JP2017049631A - 運賃収受システムおよびこれを搭載した乗合車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制し得る運賃収受システムおよび乗合車両を提供する。
【解決手段】実施形態のバス10aに搭載した運賃収受システムでは、運賃箱20は、運賃未払いの乗客が着席すべき客席14が存在する領域よりも、運賃支払い済みの乗客が着席すべき客席15が存在する領域の側、つまりバス10aの方向中央側に設けられる。これにより、乗客は、バス10aに乗車してから降車するまでの間(客席14に着席してから客席15に着席するまでの間)において運賃の支払いを済ませれば良い。そのため、従来の「先払い方式」や「後払い方式」という概念とは異なる「常時払い方式」の運賃収受システムを提供することが可能になる。したがって、乗客は、バス10aに乗車している期間中に運賃を支払い得ることから、降車時や乗車時に運賃を支払う必要がなく、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗合車両に搭載されて乗客から一定金額の運賃を運賃収受機により収受する運賃収受システムおよびこれを搭載した乗合車両に関するものである。なお、乗合車両には、路線バス、路面電車、トロリーバス等の乗合バスや鉄道等が含まれる。
運賃収受システムとして、例えば、下記特許文献1に開示されるものがある。この種の運賃収受システムは、典型的には、路線バスやワンマン運行式鉄道等の車両に設置される運賃箱を備える。例えば、図10に示すように、路線バス(以下「バス」という)の乗客が降車の際に乗車区間に応じた運賃を支払う「後払い方式」のバス100においては、運賃箱120は、車両前方の降車口112付近に設けられる。車両後方の乗車口111付近には、乗客の乗車時に整理券を発行する整理券発行機や乗車停留所番号等を記録するICカードリーダライタ118等が設けられる。
これに対して、乗客が乗車の際に一定金額の運賃を支払う「先払い方式」のバス100においても、運賃箱120は車両前方の運転席113の付近に設けられる。ただし、先払い方式の場合には、車両前方が乗車口111になり、車両後方が降車口112になる(図10に示す括弧内の符号)。運賃は定額であるから、整理券発行機やICカードリーダライタ118は不要であり設けられない。なお、符号114は、乗客が着席する客席を示す。また破線はバス100のタイヤハウスにより凸状に床が高くなった部分を示す。
特開2014−174731号公報
このように従来の運賃収受システムでは、「後払い方式」や「先払い方式」にかかわりなく、車両前方の降車口112(後払い方式の場合)や乗車口111(先払い方式の場合)の付近に運賃の収受を行う運賃箱120を設けている。即ち、運転席113と降車口112(後払い方式の場合)との間、または運転席113と乗車口111(先払い方式の場合)との間、に乗車通路に沿うように運賃箱120を設けている。これは、近年のバス100には、車掌が乗務することなく運転士1名による運行方式(ワンマン運転方式)を当該バス100が採ることを前提にしており、運転士が乗客による運賃の支払いを確認したり、運賃箱120を操作したりする必要があるからである。
このため、例えば、「後払い方式」のバス100においては、降車を希望する乗客数が多い場合に両替や釣り銭不足等の運賃の支払いに時間を要する乗客が存在するときには、運賃箱120の付近範囲αに運賃の支払いを待つ乗客の列ができることがある。また、「先払い方式」のバス100においても、乗車を希望する乗客数が多い場合に同様に運賃の支払いに時間を要する乗客が存在するときには、乗車口111の付近範囲βに運賃の支払いを待つ乗客の列ができることがある。つまり、バス100における運賃箱120の設置位置が、乗客の降車時(後払い方式の場合)または乗車時(先払い方式の場合)の混雑を招く原因になっている。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制し得る運賃収受システムおよび乗合車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された本発明の運賃収受システムは、乗合車両に搭載されてこの乗合車両の乗客から一定金額の運賃を運賃収受機により収受する運賃収受システムであって、前記乗合車両の客席空間において、「前記運賃の収受を完了していない乗客が着席すべき複数の第1客席が存在する第1領域」と「前記運賃の収受を完了した乗客が着席すべき複数の第2客席が存在する第2領域」との境界またはこの境界付近に前記運賃収受機を備えることを技術的特徴とする。運賃収受機は、典型的には、運賃箱が挙げられるが、ICカードリーダライタ、磁気カードリーダライタ、磁気カードリーダ等の電子マネー端末を含む概念である。電子マネーには、先払い方式(プリペイド)によりチャージされるもの、後払い方式(ポストペイ)の電子的小口決済によるもの、ポイントサービスにより付与されて運賃と代替可能なポイント等が含まれる。
これにより、運賃収受機は、運賃の収受を完了していない乗客が着席すべき複数の第1客席が存在する第1領域よりも、運賃の収受を完了した乗客が着席すべき複数の第2客席が存在する第2領域の側、つまり乗合車両の車両前後方向中央側に設けられるため、乗合車両の乗車口や降車口の付近に設けられない。そのため、例えば、従来の「先払い方式」の場合には、乗客は、運賃を支払う前に乗車して第1領域の第1客席に着席した後に運賃を支払うことが可能になる。そして、乗客は、乗合車両の停車中等に運賃収受機に運賃を支払った後、第2領域の第2客席に移動して着席することで、運賃の支払いが終了したことを運転士等の乗務員に明示することができ、目的の停留所や停車駅(以下「停留所等」という)で降車することが可能になる。なお、第1客席と第2客席は、例えば、外観の形状や色の違いによって視覚的に両者を区別可能に構成される。
また、従来の「後払い方式」の場合には、乗客は、第1領域の第1客席に着席した後、目的の停留所等で乗合車両が停車する前に運賃を支払うことが可能になる。そして、乗客は、運賃収受機に運賃を支払った後、第2領域の第2客席に移動して着席することで、運賃の支払いが終了したことを運転士等の乗務員に明示することができ、目的の停留所等で降車することが可能になる。つまり、乗客は、乗合車両に乗車してから降車するまでの間(第1客席に着席してから第2客席に着席するまでの間)において運賃の支払いを済ませれば良い。そのため、本発明では、従来の「先払い方式」や「後払い方式」という概念とは異なる「常時払い方式」の運賃収受システムを提供することが可能になる。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された本発明の運賃収受システムは、請求項1に記載の運賃収受システムにおいて、前記第1領域と前記第2領域との間に少なくとも前記第1領域から前記第2領域への乗客の通過を制御するゲート装置をさらに備え、このゲート装置は、前記運賃の収受を完了した乗客の通過を許容し、前記運賃の収受を完了していない乗客の通過を阻止することを技術的特徴とする。これにより、運賃の支払いが完了した乗客だけが、運賃の支払いが終了したことを運転士等の乗務員に明示し得る第2客席に着席することが可能になる。
さらに、特許請求の範囲の請求項3に記載された本発明の運賃収受システムは、請求項1または2に記載の運賃収受システムにおいて、前記第1領域と前記第2領域との境界またはこの境界付近に前記乗合車両の車掌が着席する車掌席が存在している場合において、前記運賃収受機は、前記車掌席の近傍に設けられることを技術的特徴とする。これにより、乗合車両の車掌が、乗客による運賃の支払いを確認したり運賃収受機を操作したりすることが可能になる。
また、上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項4に記載された本発明の乗合車両は、前記乗合車両が、運転士を要することなく自動的に運転制御を行うコンピュータを搭載するとともに、前記客席空間の乗車口側に前記第1領域を設け、かつ、前記客席空間の降車口側に前記第2領域を設ける場合において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の運賃収受システムを備えることを技術的特徴とする。これにより、上記の各発明の特徴を備えた乗合車両を提供することが可能になる。
本発明では、従来の「先払い方式」や「後払い方式」という概念とは異なる「常時払い方式」の運賃収受システムを提供することが可能になる。そのため、乗客は、乗合車両に乗車している期間中に運賃を支払い得ることから、降車時や乗車時に運賃を支払う必要がない。したがって、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバスに搭載した場合における当該バスの車室内の構成例を示す説明図である。 第1実施形態の運賃収受システムを構成する運賃箱の構成例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバスに搭載した場合における当該バスの車室内の構成例を示す説明図である。 第2実施形態の運賃収受システムを構成する運賃箱とゲート装置の構成例および接続例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る運賃収受システムを後乗り方式のバスに搭載した場合における当該バスの車室内の構成例を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係る運賃収受システムを連接タイプのバスに搭載した場合における当該バスの車室内の構成例を示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバスに搭載した場合における当該バスの車室内の構成例を示す説明図である。 第5実施形態の運賃収受システムを構成するICカードリーダライタの構成例を示す斜視図である。 図9(A)は、ゲート装置に隣接してICカードリーダライタを設けた場合の構成例を示す説明図、図9(B)は、ゲート装置の本体部にICカードリーダライタを設けた場合の構成例を示す説明図である。 従来例による運賃収受システムを搭載したバスの車室内の構成例を示す説明図である。
以下、本発明の運賃収受システムおよび乗合車両の実施形態について図を参照して説明する。本発明の運賃収受システムは、乗客から一定金額の運賃を運賃箱により収受するものであり、車両前方の乗車口から乗車して車両後方の降車口から降車する「前乗り方式」や、車両後方の乗車口から乗車して車両前方の降車口から降車する「後乗り方式」のいずれの乗車方式にも適用し得るものである。なお、以下説明する各実施形態では、乗合車両として、バス10a〜10e(路線バス)の場合を例示して説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の運賃収受システムを「前乗り方式」のバスに適用した第1実施形態を図1および図2に基づいて説明する。図1には、第1実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバス10aに搭載した場合における当該バス10aの車室内の構成例を示す説明図が図示されている。また、図2には、同運賃収受システムを構成する運賃箱20の構成例を示す斜視図が図示されている。なお、図1は、バス10aの屋根の部分を取り除いた模式的な説明図であり、前方、側方および後方の窓部分の図示は省略されている。
図1に示すように、第1実施形態の運賃収受システムを搭載する「前乗り方式」のバス10aは、車両前方に乗車口11と運転席13を備えており、車両中央よりも後方寄りに降車口12を備えている。乗車口11の車両後方には仕切り棒19が設けられ、また運転席13の車両後方には衝立板18が設けられている。バス10aの車室空間のうち、これらより後方の客室空間には、複数の客席14,15が設けられている。降車口12の車両前方側には、車掌席16と運賃箱20が設けられている。
車掌席16は、車両側壁の近傍に設けられている。運賃箱20は、その外形が高背の厚板壁形状を成しており、乗車口11から降車口12に向かって移動する乗客に対して利用し易いように長手方向を車両前後方向に向けて、車掌席16に並んで車両幅方向通路側に設けられている。車掌席16と運賃箱20は、車掌席16に着席した車掌が運賃箱20の運賃収受結果表示モニタを目視し得るようにそれぞれの位置関係が設定されている。本第1実施形態では、運賃箱20は、バス10aの車両前後方向ほぼ中央に位置している。運賃箱20の構成については後述する。
車掌席16と運賃箱20が設けられる範囲は、その車両前後方向が仕切り棒19により区切られており、これらの範囲への乗客の侵入を仕切り棒19が阻止している。仕切り棒19は、降車口12の車両後方側にも設けられている。バス10aは、降車口12よりも車両後方の床面が一段高くなっている。この段差部分にも仕切り棒19が設けられている。なお、図1に表す破線は、バス100のタイヤハウスにより凸状に床が高くなった部分を示す。
車両前方側に設けられる客席14は、例えば、1人掛け用と3人掛け用があり、また車両後方側に設けられる客席15は、例えば、2人掛け用と3人掛け用と5人掛け用がある。このような客席構成の場合、客席14と客席15の両席数を比較すると、車両後方側に設けられる客席15の席数(20席)の方が、車両前方側に設けられる客席14の席数(6席)よりも多い。この例では、客席15の席数は、客席14の席数の約3倍になる。
例えば、各駅ごとでは乗車する乗客がまばらで少ないのに対して、特定の停留所等に降車する乗客が多いために客席15に着席する乗客が溜まり易いような乗降客数の特性を有する路線がある。バス10aがこのような路線を走行する場合には、当該バス10aは、客席15の席数が客席14の席数よりも多くなるように設定される。これにより、一般的には、客席空間において、運賃の支払いが済んで降車を待つ乗客用の客席15を設ける領域の方が、運賃の支払いが済んでいない乗客用の客席14を設ける領域よりも広くなる。そのため、降車待ちの乗客を収容する収容キャパシティが増え、路線に適した旅客需要に応えることが可能になる。
このような客席空間において、客席14が存在する領域と客席15が存在する領域は、境界線Lにより区切られており、これらの客席14,15に着席する乗客には、後述するように、本発明に特有の意味づけがなされる。図1において、客席15が灰色に着色されているのは、この意味づけの違いを視覚的に表現するためである。なお、境界線Lは、図面表現上の仮想線であり、バス10aの床面等に表示されているものではない。
図2に示すように、運賃箱20は、バス10aに搭載された状態において車両前後方向に延びる高背の厚板壁形状の筐体21により外観形状の大半が構成されている。この筐体21の上部には、券銭投入口22、ICカードリーダライタ23、硬貨挿入口24、紙幣挿入口25およびディスプレィ27が設けられている。また、紙幣挿入口25の下方には、硬貨排出口26が設けられている。さらに、筐体21の車掌席側面には、図略の運賃収受結果表示モニタが設けられている。
券銭投入口22は、乗客が乗車する際に予め決められている一定金額の運賃(例えば、大人210円、小児100円)を支払うために硬貨や乗車券を投入するための受け口である。券銭投入口22から投入された硬貨や乗車券は、筐体21内に設けられる、図略の券銭分離装置、搬送コンベア、硬貨シュート等を経て、下方の金庫28に収容される。
ICカードリーダライタ23は、券銭投入口22に硬貨等を投入する代わりに、所定のICカードで運賃を精算する際に使用されるICカードの読み取りおよび書き込み装置である。ICカードリーダライタ23は、例えば、ICカードに記憶された電子マネーやポイントに関する情報を読み出す機能と、その情報から運賃相当のポイント数を差し引いた後の電子マネー等の情報を書き戻す機能を備えている。
硬貨挿入口24や紙幣挿入口25は、乗客が券銭投入口22に投入する運賃額相当の硬貨を持ち合わせていない場合に両替や釣り銭の返金を可能にするものである。これらに、硬貨(硬貨挿入口24)や紙幣(紙幣挿入口25)が挿入されると、筐体21内の図略の両替装置により両替された硬貨や運賃を差し引いて残金(釣り銭)が硬貨排出口26から排出される。単なる両替の場合には、乗客は、硬貨排出口26から排出された受け皿内の硬貨から運賃額分の硬貨を券銭投入口22に投入して運賃を支払う。硬貨挿入口24や紙幣挿入口25から挿入された硬貨や紙幣も、筐体21内に設けられる、硬貨シュートや紙幣シュートを経て下方の金庫28に収容される。
これら各装置による運賃の支払いや両替の処理状態は、筐体21内に設けられる制御コンピュータ29によって乗客や乗務員(車掌)が目視確認できるようにディスプレィ27に表示される。また、筐体21の車掌席側面に設けられる運賃収受結果表示モニタにも、運賃の収受が完了したか否かの結果が表示される。さらに、筐体21内に設けられるブザー装置や音声発生装置により運賃の収受完了を聴覚的に認識可能なブザー音や音声ガイダンス等が出力される。
即ち、券銭投入口22またはICカードリーダライタ23によって行われる運賃の支払いに関する情報や、硬貨挿入口24や紙幣挿入口25から挿入された硬貨や紙幣の両替に関する情報は、制御コンピュータ29により情報処理されて文字情報としてディスプレィ27や運賃収受結果表示モニタ等に出力されたり、また音響情報としてブザー音や音声ガイダンス等が出力されたりし得るように構成されている。
ここで再び図1に戻って、バス10aに乗車する乗客が当該バス10aに乗車した後、バス10aを降車するまでの一連の流れを説明する。乗客は、乗車口11からバス10aに乗車すると、運転席13の横の通路を通過して客室空間に入る。従来のバスでは、運転席13の横側(車両幅方向通路側)に運賃箱が設けられているが、当該バス10aの運転席13の横側には運賃箱20が存在しない。そのため、乗客は、運賃を支払う前に車両前方側に設けられる客席14に着席する。
車両前方側の客席14には、例えば、背もたれ部分が白色のシートカバーで覆われている。バス10aでは、このようなシートカバーの色(白色)によってこの客席14に着席している乗客は運賃の支払いがまだ済んでいない(完了していない)ことを表す。そのため、運賃未払いの乗客は、バス10aの車両前後方向ほぼ中央に位置する運賃箱20に任意のタイミングで近づいて運賃を支払う。例えば、乗客は、バス10aが信号や停留所に一時的に停車している間に運賃箱20により運賃の支払いを行う。支払いは、硬貨、紙幣、乗車券、ICカード、回数券等により行われる。車掌が乗務している場合には、車掌席16の車掌が乗客の支払いを確認したり運賃箱20を操作したりする。
乗客は、運賃の支払いが完了すると車両後方に移動して客席15に着席する。車両後方側の客席15には、例えば、背もたれ部分が緑色のシートカバーで覆われている。バス10aでは、このようなシートカバーの色(緑色)によってこの客席15に着席している乗客は運賃の支払いが済んでいる(完了している)ことを表す。乗車直後に運賃の支払いを済ませた乗客は、客席14に座ることなく車両後方に進んで客席15に着席することも可能である。客席15に着席している乗客は、運賃の支払いが済んでいるため、バス10aが目的の停留所に到着すると降車口12から降車する。客席14に着席している乗客が降車しようとした場合には、運賃の支払いが済んでいないため、車掌席16の車掌がこの乗客に運賃の支払いを求める。
このように本第1実施形態の運賃収受システムを搭載するバス10aでは、例えば、複数の客席14を車両前方側に設けるとともにその背もたれ部のシートカバーを白色にし、また複数の客席15を車両後方側に設けるとともにその背もたれ部のシートカバーを緑色にする。そして、シートカバーが白色の客席14には、運賃の収受を完了していない乗客が着席し、シートカバーが緑色の客席15には、運賃の収受を完了した乗客が着席する、バス10aの乗車ルールを規定する。このような乗車ルールは、例えば、バス10aの停留所における運行案内表示、バス10aの客席空間内の広告スペースや運賃箱20の乗客通路側面、あるいは車内表示装置に表示したり、バス10aの車内放送や運賃箱20の音声ガイダンスによって乗客に告知する。乗車ルールの音声ガイダンスは、例えば、運賃箱20が運賃の収受完了時や一定時間ごとに出力する。
これにより、客席14に着席する乗客には運賃が未払いである旨の意味づけがされ、また客席15に着席する乗客には運賃の支払いが済んでいる旨の意味づけがされる。そして、複数の客席14が存在する領域(境界線Lよりも車両前方側)と、複数の客席15が存在する領域(境界線Lよりも車両後方側)とを区切る境界線Lの近傍に運賃箱20を設けることにより、「先払い方式」や「後払い方式」という概念とは異なる「常時払い方式」の運賃収受システムを構成することが可能になる。つまり、バス10aの乗客は、バス10aに乗車している期間中に運賃を支払うことが可能になるため、降車時や乗車時に運賃を支払う必要がない。したがって、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制することができる。
なお、上述した第1実施形態では、客席14の背もたれ部のシートカバーを白色に設定し、また客席15の背もたれ部のシートカバーを緑色に設定したが、両者の違いを視覚的に区別できる色の組み合わせであれば、例えば、灰色と水色等、他の色の組み合わせでも良い。また、客席14,15の外観の全体または一部に形状(構造を含む)、模様(図柄を含む)、色彩等に違いを持たせて両者を視覚的または触覚的に区別可能に構成しても良い。なお、複数の客席14が存在する領域は、特許請求の範囲に記載の「第1領域」に相当し得るものである。また、複数の客席15が存在する領域は、特許請求の範囲に記載の「第2領域」に相当し得るものである。
また、上述した第1実施形態では、バス10aに車掌席16を設ける構成を採ったが、必ずしも車掌席16を設ける必要はない。バス10aに車掌席16を設けない場合には、バス10aの乗務員は、車両前方に存在する運転席13の運転士だけになり、このような運転士には、車両前後方向ほぼ中央に存在する運賃箱20に乗客が運賃を支払ったか否かを目視により確認することは難しい。そのため、バス10aに車掌席16を設けない場合には、運賃の支払いの有無は、乗客の善意に委ねられる。
車掌席16を設ける代わりに、例えば、監視カメラを運賃箱20の上方に設けて当該監視カメラの映像を運転席13のモニタ画面に表示させたり、レコーダに記録させたりする構成を採っても良い。またこれらに加えて、運賃箱20の運賃収受結果表示モニタに表示される運賃収受結果情報を運転席13のモニタ画面に表示させても良い。これらの構成の場合には、運転士は、乗客の運賃箱20による運賃の支払いの有無を運転席13のモニタ画面を介して確認したりレコーダに記録したりすることが可能になる。そのため、運賃の支払いのない乗客に対して車内マイクを通して支払いを促したり、また記録画像をもとに事後的に支払いを求めることができる。
さらに、上述した第1実施形態では、車両後方側に設けられる客席15の席数の方が、車両前方側に設けられる客席14の席数よりも多くなるように設定したが、これとは逆に設定しても良い。即ち、車両前方側に設けられる客席14の席数の方が、車両後方側に設けられる客席15の席数よりも多くなるように設定する。これにより、始発駅や途中駅で一時期に多くの乗客が乗車する駅が存在し得る路線をバス10aが走行する場合に当該路線に適した旅客需要に対応することが可能になる。この場合には、一般的には、客席14を設ける領域の方が客席15を設ける領域よりも広くなり、乗車待ちの乗客を収容する収容キャパシティが増える。なお、乗降客数の特性にバラツキが少ない路線をバス10aが走行する場合には、例えば、車両前方側に設けられる客席14の席数と、車両後方側に設けられる客席15の席数とをほぼ同数に設定しても良い。この場合、一般的には、客席14,15を設ける両領域は、面積がほぼ同じになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の運賃収受システムを「前乗り方式」のバスに適用した第2実施形態を図3および図4に基づいて説明する。図3には、第2実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバス10bに搭載した場合における当該バス10bの車室内の構成例を示す説明図が図示されている。また、図4には、同運賃収受システムを構成する運賃箱20とゲート装置30の構成例および接続例を示す説明図が図示されている。なお、図3は、バス10bの屋根の部分を取り除いた模式的な説明図であり、前方、側方および後方の窓部分の図示は省略されている。
第2実施形態の運賃収受システムは、複数の客席14が存在する領域と複数の客席15が存在する領域とを区切る境界線Lの近傍に、運賃箱20に加えてゲート装置30を設ける点が第1実施形態の運賃収受システムと異なる。そのため、第2実施形態では、バス10bの構成において、第1実施形態のバス10aと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図3に示すように、バス10bには、境界線L上にゲート装置30を備えており、このゲート装置30によって、複数の客席14が存在する領域(境界線Lよりも車両前方側)と複数の客席15が存在する領域(境界線Lよりも車両後方側)とを仕切る。運賃箱20や車掌席16は、複数の客席14が存在する領域内に設けられる。この領域内にいる乗客は、運賃が未払いであり、運賃箱20を利用する必要があるからである。ゲート装置30は、一方側30aと他方側30bにより構成されており、図4に示すように、これら30a,30bは、運賃箱20に電気的に接続されている。一方側30aの本体部31と他方側30bの本体部32は、ともに肉厚の厚い板壁状に形成される一対の隔壁であり、境界線L上に沿って長手方向に並ぶように短手の側面同士が向き合って対峙している。本第2実施形態では、例えば、本体部31と本体部32は、乗客1人が通過可能な離隔距離を隔てて互いに位置している。
本体部31,32は、互いに向き合う方向に突出する可動部33,34を備えている。可動部33,34は、本体部31,32から横方向に突出する状態と、下方に倒れ込む状態とを外部から入力される制御信号等に従って維持可能に構成されている。例えば、セット信号が外部入力されると、ゲート装置30(一方側30a、他方側30b)は、横方向に突出している可動部33,34を下方に倒れ込ませる。倒れ込んだ可動部33,34は、ゲート装置30に設けられる図略の光センサ等で乗客の通過完了を検出したり、タイマー機能により一定時間の経過を検出したりすると、横方向の突出状態に戻る。ゲート装置30のシステムリセットによっても、可動部33,34が横方向の突出状態になる。このような動作により、可動部33,34は腕木状に可動してゲートバーとして機能する。
即ち、図4に示すように、ほぼ横方向に可動部33,34が突出する状態においては、本体部31と本体部32の通路がこれらの可動部33,34により遮断され、下方または斜め下方に可動部33’,34’が倒れる状態においては、本体部31と本体部32の通路が開通する。これにより、ゲート装置30は、複数の客席14が存在する領域から複数の客席15が存在する領域への乗客の移動(通過)を制御することが可能になる。
本第2実施形態では、ゲート装置30は、運賃箱20の制御コンピュータ29に電気的に接続されており、運賃箱20による運賃の収受が完了すると、制御コンピュータ29は、一方側30aおよび他方側30bに対して、セット信号を出力する。これにより、ゲート装置30は、可動部33,34を下方に倒して乗客の通過を許容(許可)する。これ以外の場合には、ゲート装置30は可動部33,34を横方向に突出した状態を維持する。これにより、運賃箱20による運賃の収受が完了しない場合には、ゲート装置30は、横方向に突出させた可動部33,34によって乗客の通過を阻止(禁止)する。
なお、本第2実施形態では、ゲート装置30は、可動する腕木状の可動部33,34を備えるように構成したが、乗客の移動(通過)を制御することが可能な構成であれば、例えば、乗客の移動方向(通過方向)に矩形板状の一対のパドルが可動して、乗客の通過を許容(許可)したり、乗客の通過を阻止(禁止)したりするように構成しても良い。この場合、乗客の移動(通過)を制御する一対のパドルを設ける位置が、境界線L上または境界線Lの付近(車両前後方向近辺)であれば良い。
このように本第2実施形態では、運賃箱20による運賃の支払いが完了した乗客だけが、複数の客席14が存在する領域(境界線Lよりも車両前方側)から、複数の客席15が存在する領域(境界線Lよりも車両後方側)に移動することが可能になる。そのため、車掌が乗務しない運転士だけのワンマン運転方式においても、運賃の支払いが終了したことを運転士に明示し得る客席15に運賃の支払いが済んだ乗客だけが着席することを許可し、運賃の支払いが済んでいない乗客がそのような客席15に着席することを禁止することが可能になる。このようにバス10bはワンマン運転方式にも対応可能な構成を採るが、このようなバス10aに車掌席16を設けているのは、車掌が乗務した場合に当該車掌が乗客の支払いを確認したり運賃箱20を操作したりするのを容易にするためである。
なお、図4に示す構成では、ゲート装置30を境界線L上に設けたが、複数の客席14が存在する領域(境界線Lよりも車両前方側)と複数の客席15が存在する領域(境界線Lよりも車両後方側)とを仕切ることが可能であれば、境界線Lの付近(車両前後方向近辺)であっても良い。
また、図4に示す構成では、ゲート装置30を構成する一方側30aと他方側30bがそれぞれ運賃箱20の制御コンピュータ29に対して電気的に接続されているが、一方側30aまたは他方側30bのいずれか一方(例えば一方側30a)だけを制御コンピュータ29に接続して、他方(例えば他方側30b)が一方(例えば一方側30a)に制御されるように構成しても良い。
[第3実施形態]
続いて、本発明の運賃収受システムを「後乗り方式」のバスに適用した第3実施形態を図5に基づいて説明する。図5には、第3実施形態に係る運賃収受システムを後乗り方式のバス10cに搭載した場合における当該バス10cの車室内の構成例を示す説明図が図示されている。なお、図5は、バス10cの屋根の部分を取り除いた模式的な説明図であり、前方、側方および後方の窓部分の図示は省略されている。
第3実施形態の運賃収受システムは、それを搭載する乗合車両が後乗り方式のバス10c、即ち車両後方に乗車口11を設けて車両前方に降車口12を設けたバス10cである点が第2実施形態の運賃収受システムと異なる。そのため、第3実施形態では、バス10cの構成において、第2実施形態のバス10bと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図5に示すように、バス10cは、乗車口11が車両後方に位置し、降車口12が車両前方に位置している。そのため、バス10cでは、運賃の支払いが済んでいない乗客が着席する客席14はゲート装置30よりも車両後方に設けられており、また運賃の支払いが済んだ乗客が着席する客席15はゲート装置30よりも車両前方に設けられている。車両後方側に設けられる客席14は、1人掛け用と2人掛け用と5人掛け用があり、また車両前方側に設けられる客席15は、1人掛け用と2人掛け用がある。このような客席構成の場合、客席14と客席15の両席数を比較すると、車両後方側に設けられる客席14の席数(17席)の方が、車両前方側に設けられる客席15の席数(8席)よりも多い。このような第3実施形態の例では、客席14の席数は、客席15の席数の約2倍になる。
例えば、各駅ごとでは降車する乗客がまばらで少ないのに対して、特定の停留所等に乗車する乗客が多いために客席14に着席する乗客が溜まり易いような乗降客数の特性を有する路線がある。バス10cがこのような路線を走行する場合には、当該バス10cは客席14の席数が客席15の席数よりも多くなるように設定される。これにより、一般的には、客席空間において、運賃の支払いが済んでいない乗客用の客席14を設ける領域の方が運賃の支払いが済んだ乗客用の客席15を設ける領域よりも広くなる。そのため、支払い待ちの乗客を収容する収容キャパシティが増え、路線に適した旅客需要に応えることが可能になる。
[第4実施形態]
続いて、本発明の運賃収受システムを連接タイプのバスに適用した第4実施形態を図6に基づいて説明する。図6には、第4実施形態に係る運賃収受システムを連接タイプのバス10dに搭載した場合における当該バス10dの車室内の構成例を示す説明図が図示されている。なお、図6は、バス10dの屋根の部分を取り除いた模式的な説明図であり、前方、側方および後方の窓部分の図示は省略されている。また、同図に示す一点鎖線は、紙面の上方および下方にそれぞれ描かれた2つの車両が連接部Jによって連結されていることを表すものである。
第4実施形態の運賃収受システムは、それを搭載する乗合車両が連接タイプのバス(以下「連接バス」という)10d、即ち2両編成以上の乗合車両である点が第2実施形態の運賃収受システムと異なる。そのため、第4実施形態では、連接バス10dの構成において、第2実施形態のバス10bと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図6に示すように、連接バス10dは、同図の紙面上方に位置する前方車両と同紙面下方に位置する後方車両により構成されており、両車両は連接部Jにより接続されている。連接部Jは、例えば、図略の連結器により前方車両と後方車両を接続するとともにべーローズ(蛇腹)構造により当該連接部Jが車両幅方向に屈曲し得るように構成されている。
連接バス10dの前方車両は、その車両前方に設けられる乗車口11および運転席13と、これらの車両後方の客席空間に設けられる客席14、車掌席16、運賃箱20、ゲート装置30等とを備えている。この前方車両には、降車口12が設けられていない。そのため、前方車両の客室空間は、運賃の支払いが済んでいない乗客用の客席14を設ける領域に相当する。これに対して、連接バス10dの後方車両は、その車両後方に設けられる降車口12と客席15を備えている。この前方車両の客室空間は、運賃の支払いが済んだ乗客用の客席15を設ける領域に相当する。つまり、連接バス10dは前乗り方式のバスである。
このような前乗り方式の連接バス10dの場合には、客席14が設けられる前方車両の車両後方に繋がる連接部Jの手前にゲート装置30が位置している。これにより、運賃の支払いが済んだ乗客だけに連接部Jの通過を許容し、運賃の支払いが済んでいない乗客に対しては連接部Jの通過を阻止する。乗客は、連接部Jを通過しなければ、降車口12のある後方車両に移動することができない。そのため、前方車両の客席14に着席等する乗客は、運賃を支払ってゲート装置30を介して連接部Jを通過しなければ連接バス10dから降車することができない。
なお、この連接バス10dは2両編成の例であるが、車両編成が3両以上であっても、本発明の運賃収受システムを適用することができる。この場合、ゲート装置30が設けられる車両よりも後方の車両には、降車口12を設けても良いが乗車口11は設けてはならない。ゲート装置30よりも後方の車両には、運賃の支払いが済んでいる乗客用の客席15が設けられており、運賃未払いの乗客が当該車両に乗車することを防止するためである。また、ゲート装置30が設けられる車両よりも前方の車両には、乗車口11を設けても良いが降車口12を設けてはならない。ゲート装置30よりも前方の車両には、運賃の支払いが済んでいない乗客用の客席14が設けられており、運賃未払いの乗客の降車を防止するためである。
[第5実施形態]
続いて、運賃箱20をICカードリーダライタ40に代えて本発明の運賃収受システムを構成した第5実施形態を図7〜図9に基づいて説明する。図7には、第5実施形態に係る運賃収受システムを前乗り方式のバス10eに搭載した場合における当該バス10eの車室内の構成例を示す説明図が図示されている。また、図8には、同運賃収受システムを構成するICカードリーダライタ40の構成例を示す斜視図が図示されている。さらに、図9(A)には、ゲート装置3に隣接してICカードリーダライタ40を設けた場合の構成例を示す説明図、図9(B)は、ゲート装置30の本体部32にICカードリーダライタ36を設けた場合の構成例を示す説明図、がそれぞれ図示されている。
第5実施形態の運賃収受システムは、運賃箱20に代えてICカードリーダライタ40を設ける点と、車掌席16等を廃止した点が第1実施形態の運賃収受システムと異なる。そのため、第5実施形態では、バス10eの構成において、第1実施形態のバス10aと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図7に示すように、バス10eでは、境界線Lの近傍に運賃箱20に代わりにICカードリーダライタ40が設けられるとともに、車掌席16と仕切り棒19を廃止したことに伴って空いた空間に客席14が増設されている。運賃箱20がICカードリーダライタ40に変更されたことにより、現金を取り扱う必要のない電子マネーによる運賃の支払い方式に変わることから車掌席16等を廃止している。ICカードリーダライタ40は、例えば、境界線Lの近傍に設けられている握り棒17に取り付けられており、乗客が利用し易い高さにその位置が設定されている。本第5実施形態では、握り棒17にICカードリーダライタ40を取り付けたが、例えば、降車口12に近い仕切り棒19にICカードリーダライタ40を取り付けても良い。
ICカードリーダライタ40は、例えば、図8に示すように構成される。具体的には、ICカードリーダライタ40は、長箱形状の筐体41と、筐体41の前面上方に設けられるディスプレィ43と、筐体41の前面下方(ディスプレィ43の下方)に設けられるタッチパネル45等によりその外観が構成されている。ICカードリーダライタ40の後面には、握り棒17等に取付固定可能な図略の取付金具が設けられている。筐体41内には、ディスプレィ43やタッチパネル45に接続されてこれらを電気的に制御する制御コンピュータ49が収容されている。
ICカードリーダライタ40は、電気的には、前述した運賃箱20に設けられているICカードリーダライタ23とほぼ同様に構成されており、非接触型ICカード(例えば、交通系ICカード等)に対して、電子データを読み書きする。ICカードリーダライタ40は、例えば、タッチパネル45にタッチされたり、かざされたりしたICカードから電子マネーやポイントに関する情報を読み取るとともに運賃の支払い処理後のこれらの情報を書き込む機能を備えている。また、これと同時期にディスプレィ43に運賃や残高を表示する機能も備えている。このような機能は、制御コンピュータ49により行われる。
このように本第5実施形態では、運賃箱20に代えてICカードリーダライタ40を設けることによって、運賃の支払いを電子マネーに限定することから、現金の取り扱いがなくなることから、車掌の乗務が不要になる。そのため、車掌が乗務しない運転士だけのワンマン運転方式においても、運賃収受システムの適用が可能になる。また、運転士による運転操作を必要としない自動運転方式の乗合車両の場合には、運転士も車掌も乗務しない無人運転の乗合車両の運行が可能になる。
なお、第2〜第4実施形態のバス10b〜10dのように客室空間内にゲート装置30が設けられている場合には、図9(A)に示すように、ゲート装置30の近傍にICカードリーダライタ40を設けても良いし、また図9(B)に示すように、ゲート装置30の本体部31または本体部32の上方にICカードリーダライタ36を設けても良い。図9(B)に示す例の場合には、ICカードリーダライタ36は、ICカードリーダライタ40と同等の機能を有するとともに、内蔵する制御コンピュータによりゲート装置30の可動部33,34を制御する構成を採る。ゲート装置30自体に可動部33,34を制御する制御コンピュータを内蔵し、ICカードリーダライタ36からの制御情報に基づいて可動部33,34を制御する構成を採っても良い。
以上説明したように上述した各実施形態のバス10a〜10c,10eや連接バス10d(以下「バス10a等」という)の運賃収受システムでは、運賃箱20またはICカードリーダライタ40(以下「運賃箱20等」という)は、運賃の収受を完了していない乗客が着席すべき複数の客席14が存在する領域よりも、運賃の収受を完了した乗客が着席すべき複数の客席15が存在する領域の側、つまりバス10a等の車両前後方向中央側に設けられる。そのため、運賃箱20等は、バス10a等の乗車口11や降車口12の付近に設けられない。これにより、例えば、従来の「先払い方式」の場合には、乗客は、運賃を支払う前に乗車して客席14に着席した後に運賃を支払うことが可能になる。また、乗客は、バス10a等の停車中等に運賃箱20等に運賃を支払った後、客席15に着席することで、運賃の支払いが終了したことを運転士等の乗務員に明示することができ、目的の停留所で降車することが可能になる。
つまり、乗客は、バス10a等に乗車してから降車するまでの間(客席14に着席してから客席15に着席するまでの間)において運賃の支払いを済ませれば良い。そのため、従来の「先払い方式」や「後払い方式」という概念とは異なる「常時払い方式」の運賃収受システムを提供することが可能になる。したがって、乗客は、バス10a等に乗車している期間中に運賃を支払い得ることから、降車時や乗車時に運賃を支払う必要がないので、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制することができる。
なお、上述した各実施形態では、上記の運賃収受システムを搭載する乗合車両として、運転士が運転するバス10a等を例示して説明したが、これに限られることはなく、例えば、運転士による運転操作を必要としない自動運転方式の乗合車両であっても良い。即ち、上記の運賃収受システムを搭載可能な乗合車両は、運転士を要することなく自動的に運転制御を行うコンピュータを搭載する乗合車両であって、客席空間の乗車口11側に客席14が存在する領域が設けられ、かつ、客席空間の降車口12側に客席15が存在する領域が設けられる車両でも良い。なお、自動運転の方式は特に問わない。
このような自動運転方式の乗合車両に上記の運賃収受システムを搭載することにより、乗客は、バス10a等に乗車している期間中に運賃を支払い得ることから、降車時や乗車時に運賃を支払う必要がない。したがって、運転士が乗務しない自動運転方式の乗合車両においても、乗客の乗車時や降車時における混雑の発生を抑制することができる。なお、自動運転方式の乗合車両であっても、車掌が乗務する場合には、上述した各実施形態のバス10a等のように運賃箱20の近傍に車掌席16を設けることで、車掌席16の車掌が、乗客による運賃の支払いを確認したり運賃箱20を操作したりすることが可能になる。
また、上述した各実施形態における客席14および客席15の席数は、それぞれの例として説明の便宜から設定したものである。そのため、これらの席数は、バス10a等が運行する路線の乗降客数の特性や乗降客数の統計データに基づく計算機シミュレーションにより算出されて決定される。
さらに、上述した各実施形態では、乗合車両としてバス10a等を例示して説明したが、乗客から一定金額の運賃を収受する運賃箱やICカードリーダライタを搭載する乗合車両であれば、例えば、路面電車、トロリーバス、鉄道等にも適用することができる。これらに適用した場合にも、上述したバス10a等の場合と同様の作用および効果が得られる。また、ICカードリーダライタに代えて、磁気カードリーダライタでも良い。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。
10a,10b,10c,10e…バス(乗合車両)
10d…連接バス(乗合車両)
11…乗車口
12…降車口
13…運転席
14…客席(第1の客席)
15…客席(第2の客席)
16…車掌席
17…握り棒
18…衝立板
19…仕切り棒
20…運賃箱(運賃収受機)
22…券銭投入口
23,36,40…ICカードリーダライタ(運賃収受機)
27…ディスプレィ
29…制御コンピュータ
30…ゲート装置
30a…一方側
30b…他方側
31,32…本体部
33,34…可動部
J…連接部
L…境界線(境界)

Claims (4)

  1. 乗合車両に搭載されてこの乗合車両の乗客から一定金額の運賃を運賃収受機により収受する運賃収受システムであって、
    前記乗合車両の客席空間において、「前記運賃の収受を完了していない乗客が着席すべき複数の第1客席が存在する第1領域」と「前記運賃の収受を完了した乗客が着席すべき複数の第2客席が存在する第2領域」との境界またはこの境界付近に前記運賃収受機を備えることを特徴とする運賃収受システム。
  2. 前記第1領域と前記第2領域との間に少なくとも前記第1領域から前記第2領域への乗客の通過を制御するゲート装置をさらに備え、このゲート装置は、前記運賃の収受を完了した乗客の通過を許容し、前記運賃の収受を完了していない乗客の通過を阻止することを特徴とする請求項1に記載の運賃収受システム。
  3. 前記第1領域と前記第2領域との境界またはこの境界付近に前記乗合車両の車掌が着席する車掌席が存在している場合において、前記運賃収受機は、前記車掌席の近傍に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の運賃収受システム。
  4. 前記乗合車両が、運転士を要することなく自動的に運転制御を行うコンピュータを搭載するとともに、前記客席空間の乗車口側に前記第1領域を設け、かつ、前記客席空間の降車口側に前記第2領域を設ける場合において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の運賃収受システムを備えることを特徴とする乗合車両。
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