JP2017043734A - エンジン油組成物 - Google Patents

エンジン油組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2017043734A
JP2017043734A JP2015169170A JP2015169170A JP2017043734A JP 2017043734 A JP2017043734 A JP 2017043734A JP 2015169170 A JP2015169170 A JP 2015169170A JP 2015169170 A JP2015169170 A JP 2015169170A JP 2017043734 A JP2017043734 A JP 2017043734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine oil
mass
oil composition
earth metal
viscosity index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015169170A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6687347B2 (ja
Inventor
篤 赤松
Atsushi Akamatsu
篤 赤松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Lubricants Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
Priority to JP2015169170A priority Critical patent/JP6687347B2/ja
Publication of JP2017043734A publication Critical patent/JP2017043734A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6687347B2 publication Critical patent/JP6687347B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

【解決課題】省燃費性を確保する上で十分な量の粘度指数向上剤を配合しながらも、ディーゼルエンジンをはじめとする熱負荷の高いエンジンに要求される高いピストン清浄性を両立させたエンジン油組成物を提供すること。【解決手段】潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油又は鉱油系基油と合成系基油の混合基油と、(A)粘度指数向上剤を、1.2質量%以上と、(B)金属型清浄剤として、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを、アルカリ土類金属換算で、0.02〜0.10質量%と、(C)金属型清浄剤として、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を、アルカリ土類金属換算で、0.12質量%以上と、を含有することを特徴とするエンジン油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた省燃費性能と、高負荷エンジンに要求される高いピストン清浄性を両立させたエンジン油組成物に関する。
近年、地球温暖化などの環境問題への対応として、内燃機関用潤滑油に対しても燃費低減効果の向上が強く求められている。これら課題を解決する技術として、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)などの有機モリブデン化合物を摩擦調整剤として配合することで、油膜条件が過酷な部位において金属間摩擦係数を低減する技術が公知であり、省燃費型のエンジン油において幅広く適用されている。しかしながら、有機モリブデン化合物による省燃費エンジン油は、オイル劣化の進行とともに有機モリブデン化合物が酸化防止剤として機能することで消耗しやすいことや、燃焼生成物であるススが油中へ混入することによって摩擦低減効果が失われやすいという欠点があり、省燃費効果の持続性に課題がある。
かかる摩擦調整剤によらないエンジン油の省燃費化技術としては、高温の粘度を一定以上に維持しながら低温側の粘度低減を狙った、所謂「高粘度指数化」がある。エンジン油の高粘度指数化を成しうるための代表的な技術的方策としては、基材として使用する基油の高粘度指数化や、エンジン油添加剤の一つである粘度指数向上剤の最適化があげられる。中でも、近年においては粘度指数向上剤の技術進歩によって高い粘度指数を有するエンジン油の開発が行われるようになった(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2011−21056号公報(特許請求の範囲) 特開平10−53788号公報(特許請求の範囲) 特開2009−221382号公報(特許請求の範囲)
トライボロジー会議2014 秋盛岡 予稿集、443〜444頁
しかしながら、粘度指数向上剤は高温暴露環境下においてデポジットの要因となりやすいという本質的な課題を内包しており、特にエンジン内部の潤滑部分で最も油膜温度の高い部位の一つであるピストン周辺において弊害が顕著に現れる。このようなデポジット形成は粘度指数向上効果が高いポリアルキル(メタ)アクリレート系の粘度指数向上剤において相対的に多いことが知られており、ディーゼルエンジンをはじめとした熱負荷が高いエンジン向けのエンジン油への適用にあたっては、ピストン清浄性を確保する上でその配合量が大幅に制限される等の技術的課題があった(例えば、非特許文献1参照)。粘度指数向上剤の配合量が制限される場合、その省燃費効果を最大限発現することが難しくなることから、粘度指数向上効果の高い粘度指数向上剤を十分に配合しながら、尚且つ優れたピストン清浄性を維持するための添加剤処方技術の構築が強く求められている。
従って、本発明の目的は、上記実情を鑑み、省燃費性を確保する上で十分な量の粘度指数向上剤を配合しながらも、ディーゼルエンジンをはじめとする熱負荷の高いエンジンに要求される高いピストン清浄性を両立させたエンジン油組成物を提供することにある。
このような実情の中で、本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、粘度指数向上剤を特定量配合し、且つ、特定の金属型清浄剤を特定量配合することにより、エンジン油組成物が、省燃費性とピストン清浄性を高次元で両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油又は鉱油系基油と合成系基油の混合基油と、
(A)粘度指数向上剤を、1.2質量%以上と、
(B)金属型清浄剤として、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを、アルカリ土類金属換算で、0.02〜0.10質量%と、
(C)金属型清浄剤として、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を、アルカリ土類金属換算で、0.12質量%以上と、
を含有することを特徴とするエンジン油組成物を提供するものである。
本発明によれば、優れた省燃費性と、高負荷エンジンに要求される高いピストン清浄性と、を有するエンジン油組成物を提供することができる。
本発明のエンジン油組成物は、潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油又は鉱油系基油と合成系基油の混合基油と、
(A)粘度指数向上剤を、1.2質量%以上と、
(B)金属型清浄剤として、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを、アルカリ土類金属換算で、0.02〜0.10質量%と、
(C)金属型清浄剤として、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を、アルカリ土類金属換算で、0.12質量%以上と、
を含有することを特徴とするエンジン油組成物である。
本発明のエンジン油組成物は、潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油又は鉱油系基油と合成系基油の混合基油を含有する。つまり、本発明のエンジン油組成物に係る潤滑油基油は、鉱油系基油のみで構成されていても、合成系基油のみで構成されていても、鉱油系基油と合成系基油の両方で構成されていてもよい。
本発明のエンジン油組成物において用いられる鉱油系基油は、1種であっても、2種以上であってもよく、また、合成系基油は、1種であっても、2種以上であってもよい。
本発明のエンジン油組成物に係る鉱油系基油としては、例えば、原油の潤滑油留分が、溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法の適宜の組合せにより精製されたものが挙げられる。また、本発明のエンジン油組成物に係る鉱油系基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋、水素化脱蝋などの処理が施されて、高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系基油)等が挙げられる。
本発明のエンジン油組成物に係る合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスを原料として合成されるイソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ジアルキルジエステル類、ポリオール類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類などが挙げられる。
本発明のエンジン組成物に係る潤滑油基油の性状は、通常、エンジン油に用いられている潤滑油基油の性状であれば、特に制限されない。潤滑油基油の100℃での動粘度(JIS−K−2283(ASTM D445))は、好ましくは3〜12mm/s、より好ましくは3〜8mm/s、さらに好ましくは3.5〜6.5mm/s、最も好ましくは3.8〜5.5mm/sである。潤滑油基油の100℃での動粘度が、上記範囲未満だと、基油の蒸発特性が劣ることから、エンジン油の実用性能を確保できない恐れがあり、また、上記範囲を超えると、基油の粘度が高過ぎるため、エンジン油組成物の粘度が高くなり過ぎることから、エンジン油組成物の省燃費性が低くなる。潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは115以上、特に好ましくは120以上である。潤滑油基油の粘度指数が、上記範囲にあることにより、エンジン油組成物の粘度特性が好適になり、且つ、清浄性が高くなる。また、このような性状への潤滑油基油の性状の調整であるが、例えば、米国石油協会(API)の基油分類で、グループII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上、粘度指数80〜120未満の性状を有する基油)とグループIII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上、粘度指数120以上)を混合して上記性状に合わせることにより、上記性状に潤滑油基油の性状を調整することができ、特に、グループIII以上に分類される基油を用いて、上記性状に潤滑油基油の性状を調整することが好ましい。
本発明のエンジン油組成物に係る潤滑油基油の%CPが72〜90、%CNが10〜28、%CAが2.0以下であることが好ましく、%CPが75〜88、%CNが12〜25、%CAが0.5以下であることがさらに好ましい。潤滑油基油の%CPが72以上、%CNが28以下、%CAが2.0以下であることにより、酸化安定性が高く且つ粘度特性に優れる傾向にある。また、潤滑油基油の%CPが90以下、%CNが10以上であることにより、各種添加剤の溶解性が確保され、さらに低温粘度特性に優れる。なお、本発明において、%CP、%CN、%CAとはASTM D3238に規定の「n−d−m環分析法」に基づいて求められ、それぞれ、パラフィン炭素数、ナフテン炭素数、芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率を意味する。
本発明のエンジン油組成物に係る潤滑油基油のアニリン点は、好ましくは110〜130℃である。潤滑油基油のアニリン点が110℃以上であることにより、高粘度指数にし易く、また、アニリン点が130℃以下であることにより、添加剤の溶解性が確保し易くなる。また、シール材料適合性の確保の観点からも、潤滑油基油のアニリン点が110〜130℃であることが好ましい。なお、本発明において、アニリン点は、JIS K 2256「アニリン点試験方法」により求められる。
本発明のエンジン油組成物に係る潤滑油基油については、JASO等の規格への適合性の観点から、潤滑油基油のNOACK蒸発量が、好ましくは15質量%以下である。なお、本発明において、NOACK蒸発量とは、ASTM D 5800に準拠して測定された基油の蒸発損失量(質量%)を意味する。
本発明のエンジン油組成物は、(A)粘度指数向上剤を含有する。本発明のエンジン油組成物が(A)粘度指数向上剤を含有することにより、エンジン油の粘度指数及び粘度特性が高くなり、省燃費性が高くなる。(A)粘度指数向上剤としては、通常、エンジン油に用いられるポリアルキル(メタ)アクリレート類、オレフィンコポリマー類、ポリイソブチレン類、ポリアルキルスチレン類、スチレン−ブタジエン水素化共重合体類、スチレン−イソプレン水素化共重合体類、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体類、及びそれらに分散基が導入されているもの等が挙げられ、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。(A)粘度指数向上剤に係るスチレン−ブタジエン水素化共重合体類とは、スチレン−ブタジエン共重合体類が水素化され、残存している二重結合が飽和結合に変換されたものを云い、また、スチレン−イソプレン水素化共重合体類とは、スチレン−イソプレン共重合体類が水素化され、残存している二重結合が飽和結合に変換されたものを云う。
本発明のエンジン油組成物中、(A)粘度指数向上剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全体に対し、1.2質量%以上、好ましくは1.5〜5.0質量%、より好ましくは1.7〜4.5質量%、さらに好ましくは1.9〜4.0質量%、より一層好ましくは2.0〜3.8質量%、最も好ましくは2.1〜3.3質量%である。(A)粘度指数向上剤の含有量が、上記範囲であることにより、エンジン油の省燃費性が高く且つピストン清浄性が高くなる。(A)粘度指数向上剤の含有量が、上記範囲未満だと、粘度指数向上剤の性能が十分に発現されず、省燃費性が低くなる。なお、(A)粘度指数向上剤の含有量の上限は、潤滑油基油の性状等に合わせて適宜選択されるが、(A)粘度指数向上剤の含有量が多くなり過ぎると、粘度指数は向上する一方でエンジン油組成物の粘度が必要以上に高くなることから省燃費性の向上効果が得られ難くなり、また、清浄性が低くなり易くなることから、(A)粘度指数向上剤の含有量の上限は、本発明の省燃費性及び清浄性を損なわない範囲で、適宜選択されることが好ましい。また、粘度指数向上剤は、多くの場合、有効成分が希釈油で希釈された状態で市販されているが、本発明において、エンジン油組成物が、粘度指数向上剤が希釈油で希釈されて市販されているものを用いて製造されたものである場合には、(A)粘度指数向上剤の含有量とは、希釈油を除く有効成分の含有量を指す。また、本発明のエンジン油組成物が2種類以上の(A)粘度指数向上剤を含有する場合には、(A)粘度指数向上剤の含有量とは、2種類以上含有されている(A)粘度指数向上剤の合計含有量を指す。
本発明のエンジン油組成物は、(A)粘度指数向上剤として、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤を1種以上含有し、且つ、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の含有量が、本発明のエンジン油組成物全体に対し、0.9質量%以上であることが、本発明の効果が高まる点で好ましい。なお、本発明において、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤とは、一般式(1):
Figure 2017043734
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜50の直鎖アルキル基又は分岐鎖を有するアルキル基である。)
に示されるものである。
(A)粘度指数向上剤に係るポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤は、一般式(1)に示す構造単位を有する重合体である。つまり、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤は、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルのみをモノマーとする重合体、すなわち、一般式(1)に示す構造単位のみからなる重合体であってもよいし、あるいは、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとそれ以外のモノマーとの共重合体、すなわち、構造の一部に一般式(1)に示す構造単位以外の構造単位を有する重合体であってもよい。ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤は、重合体中の一般式(1)で示される構造単位のRが、全てが同じものであっても、異なるものであってもよい。また、一般式(1)のRがジエチルアミノエチル基、2−メチルー5−ビニルピリジン基などの極性基であるモノマー成分を共重合させた所謂、分散型のポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤であってもよい。
(A)粘度指数向上剤に係るポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分子量は、好ましくは100,000〜700,000、より好ましくは150,000〜600,000、さらに好ましくは200,000〜500,000、最も好ましくは250,000〜450,000である。ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分子量が、上記範囲未満だと、粘度指数向上効果が得られ難くなり、省燃費性が低くなり易く、また、上記範囲を超えると、ポリマー分子のせん断安定性が不十分となり易く、実機での使用にてエンジン油がせん断による粘度低下を起こし易くなり、耐摩耗又は耐焼付き性が低下し易くなる。なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、次に示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量を意味する。すなわち、本発明において、「重量平均分子量」とは、装置:Shodex GPC−101の装置に、カラムとしてShodex GPC LF−804を3本、検出器:RI(示差屈折検出器)、温度40℃、移動相:THF(テトラヒドロフラン)、流量:1ml/min、試料濃度:1.0mass%/vol%、試料注入量:100μlによって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
本発明のエンジン油組成物が(A)粘度指数向上剤として、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤を含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、0.9質量%以上、好ましくは1.2質量%以上、より好ましくは1.4質量%以上、最も好ましくは1.6質量%以上である。本発明のエンジン油組成物中のポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の含有量が、上記範囲であることにより、省燃費性が高くなる。
本発明のエンジン油組成物は、(B)金属型清浄剤として、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを含有する。なお、以下、(B)金属型清浄剤である、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを、単に「(B)アルカリ土類金属スルホネート」とも記載する。(B)アルカリ土類金属スルホネートとしては、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類がスルホン化され、金属塩化されたものが挙げられる。(B)アルカリ土類金属スルホネートに係るアルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類は、原油処理過程で得られるタイプであっても、化学合成で得られるタイプであってもよく、両者の混合であってもよい。(B)アルカリ土類金属スルホネートに係るアルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムであるが、カルシウムが好ましい。(B)アルカリ土類金属スルホネートの塩基価は、60mgKOH/g以下、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、最も好ましくは30mgKOH/g以下である。アルカリ土類金属スルホネートの塩基価が、上記範囲を超えると、アルカリ土類金属量当たりの清浄性が低くなる。また、(B)アルカリ土類金属スルホネートの塩基価が低過ぎると、単位配合量当たりのエンジン油組成物の塩基価上昇値が低下することから、配合量過剰となりコストアップにつながる他、エンジン油組成物の粘度が不必要に増加し、省燃費効果が低くなるおそれがあるため、(B)アルカリ土類金属スルホネートの塩基価は、0.1mgKOH/g以上であることが好ましく、1.0mgKOH/g以上であることがより好ましく、3.0mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。
本発明のエンジン油組成物中、(B)アルカリ土類金属スルホネートの含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、アルカリ土類金属量換算で、0.02〜0.10質量%、好ましくは0.025〜0.08質量%、より好ましくは0.027〜0.065質量%、さらに好ましくは0.03〜0.055質量%、最も好ましくは0.035〜0.05質量%である。(B)アルカリ土類金属スルホネートの含有量が、上記範囲にあることにより、高負荷エンジンでの使用において清浄性が高くなる。(B)アルカリ土類金属スルホネートの含有量が、上記範囲未満だと、清浄性が低くなり、また、上記範囲を超えると、エンジン油組成物の硫酸灰分が多くなり過ぎるほか、酸中和性が不足する。なお、本発明において、塩基価とは、JIS−K−2501−7 によって規定された過塩素酸法により測定される塩基価である。
本発明のエンジン油組成物は、(C)金属型清浄剤として、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を含有する。なお、以下、(C)金属型清浄剤である、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を、単に「(C)アルカリ土類金属型清浄剤」とも記載する。(C)アルカリ土類金属型清浄剤としては、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートが挙げられ、これらのうち、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートが、耐熱性に優れる点で好ましく、アルカリ土類金属サリシレートが、清浄性が高くなる点で特に好ましい。(C)アルカリ土類金属型清浄剤に係るアルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウムが挙げられ、これらのうち、カルシウムが好ましい。
(C)アルカリ土類金属型清浄剤の塩基価は、100〜300mgKOH/g、好ましくは120〜280mgKOH/g、より好ましくは140〜260mgKOH/g、最も好ましくは160〜240mgKOH/gである。(C)アルカリ土類金属型清浄剤の塩基価が、上記範囲にあることにより、ピストン清浄性が高く、且つ、実用性能として求められる程度に十分な酸中和性となる。
本発明のエンジン油組成物中、(C)アルカリ土類金属型清浄剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、アルカリ土類金属量換算で、0.12質量%以上、好ましくは0.13質量%以上、より好ましくは0.14質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上、より一層好ましくは0.16質量%以上、最も好ましくは0.17質量%以上である。また、(C)アルカリ土類金属型清浄剤の含有量が多過ぎると、排出ガス後処理装置への悪影響が懸念されるため、(C)アルカリ土類金属型清浄剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、アルカリ土類金属量換算で0.35質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以下であることがより好ましく、0.27質量%以下であることが最も好ましい。(C)アルカリ土類金属型清浄剤の含有量が、上記範囲にあることにより、エンジン油組成物の硫酸灰分の上昇を抑えながら、清浄性が高くなる。
本発明のエンジン油組成物は、必須成分として、(B)アルカリ土類金属スルホネートと、(C)アルカリ土類金属型清浄剤と、を含有するが、本発明のエンジン油組成物は、金属型清浄剤として、これらに加え、(B)アルカリ土類金属スルホネート及び(C)アルカリ土類金属型清浄剤のいずれにも該当しない金属型清浄剤を、必要に応じて含有してもよい。このような、(B)アルカリ土類金属スルホネート及び(C)アルカリ土類金属型清浄剤のいずれにも該当しない金属型清浄剤としては、塩基価が300mgKOH/gを超えるカルシウムサリシレート等の塩基価が300mgKOH/gを超えるアルカリ土類金属型清浄剤や、塩基価が100mgKOH/g未満のアルカリ土類金属サリシレートやアルカリ土類金属フェネート、塩基価が60mgKOH/gを超え100mgKOH未満のアルカリ土類金属スルホネート等が挙げられる。ただし、異なる種類の清浄剤を混合し過ぎると、清浄剤分子同士の相互作用によって沈殿が生じたり、エンジン油組成物の貯蔵安定性に悪影響が及ぶ可能性があるので、(B)アルカリ土類金属スルホネート及び(C)アルカリ土類金属型清浄剤のいずれにも該当しない金属型清浄剤の種類及び含有量は、(B)アルカリ土類金属スルホネート及び(C)アルカリ土類金属型清浄の種類、含有量、エンジン油組成物の塩基価等を考慮して、適宜選択される。
本発明のエンジン油組成物は、上記の成分に加え、分散剤として、コハク酸イミド系分散剤を含有することができる。コハク酸イミド系分散剤としては、下記一般式(2):
Figure 2017043734
で表されるコハク酸イミド、又は下記一般式(3):
Figure 2017043734
で表されるコハク酸イミドが挙げられる。一般式(2)又は一般式(3)において、R及びRはいずれもアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、nは1〜10の整数である。
また、コハク酸イミド系分散剤としては、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドがホウ素化合物で変性された、ホウ素変性コハク酸イミドが挙げられる。ホウ素変性コハク酸イミドを得るためのホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸無水物、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ酸アミド、酸化ホウ素などが挙げられ、これらのうち、ホウ酸が好ましい。
本発明のエンジン油組成物が、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドと、これらのコハク酸イミドがホウ素変性された、ホウ素変性コハク酸イミドの両方を含有することが、清浄性が高くなる点で好ましい。
本発明のエンジン油組成物が一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドを含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドの含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、窒素量換算で、好ましくは100〜1,000質量ppm、より好ましくは200〜800質量ppm 、さらに好ましくは300〜600質量ppmである。なお、一般式(2)で表されるコハク酸イミド及び一般式(3)で表されるコハク酸イミドを2種以上含有する場合は、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドの含有量とは、それらの含有量の合計を指す。一般式(2)で表されるコハク酸イミド及び一般式(3)で表されるコハク酸イミドの含有量が、上記範囲にあることにより、高負荷エンジンでの使用において清浄性が高くなる。また、本発明のエンジン油組成物が一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドがホウ素化合物で変性された、ホウ素変性コハク酸イミドを含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、ホウ素変性コハク酸イミドの含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、ホウ素量換算で、好ましくは100〜800質量ppm、より好ましくは120〜600質量ppm、さらに好ましくは140〜400質量ppmである。なお、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミドがホウ素化合物で変性された、ホウ素変性コハク酸イミドを2種以上含有する場合は、ホウ素変性コハク酸イミドの含有量とは、それらの含有量の合計を指す。ホウ素変性コハク酸イミドの含有量が、上記範囲にあることにより、高負荷エンジンでの使用において清浄性が高くなる。
本発明のエンジン油組成物は、必要に応じ、一般式(2)で表されるコハク酸イミド又は一般式(3)で表されるコハク酸イミド、及びこれらがホウ素化合物で変性された、ホウ素変性コハク酸イミド以外の分散剤を含有することができる。
本発明のエンジン油組成物は、十分な摩耗防止性能を付与するために、上記成分に加え、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有することができる。ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基は、第一級であっても第二級であってもよい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、炭素数3〜12のアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましい。
本発明のエンジン油組成物がジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、リン量換算で、好ましくは0.01〜0.2質量%、より好ましくは0.03〜0.14質量%である。
本発明のエンジン油組成物は、必要に応じ、上記成分に加え、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、有機モリブデン系の酸化防止剤が挙げられ、これらは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。フェノール系の酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物が挙げられる。アミン系の酸化防止剤としては、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物が挙げられる。有機モリブデン系酸化防止剤としては、モリブデン酸アミンなど有機モリブデン化合物が挙げられる。
本発明のエンジン油組成物が酸化防止剤を含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、酸化防止剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、好ましくは0.05〜5.0質量%、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。酸化防止剤の含有量が、上記範囲未満だと、十分な酸化防止効果が得られ難く、また、上記範囲を超えると、含有量に見合った効果が得られ難い。
本発明のエンジン油組成物は、省燃費性の向上を目的として、必要に応じて、上記成分に加え、摩擦調整剤を含有することができる。摩擦調整剤としては、有機モリブデン化合物、無灰型摩擦調整剤等が挙げられる。有機モリブデン化合物としては、例えば、モリブテンジチオホスフェート、モリブデンジチオカーバメート、モリブテン酸アミン化合物、モリブデン長鎖脂肪族アミン化合物などが挙げられる。本発明のエンジン油組成物が有機モリブデン化合物を含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、有機モリブデン化合物の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、金属モリブデン量換算で、好ましくは100〜1,200質量ppmである。また、無灰型摩擦調整剤としては、長鎖脂肪族アミン、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アルコール、脂肪族アミンと脂肪酸のアミド化合物、及び脂肪族ポリグリセリルエーテル類などが挙げられる。本発明のエンジン油組成物が、無灰型摩擦調整剤を含有する場合、本発明のエンジン油組成物中、無灰型摩擦調整剤の含有量は、本発明のエンジン油組成物全量に対し、好ましくは500質量ppm〜5質量%であり、より好ましくは1,000質量ppm〜4質量%であり、さらに好ましくは3,000質量ppm〜3質量%である。有機モリブデン化合物と無灰型摩擦調整剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明のエンジン油組成物は、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、具体的には、金属不活性化剤、さび止め剤、流動点降下剤、泡消剤など、エンジン油組成物としての性能を付与するのに効果的な添加剤が挙げられる。また、本発明のエンジン油組成物中のこれらの添加剤の含有量は、必要に応じて適宜選択される。
本発明のエンジン油組成物は、潤滑油基油に、上記の添加剤成分を混合することにより調製される。そのときの各成分の混合順序は、特に限定されない。
本発明のエンジン油組成物の粘度指数は、好ましくは150〜300、より好ましくは160〜270、さらに好ましくは170〜250、最も好ましくは180〜240である。粘度指数が上記範囲未満だと、油温が低い条件でエンジン油組成物の粘度が高くなることから、省燃費性が低くなる可能性があり、また、上記範囲を超えると、省燃費性の一定の向上は見込めるものの、粘度指数向上剤の含有量を多くしなければならず、コストアップにつながる他、ピストン清浄性が低くなり易い。
本発明のエンジン油組成物の40℃における動粘度(JIS−K−2283(ASTM D445))は、好ましくは10〜70mm/s、より好ましくは20〜60mm/s、特に好ましくは30〜55mm/sである。また、本発明のエンジン油組成物の100℃における動粘度(JIS−K−2283(ASTM D445))は、好ましくは5.6〜12.5mm/s、より好ましくは8.5〜11.5mm/s、更に好ましくは9.3〜11.0mm/s、特に好ましくは9.7〜10.8mm/sである。
本発明のエンジン油組成物の高温高せん断粘度についてであるが、本発明のエンジン油組成物の油温100℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度は、好ましくは7.0mPa・s以下、より好ましくは6.8mPa・s以下、さらに好ましくは6.5mPa・s以下、最も好ましくは6.3mPa・s以下である。また、本発明のエンジン油組成物の油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度は、高負荷エンジンに要求される高い油膜保持性を考慮して、2.6mPa・s以上であることが好ましく、2.8mPa・s以上であることがより好ましく、2.9mPa・s以上であることが最も好ましい。本発明のエンジン油組成物の高温高せん断粘度が、上記範囲にあることにより、油膜環境が苛酷な高負荷エンジンにおいて省燃費性が高くなる。なお、本発明において、油温100℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度、および油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度とは、ASTM D4683に記載の方法より測定された高温高せん断粘度を意味する。
本発明のエンジン油組成物においては、省燃費性が高くなる点で、上記の高温高せん断粘度に加えて、本発明のエンジン油組成物の油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度が2.8mPa・s以下であることが好ましく、2.7mPa・s以下であることがより好ましく、2.6mPa・s以下であることがさらに好ましく、2.5mPa・s以下であることが最も好ましい。なお、ここでいう油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度とは、PCS Instruments社製USV(The Ultra Shear Viscometer)を用いて、油温150℃・せん断速度1.0×10/sの条件において測定された高温高せん断粘度を意味する。
本発明のエンジン油組成物は、SAE J300に規定されるエンジン油のSAE粘度グレードのうち、0W−30又は5W−30であることが好ましい。これらSAE粘度グレードにおいて、高負荷エンジンに要求される油膜保持性を維持しながら、省燃費効果を最大限発現することが可能になる。調合時の粘度調整に際しては、これらのSAE粘度グレードに適合するよう、潤滑油基油及び添加剤の種類及び含有量を調整することが好ましい。
本発明のエンジン油組成物の硫酸灰分は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5%質量%以下、さらに好ましくは1.2質量%以下、最も好ましくは1.1質量%以下である。硫酸灰分が、上記範囲を超えると、排出ガス後処理装置への適合性に問題が生じる恐れがあるほか、過剰な灰分がピストン周辺へ堆積する可能性がある。なお、本発明において、硫酸灰分とは、JIS−K−2272に規定された試験方法によって得られる値を意味する。
本発明のエンジン油組成物は、種々のエンジン機関に適用され、例えば、ガソリンエンジン機関用、ディーゼルエンジン機関用、ガスエンジン機関用等のエンジン油として用いられる。そして、本発明のエンジン油組成物は、ガソリンエンジン機関用又はディーゼルエンジン機関用のエンジン油として好適であり、特に、特に高負荷で使用されピストン周辺の熱負荷が相対的に高いディーゼルエンジン機関用のエンジン油として好適である。
以下に実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
表1に示す組成のエンジン油組成物を調製し、以下の方法により性状分析及び評価を実施した。その結果を表2に示す。なお、各実施例及び比較例で用いた基油及び添加剤は下記の通りである。
<使用した基油と添加剤>
(1)基油
水素化分解系鉱油(API分類:グループIII)、100℃動粘度が4.2mm/s、粘度指数が126、%CAが0.0、%CNが23.7、%CPが75.9、アニリン点が116℃、硫黄分が0.003質量%以下、窒素分が0.0010質量%以下、NOACK蒸発量が14%
(2)粘度指数向上剤
・粘度指数向上剤A:ポリアルキルメタクリレート、重量平均分子量(Mw)が440,000、希釈油除く有効成分量が19.7質量%
・粘度指数向上剤B:ポリアルキルメタクリレート、重量平均分子量(Mw)が330,000、希釈油除く有効成分量が40.3質量%
・粘度指数向上剤C:スチレンとイソプレン及びブタジエンの共重合及び水素化により得られたポリマー鎖を有する星型ポリマー、重量平均分子量が595,000、希釈油除く有効成分量が11.0質量%
・粘度指数向上剤D:エチレン−プロピレンコポリマー、重量平均分子量(Mw)が176,000、希釈油除く有効成分量が12.0%
・粘度指数向上剤E:分散型エチレンープロピレンコポリマー、重量平均分子量(Mw)が170,000、希釈油除く有効成分量が13.0%
(3)金属型清浄剤
・清浄剤A:カルシウムサリシレート、塩基価が170mgKOH/g
・清浄剤B:カルシウムサリシレート、塩基価が318mgKOH/g
・清浄剤C:カルシウムフェネート、塩基価が255mgKOH/g
・清浄剤D:カルシウムスルホネート、塩基価が19.5mgKOH/g
なお、ここでいう塩基価とは、JIS−K−2501−7 に基づいて測定された過塩素酸法による塩基価である。
(4)分散剤
・分散剤A:アルケニルコハク酸イミド、ビスタイプ、重量平均分子量(Mw)が7,370、窒素含有量が1.1質量%、ホウ素含有量が0.0質量%
・分散剤B:アルケニルコハク酸イミド、ビスタイプ、重量平均分子量(Mw)が8,600、窒素含有量が1.5質量%、ホウ素含有量が0.0質量%
・分散剤C:ホウ素変性アルケニルコハク酸イミド、ビスタイプ、重量平均分子量(Mw)が4,380、窒素含有量が1.4質量%、ホウ素含有量が0.5質量%
(5)ジアルキルジチオリン酸亜鉛
分子中に炭素数が3のセカンダリータイプのアルキル基と炭素数4及び5のプライマリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛(セカンダリータイプのアルキル基の割合:30質量%)
(6)その他添加剤
酸化防止剤、流動点降下剤、消泡剤等を含む。
<評価方法>
実施例及び比較例における評価試験法は以下の通りである。
・SAE粘度グレード
SAE J300に規定されるエンジン油の粘度グレードを判定した。
・動粘度
JIS K 2283(ASTM D445)に従い40℃及び100℃での動粘度を測定した。
・粘度指数
JIS K 2283(ASTM D2270)に従い算出した。
・高温高せん断粘度
ASTM D4683に従って、油温100℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度、及び油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度を測定した。
また、油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度を、PCS Instruments社製USV(The Ultra Shear Viscometer)を利用して測定した。
・硫酸灰分
JIS−K−2272に規定された試験方法に基づいてエンジン油組成物の硫酸灰分を測定した。
・耐コーキング性試験
パネルコーキング試験法(Fed−791B)に従い、コーキング重量の測定を実施した。油温100℃、試験片パネル温度300℃に設定し、スプラッシュ15秒間、その後45秒間停止、のサイクルを3時間繰り返した後、試験片パネルに付着したデポジット量(mg)を測定した。デポジット量の少ないものほど清浄性が優れる。
・ホットチューブ試験
JPI−5S−55−99に準拠して測定した。
評価は高温の電気炉内のガラス管の中を試料と空気を通過させ、ガラス管の汚れを求める。全く汚れの無いものを10点、強い黒色になったものを0点とし、汚れ度合いにより採点する。点数の高いものほど汚れが少なく、耐熱性が良好であるといえる。ホットチューブ試験は、電気炉の温度つまり試験温度が280℃および290℃の条件で行った。
・台上エンジン試験(1)
JASO M354:2005で規定される動弁系摩耗試験方法に準拠して実施した。この試験方法の評価項目ではないが、ピストンのリング膠着の有無によりエンジン油のピストン清浄性を判断した。リング膠着が認められないものがピストン清浄性に優れる。なお、リング膠着の判断はJPI−5S−15−94に準拠した評価方法において、フリーに分類されないものをリング膠着と判断した。
・台上エンジン試験(2)
JASO M336:2014に規定される清浄性試験方法に準拠して行った。リング溝部の清浄性は加重総デメリット(WTD)により評価した。WTDはその数値が低いほど、リング溝部の清浄性が良好であることを示す。国内大型ディーゼルエンジン油の規格であるDH−2において、WTDは740以下であることが要求されている。また、ピストン裏面(アンダーサイド)の清浄性について、カーボンの付着の有無で判断した。DH−2にピストン裏面の清浄性について要求基準はないが、カーボンの付着がないものがピストン清浄性により一層優れることを意味する。なお、ここでいうカーボンの付着とは、JPI−5S−15−94に規定される評価方法において、VLC(Very Light Carbon)、LC(Light Carbon)、MC(Medium Carbon)、MHC(Medium Heavy Carbon)、HC(Heavy Carbon)のいずれかに分類される堆積物の付着がピストン裏面に認められたことを意味する。
Figure 2017043734
Figure 2017043734
粘度指数向上剤及びアルカリ土類金属型清浄剤について本発明(A)〜(C)をすべて満足する実施例1〜3は省燃費性とよく相関することが知られている油温100℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度及び油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度が低く、高い省燃費性能が期待できるものであり、尚且つ、2つの台上エンジン試験においてピストン清浄性に何ら問題は認められない結果であった。
一方で、本願所定の粘度指数向上剤を配合するが、(B)成分を含有しない比較例1及び比較例2は、台上エンジン試験(1)においてピストンリングに膠着が認められ、ピストン清浄性に課題があることが分かる。比較例2では台上エンジン試験(2)において、WTDはJASO DH−2規格を満足し、実施例とほぼ同等の水準であったが、ピストン裏面の評価ではカーボンの付着が認められる結果であり、実施例と比較して相対的にピストン清浄性に劣る結果であった。これら比較例はパネルコーキング試験においても顕著なコーキング量を示しており、実施例対比で清浄性に劣る性能を示した。
(A)成分として含有する粘度指数向上剤のうち、ポリアルキルメタクリレート系粘度指数向上剤の含有量が少ない比較例3においては、いずれの台上エンジン試験においてもピストン清浄性に関わる問題は認められなかったが、省燃費性に影響する油温100℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度と油温150℃・せん断速度10/sにおける高温高せん断粘度が実施例と比較して著しく高い値を示しており、十分な省燃費性能が期待できないものである。
また、比較例4は、本発明の必須成分である(A)成分及び(B)成分を含有するが、(C)成分として規定されている塩基価のアルカリ土類金属型清浄剤を含有しないため、試験温度290℃におけるホットチューブ試験の評点が0点と悪くなっており、良好なピストン清浄性が期待できないものである。
以上の結果から、本発明の必須成分である(A)〜(C)成分の全てを規定の含有量で含有するエンジン油組成物が、優れた省燃費性とピストン清浄性を両立できることが分かる。
本発明によれば、高い省燃費性とピストン清浄性を有するエンジン油組成物を提供できる。

Claims (3)

  1. 潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油又は鉱油系基油と合成系基油の混合基油と、
    (A)粘度指数向上剤を、1.2質量%以上と、
    (B)金属型清浄剤として、塩基価が60mgKOH/g以下のアルカリ土類金属スルホネートを、アルカリ土類金属換算で、0.02〜0.10質量%と、
    (C)金属型清浄剤として、塩基価が100〜300mgKOH/gのアルカリ土類金属型清浄剤を、アルカリ土類金属換算で、0.12質量%以上と、
    を含有することを特徴とするエンジン油組成物。
  2. 前記(A)粘度指数向上剤として、ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤を1種以上含有し、且つ、該ポリアルキル(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤の含有量が、0.9質量%以上であることを特徴とする請求項1記載のエンジン油組成物。
  3. 前記(C)金属型清浄剤のアルカリ土類金属型清浄剤が、カルシウムサリシレートであることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のエンジン油組成物。
JP2015169170A 2015-08-28 2015-08-28 エンジン油組成物 Active JP6687347B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169170A JP6687347B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 エンジン油組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169170A JP6687347B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 エンジン油組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017043734A true JP2017043734A (ja) 2017-03-02
JP6687347B2 JP6687347B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=58212149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015169170A Active JP6687347B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 エンジン油組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6687347B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019176944A1 (ja) * 2018-03-12 2019-09-19 出光興産株式会社 潤滑油組成物
WO2019221296A1 (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 Jxtgエネルギー株式会社 内燃機関用潤滑油組成物
WO2019221295A1 (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 Jxtgエネルギー株式会社 内燃機関用潤滑油組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010500453A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 ザ ルブリゾル コーポレイション 内燃機関を潤滑する方法
JP2011012213A (ja) * 2009-07-03 2011-01-20 Chevron Japan Ltd 内燃機関用潤滑油組成物
JP2011505484A (ja) * 2007-12-03 2011-02-24 トータル・ラフィナージュ・マーケティング 4ストロークエンジン用の低灰分潤滑剤組成物
JP2011168655A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Ihi Corp 潤滑油の設計方法及び製造方法
JP2013189561A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Jx Nippon Oil & Energy Corp 潤滑油組成物及び内燃機関の潤滑方法
JP2014210844A (ja) * 2013-04-17 2014-11-13 コスモ石油ルブリカンツ株式会社 内燃機関用潤滑油組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010500453A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 ザ ルブリゾル コーポレイション 内燃機関を潤滑する方法
JP2011505484A (ja) * 2007-12-03 2011-02-24 トータル・ラフィナージュ・マーケティング 4ストロークエンジン用の低灰分潤滑剤組成物
JP2011012213A (ja) * 2009-07-03 2011-01-20 Chevron Japan Ltd 内燃機関用潤滑油組成物
JP2011168655A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Ihi Corp 潤滑油の設計方法及び製造方法
JP2013189561A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Jx Nippon Oil & Energy Corp 潤滑油組成物及び内燃機関の潤滑方法
JP2014210844A (ja) * 2013-04-17 2014-11-13 コスモ石油ルブリカンツ株式会社 内燃機関用潤滑油組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019176944A1 (ja) * 2018-03-12 2019-09-19 出光興産株式会社 潤滑油組成物
JPWO2019176944A1 (ja) * 2018-03-12 2021-02-25 出光興産株式会社 潤滑油組成物
JP7341979B2 (ja) 2018-03-12 2023-09-11 出光興産株式会社 潤滑油組成物
WO2019221296A1 (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 Jxtgエネルギー株式会社 内燃機関用潤滑油組成物
WO2019221295A1 (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 Jxtgエネルギー株式会社 内燃機関用潤滑油組成物
CN112119142A (zh) * 2018-05-18 2020-12-22 引能仕株式会社 内燃机用润滑油组合物
US11649413B2 (en) 2018-05-18 2023-05-16 Eneos Corporation Lubricating oil composition for internal combustion engine

Also Published As

Publication number Publication date
JP6687347B2 (ja) 2020-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6014540B2 (ja) 内燃機関用潤滑油組成物
JP6572900B2 (ja) 潤滑油組成物、及び当該潤滑油組成物の製造方法
ES2546852T3 (es) Composición de aceite lubricante
JP5226507B2 (ja) 内燃機関用潤滑油組成物
WO2016152995A1 (ja) ガソリンエンジン用潤滑油組成物、及びその製造方法
JP6293115B2 (ja) 潤滑油組成物
JP5777238B2 (ja) エンジン油
US9879201B2 (en) Engine oil composition
JP6687347B2 (ja) エンジン油組成物
JP6223231B2 (ja) エンジン油組成物
JP5777237B2 (ja) エンジン油
JP6302371B2 (ja) 低粘度潤滑剤組成物
JP5641764B2 (ja) ディーゼルエンジン油組成物
JP5843415B2 (ja) エンジン油
JP6013843B2 (ja) エンジン油組成物
JP2007099814A (ja) エンジン油
WO2017188087A1 (ja) 内燃機関用潤滑油組成物
JP2023539763A (ja) エンジン油組成物
JP2010095665A (ja) エンジン油
JP2015218331A (ja) 内燃機関用潤滑油組成物
RU2802289C2 (ru) Смазочные композиции
JP2018188549A (ja) 潤滑油組成物
JP2009126898A (ja) 潤滑油組成物
JP2022020971A (ja) エンジン油組成物
JP2017210509A (ja) ガスエンジン油組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170612

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190410

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6687347

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250