JP2010087351A - 太陽電池用光学シート - Google Patents
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Abstract
【課題】微細構造による表面反射防止効果によって太陽電池の効率を向上させつつ、保護機能を持ち合わせた太陽電池用光学シートを提供する。
【解決手段】太陽電池パネルの光入射側に少なくとも発電有効部分をカバーするように配置される太陽電池用光学シートであって、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層と、前記微細構造層の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層とを有することを特徴とする太陽電池用光学シート。
【選択図】 図8
【解決手段】太陽電池パネルの光入射側に少なくとも発電有効部分をカバーするように配置される太陽電池用光学シートであって、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層と、前記微細構造層の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層とを有することを特徴とする太陽電池用光学シート。
【選択図】 図8
Description
本発明は、太陽電池に用いられる反射防止効果および保護機能をもつ光学シートに関する。
従来の太陽電池パネルの多くは、光線の入射面がガラスで構成されている。これは、ガラスが耐候性、耐熱性、透過率の面で優れているためである。大面積の太陽電池パネルは、建物の屋根などに取り付けられることが多いが、万が一破損してもガラスの破片が散乱しないように、強化ガラスを用いて安全性に考慮している(特許文献1)。太陽電池パネルの多くは、表面での光反射による眩しさを緩和するために、ガラスにある程度の表面粗さをつけている。強化ガラスは破片が散乱しない特性をもつが、破損のし易さは通常のガラスと同程度であり、外部からの力によって割れ易い欠点がある。また、強化ガラスは応力をかけて作製するため、ある程度の厚みがなければ破損が起こる。
一方、今後の流れとして材料コストダウン、モジュールの軽量化などの観点から、太陽電池パネル全体の薄型化が要求され、前面板となっているガラスにも薄型化が要求されつつある。また、太陽電池の活用分野は広がりつつあり、太陽電池パネルはまとまった発電量が必要とされる用途には大面積で利用されることが多いため、外観も重要になってきている。
特開2001−295437号公報
本発明の目的は、微細構造による表面反射防止効果によって太陽電池の効率を向上させつつ、保護機能を持ち合わせた太陽電池用光学シートを提供することである。
請求項1の発明は、太陽電池パネルの光入射側に少なくとも発電有効部分をカバーするように配置される太陽電池用光学シートであって、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層と、前記微細構造層の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層とを有することを特徴とする太陽電池用光学シートである。
請求項2の発明は、前記微細構造層は、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリイミド樹脂、透明フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項3の発明は、前記微細構造は、プリズム形状、多角錐形状、円錐形状、マイクロレンズ形状、回折格子形状、およびランダム形状からなる群より選択される少なくとも1種の形状を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項4の発明は、さらに、前記微細構造層に積層された、該微細構造層と異なる屈折率をもつ屈折率調整層を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項5の発明は、さらに、前記微細構造層の微細構造形成面またはその反対面の一部または全面を被覆する金属層を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項6の発明は、前記微細構造層は、前記微細構造形成面の反対面が粗面化されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項7の発明は、前記微細構造層の微細構造形成面は、互いに微細構造の形状および/または配列が異なる複数の領域を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シートである。
請求項8の発明は、前記太陽電池用光学シートは前記太陽電池パネルの最外表面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シートである。
本発明によれば、微細構造による表面反射防止効果によって太陽電池の効率を向上させつつ、保護機能を持ち合わせた太陽電池用光学シートを実現することができる。
請求項1の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層と、前記微細構造層の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層とを有することにより、光入射面における光反射防止効果と透過光を散乱させることによる光路長増大により様々なタイプの太陽電池の発電効率を向上させることができる。
請求項2の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造層を、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリイミド樹脂、透明フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種で形成したことにより、請求項1に対応する作用に加え、耐熱性、耐光性および耐久性に優れた特性を得ることができ、屋内外を問わず多くのタイプの太陽電池に保護シートとして適用できる。
請求項3の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造に、プリズム形状、多角錐形状、円錐形状、マイクロレンズ形状、回折格子形状、およびランダム形状ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の形状を適用したことにより、請求項1または2に対応する作用に加え、より高い光反射防止効果を得ることができる。
請求項4の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造層に、該微細構造層と異なる屈折率をもつ屈折率調整層を積層したことにより、請求項1ないし3に対応する作用に加え、表面(または界面)光反射の原因となる屈折率差を調整することができ、より高い光反射防止効果を得ることができる。
請求項5の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造層の微細構造形成面またはその反対面の一部または全面を被覆する金属層を設けたことにより、請求項1ないし4に対応する作用に加え、金属層の光遮断効果および光反射効果を利用し、いったん微細構造層を通過して太陽電池パネルのバックシートまたはバックリフレクタなどにより再帰反射された光を閉じ込める効果が得られ、効率を上げることができる。
請求項6の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造層の微細構造形成面と反対面を粗面化したことにより、請求項1ないし5に対応する作用に加え、反対面における表面反射を減少させたり、微細構造による光散乱効果を増幅させたりすることができる。加えて、反対面が接着層と接する場合に、微細構造層と接着層との密着性を向上させることができる。
請求項7の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、微細構造層の微細構造形成面に、互いに微細構造の形状および/または配列が異なる複数の領域を形成することにより、請求項1ないし6に対応する作用に加え、モジュールの開口率を低下させることなく、光入射面に絵柄を自由につけることができる。
請求項8の発明に係る太陽電池用光学シートによれば、太陽電池用光学シートを太陽電池パネルの最外表面に配置したことにより、良好な保護機能を得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、各図において同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池用光学シートを適用した太陽電池パネルを示す断面図である。
図1において、太陽電池用光学シート10は、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層11と、微細構造層11の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層12とを有する。太陽電池用光学シート10は、接着層12によって太陽電池パネル1の光入射側に接着され、少なくとも発電有効部分をカバーするように配置される。
なお、表裏が入射面として利用可能なタイプの太陽電池パネルに対しては、太陽電池用光学シート10を両面に配置してもよいし片面に配置してもよい。
微細構造層11の微細構造形成面には、複数の凸部または凹部を含む微細構造20が形成されている。微細構造20は、プリズム形状、多角錐形状、円錐形状、マイクロレンズ形状、回折格子形状、およびランダム形状からなる群より選択される少なくとも1種の形状を含む。
図2ないし図7は、本発明に係る太陽電池用光学シートにおける微細構造層11の微細構造形成面に形成される微細構造20の例を示す断面図である。
図2の微細構造層11の微細構造20は、多角錐、円錐などのプリズム形状をもつ。図3の微細構造層11の微細構造20は、マイクロレンズなどのレンズ形状をもつ。図4の微細構造層11の微細構造20は、回折格子形状をもつ。図5の微細構造層11の微細構造20は、ランダムなマット形状をもつ。
微細構造20が回折格子形状である場合、入射角度によって波長ごとに回折光が発生することに留意する。回折光を利用して絵柄に色付けを行うこともできるが、回折光を抑えたい場合には、回折格子のピッチを300nm以下とし、望ましくは回折格子の深さを深くすることが好ましい。また、回折角度調整によってはピッチを大きくすることも考えられるが、ピッチの増大とともに反射率も増加する傾向にある。これは、単位面積当りの構造数が少なくなって光反射防止効果が低くなるためである。その解決策として、回折格子の深さを深くすることで光反射防止効果を維持することができる。同様の理由で、微細構造20を図2、図3または図5のようなプリズム形状、レンズ形状またはマット形状にすることも考えられる。
また、本発明における微細構造は、上記のような形状を組み合わせたものでもよい。ここで、形状の組み合わせとは、2つの形状を合成したもの、または1つの形状から他の形状に相当する部分を切除した(切り欠いた)ものを含む。図6(a)、(b)の斜視図および断面図に示す微細構造20は、半球状のレンズ形状の頂点に四角錐部分を設けて2つの形状を合成したものである。図7(a)、(b)の斜視図および断面図に示す微細構造20は、大きな四角錐の頂点から小さな逆四角錐の部分を切り欠いて凹部を設けたものである。
なお、図2ないし図7では、微細構造層11の構造形成面に凸部を含む微細構造20を形成した場合を示しているが、これに限らず、構造形成面に凹部を含む微細構造を形成してもよい。
微細構造層11の材料としては、光透過率が高く、耐熱性をもつ、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリイミド樹脂、透明フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。しかし、これらの樹脂は、他の材料との密着性が弱い傾向にあるものが多い。このため、接着層界面での剥がれ防止のための対策をとることが好ましい。ここで、微細構造形成面に接着層を形成する場合には、特に剥がれ防止対策をとる必要はない。一方、微細構造形成面の反対面に対しては、たとえばコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラストなどの方法で粗面化することによって表面粗さを粗くするように調整し、表面積をなるべく広くとって密着性をよくすることが好ましい。図8に、微細構造形成面の反対面が粗面化された微細構造層11を示す。
接着層12は、太陽電池パネル1に対して微細構造層11を固定する役割を果たす。接着層12は、微細構造層11の材料との屈折率差が小さく、着脱可能で取替えが容易であり、光透過性が高い材料からなることが好ましい。
微細構造20の形成方法は、微細構造20の形状などに応じて適宜決定されるが、金型を用いる方法が簡便である。一般的に、金型は機械切削により作製される。また、基材上にレジストなどの感光性材料を用いてレーザ露光、現像によりマスクを形成し、基材をエッチングするなどして母型を作製し、この母型に対してスパッタ工程、電鋳工程を経て作製された電鋳版を金型として用いることもできる。
微細構造層10への微細構造20の成形方法としては、プレス法、キャスティング法、射出成形法などを用いることができる。また、平面スタンパやロールスタンパの凹凸形成面に、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材を配置し、硬化処理後スタンパから離型する、という方法によっても微細構造20を形成することができる。
本発明に係る太陽電池用光学シートは、たとえば図9に示すように、微細構造の形状やピッチなどの配列を変化させることにより光反射の仕方を変え、絵柄として視覚効果を出すことができる。図9においては、第1領域(文字の部分)31に相当する微細構造のピッチが狭く、第2領域(地の部分)32に相当する微細構造のピッチが広くなっている。太陽電池は住宅用の発電システムなど数十年の長期に渡り使用する場合が多く、未だ高コストであるため簡単に取り替えることは難しい。一方、太陽光発電はいくつもの太陽電池パネルを並べ大面積で行う場合が多いため、たとえば宣伝などの用途に利用することも考えられる。通常の広告などに用いられる印刷では光を遮るため発電効率を低下させるが、本発明に係る光学シートであれば光反射防止により効率を向上させつつ、太陽電池パネル上に模様を入れることができる。
本発明においては、微細構造層に他の層を積層してもよい。微細構造の形状により他の材質に対する密着性などの相性が異なり、要求される仕様によっても微細構造の特性を変化させることが好ましく、特性は成形方法にも依存するため、状況に応じて微細構造層に他の層を積層することによって特性を調整する。微細構造層11の微細構造形成面を表面側または太陽電池パネル側のどちらに向けてもよく、また他の層を微細構造層11の表面側または太陽電池パネル側のどちらに設けてもよく、層構成は適宜選択することができる。
図10〜図12に、微細構造層11に他の層を積層した実施形態を示す。
図10は、微細構造層11の微細構造形成面を表面側に向け、さらに微細構造形成面上に微細構造層11と異なる屈折率をもつ屈折率調整層40を設けたものである。
図10は、微細構造層11の微細構造形成面を表面側に向け、さらに微細構造形成面上に微細構造層11と異なる屈折率をもつ屈折率調整層40を設けたものである。
図11は、微細構造層11の微細構造形成面を太陽電池パネル側に向け、さらに微細構造形成面上(太陽電池パネル側の接着層12との界面)に金属層50を設けたものである。金属層50は微細構造形成面の一部または全面を被覆するように設けることができる。金属層50は、単体金属または合金からなるものが用いられる。
金属層50は、反射防止効果を高める、外観色を多様化させる、表面の反射による眩しさを低減するという作用がある。また、金属層50の光遮断効果および光反射効果を利用し、いったん微細構造層11を通過し、太陽電池パネルのバックシートまたはバックリフレクタなどに到達して再帰反射された光を閉じ込めることにより、効率を上げることができる。
ただし、金属層50は膜厚が厚過ぎると光を透過しにくくなるので、微細構造形成面の全面を被覆する場合には金属層50の厚みを10nm以下とすることが好ましい。また、微細構造形成面の一部を被覆するようにしてもよい。
図12は、微細構造層11の微細構造形成面を表面側に向け、最外表面に反射防止膜60として、AR膜(無反射防止膜)やLR膜(低反射防止膜)をコーティングしたものである。反射防止膜60を設けることにより、耐UV性を高めることができる。
このほかに、表面を粗面化処理(たとえばコロナ処理など)するかまたは表面に低屈折率材料を設けて表面の反射を抑えたり、紫外線吸収材をコートするかまたは成形材料に混入したりすることによって、耐UV性を高めることも可能である。
本発明によれば、微細構造層による表面反射防止効果によって太陽電池パネルの効率を向上させつつ、太陽電池パネルの保護機能を兼ね備えた太陽電池用光学シートを提供できる。本発明の太陽電池用光学シートは、微細構造層に微細構造の形状および/または配列の異なる複数の領域を設けることにより様々な模様を形成することができる。たとえば、微細構造として回折格子を利用すると、回折光によってカラフルな絵柄をつけることもできる。また、本発明の太陽電池用光学シートは着脱が容易であるため、シート交換により高い性能を保持することができるとともに、絵柄を簡単に変えることができる。本発明の太陽電池用光学シートは、基本的にフレキシブルな材料を使用するため、太陽電池パネル上に貼合することにより、外部からの力に対する強度をより高めることができ、太陽電池パネルの受光面のガラスやフィルムなどに傷がつくのを防止する効果も得られる。本発明の太陽電池用光学シートは、必要な大きさにカッティングして用いることができる。
実施例1、実施例2、および参照例
実施例1、2として、図8に示すように、微細構造形成面を光入射面に向け、微細構造形成面と反対面を粗面化した微細構造層11と、接着層12とを有する太陽電池用光学シートを作製した。
実施例1、2として、図8に示すように、微細構造形成面を光入射面に向け、微細構造形成面と反対面を粗面化した微細構造層11と、接着層12とを有する太陽電池用光学シートを作製した。
微細構造層11の微細構造は、電鋳によって作製した金型を用い、PMMA系樹脂(屈折率約1.5)と50μm厚の透明フィルム(屈折率約1.5)で片面がコロナ処理によりマット表面になっている基材とをラミネートした後、加熱および紫外線により硬化させ、金型から剥離した。
実施例1は、微細構造層11の微細構造が、高さ約350nmの略四角錐の凸部をピッチ300μmで配列した構造となっている。
実施例2は、微細構造層11の微細構造が、深さ約350nmの略四角錐の凹部をピッチ300μmで配列した構造となっている。
微細構造形成面の反対面(コロナ処理面)にシリコーン系粘着材を塗布して接着層を形成し、光学シートを得た。
これらの光学シートを、それぞれ、薄膜型太陽電池(SANYO製;AM−5Y02)に貼合せた。
参照例として、光学シートを貼合せていない薄膜型太陽電池(SANYO製;AM−5Y02)を用意した。
実施例1、実施例2、および参照例について、分光式変角測色計(日本電色製、GC5000)により、入射角度0〜80°の範囲で正反射光波長分布を測定した。図13にその結果を示す。それぞれ、図13(a)は実施例1、図13(b)は実施例2、図13(c)は参照例の結果である。
実施例1、実施例2、および参照例について、分光光度計(コニカミノルタ製、CM508d)のSCI方式により反射率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3
実施例1の微細構造層の微細構造形成面に、真空蒸着法により膜厚約9nmのAl金属層を設けた構成の光学シートを作製した。
実施例1の微細構造層の微細構造形成面に、真空蒸着法により膜厚約9nmのAl金属層を設けた構成の光学シートを作製した。
上記と同様の測定を行った結果、光学シートがない場合に比べ、反射率は約5%低下した。金属層の形成方法、膜厚、形状の最適化を行えば、さらに反射率を低減できると思われる。図14に、FDTD(Finite Difference Time Domain)法により、Al金属層の反射率、透過率および吸収の膜厚依存性についてシミュレーションを行った結果を示す(a:青、b:緑、c:赤)。
図14に示すように、Al金属層の膜厚10nmで透過率がおよそ50%であり、Al金属層の膜厚が厚すぎるとほとんど光を透過しなくなる。このため、微細構造形成面の全面にAl金属層を被覆する場合には、10nm以下の厚みにすることが好ましい。また、微細構造形成面の一部にAl金属層を被覆するようにしてもよい。Al金属層を最適化すれば、光遮断効果および光反射効果を利用し、いったん微細構造層を通過し、太陽電池パネルのバックシートまたはバックリフレクタなどに到達して再帰反射された光を閉じ込めることにより、効率を上げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…太陽電池、10…光学シート、11…微細構造層、12…接着層、20…微細構造、31…第1領域、32…第2領域、40…屈折率調整層、50…金属層、60…反射防止膜。
Claims (8)
- 太陽電池パネルの光入射側に少なくとも発電有効部分をカバーするように配置される太陽電池用光学シートであって、一方の面が複数の凸部または凹部を含む微細構造をなす微細構造形成面となっている微細構造層と、前記微細構造層の太陽電池パネルへの貼合面に形成された接着層とを有することを特徴とする太陽電池用光学シート。
- 前記微細構造層は、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリイミド樹脂、透明フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用光学シート。
- 前記微細構造は、プリズム形状、多角錐形状、円錐形状、マイクロレンズ形状、回折格子形状、およびランダム形状ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の形状を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用光学シート。
- さらに、前記微細構造層に積層された、該微細構造層と異なる屈折率をもつ屈折率調整層を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シート。
- さらに、前記微細構造層の微細構造形成面またはその反対面の一部または全面を被覆する金属層を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シート。
- 前記微細構造層は、前記微細構造形成面の反対面が粗面化されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シート。
- 前記微細構造層の微細構造形成面は、互いに微細構造の形状および/または配列が異なる複数の領域を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シート。
- 前記太陽電池用光学シートは前記太陽電池パネルの最外表面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の太陽電池用光学シート。
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