JP2017043714A - 包装材料用接着剤、及び包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜硫酸塩を含有するアルコール飲料などに対する耐性に優れる包装材料用接着剤を提供する。
【解決手段】安定化剤と接着用樹脂とを含む包装材料用接着剤である。接着用樹脂が、オレフィン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分とを含有する酸変性ポリオレフィン樹脂であるか、またはエステル結合を含有するウレタン系樹脂である。安定化剤が、フェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系光安定化剤であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、包装材料用接着剤、及び包装材料に関する。
包装材料として、アルミニウム箔などから構成されるバリア層の上にシーラント層としてのポリオレフィン系樹脂フィルムが積層された積層体が、多く使用されている。こうした積層体において、シーラント層は、接着層(プライマー層、又はアンカーコート層などとも呼ばれる)を介してバリア層に積層されるのが一般的である。
こうした包装材料は、固体食品のみならず、紙パック又はスタンディングパウチなどの形態で、日本酒又は果実酒のようなアルコール飲料などの包装にも利用されている。
ここで、アルコール飲料のなかでも、亜硫酸塩を含むワイン又は一部の果実酒を包装する場合は、包装材料において、バリア層とシーラント層との間の接着強度が経時的に低下したり、両層が剥がれてしまうデラミと呼ばれる問題が発生したりする。
このような問題を解決するため、包装材料において、亜硫酸塩を含むアルコール飲料などに対する耐性(内容物を保存する期間のバリア層とシーラント層との間の接着強度低下を抑制する性能。以下、「耐亜硫酸性」と称する場合がある)を向上させるための技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、特定量のウレタン系アンカーコート剤が用いられた液体用積層体が記載されている。
特開2000−153581号公報
しかしながら、特許文献1の積層体においては耐亜硫酸性が未だ不十分であり、長期に亘ってアルコール飲料などを内包する場合はデラミが発生し易い。そのため、十分なデラミ抑制効果を達成するには、アンカーコート剤の塗布量を多くする必要があり、経済的に不利な場合がある。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、その目的は、一般的な内容物に対する耐性は無論のこと、内容物としての亜硫酸塩を含有するアルコール飲料などに対する耐性(耐亜硫酸性)に優れるため、デラミ抑制効果に優れる包装材料用接着剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、安定化剤と、特定組成の接着用樹脂とが併用された包装材料用接着剤は、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)を要旨とする。
(1)安定化剤と接着用樹脂とを含む包装材料用接着剤であって、前記接着用樹脂が、オレフィン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分とを含有する酸変性ポリオレフィン樹脂であるか、又はエステル結合を含有するウレタン系樹脂である、包装材料用接着剤。
(2)前記安定化剤が、フェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系光安定化剤である、(1)の包装材料用接着剤。
(3)前記安定化剤の含有量が、前記接着用樹脂100質量部に対して0.01〜15質量部である、(1)又は(2)の包装材料用接着剤。
(4)さらにポリウレタン樹脂又は架橋剤を含むことを特徴とする、(1)〜(3)の何れかの包装材料用接着剤。
(5)さらに水性媒体を含み、前記酸変性ポリオレフィン樹脂が前記水性媒体中に分散している(1)〜(4)の何れかの包装材料用接着剤。
(6)バリア層、接着層及びシーラント層が、この順に積層されてなる包装材料であって、
前記接着層が(1)〜(4)の何れかの包装材料用接着剤からなる、包装材料。
本発明の包装材料用接着剤は、包装材料に好適に用いることができる。詳しくは、本発明の包装材料用接着剤から得られる塗膜を、接着層としてバリア層とシーラント層との間に設けた包装材料は、亜硫酸塩を含むアルコール飲料などを内包しても、長期に亘ってバリア層とシーラント層との接着性が低下せず、デラミ抑制効果に優れる。さらに、本発明の包装材料用接着剤から得られる接着層は、塗布量を低減させても上記のような効果が十分に発現するため、経済性にも優れる包装材料を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[包装材料用接着剤]
本発明の包装材料用接着剤は、安定化剤と接着用樹脂とを含む。この接着用樹脂は、オレフィン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分とを含有する酸変性ポリオレフィン樹脂であるか、又はエステル結合を含有するウレタン系樹脂である。
<接着用樹脂>
(ウレタン系樹脂)
本発明に用いられるウレタン系樹脂はエステル結合を含むことが必須である。エステル結合を含有しないウレタン系樹脂を用いた場合は、後述のバリア層とシーラント層との接着性が不十分であり、耐亜硫酸性に劣る包装材料用接着剤しか得られない。エステル結合とは、ヒドロキシル基とカルボキシル基を縮合させて得られる化学構造である。
ウレタン系樹脂は、エステル結合を含むものであれば公知のものを使用することができ、その製造方法も限定されない。しかし、本発明の包装材料用接着剤をバリア層に均一に塗布することができる観点から、溶剤に容易に溶解し、溶液に加工され易いものが好ましい。具体的には、加工性が良好である観点から、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との組み合わせからなるウレタン系樹脂が好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、公知のものを使用することができる。例えば酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’− ジフェニルエーテルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族ジカルボン酸又は芳香族トリカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族トリカルボン酸などが挙げられる。
ウレタン系樹脂においては、分子量又は分岐度などを調整するために、酸成分としてのモノカルボン酸が含有されていてもよい。モノカルボン酸としては、芳香族モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。芳香族モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、ターシャリーブチル安息香酸、又はナフトエ酸等が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、又はリノレイン酸が挙げられる。なかでも、バリア層とシーラント層との接着性の観点から、(メタ)アクリル酸を酸成分として含有することが好ましい。
ポリエステルポリオールのグリコール成分としては、公知のものを使用することができる。例えば、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等の低分子量ジオール、トリオール、四官能以上のアルコール、高分子量ジオ−ルとしてのポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール若しくはポリカプロラクトン、又はポリカーボネートジオ−ルのポリエステルポリオールが挙げられる。なかでも経済性の観点から、エチレングリコール、又はネオペンチルグリコールが好ましい。
ポリエステルポリオールの製造方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、上記のジカルボン酸及びジオール成分を150〜250℃でエステル化反応させた後、減圧しながら230〜300℃で重縮合する方法が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができる。例えば、ジイソシアネート、その二量体(ウレトジオン)、その三量体(イソシアヌレート、トリオール付加物、又はビューレット)等の一種、又は二種以上の混合物であってもよい。例えば、ジイソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、又はノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。なかでも、経済性などの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが好ましい。
ウレタン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、接着性の観点から、2,000〜500,000であることが好ましく、4,000〜350,000であることがより好ましい。Mwが2,000未満であると接着剤としての凝集力を発現し難い場合がある。一方、Mwが500,000を超えると溶剤への溶解性が低下し、溶液への加工性が低下する場合がある。
本発明においては、ウレタン系樹脂はポリエステルポリオールを主たる成分とし、イソシアネート化合物を硬化剤として含むものが好ましく、(ポリエステルポリオール)/(イソシアネート化合物)の質量比が99/1〜1/99であることが好ましく、80/20〜20/80であることがより好ましく、70/30〜30/70であることが特に好ましい。上記の質量比が99/1〜1/99の範囲を外れると、ウレタン系樹脂としての物性(例えば、接着性など)が得られ難くなる場合がある。
ウレタン系樹脂を用いて本発明の包装材料用接着剤を製造する際に、バリア層に均一に塗工できる観点から、上述のように溶剤に対して予めウレタン系樹脂を溶解させて、溶液に加工することが好ましい。溶液の調製方法は特に限定されず、例えば、溶剤にウレタン系樹脂を溶解させて溶液とし、アンモニア等のアルカリにて中和することで酸価を調整した後、水を投入して溶剤を留出除去させる方法が挙げられる。
(酸変性ポリオレフィン樹脂)
酸変性ポリオレフィン樹脂の主成分であるポリオレフィン成分としては、特に限定されないが、接着性の観点から、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、又は1−ヘキセンなどの炭素数2〜6のアルケンが好ましい。これらの混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、又は1−ブテンなどの炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン又はプロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分により酸変性されているポリオレフィン樹脂である。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などの他、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、又はハーフアミドなどが挙げられる。なかでも、バリア層とシーラント層との接着性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、又は(無水)マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、又は(無水)マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。なお、「(無水)〜酸」とは、「〜酸又は無水〜酸」を意味する。例えば、(無水)マレイン酸とは、マレイン酸又は無水マレイン酸を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸成分の含有量としては、バリア層とシーラント層との接着性に優れるために、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.5〜4質量%がさらに好ましく、1〜4質量%が特に好ましい。含有量が0.01質量%未満になると、バリア層としてアルミニウム箔などを使用した場合に、十分な接着性が得難い傾向にある。一方、10質量%を超えると、バリア層とシーラント層との接着性が低下する傾向にある。
酸変性ポリオレフィン樹脂には、(メタ)アクリル酸エステル成分が含有されている必要がある。この成分を含有していない酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合は、バリア層とシーラント層との接着性に劣るものとなる。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられる。なかでも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、又は(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。なかでも入手の容易さ、又は接着性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、又はアクリル酸オクチルが好ましく、アクリル酸エチル、又はアクリル酸ブチルがより好ましく、又はアクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜又はメタクリル酸〜」を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量としては、耐亜硫酸性に優れ、内容物として亜硫酸塩を含むアルコール飲料などを内包した場合のデラミを抑制する観点から、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜18質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1質量%未満の場合は、バリア層として、例えばアルミニウム箔又はポリオレフィン樹脂系フィルムを用いた場合に、接着性が低下する傾向にある。一方、25質量%を超える場合は、耐亜硫酸性に劣る傾向にある。
(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体が最も好ましい。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体などの何れでもよいが、入手が容易という点でランダム共重合体、又はグラフト共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量が高くなるにつれて耐亜硫酸性が向上し、デラミ抑制効果が向上する傾向にある。したがって分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートとしては、100g/10分以下が好ましく、30g/10分以下がより好ましく、0.001〜20g/10分がさらに好ましく、0.01〜10g/10分が特に好ましい。メルトフローレートが100g/10分を超える場合は、耐亜硫酸性が低下する傾向にあり、0.001g/10分未満の場合は、樹脂を高分子量化する際の製造面に制約を受けることがある。
上記のような酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層においては、耐亜硫酸性又は接着層の均一性に優れるために、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート値(JIS K7210:1999に準ずる)が0.01〜10g/10分であることが好ましく、0.02〜8g/10分であることがより好ましい。また、こうした接着層においては、耐熱性の観点から、融点が80℃以上であることが好ましい。
上述のような酸変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に分散させて、水性分散体に加工することが可能である。酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体とすることで、本発明の包装材料用接着剤を、バリア層に均一に塗布することができる。分散方法としては、自己乳化法又は強制乳化法など公知の分散方法が挙げられる。特に、上述の酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を、水性媒体中で塩基性化合物を用い、中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化させる際に用いる水性媒体は、水、又は水を含む液体からなる媒体である。分散安定化に寄与する中和剤又は水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、沸点が140℃以下の揮発性の水溶性有機溶媒を用いると、接着層を形成する際に、接着層中の残存量を低減できるため好ましい。具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、又はn−ブタノールなどが挙げられる。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の中和に用いられる塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属等が挙げられる。なお、塩基性化合物は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の塩基性化合物を用いると、接着層を形成する際に、接着層中の残存量を低減できるために好ましい。具体的には、アンモニア、トリエチルアミン、又はN,N−ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
<安定化剤>
本発明の包装材料用接着剤は、安定化剤を含有するために耐亜硫酸性に優れる。安定化剤は、例えば、酸化防止剤又は光安定剤である。安定化剤は公知のものが使用でき、例えばアスコルビン酸誘導体、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、又はヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。この中でも、接着性の観点から、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、又はヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤、又はヒンダードアミン系光安定剤が特に好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては公知のものを使用することができ、一例としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、又はカテキン類等が挙げられる。なかでも、経済性の観点から、α-トコフェロールが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては公知のものを使用することができ、例えば、1,2,2,6,6位に水素以外の原子団が置換されたピペリジル基を有する化合物などが挙げられる。
安定化剤の含有量は、接着用樹脂(ウレタン系樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂)100質量部に対し、0.01〜15質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。ウレタン系樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂とを混合して使用する場合は、これらの合計を100質量部として、安定化剤の含有量を調整することができる。安定化剤の含有量が0.01質量部を下回ると、耐亜硫酸性が十分に得られない傾向にある。15質量部を超えると、バリア層とシーラント層との接着性が低下する傾向にある。
<その他の添加剤>
本発明の包装材料用接着剤は、耐熱性、接着性、又は耐亜硫酸性などの性能をさらに向上させるために、架橋剤又はポリウレタン樹脂を含有してもよい。ポリウレタン樹脂又は架橋剤の含有量は、目的の性能を鑑みて適宜に調整することができる。例えば、耐熱性により優れるために、接着用樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部とすることが好ましく、1〜10質量部とすることがより好ましい。
架橋剤としては、例えば、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、又は多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができる。このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、又はシランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤を2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の包装材料用接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、又は紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加してもよい。
[包装材料]
本発明の包装材料は、基材層、接着層及びシーラント層が、この順に積層されてなるものである。接着層は、上述する本発明の包装材料用接着剤からなる。詳しくは、本発明の包装材料用接着剤を、基材層の少なくとも一方の面に塗布し乾燥することで、塗膜状の接着層を形成することが可能である。
本発明の包装材料においては、接着層が発明の包装材料用接着剤から形成されるため、接着剤の塗布量を低減させても優れた効果(接着性、又は耐亜硫酸性)を発現することができる。例えば、塗布量としては、基材層面積に対して0.001〜5g/mの範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/mであることがより好ましく、0.02〜2g/mであることがさらに好ましく、0.03〜1g/mであることが特に好ましく、0.05〜1g/mであることが最も好ましい。0.001g/m未満では、十分な耐亜硫酸性が得られない傾向にある。一方、5g/mを超える場合には経済性に劣る傾向にある。
基材層としては、液体又は気体を遮断できる材料であれば特に限定されない。具体的には、アルミニウム箔などの軟質金属箔のほか、熱可塑性樹脂フィルムなどが挙げられる。基材層にさらなるバリア性が求められる場合には、基材層にバリア層が設けられていても良い。バリア層としては、アルミニウム箔のほか、アルミニウム、シリカ、又はアルミナなどの蒸着層がバリア性により優れるために好ましい。特に安価であるために、アルミニウム箔又はアルミニウムの蒸着層といった、アルミニウムから構成されるバリア層が好ましい。バリア層の厚みは特に限定されないが、例えばアルミニウム箔の場合には、経済的な面から3〜50μmの範囲が好ましい。
バリア層として蒸着層を採用する場合には、市販の蒸着フィルムを使用することが簡便である。そのような蒸着層を有するフィルムとしては、例えば、大日本印刷社製の「IBシリーズ」、凸版印刷社製の「GL、GXシリーズ」、東レフィルム加工社製の「バリアロックス」、VM−PET、YM−CPP、VM−OPP、三菱樹脂社製の「テックバリア」、東セロ社製の「メタライン」、尾池工業社製の「MOS」、「テトライト」、「ビーブライト」などが例示できる。なお、蒸着層の上には保護コート層を設けてもよい。
また、バリア層を設けた基材層を採用する場合には、有機バリア層を有するフィルムを使用することが簡便である。この場合、バリア性を有する樹脂を含む塗剤をフィルムにコーティングする方法、前記樹脂を共押し出し法により積層する方法などを採用して別途作製したものを用いてもよい。または、簡便であるため、市販の有機バリア層を有するフィルムを使用することが好ましい。そのような有機バリア層を有するフィルムとしては、クラレ社製の「クラリスタ」、「エバール」、呉羽化学工業社製の「ベセーラ」、三菱樹脂社製の「スーパーニール」、興人社製の「コーバリア」、ユニチカ社製の「セービックス(登録商標)」、「エンブロンM」、「エンブロンE」、「エンブレムDC」、「エンブレットDC」、「NV」、東セロ社製の「K−OP」、「A−OP」、ダイセル社製の「セネシ」などが例示できる。
シーラント層としては、公知のシーラント樹脂からなるものが挙げられる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)若しくは高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、又はアイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。なかでも、低温シール性の観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
シーラント層の厚みは特に限定されないが、包装材料への加工性又はヒートシール性などの観点から、10〜60μmの範囲が好ましく、15〜40μmの範囲がより好ましい。また、シーラント層に5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラント層の滑り性又は包装材料の引裂性を付与することが可能である。
[包装材料の製造方法]
本発明の包装材料を製造するには、まず、上述したような本発明の包装材料用接着剤をバリア層の表面に塗布する。本発明の包装材料用接着剤をバリア層表面に塗布する方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などにより均一にコーティングする方法が挙げられる。
包装材料用接着剤を塗布した後、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供する。これにより、包装材料用接着剤に含有されてもよい有機溶媒又は水性媒体の一部又は全てを乾燥し、均一な塗膜状の接着層をバリア層表面に密着させて形成することができる。乾燥の際は、接着性又は耐亜硫酸性により優れる観点から、有機溶媒又は水性媒体の全てを乾燥させることが好ましい。
なお、接着層を形成する前に、基材層などを予めバリア層の何れか一方の表面に積層してから、他方の表面の少なくとも一部に、包装材料用接着剤を塗布し乾燥してもよい。
次いで、上述のように設けられた接着層上にシーラント層を積層し、本発明の包装材料が得られる。シーラント層を積層する方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層とシーラント樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)、シーラント樹脂を溶融させて接着層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)などが挙げられる。なかでも、接着層を薄くすることが可能であり、耐亜硫酸性により優れる観点から、押出ラミネーション法が好ましい。
溶融させたシーラント樹脂を押し出す際の温度は、接着性又は耐亜硫酸性により優れる観点から、200〜400℃が好ましく、250〜350℃がより好ましく、280〜330℃がさらに好ましい。また、溶融させたシーラント樹脂には、接着性又は耐亜硫酸性により優れ、ライン速度などの高速化の点から、オゾン処理などの処理を施してもよい。
本発明の包装材料用接着剤は、様々な内容物に対して良好な耐性を有しており、揮発性を有する内容物又は刺激性の強い内容物の包装材料としても好適である。特に、長期に亘って保存した後も耐亜硫酸性に優れることから、亜硫酸塩類を含むアルコール飲料などの包装材料に好適に使用される
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定するものではない。また、実施例中の物性の測定、又は評価方法は以下の通りである。
(1)ウレタン系樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)ウレタン系樹脂の数平均分子量、又は重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)を用いて測定した。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層のメルトフローレート(MFR)
形成された接着層を採取してサンプルとし、JIS K7210:1999記載の方法に準じて、190℃、2160g荷重で測定した。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層の融点
形成された接着層10mgを採取してサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC−7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線から融点を求めた。
(5)接着性(耐亜硫酸性試験前)
包装材料から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、Tピール法により試験片の端部からバリア層とシーラント層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張速度200mm/分で行った。
剥離強度により、次に示す3段階で接着性を評価した。
○:剥離強度が3N/15mm以上、又は剥離不可
△:剥離強度が2N/15mm以上、3N/15mm未満
×:剥離強度が2N/15mm未満、又は層間に剥離(デラミ)が生じた
剥離強度は、2N/15mm以上であることが好ましく、3N/15mm以上であることがより好ましい。また、剥離強度が高い場合には、測定時にシーラント層に伸び又は切れなどが発生し剥離が不可能となることがあるが、このような現象はラミネート状態として最も好ましい。
(6)耐亜硫酸性試験
10cm角の包装材料を2枚用い、各々のシーラント層を内側にして重ね合わせ、内容物として、600ppmのピロ亜硫酸カリウムを含む20質量%のエタノール水溶液を入れ、シール幅10mmで四方をヒートシールして密封した。これを50℃で2週間保存した。その後、密封した包装材料を開封し、前記(1)と同様にして包装材料から試験片を採取し、剥離強度を測定した。
剥離強度により、次に示す3段階で接着性を評価した。
○:剥離強度が3N/15mm以上、又は剥離不可
△:剥離強度が2N/15mm以上、3N/15mm未満
×:剥離強度が2N/15mm未満、又は層間に剥離(デラミ)が生じた
実施例中、又は表1〜3中において、表記される略号又は商標名は、以下の化合物、添加剤、又は樹脂を示す。
PEP−8:ホスファイト系酸化防止剤(ADEKA社製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(化合物名、イソシアネート化合物)
BHA:ブチルヒドロキシアニソール(化合物名、フェノール系酸化防止剤)
Tinuvin123DW:ヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製)
AP−201:ポリウレタン樹脂(DIC社製)
WS−700:オキサゾリン系架橋剤(日本触媒社製)
SR−SEP:エポキシ系架橋剤(阪本薬品工業社製)
ポリエステルポリオール(A)の製造
撹拌機、温度計及び溜出用冷却器を有する反応器内に、ジメチルテレフタレート200g、ジメチルイソフタレート180g、エチレングリコール170g、ネオペンチルグリコール140g、及びテトラブチルチタネート0.1gを加え、200〜220℃で2時間、エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、235℃まで昇温させるとともに系内を徐々に減圧し、5分かけて235℃かつ5Torrとした。さらに15分間重縮合反応を行い、十分な分子量を達成した後、窒素ガスを流して真空状態を解除した。こうして得られたポリエステルポリオールを(A)とした。このポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は2,000であった。
ポリエステルポリオール(B)、(C)の製造
使用した原料の種類及び質量を下記に示したように変更した以外は、ポリエステルポリオール(A)と同様の方法により、ポリエステルポリオール(B)、(C)を合成した。それぞれの数平均分子量を合わせて記す。
ポリエステルポリオール(B):テレフタル酸190g、イソフタル酸180g、無水トリメリット酸10g、エチレングリコール170g、ネオペンチルグリコール140g、数平均分子量3,000
ポリエステルポリオール(C):テレフタル酸180g、イソフタル酸160g、無水トリメリット酸40g、エチレングリコール170g、ネオペンチルグリコール140g、数平均分子量20,000
ポリエーテルポリオール(D)の製造
ジエチレングリコール175g(全アルコールに対し30モル%)と水酸化ナトリウム12.2gとを、蒸留塔及び凝縮器を備えたフラスコに仕込み、窒素雰囲気下で250℃まで昇温させた。その後、温度を250℃に保持させたまま、グリセリン350g(全アルコールに対し70モル%)を5時間かけてフラスコに滴下した。滴下終了後、8時間かけて脱水縮合させ、ポリエーテルポリオール(D)を得た。ポリエーテルポリオール(D)の数平均分子量は1000であった。
ウレタン系樹脂溶液UR1の製造
温度計、攪拌機、還流式冷却管及び蒸留管を有する反応容器に、ポリエステルポリオール(A)100g、及びメチルエチルケトン100gを仕込み、溶解させた。その後、メチルエチルケトン35gを蒸留させ、反応系を脱水した。60℃まで冷却した後、33gのIPDIを投入し、均一な溶液としてから70℃で2時間反応させた。次いで、58gのメチルエチルケトンを投入し、固形分濃度が50質量%であるウレタン系樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液をUR1とした。
ポリエステルポリオールの種類又はIPDIの量を表1に示したように変更した以外は、UR1と同様の操作をおこなって、ウレタン系樹脂溶液UR2〜4を得た。
ウレタン系樹脂溶液UR1〜4の組成、並びにUR1〜4に含有されるウレタン系樹脂のモノマー組成及び物性を、表1にまとめて記す。
(実施例1)
UR1に対し、安定化剤としてのPEP−8を、固形分質量比で(ウレタン系樹脂)/(PEP−8)=100/1の比率となるように配合し、最終的に固形分濃度が5質量%となるように希釈して包装材料用接着剤を得た。これを、表面がコロナ処理されたポリエステルフィルム(ユニチカ社製、商品名「S−38」)の上に、樹脂固形で0.3g/mとなるよう塗布し、乾燥させて接着層を形成した。次いで、押出機を備えたラミネート装置を用いて、接着層の表面にシーラント樹脂としてのLDPE(住友化学社製、「L211」)を320℃で溶融押出して、25μmのLDPE層からなるシーラント層を形成し、実施例1の包装材料を得た。実施例1の包装材料用接着剤の組成を表1に、実施例1の包装材料の評価結果を後述の表3に示す。
(実施例2〜4)
安定化剤としてのPEP−8に代えて、実施例2ではα−トコフェロールを、実施例3ではBHAを、実施例4ではTinuvin123DWをそれぞれ用い、実施例1と同様の操作を行って、実施例2〜4の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例5)
実施例2において、AP−201を、固形分質量比で(ウレタン系樹脂)/(AP−201)=100/5となるように、さらに添加した以外は、実施例2と同様の操作を行って、実施例5の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例6、7)
AP−201に代えて、実施例6ではWS−700を、実施例7ではSR−SEPを、ウレタン系樹脂100質量部に対して、それぞれ5質量部添加した以外は、実施例5と同様の操作を行って、実施例6〜7の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例8、9)
ウレタン系樹脂溶液UR1に代えて、実施例8ではUR2を、実施例9ではUR3を、それぞれ用いた以外は実施例2と同様の操作を行って、実施例8〜9の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(比較例1)
安定化剤を使用しない以外は実施例1と同様の操作を行って、比較例1の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(比較例2)
ポリオール成分として、エステル結合を含有しないポリエーテルポリオールDを使用した以外は実施例2と同様の操作を行って、比較例2の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表1に、包装材料の評価結果を表3に示す。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体Em1の製造
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂「ボンダインTX−8030」(アルケマ社製、以下、TX8030と示す)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、系内温度を140〜145℃に保って30分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却した。その後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体Em1を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体Em2の製造
まず、酸変性ポリオレフィン樹脂「PO1」を調製した。温度計、撹拌機、液注器及びジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社、「カーネルKS260」)100g、クロロベンゼン400g、及びベンゾフェノン0.5gを仕込み、系内を窒素で置換した。撹拌機を100rpmで回転させた状態で、フラスコを110℃のオイルバスに投入し、溶媒を還流させた。樹脂が溶解した後、無水マレイン酸3gを溶解させたクロロベンゼン100gを、1時間かけて滴下した。さらに110℃で2時間保持した後、室温まで冷却した。この溶液を1リットルのアセトンに流し込み、再沈殿を行った。析出した樹脂に対し60℃で8時間の真空乾燥を行って、PO1を得た(MFR:8g/分)であった。
そして、TX8030に代えてPO1を用いた以外は、Em1の製造と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水分散体Em2を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体Em1及びEm2の組成、並びに含有される酸変性ポリオレフィン樹脂のモノマー組成及び物性を、表2にまとめて記す。
(実施例10)
Em1に対して、安定化剤としてのα−トコフェロールを、固形分質量比で(Em1)/(α−トコフェロール)=100/1の比率となるように配合し、最終的に固形分濃度が5%となるように希釈して、包装材料用接着剤を得た。この包装材料用接着剤を、コロナ処理されたポリエステルフィルム(ユニチカ社製、商品名「S−38」)の上に、樹脂固形で0.3g/mとなるよう塗布し、乾燥して接着層を形成した。次いで、押出機を備えたラミネート装置を用いて、接着層の表面にシーラント樹脂としてLDPE(住友化学社製、「L211」)を320℃で溶融押出して、25μmのLDPE層からなるシーラント層を形成し、実施例10の包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例11、12)
α−トコフェロールの含有量を、固形分質量比で、実施例10では(Em1)/(α−トコフェロール)=100/0.01、実施例11では(Em1)/(α−トコフェロール)=100/15に変更した以外は、それぞれ実施例10と同様の操作を行って、実施例11〜12の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例13、14)
安定化剤としてのα−トコフェロールに代えて、実施例13ではBHAを、実施例14ではTinuvin123DWをそれぞれ用いた以外は、実施例10と同様の操作を行って、実施例13〜14の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例15)
酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してAP−201を5質量部添加した以外は、実施例10と同様の操作を行って、実施例15の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(実施例16、17)
AP−201に代えて、実施例16ではWS−700を、実施例17ではSR−SEPを、それぞれ用いた以外は、実施例15と同様の操作を行って、実施例16〜17の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(比較例3)
安定化剤を使用しない以外は実施例10と同様の操作を行って、比較例3の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(比較例4)
安定化剤としてのα−トコフェロールの含有量を20質量部とした以外は、実施例10と同様の操作を行って、比較例4の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
(比較例5)
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体としてEm2を使用した以外は、実施例10と同様の操作を行って、比較例5の包装材料用接着剤、及び包装材料を得た。包装材料用接着剤の組成を表2に、包装材料の評価結果を表3に示す。
実施例1〜17から明らかなように、安定化剤と特定の接着用樹脂とを含む本発明の包装材料用接着剤は、包装材料に用いられた際の接着性、及び耐亜硫酸性に優れることが理解できる。
一方、比較例1又は3の包装材料用接着剤は、安定化剤が含有されていなかったため、耐亜硫酸性試験後にデラミが発生し、長期間に亘って耐亜硫酸性に優れるものではなかった。
比較例2又は5の包装材料用接着剤は、接着用樹脂として本発明に規定する以外の樹脂を用いたため、剥離強度が低く接着性に劣っていた。
比較例4の包装材料用接着剤は、安定化剤の含有量が過多であったため、剥離強度が低く、接着性に劣っていた。さらに耐亜硫酸性にも劣っていた。

Claims (6)

  1. 安定化剤と接着用樹脂とを含む包装材料用接着剤であって、
    前記接着用樹脂が、オレフィン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分とを含有する酸変性ポリオレフィン樹脂であるか、又はエステル結合を含有するウレタン系樹脂であることを特徴とする、包装材料用接着剤。
  2. 前記安定化剤が、フェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系光安定化剤であることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料用接着剤。
  3. 前記安定化剤の含有量が、前記接着用樹脂100質量部に対して0.01〜15質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の包装材料用接着剤。
  4. さらにポリウレタン樹脂又は架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の包装材料用接着剤。
  5. さらに水性媒体を含み、前記酸変性ポリオレフィン樹脂が前記水性媒体中に分散していることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の包装材料用接着剤。
  6. バリア層、接着層及びシーラント層が、この順に積層されてなる包装材料であって、
    前記接着層が請求項1〜4の何れか1項に記載の包装材料用接着剤からなることを特徴とする、包装材料。
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