JP2017050823A - 無線通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のアンテナ素子を有する無線送信装置及び複数のアンテナ素子を有する無線受信装置を備える無線通信システムであって、無線送信装置が、自装置が有する複数のアンテナ素子を通じて送信する複数の無線周波数信号を無線受信装置の複数のアンテナ素子が受信する際に、受信する複数の無線周波数信号のいくつかが異なる位相となるように複数の無線周波数信号に位相差を与える位相調整部を備える無線通信システム。
【選択図】図1
Description
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による無線通信システム1の構成を示すブロック図である。無線通信システム1は、例えば、見通し伝搬路におけるMIMO無線伝送、すなわち近距離MIMO無線伝送を行う。ここで、見通し伝搬路とは、例えば、送信側のアンテナと受信側のアンテナの間の空間に電波を遮蔽する物体が存在しない伝搬路のことをいう。無線通信システム1は、無線送信装置10と無線受信装置20とを備える。
情報信号入力部11は、送信する情報を無線送信装置10に入力する。
情報信号分配部12は、情報信号入力部11が入力した情報をM個に分配する。情報信号分配部12によってM個に分配された情報を、情報信号1〜Mとする。情報信号分配部12は、情報信号1〜Mそれぞれを、変調器14−1〜14−Mそれぞれに出力する。
局部発振器13は、無線周波数の正弦波の周波数信号を出力する。
位相調整部15は、M個の位相調整器15−1〜15−Mを備える。各々の位相調整器15−1〜15−Mには、予め算出される移相量φi(i=1〜M、以下同様)が予め設定され、当該移相量φiに基づいて、変調された情報信号1〜Mに位相差を与える。アンテナ素子16−1〜16−Mは、変調部14で変調され、位相調整部15において移相量φiに基づいて位相差が与えられたRF信号を無線受信装置20に送信する。
アンテナ素子21−1〜21−Mは、無線送信装置10のアンテナ素子16−1〜16−Mから送信され、空間を伝搬して到達するRF信号を受信する。
通信制御部22は、アンテナ素子21−1〜21−Mが受信したM個の信号を復調し、復調した信号と、伝送路応答行列Hとに基づくマトリックス処理によるMIMO無線伝送信号の検出を行い空間多重化された複数の情報信号を分離して情報信号を復調する。
情報信号出力部23は、通信制御部22において復調された情報信号を出力する。
無線通信システム1の送受信の処理の流れとしては、まず、無線送信装置10の情報信号入力部11が、送信する情報を情報信号分配部12に出力する。情報信号分配部12は、当該情報をM個の情報信号1〜Mに分配して変調器14−1〜14−Mに出力する。変調器14−1〜14−Mは、それぞれ局部発振器13から供給される無線周波数信号により、情報信号1〜Mに対してアップコンバートを行い、変調して、対応する位相調整器15−1〜15−Mに出力する。位相調整器15−1〜15−Mは、予め設定される移相量φiに基づいて変調された信号に位相差を与え、アンテナ素子16−1〜16−Mを通じて空間にRF信号出力する。
MIMO無線伝送の伝送路応答行列を行列H、移相量ベクトルをφ=[φ1,φ2,・・・,φM]とする。実際に無線送信装置10のアンテナ素子16−1〜16−Mから空間へ放射されるRF信号のベクトルt’(要素数M)は、送信するRF信号tに位相調整部15の各々の位相調整器15−1〜15−Mに設定される移相量φをアダマール積として乗算することによって、次式(1)のように表される。
なお、上記の伝送路応答行列の行列H、移相量ベクトルφ、行列H_pは、いずれも行列またはベクトルであるため、数式において記載される際にはボールド体(太字)で記載されることもあるが、本明細書においては、「行列X」、「ベクトルX」等のように、「行列」や「ベクトル」の用語を付加して示す。
第2の手法として、第1の手法より計算量は多くなるが、実際に、無線受信装置20のアンテナ素子21−1〜21−Mにおいて受信するRF信号のピークとなる振幅を計算により推定して、高い精度で可能な限り一致しない移相量φiを算出する手法がある。まず、行列H_pを用いてアンテナ素子21−1〜21−Mにおいて受信する、重ね合わされた正弦波信号の振幅の最大値を算出する。そして、算出された振幅の最大値の中で最も大きい値を評価関数として、最適化アルゴリズムを用いて移相量ベクトルφの値を最適化する。最適化アルゴリズムとしては、最急降下法などのアルゴリズムが用いられてもよい。なお、最適化アルゴリズムとしては、全探索であってもよい。無線送信装置10から同一周波数、同一位相、同一の最大振幅値を有する正弦波を送信する場合、位相調整器15−1〜15−Mの入力端子に供給される信号Tは、次式(2)として表される。
図4は、本発明の第2実施形態による無線通信システム1aの構成を示すブロック図である。図4において、第1実施形態の無線通信システム1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。以下、第1実施形態の無線通信システム1と異なる構成について説明する。
無線通信システム1aは、無線送信装置10aと無線受信装置20aとを備える。
第2実施形態における無線通信システム1aでは、無線受信装置20aが無線送信装置10aに対してトレーニング信号を送信し、無線送信装置10aが当該トレーニング信号に基づいて伝送路応答行列Hを算出する。
変復調部14aは、変復調器14a−1〜14a−Mを備える。各変復調器14a−1〜14a−Mは、局部発振器13から供給される無線周波数の正弦波の周波数信号を受けて、情報信号1〜Mに対してアップコンバートして、変調を行って位相調整部15aに出力する。また、各変復調器14a−1〜14a−Mは、局部発振器13から供給される周波数信号を受けて、位相調整部15aから出力される受信信号に対して、ダウンコンバートして、復調を行い、移相量算出部17に出力する。変復調部14aが用いる変調手法は、振幅変調である。
トレーニング信号送信部24は、予め定められるトレーニング信号、例えば、IEEE802.1nの無線LAN(Local Area Network)方式におけるHT−LTF(High-Throughput Long Training Field)などの直交するM個の信号を生成する。
通信制御部22aは、トレーニング信号送信部24によって生成されたトレーニング信号をアンテナ素子21−1〜21−Mを通じて無線送信装置10に送信する。
まず、無線受信装置20aのトレーニング信号送信部24は、トレーニング信号を生成し、生成したトレーニング信号を、通信制御部22a及びアンテナ素子21−1〜21−Mを通じて無線送信装置10aに送信する(ステップS101)。
無線送信装置10aのアンテナ素子16−1〜16−Mは、トレーニング信号を受信し、受信したトレーニング信号を対応する位相調整器15a−1〜15a−Mに出力する。各位相調整器15a−1〜15a−Mは、対応する変復調器14a−1〜14a−Mにトレーニング信号を出力する。変復調器14a−1〜14a−Mは、トレーニング信号を復調して、移相量算出部17に出力する。移相量算出部17は、トレーニング信号から伝送路応答行列Hを推定する(ステップS102)。
無線受信装置20aは、アンテナ素子21−1〜21−Mを通じて、無線送信装置10から送信された信号を受信し、通信制御部22aにおいて復調し、情報信号出力部23に出力する(ステップS106)。
図6は、本発明の第3実施形態による無線通信システム1bの構成を示すブロック図である。図6において、第1実施形態の無線通信システム1及び第2実施形態の無線通信システム1aと同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。以下、第1実施形態の無線通信システム1及び第2実施形態の無線通信システム1aのいずれかと異なる構成について説明する。
位置関係測定部18は、無線送信装置10bと無線受信装置20bとの位置関係を示す情報、例えば、三次元空間における各々の装置の位置情報を測定する。位置関係測定部18は、例えば、レーザ光を使用して位置関係を示す情報の測定を行う場合、内部に備えるレーザ光照射装置から、レーザ光を無線受信装置20bの位置表示部25に向かって照射し、その反射光を受光素子で受光して位置関係を示す情報を測定する。また、位置関係測定部18は、例えば、画像により位置関係を示す情報の測定を行う場合、内部に備えるカメラを用いて無線受信装置20bの位置表示部25を撮影し、撮影により得られた位置表示部25を含む画像情報を解析して、位置関係を示す情報を測定する。また、位置関係測定部18は、測定した位置関係を示す情報を移相量算出部17bに出力する。
位置表示部25は、例えば、後述する位置関係の測定にレーザを使用する場合は、レーザ光の的等であり、カメラを使用する場合は、写真によって撮影されるマーク等の被写体である。
まず、無線送信装置10bの位置関係測定部18は、無線受信装置20bの位置表示部25を利用して、無線送信装置10bと無線受信装置20bとの位置関係を示す情報を測定する。位置関係測定部18は、測定結果を移相量算出部17bに出力する。移相量算出部17bは、予め記憶している送信側のアンテナ素子16−1〜16−M及び受信側のアンテナ素子21−1〜21−Mの各々が構成するアレーアンテナの配置に関する情報と、当該位置関係を示す情報とに基づいて、電波伝搬路の位相回転量を算出し、算出した位相回転量から伝送路応答行列Hを算出して推定する。次に、移相量算出部17bは、推定した伝送路応答行列Hと、第1実施形態において説明した移相量φiの算出手法(第1の手法及び第2の手法)とに基づいて、移相量φiを算出して、位相調整部15aの各位相調整器15a−1〜15a−Mに出力して内部に設定させる。移相量算出部17bは、MIMO無線伝送が開始できる通知を情報信号入力部11に出力する。これ以降の送信の処理は、第1実施形態と同様の処理となる。
図7は、本発明の第4実施形態による無線通信システム1cの構成を示すブロック図である。図7において、第1実施形態の無線通信システム1、第2実施形態の無線通信システム1a及び第3実施形態の無線通信システム1bと同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。以下、第1実施形態の無線通信システム1、第2実施形態の無線通信システム1a及び第3実施形態の無線通信システム1bのいずれかと異なる構成について説明する。
ピーク振幅検出トレーニング信号送信部19は、全てのアンテナ素子16−1〜16−Mからトレーニング用のRF信号を送信させるための情報を情報信号入力部11に対して出力する。ここで、送信するトレーニング用のRF信号は、例えば、位相調整器15a−1〜15a−Mによって位相差が与えられる前の状態において同一周波数、同一位相、及び同一の最大振幅値を有する正弦波である。
受信レベルフィードバック部26は、各アンテナ素子21−1〜21−Mにおいて受信するトレーニング用のRF信号のピーク振幅情報を測定する。例えば、受信レベルフィードバック部26によるピーク振幅情報の測定は、RF信号が振幅変調されている場合には、受信レベルフィードバック部26が無線周波数において検波ができる整流器を備え、包絡線電圧を実測することにより測定する。振幅変調ではない場合には、ディジタル信号処理によりトレーニング用のRF信号のピーク振幅情報を測定するようにしてもよい。また、受信レベルフィードバック部26は、測定したピーク振幅情報を通信制御部22cに出力する。
通信制御部22cは、当該ピーク振幅情報をアンテナ素子21−1〜21−Mを通じて無線送信装置10cに送信する。なお、当該送信は、必ずしもMIMO無線伝送である必要はなく、SISO(Single-Input Single-Output)無線伝送でもよいし、他の周波数を用いた無線送信(光による送信も含む)であってもよい。
まず、移相量算出部17cは、予め記憶している初期値となる移相量φiをそれぞれの位相調整器15a−1〜15a−Mに設定する(ステップS201)。ピーク振幅検出トレーニング信号送信部19は、情報信号入力部11に対してトレーニング用のRF信号、すなわち同一周波数、同一位相、及び同一の最大振幅値を有する正弦波となるM個の情報信号を送信させる情報を出力する。情報信号入力部11は、ピーク振幅検出トレーニング信号送信部19から出力される情報を情報信号分配部12に出力する。情報信号分配部12は、情報信号入力部11から出力される情報をM個に分配して情報信号1〜Mを出力する。変復調器14a−1〜14a−Mは、情報信号1〜Mを局部発振器13から供給される周波数信号に基づいてRF信号にアップコンバートして変調を行う。
無線受信装置20cの受信レベルフィードバック部26は、各アンテナ素子21−1〜21−Mが受信したトレーニング用のRF信号の中で最大値の振幅値を示すピーク振幅情報を測定し、測定結果(最大値の振幅値を示すピーク振幅情報)を通信制御部22cに出力する(ステップS203)。通信制御部22cは、受信レベルフィードバック部26が出力したピーク振幅情報を無線送信装置10cに送信する(ステップS204)。
無線受信装置20cの通信制御部22cは、アンテナ素子21−1〜21−Mを通じてMIMO信号を受信すると、伝送路応答行列Hを算出して推定し(ステップS209)、推定した伝送路応答行列Hに基づいて受信信号の復調を行い、情報信号出力部23に出力する(ステップS210)。
また、第2及び第3実施形態と同じく、無線送信装置10cから送信するトレーニング信号を用いて最終的に移相量φiを求めているため、電波伝搬路の環境の変動があっても、適切な移相量φiを求めることが可能である。
また、上記の第4実施形態では、移相量φiを変更する上限回数を定めているため、無限に処理が行われることを防ぐことが可能となる。
例えば、受信レベルフィードバック部26が、各アンテナ素子21−1〜21−Mが受信したトレーニング信号の振幅値のそれぞれを無線送信装置10cにフィードバックして無線送信装置10cの移相量算出部17cが、アンテナ素子21−1〜21−Mごとの振幅値の中から最大の振幅値を選択して閾値と比較するようにしてもよい。
なお、当該判定処理や、上述したステップS205における判定処理において、閾値以上であるか否か、上限回数に達しているか否かの判定基準は一例であり、例えば、閾値以上であるか否かに変えて、閾値を超えているか否かという判定基準としてもよいし、上限回数に達しているか否かに変えて、上限回数を超えているか否かという判定基準としてもよい。
Claims (7)
- 複数のアンテナ素子を有する無線送信装置及び複数のアンテナ素子を有する無線受信装置を備える無線通信システムであって、
前記無線送信装置が、
自装置が有する前記複数のアンテナ素子を通じて送信する複数の無線周波数信号を前記無線受信装置の前記複数のアンテナ素子が受信する際に、受信する前記複数の無線周波数信号のいくつかが異なる位相となるように前記複数の無線周波数信号に位相差を与える位相調整部を備える無線通信システム。 - 前記複数の無線周波数信号に与える前記位相差の移相量は、前記無線送信装置と前記無線受信装置との間の電波伝搬路の特性を示す伝送路応答行列に前記位相差を与えた際に、受信する前記複数の無線周波数信号のいくつかを異なる位相とする最適化問題を解くことにより算出され、算出される前記移相量が前記位相調整部に設定される、請求項1に記載の無線通信システム。
- 前記受信する前記複数の無線周波数信号のいくつかを異なる位相とする最適化問題を、同一周波数、同一位相、及び同一の最大振幅値を有する正弦波を前記位相調整部に供給する信号として前記伝送路応答行列に前記位相差を与え、前記無線受信装置の前記複数のアンテナ素子で受信する前記正弦波が重ね合わせられた信号について、前記信号の振幅値の和を最小にする、又は、前記信号の振幅値の最大値を最小にする最適化問題とし、前記最適化問題を解くことにより前記移相量が算出され、算出される前記移相量が前記位相調整部に設定される、請求項2に記載の無線通信システム。
- 前記無線送信装置と前記無線受信装置との間の電波伝搬路が変化した場合に、又は、不定期的もしくは定期的に、前記伝送路応答行列を算出し、算出した前記伝送路応答行列に基づいて前記移相量を算出し、算出した前記移相量を前記位相調整部に設定する移相量算出部をさらに備える、請求項2又は3に記載の無線通信システム。
- 前記無線受信装置は、
トレーニング信号を送信するトレーニング信号送信部を備え、
前記無線送信装置の移相量算出部は、
前記トレーニング信号を受信し、受信した前記トレーニング信号に基づいて前記伝送路応答行列を推定し、推定した前記伝送路応答行列に基づいて、前記移相量を算出して前記位相調整部に当該移相量を設定する、請求項4に記載の無線通信システム。 - 前記無線送信装置と前記無線受信装置との間の電波伝搬路は、見通し伝搬路であり、
前記無線受信装置は、
自装置の位置の測定に用いられる位置表示部をさらに備え、
前記無線送信装置は、
前記位置表示部を利用して自装置と前記無線受信装置との位置関係を測定する位置関係測定部をさらに備え、
前記無線送信装置の移相量算出部は、
前記位置関係測定部が測定する前記位置関係と、自装置の前記複数のアンテナ素子の配置に関する情報と、前記無線受信装置の前記複数のアンテナ素子の配置に関する情報と、に基づいて、前記伝送路応答行列を推定し、推定した前記伝送路応答行列に基づいて、前記移相量を算出して前記位相調整部に前記移相量を設定する、請求項4に記載の無線通信システム。 - 前記無線受信装置は、
前記複数のアンテナ素子が受信する前記無線周波数信号の振幅値を測定し、測定した前記振幅値の情報を前記無線送信装置に送信する受信レベルフィードバック部を備え、
前記無線送信装置は、
前記複数のアンテナ素子の各々を通じて同一周波数、同一位相、及び同一の最大振幅値を有する正弦波を送信するピーク振幅検出トレーニング信号送信部と、
前記受信レベルフィードバック部から受信する前記振幅値に基づいて、前記複数の無線周波数信号に与える前記位相差の移相量が適切であるか否かを判定し、適切でないと判定した場合、前記移相量を変更し、変更した前記移相量を前記位相調整部に設定する移相量算出部と、をさらに備える、請求項1に記載の無線通信システム。
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