紙を搬送路42の下流に搬送できる。
具体的には、ステップS122では、特に、制御部100は、分離エアーとしての正面分離エアー(AC2参照)を用紙に吹き付けるために、分離エアー送風部54の送風路切替部57を制御する。送風路切替部57を制御して、シャッター板57aで屈曲管410の開口を閉塞するとともに、接続ダクト44Aの開口を開放して、導風口141aからの屈曲管410への送風動作を停止し、搬送路42と接続ダクト44Aとを接続させて送風ファン141からの分離エアーを送風する(図13に示すタイミングt3で行い、図8の状態にする)。このようにしてステップS122において、分離エアー送風部54では、送風停止状態から分離エアーの送風を開始する。
分離エアー送風部54からの分離エアーは、エアー流入口421から搬送路42内に流入して、搬送路42内に送風される。このとき、エアー流入口421上では、用紙が通過しているため、分離エアーは、搬送路42中で搬送される用紙の下面に沿って、搬送路42の上流側から、搬送ベルト121の前端面に向かって送風される。これにより、搬送ベルト121に吸着された用紙は、先の分離エアーにより分離された他の用紙との分離性を維持しつつ搬送される。また、ステップS122では、制御部100は、分離エアーの送風に連動して、下流側遮断シャッター19を半閉じ状態、つまり、下流側開口423を、用紙一枚を通過可能な開口状態にしている。これにより、搬送路42内に送風される分離エアーの搬送方向下流側への漏れを減少して、搬送方向上流側から、搬送ベルト121の前端面に効率良く分離エアーを吹き付けることができる。
このように変形例では、実施の形態2の給紙処理と比較して、吸着搬送部12により用紙を送り出す際に停止した分離エアー(図8のAC2参照)の送風を、用紙が出口ローラー部15に至るタイミングより前に開始している。これにより、用紙の真正面、つまり、(搬送ベルト121の前端面(吸着位置における用紙の端部の真正面の位置)への分離エアーの送風期間が長くなり、実施の形態2の給紙処理の作用効果に加えて、より用紙に対する分離性を高めた状態で用紙を一枚ずつ確実に好適に分離して給紙できる。
次いで、ステップS123において、制御部100は、吸着状態検出部181の検出結果に基づいて、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かの判定により、用紙の搬送が終了したかを判定する。用紙が搬送ベルト121に吸着していなければ(ステップS123で“YES”)、用紙は搬送路42に搬出されたと判定(搬出終了)し、処理はステップS124に移行する。用紙が搬送ベルト121に吸着している場合(ステップS123で”NO”)、搬送ベルト121へ吸着した用紙を検出しなくなるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されている場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。
ステップS124において、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、分離エアー送風を停止する(図13に示すタイミングt5)。
次いで、ステップS125において、制御部100は、次の用紙の給紙要求があるか否かを判定する。次の用紙の給紙要求がある場合(ステップS125で“YES”)、処理はステップS103に移行し、搬送ベルト121に吸着している用紙の搬送が行われる。次の用紙の給紙要求がない場合(ステップS125で”NO”)、給紙処理は終了となる。図13に示すタイミングチャートは、次の給紙要求がある場合のタイミングチャートを示しており、次の給紙要求が判っていれば、制御部100は、ステップS124における分離エアー送風停止において、ステップS103の処理も行ってもよい。タイミングt6での処理は、タイミングt1での処理と同様である。
なお、図12及び図13を参照した実施の形態2の変形例の給紙処理において、ステップS122における分離エアーの送風開始は、用紙送出検出部183の検出結果に基づいて実行する構成にしたが、これに限らない。例えば、下側遮断シャッター19により開閉する下流側開口423を用紙が通過したか否かによって分離エアーの送風を開始してもよい。
具体的には、ステップS121の用紙送出検出部183による検出結果に換えて、用紙検出部182の検出結果により、分離エアーの送風を開始してもよく、また、これとともに、下側遮断シャッターを半閉じにするようにしてもよい。
具体的には、ステップS121において、制御部100は、用紙検出部182の検出結果に基づいて、用紙が通過したか否かの判定により、出口ローラー部15にニップされたか否かを判定するようにする。そして、用紙が用紙検出部182に検出されていれば(ステップS121で“YES”)、用紙は、出口ローラー部15にニップされた状態、つまり、吸着搬送部12から受け渡されている状態であると判定し、処理はステップS122に移行する。用紙が用紙検出部182に検出されていなければ(ステップS121で”NO”)、用紙が用紙検出部182に検出されるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても下流側開口423の通過が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部54等を用いた給紙処理を終了する。
用紙検出部182は、下流側開口423よりも下流の出口ローラー部15より上流で出口ローラー部15の近傍に配置されており、出口ローラー部15に搬送される用紙を検出する。
すなわち、用紙検出部182により用紙が検出されることによって、制御部100は、用紙が下流側開口423を通過中であると判定するようにしてもよい。そして、このステップS122の後のステップS122において、制御部100は、分離エアー送風部54を制御して、送風ファン141、送風路切替部57を駆動制御して、分離エアー(正面分離エアー)の送風を開始するとともに、下流側遮断シャッター19を半閉じにする。上述したように下流側遮断シャッター19では、用紙接触部分は、摩擦抵抗が低い部材により形成される。
本実施の形態によれば、実施の形態1の給紙装置と同様の効果を得ることができるとともに、吸着搬送部12に吸着された後に搬送路42中で搬送されている用紙であっても、分離エアーを吹き付けて、他の用紙との分離性を向上させることができる。
(実施の形態3)
図14は、本発明の実施の形態3に係る給紙装置の要部構成を示す断面図であり、図15は、図14において送風路切替部の動作を示す図である。
なお、この実施の形態3における給紙装置は、図1に示す実施の形態1における給紙装置10と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態3の給紙装置は、実施の形態1の給紙ユニット10A〜10Cにおいて、分離エアー送風部14及びガイド部材30のガイド板の構成のみが異なり、その他の構成は同様の給紙ユニット60を有する。実施の形態3の給紙装置は、給紙ユニット60を実施の形態1の給紙ユニット10A〜10Cのそれぞれに替えて構成される。
具体的には、本実施の形態3の給紙ユニット60の分離エアー送風部64は、実施の形態1の送風路切替部17を有する分離エアー送風部14と比較して、機能及び効果は同様であるが、浮上用ダクト41Bを有する屈曲管410Bと、搬送路42に接続される接続ダクト44Bとを切り替える構成が異なる。なお、搬送路42と接続ダクト44Bとで正面側ダクトを構成する。
分離エアー送風部64は、送風ファン141、導風路642、送風路切替部67及び下流側遮蔽シャッター19を有する。分離エアー送風部64は、前端規制部材112の用紙搬送方向の下流側に配置される。送風ファン141は実施の形態1の送風ファン141であり、その動作は、制御部100によって制御される。制御部100は、図2において分離エアー送風部14に替えて分離エアー送風部64を、分離エアー送風部14と同様に制御することによって、送風ファン141、送風路切替部67、下側遮断シャッター19等を可動させる。
導風路642は、送風ファン141が送り出すエアーの経路であり、前端規制部材112側で、用紙束SSの前端側に向かって下方から送風口642aで開口する浮上用ダクト41Bを含む屈曲管410Bと、吸着搬送部12の搬送方向側の前端部に分離エアーを吹き付けるための搬送路42に接続される接続ダクト44Bと、を有する。なお、吸着搬送部12の搬送方向側の前端部に吹き付ける分離エアーは、吸着搬送部12に吸着された用紙に対して、用紙の前端面側、つまり、用紙の正面側から吹き付ける正面分離エアーであるが、本実施の形態では、便宜上、「第1分離エアー」と称して説明する。
屈曲管410Bは、送風ファン141の導風口141aに一端側の開口が接続され、用紙束SSの前端近傍に向かって開口する送風口642aを有する浮上用ダクト41Bと、送風口642aの上部で、吸着搬送部12の前端近傍に向かって開口する送風口642bを有する第2分離エアー用ダクト(以下「第2分離ダクト」ともいう)46と、を有する。
接続ダクト44Bは、吸着搬送部12の下流側の搬送路42の底面に形成されたエアー流入口421を介して搬送路42に接続される。接続ダクト44Bは、搬送路42とともに正面側ダクトを構成し、送風ファン141からの送風を搬送路42の下流側から第1分離エアーとして、搬送路42から送出する。
分離エアー送風部64は、送風路切替部17と同様の機能を有する送風路切替部67を有する。分離エアー送風部64は、送風路切替部67により、吸着搬送部12の前端面(接続ダクト44B、搬送路42を介して送風)と、用紙束SSの前端近傍(浮上用ダクト41B、第2分離ダクト46を介して送風)とに、選択的にエアーの送風方向を切り替え可能である。
この場合、分離エアー送風部64は、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が行われるときには用紙束SSの前端近傍に浮上エアーの送風(AC1)を行い(第1の送風)、浮上エアー送風部13による浮上エアーの送風が停止されると、吸着搬送部12の前端面に第1分離エアーの送風(AC2)を行ったり(第2の送風)、吸着搬送部12の前端近傍に第2分離エアーの送風(AC3)を行ったりする(第3の送風)。つまり、分離エアー送風部64は、浮上エアー送風部としても機能するとともに、分離エアー送風部として、分離エアーを異なる2方向で送風する機能を有する。
実施の形態3における送風切替部67は、図14及び図15に示すように、導風路642において、搬送路42に接続される接続ダクト44Bと、屈曲管410Bとをそれぞれを開閉可能に配置されている。
送風路切替部67は、図14及び図15に示すように、第1エアーシャッター671と、第2エアーシャッター672とを有する。
第1エアーシャッター671、第2エアーシャッター672は、実施の形態1の第1エアーシャッター171、第2エアーシャッター172と同様に構成されている。第1エアーシャッター671、第2エアーシャッター672は、一端側に設けた軸部を中心に回動自在な互いに対向するシャッター板を有する。シャッター板は、ソレノイドに対して進退動するプランジャーに接続され、プランジャーの進退動により軸部を中心に開閉自在に構成される。
第1エアーシャッター671は、浮上用ダクト41Bと、第2分離ダクト46とを仕切る仕切り壁に取り付けられる。第1エアーシャッター671は、シャッター板の開閉により、浮上用ダクト41Bの開閉、第2分離ダクト46の開閉、及び、浮上用ダクト41Bと第2分離ダクト46の双方の開放を行うことができ、対応するダクトに送風可能な状態に適宜切り替えることができる。なお、第1エアーシャッター671のシャッター板の可変可能な位置として、浮上用ダクト41B及び第2分離ダクト46の双方を開放可能な位置を破線で示す。
また、第2エアーシャッター672は、接続ダクト44Bの開口を閉塞自在に設けられ、その開閉により、吸着搬送部12の前端面、つまり、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に分離エアー(第1分離エアー)を送風可能となっている。
これにより、搬送路42を介して、搬送ベルト121に吸着した用紙の正面に向かって第1分離エアーを送風する正面側ダクトが形成される(図14参照)。第1エアーシャッター671が、浮上用ダクト41B及び第2分離ダクト46の双方を開状態にする位置(図15において破線で示す第1エアーシャッター671の位置)に位置すれば、浮上用ダクト41B及び第2分離ダクト46の双方に送風ファン141からの分離エアーが送風される。このとき、第2エアーシャッター672は、接続ダクト44Bの開口を閉塞する。これにより、用紙SSに対して、浮上用エアーと第2分離エアーの双方を同時に送風できる。
図14に示すように、制御部100(図2参照)が送風路切替部17を制御することにより、第2エアーシャッター672により、屈曲管41Bの開口を閉塞すれば、接続ダクト44Bの開口は開放し(図14に示す状態)、正面側ダクトを形成した状態となる。
また、制御部100の制御により、第1エアーシャッター671のシャッター板の位置により、浮上用ダクト41B或いは第2分離ダクト46から第2分離エアーを送風(矢印AC1、AC3)できる。このとき、第2エアーシャッター672のシャッター板の位置により、正面側ダクトを開放状態或いは閉塞状態できる。すなわち、制御部100は、第1及び第2エアーシャッター671、672を制御して、用紙の正面からの第1分離エアー及び第2分離エアー、或いは用紙の正面からの第1分離エアー及び浮上エアーをそれぞれ同時に吹き付けることができる。すなわち、搬送ベルト121に吸着した用紙に対して、用紙正面(用紙の前端面)側及び用紙の正面下方側から分離エアーを送風して重なる用紙を確実に分離したり、分離エアーと浮上エアーを送風することにより、一層、用紙同士を分離できる。
分離エアー送風部64の上面は、ガイド部材30とともに搬送路42を画成する。
分離エアー送風部64は、分離エアー送風部14と同様に、送風ファン141が作動すると、導風路642における接続ダクト(接続管)44B、浮上用ダクト41B、第2分離エアーダクト46としての屈曲管410Bを介して、吸着搬送部12の前端面、前端近傍、または用紙束SSの前端近傍にエアーが送風される。
用紙束SSの前端近傍に浮上エアーの送風を行うことにより、用紙束SSの上位数枚の用紙を効率よく浮上させることができる。また、吸着搬送部12の前端面に第1分離エアーの送風(図14の矢印AC2)を行うことにより、搬送ベルト121に吸着した複数枚の用紙から2枚目以降の用紙を分離させ、1枚目の用紙だけを搬送ベルト121に吸着させて搬送することができる。また、吸着搬送部12の前端近傍に第2分離エアーの送風を行うことにより、搬送中であっても、搬送ベルト121に吸着した複数枚の用紙から2枚目以降の用紙を確実に分離させ、1枚目の用紙だけを搬送ベルト121に吸着させて搬送できる。
図16は、ガイド部材30Aとしての用紙ガイド板の斜視図である。
ガイド部材30Aは、実施の形態1のガイド部材30を構成するガイド板の形状を若干変更したものであり、基本的な構成は同様であり、同様の機能を有する。
図16に示すようにガイド部材30Aの備えるガイド板において、搬送路42の上面を画成する上側搬送面321には、搬送方向に延在するリブ324が形成されている。これらリブ324は、流入口421を介して搬送路42内に流入して上流側に流れる第1分離エアー(言い換えれば、接続ダクト44Bからの第1分離エアー)を整流して、吸着搬送部12に吸着された用紙の正面(前端面)に案内する。
図17は、給紙装置における給紙処理の一例を示すフローチャートである。図17に示す給紙処理は、例えば、画像形成装置本体20から給紙開始情報が入力されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、用紙載置台111は、用紙の補給に備えて、最下部まで下降しているものとする。また、図18は、給紙装置の各ブロックの給紙時における動作の例を示すタイミングチャートである。
まず、ステップS101〜ステップS104までは、実施の形態1の給紙処理と同様である。ここでは、正面分離エアーを便宜上、第1分離エアーとも称する。
ステップS131において、制御部100は、浮上エアー送風部13を制御して浮上エアーの送風を停止させる。加えて、制御部100は、分離エアー送風部64を制御して、浮上エアーの送風動作を停止して、第1分離エアーの送風動作を開始し、吸着搬送部12の前端面に第1分離エアーを送風させる。このとき、制御部100は、下流側遮断シャッター19を閉状態にして搬送路42の下流側開口423を閉塞する。
また、ステップS131において、特に、制御部100は、第1分離エアーを用紙に吹き付けるために、分離エアー送風部64の送風路切替部67を制御する。ここでは、送風路切替部67としての第1エアーシャッター671、第2エアーシャッター672により、接続ダクト44Bを搬送路42に連通させて、浮上用ダクト41B及び第2分離ダクト46の双方は閉塞する。具体的には、制御部100は、送風ファン141から分離エアーを送風するとともに、第2エアーシャッター672を制御して、接続ダクト44Bの開口を開放し、シャッター板で浮上用ダクト41B及び第2分離ダクト46の双方を閉塞する。
これにより、分離エアー送風部64からの第1分離エアーは、下流側の搬送路42を介して、搬送ベルト121に吸着された搬送ベルト121に吸着された用紙に向かって送風される。すなわち、搬送ベルト121に吸着された用紙は、真正面から第1分離エアーを受ける。用紙の真正面、つまり、用紙の端部の真正面からの第1分離エアーは、用紙の正面の下方から送風される従来の構成と比較して、より用紙に対する分離性が高い。また、第1分離エアーの吹きつけのために、給紙動作を停止させることなく行うことができる。これにより、生産性を低下させることなく、用紙を一枚ずつ確実に好適に分離できる。
ステップS132において、制御部100は、用紙の搬送動作を開始させる。このとき、下流側遮断シャッター19を開状態にするとともに、分離エアー送風部64における分離エアーの送風経路を変更し、第2分離エアーを送風する(図18のタイミングt2)。
具体的には、ステップS132では、制御部100は、吸着搬送部12を制御して、搬送ベルト121を走行させる。また、制御部100は、出口ローラー部15を制御して、上側搬送ローラー151を回転させる。搬送ベルト121が走行することにより、1枚目の用紙は搬送ベルト121に吸着した状態で搬送される。この動作とともに、もしくは、この動作前に、御部100は、下流側遮断シャッター19を開状態にして搬送路42の下流側開口423を開放して、出口ガイド部16と連通させる。更に、制御部100は、分離エアー送風部64の送風路切替部67を制御して、第1エアーシャッター671のシャッター板で浮上用ダクトを閉塞する位置に移動して第2分離ダクト46を開放する。加えて、第2エアーシャッター671を可動して、接続ダクト44Bの開口を閉塞し、導風路642と搬送路42との接続状態を遮断する。
なお、用紙の搬送動作が開始されると、用紙は搬送路42に送り出される。送り出された用紙は、搬送路42を搬送されて、出口ガイド部16の上側ガイド板161および下側ガイド板162間に侵入する。
次いで、ステップS133において、制御部100は、用紙検出部182の検出結果に基づいて、用紙が通過したか否かの判定により、出口ローラー部15にニップされたか否かを判定する。
用紙が用紙検出部182に検出されていれば(ステップS133で“YES”)、用紙は、出口ローラー部15にニップされた状態、つまり、吸着搬送部12から受け渡されている状態であると判定し、処理はステップS134に移行する。用紙が用紙検出部182に検出されていなければ(ステップS133で”NO”)、用紙が用紙検出部182に検出されるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても下流側開口423の通過が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部64等を用いた給紙処理を終了する。
次いで、ステップS134において、制御部100は、用紙の種類に応じた分離エアーの送風動作を開始する(図18に示すタイミングt4)。すなわち、搬送路42を通る用紙が搬送路42より下流の出口ローラー部15にニップされることで、用紙が搬送路42中にあっても、制御部100は、用紙が先端側で支持された状態であると判断し、用紙に応じた分離エアーを送風する。送風された分離エアーは用紙搬送中の搬送路42を通り、吸着搬送部12の前端面に吹き付けられる。ここでは、制御部100は、第1分離エアーの送風動作を行う。搬送中の用紙が、下流側の出口ローラー部15にニップされて搬送されるので、エアーを吹き付けても影響は少ない。これにより、吸着搬送部12に複数の用紙が吸着されていても一枚ずつに分離して用紙を好適に搬送させることができる。
分離エアーは、搬送中の用紙であっても、その用紙に他の用紙が付着する可能性があるので、搬送中の用紙に対しても吹き続けることが好ましい。なお、ステップS134では、第2分離エアーの送風動作を終了して第1分離エアーの送風を行うようにしたが、搬送する用紙の種類(剛度、サイズ)によっては、第2分離エアーを送風するようにしてもよい(図18においてタイミングt4−t5間の一点鎖線で図示する)。この場合、制御部100は、用紙の種類毎に吹き付ける第1分離エアーと第2分離エアーとを対応付けたテーブルを有し、これを用いて分離エアーの送風を制御する。例えば、テーブルにおいて、薄紙系(60g/m2以下)及び小サイズ(B5以下)には、第2分離エアー送風が対応付けられ、それ以外(例えば、60g/m2より大きい用紙、或いは、B5よりも大きさサイズの用紙は、第1分離エアーが対応付けられる。このテーブルを用いて、制御部100は、各用紙に対応する第1分離エアー或いは第2分離エアー、第1分離エアー及び第2分離エアーの双方を適宜選択する。また、第1及び第2分離エアーの送風動作を、上述した動作環境に応じて行うようにしてもよい。
分離エアー送風動作は、吸着搬送部12から出口ローラー部15に受け渡されたタイミング(ステップS133における図18のタイミングt4)で開始する。この分離エアー送風動作は、制御部100により、第1エアーシャッター671、第2エアーシャッター672を駆動して、接続ダクト44B及び第2分離ダクト46の双方、或いは、接続ダクト44B又は第2分離ダクト46への切り替えとともに、送風ファン131を介して分離エアーの送風を開始する。
これにより、用紙が搬送中であっても、第1分離エアーを吹き付けることができ、他の用紙が付着した際の分離性を向上させることができる。
次いで、ステップS135において、制御部100は、吸着状態検出部181の検出結果に基づいて、用紙が搬送ベルト121に吸着しているか否かの判定により、用紙の搬送が終了したかを判定する。
用紙が搬送ベルト121に吸着していなければ(ステップS1135で“YES”)、用紙は搬送路42に搬出されたと判定(搬出終了)し、処理はステップS136に移行する。用紙が搬送ベルト121に吸着している場合(ステップS135で”NO”)、搬送ベルト121へ吸着した用紙を検出しなくなるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても搬送ベルト121への用紙の吸着が検出されている場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部64等を用いた給紙処理を終了する。
ステップS136において、制御部100は、分離エアー送風部64を制御して、第1分離エアー送風を停止する(図18に示すタイミングt5)。
次いで、ステップS137において、制御部100は、次の用紙の給紙要求があるか否かを判定する。次の用紙の給紙要求がある場合(ステップS137で“YES”)、処理はステップS103に移行し、制御部100は、エアー吸引部122による吸引動作、及び、浮上エアー送風部13(図2及び図3参照)による浮上エアーの送風により、搬送ベルト121に吸着させた後、用紙の搬送を行う。次の用紙の給紙要求がない場合(ステップS137で”NO”)、給紙処理は終了となる。なお、図18に示すタイミングチャートにおけるタイミングt6での処理は、次の給紙要求がある場合を示しており、次の給紙要求があれば、制御部100は、ステップS136における分離エアー送風停止を行わずに、ステップS103の処理を行うようにしてもよい。タイミングt6での処理は、タイミングt1での処理と同様である。
本実施の形態によれば、分離エアー送風部64は、接続ダクト(接続管)44Bを含み、第1分離エアーを接続ダクト44Bに導風する導風路(導風路形成部)642を有する。導風路形成部642は、吸着搬送部12に吸着される用紙の用紙搬送方向側の端部に対向する方向以外の方向で開口し、接続ダクト44Bと切替自在な第2分離エアー用のダクト46を有する。制御部100は、吸着搬送部12が用紙を送り出すタイミングで分離エアーの送風路を、接続ダクト44Bと第2分離エアー用のダクト46とを切り替えるようにしている。
また、導風路642は、第1分離エアーとなる分離エアーを、用紙収容部11に収容されている用紙に浮上エアーとして送風する浮上エアー用ダクト41Bを更に有する。分離エアーを接続ダクト44B、前記第2分離エアーダクト46及び浮上エアーダクト411Bに選択的に切り替えて案内する風路切替部67を有する。
本実施の形態によれば、実施の形態1の給紙装置と同様の効果を得ることができるとともに、吸着搬送部12に吸着された後に搬送路42中で搬送されている用紙であっても、分離エアーを吹き付けて、他の用紙との分離性を向上させることができる。
(変形例)
図19は、本発明の実施の形態3に係る給紙装置における給紙処理の変形例を示すフローチャートである。図19に示す給紙処理は、例えば、画像形成装置本体20から給紙開始情報が入力されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、用紙載置台111は、用紙の補給に備えて、最下部まで下降しているものとする。また、図20は、給紙装置の各ブロックの給紙時における動作の例を示すタイミングチャートである。
この変形例の給紙装置は、実施の形態3の給紙装置において、分離エアー送風部64の制御のみ異なり、その他の構成は同様であるので、分離エアー送風部64の制御についてのみ説明を行う。
まず、ステップS101〜ステップS133までは、実施の形態3の給紙処理と同様である。
ステップS133において、制御部100は、用紙検出部182の検出結果に基づいて、用紙が通過したか否かの判定により、出口ローラー部15にニップされたか否かを判定する。用紙が用紙検出部182に検出されていれば(ステップS133で“YES”)、処理はステップS144に移行する。用紙が用紙検出部182に検出されていなければ(ステップS133で”NO”)、用紙が用紙検出部182に検出されるまで待機する。ただし、用紙搬送開始後、所定時間経過しても下流側開口423の通過が検出されない場合は、不具合が生じていると判断できるので、給紙処理を終了する。すなわち、制御部100は、用紙搬送開始後、用紙検出部182により用紙が検出されない状態が、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば、分離エアー送風部64等を用いた給紙処理を終了する。
次いで、ステップS144において、制御部100は、第2分離エアーの送風を停止し、第1分離エアーの送風を開始するとともに、浮上エアー送風開始タイミングのカウントを開始する(図20に示すタイミングt4)。
すなわち、ステップS144では制御部100は、下流側遮断シャッター19は開放しつつ、分離エアー送風部64の送風路切替部67に分離エアーの送風経路を切り替えさせるとともに、所定の期間A秒後に浮上エアー送風開始のカウントを開始する。なお、所定の期間Aは、浮上エアーに送風開始を指示した際に指示開始から実際に送風を開始するまでの期間を含むとする。期間Aにより、例えば、用紙の後端が吸着面を通過するときに見切りで、浮上エアーを送風する。
すなわち、ステップS144のタイミングt4で、第1分離エアーの送風を開始するが、この第1分離エアーの送風により、用紙搬送中であっても吸着搬送部12に吸着される用紙に対して第2分離エアーよりも強い分離エアーを吹き付け、分離性の高い制御が行われる。
ステップS145では、タイマーによりA秒経過したか否かを判定し、A秒経過していれば、すなわち、浮上エアー送風開始タイミングであれば(ステップS145で“YES”)、ステップS146に移行し、経過していなければ経過するまでカウントする。
ステップS146において、制御部100は、分離エアー送風部64を制御して、分離エアー送風を停止する(図20に示すタイミングt6)。
次いで、ステップS147において、制御部100は、次の用紙の給紙要求があるか否かを判定する。次の用紙の給紙要求がある場合(ステップS147で“YES”)、処理はステップS103に移行し、搬送ベルト121に吸着している用紙の搬送が行われる。次の用紙の給紙要求がない場合(ステップS147で”NO”)、給紙処理は終了となる。図20に示すタイミングチャートは、次の給紙要求がある場合のタイミングチャートを示しており、次の給紙要求があれば、制御部100は、ステップS116における分離エアー送風停止において、ステップS103の処理も行ってもよい。タイミングt6での処理は、タイミングt1での処理と同様である。
この変形例によれば、図17に示す制御と比較して、予測時間(ここではA秒)経過後において、用紙を吸着搬送部12に吸着させる際の浮上エアーの送風開始タイミング(図20で示すts)が、用紙搬送終了(図17のステップS137)のタイミング(図18に示すタイミングt5)より早くなっている。これにより、次に搬送される用紙が、実施の形態3の処理よりも早く(図20において時間A1で示す)吸着搬送部12に吸着される。
これにより、浮上エアー送風→吸着の処理を早期(A1の分だけ早く)に開始することができ、次の給紙開始を早めることができる。
なお、実施の形態1における給紙装置の給紙ユニット10では、搬送路42の下流側開口423を、下流側遮断シャッター19により開閉する構成としたが、これに限らず、図21に示す給紙ユニット70のように、搬送路42の下流側を搬送ローラー部(遮断部)15Aで閉塞する構成にしてもよい。なお、図21の給紙ユニット70において、図14に示す給紙ユニット60と同様の構成については同名称、同符号を付して説明は省略する。
搬送ローラー部15Aは、搬送路42において、接続ダクト44Bに接続されるエアー流入口421よりも下流側に、配置される。搬送ローラー部15Aは、上側搬送ローラー151Aと、上側搬送ローラー151Aに当接する下側搬送ローラー152Aとを有する。上側搬送ローラー151Aは駆動ローラーであり、下側搬送ローラー152Aが従動ローラーである。搬送ローラー部15Aは、吸着搬送部12で搬送されてきた用紙を、上側搬送ローラー151Aと下側搬送ローラー152Aとでニップして、用紙搬送方向下流側に送り出す。よって、用紙を挟持して送り出す以外には、搬送路42は下流側で閉塞された状態となり、分離エアーを搬送方向上流側に吹き付ける際の漏れを減少できる。
実施の形態3の給紙装置で説明したガイド部材30Aの備えるガイド板は、実施の形態1、実施の形態1の変形例、実施の形態2、及び実施の形態2の変形例のガイド部材30において、ガイド板に替えて用いられても良い。これにより、実施の形態3で説明したガイド板Aの作用効果と同様の作用効果を得ることが出来る。なお、ガイド部材30Aのガイド板を実施の形態1に適用する場合、第2エアーシャッター172のシャッター板の開閉具合を考慮して、干渉しない位置或いは、互いに機能を発揮できる位置に配置するようにする。
また、上記実施の形態において、給紙装置10が備える搬送ベルト121の数は4つに限定されず、給紙装置10は、搬送ベルト121を少なくとも1つ備えていればよい。
また、上記実施の形態において、画像形成装置本体20の給紙部26に、給紙装置10の構成を適用しても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。