以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図12は、一実施の形態及びその変形例を説明するための図である。このうち図1、図2は、太陽電池モジュール1の構成を示す斜視図または縦断面図である。
太陽電池モジュール1は、所定の表示機能及び外光を利用した発電機能の両方を発揮する。図1及び図2に示す太陽電池モジュール1において、第1表示面3aが配置された第1シート部材2が、太陽電池パネル50よりも入光側に設けられている。入光側に第1シート部材2が設けられていることにより、太陽電池パネル50の受光面50aを目立たなくすると共に、入光側から太陽電池モジュール1を観察する観察者に、主として第1シート部材2に配置された第1表示面3aを表示する。また、第1シート部材2には、入光側から入射する太陽光を太陽電池パネル50に向けて透過するよう工夫が施されている。ゆえに、入光側から太陽電池モジュール1に入射する太陽光L21は、第1シート部材2を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このようにして、太陽電池モジュール1によれば、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面3aによる表示及び太陽電池パネル50による発電の両立を可能にしている。
以下、本実施の形態による太陽電池モジュール1の構成及び作用効果について詳述していく。図2によく示されているように、太陽電池モジュール1は、シート状の第1シート部材2と、第1シート部材2の背面に配置された太陽電池パネル50と、を備えている。
第1シート部材2は、互いに対向する一対の主面として、一方の面2a及び他方の面2bを有している。一方の面2aは、太陽電池モジュール1へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、一方の面2aは、第1表示対象3bを可視化する第1表示面3aからの光が太陽電池モジュール1から出射する出射面をなす。一方、他方の面2bは、太陽電池パネル50に対向する面をなしている。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施の形態においては、第1シート部材2のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、並びに太陽電池パネル50の受光面50aは、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
第1シート部材2は、着色層3と、着色層3よりも太陽電池パネル50側に設けられた光拡散層4aと、を有している。着色層3が入光面をなす第1シート部材2の一方の面2aを規定し、光拡散層4aが第1シート部材2の他方の面2bを規定している。
着色層3は、観察者によって観察されることが意図された第1表示面3aを形成するべく、無彩色または有彩色に着色された層である。上述のように、太陽電池モジュール1は、第1シート部材2の一方の面2aから観察されることが意図されている。このため、着色層3は、入光側となる表面つまり第1シート部材2の一方の面2aを規定する表面に、第1表示面3aを形成している。図1に示す例では、第1表示面3aは、第1シート部材2の一方の面2aを観察する観察する観察者に対して、第1表示対象3bとしてのアルファベットの「N」を表示している。
着色層3の着色方法や形成方法等については特に限定されることはなく、自由に設計可能である。着色層3の成分としては特に限定されることはなく、着色材として各種染料や各種顔料を適宜組み合わせて用いることができる。また、着色層3においては、前記着色材の他、任意の成分として、バインダーとしての樹脂、溶媒、分散剤等、着色層3を形成する上で必要な成分を任意に配合することができる。
着色層3の着色材として顔料を用いる場合には、耐候性の向上を図ることができる点で好ましい。一方で着色層3の着色材として染料を用いる場合には、鮮やかな色を再現することができ、意匠性の向上を図ることができる点で好ましく、さらに染料は塗布量が少なくても発色良く意匠を再現することができるため、着色層3をベタ層として形成しても高い光透過率を維持することができる点でも好ましい。
本実施の形態による着色層3は、太陽電池パネル50の受光面50aを覆うように位置するため、太陽電池パネル50の発電効率の観点から、可能な限り光透過性を有している、つまり透明であることが好ましい。光透過性に関しては、第1表示面3aによる表示と発電効率のバランスを考慮して適宜設計すればよい。着色層3の平均透過率としては、第1表示面3aによる表示によって様々であるが、たとえば20%以上とすることが好ましく、50%以上、さら好ましくは70%以上とすることが好ましい。
ここで、本件明細書における平均透過率は、着色層3の面内平均における可視光線透過率を意味する。可視光線透過率の値としては、例えば、SMカラーコンピュータSM−C(スガ試験機株式会社製)を用いて、380nmから750nmの可視光波長領域を測定し、任意に採取したサンプル12点の測定値を平均した値を採用することが精度向上の観点で好ましい。なお、着色層3に絵柄が形成されている場合等、着色層3の面内に可視光線透過率が大きく異なる箇所がある場合には、占有面積が比較的広い箇所を選んでそれらの平均を採用すれば足りる。
光拡散層4aは、第1シート部材2を透過した光を拡散させて太陽電池パネル50に導く。光拡散層4aは、入射光を拡散し得るものであれば特に限定されることはなく、例えば公知の各種光拡散層を適宜選択して用いることができる。例えば、光拡散層4aは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂やポリオレフィン系樹脂からなる材料に、拡散成分、例えば気泡やビーズを分散させて形成されてもよい。あるいは、光拡散層4aは、上述の樹脂シートに凹凸を形成することにより作製されてもよい。
本実施の形態では、着色層3は、当該着色層3をなす材料を、光拡散層4aをなす樹脂シートに印刷することによって形成されている。すなわち、光拡散層4aをなす樹脂シートは、着色層3が印刷される基材として機能する。
また、図2に示すように、第1シート部材2は、接合層5を介して太陽電池パネル50に剥離可能に接合されている。第1シート部材2と太陽電池パネル50とを剥離可能に接合することにより、第1シート部材2を剥離して別のシート部材を太陽電池パネル50に貼り付けることが可能となる。
とりわけ、本実施の形態の接合層5は、第1シート部材2と太陽電池パネル50とを、再接合可能にも接合する。第1シート部材2と太陽電池パネル50とを再接合可能にも接合することにより、第1シート部材2を剥離した後に再び太陽電池パネル50に接合することも可能となる。
このような観点から、接合層5として、例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン系粘着剤、あるいはポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリル酸塩系高分子化合物、エチレン酢酸共重合物、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステルなどの高分子化合物が挙げられる。また、接合層5は、上記の2種以上の化合物の混合物や共重合体であってもよい。また、必要に応じて、粘着付与剤、老化防止剤、架橋剤、充填剤など、各種の添加剤をこれらの高分子化合物に含有させてもよい。
なお、図2に示す接合層5は、太陽電池パネル50と剥離可能に接合されており、第1シート部材2の光拡散層4aに固着されている。すなわち、接合層5は、第1シート部材2と一体に構成された部品である。
太陽電池パネル50は、受光面50aで受光した光を電気エネルギーに変換する発電装置である。太陽電池パネル50の受光面50aには、第1シート部材2を透過した光L21が導かれるようになっており、この光L21が発電に利用される。
このような太陽電池パネル50として、種々の形態のものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコン等からなる平板状のシリコン基板を含むシリコン系太陽電池パネル、カルコパイライト系太陽電池パネル、化合物半導体型太陽電池パネル、色素増感型太陽電池パネル、量子ドット型太陽電池パネル、および有機薄膜型太陽電池パネル等を挙げることができる。
これらの太陽電池素子の中でも、色素増感型太陽電池パネルは、蛍光灯などの室内光や、窓際など、低照度での発電効率が高いといった利点や、製造工程に真空条件を必要とせず製造コストが低いといった利点から、特に好適に使用することができる。また、色素増感型太陽電池パネルは、前記のごとく室内において用いられることから、意匠性が要求される場合も多く、本願発明の効果を発揮できる点でも好ましい。
なお、図示する例では、第1シート部材2は、太陽電池パネル50の受光面50aの全体を覆っている。換言すれば、図1に示す方向からみたときに、第1シート部材2の着色層3の輪郭と光拡散層4aの輪郭と受光面50aの輪郭とが重なり合っている。
さて、上述のように、接合層5を介して第1シート部材2と太陽電池パネル50とを剥離可能に接合することにより、第1シート部材2を剥離して別のシート部材を太陽電池パネル50に貼り付けることが可能となる。図3に、第1シート部材2を剥離して別の第2シート部材6を太陽電池パネル50に貼り付けるようすを示す。
図3に示す第2シート部材6は、第2表示面7aが配置され、その上、第1シート部材2と入れ換え可能に構成されている。第2シート部材6は、第2表示面7aが配置され第1シート部材2と入れ換え可能に構成されている限り、第1シート部材2と同一に構成されていてもよいし、異なる構成であってもよい。以下の説明では、第2表示面7aにて表示される第2表示対象7bが第1表示面3aにて表示される第1表示対象3bと異なるが、その他の構成は、第1シート部材2と同一に構成された例を用いて、第2シート部材6について説明していく。
第2シート部材6は、互いに対向する一対の主面として、一方の面6a及び他方の面2bを有している。一方の面6aは、第1シート部材2と入れ換えた状態において、太陽電池モジュール1へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、一方の面6aは、第2表示対象7bを可視化する第2表示面7aからの光が太陽電池モジュール1から出射する出射面をなす。一方、他方の面6bは、第1シート部材2と入れ換えた状態において、太陽電池パネル50に対向する面をなす。
図3に示すように、第2シート部材6は、着色層7と、着色層7よりも太陽電池パネル50側に設けられた光拡散層8aと、を有している。
着色層7は、観察者によって観察されることが意図された第2表示面7aを形成するべく、無彩色または有彩色に着色された層である。上述のように、太陽電池モジュール1は、第2シート部材6の一方の面6aから観察されることが意図されている。このため、着色層7は、入光側となる表面つまり第2シート部材6の一方の面6aを規定する表面に、第2表示面7aを形成している。
図4に、第2表示面7aを観察したようすを示す。図4に示す例では、第2表示面7aは、第2シート部材6の一方の面6aを観察する観察する観察者に対して、第2表示対象7bとしての絵柄、具体的には人の顔の輪郭を表示している。すなわち、図4に示す例では、第2表示対象7bは、第1表示対象3bと異なっている。
とりわけ、着色層7は、太陽電池パネル50の発電効率の観点から、可能な限り光透過性を有している、つまり透明であることが好ましい。着色層7の着色方法や形成方法等は、上述の第1シート部材2と同様なためここでは詳細な説明を省略する。
光拡散層8aは、第2シート部材6を透過した光を拡散させて太陽電池パネル50に導く。光拡散層8aは、上述の第1シート部材2の光拡散層4aと略同様に構成することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図3に示すように、第2シート部材6は、接合層5とは別の接合層9を介して太陽電池パネル50に接合されている。とりわけ、本実施の形態の接合層9は、第2シート部材6と太陽電池パネル50とを、剥離可能且つ再接合可能に接合する。なお、接合層9は、太陽電池パネル50と剥離可能に接合されており、第2シート部材6の光拡散層8aに固着されている。すなわち、接合層9は、第2シート部材6と一体に構成された部品である。なお、接合層9と第2シート部材6とによって、シート部材交換部品10が構成される。
以上のように、本実施の形態によれば、第1表示面3aが配置された第1シート部材2と、第1シート部材2に対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、第1シート部材2は、第2表示面7aが配置された第2シート部材6と入れ換え可能になっている。このような形態によれば、太陽電池パネル50に対向して第1表示面3aが配置された第1シート部材2が設けられていることにより、太陽電池パネル50の受光面50aを目立たなくすると共に、入光側から太陽電池モジュール1を観察する観察者に、主として第1シート部材2に配置された第1表示面3aを表示することができる。さらに、第1シート部材2と第2シート部材6とを異なる構成にすることにより、表示のニーズに合わせて、第1シート部材2と第2シート部材6とを適宜選択することができる。また、第1シート部材2に遮られなかった光L21は、太陽電池パネル50に到達して発電に利用される。これらの結果、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面3aによる表示及び太陽電池パネル50による発電の両立を可能にしている。
また、本実施の形態によれば、第1シート部材2は、入射する太陽光L21の少なくとも一部を透過させて太陽電池パネル50に導く。この場合、第1シート部材2に入射する太陽光L21の少なくとも一部を太陽電池パネル50に導くことができるため、表示面3aによる表示及び太陽電池パネル50による発電の両立を効果的に実現可能となる。
また、本実施の形態によれば、第1シート部材2は、光透過性をもつ着色層3を有し、着色層3が第1表示面3aを形成している。この場合、表示及び発電の両立を、着色によって容易に実現することができる。なお、着色層3は、太陽電池パネル50の受光面50aの全体にわたって形成されている必要はなく、表示すべき第1表示対象3bの形状に応じて部分的に設けられていてもよい。
また、本実施の形態によれば、第1シート部材2は、着色層3よりも太陽電池パネル50側に設けられた光拡散層4aを有している。光拡散層4aによって第1シート部材2から太陽電池パネル50に向かう光を拡散させることで、太陽電池パネル50の受光面50aの広い領域にむらなく光を到達させることができる。この結果、受光面50aに局所的に光が集中することによる内部抵抗の増大を防ぎ、太陽電池パネル50にて効率よく発電することが可能となる。その一方で、太陽電池モジュール1を観察する観察者にとっては、光拡散層4aを着色層3の背景として観察することができる。この場合、白濁した光拡散層4aが太陽電池パネル50を目立たなくすると共に背景としても観察されることで、着色層3によって表示される第1表示対象3bをより美しく視認することが可能となる。なお、光拡散層4aは必要に応じて設けられるものであり、必ずしも光拡散層4aは設けられていなくてもよい。
また、本実施の形態によれば、第1シート部材2は、太陽電池パネル50に接合層5を介して剥離可能に接合されている。この場合、第1シート部材2を剥離すれば、第1シート部材2と第2シート部材6とを入れ換えることが可能となるため、この入れ換え作業が容易となる。
とりわけ、本実施の形態の接合層5は、第1シート部材2と太陽電池パネル50とを、剥離可能且つ再接合可能に接合する。第1シート部材2と太陽電池パネル50とを再接合可能にも接合することにより、第1シート部材2を剥離した後に再び太陽電池パネル50に接合することも可能となる。
また、本実施の形態によれば、第2シート部材6に、太陽電池パネル50に剥離可能に接合可能な別の接合層9が設けられている。この場合、第1シート部材2に接合層5が固着されていても、別の接合層9を利用して第2シート部材6を太陽電池パネル50に接合することができるため、作業性がよい。
また、かかる第2シート部材6は、基材に別の接合層9を積層する工程と、基材に第2表示面7aを形成する材料を配置する工程と、を備える、シート部材6を製造する方法にて提供され得る。材料を配置する場合、印刷技術を用いると、第2シート部材6を安定して量産することができる点で有利である。
また、本実施の形態によれば、図3に示すように、第1表示面3aが配置された第1シート部材2と、第1シート部材2に対向して配置された太陽電池パネル50と、を備える太陽電池モジュール1の、第1シート部材2と入れ換えて用いられるシート部材交換部品10であって、第2表示面7aが配置されたシート部材6と、シート部材6に積層され、太陽電池パネル50に剥離可能に接合可能な接合層9と、を備える、シート部材交換部品10が提供される。なお、接合層9は、シート部材交換部品10に設けずに、太陽電池パネル50に設けてもよい。
なお、シート部材交換部品10(第2シート部材2)は、第1表示面3aを形成する材料を除去する工程と、前記第1表示面3aを形成する材料が除去された面に、前記第2表示面7aを形成する材料を配置する工程により、製造してもよい。この場合、基材等のシート部材の材料を再利用するため、製造費用を削減できる。
第1表示面3aにより表示される表示対象と第2表示面7aにより表示される表示対象とは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1表示面3aが経時劣化した場合に、第1表示面3aと同じ表示対象を表示する第2表示面7aを配置することが考えられる。あるいは、第2表示面3aの表示対象の表示期間が過ぎた後、表示対象を第2表示面7aの表示対象に変更することが考えられる。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図2に示すように、着色層3が、光拡散層4aにインキをベタ印刷してなるベタ層からなる例を示したが、着色層3の構成は、上述した構成に限定されない。図5に、着色層3の他の構成例を示す。図5に示す例では、着色層3は、光拡散層4aにインキを網点印刷してなるパターン層として設けられている。とりわけ、図5に示すパターン層は、ドット状のパターン層である。着色層3をドット状とすることにより、ドットが設けられていない領域から太陽電池パネル50により多くの光を導くことができる。
ドット状の着色層3を形成する方法については特に限定されないが、例えば、AM(AmplItude ModulatIon)スクリーニング法、FM(Frequency ModulatIon)スクリーニング法、さらには濃度諧調法、などを挙げることができる。
AMスクリーニング法は、ドットのサイズの大小を制御することにより見掛けの濃度を調整する方法であり、グラビア印刷法やAMスクリーン印刷法や固定ヘッド型インクジェット印刷法などにより実現が可能である。一般的に、ドットのサイズの制御は、ドットの数の制御よりも容易なので、このAMスクリーニング法によれば、太陽電池モジュールの製品ロット間の発電特性のバラツキを抑制することができる。
FMスクリーニング法は、ドットの数の多少を制御することにより見掛けの濃度を調整する方法であり、FMスクリーン印刷法や可動ヘッド型インクジェット印刷法などにより実現が可能である。一般的に、FMスクリーニング法はAMスクリーニング法に比べ、1つ1つのドットのサイズを小さくすることができるので、このFMスクリーニング法によれば、着色層3の濃度を細かく調整することができる。
濃度諧調法は、ドットの濃度の高低を制御することにより見掛けの濃度を調整する方法であり、昇華型熱転写方式の印刷法や重ね打ち方式のインクジェット印刷法などにより実現が可能である。例えば、予め着色層3を形成する部分に、下地となる着色層をベタで形成しておき、その上にドット状の着色層3を形成することにより、前記ベタの着色層と前記着色層3とによってドットの濃度の高低を作ることができる。また、この方法によれば、着色層3の層厚を薄くできるので、着色層3の表面で光が拡散してしまうことを抑制することもできる。
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、着色層3が光拡散層4aに印刷された例を示したが、着色層3の形成方法は、上述した構成に限定されない。図6に、着色層3の他の形成方法を示す。図6に示す例では、着色層3は、光拡散層4aとは異なる樹脂製の基材2cに積層されており、この基材2cが接合層2dを介して光拡散層4aと接合されている。
とりわけ、接合層2dは、基材2cと光拡散層4aとを剥離可能に接合している。基材2cと光拡散層4aとを剥離可能に接合することにより、光拡散層4aを剥離して別の光拡散層4bを基材2cに貼り付けることが可能となる。
その上、接合層2dは、基材2cと光拡散層4aとを再接合可能にも接合する。基材2cと光拡散層4aとを再接合可能にも接合することにより、光拡散層4aを剥離した後に再び基材2cに接合することも可能となる。
なお、図6に示す接合層2dは、光拡散層4aと剥離可能に接合されており、基材2cに固着されている。すなわち、接合層2dは、基材2cと一体に構成された部品である。
さて、上述のように、基材2cと光拡散層4aとを剥離可能に接合することにより、光拡散層4aを剥離して別の光拡散層4bを基材2cに貼り付けることが可能となる。別の光拡散層4bは、典型的には光拡散層4aとヘイズ値の異なるものを採用することができる。すなわち、別の光拡散層4bは、光拡散層4aとは異なる拡散層である。
以上のように、図6に示す形態によれば、光拡散層4aは、当該光拡散層4aとは異なる別の光拡散層4bと入れ換え可能になっている。この場合、光拡散層4aと別の光拡散層4bとを異なる構成にすることにより、使用のニーズに合わせて、光拡散層4aと別の光拡散層4bとを適宜選択することができる。
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、第1シート部材2が接合層5を介して太陽電池パネル50に接合された例を示したが、第1シート部材2及び太陽電池パネル50の固定方法は、上述した構成に限定されない。図7乃至図10に、第1シート部材2と太陽電池パネル50との他の固定方法を示す。このうち、図7に示す例では、第1シート部材2及び太陽電池パネル50は、固定部材61を介して取り外し可能に固定されている。
図7に示す固定部材61は、第1シート部材2及び太陽電池パネル50の周りを取り囲むフレームとして構成されている。フレーム61には、複数の溝62が形成されていて、第1シート部材2及び太陽電池パネル50が各々に対応する溝62に嵌め込まれている。溝62を利用することで、第1シート部材2及び太陽電池パネル50をフレーム61に取り外し可能に装着することができる。
また、フレーム61は、太陽電池パネル50及びシート部材20を間隔を空けて保持し、これらの間に空気層63を介在させている。空気層63を介在させることにより、光拡散層4aにて拡散されていく光L71を、空気層63内で拡げた後に太陽電池パネル50の受光面50aに到達させることができる。これにより、受光面50aのより広い領域にむらなく光を到達させ、受光面50aに局所的に光が集中することによる発電効率の低下を抑えることができる。
また、溝62には、第2シート部材6も嵌め込むことができるようになっている。すなわち、溝62を利用することで、第1シート部材2に換えて第2シート部材6をフレーム61に取り外し可能に装着することもできる。
以上のように、図7に示す形態では、第1シート部材2と太陽電池パネル50とを取り外し可能に固定する固定部材61をさらに備え、固定部材61は、第1シート部材2に換えて第2シート部材6と太陽電池パネル50とを取り外し可能に固定することもできるようになっている。固定部材61によって、第1シート部材2と太陽電池パネル50とを一体として取り扱うことができ、取り扱い性の点で優れる。また、第1シート部材2と第2シート部材6とを入れ換えれば、第2シート部材6と太陽電池パネル50とを一体として取り扱うこともできる。
なお、図7に示す例では、固定部材61がフレームからなる例を示したが、固定部材61の形態はこのような例に限定されない。固定部材61は、第1シート部材2または第2シート部材6と太陽電池パネル50とを取り外し可能に固定するものであればよく、他の例として、第1シート部材2及び太陽電池パネル50を覆うカバー、あるいは、ネジ、ピン、ボタンに代表される留め具が挙げられる。
図8は、第1シート部材2と第2シート部材6とを入れ換えた状態を示す断面図である。ただし、図8には、図7には図示されていなかったが、フレーム61に設けられたマーク64が図示されている。
図8に示すように、第2シート部材6に、第1シート部材2と入れ換えられて太陽電池パネル50に対して位置合わせさせられる際に目印となる、マーク6dが設けられている。図8に示すマーク6dは、シート部材20の他方の面20b寄りの位置で、光拡散層8aの側面に設けられている。第2シート部材6のマーク6dをフレーム61のマーク64に合わせて、第2シート部材6をフレーム61に固定することにより、第2シート部材6と太陽電池パネル50との位置合わせを容易に行うことができる。
次に、図9及び図10を参照して、第1シート部材及び太陽電池パネルを固定するさらに別の変形例を説明する。図9及び図10は、それぞれ、第1シート部材及び太陽電池パネルを固定するさらに別の変形例を示す斜視図及び断面図である。図9及び図10に示す例では、第1シート部材2及び太陽電池パネル50は、それぞれ、第1ガイド部材66及び第2ガイド部材67に可動に支持されている。
図10に示すように、太陽電池パネル50、第1シート部材2及び第2シート部材6は、太陽電池パネル50の法線方向ndに沿ってこの順で並んでいる。そして、太陽電池パネル50が外枠65に固定される一方で、第1シート部材2及び第2シート部材6は、それぞれ第1ガイド部材66及び第2ガイド部材67によって、太陽電池パネル50のパネル面に沿った方向にスライド移動可能に支持されている。
とりわけ、第1ガイド部材66は、第1シート部材2を、太陽電池パネル50と対面する対面位置P1と、太陽電池パネル50と対面する位置からずれた待機位置P2と、の間で移動可能となるように支持している。図示する例では、第1ガイド部材66は、第1シート部材2の上下に配置された一対のレールとして構成されている。そして、第1シート部材2の周縁には枠68が取り付けられており、枠68に設けられた突起(不図示)が第1ガイド部材66のレールに設けられた溝66a内で案内されるようになっている。
第2ガイド部材67は、第2シート部材6を、太陽電池パネル50と対面する対面位置P3と、太陽電池パネル50と対面する位置からずれた待機位置P4と、の間で移動可能となるように支持している。図示する例では、第2ガイド部材67は、第2シート部材6の上下に配置された一対のレールとして構成されている。そして、第2シート部材6の周縁には枠69が取り付けられており、枠69に設けられた突起(不図示)が第2ガイド部材67のレールに設けられた溝67a内で案内されるようになっている。
また、図9及び図10に示す例では、太陽電池パネル50と対面する位置からずれた位置に収納部材71が設けられている。収納部材71は、第2シート部材6を取り出し可能に収容し、さらには、第2シート部材6を収容した状態あるいは第2シート部材6を取り出した状態で、第1シート部材2をも収容可能となっている。
とりわけ、第1ガイド部材66及び第2ガイド部材67は、太陽電池パネル50に対面する位置から収納部材71内まで延びている。このため、第1シート部材2を対面位置P1から待機位置P2まで移動させると、第1シート部材2が収納部材71に収容され、第2シート部材6を対面位置P3から待機位置P4まで移動させると、第2シート部材6が収納部材71に収容されるようになっている。
以上のように、図9及び図10に示す形態によれば、第1シート部材2を、太陽電池パネル50と対面する位置P1と、太陽電池パネル50と対面する位置からずれた位置P2と、の間で移動可能となるように支持する第1ガイド部材66と、第2シート部材6を、太陽電池パネル50に対面する位置P3と、太陽電池パネル50に対面する位置からずれた位置P4と、の間で移動可能となるように支持する第2ガイド部材67と、をさらに備える。このような形態によれば、第1シート部材2及び第2シート部材6を、それぞれ、第1ガイド部材66及び第2ガイド部材67に沿って移動させるだけで、第1シート部材2と第2シート部材6とを入れ換えることができるため、入れ換え作業が容易となる。
また、図9及び図10に示す形態によれば、第2シート部材6を取り出し可能に収容する収納部材71をさらに備え、収納部材71は、第1シート部材2も収容可能になっている。この場合、太陽電池パネル50に対面させないで待機させているシート部材2、6を収納部材71に収容することで、収容されたシート部材2、6を保護することができる。結果として、シート部材2、6の耐久性を向上させることに寄与する。
なお、収納部材71は、第1ガイド部材66及び第2ガイド部材67と共に必ずしも用いられる必要性はない。例えば、図2や図7に示す太陽電池モジュール1に収納部材71が設けられていてもよい。
また、図9及び図10に示す形態によれば、第1表示面3aが配置された第1シート部材2と、第1シート部材2に対向して配置された太陽電池パネル50と、第2表示面7aが配置され、太陽電池パネル50に対面する位置P3と、太陽電池パネル50に対面する位置からずれた位置P4と、の間で移動可能な第2シート部材6と、を備えた太陽電池モジュール1が提供される。このような形態によれば、太陽電池パネル50に対向して第1表示面3aが配置された第1シート部材2が設けられていることにより、太陽電池パネル50の受光面50aを目立たなくすると共に、入光側から太陽電池モジュール1を観察する観察者に、主として第1シート部材2に配置された第1表示面3aを表示することができる。さらに、第2シート部材6を太陽電池パネル50に対面する位置P3と対面する位置からずれた位置P4との間で移動させることにより、表示や発電のニーズに合わせて、第2シート部材6を選択的に利用することができる。また、第1シート部材2及び第2シート部材6に遮られなかった光L101は、太陽電池パネル50に到達して発電に利用される。これらの結果、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面3aによる表示及び太陽電池パネル50による発電の両立を可能にしている。
また、図9及び図10に示す形態によれば、第1表示面3aが配置された第1シート部材2と、第1シート部材2に対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、第1シート部材2は、太陽電池パネル50に対面する位置P1と、太陽電池パネル50に対面する位置からずれた位置P2と、の間で移動可能となっている。このような形態によれば、第1表示面3aが配置された第1シート部材2を太陽電池パネル50に対向する位置に移動させることにより、太陽電池パネル50の受光面50aを目立たなくすると共に、入光側から太陽電池モジュール1を観察する観察者に、主として第1シート部材2に配置された第1表示面3aを表示することができる。その一方で、第1シート部材2に遮られなかった光L101は、太陽電池パネル50に到達して発電に利用される。また、第1シート部材2を太陽電池パネル50に対面する位置からずれた位置P4に移動させることにより、第1シート部材2にて太陽電池パネル50に入射すべき光を遮るおそれを低減し、多くの太陽光L101を太陽電池パネル50に導くことができる。これらの結果、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面3aによる表示及び太陽電池パネル50による発電の両立を可能にしている。
また、上述した実施の形態において、各種の計器類がさらに設けられていてもよい。図11に、太陽電池モジュール1が計測器72、73をさらに備える例を示す。図11に示す例では、太陽電池パネル50による発電量を計測する計測器72、及び、第1シート部材2に入射する光の光量を計測する計測器73が設けられている。
計測器72は、太陽電池パネル50による発電量を計測するタイプのものであれば広く適用可能である。図11に示す例では、バッテリー74が太陽電池パネル50に回路75を介して電気的に接続されており、バッテリー74は、太陽電池パネル50にて発電されたエネルギーを蓄える。そして、このバッテリー74と太陽電池パネル50とを接続する回路75に、電流計からなる計測器72が介在させられている。回路75に流れる電流を計測することにより、太陽電池パネル50による発電量を把握することができる。
計測器73は、第1シート部材2に入射する光の光量を計測するタイプのものであれば広く適用可能である。図11に示す例では、計測器73は、照度計として構成されている。
照度計73は、第1シート部材2の一方の面2aからずれた位置で、当該一方の面2aと同じ方向を向いている。照度計73によれば、第1シート部材2に入射する光の光量を把握することが可能となる。
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、第1シート部材2が着色層3と光拡散層4aとを有し、第2シート部材6が着色層7と光拡散層8aとを有する例を示したが、第1シート部材2及び第2シート部材6の形態は、上述した形態に限定されない。図12乃至図23に、第1シート部材2及び第2シート部材6の変形例を示す。なお、以下で説明するシート部材20は、第1シート部材2及び第2シート部材6のいずれにも適用可能である。このため、シート部材20の各構成要素は、「第1」や「第2」の表記を省き別の符号を付している。一例として、シート部材20の表示面は、第1表示面3a及び第2表示面7aのいずれにも適用可能であり、別の符号「12」を付している。また、第1シート部材2及び第2シート部材6には、図1乃至図11を参照して説明したシート部材2、6も適用可能であり、第1シート部材2及び第2シート部材6として、異なるタイプのシート部材を組み合わせて適用することも可能である。
図12乃至図16は、第1シート部材2及び第2シート部材6の一変形例としての、シート部材20を示す図である。図12乃至図16に示すシート部材20は、互いに対向する一対の主面として、一方の面20a及び他方の面20bを有している。シート部材20の他方の面20bが接合層5を介して太陽電池パネル50と剥離可能且つ再接合可能に接合されている。したがって、シート部材20は、別のシート部材(第2シート部材)と入れ換え可能である。
図13に示すように、シート部材20の他方の面20bは、第1軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22と、を含んでいる。向き調整面21には、表示対象13を表示するための表示面12が配置されている。向き調整面21は、表示面12を支持すると共に、表示面12を観察し得る視野角を調整するべく設けられている。一方、光透過面22は、隣り合う表示面12の間で太陽電池モジュール1に入射する光L132を透過させて、太陽電池パネル50に導くために設けられている。なお、図示する例では、複数の向き調整面21は互いに同一に構成され、複数の光透過面22も互いに同一に構成されている。
各向き調整面21及び各光透過面22は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、各向き調整面21及び各光透過面22は、第1軸方向d1及び太陽電池パネル50の法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。また、図13に示す例では、各向き調整面21と各光透過面22とは、法線方向ndからみて互いにずれて配置されている。なお、本実施の形態において、第1軸方向d1及び第2軸方向d2は、太陽電池パネル50のパネル面に沿っており、太陽電池パネル50の法線方向ndに直交している。図示された例において、太陽電池モジュール1は、第1軸方向d1が鉛直方向と平行になり第2軸方向d2が水平方向と平行になるようにして、配置されている。
各向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、太陽電池パネル50の法線方向ndに対しても傾斜している。すなわち、各向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面及び太陽電池パネル50の法線方向ndのいずれとも非平行になっている。向き調整面21と共に当該向き調整面21に配置された表示面12を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、表示面12に付与された表示対象13を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することが可能となる。
図13に示すように、各向き調整面21は、第1軸方向d1において一側(図13における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する一端部21aが、第1軸方向d1において他側(図13における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する他端部21bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。図13から理解され得るように、このような向き調整面21によれば、法線方向ndに対して他側に傾斜した角度範囲に向けて、光が出射しやすくなる。すなわち、向き調整面21に配置された表示面12からの表示機能は、法線方向ndに対して他側に傾斜した方向D131から観察されたときに、効果的に発揮されるようになる。
表示面12は、向き調整面21に重なるように当該向き調整面21に沿って配置されている。ゆえに、向き調整面21に配置された表示面12も、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。
表示面12から第1角度範囲AR1へ向けて太陽電池モジュール1から出射する光は、表示面12に付与された表示対象13を可視化させる。すなわち、第1角度範囲AR1から表示面12が視認され、結果として、表示面12に形成された表示対象13を観察することができる。なお、表示面12によって動く表示対象13を表示する場合、太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図14に、表示面12に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の表示面12が、第1軸方向d1に配列されるとともに、各表示面12は、第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。したがって、第1軸方向d1における各位置に位置する表示面12が、当該表示面12の第1軸方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2軸方向d2に細長く延びる各表示面12に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図14に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各向き調整面21のサイズを小さくできるため、第1角度範囲AR1を広げたり太陽電池モジュール1のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
上述のように、本実施の形態のシート部材20は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施の形態の太陽電池モジュール1は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
一方、隣り合う向き調整面21の間に位置する各光透過面22は、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、太陽電池パネル50の法線方向ndに対しても傾斜している。すなわち、各向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面及び太陽電池パネル50の法線方向ndのいずれとも非平行になっている。光透過面22を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、太陽電池パネル50による発電が連続して安定して行われるようになる角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。
光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する角度は、向き調整面21が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する角度と異なっている。とりわけ、図13に示す太陽電池モジュールの主断面において、光透過面22は、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して向き調整面21とは反対側に傾斜している。上述のように、各向き調整面21は、一端部21aが他端部21bよりも太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。したがって、各光透過面22は、第1軸方向d1において他側に位置する他端部22bが、第1軸方向d1において一側に位置する一端部22aよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。図13から理解され得るように、このような光透過面22は、法線方向ndに対して一側に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、法線方向ndに対して一側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1に入射する光L132を、太陽電池パネル50により導きやすくなる。
次に、向き調整面21と光透過面22との関係について述べる。図13に示す太陽電池モジュールの主断面において、向き調整面21と、第1軸方向d1における他側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22と、の第1軸方向d1に沿った間隔dtは、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくにつれて、段階的又は連続的に狭くなっていく。したがって、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aと最も接近する。図示された実施の形態では、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aと繋がっている。もっとも、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aから離間していてもよい。
一方、向き調整面21の一端部21aは、第1軸方向d1における一側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の他端部22bと繋がっている。もっとも、向き調整面21の一端部21aは、第1軸方向d1における一側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の他端部22bから離間していてもよい。
また、図13に示す主切断面において、向き調整面21は、当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の長さと等しくなっている。したがって、シート部材20の他方の面20bに占める向き調整面21の割合は、シート部材20の他方の面20bに占める光透過面22の割合と等しい。ただし、図13に示す主切断面において、向き調整面21は、当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の長さと異なっていてもよい。
また、図13に示す例では、向き調整面21が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ1は、光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ2と等しい。ただし、向き調整面21が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ1は、観察されることが意図された観察者による観察方向に応じて決定され、光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ2は、取り込むことが意図された外光の入射方向に応じて決定される。したがって、向き調整面21が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ1は、光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度θ2と異なっていてもよい。
また、図13に示す例では、各向き調整面21及び各光透過面22が、平坦面からなる。ただし、このような例に限定されず、各向き調整面21及び各光透過面22は、曲面からなってもよい。一例として、各向き調整面21及び各光透過面22は、レンズ面のような球面乃至湾曲面の一部をなしてもよい。より具体的には、各向き調整面21及び各光透過面22は、外方側に向かって凸となるように湾曲したレンズ面であってもよいし、内方側に向かって凹となるように湾曲したレンズ面であってもよい。
同様に、図13に示す例では、表示面12が平坦面からなる。ただし、このような例に限定されず、表示面12は、曲面からなってもよい。一例として、各表示面12は、レンズ面のような球面乃至湾曲面の一部をなしてもよい。より具体的には、各表示面12は、外方側に向かって凸となるように湾曲したレンズ面であってもよいし、内方側に向かって凹となるように湾曲したレンズ面であってもよい。本明細書において、表示面12が曲面からなる場合、「表示面12が平面に対して傾斜する」とは、図13に示す主切断面において、表示面12の両端部12a、12bを結ぶ直線が平面に対して傾斜することを意味する。
シート部材20を製造する方法は、立体な本体部23を形成する工程と、その本体部23に表示面12を形成する材料を配置する工程とを備えてもよい。シート部材20が立体的な形状であるため、本体部23の形成と表示面12の形成を別の工程でおこなう方がシート部材20の製造が容易になる。立体的な本体部23を形成する方法としては、型を用いた成形法や3Dプリンターなどを用いた立体印刷法が挙げられる。表示面12を配置する方法としては、ブラシ、ゴムローラー、インクジェットプリンターなどを用いてインキ材料を本体部23に印刷する方法や、印刷されたシート材料及び本体部23を貼り合わせる方法が挙げられる。
立体的な本体部23は再利用して、時間や費用を節約することができる。本体部23を再利用する方法としては、本体部23から表示面12を形成する材料を除去した後、本体部に再び表示面12’を形成する材料を配置する方法が挙げられる。本体部23から表示面12を形成する材料を除去する方法としては、本体部23及び材料の間に本体部23及び材料を剥離可能に接合する剥離層(図示しない)を配置する方法が挙げられ、例えば、本体部23に剥離層を形成した後、剥離層上にインキ材料やシート材料を配置することや、シート材料に剥離層を形成した後、本体部23に剥離層付きのシート材料を貼り付けることができる。この場合、剥離層に対して接合可能な接合領域及び剥離層に対して接合不可能な非接合領域を本体部23に設けてもよい。表示面12を形成する材料の大部分を接合領域上に配置しつつ材料の一部を非接合領域上に配置して、非接合領域上に配置された本体部23に接合していない材料をきっかけにして材料を剥離することによって、剥離が容易になる。剥離層は、剥離剤を添加することによって、形成することができる。剥離剤としては、シリコーン系材料、フッ素系材料、アンモニウム系材料、硬化ポリマー、無機粒子などが挙げられる。
本体部23から表示面12を形成する材料を除去する別の方法としては、表示面12を形成する材料として、上述した剥離剤が添加された材料を用いる方法が挙げられる。材料に剥離剤を添加することによって、本体部23に対する材料の密着性が低下し、いったん接合後に本体部23から材料を剥離できるようになる。剥離剤の添加が容易であるため、この方法は表示面12を形成する材料としてインキ材料を用いる場合に好適である。
本体部23から表示面12を形成する材料を除去するさらに別の方法としては、表示面12を形成する材料に対して可溶でありかつ本体部23に対して不溶又は難溶である洗浄液を使用して、シート部材20を洗浄する方法が挙げられる。例えば、表示面12を形成する材料に未硬化ポリマーなどの溶剤に可溶性のポリマーを添加し、本体部を硬化ポリマーなどの溶剤に不溶性又は難溶性のポリマーで形成し、洗浄液として、水、アルコール、エステル、ケトンなどの溶剤を洗浄液として用いる。また、溶媒としての溶剤を含むインキ材料を本体部23に印刷して表示面12を配置した後、その溶剤と同じ溶剤を含む洗浄液で洗浄して表示面12を除去することが可能となるため、この方法は表示面12を形成する材料としてインキ材料を用いる場合に好適である。
次に、主として、図15及び図16を参照しながら、太陽電池モジュール1の作用について説明する。太陽電池モジュール1は、例えば、向き調整面21及び光透過面22の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。具体的には、第1軸方向d1における一側が、鉛直方向における上側に沿い、第1軸方向d1における他側が、鉛直方向における下側に沿うように、太陽電池モジュール1が配置される。
図15によく示されているように、傾斜した向き調整面21に配置された表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。図15に示す例では、表示面12が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D151、D152、D153から太陽電池モジュール1を観察したときに表示面12を視認し易くなる。このように、向き調整面21を太陽電池パネル50の法線方向ndに対して傾斜させることにより、向き調整面21に位置する表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
一方、向き調整面21とは異なる角度で傾斜した光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D151、D152、D153とは異なる方向から入射する光L161、L162、L163を効率的に取り込むことが可能となる。図16に示す例では、光透過面22が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1に入射する光L161、L162、L163を効率的に取り込むことが可能となる。光透過面22に取り込まれた光L161、L162、L163は、空気層30内を進行して太陽電池パネル50に導かれる。このように、光透過面22を向き調整面21とは異なる角度で太陽電池パネル50の法線方向ndに対して傾斜させることにより、太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池モジュール1への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することができる。したがって、本実施の形態による太陽電池モジュール1では、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
以上のように、図12乃至図16に示すシート部材20によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このようなシート部材20によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D131、D151〜D153から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D131、D151〜D153とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L132、L161〜L163は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D131、D151〜D153と外光L132、L161〜L163の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、図12乃至図16に示すシート部材20によれば、シート部材20の他方の面20bは、一軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22と、を含み、向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、光透過面22は、太陽電池パネル50のパネル面に対して向き調整面21とは異なる角度で傾斜し、向き調整面21に表示面12が配置されている。このような形態によれば、向き調整面21及び光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した向き調整面21及び光透過面22が、各々の正面方向から入射する光を有効に利用し易くなる。とりわけ、光透過面22は、向き調整面21と異なる角度で太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。このため、向き調整面21に配置された表示面12は、光透過面22に取り込まれ易い光L132、L161〜L163の傾斜する方向とは異なる方向D131、D151〜D153から太陽電池モジュール1を観察したときに視認され易くなり、光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D131、D151〜D153とは異なる方向から太陽電池モジュール1に入射する光L132、L161〜L163を有効に取り込む。この結果、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
ところで、向き調整面21に配置された表示面12にて形成される表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに光透過面22を介して太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示面12が観察され得る第1角度範囲AR1は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第2角度範囲AR2と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
そこで、本実施の形態の太陽電池モジュール1では、図13に示す主切断面において、向き調整面21は、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して光透過面22とは逆側に傾斜している。このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12は、光透過面22に取り込まれ易い光L132、L161〜L163の傾斜する方向とは逆の方向D131、D151〜D153から太陽電池モジュール1を観察したときに選択的に観察され易くすることができ、光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D131、D151〜D153とは逆の方向から太陽電池モジュール1に入射する光L132、L161〜L163を選択的に取り込むことができる。具体的には、向き調整面21は、一端部21aが他端部21bよりも太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、光透過面22は、他端部22bが一端部22aよりも太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。この場合、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D131、D151〜D153から太陽電池モジュール1を観察したときに、光透過面22よりも向き調整面21に配置された表示面12を選択的に観察し易くすることができる。また、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1へ入射する光L132、L161〜L163を、向き調整面21よりも光透過面22に選択に導くことができる。
つまり、このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1が、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向に対応し、光透過面22を介して太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池モジュール1への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2が、太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向に対応する。言い換えると、一軸方向d1において他側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1を観察したときに表示面12が観察され、一軸方向d1において一側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1に入射した光が、隣り合う2つの表示面12の間を通過して太陽電池パネル50に到達する。この場合、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、表示面12による表示機能及び太陽電池パネル50での発電機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、表示面12に付与された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに光透過面22を介して太陽電池パネル50が観察されることを抑制することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
とりわけ、本実施の形態による太陽電池モジュール1では、表示面12を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1を鉛直方向における下側に傾斜した方向に設定し、太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池モジュール1への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を鉛直方向における上側に傾斜した方向に設定している。この場合、典型的な利用として想定される表示板としての用途において太陽電池モジュール1を目線よりも高い位置に設置する場合に有効である。観察者は、鉛直方向における上側に見上げながら太陽電池モジュール1を観察するため、第1角度範囲AR1から表示面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化するが、鉛直方向における下側に傾斜した方向、あるいは、略水平方向に進みながら太陽電池モジュール1に入射する。このため、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化しても、第2角度範囲AR2から光透過面22に入射して太陽電池パネル50に向かうことができる。したがって、このような形態によれば、太陽電池パネル50による太陽光の受光及び表示面12による表示を効果的に両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、太陽電池モジュール1の主切断面において、向き調整面21と、第1軸方向d1における他側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22と、の第1軸方向d1に沿った間隔dtは、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくにつれて、狭くなっていく。このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12が、光透過面22へ入射すべき光を遮ってしまうこと、あるいは、光透過面22が、向き調整面21に配置された表示面12の観察を遮ってしまうこと、を効果的に抑制することができる。このため、表示面12が、第1角度範囲AR1内の方向から太陽電池モジュール1を観察したときに、より確実に表示機能を発揮することができる。また、光透過面22が、第2角度範囲AR2から太陽電池モジュール1へ入射する光をより確実に太陽電池パネル50へ導くことができる。
ところで、下記の表1は、世界の幾つかの国の主要な都市における季節ごとの南中高度(°)を示している。使用が想定される国の主要な都市における春分秋分の南中高度が第2角度範囲AR2に含まれることが好ましい。その国で有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は54°から56°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、49°から61°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。また、使用が想定される国の主要な都市における夏至の南中高度から冬至の南中高度までが第2角度範囲AR2に含まれることがさらに好ましい。その国で一年を通して有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は31°から79°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、25°から84°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。なお、所望の高度が第2角度範囲AR2に含まれることを容易にするために、第2角度範囲AR2の角度範囲が45°程度以上連続していることが好ましい。もっとも、太陽電池モジュール1を傾けて配置することによって、所望の高度を第2角度範囲AR2に含まれるようにすることも可能である。一方、第2角度範囲AR2の角度範囲の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満とすることによって、本実施の形態の太陽電池モジュール1の特長をより発揮させることができる。
次に、図17を参照して、第1シート部材2及び第2シート部材6の別の変形例を説明する。図17に示すシート部材20では、一方の面20aが、第1軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22を含んでいる。向き調整面21には、表示対象13を表示するための表示面12が配置されている。
各向き調整面21及び各光透過面12は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向、より詳細には、第1軸方向d1及び法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。各向き調整面21及び各光透過面12は、シート部材20のシート面、言い換えると、太陽電池パネル50のパネル面に対して互いに異なる角度で傾斜し、シート部材20の法線方向ndに対しても互いに異なる角度で傾斜している。
次に、図17に示す太陽電池モジュール1の作用について説明する。
図17によく示されているように、傾斜した向き調整面21に配置された表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。図17に示す例では、表示面12が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D171から太陽電池モジュール10を観察したときに表示面12を視認し易くなる。
一方、向き調整面21とは異なる角度で傾斜した光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D171とは異なる方向から入射する光L172を効率的に取り込むことが可能となる。図17に示す例では、光透過面22が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から太陽電池モジュール1に入射する光L172を効率的に取り込むことが可能となる。光透過面22に取り込まれた光L172は、シート部材20内を進行して太陽電池パネル50に導かれる。
以上のように、図17に示す形態によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このようなシート部材20によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D171から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D171とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L172は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D171と外光L172の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の一方の面20aは、一軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22と、を含み、向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、光透過面22は、太陽電池パネル50のパネル面に対して向き調整面21とは異なる角度で傾斜し、向き調整面21に表示面12が配置されている。このような形態によれば、向き調整面21及び光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した向き調整面21及び光透過面22が、各々の正面方向から入射する光を有効に利用し易くなる。とりわけ、光透過面22は、向き調整面21と異なる角度で太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。このため、向き調整面21に配置された表示面12は、光透過面22に取り込まれ易い光L172の傾斜する方向とは異なる方向D171から太陽電池モジュール1を観察したときに視認され易くなり、光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D171とは異なる方向から太陽電池モジュール1に入射する光L172を有効に取り込む。この結果、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
次に、図18を参照して太陽電池モジュール1の別の変形例について説明する。図18に示す例では、シート部材20の他方の面20bは、第1軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。各レンズ面31及び表示面12は、第1軸方向d1に交差する方向、より詳細には第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に沿って延びている。
ここで、レンズ面31の両端部のうち、第1軸方向d1において一側(図18における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する端部を一端部31aと呼び、第1軸方向d1において他側(図18における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する端部を他端部31bと呼び、一端部31a及び他端部31bから太陽電池パネル50の法線方向ndに沿って最も離れた地点を頂部31cと呼ぶこととする。本実施の形態の頂部31cは、レンズ面31のうちの太陽電池パネル50から最も離間した地点となる。そして、この頂部31cをレンズ面31の光軸odが通過している。
図18に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、一端部31aと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、他端部31bと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。このため、表示面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。
以上のように、図18に示す形態によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このようなシート部材20によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D181から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D181とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L182は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D181と外光L182の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の他方の面20bは、一軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。この場合、各レンズ面31の一部に表示面12を配置することで実現することができるため、太陽電池モジュール1の製造が容易である。
なお、図18に示す太陽電池モジュール1では、レンズ面31が太陽電池パネル50側に向かって突出する凸レンズからなる例を示したが、レンズ面31の形態はこのような例に限定されない。図19に、レンズ面31が一方の面20a側に向かって凹む凹レンズからなる例を示す。
図19に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、他端部31bと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、一端部31aと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。このため、表示面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。このような形態であっても、上述の形態と同様な作用効果を奏することができる。
次に、図20を参照して太陽電池モジュール1の別の変形例について説明する。図20に示す例では、シート部材20の一方の面20aが、第1軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。各レンズ面31及び表示面12は、第1軸方向d1に交差する方向、より詳細には第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に沿って延びている。
ここで、レンズ面31の両端部のうち、第1軸方向d1において一側(図20における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する端部を一端部31aと呼び、第1軸方向d1において他側(図20における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する端部を他端部31bと呼び、一端部31a及び他端部31bから太陽電池パネル50の法線方向ndに沿って最も離れた地点を頂部31cと呼ぶこととする。本実施の形態の頂部31cは、レンズ面31のうちの太陽電池パネル50から最も離間した地点となる。そして、この頂部31cをレンズ面31の光軸odが通過している。
図20に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、他端部31bと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、一端部31aと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。このため、表示面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。
以上のように、図20に示す形態によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このような太陽電池モジュール1によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D201から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D201とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L202は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D201と外光L202の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の一方の面20aは、一軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。この場合、各レンズ面31の一部に表示面12を配置することで実現することができるため、太陽電池モジュール1の製造が容易である。
なお、図20に示す太陽電池モジュール1では、レンズ面31が太陽電池パネル50とは反対側に向かって突出する凸レンズからなる例を示したが、レンズ面31の形態はこのような例に限定されない。図21に、レンズ面31が他方の面20b側に向かって凹む凹レンズからなる例を示す。
図21に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、一端部31aと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、他端部31bと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。このため、表示面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、太陽電池パネル50の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。このような形態であっても、上述の形態と同様な作用効果を奏することができる。
次に、図22を参照して太陽電池モジュール1のさらに別の変形例について説明する。図22に示す例では、シート部材20は、複数の表示面12が配列されたルーバーシートを構成している。図22に示すシート部材20の一方の面20a及び他方の面20bは、平坦な面になっており、シート部材20内に複数の表示面12が配列されている。複数の表示面12は、第1軸方向d1に沿って配列されており、第1軸方向d1に交差する方向、より詳細には直交する第2軸方向d2に延びている。シート部材20のうち、隣り合う2つの表示面12の間となる領域は、光透過領域25を規定する。
シート部材20の一方の面20aに支持シート40が貼り合わせられている。支持シート40は、シート部材20を補強し当該シート部材20を支持するために設けられている。
次に、太陽電池モジュール1の作用について説明する。
図22によく示されているように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した表示面表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。図22に示す例では、表示面12が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D221から太陽電池モジュール1を観察したときに表示面12を視認し易くなる。
一方、表示面12に対してなす角度がより小さい方向からシート部材20内を進行する光L222ほど、表示面12に受光され難い。このことから、傾斜した表示面12に遮られずに光透過領域25を有効に通過する光L222は、図22に示すように、表示面12を視認しやすい方向D221とは逆側に傾斜した光L222となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながらシート部材20へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながらシート部材20へ入射する光L222が、光透過領域25を通過して太陽電池パネル50に導かれ易くなる。
以上のように、図22に示す形態によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このような太陽電池モジュール1によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D221から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D221とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L222は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D221と外光L222の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の表示面12は、シート部材20内部に配置されている。この場合、シート部材20をなす材料にて表示面12を保護することができる点で有利である。
次に、図23を参照して太陽電池モジュール1のさらに別の変形例について説明する。図23に示す例では、太陽電池モジュール1は、シート状のシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を有する。
シート部材20の一方の面20aは、第1軸方向d1に配列された複数のレンズ面31を含んでいる。複数のレンズ面31は、その光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、レンズ面31は、その光軸odが、太陽電池モジュール1の法線方向ndと平行となるよう配置されている。
レンズ面31は、いわゆるレンチキュラーレンズまたはシリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各レンズ面31は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向、より詳細には第1軸方向d1に直交する第2方向d2に、直線状に延びている。
複数の表示面12が、レンズ面31に対応して、シート部材20内で第1軸方向d1に沿って配列されている。図23に示すように、各表示面12は、対応するレンズ面31と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。本実施の形態では、表示面12は、レンズ面31と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2方向d2に直線状に延びている。また、各表示面12は、太陽電池パネル50のパネル面及び太陽電池パネル50の法線方向ndに対して傾斜している。
次に、本実施の形態による太陽電池モジュール1の作用について説明する。
図23によく示されているように、傾斜した表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。本実施の形態では、表示面12が太陽電池パネル50の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D231、D232から太陽電池モジュール1を観察したときに表示面12を視認し易くなる。とりわけ、法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向D232から太陽電池モジュール1を観察した場合であっても、レンズ面31の集光作用によって、入射したレンズ面31に対向する表示面12を観察することができるようになる。仮に、複数の表示面12がシート部材20の他方の面20b上に、当該他方の面20bに沿って並べられていた場合、図23に点線で示すように、観察するレンズ面31と隣り合うレンズ面31に対向する表示面12を観察してしまい、意図された表示機能が発現されなくおそれがある。すなわち、表示面12を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1を、言い換えると、表示面12からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することができる。
一方、表示面12に対してなす角度がより小さい方向からシート部材20内を進行する光束L233ほど、表示面12に受光され難い。このことから、傾斜した表示面12に遮られずに太陽電池パネル50に向かう光束L233は、図23に示すように、表示面12を有効に観察し得る方向D231、D232とは逆側に傾斜した光束L233となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながらレンズ面31へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながらレンズ面31へ入射する光束L233が、2つの表示面12の間となる領域60を通過して太陽電池パネル50に導かれ易くなる。
以上のように、図23に示す形態によれば、一方の面20a及び一方の面20aに対向する他方の面20bを有するシート部材20と、シート部材20の他方の面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜した複数の表示面12が一軸方向d1に沿って配列されている。このような太陽電池モジュール1によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D231、D232から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D231、D232とは異なる別の方向から太陽電池モジュール1に入射する光束L233は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D231、D232と外光L233の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の表示面12は、シート部材20内部に配置されている。この場合、シート部材20をなす材料にて表示面12を保護することができる点で有利である。
また、シート部材20の一方の面20aは、一軸方向d1に配列された複数のレンズ面31を含み、レンズ面31は、或る方向D231、D232から向かってくる光を表示面12に導き、或る方向D231、D232とは異なる別の方向から入射した光L233を隣り合う2つの表示面12の間を透過させて太陽電池パネル50に導く。このような形態によれば、レンズ面31の集光作用によって、表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1及び太陽電池パネル50による発電が有効に行われる第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。
このように、図12乃至図23に示すシート部材20には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する複数の表示面12が一軸方向に沿って配列されていて、表示面12の傾斜角度に応じて、表示面12による表示機能及び太陽電池パネル50による発電機能が変化する。そこで、第1シート部材2及び第2シート部材6として、異なる角度の表示面12をもつシート部材20を組み合わせて使用するのが、表示機能及び発電機能をニーズに合わせて変更することができるため、有効である。すなわち、第1シート部材2には、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する複数の第1表示面3aが一軸方向d1に沿って配列されており、第2シート部材6には、第1シート部材2と入れ換えられた状態において、各々が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する複数の第2表示面7aが一軸方向d1に沿って配列されており、第2シート部材6の第2表示面7aは、第1シート部材2の第1表示面3aが太陽電池パネル50のパネル面に対してなす角度とは異なる角度で、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜する、ように、太陽電池モジュール1を構成するのが有効である。
≪第2の実施の形態≫
次に、図24及び図25を参照して、第2の実施の形態について説明する。図24及び図25は、それぞれ、第2の実施の形態における太陽電池モジュール1を示す斜視図及び断面図である。図24及び図25を参照して説明する第2の実施の形態は、第1シート部材2がタイリングされている点で異なるが、その他の構成は、第1の実施形態およびその変形例と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した形態と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態およびその変形例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図24及び図25に示す例では、シート部材200が図1乃至図11に示す第1シート部材2及びその変形形態としての図12乃至図23に示すシート部材20に対応している。図24及び図25に示す太陽電池モジュール1は、シート部材200及び太陽電池パネル50の周りを取り囲む外枠76を有し、この外枠76内でシート部材200がタイリングされている。すなわち、シート部材200が複数のシート部品201を並べて組み付けることにより構成されている。図示する例では、複数のシート部品201は、太陽電池パネル50のパネル面に平行な面内にて、正方配列されている。より詳細には、一軸方向d3に並んだ3つのシート部品201からなる列が、一軸方向d3に直交する他軸方向d4に3行並べられ、合計で9つのシート部品201が設けられている。
各シート部品201は、太陽電池パネル50に接合層5を介して剥離可能且つ再接合可能に貼り付けられている。このため、各シート部品201は、他のシート部品201と独立して交換可能になっている。
以上のように、本実施の形態によれば、表示面3aが配置されたシート部材200と、シート部材200に対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、シート部材200は、その一部が交換可能になっている。この場合、シート部材200の一部が破損した場合であっても、その破損した一部を取り替えることで復元させることができるため、メンテナンス性に優れる。このようなシート部材2を安定して量産する観点から、シート部材200は、複数のシート部品201を並べることにより構成され、シート部品201の各々が、他のシート部品201と独立して交換可能になっているのがよい。