JP2017042390A - カーペット - Google Patents
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Abstract
Description
このようなカーペットとしては、矩形状に裁断されたいわゆるタイルカーペット、ロール状に巻かれて提供される長尺のカーペットなどが挙げられる。
これらカーペットは、通常、屋内に敷設され、雨水などで水濡れしない環境下で使用され、屋外や半屋外などの雨水などで水濡れする場所で使用される場合は少ない。
屋外の場所は、屋根や雨よけが無く、雨水が入ってくる又は散水され得る場所である。一方、半屋外の場所は、屋根や雨よけがあるが、雨水が入ってくる又は散水され得る場所であり、例えば、ホテル、オフィスビル、商業施設、マンション、病院などの各種建築物の開放廊下、連絡通路、中庭、ベランダなどが挙げられる。すなわち、半屋外や屋外の場所は、雨水や散水などによって水濡れするため、そのような場所に使用されるカーペットは、水濡れ後に可及的に速やかに自然乾燥する機能が求められるが、屋内用のカーペットを屋外や屋外の場所に使用した場合、一旦水に濡れると乾き難いという問題点がある。
また、特許文献1のようなマットは、室内で使用されるようなカーペットに比べて、意匠性、風合いに劣るという問題点もある。すなわち、半屋外や屋外にカーペットを敷設することによって、外観による建築物の高級感や良好な歩行感を付与するため、半屋外などに敷設されるカーペットには、そのものが醸し出す風合いに優れていることが求められる。
よって、半屋外や屋外の場所に使用されるカーペットは、水濡れ後に可及的に速やかに自然乾燥する機能と風合いに優れていることを両立させることが求められる。
本発明の好ましいカーペットは、前記第2糸の単繊維の太さが、前記第1糸の単繊維の太さの1/1000倍〜4/5倍である。
本発明の好ましいカーペットは、前記第1パイルが、ゲージ方向において1列に配置され、前記第2パイルが、ゲージ方向において1列に配置され又はゲージ方向において2列以上連続して配置され、前記1列の第1パイルと1列又は2列以上の第2パイルが、ゲージ方向に交互に並んで配置されている。
本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1に示すように、カーペット1は、枚葉状に形成されている。枚葉状のカーペット1の平面視形状は、特に限定されず、例えば、図示のような平面視正方形状、長方形状などの四角形状、特に図示しないが、三角形状、六角形状などの多角形状、楕円形状、円形状などが挙げられる。
また、本発明のカーペット1は、平面視長尺帯状に形成されていてもよい。前記長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状のカーペットは、通常、ロールに巻かれて保管・運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。
パイル面は、第1糸4から構成された第1パイル4Pと、第2糸5から構成された第2パイル5Pと、を有する。前記第1パイル4P及び第2パイル5Pからなるパイル面において、その第1パイル4Pのパイル密度と第2パイル5Pのパイル密度の比は、30:70〜70:30である。
前記第1パイル4Pのパイル密度は、単位面積当たりのパイルの打ち込み数であり、ゲージ方向のパイル打ち込み数とステッチ方向の打ち込み数の積で求められる。同様に、第2パイル5Pのパイル密度は、単位面積当たりのパイルの打ち込み数であり、ゲージ方向のパイル打ち込み数とステッチ方向の打ち込み数の積で求められる。
本発明のカーペット1は、その全体に前記第1パイル4P及び第2パイル5Pからなるパイル面が設けられていてもよく、或いは、前記第1パイル4P及び第2パイル5Pからなるパイル面が設けられていることを条件として、一部に前記2つのパイル4P,5P以外のパイル面が設けられていてもよい。前記第1パイル4P及び第2パイル5Pからなるパイル面以外のパイル面が設けられている場合としては、前記第1パイル4P及び第2パイル5P並びにこれらのパイルとは異なる他のパイルからなるパイル面を含んでいる場合、第1パイル4P及び第2パイル5Pとは異なる他のパイルのみからなるパイル面を含んでいる場合などが挙げられる。
図示例では、カーペット1の表面全体に、第1パイル4P及び第2パイル5Pのみからなるパイル面が設けられている。
前記第1パイル4Pを構成する第1糸4は、複数の単繊維41を含み、前記第2パイル5Pを構成する第2糸5は、前記第1糸4の単繊維41よりも細い単繊維であって、捲縮された複数の単繊維51を含む。
前記基布2は、特に限定されず、例えば、織布、不織布、編み布などのシート状のものが挙げられる。基布2を構成する繊維の素材としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドなどの合成繊維;セルロース、ウールなどの天然繊維;レーヨンなどの半合成繊維;これらの混繊などが挙げられる。高強度で且つ吸収し難く、安価であることから、基布2の繊維は、ポリプロピレン繊維であることが好ましい。
基布2の目付量は、特に限定されないが、例えば、90g/m2〜180g/m2であり、好ましくは、100g/m2〜140g/m2である。
第1パイル4P及び第2パイル5Pは、それぞれ独立して、ループパイル又はカットパイルのいずれでもよいが、図示のように、いずれもループパイルであることが好ましい。第1パイル4Pがループパイルとされていることにより、水の乾きが速くなり、さらに、第2パイル5Pがへたることを抑制できる。第2パイル5Pがループパイルとされていることにより、風合いに優れ、歩行感も良好なカーペット1を構成できる。
第1パイル4P及び第2パイル5Pは、それぞれ独立して、ゲージ方向において1列に配置され、又は、ゲージ方向において2列以上連続して配置されていてもよい。なお、パイルの列は、ステッチ方向に延びているものをいう。それ故、ゲージ方向において2列以上連続して配置は、ステッチ方向に延びるパイルの列が、ゲージ方向において2つ以上隣接して並んでいることをいう。
好ましくは、第1パイル4Pはゲージ方向において1列に配置される。第1パイル4Pを1列配置とすることにより、外観上、風合いに優れたカーペット1を構成できる。
1つの実施形態では、図1に示すように、第1パイル4Pは、ゲージ方向において1列に配置され、第2パイル5Pは、ゲージ方向において1列に配置されている。この1列の第1パイル4Pと1列の第2パイル5Pが、ゲージ方向に交互に並んで配置されている。
他の実施形態では、図6及び図7に示すように、第1パイル4Pは、ゲージ方向において3列に配置され、第2パイル5Pは、ゲージ方向において2列に配置されている。この3列の第1パイル4Pと2列の第2パイル5Pが、ゲージ方向に交互に並んで配置されている。
その他、図示しないが、第1パイル4Pがゲージ方向において1列に配置され、第2パイル5Pがゲージ方向において2列に配置されている場合、第1パイル4Pがゲージ方向において2列に配置され、第2パイル5Pがゲージ方向において2列に配置されている場合、第1パイル4Pがゲージ方向において3列に配置され、第2パイル5Pがゲージ方向において3列に配置されている場合など、様々なパターンに変更することもできる。
好ましくは、図3に示すように、第2パイル5Pの高さが第1パイル4Pの高さよりも大きい。第2パイル5Pの高さを第1パイル4Pよりも大きくすることにより、第1パイル4Pの上方に第2パイル5Pが突出するようになる。このため、実際のパイル密度よりも第2パイル5Pが視認され易くなり、風合いの優れたカーペット1を構成できる。また、第1パイル4Pは、視認され難いものの、第2パイル5Pよりも太い単繊維が用いられているのでへたり難く、隣接する第2パイル5Pを側方から支えることによって、第2パイル5Pの起立状態が長期間維持され得る。
具体的寸法では、第1パイル4Pの高さと第2パイル5Pの高さの差の絶対値が、零を超え5mm以下であることが好ましく、0.5mm〜3mmであることがより好ましい。
また、第1パイル4Pの具体的な高さは、例えば、2mm〜10mmであり、好ましくは、3mm〜7mmである。第2パイル5Pの具体的な高さは、例えば、3mm〜12mmであり、好ましくは、4mm〜8mmである。
好ましくは、第1パイル4Pのパイル密度:第2パイル5Pのパイル密度は、35:65〜65:35であり、より好ましくは40:60〜60:40であり、さらに好ましくは45:55〜55:45である。
前記第1パイル4Pと第2パイル5Pを含むパイルのゲージ及びステッチは、それぞれ第1パイル4Pと第2パイル5Pの双方を合わせた打ち込み数である。第1パイル4Pと第2パイル5Pのそれぞれの打ち込み数は、両パイルのパイル密度が30:70〜70:30となる範囲で適宜設定される。前記第1パイル4Pと第2パイル5Pのそれぞれのゲージ及びステッチは、例えば、ゲージ及びステッチの少なくとも一方が異なっていてもよいが、好ましくは、両者は、同一のゲージ及び同一のステッチに設定される。
なお、1/Xゲージは、ゲージ方向において1インチ当たりにX本のパイルが打ち込まれていることを意味し、Yステッチは、ステッチ方向において1インチ当たりにY本のパイルが打ち込まれていることを意味する。
好ましくは、第1糸4は、複数の第1単繊維41のみから構成されている。好ましくは、第2糸5は、複数の第2単繊維51と、第2単繊維51よりも太い単繊維52の1本乃至4本と、から構成されている。
1本の第1単繊維41の太さは、例えば、100dtex〜1,000dtexであり、好ましくは200dtex〜500dtexであり、より好ましくは300dtex〜400dtexである。また、第1糸4を構成する第1単繊維41の本数は、例えば、4本〜14本であり、好ましくは5本〜12本であり、より好ましくは6本〜10本である。
前記複数の第1単繊維41を撚り合わすことによって、第1糸4が構成されていてもよく、或いは、第1単繊維41を撚らずに引き揃えることによって、第1糸4が構成されていてもよい。また、前記複数の第1単繊維41を交絡することによって、第1糸4が構成されていてもよい。交絡された第1糸4を用いることにより、目止め層が視認され難くなり、第1パイル4Pのパイル密度を比較的小さくして、排水性を高めることができる。
図示例の第1糸4は、複数の第1単繊維41を撚り合わせることによって構成されている。
この場合、撚り方向は、左撚(Z撚)又は右撚(S撚)の何れでもよい。また、撚り方式としては、図示のような片撚の他、諸撚などが挙げられる。撚り数は、特に限定されず、例えば、片撚の場合、30回/m〜80回/mであり、諸撚の場合、120回/m〜200回/mである。撚りが少なくなるほど乾燥性に優れ、多くなるほど吸水量が少なくなる。
疎水性の合成樹脂繊維としては、例えば、BCFナイロンなどのポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維などを用いることができる。剛性に優れ、へたり難く、復元力も強いことから、BCFナイロンなどのポリアミド繊維を用いることが好ましい。
第2例において、第2糸5は、例えば、図9(b)に示すように、複数本の第2単繊維51と、第2太単繊維52の1本又は2本と、とから構成され、前記複数の第2単繊維51と第2太単繊維52とが部分的に交絡されている。図中、交絡点を符号53で示す。好ましくは、第2例の第2糸5は、複数本の第2単繊維51と、1本の第2太単繊維52と、から構成される。
第3例において、第2糸は、図9(a)又は図9(b)に示す第2糸が2本乃至4本束ねられたものから構成される(図示せず)。この第3例の第2糸は、図9(a)に示す第2糸のみが2本乃至4本でもよく、図9(b)に示す第2糸のみが2本乃至4本でもよく、或いは、図9(a)に示す第2糸が1本以上と図9(b)で示す第2糸が1本以上で合計2本乃至4本引き揃えられているものでもよい。また、第3例の第2糸は、前述の2本乃至4本が撚り合わされているものでもよい。
1本の第2単繊維51の太さは、第1単繊維41よりも細いことを条件として、特に限定されないが、例えば、1dtex〜80dtexであり、好ましくは10dtex〜50dtexであり、より好ましくは20dtex〜40dtexである。また、前記第2単繊維51の太さは、例えば、前記第1単繊維41の太さの1/1000倍〜4/5倍であり、好ましくは1/50倍〜1/4倍である。
また、第2糸5を構成する第2単繊維51の本数は、例えば、10本〜80本であり、好ましくは20本〜60本であり、より好ましくは30本〜50本である。
第2太単繊維52は、親水性の単繊維でもよいが、乾き易いことから、疎水性の単繊維であることが好ましい。第2太単繊維52は、第2単繊維51よりも太いことを条件として、第1単繊維41と同じ太さでもよく、それよりも太い又は細くてもよい。風合いに優れるので、第2太単繊維52は、第1単繊維41よりも細いことが好ましい。第2太単繊維52は、直線状でもよいが、第1単繊維41と同様に捲縮加工がなされていることが好ましい。捲縮加工の施された第2太単繊維52を複数本の第2単繊維51に含ませることにより、へたり難い第2パイル5Pを構成できる。
1本の第2太単繊維52の太さは、例えば、100dtex〜1,000dtexであり、好ましくは200dtex〜500dtexであり、より好ましくは300dtex〜400dtexである。
図9(a)に示す第1例の第2糸5は、複数の第2単繊維51及び1本の第2太単繊維52を撚り合わせることによって構成されている。
図9(b)に示す第2例の第2糸5は、この図9(a)のように撚り合わされたものに、さらに交絡処理されている。この交絡点53は、第2糸5の長手方向で所定間隔を開けて設けられる。
前記第2糸5の撚り方向は、左撚(Z撚)又は右撚(S撚)の何れでもよい。また、撚り方式としては、片撚の他、諸撚などが挙げられる。撚り数は、特に限定されず、例えば、片撚の場合、30回/m〜80回/mであり、諸撚の場合、120回/m〜200回/mである。撚りが少なくなるほど乾燥性に優れ、多くなるほど吸水量が少なくなる。
疎水性の合成樹脂繊維としては、上記第1単繊維41で例示したようなものが挙げられる。
第2太単繊維52として疎水性の単繊維が用いられる場合、その単繊維としては、上記第1単繊維41で例示したようなものが挙げられる。
ただし、第2単繊維51及び第2太単繊維52の材質は、第1単繊維41と同じものでもよく、或いは、異なっていてもよい。
用いる繊維を少なくして材料コストを下げるという観点では、第2太単繊維52として、第1単繊維41を用いることが好ましい。
図1乃至図5に示すように、例えば、バッキング層3は、目止め層31と、裏面層32と、を有する。
前記目止め層31は、パイルが基布2から抜けることを防ぐために、基布2の裏面に設けられる。例えば、目止め層31は、基布2の裏面全体に設けられている。
目止め層31は、通常、合成樹脂から構成される。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、MBR(メタクリル酸エステルブタジエン系ラテックス)、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、塩化ビニル樹脂、ホットメルト樹脂などが挙げられる。塩化ビニル樹脂との相溶性が良く、強度にも優れ、水分を吸収し難いことから、目止め層31はMBRで構成されていることが好ましい。
目止め層31の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm〜2mmである。
図示例では、裏面層32は、複数の部分からなり、それらが目止め層31の裏面に点在されて構成されており、裏面層32は、全体として凹凸状に形成されている。詳しくは、裏面層32は、一つの方向に帯状に延びる複数の隆起7からなり、その複数の隆起7が前記方向と直交する方向に複数間隔を開けて設けられている。図示例では、隆起7がステッチ方向に帯状に延び、その隆起7の複数がゲージ方向に間隔を開けて配置されている。従って、隣接する隆起7の間は、目止め層31の裏面が露出している。帯状に延びる1つの隆起7の幅は、特に限定されず、例えば、5mm〜15mmであり、隣接する隆起7の間の幅は、例えば、5mm〜10mmである。かかる隆起7が目止め層31の裏面に複数設けられていることにより、裏面層32の裏面は、全体として凹凸状とされている。さらに、この各隆起7の裏面が、凹凸状に形成されていてもよい。図示例では、前記各隆起7が、凹凸状に形成されている。凹凸状の隆起7の凸部71と凹部72は、隆起7が延びる方向に交互に形成されている。前記凸部71は、隆起7の幅方向全体に亘って突出しており、前記凹部72は、隆起7の幅方向全体に亘って凹んでいる。なお、前記凸部71は、カーペットの裏面側から見て平面視略四角形に形成されるが、これに限定されず、例えば、平面視略円形、略楕円形、略三角形などであってもよい。
また、裏面層32は、発泡又は非発泡でもよいが、クッション性に優れたカーペット1を構成できることから、発泡体であることが好ましい。
裏面層32の厚みは、特に限定されないが、発泡体からなる裏面層32の厚みは、例えば、2mm〜5mmであり、非発泡体からなる裏面層32の厚みは、例えば、1mm〜3mmである。なお、裏面層32が凹凸状に形成されている場合の裏面層32の厚みは、その凸部71における厚みをいう。
第1パイル4P及び第2パイル5Pを含むパイルが基布2にタフトされたパイル生機の裏面に、樹脂などを塗布して目止め層31を形成し、前記樹脂が固化する前にエアーを吹き付けながら前記樹脂を固化させる。このようにして基布2の裏面に、無数の第1貫通孔61を有する目止め層31が形成されたパイル生機を得ることができる。次に、前記目止め層31の裏面に、樹脂を帯状などの所定形状に塗布した後、エンボス加工を行って裏面層32を形成する。最後に前記パイル生機、目止め層31及び裏面層32の全体に、加熱した針などを突き刺して第2貫通孔62を形成することにより、図3に示すようなカーペット1を得ることができる。
なお、前記無数の第1貫通孔61を有する目止め層31を形成した後、パイル生機及び目止め層31の全体に、加熱した針などを突き刺して第3貫通孔63を形成した後に、裏面層32を形成すると、図7に示すようなカーペットが得られる。
本発明のカーペット1は、屋外、半屋外、屋内のいずれの場所にも使用することができる。本発明のカーペット1は、乾き易いので、水に濡れる可能性が高い場所である屋外や半屋外の場所で使用することがその効果が顕在化するので好ましい。
屋外の場所は、屋根や雨よけの無い場所をいい、例えば、建築物の屋上、商店街の歩道などが挙げられる。半屋外の場所は、屋根や雨よけがあるが、雨水が入ってくる又は散水され得る場所であり、例えば、各種建築物の開放廊下、連絡通路、中庭、ベランダなどが挙げられる。
また、カーペット1の目止め層31には、第1貫通孔61が形成されているので、カーペット1の表面に被った水が、前記第1貫通孔61を通じて、目止め層31の裏面側に流れるようになる。なお、基布2には、第1貫通孔61は形成されていないが、織布などからなる基布2は、それ自身水を透過する性質を有する。さらに、裏面層32が目止め層31の裏面全体に設けられていない場合、前記目止め層31の第1貫通孔61からの水は、前記裏面層32が設けられていない箇所で速やかに流れていくようになる。さらに、第2貫通孔62及び/又は第3貫通孔63が設けられている場合、カーペット1の表面に被った水が前記第2貫通孔62又は第3貫通孔63を通じて、裏面層32の裏面側に流れるようになる。
特に、裏面層32が一つの方向に延びる複数の帯状の隆起7から構成されている場合、水が隣接する帯状の隆起7の間を前記一つの方向(図示例ではステッチ方向)に流れていき、カーペット1の裏面側で滞留し難くなるので好ましい。また、前記隆起7が凸部71と凹部72を有する場合、前記水が、隣接する凸部71の間である凹部72を前記方向と直交する方向(図示例ではゲージ方向)に流れていき、カーペット1の裏面側で滞留し難くなるので好ましい。
・第1糸
8本の第1単繊維が撚り数50回/mでZ撚されたものを使用した。第1単繊維は、ユニプラス(株)製の捲縮されたBCFナイロン繊維であり、1本の第1単繊維の太さは、362.5dtexであった。
・第2糸
40本の第2単繊維と1本の第2太単繊維が撚り数170回/mでZ撚された糸Aを2本準備し、その2本の糸Aが撚り数170回/mでS撚されたものを使用した。従って、第2糸は、80本の第2単繊維と2本の第2太単繊維の撚り糸からなる。第2単繊維は、ユニプラス(株)製の捲縮されたBCFナイロン繊維であり、1本の第2単繊維の太さは、30dtexであった。第2太単繊維は、ユニプラス(株)製のストレートBCFナイロン糸であり、その太さは333dtexであった。
・基布
ポリプロピレン製織布。(株)小泉FCプロダクツ製の商品名「J2414BK」。
・裏面層
塩化ビニル樹脂
基布に第1糸及び第2糸をループパイルでタフトしてパイル生機を作製した。第1糸からなる第1パイルは、ゲージ方向に3列連続してタフトし、第2糸からなる第2パイルは、ゲージ方向に2列連続してタフトした。この3列の第1パイルと2列の第2パイルをゲージ方向に交互にタフトした。この場合の第1パイルのパイル密度:第2パイルのパイル密度=60:40である。第1パイル及び第2パイルのステッチは、いずれも13ステッチとした。第1パイルと第2パイルを合わせたパイルのゲージは、いずれも1/8ゲージとした。
この生機の裏面全体に、塩化ビニル樹脂を厚み2mmで塗布し、目止め層兼用の裏面層を形成した。
このようにしてゲージ方向の長さ×ステッチ方向の長さ=100mm×100mmの図6に示すようなカーペットを作製した。ただし、裏面層には、その表裏面に貫通する貫通孔を形成しなかった。
1列の第1パイルと1列の第2パイルをゲージ方向に交互にタフトしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
実施例2のカーペットは、図1に示すような構造であり、第1パイルのパイル密度:第2パイルのパイル密度=50:50である。
2列の第1パイルと3列の第2パイルをゲージ方向に交互にタフトしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
実施例3のカーペットは、第1パイルのパイル密度:第2パイルのパイル密度=40:60である。
第2パイルをタフトせず、全てを第1パイルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
4列の第1パイルと1列の第2パイルをゲージ方向に交互にタフトしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
比較例2のカーペットは、第1パイルのパイル密度:第2パイルのパイル密度=80:20である。
1列の第1パイルと4列の第2パイルをゲージ方向に交互にタフトしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
比較例3のカーペットは、第1パイルのパイル密度:第2パイルのパイル密度=20:80である。
第1パイルをタフトせず、全てを第2パイルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
任意に抽出した成人男性6名及び成人女性4名に、各実施例及び比較例のカーペットの表面を見せ、カーペットらしい風合いを有するかを基準に10段階で評価してもらった。その結果を表1に示す。
なお、表1の評価結果は、10名の評価者の10段階評価の平均値であり、数値が10に近いほど良い評価を意味する。
また、表1の「ゲージ方向1インチ当たりのパイルの列配置」の●は、第1パイルを表し、○は、第2パイルを表す。この列配置においては、●及び○を合わせて1/8ゲージで打ち込んでいるので、それらが計8個並んでいる。
各実施例及び比較例のカーペットを縦×横=10cm×10cmに切り取って試験片を得た。この試験片を約30度の角度で斜めに載置し、その表面全体に略均等に50ミリリットルの水を流した後、30秒間放置した後の試験片の吸水量(吸水量=含水後の試験片の重量−当初の試験片の重量)を測定した。その後、その試験片を、20℃、湿度65%の恒温室内に水平に置いて放置した。そして、1日後、2日後、3日後のそれぞれの試験片の吸水量を測定した。
その結果を図10に示す。
一方、図10の通り、第1パイルのパイル密度の比率が40以上であるカーペットは、水に濡れても比較的速く乾燥し、他方、第1パイルのパイル密度の比率が20以下であるカーペットは、乾燥性に劣ることが判る。このことから第1パイルのパイル密度の比率は30以上であることが好ましいことが判る。
2 基布
3 バッキング層
4P 第1パイル
4 第1糸
41 第1糸を構成する単繊維
5P 第2パイル
5 第2糸
51 第2糸を構成する単繊維
61,62 貫通孔
Claims (4)
- 第1糸から構成された第1パイルと、第2糸から構成された第2パイルと、を有し、
前記第1糸が、複数の単繊維を含み、
前記第2糸が、前記第1糸の単繊維よりも細い単繊維であって、捲縮された複数の単繊維を含み、
前記第1パイルのパイル密度と第2パイルのパイル密度の比が、30:70〜70:30である、カーペット。 - 前記第2パイルの高さが、前記第1パイルの高さよりも大きい、請求項1に記載のカーペット。
- 前記第2糸の単繊維の太さが、前記第1糸の単繊維の太さの1/1000倍〜4/5倍である、請求項1または2に記載のカーペット。
- 前記第1パイルが、ゲージ方向において1列に配置され、
前記第2パイルが、ゲージ方向において1列に配置され又はゲージ方向において2列以上連続して配置され、
前記1列の第1パイルと1列又は2列以上の第2パイルが、ゲージ方向に交互に並んで配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカーペット。
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